魔法科高校の立派な魔法師   作:YT-3

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ちょっと予想より長くなったので分割です。


第三十六話 母の想い、子の想い

  

 およそ3時間ほど前にロビーに女神様が降臨なされたり、その後とある生徒会長が盛大に自爆したりして大会委員や各校に波紋が広がってはいたが、パーティーは予定通り18時きっかりに始まった。さすがに、このために集まっていただいた各方面の有力者の方々を待たせるわけにはいかなかったのだ。

 

「ナギ……なんで彼女を連れてきたんだ」

「違うんだ達也くん……。ボクの知らないところで、勝手に来ることが決まってたんだ……」

 

 そんな一角、一高選手団が固まっているあたりで、呆れた様子の達也と疲れ果てた様子のナギが会話をしている。

 

「そうか……どうしようもなかったんだな」

「うん。もう何もできなかったんだ……」

 

 二人の視線の先には、はしゃいだ様子で取り皿に山盛りの料理を盛る(コノ)(カ様)が居た。なぜか一高の制服姿で。

 

「これもある意味貴重な経験、なのか? 俺にはどうも周囲の人間が萎縮しているようにしか見えないんだが」

「安心して、ボクもだよ。 ぽっかりと空間が空いちゃってるよね、折角の料理なのに」

 

 しかも、その空間の周囲にはこの機会に接触しようと各界の有名人が集まっていて、それにも萎縮してさらに空間ができるという、もはや誰が主役なのかが分からなくなる光景が広がっていた。

 

「完全に主役を食っているな。一応今も魔法科大学の教授が話している真っ最中なんだが」

「そこは毎年のことらしいよ。みんな情報戦とかに集中してて、九島(くどう)老師の話以外は二の次なんだって。主役を奪っちゃってることは否定しないけど」

「なるほど。確かにさっきから深雪や市原先輩が他のところを回ってるな。すでに九校戦は始まってる、ということか」

「そういうことだね」

 

 実際に視線を動かしてみると、鈴音と服部、深雪の生徒会役員+(プラス)十文字が、二高の代表と思しき集団と表面上はにこやかに会話をしていた。

 

「ところで、あれって本当なら真由美お姉ちゃんがすることだと思うんだけど、なんで来てないのか知ってる? さすがにもう起きてるはずなんだけど。

 それに、さっき突然気絶しちゃった理由もよく分からないし」

「……すまない。理由は推測できるが、どちらも俺の口から教えることはできない。

 どうしても知りたければ、直接本人に聞いてくれ。他人には、特に、『絶対に』あの女神には聞くなよ」

 

 あの女神はどうにも口が軽そうだから、そういう意味では信用出来ない、という失礼すぎる思考から、念を入れて釘を刺す達也。いくらほぼすべての強い感情を消されたと言っても、真由美に同情するぐらいにはそういう感情も理解できるのだ。

 

「? よく分からないけど、分かったよ」

 

 それに対して本気でよく分かっていない様子のナギ。

 これが単なる学友だったらもしかしたら思い当たるのかもしれないが、姉弟として付き合ってる真由美からそんな感情を持たれているとは、一欠片も思っていないのだろう。

 

「……あの会長もかわいそうね」

 

 横合いからそんな声がかけられて、二人は振り返った。特に、ここに着いてからコノカのことで慌ただしかったナギは、彼女がここにいるのを知らなかったからか頭上に疑問符を浮かべている。

 

「あれ?エリカさん? なんでここに?」

「バイトよバイト。ここに泊まらせてもらう見返りに働いてるの。美月とミキ、それにアイツも一緒にね。

 そういうわけで。お客様、お飲み物はいかがですか?」

「へぇ〜、そうなんだ。その服もよく似合ってるね。

 それじゃあ、一つもらおうかな」

「……むう。はい」

 

 なんでもないことのようにさらりと褒めているが、現在のエリカの服装はメイド服だ。突然そんな服装で知り合いが出てきたら慌てるのが普通であり、エリカもそれをからかうのを楽しみにしていたのだが、ナギが乗って来なかったので不満そうである。褒められたこと自体は嬉しかったのか、突っかかることも出来ないようだ。

 まあ、彼からしたらメイド服や和装メイド服で戦うような人たちを知っているので、今更メイド服で給仕をしていても何も感じようもないのだ。せいぜい、『縫製の腕は(マス)(ター)のほうが上だな〜』ぐらいのものである。

 

「俺ももらおうか。

 それにしても、よく美月がそれを着ることを認めたな。それに、男も執事服だろう? 幹比古とレオも抵抗しそうなものだが」

「そりゃ抵抗したわよ、ミキが。あとの二人は厨房で皿洗いね。

 本当はミキもそっちだったんだけど、急病で代役が必要になっちゃって」

「それは幹比古くんも災難だったね」

「それでも、男のくせに往生際が悪いったらありゃしない。

 ……それじゃあ、あたしは仕事に戻るから」

 

 何故か急に話を切り上げて、そそくさと去っていくエリカ。

 普段の彼女だったらしばらく話し込んでそうなものだが、ナギも達也も原因は理解していた。隠しようもないオーラが、後ろから近づいて来ているからに決まっている。その人となりを知っていれば、誰だってあんな人型の天災とは進んで関わりたくないのだ。

 

「ナギく〜〜ん! ここの料理な、すごい美味しいねん! 一緒に食べに行こ!」

「……あっ! た、他校の友達を見つけたので行ってきますね!」

 

 逃げる気満々だった。

 

「え〜。ほな、ウチも……」

「コノカさんはちょっと待っててくださいね。一人古式の方がいるので、一緒に行くと緊張させちゃいますから」

「ぶぅ〜! ナギくんのいけずぅ〜。

 ほなウチは、え〜と達也くん、やったっけ? この子とお話でもしてますぅ〜」

「いいですね! 達也くんもいろいろ聞いてみたいこともあるでしょうし!」

 

 達也の視線がナギを射抜く。その顔には、『裏切り者め』と大きく書かれていた。

 

「それじゃあ!」

「うん。またあとでな〜!」

「え、ええ。また後で」

 

 最後の方は口元が引き攣っていたが、シュタッと右手を挙げて去っていった。

 

「それじゃあ、お話ししよか達也くん?」

「……ええ。そうですね」

 

 周囲の大人からの嫉妬の目線に、代われるものなら代わってやりたい、と思いながら、諦めた様子で溜息を吐く達也。

 幸い、と言ってはなんだが、美月のように霊子放射光過敏症というわけでもなく、深雪や幹比古とも違いあまり(プシ)(オン)を感じ取りにくい()()()()のため、そこまで萎縮してしまうようなこともない。ナギが帰ってくるまでただ話していればいいだけだ。

 

 ——そんな考えは、最初の『一言目』から、木っ端微塵に吹き飛ばされることとなる。

 

「えーと、それじゃあ何から話そか?」

『ちょっと他人(ひと)には聞かれたくない話やろし、念話でええ?』

「なっ⁉︎」

 

 耳と頭で同時に聞こえた声に一瞬驚きの声を上げてしまったが、慌てて口をつぐむ。側から見てると不自然極まりないことに気付いたからだ。

 

「そうやなぁ。妹さんとはどんな関係なんや?」

『頭の中で念じてくれればウチに伝わるから、そっちで何かする必要はないで』

「ただの兄妹ですよ。それ以外に何があるっていうんです」

『……一体なんですか、【聞かれたくない話】とは』

 

 口から適当な返事をしながら、達也の思考は別のところにあった。

 彼は多くの秘密を抱えている。世界にも数えるほどしかいない戦略級魔法師として軍に、天才魔工師トーラス・シルバーの片割れとしてフォア・リーブス・テクノロジーに所属していること。そして、最も知られたくないのは、自分の母親の実家、つまりは……

 

『ああ、四葉家も関係はしとる話や』

 

 ドクン、と心臓が高鳴る。

『知られてはいけない』なんて心構えなどまるで意味が無いように、目の前の女神は知ってしまう。いや、あの時『知った』のか。

 それは、達也にとって、決して無視できないことであった。

 

『正直、ウチは四葉家とかいう家は嫌いや。なんであんなことが出来るのか、全く理解できへん』

『それは、いったいどういう……』

 

『四葉』のしてきたことを考えれば、達也の知っている限りでもいくつも候補は挙げられる。

 だが、目の前の女神は、それとは違う、全く別の重大なことを言っているような気がしたのだ。

 

『それは、キミはまだ知るときやあらへんと思う。だから言わへん。

 それよりも、一つだけキミに言いたいことがあるんや』

『……いったいなんでしょうか』

 

 達也としては、それがなんなのかは気になるところだ。

 しかし、彼女にそれを言う気がない以上、達也に聞き出す術はない。実力行使が出来ない相手だということは、感情を挟ず本能的に理解させられている。

 

『……キミは堕ちたらあかんで』

『……おちる、ですか?』

『うん。人の道を外れたらあかん、ちゅうことや。

 キミの恨みも理解できる。キミが受けたことは、肉親にされるようなことやなかったもんな』

『……勘違いですよ。多分もうご存知でしょうけど、俺には【恨む】なんて機能は残されていませんから』

 

 おそらく、達也の人生で初めてだろう。バレているだろうとは思っていても、()()()()を、能動的に誰かに話すということは。

 

『それこそキミの勘違いやで。キミは確かに強く恨んどる』

『ですが、俺には……』

『キミのお母さんがかけた【呪い】がある、やろ?』

 

【呪い】。言い得て妙だ。確かにこれは、ある種の呪いと言えるかもしれない。

 

『でもな、ヒトがヒトである限り、感情を消すことなんか不可能なんや。それがヒトたらしめるモノなんやからな。

 それをなくしてしまうちゅうことは、人格を消して機械にしてまうしかあらへん。でも、キミはキミとして考えて、今を生きとるやろ?』

『じゃあ、俺にかけられたのはなんだったって言うんですか』

 

 達也も、コノカの言うことに一理あるとは思っているのだ。

 しかし、自分が一つを除き強く感情を持てないのは事実だ。コノカの言う通りなら、なんで今自分はこんな状態になっているのかがわからない。

 

『それはな、感情を失くすんやのうて、感じさせなくするものや』

『……それは、単に言葉を変えただけでしょう』

『違う、全然違うで。

 ええか? キミは確かに感情は一つ残さず余すところなく持ってるんや。でも、ある一定の値を超えると、それ以上理解させないように思考に枷を嵌めさせる。それがキミの【呪い】の正体や』

 

 コノカの口から語られた、いや、頭に直接伝えられた話は、達也に衝撃をもたらすものだった。

 

『そもそもの話や。キミは怒ることもできるし悲しむこともできるやろ? 妹さんが関わったんやったら』

『それは……』

『な? おかしいやろ?

 本当に兄弟愛以外の感情を失ったんやったら、妹さんを大切にすること以外は出来へんはずやで。たとえ妹さんを傷付けられても、妹さんの心配をするならともかく、相手に怒って我を忘れるなんてことはないはずや。

 でも、実際にはそれが出来てまう。それはつまり、強い怒りや強い悲しみをキミは持っとるちゅうことや。たぶん、さっき言うた【枷】が、兄弟愛から他の感情に行く時だけかからんようになっとるんやろ』

 

 コノカが指摘したことは意識の隙間を突かれるもので、達也は呆然としていた。

 感情を失っていない、ただ感じさせなくするだけ。そんな可能性は、今まで考えたこともなかったのだ。

 

『……ですが、俺に後付けされた魔法演算領域はどうなるんです。あれをするには、思考領域を潰すしかないでしょう』

『その通りやと思うで。現にキミは意識的に魔法を理解できとるみたいやしな。

 でも、そもそもや。人が常に全力で何かを考えてるわけやあらへんやろ? 死にかけて走馬灯を見てたりするなら別やけど』

『それがどうしたというんですか?』

『つまりや。キミは確かに意識ができる領域を失うてしもうた。……普段使ってない、人が一生使わないようなところをや』

『なっ⁉︎』

 

 人が使わない意識領域。その存在は確かにあるはずで、そんな存在を認識できたのは、この世でたった一人だけだろう。

 

『たぶんやけど、キミのお母さんは分かっていてやったんやと思うで。

 お腹を痛めて産んだ子や。たとえ周りから無理矢理やらされることになっても、最後までキミの心を守りたかったんやろな』

『……確かに、精神構造なんてものを理解できるのは母さんだけです。その方法なら、表面的には感情を消して魔法演算領域を作ったように見えて、周囲から何かを言われるようなこともないでしょう。

 ですが。それでも俺が感情を感じられないことには変わりありません。結局同じことをしてるのは変わりがないでしょう』

『言うたやろ、【枷】やって。

 元から消してまうならまだしも、そんなに長い間管理もされずただ封印しとるだけやったら、次第にすり減っていくもんや。そうして、キミが強い感情を感じようとするたびに薄くなってって、いつかは解けてまう。

 その時に、キミは感情を取り戻すんや』

 

 感情が戻る。その可能性は、達也を絶句させた。

 それは、ありえないと思っていた話。ただ友人と笑い、時には喧嘩し、恋におちる。

 そんな、当たり前で、自分には来ないと思っていた未来が、いつの日か得られるかもしれない。

 

『キミに厳しく当たってたのも、あまり感情を揺れ動かしすぎて、キミが一人で立てるだけの力をつける前に感情を取り戻さないようにしてたんやろな。嫌われてでも子のために動く、立派な母親やで』

『……それは全部推測でしょう。可能性はあるかもしれないが、証拠がない』

『証拠ならあるで。ウチの感覚や』

 

 達也が苦し紛れに言った最終手段も、女神には全く効果がなかった。

 

『ウチら神様の核は精神体や。特に、人から集まる思いでウチらは形作られとる。せやから、ウチに限らず神様ちゅうもんは、感覚的に人の感情を理解できるんや。そうゆうことで祀られてる神様以外は、目の前の人限定なんやけどな。

 その上で言えるで。断言してもええ、キミは他の人と変わらないだけの感情を持っとる。いや、普通の人以上の感情を溜め込んどる。感情は持っとるのにそれを理解してないから、処理されずに溜まってくんやろ』

 

 それは、コノカの推測を、(はは)(おや)の愛情を裏付けすることに他ならなかった。

 

『…………そんな…………』

『特に、恨みの感情がハンパやない。それを使って呪術をしたら、簡単なものでも人一人を軽く殺せてまうぐらいにはな。

 せやから心配なんや。そんな感情を一人で持つのは、少しのきっかけで簡単に人をやめられるちゅうこと。そんなんはあの子だけでええ。

 キミはまだ間に合う。お母さんが残した枷のおかげで、どんなに考えても堕ちへん今のうちに、よく考えて、ヒトとして折り合いをつけることや。きっと、キミの周りも協力してくれる』

 

 受け容れろ、とは言わない。その先に待つのは、深い闇に飲み込まれる未来だけだ。

 しかし、闇は受け入れなくてもいつかはやってくる。

 ならば、今いる場所から闇に堕ちないようにするには、他人との繋がりが絶対に必要になる。

 

 ——救星の英雄が、教え子たちと育んだ絆のように。

 

 ——氷雪の吸血鬼が、時空の狭間で育んだ淡い恋心のように。

 

 達也も、自らの深い闇に飲み込まれても人の道に戻れるように、くびきを作らなくてはならない。強く、強く、決して外れないような。

 

『それが、ウチがキミに伝えたかったこと。今キミに、本当に必要なことや。

 恨むな、とは言わへん。そんなんは、どんな存在でも不可能や。

 だから、キミが支えられない分は人に頼ればええ。キミには、キミを受け止め、支えてくれる人が必要なんや。あの子にとっての彼女たちのように』

『……あの子とは、もしかして……いえ。聞かないでおきます』

 

 達也の脳裏に赤毛の少年がチラついたが、それは踏み込んではいけないことだと察した。特に、自分が抱いているという恨みと比較させられるだけの『何か』を乗り越えたのだというのだったら、なおさらだ。

 

『そおしてくれるとありがたいな。

 さて、お話はこれで終わりや。少しはお母さんのことを、それに自分のすることが分かった?』

『……正直、まだ自分でも整理がついていません。急にそんなことを言われても、自分の中の常識が残ってる、というのが現状です。

 ですが、少しは前向きに考えてみようとは思います』

『それでええ。過去に縛られるのは、人の道を踏み外す第一歩やからな。未来を見て、顔を上げて生きればええんや』

『努力します』

「『期待しとるで?』」

 

 最後にそう言葉を重ね、女神は微笑むと達也から離れていった。向かう先には料理が乗ったテーブルがあるので、また食べに行ったのだろう。

 ふぅ、と息を吐き、達也は体の力を抜いた。最初の緊張とその後の驚愕の連続でだいぶ力が入っていたようだ。

 だが、得るものの大きい『お話し』だった。特に自分の感情とあの母親の心理について、有力な可能性ができたのは深雪が喜ぶだろう。もちろん自分がまったく何も感じていないわけではないが、それでも深雪のことを第一に考えてしまうのはもはや癖だった。

 そんなことを考えて目線を上げた達也だったが、その瞬間戸惑うこととなる。なぜだか侮蔑の視線が自分に集中しているのだ。その上、ほのかやいつの間にか近くに戻っていた深雪を始め、周囲の人間の顔が赤い。

 これは間違いなく自分が何かをしたはず、と先ほどまで口頭でしていた会話を思い出す。もう一つの『会話』に集中していたから、反射的に答えていてロクに覚えていないが、それが原因の可能性が高いため、無駄にいい自分の記憶力を信じて復元していく。

 

 以下回想。

 

「そうやなぁ。妹さんとはどんな関係なんや?」

「ただの兄妹ですよ。それ以外に何があるっていうんです」

「またまた〜。あない可愛い子が近くにおって、何も思わへんわけがないやろ〜。正直に話してみい〜」

「そうですね、全く何も感じないわけでもありませんが」

「ほうほう? どんなことや?」

「家の中で露出が増えたり、風呂上がりなんかに近づかれたりするとドキッとはしますね。あの匂いはなんとも言えません」

「それじゃあ、思わず襲ってしまいたい〜、なるときもあるんか?」

「ええ、もちろん。自分も一応高校生男子ですから」

「おお〜! 正直やね〜。どんなところが好みなん?」

「見た目、もそうですが、何より俺を側で支えてくれることですかね。俺には過ぎた妹ですよ」

「じゃあ、献身的なら誰でもいいん? 例えば、光井ほのか、やっけ? あの子も結構献身的そうやったけど」

「誰でもいいわけじゃありませんが、ほのかならいけますね。それが彼女のためになるのなら、ですが」

「ほお〜。なら、やっぱりハーレムとかには憧れたりするん? 二人を脇にはべらしたり」

「一男子高校生程度には。そんなことにはならないでしょうけど」

「なら、いつか出来るように頑張ってぇな。期待しとるで?」

 

 回想終了。変態シスコンハーレム野郎だった。

 

「お、お兄様が望むのでしたら……深雪は……」

「わ、わたしも、達也さんがそう言うのなら……」

「い、いや、ちょっとまて⁉︎」

 

 この流れは良くない。なぜだか美月に腹を殴られている未来が視えた。

 

「あれは……その……か、考え事をしてたんだ!だから、適当に返してただけで……いやまて!その顔は反則だろう⁉︎」

 

 なぜ二人のためを思い誤魔化そうとしたら泣かれそうにならなければいけないのか。達也のほうが泣きたい気分だった。

 

「うわぁ。達也くん、もしかしてあたしも狙ってたりする? だったら少し友人関係を考え直させてもらいたいんだけど」

「ヘンタイ」

「だから誤解だと言ってるだろう⁉︎」

 

 結局、達也は九島老師の話が始まるまで弁明に追われることとなったが、『シスコンハーレム野郎』の異名は驚くほどの速さで一高陣営に定着していってしまった。




俺○の兄貴「シスコンで何が悪い!」

今回は、達也と女神の個人面談でした。
達也の感情に関してかなり自己解釈の強い部分がありますが、あくまでこの作品では、です。原作及び他の作品を批評や否定しているわけではありません。

次回こそ『パーティー』です。
それでは、また次回!

・・・シスコンハーレム野郎「同じ声で叫ぶな!風評被害だ!」
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