徒然なる中・短編集(元おまけ集)   作:VISP

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第四次と言ったな?
アレは嘘…と言うか、一度こっち側の描写しないと四次に入れん(汗


転生モーさんが逝く 世界の裏側

 「今日よりオレ達はこの地に住まい、この地で死ぬ!此処が新たなオレ達の故郷であり墓場だ!」

 

 「今日よりこの街は国となる!この国の名は『モリグナ』!女神と竜と人の力の三相一体で成る国だ!」

 

 「新たな門出と共に、今この時よりこの地での生存活動を開始する!」

 

 世界の裏側へと領民と街ごと引っ越したモーさん達だが、その直後から前途多難だった。

 何せ後方の安全地帯ごと最前線へと引っ越してきたようなものなのだ。

 表側に戻れば良かった今までとは異なり、24時間常に緊張を強いられる。

 大中小と様々な幻想種を相手に戦い抜き、自分達の生存圏を確保せねばならない。

 幸い、以前からの狩猟もあって近隣の大型幻想種を粗方狩り尽くすのは一月とかからなかった。

 次に現地特有の病気の対策や荒らされた城壁外の耕作地の復旧に取り掛かるのだが…これが一番時間がかかった。

 病気の対策は女神として覚醒したモルガンの加護と魔術により割と順調に進んだのだが、病気そのものの種類も多く、更に蚊や蠅、蟻や鼠の様な小型幻想種を媒介とした伝染病等も存在し、モルガンはてんてこ舞いとなった。

 また、2~5m程度の中型の幻想種、それも狼やヴェロキラプトルの様な知能の高い種類の存在もあり、城壁外での作業は護衛ありきとは言え、常に命の危機があった。

 だが、領民らは決して諦める事なく働き続けた。

 

 「おおおおおおおおおおおおおりゃあああああああああああああああッ!!」

 

 それは自ら率先して前に出て、巨大な幻想種を蹴散らす自分達を見捨てずにいてくれる王様と、それに付き従う兵士達の雄姿を知っているが故だった。

 お綺麗なお題目を掲げながら、自分達を見捨てて斬り捨てた騎士王と騎士達よりも、自分達と同じ所に立ち、命を張って戦ってくれる王の姿に、領民達は少しでも報いようとしたのだ。

 そして引っ越しから5年、何とか田畑の周囲を防護柵で囲い、街の6方向へと簡易的な拠点の設置に成功し、生活が安定し出した頃、更なる苦難が襲い掛かって来た。

 

 「我が威光にひれ伏すが良い!さもなくば、我が槍の錆にy「死ね。」ぷげらぁ!?」

 

 この世界の裏側には、神代の終わりによって表側にいられなくなった存在が流れ込んでくる。

 それは嘗ての神話世界を構築した神々であっても例外は無い。

 そして、この裏側では人間と言う存在は極めて希少だ。

 大抵は神秘に適応できないし、できても生き残る事が酷く難しい。

 そんな所に2000人にも満たないものの、国丸ごと人間がやってきたらどうなるか?

 信仰を失い、世界の裏側で鬱屈かつ退屈した日々を送る神々にとって、上手くやれば嘗て得ていた信仰と力を取り戻す事が出来るかもしれない。

 嘗ての栄光を再び!等と考える者が出てくるのも仕方ないだろう。

 神霊と言う者は大抵は自然現象が人の形と精神を得た者だが、それは総じて理不尽の塊であり、それによって人間に行く被害等考えもしない。

 そんな事だから一神教が流行り、自分達が見限られ、追い遣られたのだと知りながらも一切反省しない。

 それが神霊と言う者なのだ。

 特にギリシャとかケルトとか北欧とかギリシャとかがその典型に当たる。

 そう言う訳で、幻想種の相手が落ち着いたと思ったら、今度はあの手この手で侵略しようとしてくる神霊の相手をする事になったのだった。

 だが、そこは領民もとい国民の多くが元々は一神教だったのに、何時の間にかモルガン・モードレッド教なる新手の宗教が興ってたモーさんの国である。

 国民達は頑として改宗を拒み、受け入れたらどうなるか分かったものではないとモーさんとモルガンも拒絶した。

 だが、そうなれば腕ずくでと考えるのが神々である。

 追い詰めた所を善人面して救いの手を差し出せば直ぐにでも鞍替えするだろうと考えるが、そんな単純だから衰退するのだと彼らは考えもしない。

 そんなダダ甘な考えに乗ってやる程、モーさんもモルガンも暇ではないし、甘くない。

 そして、そんな二人と民の心を折らんとありとあらゆる権能や神造兵装による災いが始まった。

 だがしかし、神々の起こすどんな天変地異や災害であっても、モーさん達は屈しなかった。

 相応の消耗や被害こそあったが、その悉くを跳ね返し、武力に物を言わせてくる輩には聖槍と聖杯と鎧と兜、序でにモルガンが権能まで駆使して作成した竜骨の大剣等を用いて戦い、撃退か滅殺していった。

 泡を喰ったのは神霊達である。

 生半可な相手ではないと思っていたが、まさか神霊側に死者が出るとは思っていなかったのだ。

 無論、武神や戦神、軍神等の力ある神々も挑んだのだが、その多くがけんもほろろに撃退されてしまった。

 例外として、取り敢えず話をしにいった地母神系の神々、特に某竈の女神等は表側での行いもあって、極普通に歓待されたり、楽しく観光したりしたのだが。

 大抵の神々は欲を出してアホな事をしてボコボコにされた後に放り出されたりもした。

 やがて10年も経つ頃には多くの神霊が警戒して手出ししない(時折馬鹿が現れるが)ようになった頃、ある女がやってきた。

 その女は烏の濡れ羽色の様な黒髪と美貌、それと同色の薄い造りの衣装と赤い二振りの槍を持っていた。

 物見からの報告でその女を見つけたモードレッドは、即座に全ての兵達に帰還及び籠城命令を出し、神霊の中でも強力な個体と戦うためのフル装備を身に着け、街の門の前でその女を待った。

 

 「お主がこの国の王か?」

 「如何にも。貴方も王とお見受けするが?」

 「うむ。儂の名はスカサハ。影の国の女王をしている。」

 

 スカサハ。

 それはブリテンが未だ完全な神話の時代にあった頃、所謂ケルト神話の時代に大英雄クー・フーリンを始めとした多くのケルトの戦士らの師匠を務めた女の名だ。

 アードガムの娘であり、七つの城壁を備える影の国の女王であり、予言の力を持った呪術師だが、それよりも寧ろ武芸に秀でている。

 女神であるとも言われ、ケルト神話版ヘラクレスとまで言われるクー・フーリンに一年と一日をかけて多くの絶技を伝授したと言われる。

 要はもの凄く強いケルト系女戦士(魔術も行けるよ!)である。

 

 「彼の光の御子の師に会う日が来るとはな。して、貴方程の御仁が何故我が国に来たのだ?」

 

 虚言は許さぬと全身から魔力を滾らせながら、モードレッドはスカサハに詰問する。

 それをスカサハは実に嬉しそうに笑みを浮かべながら告げた。

 

 「何、こちら側へとやってくる者は久々でな。神霊共ではないが、私も興味があったのだ。」

 「あー、それならもう見たろ?帰ってくんねぇかなぁ?」

 

 その獰猛な笑みにこの後の展開を予測しながら、モードレッドは僅かな希望を込めて提案。

 だが、その僅かな希望はあっさりと裏切られる。

 

 「数々の獣を屠り、神霊共を蹴散らしたその腕前、魅せてもらうぞ!」

 「だよなーケルトと言ったらそう来るよなー……。」

 

 こうして、スカサハしか得しない「チキチキ★スカサハのケルト式観光!~ポロリ(首や臓物)もあるよ~」が始まっちゃったのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「あーもう糞!何でオレがお前の相手なんざしなくちゃならねーんだ嗚呼アアアアアッ!!」

 「アハハハハハハ!良いぞ、素晴らしい!この様な興奮、彼奴以来だ!さぁ私を殺して魅せよ!」

 

 結局、七日七晩戦わされた。

 

 「また来るぞ。」

 「来んな!」

 

 一ヵ月後、また来た模様。

 

 




ふぅ…やっぱりこうしたネタ書く方が楽しいな、うん

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