徒然なる中・短編集(元おまけ集)   作:VISP

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副題「ぼくのかんがえたさいきょうのしんじゅう」


FGO短編 フンババが逝く

 私と言う意識が生まれてから、一体どれ程の年月が過ぎただろうか?

 

 大地が蠢き、海が凍り、嵐が吼え、雷が降り注ぎ、火山が吼え、津波が迫る原初の地獄たる地球において、私は生まれた。

 地球そのものであるガイア、そこから派生した神霊を除けば、恐らく私は最も古い生命体だった。

 まぁ特に仲間とかもいなかったので、基本的にボッチで住処も転々としていたのだけど。

 唯一の癒しは何故か燦々と程好く日光を向けてくれる太陽位のものだった。

 なんでそんな存在がこうして複雑な思考や知識があるのかって?

 それはあれだ、私が所謂転生者とか言う存在だからだ。

 とは言え、特に特典とかがあるわけじゃない。

 原初の生命と言っても、出来る事は極端に少ない。

 精々が地獄の様な環境に適応する様に生き続ける位しかね。

 

 その内に地球上に多くの原始的生命体が誕生し、その後は爆発的な進化を遂げて、竜の楽園とも言うべき状態になった。

 ここまで来ると自分に匹敵とは言わないまでも同サイズの生命が多く存在し、彼らの姿を見続ける事で、随分と退屈を紛らわす事が出来た。

 しかし、ガイア及び神々による知的生命体の創造と共に、竜達の中でも特に古い個体(自分から見れば若輩だが)の多くは世界の裏側へと去って行き、残った個体はどれもそれ程強くはない者達だった。

 だが、未だ人間の文明も碌に発達していない現在(四大文明成立以前)、そんな彼らでも十二分に強者であり、国や民族と言う程ではないが、それに成り得る群集団を絶滅させる事位は簡単。

 そして、それでは知的生命体の創造が出来ないとして、神々が人間の生活に手を貸し始めた。

 それにより確かに知的生命体としての人類は成長し、同時に神々から多大な迷惑を受けつつも文明としての成長を始めていった訳だ。

 

 そうして漸く文明が形に成り出した頃、自分の下にある神がやってきた。

 その名をエンリル。

 現在のメソポタミア文明世界において、地球そのものたるガイアを除いた神々における最高神だった。

 嵐そのものが輝きを纏い、その中心に人型の本体を持つ彼は、私にある頼み事をしてきた。

 曰く、香柏の森の番人となってほしい。

 この森は神々の領地であり、元々自然の猛威や魔獣、疫病等の災いを封じるためのものだが、森の少ないこの辺りの土地ではうっかり人間や神々が伐採しかねないので、腕の立つ番人が欲しいのだとか。

 まぁ基本的にボッチで定住地がある訳でも無いし、時々で良いから食べ物をくれる事、自分に名前を付けてくれる事を条件にして引き受ける事にした。

 なお、食べ物は基本趣味です。

 だって大気中の魔力?とか吸ってればそれだけで健康で過ごせるから、娯楽以上の意義が無い。

 まぁ身体が嘗てよりかなりデカいから、大雑把なものしか作れないんだけどね…。

 そもそも過酷過ぎるサバイバル生活は既に飽きていたので、そろそろ平和な森で静かに暮らしたい。

 そして名前だが、フンババと付けてもらった。

 意味は恐怖で、森を侵す者だけでなく、近づく者にすら恐怖を振りまいてほしいとの事。

 それ、名前としてはどうなんですかね最高神…。

 

 

 

 

 ……………

 

 

 

 

 神々は安堵した。

 特に問題も無く、フンババが番人の役を引き受けてくれた事に。

 全てはフンババが強すぎたが故だった。

 現在の世界を治める天上の神々をして、フンババの存在は危険だった。

 あの獣はこの世界で最も古くに生まれ、今なお生きている唯一の生物だった。

 原初の地獄だった星の環境に適応して生き延び、その力を身に宿すあの獣は、神々すら恐れる程の実力を持っていた。

 本人?が温厚であるから今まで問題になってこなかったが、何らかの首輪をつけなければオチオチ安心する事も出来ない。

 かと言って、目の前に立つ事すら生半可な神では出来ず、仕方なく最高神エンリルが出張ったのだ。

 結果だけ言えば上々であり、神々も一先ずの安心を得る事が出来た。

 また、フンババ自身も懐かしい気配のする香柏の森を気に入っており、今後は余程の事が無い限り彼が森から出る事も外界に関わる事も無かった。

 

 しかし、それは神々自身の手によって破られる事となる。

 

 

 

 

 ……………

 

 

 

 

 この森を任されてから、長い長い時間が過ぎた。

 人間達の文明が発達し、村や街だけでなく、国々が生まれ、神々へとより多くの信仰(どっちかって言うと荒魂への鎮魂に近い)を捧げる頃、ウルクに一人の王子が生まれる。

 名をギルガメッシュ。

 後に、人類史の開始者にして、英雄王と讃えられる男だった。

 彼は聡明であり、天才であり、生まれながらの英雄だった。

 王位に就き、幼き頃は正に名君だった。

 しかし、徐々に鬱屈が溜まっていったのか、ギルガメッシュは暴君となり、民に圧制を敷き、近隣の国々と争うようになっていった。

 更に、神々から定められた役目、人間と神々を繋ぐ「天の楔」をも放棄している事から、神々はある決断を下した。

 即ち、「天の鎖」たるエルキドゥの地上への投下だった。

 ギルガメッシュに対抗するため、天空神アヌの命により、創造神アルルが泥から作った人形。

 自身を自在に変化させ、神性に対して絶対の優位性を持つエルキドゥは、即座に地上に投下された。

 だが、彼?は辛うじて人型に近い形態を取っているだけで、使命に対する義務感も何もない。

 つまり、ハードは完璧でも、ソフトに致命的な欠陥があったのだ。

 しかも、投下された場所が問題だった。

 そう、そこは香柏の森。

 フンババの守護する原初の災いの隔離領域だった。

 

 

 

 

 ……………

 

 

 

 

 “ふむ…。”

 

 巨大な獅子の頭に巨人の身体を持つフンババは思案した。

 先程天から森に落ちてきたこの存在をどうするべきか、と。

 彼の職務からすれば排除すべきなのだが、一切の攻撃意思が無く、しかも天上から降ってきたとなれば、それは此処に自身を配置した神々の思惑の上である可能性がある。

 迂闊に手を出すべきではない。

 

 “人形よ、一先ず貴方を排除する事はしません。但し、この森の秩序を乱す様な事は禁止します。破れば殺しますが、それさえ守れば好きにしなさい。”

 

 泥人形の反応も見ず、フンババは踵を返した。

 

 

 

 

 ……………

 

 

 

 

 ちゃんと言葉を聞き、理解していたエルキドゥは、取り敢えず、森で獣達と混じって暮らす事にした。

 獣達は素朴であり、純粋であり、無垢だった。

 故に、彼が心を、精神を、魂というものを学習するにはこれ以上ない教材だった。

 獣に混じって暮らす彼は、欠落を知らない故に満たされていた。

 そこにはフンババも含まれており、森の番人にして主である彼から、多くの知恵や獣達の生態、自然の働き等を学んでいく。

 時折フンババによる原初の地球講座~あの日、自分はどう生き残ったか~が愚痴混じりで開かれる事もあったが…エルキドゥは穏やかに森での日々を過ごしていた。

 

 しかし、そこにギルガメッシュからの王命によって神殿娼婦シャムハトがやってきた事によって、その日々は終わった。

 彼女と出会い、彼女から知恵を授けられ、彼女と一時的に身体を繋げた結果、エルキドゥは人としての形を得た。

 そして、エルキドゥが人としての形を得た事を、悲し気に見つめていた者もいた。

 

 “エルキドゥ、先ずはおめでとうと言っておきましょう。”

 “だが、ここは人が踏み入ってはならぬ隔絶された地。”

 “人となってしまった者は、この森にいてはなりません。”

 “特別に二名とも見逃す故、此処を立ち去りなさい。”

 

 己の職務上、告げるべき事を告げたフンババの姿は悲し気だった。

 何せ、彼からすれば久方ぶりの客人達であり、友人でもあったからだ。

 引きこもり生活によるボッチは仕方ないとは言え、それでも知性ある他者との関わりは楽しいものだった。

 この七日間、シャムハトが食料に困らず、外敵に襲われなかったのもフンババのお蔭であり、彼なりの友情だった。

 

 「ありがとう、フンババ。今までありがとう。」

 「無遠慮に踏み入ってしまい、誠に申し訳ございませんでした。食料までお世話になって…」

 “君達は君達の役目を果たし、また果たそうとしているだけ。この森に立ち入るだけなら許そう。でも、もうこの森に来てはならないよ。その時は殺さねばならないから。”

 

 二人を森の境まで見送った後、フンババはそう言い残して森の奥へと消えていった。

 

 

 

 

 ……………

 

 

 

 

 それから幾年かの年月が経った。

 フンババは変わらず、己の役目を果たした。

 森は変わらずそのままで、原初の記憶のまま。

 だが、少しだけ、ほんの少しだけ、エルキドゥがいた日々が恋しかった。

 子供の様になんにでも興味を持ち、多くを学んでいく彼が好きだった。

 無論、男女間のそれではなく、純粋な好意だったが。

 エルキドゥとの日々は原初の地獄より一人だったフンババにとって、生に飽きた彼にとって、とても良い刺激に満ちた日々だった。

 だが、そんな益体の無い日々は終わりを告げた。

 他ならぬエルキドゥが、またこの森にやってきた事によって。

 

 

 

 

 …………… 

 

 

 

 

 “人は立ち入ってはならないと言った筈ですよ、エルキドゥ。”

 

 気まずげな顔をした友人に、私は告げた。

 確かにまた会えた事は嬉しいが、出来ればそれは叶わないでほしかった。

 それは即ち、彼と戦う事を意味していたからだ。

 

 「ほぅ、これは確かに恐れられるだけはある。我が朋友が来たがらぬ訳だ。」

 

 金色の人と神の混じった者がいた。

 それが恐らく音に聞こえたギルガメッシュ王なのだろう。

 うん、確かに傲慢で足元疎かで上から目線だ。

 下手に優秀で力を持っているのが余計に質が悪い。

 

 「この森の香柏はこの大地において大きな価値がある。この地の財、我がウルクのために貰いうけるぞ。」

 

 その言い様に呆れつつ、私は無言のまま口を開き、息を吐いた。

 途端、口から炎が噴き出て辺りを舐め、焼き尽くす。

 何時しか出るようになったこの炎の吐息は出が早い上に威力もそれなりなので、割と重宝している。

 が、あくまでそれは不意打ちが有効な相手に限られる。

 見れば、炎を遮る様に幾つもの盾がギルガメッシュとエルキドゥを守っている。

 恐らく、あれが暴君が掻き集めた財宝とエルキドゥの一部が変化したものなのだろう。

 

 「ハッ!行儀が悪いな番人!」

 “………。”

 

 その言葉に何も返さない。

 そもそも、この男と何かを話そうとは思っていない。

 ただ殲滅すべき相手に、一体何を語ろうとも無駄でしかない。

 

 「やっぱり分かってたけど…怖いなぁ…。」

 「何、その方が戦う甲斐があると言う物だ!」

 

 だが、まぁ、エルキドゥが恐怖しながらもずっと彼と離れないのは、少しだけ羨ましかった。

 

 

 

 

 ……………

 

 

 

 

 フンババは、原初の獣である。

 この星の最も過酷な環境だった原初の時代を適応する事で生き抜き、神代においてもなお最強を謳われた存在だ。

 獅子の頭に巨人の身体を持ち、その口は死、その吐息は炎、その咆哮は洪水と言われ、「恐怖」の具現として人にも神々にも恐れられた。

 また、100リーグ先(約300~700km)の音も聞き分ける耳を持つ。

 そして、最大の特徴として「七つの輝き」を持っている。

 これこそが彼が原初の地獄を乗り越えるために獲得した能力であり、外見上は七色の鬣の様に見える。

 原初の地獄と同化、或は相殺するためのものであり、七種類の原初の環境を再現した力を持つ。

 溶岩地帯なら氷雪の輝きを、砂漠地帯なら海原の輝きを、氷山地帯なら灼熱の輝きを持って、その環境に打ち勝つ。

 逆に環境が強ければ、自分自身をその環境に同化させ、後にその力を得る事も出来る。

 即ち、フンババと相対すると言う事は、再現された原初の地獄に再び挑む事に他ならない。

 それは神々が整える前、ただ一つの例外を除いて一切の生物の存在を許さぬ地獄。

 地球の最も荒々しい頃の姿こそ、フンババのホームグラウンドに他ならない。

 

 

 

 

 ……………

 

 

 

 

 この後の戦いを、世界最古の英雄譚であるギルガメッシュ叙事詩ではこう語られている。

 

 「まるで、世界が終わり、また生まれ変わったかの様だった。

  フンババはギルガメッシュとエルキドゥの二人を相手にしても、微塵も恐れずに襲い掛かり、二人を幾度も打ちのめした。

  二人は諦めずに挑んだが、フンババの持つ七つの輝きには手も足も出なかった。

  七つの輝きとは即ち、この大地の始まりからある七つの力である。

  それは地震であり、吹雪であり、嵐であり、雷であり、炎であり、津波であり、呪いである。

  二人の英雄はその輝きを破る事が出来ず、もう止めを刺されるだけにまで至った。

  しかし、それをエンリル神を除いた天上の神々の多くは良しとしなかった。

  二人にはまだまだやるべき事があったからだ。

  そして、神々は嵐を巻き起こし、フンババから七つの輝きを奪い去ろうとした。

  しかし、フンババは七つの輝きの内、嵐の力を使って、神々の起こした嵐を打ち消してしまった。

  自分に森の番を任せていた神々の裏切りにフンババは怒り、雷を起こして天上からこちらを見ていた神々を攻撃した。

  これに神々は大いに驚き、恐怖し、次いで神々の持つ最も強い神獣であるグガランナを降ろし、フンババにぶつけた。

  フンババは怒りのままに、ギルガメッシュとエルキドゥを放置して、その身体を獣のものへと変えてグガランナと戦った。

  これに怒ったギルガメッシュは、激しく戦い続ける二体の背後に忍び寄り、チャンスを伺った。

  二匹の戦いは先程の戦いよりも遥かに凄まじく、大地は割れ、川は干上がり、山は砕け、雲は消し飛び、余波だけで神々も魔獣も恐れ、逃げ惑った。

  その果てに、フンババは七つの輝きの内六つを剥がされてしまったが、グガランナの首に食らいつき、そのまま噛み千切ろうとした。

  しかし、それ好機と見たギルガメッシュが剣でフンババの首を斬りつけた。

  これにはフンババも驚き、グガランナに食らいつきながら、最後の呪いの輝きで抵抗したが、そのままギルガメッシュに首を切り落とされた。

  この時、フンババの最後の輝きである呪いによって、ギルガメッシュは決して死の運命から逃げられない事が定められてしまった。

  それを見ていたエルキドゥは死に行くフンババに別れを告げ、後に丁寧に葬ったと言う。

  こうしてギルガメッシュとエルキドゥのフンババ退治は終わり、香柏の森の木々は彼らのものとなった。

  しかし、この件に対して神々含むフンババ討伐に与した者達を最高神たるエンリルは大いに怒り、神々はそれぞれ一時的にその財産を没収された。また、地上では森に封じられていた多くの災いが解き放たれる事となり、ギルガメッシュとエルキドゥはそうした様々な災害を相手に戦い続ける事となる。」

 

 確かにギルガメッシュ王はウルクに多くの良質な材木を得る事が出来たが、今度はそれによる多くの災害(森の消失による狩猟対象の減少や土壌の流失、保水地が無くなったための洪水や地滑り等)の対策に追われる事となり、結果としてウルクに災いを招き、余計な問題を抱える事となってしまった。

 この事から、後世では世界最古の環境破壊と言われ、森林や河川、山地の乱開発等における警句として「フンババの森」が用いられる事となる。

 

 

 

 

 ……………

 

 

 

 

 別に、長生きとかしたかった訳ではない。

 ただ只管に必死だっただけだ。

 原初の地球では自分以外誰も頼れず、厳しすぎる自然だけがあったから。

 それに恐怖し、抗い続けて必死に生きる内に、随分と遠くまで来てしまった。

 最早嘗て人間だった頃の記憶も薄れ、それでも誰も傷つけたくなくて、森で静かに暮らしているつもりだった。

 だが、長く生き過ぎた弊害か、或は人と関係を断ち切っていたせいか、こんな最期になってしまった。

 

 「すまない、フンババ。出来れば、君にも色んなものを見てほしかった。」

 

 友人の悲し気な顔に、こちらこそ申し訳なく思ってしまう。

 自分は結局の所、単なる怪物になっていたのだ。

 人と交わらず、森に潜む事を選んだ時点で、自分は何れ討たれる運命だった。

 それに長く生き過ぎた故の諦観や刹那的な価値観に支配されもしていた。

 最初から勝って生き延びるつもりなら、最初の一撃で七つの輝き全てを使っていた。

 要するに、ボケていたのだ。

 ボケて周囲の迷惑となってしまっていたのなら、倫理観も育ってないこの時代ではこんな結末も仕方ない。

 意識はゆっくりと白くなっていき、既に痛覚も視覚もない。

 そんな中で、最後の未練だけを思う。

 あぁ、願わくば、また嘗ての様に…

 

 “わたしも…ひととして…”

 

 いきて…みたかった…な……。

 

 

 

 

 

 その思考を最後に、フンババの意識は途絶えた。

 

 

 

 

 ……………

 

 

 

 

 英霊の座と言われる場所には時間の概念は無い。

 そこでフンババは眠りに就いていた。

 人に呼ばれる事も、抑止力に使われる事もなく、永劫に時の狭間で揺蕩っていたフンババの意識が唐突に浮上した。

 英霊召喚、しかし英霊と言うには大分外れた存在である自分が呼び出される事に疑問を抱きながら、そのまま流れに身を任せる。

 そして、呼び出された場所は、実に懐かしい空気に満ち溢れていた。

 

 「ここは…メソポタミアですか。」

 

 そこまで言ってハッと気づく。

 自分の喉が獣の形ではなく、人の形だったのだ。

 

 「あー↗…あー↘…うん、どうやら本当に人間っぽいですね。」

 

 さて、召喚時に与えられた知識では…魔術王ソロモン?が聖杯を人類史の分岐点に配置して、人理を焼却して。

 それを覆すためにカルデアなる2016年の人類の組織が時間遡行しながら人理を修復して回っている、と。

 うーん、何というか、

 

 「面倒ですね。あぁ引き籠りたい…。」

 

 昔の様に何も考えずに香柏の森に引きこもりたい。

 だがしかし、これはチャンスでもある。

 

 「今のこの姿なら、もしかしたら人間の中で暮らせる可能性がワンチャン?」

 

 人間の姿なら、ぼっち&引きこもり脱却が出来るかもしれない。

 人跡未踏の森でウジウジしてるよりも、世間の荒波に揉まれつつ、様々な刺激の中で生きる方が刺激があるし、ボケ防止にもなる。

 となれば、先ずは人のいる場所を目指さねば。

 だが…

 

 「えーと…ここは何処かの山の中ですかね?」

 

 明らかに人気の無い場所だった。

 が、割と近くに何か悪趣味な建物があるので、そこを目指す事にした。

 

 

 

 

 この後、泣き叫ぶイシュタルを宥めつつ、何とか道を聞き出してウルクに向かう。

 すると北壁にいた魔獣達が一斉にフンババの方向を見つめるや否や、あっと言う間に潰走して逃げ去った。

 その後、ウルクで賢王ギルと会い、盛大に驚かれる事になる。

 

 

 

 

 ……………

 

 

 

 

 真名 フンババ(フワワ)

 身長 可変/約50m(真獣形態)

 体重 可変/計測不能(真獣形態)

 出典 古代メソポタミア神話

 地域 メソポタミア

 属性 中立中庸

 容姿 ストレートロングの金髪金眼、エルキドゥが成長した様な姿と服装

 性別 なし

 クラス適正 狂・騎

 

 設定

①穏やかな口調、優し気な仕草からは想像できない程に苛烈な戦闘能力を持った地球上最古の知的生命体。

 メソポタミア文明において、神々や英雄王ギルガメッシュと朋友エルキドゥすらも最強の一角と認めた香柏の森の番人。

 地獄であった原初の地球を適応する事で生き延びた唯一の生命であり、単体で完結しながらもそれを厭った獣。

 

②ギルガメッシュ叙事詩に語られる世界最古の獣。

 本来なら伝承通りの獅子頭の巨人か巨大な獅子の姿だが、人類と言う環境に適応するために弱体化する事を承知で敢えて人の形を取った。

 現在の姿は友であったエルキドゥに出来るだけ近づけたもの。

 状況に応じて、宝具でもある「七つの輝き」と言う原初の地球の七種の環境を極少再現した権能同然の力を振るい、外敵を根絶する。

 七つの輝きとは即ち、地震であり、吹雪であり、嵐であり、雷であり、炎であり、津波であり、呪いである。

 特に呪いは魔術的なものだけでなく、嘗ては死の呪いとされた数多の疫病をも含む。

 

③戦闘力は最盛期のギルガメッシュとエルキドゥ二人組を凌駕する。

 叙事詩では、二人と戦い消耗した上で、天上の神々を雷で攻撃し、更に天の雄牛とも連戦して七つの輝きが剥がれた所を、ギルガメッシュが不意打ちする事で漸く仕留める事が出来た。

 フンババと戦うとは即ち原初の地球を克服する事であり、最低でも天地創造や国造りの権能やそれに近い力でなければ太刀打ちできない。

 地上に神々が現れて天地創造を終え、環境が落ち着いた頃、エンリル神に乞われるままに香柏の森の番人となったため、カテゴリー上では神獣とされている。

 

 その精神は長すぎる年月によって擦り切れ、老成し、刺激に飢えており、刹那的な思考や諦観が目立つ。

 だが、性格は基本的に穏やかで誠実であり、のんびり屋である。

 初対面のエンリル神からの頼み事もあっさりと引き受け、森に落ちてきたエルキドゥを保護した事もある。

 なお、普段の暮らしぶりは専ら日向ぼっこしつつお昼寝か縄張り内のお散歩なので、やたら年寄りくさい。

 

④戦闘時は苛烈にも見えるが、それは単に「手早く終わらせる」ためでしかない。

 或は狩りの時間であり、無駄な消耗は極力避け、争いの無い穏やかな時間を好む。

 自分以外の生命達には基本的に寛容かつ受動的で、大抵の無礼は笑って受け流す。

 しかし、番人としての仕事や自身の生命に関わる事となると容赦は消える。

 

 人間に対しては「変化と個体差に富み、見てて決して飽きない者達」として、要観察対象として見ている。

 が、弱いのに無茶ばかりしている(フンババの主観で)ので、ヤンチャで危機感の無い孫を見るお祖母ちゃんの様に割とハラハラしながら見守る。

 

⑤スキル面では、そう多くはないが強力なものが揃っている。

 怪力A++ 天性の肉体(偽)A 環境適応EX

 天性の肉体は努力によって後天的に得たもの。

 環境適応は原初の地獄である地球環境を生き延びる程であり、人類絶滅級の大災害でも問題なく生存可能。

 

 宝具「原始惑星・七大罪」セブン・オブ・ディザスター

 ランク:EX  種別:対界宝具

 地獄の様な原初の地球環境に適応した結果として身に着けた、メソポタミアの神々をも超える権能同然の力。

 本来は防御宝具なのだが、それを真の姿である巨大な獅子の姿で解放し、一斉に鬣から放出することで攻撃する技。

 それは原初の地球環境の再現であり、あらゆる生命の存在を許さぬ地獄である。

 

⑥第七特異点攻略後に開放

 フンババは獣である。

 通常は獣の道理で動くが、人の間にある内は人の道理に合わせて動く。

 そのため、狂化は評価規格外のEXとなっている。

 そこには人の営み、生き様への憧れがあり、それに触れたいと思っている。

 だが、それをうっかり壊しかねないと恐れてもいる。

 マスターとの友好度は高いが、獣と人の道理の間に立っているので、その辺を配慮する必要がある。だがそれ以上に、基本的に燃費が悪いので、通常の魔術師では維持は不可能である。

 好きなものは料理とお昼寝、日向ぼっこ、人間観察。

 嫌いなものは自分勝手かつ人の話を聞かない奴、環境破壊。

 

 

 

 レア度…☆☆☆☆☆

 ステータス…筋力A 耐久A 敏捷B 幸運D 魔力D 宝具EX

 

 スキル

 怪力A++…攻撃力UP(3T)

 天性の肉体(偽)A…自身の弱体化耐性UP(3T)+HP回復

 七つの輝き…自身に無敵状態を付与(3回)+防御力UP(3T)

 

 宝具「原始惑星・七大罪」B

 敵全体にバフ解除後に防御力無視の強力な全体攻撃(OCで攻撃力UP)。

 

 クラススキル

 狂化EX

 環境適応…弱体化耐性が大幅にUP

 

 カード構成

 B2 A2 Q1

 

 イラスト

 第一段階 白い貫頭衣に金の長髪と金眼の中性的な人物(20代後半?)

 第二段階 獣の牙の首飾りが追加

 第三段階 服に七色のラインが追加

 最終イラスト 満月の夜の森で空を見上げる巨大な獅子の姿

 

 セリフ集

 召喚時「初めましてマスター。私はフンババ。嘗て香柏の森を守護していた者です。」

 レベルアップ「もぐもぐ…」

 霊基再臨1「わ、進化とはまた違うんですね。」

 霊基再臨2「あれ?燃費が悪くなってますね。」

 霊基再臨3「あらまぁ、無理しなくてよいんですよ?」

 最終再臨「生前にはまだ遠いですが…まぁマスターが無理をしないで済む程度には働いてみせましょう。」

 スタート1「狩りの時間ですね。」

 スタート2「早めに終わらせましょう。」

 スキル1「ちょっと本気を…。」

 スキル2「手加減はいりませんね?」

 コマンド1「お任せを。」

 コマンド2「はい。」

 コマンド3「急ぎましょう。」

 宝具カード「終わらせます。」

 アタック1「……。」 

 アタック2「シッ!」

 アタック3「いただきます。」

 エクストラアタック「ガアアアッ!」

 宝具「これぞ原初の星の姿。私が育った地獄…『原始惑星・七大罪』!」

 ダメージ1「…?」

 ダメージ2「あいた」

 戦闘不能1「魔力切れですか…。」

 戦闘不能2「ふふ、懐かしい感覚…。」

 勝利1「あぁ終わった…。」

 勝利2「ご馳走様でした。」

 

 会話1「くぅ…くぅ…。」

 会話2「私は基本的に貴方に口出しはしません。短い人生、自分の思うままに生きてみて下さい。」

 会話3「少し待っててくださいね。今料理が出来上がるので。」

 会話4「あら?あの子達がいるのですか。」ギルガメッシュ・エルキドゥ所属時

 会話5「あら?これは…あんまりな様子だったら、お灸を据える必要がありますね。」イシュタル所属時

 

 好きな事「そうですね…料理にお昼寝、日向ぼっこに…人間観察でしょうか。彼らの営み、生き様は煌めく星々の様で好ましいです。」

 嫌いな事「あー…自分勝手で人の話を聞かない人に、環境破壊ですね。もう少し後先考えて行動してほしいものです。」

 聖杯「願望器ですか…あんまり変な事に使っちゃダメですし、環境再生でもお願いしましょうか。」

 

 絆lv1「余り無理しちゃダメですよ?」

 lv2「戦闘は得意と言う訳では…。」

 lv3「私は獣ですし、余り人としての欲は無くて。だから、何をすれば良いのか…。」

 lv4「人と獣、その間に立つ私は結局どちらなのか…。」

 lv5「よし!うじうじ考えても仕方ないので、取り敢えず貴方と一緒にいる内は人と共に生きてみましょう!そして貴方が寿命を迎えてから判断しましょう!」

 

 イベント中「あら?何か聞こえますね。」

 

 誕生日「あら?マスターの祝い事でしたか。では直ぐに準備しますね。」

 

 

 評価

 性能としては☆5バーサーカーの中では最大のHPを持ち、スキルも相まって初期から場に居続けられる。

 運用方法はクー・フーリン・オルタに近いが、こちらはバフ解除付きの全体宝具なので、弱体化耐性が高い事もあり、厄介なスキル持ちに強い。

 全体火力としては理論上最大火力を発揮できるが、バーサーカーなのでスター発生もNPチャージも低く、介護の必要性が高い。

 耐久力を生かしつつ、如何に宝具を撃つ準備を整えるかが肝になる。

 

 




書いてて思った。
シンゴルゴーンと殴り合わせてぇ…!
第七章の難易度がまた上がるな!

そして先日、何故かピックアップでアサシン+その他で回したらゴルゴーンがいらっしゃった(震え声
書くと出るは真実だったのか(驚愕

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