本拠の最上階の大広間に十六夜と鈴香を引きずってつれてきたジンは堪りかねて大声で叫ぶ。
「お二人共、あれは一体どういうつもりですか!?」
「どういうつもりって、“打倒魔王”の意味が変わっただけじゃない」
ジンはとんでもないことをしてくれたと十六夜と鈴香を問い詰める。しかし鈴香はそんなジンに対してしれっと悪びれる事もなく答えた。
「全然笑えませんし笑い事じゃありません! 魔王の力はコミュニティの入口を見て理解出来たでしょう!?」
「ああ、あんな面白そうな力を持った奴と戦えるなんて最高じゃねえか」
ジンの必死の問い掛けに十六夜は魔王との戦いを希望すると言い、ふんぞり返る様に長椅子に腰掛ける。鈴香もその長椅子の腕かけに腰を下ろす。
「お、面白そう? ……では十六夜さんは自分の趣味の為にコミュニティを滅亡に追いやると? 鈴香さんも同様ですか?」
ジンは厳しい視線を十六夜と鈴香に向ける。もしもこの二人が自分の都合でコミュニティを危険に晒すのなら、どれ程の大戦力でも迎える訳にはいかないと、ジンは考えていた。
「いいや、これは作戦だ。コミュニティを手っ取り早く再建するための、な」
「…………作戦、ですか?」
「説明する前に確認したいんだけど、貴方は私達を呼び出してどうするつもりだったのかしら? あんな廃墟を作り出せるような魔王に対して、ね。聞かせてくれる?」
鈴香の問いにグッと言葉を詰まらせながらもジンは口を開く。
「…………まずは、水源を確保するつもりでした。ですが水源に関しては十六夜さんが想像以上の成果を上げてくれた為にこの問題はクリアできました。それには感謝します」
「おう、そいつは良かったな。御チビ」
「そしてギフトゲームを堅実にクリアしていけばコミュニティは強く出来ます。それに「もう良いわ」っ……」
鈴香はジンの言葉を途中で遮る。鈴香のその目に宿るのは明らかな失望だった。
「良い? このコミュニティが名と旗を取り戻す為には三年前に戦った魔王との再戦が避けられないのよ? 貴方はどうやってその魔王と戦い、打ち勝つつもりだったの?」
「だ、だからギフトゲームで力をつけて」
「呆れた奴だな。そんな甘い考え方で再建がどうの、誇りがどうのと言ってたのか。はっきり言って失望したぜ御チビ。力を付ける? そんなものは言うまでもなく大前提だろうが」
「そ、それは…………」
「聞くけど前のコミュニティはギフトゲームに参加して力を付けなかったの? そして前のコミュニティはギフトゲームだけで大きくなったの?」
「…………いえ」
今のコミュニティに必要なもの、それは人材である。相応の力を持つ者は相応の場所に行き着く、これは何ら不思議な事ではない。しかしこのコミュニティにはその場所を示す名前も旗もない。そんな所に戦力となり得る様な人材が来るだろうか? 答えは言うまでもなく否である。
「俺達には名前も無ければ旗も無い。つまりはコミュニティを象徴出来るものが一切無いと言っていいんだ。これじゃあコミュニティの存在は口コミでも広がらない。だからこそ俺達を呼んだんだろ?」
「例えば私達が水仙卵華を育てて売ったとしましょう。そうね、サウザンドアイズと同じ値段で売りました。皆はどっちを買うかしらね?」
「……………………」
「答えられないなら俺が答えてやるよ。全員がサウザンドアイズのものを買う、だ。当然だな。どんな奴が造ったかも判らないものを誰が買うかよ」
「つまりノーネームっていうのはあらゆる面で不利な条件を負わなければならないの。そして貴方はそれを背負ったまま先代のコミュニティを越えなきゃいけないのよ?」
「先代を…………越える…………」
ジンは今までまだまだ先の話だと思い目を逸らし続けていた現実に、そして打倒魔王という言葉の重さに何も言えない。
「どうやらその様子だと何も考えてなかったみたいね」
「っ………………」
しかし十六夜はそんなジンの肩を掴み、そっと囁く。
「で、名も旗も無いからには…………後はもうリーダーの名前を売り込む他ないよな?」
ジンはここにきてようやく十六夜と鈴香の意図に気づいた。思い返せば二人はしきりにジン=ラッセルの名前を口にしていた。それはつまり、
「僕を担ぎ上げて…………コミュニティの存在をアピールする、というわけでしょうか?」
「ええ。悪くない手だと思うわよ?」
「…………そうですね。確かにそれは有効な手段です。リーダー自身がコミュニティの象徴になれば名と旗に匹敵する信用に繋がる可能性があります」
ジンの理解が及んだ事を確認した十六夜は更に言葉を畳み掛ける。
「だろ? だがそれだけじゃまだ足りねえ。こういう時にものをいうのはインパクト、話題性だ」
十六夜に続いて鈴香も口を開く。
「つまりジン=ラッセルという少年が打倒魔王を掲げ、勝利することが出来れば…………」
「それは箱庭という泉に一石を投じる事になるわ」
「その波紋は箱庭に必ず広がる。そしてそれに反応するのは何も魔王だけじゃない」
「そ、それは誰に?」
ジンの問い掛けに十六夜と鈴香は声を揃えて答える。
「「同じく打倒魔王をその胸に秘めた者に、だ(よ)」」
なんと大胆不敵な作戦だろうか。ジンはそう思いながらも正直目から鱗が落ちる気分だった。その上、二人の言うことには充分過ぎる程の説得力があるのだから。
ジンは知らず知らずの内に胸を高鳴らせていた。
「僕の名前でコミュニティの存在を広める」
「そうよ。面白くなってきたでしょう? それに今回の一件は千載一遇の好機なのよ。相手は魔王の傘下であり、不確定要素こそあるものの十分に勝ち目のある戦い、そして」
「奴等に苦しめられたコミュニティは数多くある。ここで御チビの名前を売り込むことが出来れば」
「多くの人に僕の名前を知らしめる事が出来る、ですね?」
「上手くいけば襲ってきた魔王を返り討ちにして隷属させる事も可能だしな。今のコミュニティに足りないのは人材だ。俺並み、東雲並みとは言わないまでも俺達の足元レベルは欲しい」
「乗るか反るかは貴方次第。とは言え、他に一発逆転の妙手があるなら聞いてあげるわよ?」
ニヤニヤと笑みを浮かべる十六夜、ジンの目をじっと見つめる鈴香。そんな二人にジンは徐に口を開いた。
「一つ、条件があります。今度、サウザンド・アイズ主催のゲームが開かれるんですが、お二人にはそのゲームに参加してもらいたいんです。理由は二つ、お二人の力を見せてほしいのと、出品されるモノをなんとしても手に入れてほしいんです」
「何が出品されるんだ? 言ってみろ御チビ」
「昔の仲間です。それも元・魔王の」
「元・魔王、か。理由としては充分ね。良いわ、参加してあげる」
「だな。御チビ、明日のゲームは負けるなよ」
「はい、勿論です」
「負けたら私達コミュニティ抜けるから」
「はい……………………え?」
鈴香は激励のついでに爆弾発言をかますと十六夜と共に大広間から出ていった。
ちなみに大広間を出た後、こんなやり取りがあったりした。
「さてと、それじゃあお風呂に行きましょうか。十六夜、貴方は準備出来てるの?」
「そりゃ出来てるが…………まさか一緒に入るつもりか?」
「ええ、正直もう眠たくてね。貴方が出てくるのを待ってられないのよ。それとも私と一緒に入るのは嫌?」
「…………おいおい、その言い方は卑怯だろ」
「ふふっ♪ 素直でよろしい」
それからどうなったかはまあ、読者諸君の想像におまかせしよう。
翌朝、六人と一匹はコミュニティ“フォレス・ガロ”の居住区に来ていた。
「皆さん! 見えて来ました…………よ」
しかし黒ウサギは目を疑う。何せ、フォレス・ガロの居住区が鬱葱と生い茂る木々にのみこまれていたからだ。
「…………ジャングル?」
「リーダーが虎なんだろ? そこまでおかしいか?」
「いえ、おかしいわね。この樹は普通じゃない。何か混じってる」
十六夜はそう言うが、すぐさま鈴香は十六夜の言葉を否定した。
ジンも鈴香の言うことを補足する形で説明する。
「そうですね。それにフォレス・ガロの居住区は他とそう変わらなかった筈です。それにこの木々はやはり“鬼化”してる? いや、まさか」
「ジン君、ここに契約書類が貼ってあるわ」
その契約書類には指定武具によるガルド本人の討伐と書かれていた。
「こ、これはまずいです!」
「……ああ、なるほど。ガルドもなかなか頭を使ったわね」
契約書類を読んでジンは悲鳴の様な声を上げて、鈴香は感心するように呟く。
「このゲームはそんなに危険なの?」
「はい。今の我々にとってこのルールはとても危険です。ゲームの内容こそ単純ですがこのルールだと我々のギフト、特に飛鳥さんと耀さんのギフトはガルドに通用しないのですよ」
黒ウサギの説明を聞いた飛鳥の顔が険しくなる。
「…………どういうこと?」
「ガルドは自身が宿す恩恵ではなく、箱庭の法則でその身を守っているのよ。自分自身の命を懸けることで、ね。ガルドもなかなかやるわね、自ら退路を断つことでこちらの手札の殆どを無力化したんだから」
鈴香の説明を受け、飛鳥は更に顔を険しくする。
「だ、大丈夫ですよ! クリアできない訳ではありませんし、なにより指定武具自体が無ければフォレス・ガロの敗北です!」
「大丈夫。あんな奴私達の敵じゃないよ」
「…………ええ、そうね。あんな虎擬きに負けるわけにはいかないもの」
飛鳥と耀と黒ウサギがそんな会話を繰り広げる中、ジンと十六夜と鈴香が昨晩、大広間で話した事を確認していた。
「不確定要素が最悪な形になったわね。でも既に後には退けないわ」
「ああ、この勝負に勝てなければうちに未来は無い。だから予定の変更は無しだ。良いな御チビ」
「分かってます…………コミュニティの為にも、絶対に負けられない」
そしてそれぞれに秘めた想いと共に三人は門を開けた。
「────……………………GEEEEEEEEEYAAAAAAAAAAaaaaaaaaaaaa!!!」
飛鳥達が門をくぐって奥に進んでいってしばらくすると、辺りに獣の咆哮が響く。
「い、今の叫びは…………」
「ああ、間違いない。虎のギフトを使った春日部だ」
「あ、なるほど。ってそんなわけありますか!」
「違うわよ。今のは虎相手に怯まず叫び返したジンじゃない?」
「何? やるじゃねえか御チビ」
「ああ、ジン坊っちゃんも逞しくなって、るわけ無いでしょう!!」
「「じゃああれだ、お嬢様だ(飛鳥ね)」」
「ボケ倒すのも大概になさい!!」
十六夜と鈴香のボケに黒ウサギの鋭いツッコミと専用ハリセンが唸る。飛鳥達は割と命懸けで戦っているのになんともまあ楽しそうな限りである。
そんな風に十六夜達が
勿論ゲームの勝者はノーネームである。が、事態は思うようにはいかないものである。
「黒ウサギ! 早くこっちに! 耀さんが危険だ!」
圧倒的な速力を持つ三人はあっという間にジンの元へ辿り着いた。そこには右腕に大きな裂傷を負った耀が倒れていた。
「すぐにコミュニティの工房に運びます! あそこなら治療器具が揃ってますから! 皆さんは「待ちなさい。その前に仙術で傷を塞いでおくわ」っ、お願いします!」
鈴香は黒ウサギの声を遮ると耀に近づく。
そして鈴香は耀の傍らに膝をつくと裂傷に右手をかざす。すると右手が淡い光りに包まれ、その光を受けた裂傷はみるみるうちに小さくなっていき、一分も経たないうちに消えていった。
「ふう、ここまでね。黒ウサギ、流石に失った血は増やせないからここからは貴女に任せるわ」
「お任せ下さいませ!」
黒ウサギは了解の意を示すと耀を抱えてあっという間に跳び去っていった。
「おい東雲、今のは何だ?」
「さっきのは仙術よ。色々使い方はあるけど、耀に対して使った方法は生命力を高めて傷の修復速度を早める方法ね」
鈴香は十六夜に問い掛けられた為に仙術についてかいつまんで説明する。そして鈴香の説明を聞いた目を輝かせた。
「仙術!? 何それカッコいい。それって俺にも使えんのか?」
「さあ? そこは貴方の資質次第ね。修行してみる?」
仙術に興味を示した十六夜に対して鈴香はこう言えば諦めるだろうと修行をちらつかせるが、
「そうだな。面白そうだしやってみるか」
「…………ああ言えば断るかと思ったのにまさか食いついて来るとはね。本気なの?」
「ヤハハ、本気に決まってんだろ」
予想外に十六夜が食いついて来たことでむしろ鈴香が退けない状況になってしまっていた。
「…………はぁ、まあ良いわ。なら精々生命力を枯渇させないように気をつけなさい。生命力が枯渇したら死ぬわよ? ……それとジン? そんなにしょぼくれてどうしたの?」
鈴香は十六夜とそんな話をしつつジンに意識を向けるとそこには悔しそうに俯くジンの姿があった。
「…………結局僕は何も出来ませんでした。鈴香さんにギフトを借りておきながらそれを使う事も出来ずに」
「ああ、そういうこと。でも貴方達は勝ったじゃない」
鈴香はただ、目の前にある事実だけを口にする。
「東雲の言う通りだな。このゲームに勝ったのはお前らだ。それにだ、実際に参加して何も出来なかったなんて事はあるわけ無いだろ。現に春日部はお前が何もしなかったら死んでてもおかしくなかったんだぞ?」
「ええ。確かに貴方はゲームのクリアには直接関わっていないかもしれない。でもね、貴方がいたから耀は助かったの。今はそれで良いじゃない」
「…………はい。しかし昨夜の作戦、本当にやっていけるのでしょうか?」
「東雲が言ったろ。乗るか反るかはお前次第だってな。無理にやれとは言わねえよ。止めるか?」
十六夜はあくまでジンを試すように話す。ジンは少し目を閉じた後、口を開いた。
「いえ、やります。こんな僕でも皆の風徐け位にはなります。それが今の僕に出来ることですから」
「…………そうかい」
「…………ふふっ♪」
十六夜と鈴香は少し予想外を突かれた気分だった。何せ、目の前の少年は誰もがやりたがらない事を自らやると言い、あまつさえいざというときは己の身を盾にすると生意気にも言ったのだ。
本当に面白い場所に来たと十六夜と鈴香は沸き上がる笑いを噛み殺していた。
ゲームが終わり“フォレス・ガロ”の解散が為されたのは間もなくの事だった。
そして門前には傘下に下っていたコミュニティの者達が集められていた。
しかしその場にはガルドが死んだと知って喜ぶ者は少ない。人質が殺された者達はその場で泣き崩れ、そうでない者も明日への不安に支配されていた。
そこに一人の男が声を掛けてきた。
「一つ重要な事をお訊きしたい」
「なんでしょう?」
「いえ、救ってもらった手前大変言いづらいのですが、私達はこれからノーネームの傘下に加えられるのでしょうか?」
男の言葉にジンの顔が強張る。だが誰もこの男を責めることは出来ないだろう。この箱庭において名無しに身を落とす事は何よりも辛く、そして耐え難い事なのだから。
そこに十六夜がジンを抱き寄せて高らかに声をあげた。
「その事で今からお前達に重大な話がある! よく聞け! 今からフォレス・ガロに奪われた誇りをジン=ラッセルが返還する! コミュニティの代表者は前へ出ろ!」
十六夜の宣言に集まった人々のざわめきが大きくなる。十六夜はジンの肩を叩いて前に押し出し、鈴香は十六夜に続くように声を張り上げる。
「聞こえなかったか! お前達が奪われた誇り、つまり名前と旗を返還すると言ったのだ! コミュニティの代表者はジン=ラッセルの前へ!」
「まさか、そんな…………」
「俺達の旗が…………返ってくるのか?」
旗が返ってくる。その言葉を聞いた彼等は隣の者と顔を見合わせ、次第に顔を喜色に染めていく。そして彼等は駆け出し、我先にとジンの元に押し寄せていった。
「「列を作れ戯け共!! お前達は理性なき獣か!! そんな有り様ではフォレス・ガロの獣にすら劣るぞ!!」」
「ひ、ひぃ!?」
押し寄せて来る者達は最早周りなど見えていない。そんな彼等に十六夜と鈴香は共に足元を踏み砕き、一喝する。
十六夜と鈴香はその外見からは想像出来ないほどの威圧感を放ち、衆人に列を作らせる。
「流れは作った。後はしっかりと自己主張するんだぜ?」
「さあ、最後の仕上げよ。抜かりなくやってきなさい!」
「はい、分かりました!」
先程までの迫力を消して、悪戯っぽい口調に戻した十六夜と片目を閉じて激励する鈴香。二人がジンを送り出すと後ろで見ていた飛鳥が笑いながら二人に耳打ちした。
「二人共、なかなか面白い事を考えているわね?」
「さて、なんの事かなお嬢様?」
「そうね、なんの事かしら?」
「そう、まあ良いわ。でもそんな面白そうな話、次は私も一口噛ませなさい?」
そして全てのコミュニティに旗を返還したジンの隣に十六夜と鈴香は出てきて再び声を張り上げる。
「聞け! ここでお前達に頼みたいことがある! 何、頼み事と言っても大した事じゃない! ただ、お前達の旗を取り戻したこのジン=ラッセルの事を忘れないでほしい!」
「そして我々はこれからも“打倒魔王”を掲げ、戦い続けるコミュニティであるということを覚えていてほしい!」
「まさか、あの話は本当なのか?」
「相手は魔王だぞ? 正気か?」
「しかし彼等は蛇神を倒したそうじゃないか」
ざわざわと波紋が広がる中、十六夜は話を続ける。
「知っての通り、俺達のコミュニティはノーネームだ! しかし俺達は奪われた誇りを取り戻すためにこれからも魔王やその傘下のコミュニティと戦い続けるだろう!」
そして十六夜に続くように鈴香も口を開く。
「だけど周囲に組織として認められなければコミュニティは存続出来ないの! だから覚えていてほしい! 私達は“ジン=ラッセル”率いるノーネームだと! そして名前と旗を取り戻すその日まで、どうか、忘れないでほしい……」
(二人共巧く語るわね)
飛鳥が内心でそんな事を考えている中、ジンは十六夜と鈴香に背中を叩かれる。ジンははっとしたように声をあげる。
「ジン=ラッセルです。今日を境に聞くことも増えると思いますが、よろしくお願いします」
ジンの宣誓に周囲から歓声が上がる。その様子を見ていた二人は作戦は一先ずは上手くいったと微笑み合った。
そして各々が自分のコミュニティに帰る中、ジン達を二十代位の夫婦が呼び止めた。
「すまない。少し良いだろうか?」
「? はい、なんでしょうか?」
「私達は貴方方にお願いがあって来ました」
「お願い、ですか?」
ジンの疑問の声に男が一つ相槌を打つと、
「はい、自分と妻の二人をジン=ラッセルのノーネームに加えていただきたい」
「え?……ええええええ!?」
ジンは突然の申し出に驚愕の声を上げて、十六夜達も目を見開いていた。
それでは、読んでいただきありがとうございます。