IS~RED&BLUE~   作:虹甘楽

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第105話ですよ、105話!
105という数字に過剰反応してしまうSEED脳です。


第105話 私とメイド、どっちが大事なの!?

「では、今日の5・6限はLHRです。まあ、自由に使っていいので、学園祭の準備に当ててください」

「「「「「はーーーーーい!!」」」」」

 

 山田先生の宣言に、我らが一年一組の生徒たちは元気よく答える。

 

 ……あえて言わせてもらおう。

 

 エレメンタリーの学生か、お前ら。

 

「えーと、出し物は『中華喫茶・ヨーロピアン』だったよね?」

「違うわよ!『織斑一夏・秘密の写真館』よ!」

「ちょっと待て!『ご奉仕喫茶』に決まったよな!?というか、誰だよ写真の提供者!」

 

 中華喫茶は隣の出し物じゃなかったか?後、ヨーロピアンて、明らかに元ネタありきの名前だろ。そして一夏、写真が出回ってるくらいで騒ぐな。いいじゃないか、そのくらい。

 

 俺のサイフの中身が潤ったんだから。

 

「まったくだ。せっかく、私が提案したというのに」

「そうだねそうだね!珍しかったよね!」

「ああいう提案は、あたしの専売特許だったハズなんだけどなー」

 

 雑談は終わる気配がなく、収集をつけるべきクラス代表殿も騒乱の渦の中。

 女子高生たちの狂乱の宴は、開始5分も経たずにカーニバルでファンタズムな感じになっていた。……おーい、山田先生涙目だぞ。いいのか?

 

「一夏!お前はクラス代表だろう、さっさと司会進行を務めんか!周りが困っているぞ!」

「え、あ……。す、すまん、箒」

 

 俺と同じく、この流れに業を煮やした箒が、一夏を叱責した。

 でも、ま、本音は一夏が他の女子と戯れてるのが気に入らなかったんだろう。現に、箒はさっきから俺の方をちらちらと盗み見て、俺がつっこみ入れるのを待ってたような感じがしたし。……俺の表情を窺ってたとか、そういう理由じゃないと信じたい。

 

「じゃあ、改めて。衣装……あー、メイド服と執事服だけど、調達できそうなのか?」

「うん。@……じゃ、なかった。先方も快く承諾してくれてね。執事服2着とメイド服5着、文化祭当日に借りれることになったから!」

「へぇ、すごいな、シャル子。そんなもん借りるツテがあるなんて。……でも、無償じゃないんだろ?」

「あ、うん。えーとね、レンタルする条件として、写真が何枚か欲しいんだって。お店の宣伝用に。そのくらいなら……いいよね?」

「「「「「無問題!」」」」」

 

 お店……?いかがわしいお店だったらNGだろうが……まあ、シャル子なら大丈夫だろう。ああ見えて、騙されやすいタイプじゃないし。

 

「それじゃ、次はメニューの決定だな。何か、意見のある人~?」

「はいはーい!執事によるシャンパンタワーがいいと思う!」

「執事とポッキーゲームはどう?」

「執事とお食事!これ鉄板!」

「執事・オン・ステージ!……何でもないわ、忘れてちょうだい」

「ち、ちょっとお待ちください皆さん!サービス内容が執事に偏り過ぎですわ!」

「執事役は俺と一夏の二人だけだろ?足りんのか?」

 

 とりあえず、一夏が仕切って意見を出すように言うも、あふれ出たのは俺達男子を前面に押し出した企画ばかり。セシリアの指摘する通り、圧倒的に手が足りない。

 ……あ、待てよ。

 

「シャル子が男装して執事に……」

「絶対ヤダ!僕……私もメイド服がいい!」

「嫁よ。たまにはシャルロットが女の子っぽい服を着てもいいではないか」

「ラウラがフォローした!?なんかあったの?」

 

 個人的にはいいアイデアだと思ったんだが、シャル子本人とラウラの猛反対により、断念することにする。

 ……ちなみに、今の議論をきっかけに、クラスが『執事シャルル』派と『メイドシャルロット』派で分かれてしまったんだが……まあ、俺には関係ない。ないったらない。

 

「とはいえ、確かに執事不足は深刻だな。執事によるサービスだけでなく、メイドによるサービスも必要だろう」

「それもそうだな、箒。じゃ、今度は『執事系』以外のメニューで意見出してくれ!」

「ほんなら、ワテはチョコレートパフェがええと思いやがるぜ」

「ニコ……また、変な日本語を覚えちゃって……。あ、私はかき氷とかいいと思うなー」

「かき氷は季節外れだよ~。バニラアイスなんかどーでしょ~?」

「アイスが入るなら、俺はウェハースとコーヒー、それとナポリタンを追加すべきだと思う。……あ、後バカボンド」

「山代くん、純喫茶マン○ッタンでも作る気?ウェハースよりポッキーの方がいいと思います!」

「軽食系もあった方がいいだろう。サンドイッチはどうだ?」

「デザートもパフェとアイスだけじゃ寂しいよね。ケーキとか、入荷できないかな?」

「……デュノちゃん、さりげなーく『かき氷』を排除しなかったー?」

 

 ……とまあ、こんな感じでワイワイと、メニューは順調に決まっていった。

 驚くべきことに、あのラウラや箒までもが積極的に発言し、一体となって企画を進めているのだ。聞いた話だと、ご奉仕喫茶の発案者もラウラだそうで……人間、どこでどう変わるか分からねぇなぁ。

 

「じゃあ、とりあえず今まで出たもので確定ってことで。次は値段設定だな」

「ちょっと待て、一夏。そういうのは、材料費が確定してからの方がいい。それより先に、役職を決めたらどうだ?」

「それもそうか。じゃ、やっぱり役職決めだ。最低限必要なのはメイド5人と執事2人、それとキッチン担当かな」

「織斑くん。多分教室に行列ができるから、それを整理する人もいた方がいいと思う」

「それからそれからね、メイドさん全員を接客に回すんじゃなくて、一人呼子さんにした方がいいよ」

「うーん、客寄せは執事にやって欲しいんだけどねー。二人だけだし。

 ……ねえ、デュノちゃん」

「やらないからね!?」

 

 棗さんの言葉に対し、即答するシャル子。一夏が頼んだら一発で承諾してくれそうな気がするが……無理強いは良くないか。

 

「じゃあ、とりあえずシャル子はメイド服で接客。執事は俺と一夏でやろう」

「そうだな。じゃ、後はフロアとキッチンだけど……」

 

 そこまで言った瞬間、辺りで歓声が爆発した!

 

「はいはい!私、山代くんと一緒に働きたい!」

「W執事と一緒にフロア……あたしもやる!」

「私は発案者だ!嫁と一緒に仕事をする権利がある!」

「デュノアさんずるい。」

「わたくしもですわ!イギリスの代表候補生として、参加しないわけにはいきません!」

「私もおりむーややまぴーと一緒にやる~」

「本音ちゃん、頼むから止めて!?」

「私も、紅也を支える義務がある!」

「CHAOSだな」

「アンタどこの家庭教師(かてきょー)ヒットマン!?」

 

 やいのやいのと騒ぎだす女子生徒達。あまりの大音声(だいおんじょう)に、先程まで静かに本を読んでた山田先生がビクリ!と肩を震わせあわあわしてる。グローリーさんの言う通り、まさしくカオスだ。

 

「……うちの女子は元気だよな」

「そうだな。……で、どうすんだよ、コレ。山田先生ベソかいてるぞ」

「俺が収集つければいいんだろ?みんな、ここはクジで決めようぜ!」

 

 言うなり一夏は黒板に白線を引き始め、適当に横棒を書き足していく。これは……何をする気なんだ?

 

「あみだくじ?別にいいけど」

「AMIDAクジ?それって何?」

「わたくしも知りませんわ」

「紅也もセシリアも知らんのか」

「外国では~、あんまり広まってないんだね~」

「私は知っているぞ!……と言っても、クラリッサから教わったのだが」

「確か、横棒を一人一本足していって、上に名前を書くんだよね?」

「そうよ。そして、当たりを引いた人が給仕担当。……燃える展開ね」

「ねえ、長門さん。ちょっと確率を操作して、私が当たるようにしてくれないかな?」

「無理。私、情報統合思念体じゃないし」

「だよねだよね」

 

 とにかく、ルールは分かった。

 棒の上にはみんなの名前、棒の下には当たりを示す四つの○。

 そして線を辿っていって、当たりを引いた人がメイド役ってワケだ。

 

「せっかくだから私はこの右の線を選ぶわ!」

「見える!私にも当たりが見える!」

「ゼロ……あたしを導いてくれ……!」

 

 各々、好き放題に決め台詞を言いながら名前を書き、横線を足していく。

 そして最後に鷹月さんが名前を書き終え、超大型あみだくじが完成した。

 

「じゃあ、最初は一番左の愛姫さんから」

「え~!ドキドキするな~。」

 

 一夏が指で線をたどり、何度も線を横断しながら下へと向かう。俺を含めた全員の視線がその指先を追い、教室が緊張していく!

 右折、左折、また右折。曲がりくねった道の先、ついに見えたゴールには……☆印が。

 

「えっと……これは?」

「はずれだよ。当たりは○だから」

 

 じゃあ何で書いた。

 

「え、えーと、じゃあ次は……飯田さん」

「わたしわたし!?頑張るよ~」

 

 頑張るも何もないと思うんだが。

 

 辿られる道筋。そして現れた□。またハズレ。

 次も、その次も、またその次も……!!

 

「……って!長いわぁ!!」

「ど、どうしたんですか、紅也さん!?」

 

 どうやら、今はセシリアのターンだったようだが……そんなの関係ねぇ!

 俺は下の○印を逆に辿り、結び付いた名前を次々に黄色いチョークで囲んでいく。

 

「ああっ、紅也……」

「ちょっと!空気読みなさいよ!」

「私のワクワク感、返して~!」

「……む、当たったな」

「ま、まあ、山代くんにも悪気は無かったと思うよ」

「やったぁ~。私、おーあたりぃ!」

 

 どうやら、フロア班は俺、一夏、シャル子、箒、ラウラ、布仏さん、リアーデさんで決定のようだ。

 ……セシリアだけOUTか。ブレないな、セシリア。

 

「はぁ……。では、わたくしはコックですか……」

「まあ、フロアを外れたってことは……ん?」

 

 そこで「おもいだす」を使用する俺。一夏を始めとする専用機持ちの皆と目を合わせ、即座にアイコンタクト。GN粒子が集まってなくても、意識の共有は可能だ!

 

(ちょっと待て!セシリアって料理できたっけ?)

(だ、だいぶマシにはなってきた……と、思う)

(だけど、まだ人に出せるレベルではないぞ……)

(なんといってもイギリス人だからな。料理はしょうがない)

(ラウラ!ハドソン夫人に謝れ!)

(それはいいから!……で、どうするの?)

 

 この間、実に1秒弱。周りに気取られることもなく、4カ国会談は終了した。

 

「そ、そういえばのほほんさんって、お茶入れるのが上手かったよな~」

「そ、そうなのか?ならば、布仏は調理担当の方がいいのではないか?」

「そ~れはいい考えだー!でもそうすると、フロアが足りなくなっちまうなー」

「え~、しののん、やまぴー、何言ってるの?」

「……確かに、ちょっと危なっかしいかも」

「シャルロットが言うなら、そうだな。布仏、悪いがキッチンに回ってくれるか?」

「うーん……まあ、いいよ~」

「ありがとう、本音ちゃん。じゃあ、本音ちゃんの代わりは……オルコットさん、頼める?」

(((((鷹月さん、ナイス!)))))

 

 クラスの仕切り屋、鷹月さんの鶴の一声(鷹なのに鶴とは……)によって、セシリアはキッチンから追い出された。

 ありがとう、鷹月さん。多分、箒からセシリアの料理の腕前のことを聞いてたんだね?

 キミのおかげで、不服そうだったリアーデさんも納得の表情だ!

 

「ま、まあ、そこまで頼まれたのなら……このセシリア・オルコット、引き受けましょう!」

(((((そしてセシリア、やっぱりちょろい!)))))

 

 こうして、バイオハザードの発生は事前に回避できた……はず、だったのだが。

 

「あの……まさか、一日中そのメンバーでやるわけじゃないですよね?シフトも考えないと……」

 

 ……と、いう山田先生のお言葉によって、再び波乱の幕が上がるのであった。

 

 

 

 

 

 

 まあ、一組の会議はこんな感じでサクサク進み、話し合いも時間内で無事に終わった。しばらくは材料の調達や必要な素材の確保、接客練習などで忙しくなるだろう。

 それこそ、悩む時間もないほどに。

 

 今日は、久々に何も考えずにはしゃげた気がする。それがクラスの雰囲気に当てられたせいなのか、箒に八つ当たりしたせいなのかは、まだ分からない。

 ……でも。

 この学園祭は、なんとしても楽しい思い出にしよう。

 悩みなんか忘れて、ガキらしく楽しもう。

 それは、きっと逃避なんだろうけど。

 今だけは、許して欲しい……。

 

 

 

 ……あ。

 弓道部の出し物の方、どうしよう……。

 シフト、相談しないとなぁ……。

 

 いっそ、身体が二つあればいいのに。

 




シャルが執事服を頑なに拒否する理由は、原作4巻を読んでいればわかるかと。こちらでは共通エピソードだったのでオールカットですすいません。
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