金次ですがシャーロック・ホームズに育てられました。   作:魚魚

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何か書きたかった。
原作うろ覚えだけど書いていく。


プロローグ
シャーロック・ホームズに目を付けられました


「金次君、寒くないかい?」

 

 

「……大丈夫です」

 

 

どうして俺はこんなところにいるのでしょうか。

 

場所は中学生の俺でも分かる、これは潜水艦の甲板の上だ。

ちなみに隣に居るのは20代後半ぐらいの男。

この男の正体は普通の中学生には分からないだろうがが俺には分かる。

 

こいつは世界一の名探偵であり、武偵の原型と呼ばれた男。

 

"シャーロック・ホームズ" だ。

 

俺は疑問を早めに解決しておきたい。

シャーロック・ホームズは既に死んでから何年も立っている。

 

「……シャーロック・ホームズに似てるってよく言われませんか?」

 

俺の声は震えていた。

その姿を見てシャーロック・ホームズと名乗る男はほほ笑んだ。

 

「どこかで写真でも見たのかな?」

 

兄貴の教科書を隠れて読んでいた俺は知っている。

ちなみに一般の教科書ではシャーロック・ホームズは名前でしか載っていないが、武偵系の学校の教科書では、ほぼ百%の確率で写真も載っているのだ。

 

「教科書です」

 

そこでシャーロック・ホームズはまた微笑んで俺の顔を見つめた。

この男は何なんだ、冗談が具現化でもしたのか?

 

「君の言うとおり私の名前はシャーロック・ホームズ。本人だ」

 

と握手を求めてきたが、嫌な予感しかしない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……朝か」

 

目に入ってくる眩しい光に思わず目蓋を再び閉じ掛ける。

結局閉じるには至りはしなかったが、光が入ってくる方向から体を背ける。

体を背けると目に映るのは時計。時計の針は八時を指していた。

 

「あ……えっ?」

 

嫌な汗がじわりと出る。

思えば今日は中学校の入学式の日だ。

そして時計の針が表しているのは遅刻という漢字二文字。

 

やっちまった

 

声にならないぐらい小さな声で俺は呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

初めて着た赤い色をした制服、防弾の素材でできた防具である。

防弾繊維で縫われたこの制服はライフル弾でも通すことはない。

が、衝撃は消すことが出来ないため、当たれば無事では済まないのだが命があるだけマシである。手触りは良い訳でも悪いわけでもない。

それなりに頑丈そうな見た目だ。

 

どうして俺がこんな制服を着ているかというと、そう。

入学する学校が武偵高付属中学校だからだ。

兄貴に憧れて入った。兄貴は既に中等部(インターン)として高校生に混じってバリバリ任務をこなしている。勝手な先輩に連れられて今は海外らしい。

俺もそんな兄貴に憧れて武偵になりたいと思っている。

 

 

爺ちゃんと婆ちゃんは朝からなんかの集まりに出かけた。

だからこんな時間まで寝れたわけだが……爺ちゃんと婆ちゃん出かけるの早すぎないか?

あの二人は早起きだけれども……

ということで家には今俺しか居なかったようで遅刻する時刻に起きてしまったのだ。

俺は低血圧だから朝は結構苦手なので仕方がない。

 

何気なく付けていたテレビに映る雨の予報に気分をへこませながら仕方なく準備を済ませドアを開けて空を見上げた。

 

「天気予報は外れてくれそうにないな……」

 

傘立てから自分の傘を取り出した後に駅に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

どうしてこうなった。

全てはあの遅刻が原因なのはわかるが、こんな事ってありえるか?

 

「全員動くな!!」

 

銃を持った男達が三人も乗り込んできたのである。

 

テロリストッ!?

 

見たところ銃器は

 

AK47(カラシニコフ)に Remington Model 870 の銃身切り詰め(ソードオフ)とトカレフ。

 

どれも強力な武器で防弾制服だろうと無事では済まない。

乗客は全員張り詰めた表情になり、銃を持っていることに気づくと蒼白な表情になった。

そりゃ怖いわな…俺も怖い。

銃器や格闘術には詳しいと言っても俺は中学生の子供で実戦経験は無い。

取り敢えずここは黙ってジットしているのが良いだろう。

日本の犯罪率はかなり上昇しており、いつ鉛玉が飛んでくるかわからない。

 

するとテロリストが声を荒立て始めた。

 

「おらっ!お前!何、本を読んでやがる!」

 

初老の男性は毅然とした態度で顔を上げた。

その態度が気に食わなかったのかカラシニコフを持った男が初老の男性に銃口を向けた。

 

「何か文句があるのかな?」

 

銃口を向けられても動じない男。状況を理解していないのか……?

 

「黙れ!」

 

引き金に指が掛かった。

コレは不味い……乗客も悲鳴を上げ始めた。

俺と初老の男の距離は約5メートル。

って俺は一体何を考えてるんだ。死ぬ気か?

引き金が絞られるその瞬間、気がつけば俺の体は動いていた。

男の前に立って歯を食いしばった。

 

次の瞬間、俺の体にとてつもない衝撃が走った。

 

そりゃ耐ショック訓練も受けてないから昏倒しそうになるのを抑えるので精一杯だ。そのまま初老の男性にもたれかかるように後ろに倒れた。

 

「何だ!?このガキ……って武偵か!?」

 

まだ武偵ではないけどね……銃すら持っていないし。

衝撃の所為で混沌とした視界の中、薄っすらと見えるのは銃口。

多分だが、狙われているのは俺の頭。

 

あ、俺死んだわ。

 

7.62x39mm弾特有のガシッとした銃声とマズルフラッシュが視界に映る瞬間、ここで俺の記憶は飛んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どうも、僕はシャーロック・ホームズ。

久しぶりに変装して日本を"観光"していた時の事だ。

運悪くテロリスト達が電車をジャックした。

持っているアタッシュケース、声音、汗から判断して銀行強盗をした後、逃げようとしたが不慮の事故で上手く行かず、近くにあった駅に乗り込み成り行きでこの電車をジャックしたという所だろうか。

きっと何分か待てば武偵や警察が電車を包囲して無事事件は解決するだろう。

と、再び本に目を移した。

 

 

「おらっ!お前!何、本を読んでやがる!」

 

 

……僕の事を呼んでいる様だ。

黙って顔を上げて自動小銃を持った男の目を見つめた。

すると銃口を頭に突きつけてきた。

 

「何か文句があるのかな?」

 

少し威圧を加えてやった。

遂に引き金に指を掛けてしまった。

99%の確率でそうすると推理していた。問題は無い。

軽く躱してやれば……ん?

 

僕の直感が何かを告げていた。

 

そして遂に引き金が引き絞られた瞬間、目の前に少年が飛び込んできた。

 

予想外の展開だ。

 

発砲音と共に少年の体は僕の方に倒れ込んだ。

僕にもたれ掛かった少年の服は武偵校の生徒が来ているもので防弾繊維で出来ている。

胴体を撃たれたらしいので死亡は無いだろうが口から血を吐いて意識は抜けかけていた。

直ぐに命がどうなるというわけではないが、重症だ。

いくら防弾とは言え、ライフル弾がこの至近距離で当たればただじゃすまない。

その次の瞬間、再びテロリストの手によって弾丸が発射され少年の頭に命中する。

 

少年の後頭部から貫通した弾丸が飛んできたので掴んだ。

弾丸に血はついていたが、比較的綺麗な状態で残っており脳みその部品はついていないようだった。推理するに弾丸は頭蓋骨に絶妙な角度でぶち当たり、貫通はせずに頭蓋骨の周りを滑って後ろに抜けたらしい。運のいい少年だ。

 

そろそろ僕の出番か、と立ち上がろうとした時。

先に少年のほうが立ち上がったのだ。

 

どうして立てる?意識はないはずだ。

額からは血がペンキを塗る様に電車の床を濡らしているというのに。

その光景を見た乗客は叫び声を上げた。

 

「うるせえ!お前ら!撃つぞ!」

 

他の男二人が乗客を黙らせる様に声を上げて銃口を乗客に向ける。

そして立ち上がった少年の前に立っているテロリストの男が引き金を再び引こうとした時。

少年は銃身を掴み、天井に向けさせた。

 

バン!

 

天井に穴が空き、客が悲鳴を上げる。少年は的確に男のみぞおちに正拳を叩きつけた。

男は倒れ、動かなくなった。

 

「何しやがった!?」

 

トカレフを持った男が少年に弾丸を放った。

だが少年は左右に体を大きく動かし、全て躱しながら一気に接近して引き金の内側に指を入れ、発砲できなくした後に空いている左腕の肘で男の顔面を強打した。

 

男が崩れ落ちると最後のショットガンを持った男が銃口を少年に向けた。

 

こんなに狭い場所で撃てば他の乗客にも命中して被害は大きい。

 

そんな状況で少年はショットガンを向けられても動じずに崩れ落ちた男のトカレフを素早く握りこんだ。

ショットガンを持った男は反応しようとするがその前にトカレフは弾丸を放った。

放たれた弾丸は引き金に掛けられた指に命中し、指は千切れ、男が苦痛に表情が歪む。そうして続けて弾丸をもう一発放つ。

次の弾丸はショットガンのグリップに当たり、ショットガンは弾かれ男の顎にぶち当たり、白目を向いて倒れた。

少年は動きを止め、しばらくすると糸が切れた人形のように電車内に座り込んだ。息をする音が聞こえることからどうやら気絶しているだけのようだ。

 

テロリストへの正確な対処、曲芸的な銃の腕前。

顔つきからして中学生ぐらいだろう。日本の普通の子が持っている技術ではない。

 

まだ荒削りだが、"良い物" を持っている

 

気が付くと僕の口元は釣り上がっていた。

 

 

 

 

 

 

 

握手を握り返した時、不意に海の向こうを見ると。

 

星空とオーロラが空を覆っていた。

 

「ぁ……」

 

思わず声が漏れてしまう。

壮大な自然現象は衝撃的な出来事を全て上回り、その場で動けなくなるほどの威圧感を放っていたのだ。

 

「金次君、イ・ウーへようこそ!」

 

シャーロック・ホームズが張った声でそう言った瞬間、オーロラが更に色彩感を溢れさせ始めた。

そしてオーロラが持っていた威圧感を遥かに凌駕した威圧をこのシャーロックと名乗る男が放ち始めたのだ

 

俺は苦笑いするしか無かった。

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