Talesof・Lyrical spin-off〜救世主の軌跡〜 作:かもめカメ
ーーーーーNO SIDE
ディセは目の前にいる人物が何者なのか、実のところ、ついさっき知ったばかりだった。
ヒースクリフ、又の名を…茅場晶彦。
かつて、キリト達がプレイしていたゲーム「
そして、ディセはその男の声に懐かしみを感じていた。
「…(あいつは、元気にしてるかな…
…レディアント…)」
ディセはこの世界で出会った仲間と、自分が生活していた世界を思い返していた。
アスナは未来からやって来たと言う1人の女の子と。
シノンは精霊の主だった存在であり、自分達と同じ苗字を持つようになった分史ミラとよく似ていて、
クラインはリカルドを少しお気楽にしたような声質をしていた。
そしてこの男、茅場晶彦の場合は…
かつて、自分と共に苦難を乗り越えて来た相棒であり、かけがえの無い俺の…ディセンダーとしての力を十二分に発揮出来るとも呼べるデバイス…
レディアントと
同じ声をしていたのだ。
「ん?…私の顔に何かついているかね?」
「いや…ただ思い出していただけさ。
あんたと同じ声をした奴に…な」
茅場はそれを聞いたのか、そのまま話を続けた。
「私は昔までは人であった。
しかし今となっては、ただの霊体に過ぎない。
だが、君の場合…
生身でありながら、仮想世界へと足を踏み入れ込んだ。
違うかね?」
茅場の予想に終始驚くディセ。
しかし、冷静になって対応した。
「いや…あんたの言う通りだよ。
茅場晶彦。
俺は生身だ。そして、俺は人の姿をした化け物だ」
ディセの真実で少し目を見開く茅場=ヒースクリフ。
しかし、それでもすぐに元の顔へと戻し、話を進めた。
「そうか…
私は霊体だ。だが、この仮想世界の中で生きている。
それは変わりは無い。
さて、本題へと入るとしよう。
此処は75層のボスの間だ。
本来なら此処から更に上へと行くのだが、
此処で私の正体を看破し、そして見事私を倒した2人の剣士が使用した愛剣が刺さっている。
この剣の持ち主が誰か、分かるかい?」
茅場はそう言って来た。
そんな物を聞いて普通はいまいち気付かないのが当たり前なのだが、
ディセは
「…キリトさんと、アスナさんの…ですね…」
「…うむ。その通りだ…」
ディセがその持ち主の名を当て、茅場は驚いていた。
ディセはSAOで最前線にて戦う攻略組に入っていなかったのは当たり前で、更に言うなら、SAOをプレイしていた形跡すらない。
そんな人物がその剣の持ち主を言い当てた事に少し好奇心を持った茅場。
「君が何故、その剣の持ち主の正体を見破ったのかは、気にはしない。
私はこの剣で私の人生は終え、この仮想世界を彷徨う亡霊のような存在になった。
私としては、今の自分を受け入れている。
私が示した道標が、次なる世代にて新たな道標を作ると言う事に…
その2人に今のこの仮想世界の未来を託したがね…」
「…」
茅場の話をマジマジと聞いていたディセ。
「…さて、話が逸れたようだ。
私はこの剣にはまだ可能性が示されている。
だが、その為には、かつての主の元から離れ、そして新たな主を得る事で、この二つの剣は更なる進化を遂げるだろう。
さて、私が言いたい事が分かるかい?」
漸く本題と入った茅場。
しかし、今度は質問を受けるハメになってしまったが、ディセはすぐにその答えが読めた。
「単刀直入に言うなら…
"この剣達の主になれ"と言う事で、
構わないですか?」
「…ふっ…話が早くて助かるよ」
それは地面に突き刺さっている二つの剣の持ち主になる事だった。
だが、ディセの顔は躊躇いが生じていた。
彼は人の物を極力使わない主義の持ち主。
止むを得ずの時は使用するが、その際はいつも、
「ごめん、借りてくよ!」
と、いつも断りをいれて使用する…
だが、今回はそのケースに当てはまらない。
その人の持ち主であるのだが、当人達はもう使用する事はない…
それでも、剣にはその人の"魂"が宿っている。
その人の"魂"はその人自身にしか扱えない…
だから、躊躇いをしているのだ…
「…やはり躊躇してしまうか…」
その様子を見て、茅場は予想通りと思っていたようだ。
「俺には…この剣は扱えない。
その人の魂が入っている限り、それはその人の魂でこそ、真価を発揮する。
だから俺は…この剣を…握れない。振り回せない…」
そう言うディセを見て、茅場は少し落ち込んでいた。
「そうか…だが、君はいつか必ずこの剣を使う時が来る…
その時まではしばしさらばだ…」
そう言うと茅場は電波の身体へと化し、この場所から姿を消した…
ディセもそのまま帰路についた。
だが、ディセはまたこの場所に来る…
自身の妹…ラザリスを…
救う為に。
次回
スカル・リーパー