デート・ア・ライブ-IF Story-(仮)   作:十文字氷架

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ようやく2話完成です!おかしい、先週の日曜には投稿するはずだったのに…


Episode-Ⅱ 転校生との関係

 席替えや転校生のことで一波乱あった後の昼休み、士道は先生に呼び出されて職員室にいた。

「それでは、五河くん。園神さんの学校案内はお任せしますね?」

「え?」

「あんな綺麗な子と隣の席になったんだから、少しはペナルティがなきゃみんなも納得しないと思いますから」

 先生はうんうんと首を縦に振る。まあ普通は学校案内なんて面倒なものを率先してやる人は少ないだろう。ただし、それは案内する相手にもよるのだということを先生にはもう少し考慮して欲しかった。

「せ、先生、それはペナルティにならないんじゃないかと…」

「五河くん、ダメですよ。面倒くさいからって言い訳して逃げようとしては」

「いや、そんなつもりないですって!」

「とにかく、これは決定事項です。もう戻っていいですよ」

 先生は、もう話は終わりました、とでも言うように弁当を取り出す。どうやら抗議は認めてもらえないらしい。士道はがっくりと肩を落として職員室を後にした。

 

 

「で、園神さんを案内しなきゃならなくなったわけか」

「ああ…どうすればいいと思う?」

 職員室から戻った士道は、殿町に先生から言われたことを話した。

「隣の席になっただけでなく、案内までやるとなると…五河お前、夜道には気をつけろよ?」

「真面目にその可能性が出てきたから、こうして相談してるんだよ!」

「まあそうだよなあ…無邪気で無知な十香ちゃんや、対応の冷たい鳶一、百合百合してる上に別クラスの耶倶矢ちゃんに夕弦ちゃんと違って、園神さんはなんというか、こうとっつきやすい優しそうな子だもんな」

 士道の必死の主張に殿町もうなづくしかない。十香が転校してきたときや、折紙と仲が良さそうにしていることがバレた時、はたまた八舞姉妹が転校してきた時にも、士道は男子たちの嫉妬で大変胃を痛めたのだが、今回はその最たるものだった。ただ隣の席になった、それだけの話だというのに。その件の園神は今、クラスの女子や男子と昼食を取りながら、質問に応じている。…これだけでも驚く状況なのは理解できるだろうか。

「俺も社交性の高さには自信があるが、初めて会った奴らの輪の中にあんな自然には溶け込めないぞ。しかも普通は別々に食事を取る男子と女子が、一緒になって園神さんの周りに集まってる」

 そう言う殿町の目線の先には、グループを作らず、男女が混じって談笑に興じていた。その光景からわかるとは思うが、転校初日から彼女は男女問わず人気なのだ。更になんと男女を繋ぐ潤滑油(恋愛的な意味ではない)のような役割まで担っている。そんな彼女と二人で学校案内をするなどという事になったら…今の士道は4月のあまり目立たなかった頃と違い、男女どちらにも敵視されている立場なのだ。その上、士道には友人が少ない。よって複数人で案内するという方法も取れないのだ。士道は自分の身を案じずにはいられなかった。

「ま、腹括れ五河。いつも通り、男子の方は俺が何とかする。幸い今回はアテもあることだしな」

「恩に着るよ殿町…。お前がいなかったらと思うと胃が痛くてしょうがない」

 実際のところ胃が痛くなるどころか、物理的な実害が出そうになる寸前までいったことのある士道である。今とりあえずなんの問題もなく士道が学校生活を送れているのは、殿町のおかげといっても過言ではないだろう。本当に殿町さまさまである。

「おう、もっと感謝しろ。具体的には明日の昼飯あたりで」

「…あんまり高いのは無理だぞ」

 だが感謝しているからといって、士道の懐が豊かなわけではないので多少渋ってしまうのは当然である。

「わかってるって。しっかしお前の状況を聞けば聞くほど、妬む気持ちなんて湧いてこなくなるってもんだ。十香ちゃんや鳶一のときまでは、俺も幾分かあの野郎どもの側だったけどよ。もう耶倶矢ちゃんたちが来たあたりから、同情の方に変わったしな」

「分かってくれるか殿町ぃ……」

「うわ、泣くなよ五河!…野郎どもは、ハーレムは男の夢だなんて思ってるんだろうけど、いざその張本人から話し聞いてみると胃が痛くなりそうだ。ま、その分いい思いはしてるんだろうけどな。どんな経緯で知り合ったかは全く聞かされてないが、男なら甲斐性見せろよ、五河!」

 うなだれる士道の肩をバシバシと叩きながら笑う殿町。その後、後は任せとけ!とでも言うように殿町は士道にサムズアップしてみせた。とりあえずは今回も後ろから刺される危険は無くなりそうだと安堵した士道だった。

 

 

 放課後になって、昼休みの時のように士道は、今度は園神と共に職員室に呼び出された。どうやら先生による士道が逃げないようにするための措置、らしい。その理由を聞いたとき士道がそっと胸を撫で下ろしたのは秘密である。なぜなら教室では人の波で園神に話しかけるのさえも一苦労だったからだ。

「それじゃ、五河くん。園神さんをお願いします」

「は、はい。分かりました」

「園神さんも、分からないことがあったら五河くんに聞いてね?」

「わかりました、岡峰先生。それじゃあお願いね、五河くん(・・・・)?」

「わかったよ園神(・・)。任せてくれ」

 未だに少しトゲのある呼び方で読んでしまう。士道と園神、両人の顔が心無しか引きつって見えるのは気のせいではないだろう。そんな二人を見ながら先生はというと…

「(うーん、先生の見立てだとここに来る前から知り合いっぽいんだけどなー。はっ!まさか昔生き別れた人と会うためにわざわざ海外から、なんてそんなドラマみたいなことが――)」

 思案顔からはっ!とした表情で固まり、そこからさらにほわほわとした表情に―そしてそのままブツブツと何かを呟きながら、先生は動かなくなってしまった。そのことに気づいた士道や園神は声を掛けるが、案の定先生はこちらには戻ってこなかった。こうなったら放っておくしかない、と殿町に聞いていたことをふと思い出した士道は、わたわたと心配する園神にそのことを伝える。納得した園神を連れ、士道は先生をそのままに、職員室を出て行った。そして職員室から最初に士道が向かった場所は――屋上、だった。

 

 

 屋上へ続く扉を開けると、ビュウという音がして風が吹く。昼休みはそこそこ賑わっている屋上に、人影はない。さすがにこの寒くなってきた時期の放課後に、ここに来ることを選んだもの好きは士道以外はいないようだった。

「転校生に最初に案内するのが屋上なんて、五河くんは変わってるね」

「そうか?いいところだと思うけどな。特に一人になりたい時や、誰かと二人で話しをするときなんかは」

 士道が校内を案内するに当たって、最初にここを選んだのには理由があった。朝から感じていたモヤモヤを晴らすために―お互いの呼び方のことも含めて、士道は園神に胸の内を打ち明けるつもりでいたのだ。どうしてか士道は、彼女とはこのまま気まずいままでは居たくなかった。

「…そういう事を言うってことは、何か私に話があるのかな?五河くん」

「察しがよくて助かる。今から俺がする話に思い当たることが無かったら、戯言だと思って聞き流してくれていい。…聞いてくれるか?」

 士道がそう言うと、園神は逡巡する様子を見せ、その後ゆっくりとうなづいた。

「…わかった。聞かせてもらうね」

 その返事を聞いて士道は、話し始めた。彼女に関するであろう夢を初めて見た日のこと、そこでは士道に真那、園神が名前で呼び合って楽しく公園で遊んでいたこと。ここ数日似たような夢が続いていること等、園神に関係していそうなことを今までの夢の記憶から引きずり出して、話していった。

 

 

 話し始めて十分ほど経っただろうか。途中しどろもどろになりながらも、士道はなんとか話を終えた。

「それで、園神。何か心当たりは――」

 話すことに夢中になりすぎていた士道が園神の方を向いた瞬間、士道は柔らかい感触に包まれた。何事かと思った士道が視線を下げると、そこには嗚咽を漏らしながら抱きつく園神の姿があった。

「え、ちょ、園神!?」

 突然の行動に焦る士道だったが、園神が呟いた言葉を聞いて、自分の言ったことは的外れなんかではなかったのだと、実感した。

「ほんとに、覚えて―思い出してくれたんだね」

 感極まったように抱きつく力を強める園神に対して、取り敢えず離れるように言い、士道は焦りを収めた。4月の頃の士道ならば、落ち着くこともままならなかったであろうが、精霊達の攻略はこう言った状況への咄嗟の対応のいい訓練になっていたらしい。少しして落ち着いたのか、園神が士道から離れる。

「それじゃ、園神は」

 その彼女に対して、もう一度確認を取ろうとした士道の言葉にかぶせるように、

「凜祢」

 と、園神は言った。そして今度は間を空けずに

「昔みたいに、呼んでほしい」

 とびきりの甘い声でそう言った。

「え、あ、そそ、そうだな!気づかなくてごめん!」

 動揺しながらも発した声が震える。言わずもがな士道は夢での小さい頃の彼女しか知らない。その彼女が自分と同い年に―とても女性らしく成長して現れたことになるのである。例え精霊達や折紙などの美少女と接する機会が増えている士道にとっても、そのギャップには動揺せざるを得なかった。

「(お、落ち着け俺!もう何度もこんなシチュエーションは経験してきただろ!)」

 根本的にはヘタレのままの士道である。なんとか気持ちを落ち着かせるように必死になっていると、園神―いや、凜祢の方からクスクスと笑い声が聞こえてきた。

「ふふ、動揺しすぎだよ、士道(・・)。私、そんなに昔と違った?」

「そ、そりゃ、まあ…だいぶ大人っぽくなったっていうかなんと言いますか…」

「そっか。最後に会ったのは多分、十年くらい前だし…そう思っても仕方ないかもね」

 少し寂しそうな顔をする凜祢。が、すぐに笑顔を見せると士道に向けてこう言った。

「取り敢えず、士道。これから色々と(・・・)、よろしくね」

「…そうだな。これからよろしく、凜祢」

 何はともあれ、彼女のとのわだかまりは解けたのだ。様々な疑問を頭の隅に追いやって、今はそれで良しとする士道だった。

 

 

 屋上を後にして、体育館、各種特別教室、購買等、普段使うであろう場所を二人でまわる。幸い今日は部活なども無く、クラスメイトの面々に出くわすことは無かった。一通り回り終えたところで、凜祢が“今日はこれから用事があるから”と言って、意味ありげな目線を向けてから先に帰っていった。昇降口で凜祢を見送り、士道は職員室に向かう。あの状態のままだったらどうするか、という心配は杞憂だったようで、先生は普通に仕事をしていた。先生に校舎案内の件を報告し、職員室を出る。話している最中、士道の凜祢に対する呼び方に気づいたのか、先生はニコニコとこちらを見ていた。先生の胸中を知らなかった士道にとっては、なぜニコニコしているのか分からず、首をかしげるだけであったが。

 

 

 誰もいない教室に戻り、荷物を持って昇降口へと向かう。そういえば、携帯の電源を切ったままだったと気づいた士道が電源を入れると…

「ちゃ、着信15件にメール17件!?全部琴里からか…」

 慌てて内容をチェックすると、さっさとフラクシナスに来いとのこと。取り敢えず連絡を取ろうとしたその時、着信を知らせる音と共に士道の携帯が震えた。

「もしもし、琴里?」

「そうよ。ところで士道。あなたどこほっつき歩いてるわけ?」

「え、いやまだ学校にいるけど。何かあったのか?」

 短い時間の間にあれだけ着信が来ていたのだ。なんらかの緊急事態であろうことは、士道にも容易に想像できた。

「問題が起こったわけじゃないわ。ただ、本部から人が送られてくるらしくて、その出迎えよ。ラタトスクの主要関係者は全員集まるようにとの指定があったから、士道がいないというわけにはいかないでしょう?」

「全員って、もしかして十香たちもか?」

 そうだとしたら、とんでもなく異例の事態である。そもそもこうして集められる事の方が稀、ということでもあるのだが。士道が呈した疑問に対して、琴里は肯定の返事をすると、言葉を続けた。

「ええ、士道が封印した子達は全員、もう集まってもらってるわ。…正直、美九についてはどうなるかわからなかったけど、偶々休日だったらしくてね。だから、狂三を除けば欠員なしよ」

「というか、真那でさえいるのに士道がいないってどういうことかしら?」

「ちょっと先生に頼まれた用事を済ませてたところだったんだよ。今学校出たとこだから、15分もすれば家につくと思う」

「そ、ならいいわ。ちなみに今日来る人、私の上官にあたる人らしいから、くれぐれも失礼の無いようにしなさい」

 その言葉を最後に、電話が切れる。…琴里の、つまり司令官の上官ということはとんでもなく偉い人が来るのではないだろうか。

「…琴里は特例で司令官になったらしいし、普通に考えて、やっぱ大柄で強面の男の人とかが来るんじゃないか…?」

 少し想像して、思わず冷や汗をかく。…なるべく早くついて、礼儀作法でも確認し直したほうがいいのかもしれない。そう考えた士道は足早に、家への道を急いだ。

 

 

 

 フラクシナスのメインルームの隅で、上官到着の5分前、士道は琴里に礼儀作法の指導をしてもらっていた。自身で確認することに不安を覚えた士道は、琴里に指導をお願いしたのだ。

「…まあ及第点ってとこね。これなら相手が気を悪くすることもないと思うわ」

「そ、それは何よりだ…」

「それにしても直前で指導を頼んでくるなんて、随分殊勝な心がけじゃない。何、もしかして士道ビビってるの?」

「…そ、そそそんなことないぞ。ただ、失礼があったらいけないと思ってだな…」

 琴里に言われ、詰まり気味に言葉を発してしまう。士道の兄としての威厳にかけて、まさか想像しただけでビビっていたなどと言えるわけがない。

「ふーん…ま、いいわ。さっさと列に並びなさい。そろそろお見えになるわよ」

 琴里に言われ、令音たちクルーの方の列に並ぶ。隣には十香たち精霊組が並んでいた。琴里がクルーたちの列の先頭に並んだところで、奥の扉が開き、神無月が現れた。

「司令!特別顧問殿がお見えになられました!」

「こっちは準備出来てるわ。入ってもらって頂戴」

「はっ!了解いたしました」

 神無月が扉の外に消え、再び姿を現したとき彼は、一人の軍服姿をした人物を連れていた。背丈は神無月よりもだいぶ低い。軍帽を目深くかぶっているため顔は見えないが、少なくとも士道の想像したような大柄な強面の男ではないようだった。神無月がこちらの列に加わると、琴里を筆頭にクルーたち(精霊以外、士道や真那も含めて)がその人物に敬礼を向けた。

「御足労頂きありがとうございます、特別顧問殿」

「出迎えありがとうございます、五河司令」

 その人物から発せられた声になんとなく聞き覚えがあるような気がして、なぜか士道は無意識に敬礼を解いてしまった。そのことを琴里が注意する前に、目の前の人物が敬礼を解くうまを琴里に伝えた。

「琴里司令。敬礼、敬語は必要ありません。堅苦しいのはあまり好きではないので。いつも通り(・・・・・)でお願いします」

「…了解したわ。それで、あなたのことはなんて呼べばいいのかしら?」

 目の前の人物にそう言われ、琴里は肩の力を抜く。そのままいつもの司令官としての話し方に戻し、目の前の相手に向かって、問いかけた。

「最もな質問です。…それでは自己紹介をさせて頂きますね」

 特別顧問として来たであろう人物は、目深にかぶっていた軍帽を外した。

「円卓会議議長・エリオット・ウッドマンの命により、本日からラタトスク機関に配属となりました。特別顧問の園神凜祢です。気軽に苗字か名前でお呼び下さい。クルーや精霊の皆さん、これからよろしくお願いします」

 そう言って、軍帽を外した彼女は、ちょうど今朝士道のクラスに転校してきた時と同じように、ニコリと笑みを浮かべていた。

 




前回より描写を増やして見たのですが、いかがだったでしょうか?と言ってもまだ違和感が残る部分が無いわけではないので、少し加筆修正するかもしれません…

先月は12巻の五河ディザスターの発売がありましたね。士道の見開き必殺技と、ページ開いて一ページ目の士織ちゃんが一番印象に残りました。…士織ちゃんメインキャラになったりしませんかね。
一ページ目の絵が加速度的にエロさを増しているような気がします。
士道の過去についても少しだけ情報が明かされましたが、それは気にせず自分のプロットでこれからもゆっくりとこの小説を進めていけたらなと思います。

前回の話についてアドバイスをしてくれた方、ありがとうございました!
次の話も早く書き終えられるといいなあ……

感想・評価・お気に入り・アドバイス等していただけると幸いです。よろしくお願いします!
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