猫又少女も異世界から来るそうですよ?   作:グリアノス

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オリジナルで書くとやっぱり難しいですね。

正直そこまで納得できる出来じゃないです。

ともあれ、第13話です。






第13話 鈴香VS白夜叉だそうですよ?

「そこまでだ、娘」

 

その言葉と共に現れた白夜叉は目の前の騎士へ伸ばされた鈴香の腕を掴んで彼女を睨み付ける。

 

「やれやれ、馬鹿でかい妖気を感じたから此処まで来てみればやはりおんしだったか。原因はその辺に転がっておるペルセウスの小僧共と言ったところかの?」

 

「なんの真似だ。白夜の魔王」

 

「なに、こんなボンクラ共でもおんしに殺させるわけにもいかんのでな。まあなんだ、一言で言えば邪魔しに来た、というところだの」

 

「────ほう?」

 

ここで鈴香の標的がペルセウスの騎士から白夜叉に移った。鈴香は紅く染まった眼で白夜叉を見つめると、周囲の妖気を収束して乗せた拳を叩き込んだ。

 

実に容赦の無い不意打ちである。並みの者なら今の一撃で戦闘不能になってもおかしくはない。が、しかしその程度でどうにかなるほど最強の階層支配者の名は伊達ではない。白夜叉は巨岩を容易く粉砕するほどの拳を片手で受け止めていた。

 

「やれやれ、おんしもせっかちだの。少しは落ち着かんか」

 

白夜叉はそう言いながら懐からギフトカードを取り出すと、鈴香と戦い始めた。

 

そこに屋敷から飛鳥、ジン、テオ、リーナの四人がやって来た。四人は目の前の状況に息を呑む。何せ、

 

「嫌だ、イヤだ、いやだ」

 

「死ぬ……死ぬ……死ぬ……」

 

「うあ、ああ…………あああっ」

 

先程鈴香が放った一撃で周囲を包んでいた重苦しい重圧と妖気は消えたものの、その場には動く事も出来ずに蹲る者、未だに恐怖心に囚われた者、既に正気を保てなくなった者などで溢れていたからだ。

 

原因は殺気と共にばらまかれた高密度の妖気に突然晒され、彼等の精神に異常をきたしたからである。十六夜と黒ウサギが耐えられたのは単純なスペックが騎士達とは桁違いだったからに他ならない。

 

「おい! 一体何があった!? 答えろ!!」

 

そんななか、白夜叉と共にやって来た亜麻色の髪の男がその場に蹲る一人の騎士を問い詰める。しかし白夜叉は鈴香の相手をしながらその男を軽く嗜める。

 

「無駄だルイオス。そやつらは既に心を砕かれておる」

 

「…………クソッ!」

 

ルイオスと呼ばれた青年は吐き捨てる様に言うと、その視線を震えている騎士から白夜叉と戦う鈴香に移す。

 

「ルイオス?…………まさかコミュニティ“ペルセウス”のリーダー、ルイオス=ペルセウスですか?」

 

「なんだと?…………いや、それより今は東雲をなんとかしねえとな。白夜叉が抑えてる以上滅多なことは無いだろうが……」

 

ジンの呟きに反応したのは傍に居た十六夜である。しかし、今はペルセウスより鈴香の方が優先だと思い直し、意識を思考の海に沈ませる。そんな風に十六夜が鈴香を止める為の手段を考えているとルイオスが声を掛けてきた。

 

「おいノーネーム、あれはどうやったら止まる? 何も無いなら僕の手で石化させるぞ」

 

「ルイオスつったな? そいつは駄目だ。まず、あいつの生殺与奪の権利を初めて会った奴には渡せない。それに仮に一時的に封じても解いたら暴れるんじゃ本末転倒もいいとこだ」

 

「じゃあどうするんだ! このままじゃジリ貧じゃないか!」

 

「ソイツを今考えてんだろ!」

 

「ちょっと良いですか?」

 

十六夜とルイオスが鈴香の処遇を巡って口論を続けるなか、傍にやって来たリーナが声を掛けてきた。

 

「……なんだ? 今は見ての通りあいつをどうにかして止めなくちゃいけねえんだ。関係の無いことは後にしろ」

 

「関係あります。私のギフトなら彼女を止められるかもしれません」

 

「なに?……詳しく聞かせろ」

 

十六夜は鈴香を止められるかも、というリーナの言葉に僅かに目を細めて問い返す。

 

「私のギフトは歌声に様々な概念付加を施す、というものなんです。付加できる概念には鎮静効果を持つものもありますからそれならば或いは、と」

 

「概念付加!? なんでそんなギフトを持った奴がノーネームに居るんだ!!」

 

リーナから語られたギフトの内容にルイオスは驚きを隠せない。

 

というのも、彼女の歌声に対する概念付加というのは恩恵を与える(・ ・ ・ ・ ・ ・)ということに他ならないからだ。本来、恩恵を与える事が出来る者はそれに見合う功績を積むか、生粋の修羅神仏だけである。

 

故にそこら辺の名無しだと思っていたノーネームに規格外と言えるほどの戦力が集まっているということにルイオスは驚いたのだ。

 

「……よし、それなら…………おい白夜叉!! ゲーム盤を出せ!コイツのギフトならなんとかなるかもしれねえ!」

 

「小僧、それは本当か! ならばおんしも来い!」

 

白夜叉はそう言うと、自身と鈴香、十六夜とリーナの四人を纏めて自身のゲーム盤に跳ばしたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

白夜叉のゲーム盤に跳ばされた十六夜達は鈴香に向かって叫ぶ。

 

「東雲!! テメエはいい加減落ち着きやがれ!! というかなに一人でお楽しみってのはどういう了見だオイ!!」

 

「ええ!? 一言目はともかく二言目に言うことがそれなんですか!? もっとなにか無いんですか!!」

 

「当たり前だ。というより二言目の方が大事だろ」

 

突っ込みどころ満載のズレた叫びにリーナの黒ウサギを彷彿とさせるツッコミが冴え渡る。ちなみにこの間も白夜叉は鈴香と戦いの真っ只中である。さすがに普段は真面目にふざけ倒す事に定評のある箱庭の三大問題児である白夜叉もこの扱いにキレた。

 

「うおおおおい!! 人が気を使いながら戦っとる最中に何を漫才をしとるかッ!! 私も交ぜんか小僧!!」

 

「白夜叉様までそんな事言うんですか!?……ああもう、この問題児共めええええええ!!」

 

キレたものの不満だったのはあくまで除け者にされた事だったようで、はっきり言ってこの場にリーナの味方は居ないのかもしれない。

 

「……………………」

 

「いやああああ!? そんな目で見ないでくださいいいいい!!」

 

そして止めと言わんばかりの鈴香からの憐れみの視線にリーナはもはや戦闘不能間近だった。涙目どころか割とガチ泣きするリーナを後目に白夜叉は改めて鈴香に向き直る。

 

「さて、冗談はこの辺にして。此処なら周囲の被害を気にする必要は無いな。というわけでこれでも食らえ」

 

白夜叉は周辺に燃え盛る火球を生み出し、鈴香に放つ。

 

放った火球は白夜叉の全力にははっきり言って程遠い。しかしそんな攻撃も先程までは周囲を気にするあまり撃てなかった。だが自身の持つゲーム盤の中であるならば話は別である。ある程度加減を捨てて放たれた火球は雪原を焼き焦がしながら鈴香に向かって飛んでいった。

 

鈴香は自身に向かって飛んでくる火球を腕に収束して纏わせた妖気を砲弾の様に飛ばす事で相殺する。

 

そしてぶつかり合った火球と妖力弾は大爆発を起こして大量の土煙を巻き上げた。

 

(……ちっ、迂闊な真似をしたか)

 

鈴香は相殺するためにとはいえ、己の攻撃で視界を潰した事を失敗したと内心で呟く。鈴香は白夜叉の位置を探る為に仙術を使おうとするが、それより先に土煙の中から二つの火球が飛んでくる。

 

火球に対して今度は同じ徹は踏むまいと脚力を強化して危なげなくかわす鈴香だったが、そんな考えを読んでいたのか白夜叉は鈴香に対して今度は火球ではなく熱線として炎を放った。

 

そして熱線は白夜叉の狙いに違わず鈴香の足を掠めるようにして当たった。

 

「うぐっ!?」

 

これには鈴香も堪らず呻き声を上げ、そんな鈴香に対して白夜叉は更に追撃を加えていく。

 

一条、また一条と自身を焼いていく熱線に焦りを募らせる鈴香。鈴香は撃ち出される熱線を濃縮した妖気を全身に纏わせる事でなんとか耐える。

 

「ッ!! 舐めるなああああああああ!!」

 

鈴香は裂昂の叫びと共に跳び上がる。その際に熱線が手足を掠めていくが気にしない。

 

跳び上がった鈴香は全身の妖気を両手に集めて巨大な妖力の塊を作り出す。禍々しく輝く妖気の塊に白夜叉は視線を厳しいものに変え、自身も手に身の丈の数倍はある火球を生み出した。

 

「焼け! 滅ぼせ! 煉獄(レンゴク)三千世界(サンゼンセカイ)!!」

 

「おおおおおおおッ!!」

 

渾身の力を以て放たれた巨大な妖力弾と火球がぶつかり合った瞬間、辺りを根こそぎ吹き飛ばすほどの大爆発を起こした。

 

その爆発の余波は少し離れた場所に居た十六夜とリーナにも影響を与えていた。現にリーナは十六夜に抱えられ、十六夜は雪原を片足で踏み砕いて飛ばされまいと踏ん張っていた。

 

そんななか、爆炎を正面から突き破って鈴香が白夜叉に対して突っ込んでいった。白夜叉も再び熱線を放って迎撃するが鈴香の勢いは止まらない。

 

鈴香は飛んでくる熱線は最小限の動きでかわし、または防ぐ。あっという間に距離を詰めた鈴香は白夜叉の懐に入り込む。そして鈴香は指先に炎を纏わせ、その矛先を白夜叉に向ける。

 

炎舞(エンブ)焔火の槍(ホムラビノヤリ)

 

指先に纏わせた炎は槍の穂先の様に変化し、白夜叉を貫かんと迫る。

 

白夜叉は鉄扇を使って防ごうとするが鈴香の炎は一瞬で鉄扇を溶かし、凶刃が白夜叉の胸を捉え、刺し貫く

 

 

 

 

 

 

 

 

瞬間

 

 

 

 

 

 

『縛り唄 “楔”』

 

 

 

 

 

 

 

 

La♪ という透き通った声が響いた瞬間、雪原を割って飛び出した白銀の鎖が鈴香の全身に絡みついた。

 

「逆廻さん、彼女相手には長くは持ちません! 白夜叉様と共に彼女を抑えてください!」

 

「任せな」

 

「くっ、こんなもので…………止まると思うなッ!!」

 

鈴香は全身に絡みついた鎖を手の炎で焼き斬り、妖気を爆発的に放出することで吹き飛ばした。

 

「おいおい、隙だらけだな東雲。とりあえず一発、食らっとけ」

 

「ぐぅっ!?」

 

妖気の放出で僅かに隙を晒した鈴香の腹部を十六夜は死なない程度に殴り飛ばす。そして殴り飛ばした先には、

 

「私を忘れてもらっては困るな」

 

体勢を立て直し、待ち構えていた白夜叉が居た。

 

白夜叉は鈴香の首根っこを掴むとそのまま地面に叩きつけた。鈴香を叩きつけた地面は放射状に陥没し、鈴香はその威力に息を詰まらせた。

 

「今ならいけそうですね。『祈り唄“禊”』」

 

再びRa♪ と美しい声が雪原に響き渡る。すると鈴香の目から好戦的な光が消えて、瞳の色も鮮血の様な紅から透明な黒に戻っていった。十六夜と白夜叉も春のそよ風を浴びたかのような心地よさに昂っていた気持ちがゆっくりと落ち着いていくのが判った。

 

「へえ? これがお前のギフトなんだな。コイツはなかなかすげえ」

 

「いやはや、全くだの。もしやこれはセイレーンの歌声か?」

 

「はい。私の先祖にセイレーンから歌声のギフトを授かったらしく、それが先祖帰りという形で私にも宿ったのではないかと思います」

 

「うぅ…………こ、ここ……は……」

 

リーナがギフトに関して説明をしていると身を横たえていた鈴香から呻き声が上がる。

 

「よう、気分はどうだ」

 

「……身体中が痛いわ」

 

「呵ッ、それくらい甘んじて我慢せんかこの戯け」

 

「~~~~~~~~ッ!?」

 

十六夜の問い掛けに答えた鈴香は白夜叉に痛むであろう体を小突かれて声にならない悲鳴を上げた。鈴香は白夜叉を恨みがましく見つめるが当の本人は全く堪えた様子はなかった。そこに苦笑いを浮かべていたリーナが鈴香に声を掛ける。

 

「あ、あはは、でも止まってくれて良かったです」

 

「リーナ…………ごめんなさい、迷惑を掛けたわ」

 

「いえ、同じコミュニティの同士ですから。助けるのはむしろ当たり前ですよ」

 

「ごめんなさ……いえ、ありがとう。…………ふう、少し眠たいわね」

 

「構わねえよ。ペルセウスとは俺達が話を着けておくから寝とけ」

 

「そう……それじゃあ少し眠るわ」

 

鈴香はそう言うと静かに寝息をたてて、眠りに落ちた。

 

「さて、此処にももう用は無いし、さっさと出るとしようか」

 

白夜叉はそう言うとゲーム盤から再び皆を飛ばしたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

白夜叉のゲーム盤から戻ってきた十六夜達を黒ウサギをはじめとした面々が迎えた。皆、鈴香の身を案じていたのだろう。何処と無く不安げな表情をしていた。

 

「十六夜さん! リーナさん! 白夜叉様! 鈴香さんはどうなりました!?」

 

「大丈夫だ。今は寝てるから静かにな」

 

「東雲さんが無事で良かったわ。でも少し意外ね。東雲さんはもっと思慮深いと思っていたのだけど」

 

「俺は彼女に関して言える事はあまり無いが、彼女は理不尽を許さない優しい娘なんだと思うよ」

 

ノーネームの面々が和気藹々と会話をするなか、少し離れた場所に居たルイオスが彼等の元へ歩いてきた。

 

「ふん、どうやらそこの女は落ち着いたみたいだね。……それじゃあ落とし前の話をしようか、ノーネーム」

 

ルイオスの一言で緩んでいた空気が一気に引き締まる。彼等を代表して十六夜が口を開いた。

 

「そこの夫婦と御チビ、東雲を本拠の中に連れていけ。話は俺がつけておくからよ」

 

「お願いします。さあ、僕達は中に行きましょう」

 

「おい! 何を勝手な事を言ってるんだ! ソイツのせいで」

 

ジンは十六夜の意図を正しく汲み取り、この場を後にしようとする。しかしルイオスはそんな事は許さないと言わんばかりにジンを引き留める。

 

「そう熱くなるなよペルセウスのお坊ちゃん。話なら俺が聞いてやるからよ」

 

「くっ、ならお前があの女の代わりに落とし前をつけるのか?」

 

「落とし前、ねえ? そいつはどっちに対してだ?」

 

「もちろん僕達に対してだ。あの女のお陰でこちらはどれだけ被害を被ったと思ってるんだ」

 

十六夜の問いにルイオスは迷うこと無く自分達に対してと答えた。だがまあ、それも当然だろう。何せ今回の襲撃に関わった百名を越えるペルセウスの騎士達の大半が再起不能、またはそれに近い状態にされたのだから。

 

だが十六夜は怒り心頭のルイオスを更に煽る様にわざとらしく溜め息をつきながらルイオスに対応する。ぶっちゃけただの挑発である。

 

「おいおい、被害なんて言ってるが最初に無礼を働いたのはオマエ等だぞ? それに先に喧嘩を売ったのもオマエ等だ。まさかとは思うが、喧嘩売って負けて怪我したから負かした相手に治療費払えって言ってんのか? そいつは流石に格好つかねえにも程があるぞ」

 

「なんだとッ!? 今なら安い喧嘩でも安く買うぞッ!」

 

しかしこの時のルイオスは怒りで頭に血が上っていた。いつもなら相手にすらしないはずの安い挑発にも乗ってしまうほどに彼は平常心を欠いていた。十六夜がこの状況を利用しない訳もなく、更に挑発を重ねていく。

 

「はっ、そいつは景気が良いな。良いぜ喧嘩なら利子付けてでも買いたい位だ。どうする、やんのか?」

 

「良いだろう……僕が勝ったらあの女とそこの月の兎を貰うぞ」

 

「決まりだな。それなら俺達は吸血鬼・レティシアを貰おうか。もうひとつはとりあえず保留にしとこう」

 

「ゲームは一週間後だ。名無し如きが調子に乗るとどうなるか、たっぷりと教えてやる」

 

ルイオスは十六夜から視線を外すとあちこちに蹲っている騎士達に目を向ける。ルイオスは少し考え事をしていたようだったが、すぐに視線を白夜叉に移す。

 

「あー、白夜叉様? 一つ貸しで良いんでこの連中をうちまで飛ばしてくれません?」

 

「良いだろう。おんしも今はまだ(・ ・ ・ ・)サウザンドアイズの同士だからな」

 

「…………今はまだ、ね。感謝しときますよ。白夜叉様」

 

ルイオスは吐き捨てる様に言い捨てると踵を返して帰っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ルイオスの姿が見えなくなった後、白夜叉は肩から力を抜いて一息ついた。

 

「…………ふう、なかなかどうして思うようにはいかんな。お坊ちゃんしかり、あの娘しかり」

 

「そう言うなよ。東雲はともかくレティシアの事はこっちにとって好都合に事が運んだんだからな」

 

「YES。あのままではレティシア様は箱庭の外に連れ出されるところだった以上、これはチャンスなのですよ!」

 

十六夜は苦笑いを浮かべながら白夜叉を嗜め、黒ウサギはウサ耳をシャキンと立たせて拳を握って意気込む。

 

「そうか。あやつとのゲーム、負けるなよ小僧」

 

「はっ、あんな親の七光りのお坊ちゃんに負けるかよ。まあ、アルゴルの悪魔がどれだけの力を持ってるかで多少は変わるだろうが」

 

「ほう? おんしは箱庭の星空の秘密に気づいたのか?」

 

「確かな確証は無かったがな。気づいたのはあのお坊ちゃんが自分の手で石化させるって言ったからだ。ペルセウスが女神アテナから授かった装具に相手を石化させる物なんて無かったからな。となると考えられるのは後天的に手に入れた恩恵か、箱庭に招かれたのは神話のペルセウスじゃなくて星座のペルセウスであるかだ」

 

「ふむ、及第点だの。おんしは見かけによらず知能派らしいな」

 

「何を今更。俺は生粋の知能派だぞ?」

 

十六夜の知能派宣言に何とも言えない表情を浮かべる飛鳥と黒ウサギ。まあいわゆるどの口が言うか、というやつである。

 

「まあ、とりあえず一週間後のゲームに備えておかねえとな。それとあの馬鹿に今度は俺達から説教くれてやらねえと」

 

「そうね。東雲さんにはしっかりと言っておかないといけないわね」

 

十六夜と飛鳥は顔を見合わせて頷き合った。

 

「やれやれ、おんしらもブレんな。まあなんだ、おんしらならばペルセウスも油断せずに戦えば負ける事もあるまいよ。では、おんしらの勝利を期待しておくぞ」

 

白夜叉はそう言うとこの場を後にし、その場に居た面々も本拠に戻っていった。

 

(ペルセウス……精々楽しませろよ?)

 

(仲間を取り戻す為にも絶対負けられないわね)

 

(レティシア様……もうすぐお救いします。もう少しだけお待ち下さいませ)

 

そして皆が思い思いに意気込む中、そっと夜は更けていくのだった。




読んでいただきありがとうございます。


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