ISVD〜Infinite Stratos Verdict Day〜   作:高二病真っ盛り

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文化祭編終了!

まともに文化祭映してないな!

そして軽い気持ちでオリキャラを出すんじゃない過去の自分!


07ー07 セシリアさんは裏表のない素敵な貴族です。はい復唱!

「クソ……クソクソクソクソがァァァァァッ!!!!!」

 

高層マンションのマンションの最上階。そこは今回のミッションでの亡国機業のアジト。

一流ホテルのスイートルームとすら見紛う豪奢な装飾のその部屋に、オータムは獣の唸り声の如き怒りの叫びを上げながらドアを乱暴に開ける。

 

「うわぁ!オータムさん!治療したといっても、怪我が怪我なんですから安静にしてて下さい!」

 

それを追うように部屋に飛び込んできたのは、瓶底眼鏡をかけた青髪ショートの女…サマーだ。

その右手には血だらけの包帯が、左手には救命バッグがあった。

 

「うるせぇ!マドカ(あのガキ)はどこだ…!」

 

「えっと…其処っす…」

 

リビングルームに入るなり、血走った目をギョロつかせるオータムの迫力に慄いたそばかすとベリーショートの茶髪が特徴の女…ボタン(B)はテーブルの下を指差した。

 

「……チッ」

 

面倒なヤツに、見つかった。

 

そんな気持ちを隠す事なくマドカはテーブルの下から這い出る。

舌打ちを受け更に激昂するオータムは、右手でぬらりとナイフを抜き、マドカに突きつける。

 

ナイフの切っ先を向けるオータムと向けられたマドカ。両者はお互いに睨み合う。

 

「……」

 

「……」

 

フゥゥ…フゥゥゥ……!

 

オータムの呼吸音が静寂を支配する中、リビングの隅で本を読んでいた片目を隠れるほどに長い茶髪の女…ナオミ(N)が沈黙を破りオータムに問おうとする。

 

「オータム様…あのその……マドカに一体どんな御用で…」

 

「……サイレント・ゼフィルスを寄越せ。寄越せェェェ…!」

 

「ハン、自慢のアラクネがあるだろう…いや、アレは確か、貴様が自ら使えなくしたんだったな」

 

(どうしてそこで挑発するかな……)

 

事態を見守るボタンとナオミは同じ事を思いながら、どうにかナイフを取り上げられないか考える。

しかし良案は思いつかず、とりあえずオータムと所属を同じくするサマーに「なんとかしてください」とヘルプコール(アイコンタクト)する。

 

その視線を受け取ったサマーは一度深呼吸をしてズイと歩み寄る。

 

「……オータムさん。例えゼフィルスを奪っても今の状態なら織斑一夏に負けますよ」

 

「あ"あ"!?」

 

「巻紙玲子として潜入したオータムさんに、織斑一夏は完全に油断してました。でも相手は、その状況からオータムさんにアラクネを捨てさせるまでに至りました」

 

ゆっくり、諭すように述べながら、サマーはオータムの右手を掴みナイフを抜き取る。

 

「今度は、そうはいきません。我々が確認した中では、彼にとって今日の一件がISを使った初めての殺し合い。きっと次は対策を練っているはずです。

次に必ず織斑一夏を潰すというなら…今はゆっくりと休んでください」

 

グゥの音も出ない正論に、「クソォ!」というテーブルを叩く音が返る。

 

ギチギチと音を鳴らす程に拳を握りしめるオータムは再び視線をマドカに戻す。

 

「テメエ知ってたのか……?」

 

「……」

 

「なんとか言えよ…!剥離剤(リムーバー)が効かない事を知ってたのか、あ"あ"!!」

 

今回の計画では、まず本命はIS学園地下の無人機の奪取、そして次に黒い鳥(ダークレイヴン)の奪取だ。

肝心要の所はこれ以上無いほどに成功しているが、次点計画は完全に失敗。貴重なISを再起不能としてしまう大損害だった。

 

そして、この次点計画の詳細を企画し、剥離剤を用意したのは他ならぬマドカであった。

 

「……知らない、といっても信じる気は無いだろう?」

 

「…ハッ。……ッザケてんじゃねぇぞぶち殺す!」

 

惚けてるのか、それとも本気か。どちらにせよバカにしたマドカの態度に、オータムの顔色は再び忿怒の赤に染まり、その首捩じ切らんと右腕を伸ばす。

 

「やめなさい、オータム。うるさいわよ」

 

バスルームからの言葉に、オータムの手が止まる。

 

「スコール……!」

 

「怒ってばかりいると老けるわよ。落ち着きなさい、オータム」

 

バスルームから出てきた声の主は美しい容貌の女性だった。薄い金色の髪が、明かりに照らされてキラキラと光を放つ。

彼女はスコール。この作戦におけるチームリーダーのような存在だ。

 

スコールはバスローブのままソファーへと腰を下ろす。

そんなスコールを、オータムは悔しそうに見つめる。

 

「お前は……知っていたのか?こうなるということを」

 

「いいえ、まるで想像してなかったわ。そしてそれはマドカ(エム)も同じ。アレが本来ISに効くことは私が保証する」

 

「だったらどうして…」

 

「わからない。でもそれだけ特別製だったということなのかもね。ごめんなさいオータム。あなたにさせる必要のない、取り返しのつかない怪我をさせてしまって」

 

「い、いや…そこはスコールのせいじゃないし……」

 

「いいえ、私のせい。大切な恋人を傷物にした織斑一夏にはそれ相応の対処をするわ。だから…今は休んで、その時を待ちましょう」

 

「う、うん…」

 

さっきまでの怒りが嘘のように消え、まるで初恋の相手を前にしたかのようなオータムを、スコールはソファーから立ち上がり抱きしめる。

 

「エム、ISを整備に回しておいて頂戴。サイレント・ゼフィルスはまた奪って間もない機体だから、再度調整が必要よ。……それに、専用機三機(ブルー・ティアーズ 黒い鳥 シェンロン)を相手どってダメージもかなり受けてるからね」

 

「わかった」

 

その言葉と共にマドカは部屋を出た。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「えええええ〜〜〜!!!???」

 

文化祭翌日朝8時の食堂に鈴の叫びが響く。

 

おばちゃんも、まばらにいる周りの生徒も驚いた顔を向け、その様に鈴は恥ずかしそうにうつむいた。

 

「…うるせぇ、叫ぶなよ。こちとら寝不足なんだから…」

 

寝ぼけ眼を擦りながら、一夏は大口を開けて欠伸をする。

無論、原因は昨晩の病室への不法侵入の件でそれはもうこっつり絞られたからである。

 

「あ、ごめん…。でもなんでどうして急に()()()()()()()()()()()()()()事になったの?」

 

ヒソヒソ声で問いを投げる鈴に、一夏は慣れない手つきで箸を左手で操り、チキン南蛮をご飯にのせながら答えを返す。

 

「……昨日の戦いで、BT兵器稼働率がある一定の所を超えたからな。今開発している機体の規定値までに届いたからそれ関係で呼び出されんだってよ。

……それに、サイレント・ゼフィルスの件もあるしな」

 

「そっか……確かに、自国の機体が学園を襲ってきたなんて大事だもんね。

最後にちょっと戦っただけのあたしだって大変だったんだしセシリアならなおさらそうよね」

 

沢庵を口に放り込みながら「……ん?」と鈴は先程の会話を思い出す。

 

「…聞いた私が言うのもなんだけどさ」

 

「あ?」

 

味噌汁を啜る一夏に鈴はもう一回問いを投げる。

 

「なんで一夏が如何にも重要そうな、新機体の事知ってんのよ」

 

「……え、そりゃその機体のデータを作ったの俺と財団だし……」

 

「は?」

 

「え?」

 

疑問符。

食い違い。

両者の間に沈黙が流れる。

 

「なにそれ聞いてない」

 

「アレ?言ってなかったっけ?」

 

「聞いてないわよ」

 

「俺が言ってなくてもセシリアが言ってると思うんだけど」

 

「セシリアにも聞いてないわよ!え、なにそれあんたそんなもん渡してたの!?ズルイ!!」

 

バァン!

 

言葉の応酬の中、衝動に任せ机を平手打ちする鈴。

当然ながら、反作用の法則を受けた彼女の掌の神経は、ジーンと刺激を脳に送る。

 

「ッ()〜…やっぱり胸?胸なの?それとも髪?金髪碧眼ボインな人だったのマグノリア・カーt(例のひt)うぉ()っつ!?」

 

「ちょおい鈴!?お茶!お茶溢れてる!!」

 

「いつも楽しそうね。ここいいかしら」

 

「「どうぞどうぞ」」

 

小声で叫ぶという無駄に器用な真似で絶え間なく会話のドッジボールを繰り広げる2人に、お盆にBLTサンドをのっけた如月が声をかける。

2人に促され椅子に座り、サンドイッチを一つ口に放る。咀嚼しながらキョロりと辺りを見回してフゥと溜息を吐いた。

 

「文化祭後の振り替え休日だけあって、みんな遅いわねぇ」

 

「あちち…そうね、もうちょっとみんな健康的に生活リズムを刻んで行った方がいいわ。もっと酢豚をとりなさい酢豚を」

 

「“キュケオーン(酢豚)をお食べ”とでもいうつもりか?ほれティッシュティッシュ…ごめん如月さん。これお願い」

 

三角巾で吊られた自分ではティッシュを渡せないと一夏は如月にヘルプコール。

如月はヒョイと受け取り受け渡し、鈴はそれで制服のお茶を拭っていく。

 

「それにしても災難ね。まさか()()()()()()()()()()()……」

 

二つ目のサンドイッチを口に放り、ゴクリ。ペロリと唇を舐めた如月は一夏の右腕を見て、思いを口にする。

 

「…全くだ、神様は間違えてるぜ。自由なき籠の中の鳥から翼までも奪おうとするなんて、さ」

 

「あはは。なによそれ?もしかして黒い鳥(ダークレイヴン)だからかしら?」

 

「……ごめん如月さん。恥ずかしいから取り消させて」

 

「ダ・メ・よ。寮室待機命令で退屈なんだし、向こう一週間は使わせてもらうわ」

 

当然ながら、昨日の一件は表には出ていない。なんなら無人機なるものが学園に収容されていたと知る生徒等ごく僅かだろう。

 

今回の一件で動いた亡国機業の潜入員約250人はその行方をくらまし、学園側はその捜索と残った人材にまだ潜入員がいないかをくまなく調べている。

それが故に、現在IS学園では食事等のどうしても必要な場合を除き、寮室から出てはいけないという命令が下されている。

 

なにが起きたかはわからない。されどなにかは確実に起きている。

 

それを想像させる命令と、外に出れない閉塞感は、ネット上のIS学園女子の噂の火をつけるに十分なものだった。

 

(会長…これ収められるのかなぁ……)

 

(『まぁ、僕は悠々と見物させてもらうよ。まず第一の見所は、今月末の『キャノンボール・ファスト』を無事に行えるかだねぇ』)

 

IS高速機動レース『キャノンボール・ファスト』

本来ならば今月末に行われるはずのそれは、今や開催するか否かの状態にまでなっていた。

 

(ま、なんとかなるよ。俺は会長の可能性を信じる)

 

(『いや働きなよ副会長』)

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「……ふ、ふふふ」

 

国際空港発着ロビー。

 

そこで書類を眺め口角を上げていたのは金髪碧眼ボインな…ゲフンゲフン。

男性どころか同性すら魅力する肢体。聡明にして可憐、優雅さで出来たような美しい顔立ち。黄金の髪は宝石すら褪せてしまうほどの輝きを振りまき。些細な所作からは彼女の心の美しさを感じる。

そう――――我らがハイパーウルトラパーフェクト美少女英国代表候補生『セシリア・オルコット』である!!!!

 

彼女の瞳にただ映るのは『BT兵器稼働率 94%』の一文のみ。

 

この一文で、セシリアから疲労は一切吹っ飛んだ。

 

事情聴取?聞き取り?いくらでも!今の私は機嫌がいい!最高に“ハイ”ってやつだァァァ!フフフフハハハハハァァァ!!!

 

思わずこんな事を叫びそうになるのをグッと堪える。落ち着け、まだ慌てる時間じゃない。

 

スゥーッハァーッ…2.3.5.7.11.13……ようし落ち着いた。

 

「これでやっと、使えるのですね…!」

 

やはり、自分より遥かに格上、それも同じBT兵器使いと戦ったのがよかったのだろう。

それに相手は、偏光射撃(フレキシブル)のお手本まで披露してくれたのだ。

上がらない方がおかしいが、流石に伸び悩んでいた稼働率をここまで跳ね上がるなど予想だにしない。

 

起こった事態に不謹慎ながら、セシリアは自分の成長の喜びは抑えられない。

 

B(ブルー)ティアーズ・D-Nx(ディーネクスト)

 

これはセシリアにとって特別な意味を持つ。

 

親友、織斑一夏が、彼女の成長を見込んで財団と共に作った機体。

 

それが持つ意味は友情、希望、未来、とにかく数え切れないほど。

 

彼女は誓った。『更に強くなる。一夏が味方であっても警戒せざるを得ない程に』

 

この機体はきっとセシリアに測りきれない未知(ネクスト)を見せてくれるだろう。

 

【皆様、ABC航空ロンドン行き6789便は搭乗を開始いたします】

 

「おっと…さて、いくとしますわね…」

 

書類を鞄に仕舞い、スクッと立ち上がる。その一挙一動にはやはり優美さがあり、彼女がどこまでいっても貴族である事を示していた。

 

「それにしても、キャノンボール・ファストに参戦できないのは心残りですわねぇ…」

 

あの惨状でそもそも開催されるのだろうか、セシリアは訝しんだ。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「……セシリア・オルコット」

 

朝日差し込む一室。マドカは眩しそうに目を細めながら呟く。

普段ならば千冬への異常な執着か、あるいは一夏への猛烈な殺意を写す目は今日ばかりは違った。

 

『格上だからって逃げたくないんですもの』

 

「……フン、いいだろう。認めてやる、貴様の力を」

 

「今この瞬間から貴様は私の敵」

 

「私が織斑一夏を潰す時の踏み台にしてやる」

 




そろそろオリ展開に行きたい。

誤字脱字は遠慮なくどうぞ。
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