後半はあんまりオリジナル要素を入れられなかったです。
「あ、あり得ないのですよ。まさか話を聞いてもらうのに一時間も掛かるとは。学級崩壊とはきっとこのような状況を言うに違いないのデスヨ」
「いいからさっさと進めろ」
眼の端に光るものうかべながらもどうにか話を聞いてもらえるまでに持っていった黒ウサギ。彼女が先程のように泣き言をいうのも無理はない。何せ、話をしようとする瞬間に限って耳をぎゅむっ、ぎゅむぅぅぅぅっ、と引っ張られるのだ、本人からすれば話どころではないだろう。
「まあ、とりあえず魚が焼けたから食べてから話を聞きましょう? まあ塩が無いから少し味気無いかもしれないけどね」
黒ウサギのウサ耳が十六夜達の犠牲になっていた間に準備していた焚き火を使って焼いていた魚を三人に配りながら鈴香は言った。ちなみに耀の連れていた三毛猫は生の切り身だ。
…………実は黒ウサギの耳が解放された理由はこの焼き魚だったりするのだがまあ、その辺りは知らぬが仏だろう。
「いや、気にすんなよ。腹も減ってきてたからなんか食えるのはありがてえからな」
「ええ、ありがたく頂くわね、東雲さん」
「……早く食べたい」
『おおきにな、姉ちゃん』
「すみません、ありがたく頂くのですよ」
四人と一匹は口々に感謝の言葉を鈴香に伝える。まあ一名程ぶれないのが居たが。
「ふふっ、じゃあ皆、食材に感謝を込めて」
「「「「『いただきます』」」」」
魚の味は調味料が無かったにも関わらず、なかなか旨かった。とだけ。
「はふぅ、堪能しました。コホン、それでは良いですか皆様? 定例文で言いますよ? 言いますよ? さあ言います!」
黒ウサギは満足そうに緩んだ顔を咳払いと共に引き締めると、説明を始める。
「ようこそ、箱庭の世界へ! 我々は御四名様にギフトを与えられた者のみが参加出来る"神魔の遊戯"その名もギフトゲームの参加資格をプレゼンさせていただく為に、皆様方を召喚しました!」
「ギフトゲーム?」
「そうです! 既に気づいていらっしゃるでしょうが、御四名様は普通の人間では御座いません! その力は神から、悪魔から、精霊から、そして星そのものから与えられた恩恵で御座います。"ギフトゲームとは"その恩恵を駆使して競い会う為のゲーム。そしてこの箱庭の世界は強大な力を持つギフト保持者がオモシロオカシク生きるために造られたステージなので御座います!」
(うーん、私は人間じゃないんだけど)
両手を広げて箱庭について語る黒ウサギ。そんな黒ウサギに対して飛鳥が質問する。
「先ずは初歩的な質問をするわね。貴女の言う"我々"というのは貴女を含めた誰かなの?」
「YES! 異世界から呼び出されたギフト保持者は箱庭で生活するにあたって数多とある"コミュニティ"に所属していただきます♪」
「嫌だね」
「そうね、何かに縛られる事なく気ままに過ごしたいわね」
「所属していただきますッ! そしてギフトゲームの勝者はゲームの"主催者"が提示した賞品をゲットできる、ということで御座います」
「主催者って誰?」
「様々ですね。修羅神仏が試練と称して開催することもあれば、コミュニティの力を誇示するために独自開催されることもあります」
「後者は結構俗物的ね」
「それも含めてギフトゲームって所じゃない? 」
「その通りです。勝者は得て、敗者は失う。ギフトゲームとはそういうものなのですよ」
黒ウサギは笑顔に黒い影を覗かせながらそう言った。
言外に怖じ気づいたか、と言わんばかりに。
「最後にもう一つ質問するわね。ゲームはどうやったら始められるのかしら?」
「コミュニティ同士のゲームを除けば期日内に登録すれば参加出来ますよ。商店街でも小規模のゲームを開催しているのでよろしければ」
「…………つまりはギフトゲームとはこの世界の法そのもの、といった所かしら」
「おっ、なかなか鋭いですね。しかしこの世界に於いても強盗や窃盗は犯罪ですし、金品などの取引もあります。ギフトを用いた犯罪などもってのほか、そんな不逞の輩は悉く処罰されます…………が、ギフトゲームに於いてはその限りではありません。何せ……」
「勝者は得て、敗者は失うのがギフトゲームだから、かしら」
「その通りで御座います」
「そう、なかなか野蛮ね」
「ごもっとも。さて、皆様の召喚を依頼した黒ウサギには箱庭の世界における全ての質問に答える義務があります。……が、此処で全てを語るにはかなりの時間が掛かります。なのでここは一つ我々のコミュニティでお話をさせていただこうかと思うのですが」
「待てよ。まだ俺が質問してないだろ」
この場を収めようとした黒ウサギに待ったを掛ける十六夜。その顔に先程までの軽薄な笑顔は無かった。
「…………どういった質問でしょう? ルールですか? それともゲームそのものですか?」
先程までの雰囲気を一変させた十六夜に対して身構える黒ウサギ。
「そんな事はどうでも良い。俺が聞きたいのはただ一つだけだ」
「この世界は…………面白いか?」
「…………YES、ギフトゲームは人を越えた者達だけが参加出来る神魔の遊戯、外の世界より格段に面白い事を黒ウサギは約束しますよ♪」
黒ウサギは満面の笑顔と共にそう締めくくった。
読んでいただきありがとうございます。