105という数字に過剰反応してしまうSEED脳です。
「では、今日の5・6限はLHRです。まあ、自由に使っていいので、学園祭の準備に当ててください」
「「「「「はーーーーーい!!」」」」」
山田先生の宣言に、我らが一年一組の生徒たちは元気よく答える。
……あえて言わせてもらおう。
エレメンタリーの学生か、お前ら。
「えーと、出し物は『中華喫茶・ヨーロピアン』だったよね?」
「違うわよ!『織斑一夏・秘密の写真館』よ!」
「ちょっと待て!『ご奉仕喫茶』に決まったよな!?というか、誰だよ写真の提供者!」
中華喫茶は隣の出し物じゃなかったか?後、ヨーロピアンて、明らかに元ネタありきの名前だろ。そして一夏、写真が出回ってるくらいで騒ぐな。いいじゃないか、そのくらい。
俺のサイフの中身が潤ったんだから。
「まったくだ。せっかく、私が提案したというのに」
「そうだねそうだね!珍しかったよね!」
「ああいう提案は、あたしの専売特許だったハズなんだけどなー」
雑談は終わる気配がなく、収集をつけるべきクラス代表殿も騒乱の渦の中。
女子高生たちの狂乱の宴は、開始5分も経たずにカーニバルでファンタズムな感じになっていた。……おーい、山田先生涙目だぞ。いいのか?
「一夏!お前はクラス代表だろう、さっさと司会進行を務めんか!周りが困っているぞ!」
「え、あ……。す、すまん、箒」
俺と同じく、この流れに業を煮やした箒が、一夏を叱責した。
でも、ま、本音は一夏が他の女子と戯れてるのが気に入らなかったんだろう。現に、箒はさっきから俺の方をちらちらと盗み見て、俺がつっこみ入れるのを待ってたような感じがしたし。……俺の表情を窺ってたとか、そういう理由じゃないと信じたい。
「じゃあ、改めて。衣装……あー、メイド服と執事服だけど、調達できそうなのか?」
「うん。@……じゃ、なかった。先方も快く承諾してくれてね。執事服2着とメイド服5着、文化祭当日に借りれることになったから!」
「へぇ、すごいな、シャル子。そんなもん借りるツテがあるなんて。……でも、無償じゃないんだろ?」
「あ、うん。えーとね、レンタルする条件として、写真が何枚か欲しいんだって。お店の宣伝用に。そのくらいなら……いいよね?」
「「「「「無問題!」」」」」
お店……?いかがわしいお店だったらNGだろうが……まあ、シャル子なら大丈夫だろう。ああ見えて、騙されやすいタイプじゃないし。
「それじゃ、次はメニューの決定だな。何か、意見のある人~?」
「はいはーい!執事によるシャンパンタワーがいいと思う!」
「執事とポッキーゲームはどう?」
「執事とお食事!これ鉄板!」
「執事・オン・ステージ!……何でもないわ、忘れてちょうだい」
「ち、ちょっとお待ちください皆さん!サービス内容が執事に偏り過ぎですわ!」
「執事役は俺と一夏の二人だけだろ?足りんのか?」
とりあえず、一夏が仕切って意見を出すように言うも、あふれ出たのは俺達男子を前面に押し出した企画ばかり。セシリアの指摘する通り、圧倒的に手が足りない。
……あ、待てよ。
「シャル子が男装して執事に……」
「絶対ヤダ!僕……私もメイド服がいい!」
「嫁よ。たまにはシャルロットが女の子っぽい服を着てもいいではないか」
「ラウラがフォローした!?なんかあったの?」
個人的にはいいアイデアだと思ったんだが、シャル子本人とラウラの猛反対により、断念することにする。
……ちなみに、今の議論をきっかけに、クラスが『執事シャルル』派と『メイドシャルロット』派で分かれてしまったんだが……まあ、俺には関係ない。ないったらない。
「とはいえ、確かに執事不足は深刻だな。執事によるサービスだけでなく、メイドによるサービスも必要だろう」
「それもそうだな、箒。じゃ、今度は『執事系』以外のメニューで意見出してくれ!」
「ほんなら、ワテはチョコレートパフェがええと思いやがるぜ」
「ニコ……また、変な日本語を覚えちゃって……。あ、私はかき氷とかいいと思うなー」
「かき氷は季節外れだよ~。バニラアイスなんかどーでしょ~?」
「アイスが入るなら、俺はウェハースとコーヒー、それとナポリタンを追加すべきだと思う。……あ、後バカボンド」
「山代くん、純喫茶マン○ッタンでも作る気?ウェハースよりポッキーの方がいいと思います!」
「軽食系もあった方がいいだろう。サンドイッチはどうだ?」
「デザートもパフェとアイスだけじゃ寂しいよね。ケーキとか、入荷できないかな?」
「……デュノちゃん、さりげなーく『かき氷』を排除しなかったー?」
……とまあ、こんな感じでワイワイと、メニューは順調に決まっていった。
驚くべきことに、あのラウラや箒までもが積極的に発言し、一体となって企画を進めているのだ。聞いた話だと、ご奉仕喫茶の発案者もラウラだそうで……人間、どこでどう変わるか分からねぇなぁ。
「じゃあ、とりあえず今まで出たもので確定ってことで。次は値段設定だな」
「ちょっと待て、一夏。そういうのは、材料費が確定してからの方がいい。それより先に、役職を決めたらどうだ?」
「それもそうか。じゃ、やっぱり役職決めだ。最低限必要なのはメイド5人と執事2人、それとキッチン担当かな」
「織斑くん。多分教室に行列ができるから、それを整理する人もいた方がいいと思う」
「それからそれからね、メイドさん全員を接客に回すんじゃなくて、一人呼子さんにした方がいいよ」
「うーん、客寄せは執事にやって欲しいんだけどねー。二人だけだし。
……ねえ、デュノちゃん」
「やらないからね!?」
棗さんの言葉に対し、即答するシャル子。一夏が頼んだら一発で承諾してくれそうな気がするが……無理強いは良くないか。
「じゃあ、とりあえずシャル子はメイド服で接客。執事は俺と一夏でやろう」
「そうだな。じゃ、後はフロアとキッチンだけど……」
そこまで言った瞬間、辺りで歓声が爆発した!
「はいはい!私、山代くんと一緒に働きたい!」
「W執事と一緒にフロア……あたしもやる!」
「私は発案者だ!嫁と一緒に仕事をする権利がある!」
「デュノアさんずるい。」
「わたくしもですわ!イギリスの代表候補生として、参加しないわけにはいきません!」
「私もおりむーややまぴーと一緒にやる~」
「本音ちゃん、頼むから止めて!?」
「私も、紅也を支える義務がある!」
「CHAOSだな」
「アンタどこの
やいのやいのと騒ぎだす女子生徒達。あまりの
「……うちの女子は元気だよな」
「そうだな。……で、どうすんだよ、コレ。山田先生ベソかいてるぞ」
「俺が収集つければいいんだろ?みんな、ここはクジで決めようぜ!」
言うなり一夏は黒板に白線を引き始め、適当に横棒を書き足していく。これは……何をする気なんだ?
「あみだくじ?別にいいけど」
「AMIDAクジ?それって何?」
「わたくしも知りませんわ」
「紅也もセシリアも知らんのか」
「外国では~、あんまり広まってないんだね~」
「私は知っているぞ!……と言っても、クラリッサから教わったのだが」
「確か、横棒を一人一本足していって、上に名前を書くんだよね?」
「そうよ。そして、当たりを引いた人が給仕担当。……燃える展開ね」
「ねえ、長門さん。ちょっと確率を操作して、私が当たるようにしてくれないかな?」
「無理。私、情報統合思念体じゃないし」
「だよねだよね」
とにかく、ルールは分かった。
棒の上にはみんなの名前、棒の下には当たりを示す四つの○。
そして線を辿っていって、当たりを引いた人がメイド役ってワケだ。
「せっかくだから私はこの右の線を選ぶわ!」
「見える!私にも当たりが見える!」
「ゼロ……あたしを導いてくれ……!」
各々、好き放題に決め台詞を言いながら名前を書き、横線を足していく。
そして最後に鷹月さんが名前を書き終え、超大型あみだくじが完成した。
「じゃあ、最初は一番左の愛姫さんから」
「え~!ドキドキするな~。」
一夏が指で線をたどり、何度も線を横断しながら下へと向かう。俺を含めた全員の視線がその指先を追い、教室が緊張していく!
右折、左折、また右折。曲がりくねった道の先、ついに見えたゴールには……☆印が。
「えっと……これは?」
「はずれだよ。当たりは○だから」
じゃあ何で書いた。
「え、えーと、じゃあ次は……飯田さん」
「わたしわたし!?頑張るよ~」
頑張るも何もないと思うんだが。
辿られる道筋。そして現れた□。またハズレ。
次も、その次も、またその次も……!!
「……って!長いわぁ!!」
「ど、どうしたんですか、紅也さん!?」
どうやら、今はセシリアのターンだったようだが……そんなの関係ねぇ!
俺は下の○印を逆に辿り、結び付いた名前を次々に黄色いチョークで囲んでいく。
「ああっ、紅也……」
「ちょっと!空気読みなさいよ!」
「私のワクワク感、返して~!」
「……む、当たったな」
「ま、まあ、山代くんにも悪気は無かったと思うよ」
「やったぁ~。私、おーあたりぃ!」
どうやら、フロア班は俺、一夏、シャル子、箒、ラウラ、布仏さん、リアーデさんで決定のようだ。
……セシリアだけOUTか。ブレないな、セシリア。
「はぁ……。では、わたくしはコックですか……」
「まあ、フロアを外れたってことは……ん?」
そこで「おもいだす」を使用する俺。一夏を始めとする専用機持ちの皆と目を合わせ、即座にアイコンタクト。GN粒子が集まってなくても、意識の共有は可能だ!
(ちょっと待て!セシリアって料理できたっけ?)
(だ、だいぶマシにはなってきた……と、思う)
(だけど、まだ人に出せるレベルではないぞ……)
(なんといってもイギリス人だからな。料理はしょうがない)
(ラウラ!ハドソン夫人に謝れ!)
(それはいいから!……で、どうするの?)
この間、実に1秒弱。周りに気取られることもなく、4カ国会談は終了した。
「そ、そういえばのほほんさんって、お茶入れるのが上手かったよな~」
「そ、そうなのか?ならば、布仏は調理担当の方がいいのではないか?」
「そ~れはいい考えだー!でもそうすると、フロアが足りなくなっちまうなー」
「え~、しののん、やまぴー、何言ってるの?」
「……確かに、ちょっと危なっかしいかも」
「シャルロットが言うなら、そうだな。布仏、悪いがキッチンに回ってくれるか?」
「うーん……まあ、いいよ~」
「ありがとう、本音ちゃん。じゃあ、本音ちゃんの代わりは……オルコットさん、頼める?」
(((((鷹月さん、ナイス!)))))
クラスの仕切り屋、鷹月さんの鶴の一声(鷹なのに鶴とは……)によって、セシリアはキッチンから追い出された。
ありがとう、鷹月さん。多分、箒からセシリアの料理の腕前のことを聞いてたんだね?
キミのおかげで、不服そうだったリアーデさんも納得の表情だ!
「ま、まあ、そこまで頼まれたのなら……このセシリア・オルコット、引き受けましょう!」
(((((そしてセシリア、やっぱりちょろい!)))))
こうして、バイオハザードの発生は事前に回避できた……はず、だったのだが。
「あの……まさか、一日中そのメンバーでやるわけじゃないですよね?シフトも考えないと……」
……と、いう山田先生のお言葉によって、再び波乱の幕が上がるのであった。
◆
まあ、一組の会議はこんな感じでサクサク進み、話し合いも時間内で無事に終わった。しばらくは材料の調達や必要な素材の確保、接客練習などで忙しくなるだろう。
それこそ、悩む時間もないほどに。
今日は、久々に何も考えずにはしゃげた気がする。それがクラスの雰囲気に当てられたせいなのか、箒に八つ当たりしたせいなのかは、まだ分からない。
……でも。
この学園祭は、なんとしても楽しい思い出にしよう。
悩みなんか忘れて、ガキらしく楽しもう。
それは、きっと逃避なんだろうけど。
今だけは、許して欲しい……。
……あ。
弓道部の出し物の方、どうしよう……。
シフト、相談しないとなぁ……。
いっそ、身体が二つあればいいのに。
シャルが執事服を頑なに拒否する理由は、原作4巻を読んでいればわかるかと。こちらでは共通エピソードだったのでオールカットですすいません。