復讐異世界旅行記   作:ダス・ライヒ

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外伝書いてるので、結構遅くなる。


そして現在に至る

 惑星カリオペに強引な手段で降り立ったシュンは、連邦や同盟と交戦しつつ、件の水晶がある城の宝物庫へとなんとか辿り着き、見事に手に入れてその能力を手に入れることが出来た。

 手に入れて早々に、連邦や同盟、双方の特殊部隊による襲撃があった。よく訓練された隊員等の攻撃にシュンは負傷したが、奮戦して損害を与えて撤退にまで追い込むことに成功する。

 だが、一難去ってまた一難。今度は宝物庫目当ての海賊の襲撃を受け、現在に至る…。

 

 

 

「おらぁ! クソッタレ、ここはマジで地獄だな!」

 

 襲撃して来た海賊を自分の得物である大剣で殺しつつ、シュンは傷口が開いていないか確認する。

 目の前に姿を現した海賊へ向けて大剣を投げ付けて惨殺してから、コアよりAKS-74u突撃銃を取り出し、現れる海賊を殺しながら大剣の回収に向かう。

 数名を殺した所で再装填を行い、大剣を背中のラックに引っ付け、馬鹿の一つ覚えに突っ込んで来る海賊たちを撃ち殺し続ける。

 

「手に入れた能力は何だろうな?」

 

 遮蔽物に身を隠し、自分が手に入れた能力がどんな物か調べるために、近くにある死体に向けて試してみる。

 すると、掌から火が出て死体を燃やし始めた。どうやら少量の魔力を使って火を放つ能力のようだ。

 

「ライターを使わずとも煙草が吸えるな、こいつは」

 

 手から出る日を見て、シュンは使えると判断し、自分を抑えている間に側面から接近して来た海賊に向け、火加減を上げて炎にした能力を浴びせた。

 全身に炎を浴びた海賊は火達磨になり、獣のような声を上げながらのた打ち回り、やがて息絶える。

 

「魔法だぞ!」

 

 魔法を使ったことに海賊たちが言う中、シュンはブローニング・オート5自動散弾銃を取り出し、目に見える敵に向けて発砲して殺害していく。

 この自動散弾銃は十九世紀の終わり頃で発明され、技術問題で五発ほどしか装填できないが、二度目の大戦で使われ、二十世紀の終わりごろまで生産が続けられた初の自動散弾銃だ。

 

「後退だ! 後退しろ! もっと数を集めるんだ!!」

 

 宝物庫に向かって来た海賊を殺し続けたおかげか、海賊たちは体勢を立て直すために退却し始めた。

 敵が退いた所で、シュンは先ほどの傷を完全に止血し、包帯を巻いて応急処置を施した後、突撃銃を捨ててPKM軽機関銃を取り出してから散弾銃の再装填を始め、携帯食を食べて万全な状態にする。

 

「さて、とっととこの地獄からおさらばだ」

 

 今度はこちらの出番なので、一気に廊下を駆け抜ける。

 海賊たちはこちらを迎え撃つ態勢を取っていたようだが、準備が整う前にシュンが機関銃を撃ちながら突っ込んで来たため、戦闘訓練をまともに受けていない海賊たちは次々と倒れて行く。

 

「やってられるか!」

 

 数人から数十人へと死んでいき、やがて戦意を失った海賊たちは、命欲しさに持ち場を放棄して逃げ始める。

 敵が逃げたところでシュンは追跡せず、少し腰を下ろしてから銃の再装填を行い、それが終わってから城の外へ出た。

 

「なんてこった…」

 

 城の外へ出たシュンを待っていたのは、再度の攻勢を行う連邦と同盟の双方の軍勢であった。無数の兵器と機動兵器、航空機が一直線に敵に向けて進む。

 どちらが守ると言うよりか、どちらか取るのが先かという物であり、衝突すれば、恐ろしい数の死傷者が出る事だろう。

 直ぐにシュンは近くの遮蔽物となる場所へ身を屈んで隠れ、ここまで来そうな衝撃から身を守る。

 数十秒後に流れ弾と兵器の残骸がここまで飛んできた。更にはどちらかの兵士か分からない肉片も飛んでくる。

 この様子からして、史上最大の激戦が繰り広げられているようだ。頭を上げれば即座に流れ弾に当たってお陀仏なのは間違いない。

 そんな見っとも無く遮蔽物に隠れているシュンの脳内に、あのガイドルフからの念話が入る。

 

『シュン、聞こえるか? 聞こえているなら今すぐ城から半径50㎞は離れろ。もう直ぐ惑星最大の大嵐が来る。別名、惑星の怒りだ。巻き込まれれば、命は無い。急いで離れろ!』

 

 どうやら、シュンが居る城の近くで、大規模な災害が起こるらしい。

 このガイドルフの知らせを聞いていたシュンであったが、今そこに居て、更に動けない状況なので、念話で文句をしながら言う。

 

「おい、ふざけんな。俺が何所に居るか分かるか? 城の近くだよ! そんで直ぐ近くには決戦なのか物凄い激戦が行われてる! こっから出たら一瞬でこの世からおさらばだ!」

 

『だったらバリアジャケットを纏って這えばいいだろう? もしかして、魔力切れか?』

 

「あぁ、そんな所だ。取り敢えずこんな激戦だ、いつ終わるか…って!」

 

『おい、どうした!?』

 

 ガイドルフに文句を言っている間に、シュンが隠れている場所にも双方の大多数の歩兵隊が現れ、互いに撃ち合いを始めた。

 凄まじい銃撃戦が始まり、双方の多数の将兵が倒れて行く中、シュンは泥だらけの地面を這いながらこの場からの脱出を図ろうとするが、どちらとも何故か突撃を行い、殺し合う大勢に踏まれる事となる。

 

「あぁ! くそっ! 止めろ! 止めてくれ!!」

 

 無我夢中で殺し合う大勢に踏まれながらシュンは叫ぶが、大勢の兵士たちの怒号や雄叫びで掻き消される。

 大勢に頭や背中、足を踏まれる中、シュンは大声を上げて渾身の衝撃波を放った。

 

「止めろぉぉぉ!!」

 

 大声と共に放った衝撃波は凄まじく、シュンの周りに居た連邦と同盟の将兵たちは吹き飛ぶ。それでも双方の将兵らは戦いを止めず、殺し合いを再開する。

 そんな自分等が今いるカリオペで大災害が起こるとは知らずに、連邦と同盟の将兵らはこの惑星の日常である殺し合いを続けていた。その中でシュンは、大剣を再び手に取って、自分の邪魔になる者を斬り倒しながら進む。

 

「なぁ! こいつ等には伝えないのか? ここにヤベェ大災害が来ることを」

 

『知らせたよ。でっ、お偉いさんと優秀な人材だけが脱出した。そこでいま戦っているのは、使い捨てにされた哀れな兵隊たちさ』

 

「ひでぇなおい!」

 

 双方の兵士達を殺しつつ脱出に向かう中、シュンはガイドルフに連邦や同盟に大災害が起こることを知らせたのかを問えば、謎多き情報屋の男は上層部と優秀な人材だけが脱出したと答えた。

 これにシュンは怒りを覚えたが、今に殺し合いに夢中になっている彼らに伝えたところで、聞くはずが無いので、そんな彼らを殺しながらこの一帯からの脱出を図る。

 目に見える殺し合いをする将兵たちは、後数分か数十分でここに大災害が起き、死ぬことすら想像はしていないだろう。

 そんな彼らを殺しつつ、出来るだけ遠くへと走り続けた。

 魔力が十分に回復したところで、空高くに飛んで離れようとしたが、空もまた戦闘機や空中戦が出来る機動兵器、そればかりか空中戦艦による大規模な空戦が行われており、危険な状況であった。

 

「まぁ、陸よりはマシか」

 

 だが、歩兵や戦車、陸戦用機動兵器、それに陸上戦艦で溢れる地上よりは幾分かマシなので、シュンは飛んでくる弾やミサイル、ビームを避けながらその中を突っ切る。

 

「おいおい、お前らは知らないのか?」

 

 空を飛びながら脱出を図るシュンの元へ、連邦か同盟の戦闘機が襲い掛かって来た。

 彼を見るなり機銃やレーザーを浴びせて殺そうとするが、シュンはそれを避けて左腕に付けているプラズマ式ボウガンで撃墜しながら脱出を図る。

 自分に牙を剥く敵のみを排除しながら突き進む中、進路上にどちらかの空中戦艦が出て来たが、避ける余裕が無いので、シュンは大剣で甲板を叩き切って穴を開け、そこから内部へ突入し、壁を切り開きながら進む。

 

「うわっ!? 敵だ!!」

 

 無論、空中戦艦には人が乗っているので、直ぐに手にしているライフルやホルスターに仕舞っている拳銃なので壁を破壊しながら進むシュンに向けて撃ってくる。

 バリアジャケットのおかげで弾丸は弾かれるばかりだが、魔力が消費しているのには変わりないので、プラズマ式ボウガンで自分に向けて銃を撃つ乗員らを挽き肉に変える。

 幾つもの壁を大剣で破壊しながら進んでいけば、外へ出られたのか、そのまま空中を飛んで、大規模災害からの範囲より抜け出そうとする。

 

「ちっ、まだ来るのか。哀れな奴らよのぅ」

 

 空中戦艦を突き破った所で、双方はシュンを追跡することを諦めていないのか、未だに執念深く追って来る。これにシュンは同じように排除しつつ空を駆け抜ける。

 

「うぉ!?」

 

 迎撃するために後ろ向きになりながら飛んでいたので、目の前に空中戦艦の艦橋が迫っていることに気付かず、シュンは風防ガラスを衝突し、それらを突き破って艦橋内に入ってしまった。

 当然、周囲に居る将兵らに銃を向けられる。

 一人巻き込んでいたのか、シュンの下で息絶えていた。凄い速度で衝突して全身の骨が粉砕され、身体のあちこちから骨が突き出ている。幸いなことに、突き出た骨はシュンには刺さっていない。

 

「貴様、連邦の…」

 

 艦長が問う前にシュンは顎を思いっ切り蹴り上げて首を飛ばし、周囲の将兵らを大剣で惨殺した。

 凄まじい血飛沫が上がり、辺り一面が真っ赤に染まる中、逃げようとする乗組員たちをボウガンで殺害してから、制御を失った空中戦艦から脱出する。

 同時に空中戦艦を爆発させ、その衝撃で吹き飛ばされるためにコアよりなのはを救うために集め、使わずにしていた巡航ミサイルを取り出し、それを空中戦艦の中央に投げ付けて爆破させる。

 盗んで来たのは火薬量の多い大規模な物であり、大き過ぎる同盟軍の空中戦艦の撃沈には至らなかったが、凄まじい衝撃が起こり、シュンはその爆風に呑まれて吹き飛ばされる。

 

「うぉぉぉ!!」

 

 爆風の衝撃はシュンの全身を襲い、凄まじい激痛が身体全体に走る中、彼の読み通りに範囲外まで飛んで行けそうだ。

 他にも爆風で吹き飛ばされたのか、どちらの軍の戦闘機か機動兵器か分からないが、墜落して地面へと落下していた。他には地面に叩き付けられて爆発した物もある。

 吹き飛ばされているシュンは、飛び交う双方の航空機や機動兵器に当たらないように祈りつつ、範囲外まで吹き飛び続ける。

 そんな吹き飛び続けているシュンの元へ、ガイドルフからの念話が入る。

 

『シュン、その大災害が発生したぞ! 凄いハリケーンだ! 俺の見える所じゃ、戦車や陸上戦艦、航空機に空中戦艦、機動兵器なんかが吸い寄せられているのが見える! なんとかしてそこから逃げるんだ!!』

 

「なに、うわっ!? なんだこりゃ!」

 

 背後を振り返ってみれば、城の辺りで巨大な竜巻が発生し、ガイドルフの言う通りに空を飛び交う両軍の空戦部隊と地上を埋め尽くすほど入る陸戦部隊を吸い込んでいた。

 巨大な竜巻は周囲にある物全てを呑み込みつつ、シュンが居る方向へと向かって来る。

 これに驚いたシュンは、連邦軍のスピアヘッド多目的戦闘機に取り付き、コックピットのキャノピーを力尽くで抉じ開け、乗っているパイロットを放り出してから乗り込む。

 それからエンジンを全快にして、迫り来る竜巻から逃げようとする。

 

「間に合うか?」

 

 背後で起きる大規模な竜巻を見つつ、範囲まで脱出できるかどうか心配になって来る。

 やがてエンジンがオーバーヒートを起こして爆散し始めれば、シュンは機体を捨てて飛び出し、全力を挙げて範囲外を目指す。

 全ての魔力を使い切る勢いで飛ばすシュンであるが、大型竜巻の方が早く、吸い寄せようと近付いてくる。

 

「クソッ! 駄目だ…!」

 

 範囲外から逃れることが出来ず、竜巻に吸い込まれそうになり、諦めかけたが、突然、ロープが目の前に飛んできたので、シュンは思わずそれを掴んだ。

 誰がロープを投げたのかを確認するために地面の方を見れば、四輪駆動の払い下げの軍用車に乗り込んだガイドルフの姿があった。

 

『離すな! 呑み込まれるぞ!!』

 

「久々に助かるぜ!」

 

 ガイドルフの念話が頭に飛んで来れば、シュンは礼を言ってロープを両手で掴んで彼が引っ張ってくれるのを待つ。

 シュンが必死にロープを掴んでいるのを確認したガイドルフは、直ぐにアクセルを踏んで全速力で竜巻より離れ始めた。

 範囲の外で待ってくれていたおかげか、何とか竜巻の範囲外から抜け出すことが出来た。

 自分を助けてくれたガイドルフが運転する四駆の助手席へと、シュンは降下しながら座り込み、バリアジャケットを解いて改めて礼を言う。

 

「サンキュー、ガイドルフ。あんたが居なければ、俺は今ごろあの中で洗濯機みたいに回されていた」

 

「なに、お前さんに死なれては困るからさ。それに久しぶりだな。久々の歓迎を祝して、この近くの酒場で一杯と行くか?」

 

「あぁ、是非ともそうしたい。それに、女もな」

 

「そうか。なら、娼館で一杯やろう。良い店を知っている」

 

 二人は久々とも言える再会を祝し、このカリオペから脱出した後、安全な場所での祝杯の約束をした。

 

 

 

「シュンよ、よくぞ無事に戻って来れたな。あの男には、感謝せねばならんな」

 

 娼館で祝杯に酔いしれ、眠りこけていたシュンの元へ、あのアウトサイダーが何所からともなく現れ、訪ねて来た。

 ベッドで眠っていたシュンは、突然の訪問者に驚いて飛び起き、虚無の世界ではないかと周囲を見渡す。

 

「なんであんたがここに!? てっ、虚無の世界じゃねぇなここは。でっ、次の能力の事か?」

 

「左様、次なる水晶の場所だ。そこはMSと呼ばれる人型の兵器が初めて生まれ、ガンダムと言う伝説が生まれた世界だ。だが、その場所は戦争中に最大の被害を受け、傷付いた大地にある」

 

 現実空間に現れたアウトサイダーに対し、シュンは次なる能力の場所を問えば、また奇妙な言い回しで答える。

 

「そんなの、俺が知るわけ無いだろう。取り敢えず、MSとかガンダムとかがある世界だな。まぁ、どうせ碌な場所じゃないだろうが」

 

「それも然り、お前が思う通りに戦場に水晶はある。では、ガイドルフが来る前に、行こうか」

 

「やれやれ。まぁ、怪しいのは分かるが。分かった。服を着る時間をくれ」

 

 とにかく、行く先が戦場である事が分かれば、アウトサイダーは首を縦に振り、自分が敵視するガイドルフが来る前に行くと答えた。

 これにシュンは、何所からともなく現れ、ヘビースモーカー以外に素性が知れない情報屋であるガイドルフの胡散臭さに同意しつつ、服を着始める。

 そして外へ出られるような衣服を身に着ければ、アウトサイダーに準備が出来たことを知らせ、次なる能力がある世界へと、ガイドルフを置いて旅立った。

 

 

 

「で、ルリちゃんの居場所は分かった?」

 

「無茶言うな。なんたって、久しぶりじゃからのう…」

 

 神と悪魔が混じった存在であるアウトサイダーの手で、シュンが次なる世界へと旅立った頃、スターリングラードでメダルを手に入れたマリは、安全地帯に落ち着き、占い師にそれを渡し、ルリの現在地を問う。

 占い師の老婆は水晶に何らかの魔力を注入しつつ、そんなに早く出ないと答え、マリが催促して来るルリの居場所の特定を急ぐ。

 暫くすると、ルリとその一行と思われる人物たちが、雪原の大地を馬車などで歩いている光景が水晶に映し出された。近くにポーランド語で書かれた看板と七十年代後半に使用されたトラックがあるからして、冬季のポーランドか、もしくはポーランド語を使う異世界である可能性がある。

 

「分かったぞ! お嬢ちゃんが探している娘は、雪原の大地じゃ!」

 

「ポーランド語の看板…トラックの車種は七十年代後半くらい…間違いない、ルリちゃんはそこに居る…!」

 

 水晶を見てルリの現在地が分かれば、マリはそこへ向かう準備をする。

 そんな彼女に対し、占い師の老婆はどうすれば良いのかを問う。

 

「い、行くのかい…? わしは、どうすれば良いんじゃ?」

 

「ここに居れば? ここはイブ人が勝手に支配地域で、それに聖域同然だから、安心して余生が過ごせるわ」

 

「是非そうさせてもらうわい。もう危険な場所は嫌じゃ」

 

 マリと占い師が居る安全地帯は、イブ人によって支配された世界であり、連邦も同盟、それにネオ・ムガルを初めとした勢力に攻められない聖域同然の場所だった。

 そんな世界に余生を過ごすことを勧められた占い師の老婆は、住み心地の良さで応じ、その世界に住むことを決意した。

 彼女が別の世界で仲間にした暴走族も、ここで再びイブ人らの元で暮らすことを決めている。

 使い勝手の良い捨て駒だったので、ルリの探索に付き合わせようかと思ったマリだが、良心があったのか、報酬として彼らを安全な場所であるこの世界で解放したのだ。

 以外なマリの手当てに、驚きを隠せなかった暴走族の面々であったが、これ以上は身を危険に晒したくない彼らはその言葉に甘え、暮らすことを決めた。

 

「これから行くけど、準備は出来てる?」

 

「我が同胞たちを救った報酬であるVF-31Fジークフリードの出撃準備は出来ているぞ」

 

「ありがと。じゃあ、またなんかあったらよろしく」

 

 ハンガーへ向かったマリは、イブ人の武装勢力、と言うか軍である彼女らより、同胞を救った報酬として貰った最新鋭のバルキリー、VF-31Fジークフリードに乗り込み、またの機会の事を頼んだ後、更衣室に向かってパイロットスーツを着た。

 サバイバルキット一式が入った鞄を肩に掛け、ヘルメットを頭の上に乗せながらコックピットに乗り込めば、被ってからキャノピーを手動で閉めた。この間に機体胴体の下部に次元転移装置が取り付けられ、装着したことを発信要員がハンドサインで知らせる。

 それから操縦桿を動かして機体を滑走路まで動かし、発進位置に着ければ、発進の許可を待つ。

 

『進路クリア、発進を許可する』

 

 管制塔に居る管制官が、レーダーを見て進路上に何もない事を確認すれば、マリに発進を許可した。

 許可が下りればマリは機体のエンジンを吹かせ、滑走路より離陸する。その時間は僅か数十秒であり、一瞬の内でビルの高さまで上昇する。

 更に上昇して大気圏を突き抜け、宇宙にまで達し、胴体に装着してある次元転移装置を起動させ、ルリの現在地である世界へと転移した。


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