Talesof・Lyrical spin-off〜救世主の軌跡〜 作:かもめカメ
今回は原作キャラの1人にしてキリトの友人が登場します!
そしてラストで、敵登場!
どうぞ!
ーーーーーNO SIDE
ディセが辿り着いた場所、
そこには本来なら存在しない筈の青年が佇んでいた。
青年の容姿は、
金色の髪、ラピスラズリのような美しい瞳、
世には珍しい青白い鎧を身に纏っていた。
だが、此処で違和感を感じたディセ。
「(此奴は…人間なのか?)」
そう、人間なのか?と言う疑問だった。
この世界では、背中に薄い羽を生やした妖精達が生息していた。
まあ、例外として茅場もといヒースクリフがいたが…彼は元から魔王として浮遊城の主を務めている。そのため、度外視していた。
けれど目の前に居る青年ーー名をユージオと言っていたーーは間違い無く人間と同じ身体構造を模していた。
しかし、ディセは何者なのかと疑うばかりなのだ。
それもその筈、彼は人で有って、人に非ず。
彼は人間と同じ構造を模して作った一種のAI…NPCなのである。
しかし、ディセはその事を知らない。
何故なら…その記憶が無いに等しかったからだ。
正確にはキリトの記憶から得た情報を基に行動しているのだ。
しかし、キリトの記憶にはユージオと関わった形跡があるものの、そのきっかけらしいエピソードがほんの少ししか無かった。
故に彼は疑問に感じた。
彼は本当に人間なのか?と。
ディセが思考錯誤をしているとユージオが話し始めた。
「此処に来たのは、俺に関する事か?」
「…おそらく」
そう言うとユージオは近くに刺されていた青薔薇の剣を引き抜いた。
「!」
その時、ディセは驚いた。
先程まで、刀身の一部が折れていた青薔薇の剣がそこにあった筈だったのだが、
そこにはこれが本来の姿だと言わんばかりにくっきりと剣としての機能を取り戻した一本の剣がそこにあった。
「…それ有りかよ…」
そう口に漏らすディセ。
そして本来の姿に戻った青薔薇の剣からまるでこの世の全てを凍てつかせる程の強大な冷気を感じさせた。
「さぁ、始めようか?」
ユージオはそう言った。
他にする事は唯あるとすれば一つ。
それは…
相手が何を使って来るのか分からない以上、無闇に動くのは得策では無い。
けれど、そう言っている時間も今は欲しいぐらいに猶予が残されていない状況。
自分のいる世界に危機が刻々と迫っている中での行動なので、そう言う暇すら無いに等しかった。
ディセは溜め息を零し、そして右肩と右腰に携えた一対の剣、
《魔剣・エリシュデータ》と《聖剣・ランベントライト》を手に持った。
「行くよ」
「お好きにどうぞ」
ユージオの気合を入れた言葉に対して、ディセは皮肉めいた発言を繰り出す。
それを合図に、戦闘が…
ガキィィン‼︎
開始された。
「はぁぁぁぁぁ!」
ユージオは片手剣を両手で持つ戦闘スタイル。
「うぉぉぉぉ!」
一方のディセは言うまでもなく二刀流スタイル。
まるで巌流島の武蔵と小次郎である。
しかし、互いの剣術はそれぞれ異なる。
ユージオの剣術はキリトから教わった剣術【アインクラッド流剣術】。
これは元々キリトがSAOの中で使用していたソードスキルそのものである。
それに対してディセが扱う二刀流剣術は殆どが我流である。
…訂正しよう。我流で有って、
時折、ロイドと同じ【アーヴィング流】を使ったり、ジユーダスやリオンが扱う【マグナス流剣術】を使ったり、スパーダのような刺突攻撃が得意な【ベルフォルマ流剣術】を用いた事もあった。
最近ではユリウスや高町恭也から教わった【クルスニク流剣術】や【小太刀二刀御神流】の剣術を取り入れているのもまた事実だった。
…そう。要は
「くっ!(まるで攻撃パターンが幾つも有るかのようだ!)」
「ちっ!(やべぇな。まるでキリトさんの弟子と戦っているような感覚に陥ってやがる!)」
片やキリトから教わった元整合騎士。
片や
どちらが先に動いても可笑しくは無かった。
そしてついにこの均衡を先に破ったのは、
「はぁぁぁぁぁ!」
ユージオだった。
彼は水平斬り《スラント》を放った。
それを見たディセは、瞬時に身体を仰け反った。まるでマ○リッ○スのワンシーンのように。
そしてそこから蹴りを放った。
だが、それをユージオはすぐに剣で防ぐ。
そこから空中で回転、着地するや剣先を地面に擦るや、
「魔神剣!」
代表技《魔神剣》をぶっ放した!
それを見たユージオは驚きながらもその攻撃を剣で受け流した!
地を這いながらやってくる衝撃波に驚いていたユージオ。
しかし、そんな彼でも、初見で受け流しをするという事はとてもじゃないが人間離れしていると思っても過言では無い。
「まだまだ!」
そう言うとディセは瞬時に駆け抜ける!
まるでSAO時代【黒の剣士】と呼ばれていた頃のキリトのように。
しかしそれでもユージオは剣戟を
ガキィィン!
防ぐ、
ガキィィン!
防ぐ、
ガキィィン!
また防ぐ。
「っく!(埒があかねえ!やってやる!)散沙雨!」
「くっ!」
そう言うとディセは瞬時に刺突連撃技《散沙雨》を繰り出した。
これには流石のユージオも驚かされた。
だが、それでもディセは攻撃を繰り出す。
「秋沙雨!驟雨双破斬!」
更に連撃を繰り返すディセ。
「霧沙雨!」
尚も続く刺突攻撃。
ユージオはそれでも剣で防いでいく。
一見、ディセの方が優勢に見えているがそうではない。
ディセが最後に放った技は他人の技を会得した《直伝技》。
そしてこの場を設けてもう一度《直伝技》を含めた連撃構成の説明を加えておこう。
ディセが放った直伝技は、威力が他の技よりも強い。
だが、同時に次の技へと派生…即ち技をキャンセルする事が非常に難しい技なのである。
先ず先に放った技『魔神剣』と『散沙雨』
この二つの技はその先に上級版、改良版がある為、それに移行する事が出来る《特技》と言う技の分類に当てはまる。
次にディセが放った『秋沙雨』
こちらは散沙雨の上級版である。
そしてこの技も次に移行する事が可能である。
こういう技達の事を《秘技》と言う。
《秘技》は《特技》の技の次に繋げる事が可能であるが、逆に《特技》から《特技》へは移行出来ない。
そしてディセがその《特技》から放った技『驟雨双破斬』
これは《奥義》と言う分類に入る技である。
奥義のほとんどは《特技》同士を組み合わせたものや、《特技》若しくは《秘技》の上級版が多く、技の種類ではとても多いのが特徴である。
しかし、同時にその他の技へと移行する事が難しい。
故に殆どの攻撃ではこの奥義を放った後は回避行動に移さなければならないのである。
さて、今の今まで話した結果、纏めるならこうなる。
通常攻撃→《特技》→《秘技》→《奥義》へと派生しやすい。
しかし、逆は不可能。と言う事になる。
さて、これを踏まえた上で話を戻すとしよう。
ディセが最後に放った技『霧沙雨』
あれは元々は《奥義》に分類される技だ。
では何故出せるのか?
それは、その技は
他人から教われば簡単になるのか?いや違う。
先の技『霧沙雨』は、ディセの仲間でただ一人のみ使用していなかった技である。
そう、言いかえるのなら…《専用技》とでも言っておこう。
その《専用技》をその人から教わって初めて会得したもの。
それが《直伝技》なのである。
故に《奥義》よりも強いのだが、同時に他の技へと移行するのが難しいのである。
さて、雑談混じりな講義はこのくらいにして、2人の戦いをまた覗いてみようでは無いか。
「はぁぁぁぁぁ!」
「ぐっ!」
先程の攻撃を防ぎ切られ、そしてユージオは反撃へと転じた。
それによって、ディセも止むを得ず防御態勢へと転じる。
しかし、
ガキィィン!‼︎
「ぐっ⁉︎」
先程の剣戟よりも更に鈍い音が響いた。
仕掛けたのはユージオだった。
柄の部分に青薔薇をあしらったエンブレムこそはあるものの、それでもごく普通の青く美しいだけの片手剣の筈なのに、
ディセからはまるで両手剣を片手で、しかも二本も持ってそれを同時に振り下ろされたような感覚に陥らせる程の痛さを両手で感じていた。
「はぁ…はぁ…」
激しい息切れを起こすディセ。其れだけ相手の斬撃が重かった事を告げるには充分なリアクションである。
「こんな程度かい?」
「…んな訳無いだろ?」
軽い挑発をしてくるユージオ。其れに対してディセは口元をニヤリとしていた。
「だと思ったよ」
「んじゃあやる事はただ一つだけ…だろ?」
そう言うと2人は共に剣先を相手の方に向ける。
「まだまだ始まったばかり…だから!」
「其れでも立ち向かってやるだけだ‼︎」
2人は目と目を合わせる。
とある世界ではこんな言葉が存在する…
"目と目が合えば、それはバトルの合図"と。
そして2人は一気に近づいた!
「はぁぁぁぁぁ!」
「うおぉぉぉぉ!」
両者、互いに剣戟を繰り返す。
とてもじゃないが、尋常じゃない威力である。
周りに衝撃波が襲いかかった。
その影響で、壁の一部は斬られたかのような跡が残っていたり、
蝋燭の火が突然に消えたりもした。
それが何回、何十回、何百回と続いていた。
ディセもそしてユージオもまだ剣を振る力をまだあり余しているかのように。
それから幾つの刻が流れたのだろうか?
おそらく何分単位の物の筈なのに、周りの風景を見たら、それがまるで何時間いや何十時間…いやいや何日と言うような単位のような長い長い時間を過ごしてきたかのようだった。
「はぁ…はぁ…はぁ…」
「はぁ…はぁ…はぁ…」
流石に何回も剣戟し続けてきたのか、2人もかなりの疲労が襲いかかっていた。
「はぁ…はぁ…最後に…はぁ…なり…そうだね」
「はぁ…はぁ…そう…はぁ…みたい…はぁ…だな」
そう言うと2人は最早剣を握る為に必要な握力がもう残ってい無いにも関わらず、だがそれでも剣を握る両者。
お互い息切れによって荒れていたが深呼吸をして、落ち着かせた。
そして互いに剣を構えた!
「これが!」
「最後だ!」
そう言うと2人は一気に間合いを取った!
そして一気に攻撃をした!
「キリト直伝!」
そう言うとユージオが携えていた青薔薇の剣から青白い光が漏れ出した。
対してディセは前に出してあった右足でなんとブレーキを掛けた!
そしてそのまま剣を納刀するやすかさず台詞を言った!
「スレイ直伝秘奥義!」
そうして2人は一気に攻撃を仕掛けた!
「《ファントム・レイプ》ーー‼︎」
「《雷迅双豹牙》ーー‼︎」
互いに連撃技を放った!
最後の一撃で、
ユージオは上空から、ディセは地上からの斬撃をそれぞれにお見舞いさせた!
そして、
ドガァァァァァ!
本来ならありえ無い程の衝突によって起きた爆発が発生した。
それにより、砂煙が舞う。
そして砂煙が晴れ、そこに居たのは、
「「はぁ…はぁ…はぁ…」」
激しく息切れを起こした2人の姿がいた。
だが、
「はぁ…はぁ…あぐぅ…」
ガサッ!
先にディセが膝を地に付かしてしまった。
「はぁ…はぁ…やるね…はぁ…はぁ…君は…」
ガシャッ!
すると今度はユージオが地に伏した。
…地面に背中を託すかのように。
この瞬間、勝敗が決定した。
この決闘は…ディセの勝利だった。
「はぁ…はぁ…やってやったぜ…」
勝利に余韻を浸りたいが、そうも言ってられなくなる程まで、身体を酷使し続けたディセ。
それにより、少しばかり身を休めることにした…
そして数時間後。
ユージオとディセはその戦いによって、新たな絆を得たかのように、2人は握手で交わしていた。
「ここまで強いとは思えなかったよ」
「それはこちらの台詞さ。お前みたいな重たい一撃を受けたのは今まで見たことがなかったからな」
そう言い合いながら、2人は友好的になっていた。
そしてディセは「あっ、そうだ」と、何かを思い出したようなリアクションを取った。
それを見たユージオは、「?」と首を傾げていた。
そしてディセはユージオにこう告げた。
「なあ!俺と一緒に色んな世界を回らないか!」
「え?」
ーーーーーSIDEtoユージオ
「なあ!俺と一緒に色んな世界を回らないか!」
「え?」
それはどう言う事なのか?
その時の俺は全く分からなかった。
しかし、戦った相手、ディセは話を続けた。
「俺はこの世界の者じゃない。だけど、この世界を始めとした様々な世界を渡り歩いて、大切な人達を救いたいと思っているんだ」
まるで何処かに存在する正義の味方みたいな台詞を言うディセ。
しかし、僕は何故か心にグッと来ていた。
僕はキリトと違って、人間じゃない。一種のデータ・プログラムの一つに過ぎない。
それなのに、この人の言葉はまるで何かを惹きつける何かを持っているような感じになっていた。
そんな風に思っていながらも彼は話を続ける。
「でも、俺は1人でやり遂げると言うような考えは持ってはいない。
だから、お前みたいな"大切な存在を護れる奴"が俺は欲しいんだ」
…はぁ、参ったね。
流石の僕もこれには参ったよ。
「こんな俺だけど…いいのか?」
そう言うと僕は彼に右手を差し出した。
「⁉︎…ああ!」
そして彼、ディセもまた右手を差し出し、握手した。
「これからよろしくな!ユージオ!」
「こちらこそ頼むよ…ディセ!」
そうして僕らは固い絆を結んだ。
キリトと同等と言っても過言では無い絆を。
「友情ごっこはお済みかしら?」
「「⁈」」
いきなりの声に僕もディセもそちらを振り向いた。
そこに居たのは、綺麗な水色のストレートヘアで、かなりの薄地のドレスを着て、その上に青のローブを羽織った女性がそこに居た。
しかし、僕は警戒心を剥き出しにしていた。
勿論、ディセも同じだ。
「初めまして?坊やいや…ディセンダー?」
?ディセンダー?
ディセの名前と何か似てるような気がした。
すると、その名を聞いたディセは拳を作っていた。
「てめぇ…何者だ!」
その怒気を孕んだ叫びが部屋中に響き渡る。
そうすると、女はそれを嘲笑い、そして自己紹介をし始めた。
「はははっ!…名乗ってもいなかったわね?良いわ、教えてあ・げ・る♡
私は水をこよなく愛する麗しき女神!
ハイドロ・オーシャンよ!」
「ハイドロ…オーシャン…」
「そう…そして、ディム・センダースいやディセンダー!貴方が追っている組織、【
「‼︎」
その一言でディセの様子が変わった。
まるで、怨念の魂が発生しているかのように。
「てめぇ!」
ディセはすぐに拳を作って、そのまま突進しようとしたが、
「やめた方が良いわよ?」
と、オーシャン自ら声をかけた。
それによってディセは瞬時に動こうとしなかった。
まだ怒りに身を任せてはいない状態の証拠だった。
そう言うとオーシャンは再び話をした。
「私がいるのはね?貴方のこの世界のお仲間が大変な事になっても知らないわよ〜?っていう事を伝えに来ただけよ〜?」
「⁉︎」
その一言でディセさんは更に怒りが発生していた。
僕も何気に怒りに満ちているけどね。
「行かなくて良いのかしら?」
「…ちっ!」そう言うとディセは俺の方を見ると「また後で必ず来るからな」と言って、階段を登って行った。
そして俺はこの場に残った。そしてそれは相手も同じだった。
「…狙いは俺、っていう事ですか…」
「んーまぁ、貴方の人財は誠に欲しいのだけど、私たちのボスはそこまで欲が無くてね?だから、貴方には関わらないわ。
だけど、楯突いたら如何なるのか。それだけは分かっておきなさい…それじゃ、ご機嫌よう?青き騎士さん?」
そう言うとその女・オーシャンは自分の羽織ったローブを巻き上げると、そこにはもう人影すら無くなっていた。
俺はそのままここに居座る事にした。
けど、流石に限界だったようだ。
俺は今は一時的に現界した幽霊に過ぎない。
だから、俺にとってはあまり長い時間、此方にはおられないのだ。
「後はこの剣さえ抜けば…俺はお前のところに行ける…
キリト…ありがとな…」
そう言うと俺は現界の時間外になり、その場から姿を消した。
そしてその場に残っていたのは俺が使っていた剣、
《青薔薇の剣》
それが深々と刺さったままだった。
次回
秘密