IS~RED&BLUE~   作:虹甘楽

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タイトルを見る限り、この頃はコードギアスにハマっていたような気がする。

さて、お待たせしました!鈴ちゃんの登場です!


第14話 中国 からの 刺客

 コンコン。

 ノックの音が、静かな部屋に響く。

 

「……紅也さん?いらっしゃいますか?」

 

 ドアの外から聞こえる声の主は、おそらくセシリアだ。

 

「ん、何か用か?」

 

 なるべく平静を装う。まだ、先程の自己嫌悪からは立ち直っていない。正直、今は誰とも顔を合わせたくなかった。

 

「大丈夫ですか?今日の練習には参加していなかったので、皆さん心配してましたわよ」

 

 そういうお前が、一番心配してたんじゃないか?声に出てるぜ?

 

「大丈夫だ、問題ない」

「……山代さんが、『アナタがそう言うときは大丈夫じゃない』って言ってましたわよ」

「……そうかい」

 

 葵め。よく見てるな。

 

「ホントに大丈夫だって。で、ホントに何の用だ?」

「そうでしたわ。これから、一夏さんのクラス代表就任パーティーをやるそうなので、そのお誘いに来ましたわ」

「そっか。悪いけど、俺は―――」

 

 行かない、と言いかけ、少し言い淀む。

 ここで行かなければ、クラスの全員に不信感を与えるかもしれない。おそらく一夏も、俺に対して何らかの疑いを持つだろう。それは、やはり、少しばかりマズイ。

 

「――少し支度をしてから、行くよ。悪ぃけど、先に行っててくれ」

「本当ですか?それでは、先に行ってますが……」

 

 足音が遠ざかっていく。それを聞き、思わず安堵のため息をもらす。

 顔をパン!とはたき、洗面所で顔を洗う。……少しだけ、マシな顔になった。

 

「……行くか」

 

 制服を再び着込み、俺は廊下へと足を踏み出す。

 

 

 

 

 

 

「というわけでっ!織斑くんクラス代表決定おめでとう!」

「おめでと~!」

 

 ぱん、ぱんぱーん。

 クラッカーが乱射される。俺が着いたときは、すでにパーティは始まっていた。

 ……一夏、暗いぞ。主賓なんだから、もっと明るくしろよ。俺も人のことは言えないが。

 

「いやー、これでクラス対抗戦も盛り上がるねえ」

「ほんとほんと」

「ラッキーだったよねー。同じクラスになれて」

「ほんとほんと」

 

 ……いや、こんな子、クラスにいたっけ?

 よく見ると、明らかにうちのクラスの人数を越えた人間がいる。葵も呼んでやればよかったかな?

 

「人気者だな、一夏」

「……本当にそう思うか?」

「ふん」

 

 一夏と箒はいつも通りだな。あいつらにも迷惑かけたよな、絶対。謝った方がいいかねぇ?

 

「よう、いch……」

「はいはーい、新聞部でーす。話題の新入生、織斑一夏君に特別インタビューをしに来ました~!」

「…………」

 

 ……まあいい。俺も大人だ。これぐらいじゃ、怒らんさ。みんな盛り上がってるしな。それが一番大事、だ。

 

「あ、私は二年の黛薫子。よろしくね。新聞部副部長やってまーす。はいこれ名刺」

 

 同じ(まゆずみ)でも、某ストラップの人と比べて、ずいぶんおしゃべりだ。友達は多いか、うざがられて少ないか、どっちだろうな。

 

「ではではずばり織斑君!クラス代表になった感想を、どうぞ!」

「えーっと……まあ、なんというか、がんばります」

「えー。もっといいコメントちょうだいよ~。俺に触るとヤケドするぜ、とか!」

「自分、不器用ですから」

「うわ、前時代的!」

 

 どっちもどっちだと思うが。……と、まゆっち……もとい黛先輩はこちらを向く。

 

「おっと、こっちはもう一人の男性操縦者、山代紅也君!コメントもらっていいかな?」

「『俺に触るとヤケドするぜ!』」

「あー、『』つけなくていいから。真面目によろしく」

「あんたが言うか。じゃ、『どんな困難も、この刀で切り開くぜ!』ってのは?」

「いいね、決定!でも、刀をこっちに向けないで。怖いから」

 

 そう言われ、人間サイズの日本刀を収納(クローズ)。演出って大事だよね!

 

「じゃ、最後にセシリアちゃんもコメントちょうだい」

「わたくし、こういったコメントはあまり好きではありませんが、仕方ないですわね」

 

 どの口が言うか。さっきから、俺の後ろに控えてたじゃねぇか。

 ……こうしてツッコミをいれていると、いつもの調子に戻っていくから、不思議なものだ。

 

「コホン。ではまず、どうしてわたくしがクラス代表を辞退したかというと、それはつまり――」

「ああ、長そうだからいいや。写真だけちょうだい」

「さ、最後まで聞きなさい!」

「いいよ、適当にねつ造しておくから。よし、織斑君に惚れたからってことにしよう」

「なっ、な、ななっ……!?」

 

 顔を赤くするセシリア。なにうろたえてるんだ。たとえ図星でも、軽く流せばいいものを。

 

「何を馬鹿なことを」

 

 そう、一夏のようにな。こいつの場合は自然体だけど。

 

「え、そうかなー?じゃあ、山代君に?」

「えっ、なっ、あの……」

 

 チラチラとこちらを見るセシリア。だから、からかわれたくらいでうろたえるなよ。俺だって、そんなに気にされたら、意識しちまうじゃねぇか。

 

「まあ先輩も、からかうのはその辺にしましょうよ。セシリア、完全にテンパってますよ」

「わ、わたくしは……い、いえ、別に嫌いではないですよ、お二人とも。し、しかしですね、その、あの……」

 

 さっきから虚空に向かって話すセシリアは、パッと見、かなり危ない人だ。

 

「あー……やりすぎたちゃったか」

「ウブですねぇ、セシリアは。……で、先輩。コレ、元に戻せますか?」

「なあ、紅也。さっきからセシリアは何やってんだ?」

 

 一夏、少しは空気を読め。

 

 

 

 

 

 

「はい、じゃあ三人で並んでね。写真撮るから」

「よし、じゃあ、誰が真ん中に写るか、じゃんけんで決めようぜ!」

「……いや、代表なんだから一夏が真ん中だろ常考」

「それも良いですが、しかし……わたくしを挟んで両隣りに……ブツブツ」

 

 セシリア、まだ直ってない。BJ先生、助けて!!

 

「織斑君が真ん中、二人は両隣ね。それでいい?」

「ああ」「よくな―」「かまいませんわ」

 

 ハイ決定。並んで並んでー。

 

「じゃ、三人とも手を重ねて……うん、OK!」

 

 あんたはOKかもしれないが、一夏を見る箒の視線が怖い。……うわっ、俺まで睨むなよ。

 

「……なんだよ、箒」

「何でもない」

 

「ああっ、わたくしは、今……」

「ハイ、セシリア。これ終わったら休もうなー」

 

 妙にソワソワする一夏に、モジモジが止まらないセシリア。そしてそんな二人を出来る限り無視する俺。……カオスが大きすぎる。修正が必要だ。

 

「それじゃあ撮るよー。35×51÷24は~?」

 

 奇数×奇数÷偶数。少なくとも偶数じゃない。

 

「え?えっと……2?」

「ぶー、74.375でしたー。」

 

 今の、意味あったの?

 とか呆けてる間に一枚パシャリ。撮影終了。

 しかしすごいな。示し合わせたかのように、全員が写真に入ってきた。この団結力、この国の与党も見習うべきだと思う。

 

「あ、あなたたちねぇっ!」

「まーまーまー」

「セシリアだけ抜け駆けはないでしょー」

「クラスの思い出になっていいじゃん」

「ねー」

 

 やっぱり凄いぞ団結力。そんな中、俺は……

 

「で、先輩。この写真、全員分焼き増ししてもらえますか?」

「うーん、全員分となると、ちょっと費用がなぁ……」

「なら……俺が独占してる織斑一夏の情報、アナタに優先して回すようにしますよ」

「え!?一年の情報を仕切ってたのって、君だったんだー。ふーん、なかなかやるねぇ」

「じゃあ、交渉成立ってことで」

「ええ。クククク……」

「フフフフ……」

「「あーっはっはっは!」」

 

「なにをやっているのだ、お前たちは……」

 

 そんな俺達を、箒は呆れた目で見ていたとさ。

 

 宴は、まだまだ続く――

 

 

 

 

 

 

「で?」

「『で?』とは?」

「私は?」

「……ゴメンな、急に聞いたから、知らせられなくて……」

「ケータイ」

「うっ!?……スマン、騒ぎすぎて連絡忘れてた!!ゴメン、葵!!」

「……ふん」

 

 時刻は午後10時過ぎ。昼間の気分を吹き飛ばす勢いで騒ぎ、すっかり満足して部屋に戻った俺を待っていたのは、怒り心頭といった感じの葵であった。

 

「じゃあ、えっと、アレだ。明日、久々に一緒に昼飯食おうぜ。……奢るよ」

「……しょうがない。許す」

「ゴメンな」

 

 どうやら、許してくれるみたいだ。食べ物で釣るようなマネをして、非常に情けないが。

 

「……そういえば」

 

 ベッドに入った俺に、葵が話しかけてくる。

 

「二組に転校生」

「……へぇ、この時期に?」

 

 何で最初から入って来ないんだろう?こんな時期に転入なんて、某団長が喜びそうだ。

 

「で、何でそんなことを知ってんだ?」

「案内した」

「へえ、珍しいな。葵が自分からそんなことを……」

「捕まった。すごく強引。ああいうの、苦手」

「……ああ~」

 

 どうやら謎の転入生は、よっぽどお転婆と見えた。

 葵に、三文節もしゃべらせるなんて、驚異的だ。

 

「……内偵、かもな。俺か一夏の」

「だと思う。一夏見て、声かけようとしてた。かけなかったけど」

 

 そいつは、ちょっと注意が必要かな……と考えながら、電気を消す。

 一夏を探りに来た。この答えは、ある意味正解、ある意味ハズレだと気づくのは、まだ先のこと――――

 

 

 

 

 

 

 翌日。

 

「山代くん、おはよー。ねえ、転校生の噂聞いた?」

 

 席に着くなり話しかけてくる女子。よっぽど、この話題が気になるんだろう。

 

「噂じゃない、事実だよ。二組だってさ。妹から聞いた」

 

 隠すことでもないので、ありのままを話す。すると……

 

「「「「えー!!妹!?」」」」

 

 教室中が大騒ぎに。何だ、噂よりもそっちに食いつくのか!?

 

「おはよう……って、何だこの騒ぎ」

 

 一夏が教室に入ってきたのはそんな時。さっきまで俺と話してた女子が、すぐに一夏の方へと向かう。

 

「織斑くん、おはよー。ねえ、二組の妹の噂、聞いた?」

「おーい、混ざってるぞ」

 

 訳の分からない噂になってしまった。が、彼女は続ける。

 

「なんでも、転校の代表候補生なんだってさ」

「転校代表!?なんだそりゃ?」

 

 俺だって知らねぇよ。だからこっち見るな。セシリアか箒に聞きなさい。

 

「違う違う、妹の代表候補生だよ!」

「妹代表!?ホントに何なんだ?」

 

 惜しいけど。確かに、俺の妹、代表候補生だけど。

 

「……で、ホントはどういうことなんだ?」

 

 隣の席の女子に質問する。

 

「うーんとね、中国の代表候補生が、二組に、転入してくるんだって」

「ああ、なるほど」

 

 ようやく理解。ホント、情報伝達のミスって恐ろしい。

 

「あら、わたくしの存在を今更ながらに危ぶんでの転入かしら」

 

 ここでセシリア登場。が、それは無いと思う。狙いは織斑一夏だろう。

 ……しかし、中国か。老師、元気にしてるかなぁ。

 

「このクラスに転入してくるわけではないのだろう?騒ぐほどのことでもあるまい」

 

 箒も参戦。何だ、寂しいのか?

 

「何者、なんだろうな。目的は……」

「む……気になるのか?」

「……ああ。こんな時期に転入ってのは、不自然すぎるぜ。何か、裏がある……」

「それはもちろん、このセシリア・オルコットの……」

「あ、悪いなセシリア。今、シリアスパートなんだ。そういうのはまたの機会にやってくれ」

「まさかのギャグ要員扱い!?」

 

 なぜか涙目のセシリア。……え、まさか、本気で言ってたの!?

 

「まあ、箒の言う通り、現時点での影響は少ないはずだ。無視しても大丈夫だろう」

「そ、そうか?そうだろう、うんうん。それよりも、今考えるべきは、来月のクラス対抗戦だ」

「そ、そうですわ、一夏さん」

 

 急に話を振られた一夏が、こちらにやってくる。

 「妹……代表……シスプリ……」とか呟いてるあたり、まだ混乱中だろう。キーの実を食え。

 

「クラス対抗戦に向けて、より実戦的な訓練をしましょう。ああ、相手ならこのわたくし、セシリア・オルコットが務めさせていただきますわ。なにせ、専用機を持っているのはまだクラスでわたくしと一夏さんと紅也さんだけなのですから」

 

 『だけ』じゃない。3人もいる。って思ったが、軽くデジャブを感じる。

 ……ああ、昨日の朝にそんな会話をしたっけ。

 

「まあ、やれるだけやってみるか」

「やれるだけでは困りますわ!一夏さんには勝っていただきませんと!」

「そうだぞ。男たるものそのような弱気でどうする」

「実際弱いのに、気持ちで負けてたら勝てないぞ。せめて負けないイメージは持っておけ」

「織斑くんが勝つとクラスみんなが幸せだよー」

「おい、紅也!おまえだけヒドイな!?」

 

 ちなみに、上からセシリア、箒、俺、布仏さんだ。……しかし、会話が進むにつれて、どんどん人が集まってくるな。あっという間に、囲まれてしまった。

 目立つせいかもしれないけど、俺たちはもう、このクラスの中心人物になっているようだ。

 

「織斑くん、がんばってねー」

「フリーパスのためにもね!」

 

 ちなみに、クラス対抗戦で優勝すると、そのクラスには学食デザートの半年フリーパスが配られる。デザートってあたりに、女子校らしさを感じるな。

 

「……でも、今年は専用機持ちのクラス代表が3人。ウチと、3組と、4組……。頑張らないと厳し……」

「――その情報、古いよ」

 

 ふと、聞きなれぬ声。教室の入り口の方に目を向けると、見たことのない人物がいた。

 小柄な体躯に、特徴的なツインテール。イメージはちっちゃい遠坂。そんな子が、腕を組み、片膝を立ててドアにもたれかかっている。……こいつが、転校生――?

 

「2組も専用機持ちがクラス代表になったの。そう簡単には優勝できないから」

 

「鈴……?お前、鈴か?」

 

 驚いた。名前まで凛とは……。……というか、一夏の知り合いか?

 

「そうよ。中国代表候補生、凰鈴音(ファン・リンイン)。今日は宣戦布告に来たってわけ」

「何格好付けてるんだ?すげえ似合わないぞ」

「んなっ……!?なんてこと言うのよ、アンタは!」

 

 ……どうやら、メッキの薄さは遠坂以上だったようだ。こっちが地か?

 そんな転校生に興味を持ったクラスメイトたちは、俺から離れて少女の方へ向かう。

 そして、取り巻きのいなくなった俺と、転校生の目が、合った。

 

 一秒、二秒……沈黙が続く。少女の表情に驚愕が混ざっていくのが、見て取れた。

 

「な……」

 

 それは、まるで、ありえないモノを見たような――

 

「なんでアンタがここにいるのよ、(ホン)!!」

 

 少女の大声が、教室に響く。

 

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