金次ですがシャーロック・ホームズに育てられました。   作:魚魚

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一応投稿!
もう一回リメイクするつもりで書いてるので荒削りです!
お気に入り登録25件。嬉しすぎて口から血を吐いた。
ありがとうございます!


イ・ウー
強引なのはちょっと


小学生の頃、父が長期任務に出ると言うことで青森に預けられた日。

父は仕事へ行く前に決意した表情で俺と兄貴にこう言った。

 

『周りが義に通っていなくてもどんな立場に居ても世界が的になろうとも、遠山の男なら "義" を守れ。義を貫き通すのが先祖代々伝えられてきた使命だ』

 

その言葉はまるで父が自分に言い聞かせているようにも見えた。

そして父は普段の優しい父に戻り、出来るだけ早く帰ってくるよと言って旅立ち、その一週間後に父が亡くなったと、青森に連絡が届いた。

 

 

 

 

 

 

「ここは……?」

 

 

どうやら寝ていたようだ。

何だか懐かしい夢を見てた気がするが、思い出せない。

知らない天井に疑問を感じながらも上体を起こそうとすると

 

「魘されていたようですが、大丈夫ですか?」

 

急に少女の声が聞こえた。

のでびっくりしながら隣をみると金髪の女の子が心配そうに俺の顔を見ていた。

頭には白いフリルが付いたカチューシャを着けており、メイドの服装をしているが年齢は俺と同じぐらいだろう。

 

「君は一体……」

 

と言うかここは何処なんだ。

 

「私は……リサ・アヴェ・デュ・アンク。イ・ウーで会計士兼メイドをしております。長いお付き合いになると思いますのでよろしくお願いします」

 

見た目は白人で明らかに日本人では無いのに偉く流暢な日本語で挨拶と西洋風のお辞儀をしてくれた。

 

「俺の名前は遠山金次。こちらこそよろしく」

 

俺もベットの上で正座して頭を下げた。

挨拶は大事って古事記にも書いてたような気がする。

 

「それでは頭の包帯を取り替えさせていただきますね」

 

リサは靴を丁寧に脱いでベットに乗ると俺の後ろに回った。

 

「包帯?」

 

頭を触ると確かに包帯の手触りがした。全くつけてることに気づかなかった。

いつ怪我をしたんだろう……?

と思考している間に

 

「動かないでくださいね」

 

と、包帯をゆっくり剥がされた。

微かに頭がジワリと痛む。

 

「その…傷はどんな具合なんだ?」

 

一応怪我の具合を聞いてみた。

 

「遠山様、安心してください。傷は殆ど治りかけですよ」

 

手慣れた様子でさくさくと丁寧に巻いてくれるので巻くときは殆ど痛みは無かった。

リサは包帯を巻き終わると手早く救急セットを直してベットの下に収めた。

 

「ではお食事を持ってきますね」

 

とドアから部屋を出ようとするので引き止めた。

 

「待ってくれ、ここは何処なんだ?」

 

一番の疑問をリサに問いかけた。

 

「ここはイ・ウー」

 

イ・ウー?

 

「原子力潜水艦、ボストーク号の中です」

 

「潜水艦……」

 

脳内にとある記憶がフラッシュバックした。

 

 

 

 

 

 

『金次君、寒くないかね?』

 

 

 

 

 

 

 

「あああああああああああああああああ!」

 

思い出した!

 

「ど、どうなさいましたか!?」

 

リサはいきなりベットから立ち上がって大声を開けた俺に驚いた。

だが今はそんな場合じゃない!俺はリサの肩を掴んで顔を近づけて聞いた。

 

「シャーロック・ホームズっていうのは何処にいる!?」

 

早く事情を聞かなくては

 

「えぇっ!?えーと……通路を出て左の突き当りを右に行った所ですっ」

 

リサは顔を赤くしながら答えてくれたのでお礼を言った。

 

「ありがとう!」

 

早く行かなくては……と靴を勢い良く履いて走った。

 

カーペットが敷かれた廊下は潜水艦の中とは思えない程にお洒落な廊下だが気にせずにリサが言った通りの方向に向かっていく。

そして突き当りの角を曲がろうとした時に靴紐を踏んでしまい、転けてしまう。

 

「ってえ……」

 

立ち上がろうと目を開けると

 

「ん……?なんでこんなに暗いんだ?」

 

いきなり目の前が真っ暗になった。

停電か?と立ち上がろうとして顔を上に上げた途端に

 

「う、うわぁああああああああああああ//」

 

女の子の大きな声が聞こえたと思えば小さな足に踏みつけられた。

顔を踏まれ俺も声を上げた。

 

「いたっ!」

 

あまりの痛さに鼻を抑える。

構造上、顔を踏まれると高確率で鼻にダイレクトに当たる上に急所の一つである為に過度なダメージが伝わるのだ。と現実逃避に冷静に事を考えてる場合ではない。

ここは恐らく、恐らくだが、

 

女子のスカートの中では無いのか?

 

薄っすらと見えるリボンが付いた白い何かはもしかして……

 

と、頭に血が上りそうになるが次の瞬間に踏みつけが包帯を巻いていた頭に衝突し、当たった部分から頭部全体に温かい液体が流れ始めた。

 

あ、俺死ぬわ。

 

そう思った時には既に意識はどこかへと旅立とうとしていた。

 

「と、遠山様っー!」

 

リサの悲鳴が頭のなかでこだまし、意識は遂に飛びだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ははは、金次君。やっぱり君は面白いね」

 

このムカつく笑い声、シャーロック・ホームズの机向かいに座っているのは

包帯が増え、しかめっ面の俺。

 

あの後、激痛で目が覚めてリサの謎のお薬で痛みが一瞬にして消えたおかげで今こんな顔できるがあの薬が無かったら今は泣き顔だろう。

薬は昔から効きにくい体質なので痛み止めとかは殆ど効かない筈なのだが一瞬で効いたので何の薬か聞いたのだがリサに意味ありげな表情で聞かない方がいいと言われてしまった。

 

何の薬だよ……隠されると逆に怖えよ。

 

「面白く無い」

 

ムスッと返事を返すと更に上機嫌になったシャーロック・ホームズ。

これ以上相手にしてると更に馬鹿にされてしまうので話題を変える。

 

「それでシャーロックさん……」

 

「教授でいいよ、皆そう呼んでる」

 

「それじゃあ、教授。聞きたいことがあるんだけど聞いていいですか?」

 

何だか違和感の残る敬語だが、早速本題に移る事にした。

 

「君の聞きたいことは分かる。どうして僕が君をここに呼んだのか、イ・ウーとは何か、が聞きたいんだろう?」

 

まだまだ聞きたいことはあるが大体そんな感じだ。

が何か認めるのは癪に障るので返事はせずに頷いて続きを促した。

 

「そうだね、まずは君をここに呼んだ理由から言おう」

 

あのシャーロック・ホームズが俺を謎の原子力潜水艦に呼んだ理由……

 

「面白そうだったからだよ」

 

 

 

「は?」

 

 

 

「さて、イ・ウーとは何かの質問についてだが」

 

話を進めようとするシャーロックに俺は思わず突っ込む。

 

「いや待て待て待て!」

 

シャーロックは待たないと言った感じに子供っぽい笑みを浮かべた。

 

「それ以外の理由は無いっ」

 

言い切っちゃったよ!

 

寛ぎの間とドアプレートに掛かれてある部屋で大きなツッコミが響いた。

歴史に残った人に誘拐されましたが意味は特に無い様です。

 

なんじゃそりゃ。

 

うちの爺ちゃんも大概、適当だがそんな理由で俺を呼び出したりはしたこと無い。

そう言えば兄貴も強引に海外に連れて行かれてたっけ……

強引な人の言いなりになるのは、遠山家の悲しい悲しい兄弟の共通点の一つなのかもしれない

 

「俺は家に帰れるんですか……?」

 

「うん、それ無理」

 

何が "うん" だこのやろう。

と殴りかかりそうになったがあのシャーロック・ホームズに殴りかかるのはちょっと無理がある。必死にこぶしを抑えた。

 

「安心してくれ、君の面倒は僕が見よう。ある程度 "鍛えたら" 家にも帰してあげよう」

 

ある程度ってどの程度なんですか……

安心できないにも程がある。

 

俺は思わず「はぁ……」と溜息をついた。

 

「逃げれそうには……無いですね。改めてこれからよろしくお願いします」

 

俺は自分から手を差し出した。

諦めよう、さらば兄貴、婆ちゃん、爺ちゃん。

きっといつか会えると信じるよ。

俺がどんなに強くても流石にあのシャーロック・ホームズからの逃走は無理です。

 

「そうだね、こちらこそよろしく。イ・ウーは君を歓迎するよ」

 

シャーロックはしっかりと俺の手を握った。

 

て言うかイ・ウーって何?

と疑問を残したまま俺の楽しい楽しい(笑)伊・Uライフの幕が上がりきったのである。

 

 

 

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