IS~RED&BLUE~   作:虹甘楽

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リメイク始めてから、最新話の執筆も順調に進んでいます。
これからも毎日一話投稿で頑張りますよ~!


第12話 クラス代表、キミに決めた!

 代表決定戦後の、寮内1017号室にて。

 紅也と葵は、8に表示されたデータを見ていた。

 そう、本日ロールアウトしたばかりの一夏の専用機、白式のデータを。

 

「……一夏には、悪いことをしたかな」

 

 本日初めて登場した機体の情報を何故彼らが持っているのか?その答えは、モニターを輝かせる目の前の端末にあった。

 

 白式の初期化と最適化処理を行うと同時に、8は白式に干渉し、データを吸い上げていた。

 男がISを動かせる理由(ワケ)を調べるために。そして、モルゲンレーテの発展のために。

 

「お兄ちゃんは悪くない。これは、私たちの仕事」

「……そうだな。割り切らねえと」

 

 パラメータや武装を映していたモニターが切り替わり、戦闘時の映像を表示する。

 

一次移行(ファーストシフト)……そして単一仕様能力(ワンオフ・アビリティ)、しかも零落白夜。……ったく、規格外だな、コイツは」

「単一仕様能力。通常、二次移行後に発現。同じ能力は発現しない……はず、だった」

「まあ、能力には謎が多いからな。そういうこともあるだろう。問題は……8、スペックデータを表示だ」

 

 再び画面が切り替わり、白式のカタログスペックが表示される。

 

「ここだ。見ろ、葵。こいつのコアナンバー……」

「No.001……。……フシギダネ?」

「……ここでボケるなよ。シリアスが台無しだ」

「……白騎士」

「そう、白騎士のコアナンバーと同一だ。白騎士もコアも、とっくに行方不明になったハズなのにな。しかも、8でも解析できない部分があった。……これ以上は、開発者にしか分かんねぇだろうさ」

「篠ノ之……束……」

 

 薄い光に照らされた部屋が、静寂で満たされる。春風が窓をなでる音だけが二人の間に漂っていた。

 

「……今日は、もう寝るか」

「……うん」

「よし……。8、とりあえず、このデータを暗号化して、モルゲンレーテに送信してくれ。俺達は、もう寝るからよ」

機械(メカ)使いの荒い奴だ》

「おやすみ、8」

 

 暖かな明りを消すと同時、気を利かせた8のディスプレイも消える。

 とりあえず、明日はどうしようか……とか考えながら、俺は眠りに就いた……。

 

 

 

 

 

 

 翌日、教室にて。

 

「おはよう、セシリア」

「あら、おはようございますわ、紅也さん。どうかなさいましたの?」

「ああ。クラス代表なんだけどな、俺、辞退しようと思ってんだ」

「まあ、どうしましたの?あなたなら、適任だと思ってましたのに」

 

 本気で分からないのか?この間、話しただろ。

 

「理由は二つ。一つは、俺は技術者だってこと。専用機持ちとはいえ、戦いは苦手だからな……。だから、あんなミスをする」

「一昨日のような、ですか?でも、結果的には勝ったのですから……」

「だから、あれは引き分けだって。

 で、二つ目。てか、こっちがメインなんだけどな。俺は、モルゲンレーテっていう企業のテストパイロットだから、基本的にはそっちが優先なんだよ。だから、何かあったときに自由が無さそうな、クラス代表は無理だ」

「そう言えば、そんなことも言ってましたわね」

 

 うんうん、とうなずくセシリア。こいつもなんだか角が取れてきたな。良い傾向だ。

 

「で、お前はどうする?やってくれるか?」

「いえ……。実質わたくしは2敗だったのです。それで代表を引き受けるなど、言えたものではありませんわ」

「勝ちは勝ちだろうに……お前も、なかなか頑固だな」

 

 ハア、とため息をつく。どんな過程でも、どんなにギリギリでも、勝てたなら誇っていいのに。ホント、急に謙虚になったな。

 ともかく、これで一夏が代表だ。……俺としては、願ったり叶ったりの状況になる。

 

「じゃあ、俺は織斑先生にそれを伝えてくるぜ。また後でな」

「ええ、後で」

 

 さて、織斑先生はまだ職員室にいるかな?

 

 

 

 

 

 

「では、一年一組代表は織斑一夏くんに決定です。あ、一繋がりでいい感じですね!」

 

 山田先生を始め、クラスの女子も大いに盛り上がっている。暗い顔をしているのは一夏だけだった。……あ、なんか手を挙げてる。

 

「先生、質問です」

「はい、織斑くん」

「俺は昨日の試合に負けたんですが、なんでクラス代表になってるんでしょうか?」

「それは―――」

 

 俺は、チラリとセシリアを見る。それに気付いたセシリアは、ガタンと音を立てて立ち上がる。

 

「それはわたくしと――」

「俺が――」

「辞退したからさ(ですわ)!」

 

 思い思いのポーズを取る。セシリアは腰に手を当て、俺はギ○ュー特選隊のファイティングポーズだ。……どっかーん、と、背後で爆発が起こったような錯覚を覚える。

 

(……決まった)

 

「……で、何でまた」

 

 流すなよ、一夏。これじゃ俺達、痛い子じゃないか。

 

「まあ、わたくしとの勝負はあなたの負けでしたが、しかしそれは考えてみれば当然のこと。なにせわたくしセシリア・オルコットが相手だったのですから。それは仕方のないことですわ。……それで、まあ、わたくしも大人げなく怒ったことを反省しまして、一夏さんにクラス代表を譲ることにしましたわ」

「それは、ありがた迷惑というか、俺もやりたくないというか……」

「おっとぉ、勘違いするなよ一夏。あの日、あの時、あの場所で、君に……じゃなかった。織斑先生がなんて言ったか、一字一句違えず思い出すんだ」

 

 確かに、こう言っていた。

 

『……とりあえず、他に候補はいないな?ならば、この三人でバトルロイヤルを行い、勝者がクラス代表を決定する(・・・・・・・・・・)。それでいいな?』

 

「セシリアと俺は一勝一引き分け。お前は二敗。俺とセシリアがお前をクラス代表にするなら、これは決定事項だ」

「なん……だと……」

 

 崩れ落ちる一夏。ホント、からみやすい性格だ。

 

「と、いうわけでみんな、いいかなー?」

「「「「いいともー!!」」」」

 

「いやあ、セシリアもわかってるね!」

「そうだよねー。せっかく世界で二人だけの男子がいるんだから、同じクラスになった以上持ち上げないとねー」

 

 おおう、今の奴、結構上から目線だな。……二人だけ、じゃないけどな。損にしかならないネタばらしは、この場では必要ないだろう。

 

「私たちは貴重な経験を積める。他のクラスの子に情報が売れる。一粒で二度おいしいね、織斑くんと山代くんは」

「ちょっと待て!最近、俺の利益が減ってると思ったら、勝手にそんなことしてたのか!?こうなったら決闘だ!本気紅也で相手してやる!!」

「へへーん、山代くん。独占は良くないよ!独占禁止法って、知ってる?」

「フッ、ここはIS学園。日本であって日本でない、治外法権エリアだ!!」

「こら、勝手に人を商売に使うなっつーの!」

「「黙れ、客寄せパンダ」」

「ひどっ!?」

 

 一夏は黙っていろ。これには、俺の生活がかかってるんだ。

 ……あの四人、奢りだからってあんなに食べやがって。

 

「そ、それでですわね」

 

 コホン、と咳払いをして、あごに手を当てるセシリア。なにか、言い出しにくいことでもあるのか?

 

「わたくしや紅也さんのように優秀かつエレガント、華麗にしてパーフェクトな――」

「俺はそんなんじゃないけどな」

「――パーフェクトな人間がIS操縦を教えて差し上げれば、それはもうみるみるうちに成長を遂げ――」

 

 無視か。俺の意見は無視か。

 バン!と机を叩いた音が響く。おそらく箒だろう。ああ、言ってやれ。一夏の教官は自分一人で足りていると―――

 

「あいにくだが、一夏の教官は足りている。私たちが、直接頼まれたからな」

 

 ……『私たち』?あなたと、誰?何となく想像はつくけど……。

 殺気すらこもっている視線で、セシリアを射抜く箒。これは修羅場か?一夏を盗られると思った、箒の嫉妬か!?俺を巻き込むな!

 

「あら、あなたはISランクCの篠ノ之さん。Aのわたくしに何かご用かしら?」

 

 セシリアァァァ!!火に油を注ぐな!……というか、俺の性別は知らなかったくせに、どうして他人のランクを知ってるんだ。

 「戦闘力5か、ゴミが」っていうような目で見るなよ!!誰だよ、角が取れてきたなんて思った奴は!

 

「ら、ランクは関係ない!頼まれたのは私だ。い、一夏がどうしてもと懇願するからだ」

 

 歴史が歪んだな。頼まれたのは俺だった気がするが。

 ……今思い出してみると、ひょっとしてアレって、俺が女だという証拠を集めるために頼んできたのか?だとしたら傑作だ。お互い、相手を探るために近づいたんだから。

 

「ハハハハッ……!」

「な、紅也!?」

「なにがそんなに可笑しいんですの!?」

「ああ、声に出てたか、悪い(……やばい、ごまかさねぇと)。

 いや、あのだな、二人とも得意分野が違うんだから、二人(・・)で一緒に教えたらどうだ?せっかく決まった代表様なんだ。出来る限り鍛えたいじゃないか」

 

 ふう。これでいいだろう。

 さっきのごまかしもできたし、俺も蚊帳の外。急場の機転にしては、なかなかじゃねぇか。

 

 ……と、思っていた時期が俺にもありました。

 

「そ、そうですわね。では、わたくしたち三人で……」

「う、うむ、やむを得んだろう。紅也、オルコット、よろしく頼む」

「あ、あるぇ、俺は、君たち二人に頼みたかったんだけどナー」

 

 何ということだ。どんな世界線でも、俺が教官になるという状態に収束するのか。

 これも運命石(シュタインズ)の扉(ゲート)の選択だとでもいうのか。

 認めん。認められるか、こんな……。心情的には急降下を通りこして、水没した気分だ。

 

 ばしん、ばしん、パァン!

 もはやチャイム代わりとなった朝の風物詩、出席簿の音が響き渡る。

 

「座れ、馬鹿ども」

 

 でーでーでー でっででー でっででーん

 

 出た、ダースベイダー。もとい、織斑先生。

 俺達はあわてて席に着く。ここで逆らっても、良いことは一つもない。

 

 バシン!

 

「その得意げな顔はなんだ。やめろ」

 

 安心してくれ、みんな。叩かれたのは俺じゃない。一夏だ。

 なぜ叩かれたのかは知らん。まあどうせ、なにか良からぬことを考えていたのだろう。

 

「お前たちのランクなどゴミだ。私からしたらどれも平等にひよっこだ。まだ殻も破れていない段階で優劣を付けようとするな」

 

 そりゃ、あなたから見ればひよっこでしょうよ。

 フリーザ様から見たヤムチャみたいなもんでしょう。俺?クリリンぐらいじゃない?

一撃ぐらいは当てられる……はず。

 

「代表候補生でも一から勉強してもらうと前に言っただろう。くだらん揉め事は十代の特権だが、あいにく今は私の管轄時間だ。自重しろ」

 

 山田先生の時間ならいいのか。ひどいな。

 

 バシン!伝家の宝刀でバッサリやられたのは……またしても一夏だ。

 

「……お前、今何か無礼なことを考えていただろう」

「そんなことはまったくありません」

「ほう」

 

 バシンバシン!これはもう、コミュニケーションだとかそういうプレイにしか見えないな。

 一部の女子が羨ましそうな目で一夏を見ている……。

 

「すみませんでした」

「わかればいい」

 

 ……本当に、何を考えていたんだろうか?気になるが、気にしたら叩かれる気がする。

 

「クラス代表は織斑一夏。異存はないな」

「「「「はーい!!」」」」

 

「かくして、一年一組のクラス代表は、織斑一夏に決定したのだ。

しかし……これが、あの悲劇の始まりになるとは、この時点ではまだ、誰も知らなかったのであった……」

「ちょ、不吉なナレーションを入れるなぁ!!」

 

 バアン!×2 

 

 一難去って団結した一年一組は、今日も今日とて平和だった。

 

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