復讐異世界旅行記   作:ダス・ライヒ

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外伝の執筆とゲームやってて投稿が遅れた…


アデレート

 シンプソンズ・ギャップでジオン軍が何をしていたかは未だ判明しない中、ホワイト・ディンゴは放置された採掘施設に、ジオン軍の残存部隊が潜伏しているとの情報を聞き付け、出撃した。

 採掘施設に潜伏している敵MSは大した数は無いが、通常兵器にとっては脅威であることには変わりない。

 それにホワイト・ディンゴの補給物資を積んだ輸送機ミデアがその上空を通過する。 敗残兵のMSがミデアを発見すれば、直ぐに手持ちの兵装で対空射撃を行い、撃墜してしまうだろう。

 補給物資を守るべく、ホワイト・ディンゴは出撃する。

 戦闘は直ぐに終わった。何せ敵MSは全て手負いであり、戦闘開始から約五分で敵MS二機を戦闘不能状態にすれば、あっさりと投降した。

 

『はぁ、拍子抜けだぜ。手負いと思って死ぬ気で抵抗していることを覚悟してたが、投降しちまうなんて』

 

『負傷兵や損傷していたMSばかりだったからな。限界だったんだろう。指揮官は負傷兵等にマシな治療を受けさせることが出来てホッとしているな』

 

 投降したジオン軍の将兵やMSを見て、決死の抵抗を期待していたマイクは張り合いが無いと文句を口にする。

 これにレオンが敵の負傷兵等を見て、既に敵は限界だと分かり、指揮官が負傷した部下たちに治療が受けさせることが出来て喜んでいると口にすれば、 この敵を倒そうとしていたマイクは、慌ててさっきの言葉を撤回した。理由は予想通り、周りに自分が悪者と思われているからだ。

 

『…まっ、このマイク様は、手負いで弱っている敵に容赦なく銃弾を浴びせず、むしろ救いの手を差し伸べてやるがね』

 

『お前が無慈悲で酷い奴じゃ無くて良かったよ』

 

『と、当然でしょう! 弱った敵を倒し、それを自慢するような人間じゃないですからね! 俺は!』

 

 弱った敵に救いの手を差し伸べる。

 慌ててそれを口にしたマイクに、レイヤーはその心掛けを褒め、酷い人間でなくて良かったと安心する。

 これにマイクは胸を張りつつ、周りに酷い奴じゃないと分かって貰って安心しきる。

 

『さて、運んできた補給物資を確認するか』

 

『了解! さて、どんなのがあるかな』

 

 後の事は後続に任せ、レイヤーたちは自分の隊に送られた補給物資を身に行くため、この場から撤収した。

 

 

 

 数時間後、ホワイト・ディンゴは補給部隊よりスタンリー大佐から特別な贈り物を受領した。

 贈り物はガンキャノンの量産型仕様であるRX-77D、通称「量産型ガンキャノン」三機に、アウトサイダーの計らいか、シュン用にジム改を格闘戦用に改造したRGM-79FP、ジム・ストライカーだ。

 この特別な贈り物を見た整備班長のボブは、特にジム・ストライカーを見て驚きの声を上げる。

 

「まさかスタンリー指令がこんな物を送って来るとは、こいつはあの乱暴者にぴったりだな」

 

 一目見て、ジム・ストライカーは直ぐにシュン向けだとボブは職人気質の目で判断した。

 ガンダムの装甲に使う高価な材質を使わず、なるべく少ない予算で選んだ爆発反応装甲(リアクティブアーマー)が被弾率の高い個所に付けられている。

 このジムは近接戦闘、それも格闘戦特化なので、ツイン・ビームスピアと呼ばれる長物の近接武器だ。それに防御するためのショートシールドのスパイクには、パイルバンカーのように敵を突き刺す機能が備わっている。名付けてスパイクシールドと言った所だろう。

 

「さて、ちょいと弄って…」

 

『おーい、みんな! キャルフォルニアベースが奪還されたぞ!!』

 

「ん? 北米の方は遂に落ちたか。どれ、見に行くとするか」

 

 珍しい機体の整備を行おうとした矢先、士官が大声で北米のジオン軍最大の拠点であるキャルフォルニアベースが、元の持ち主である連邦軍に奪還されたと言うニュースが入った。

 自軍が敵軍の一拠点を落としたので、ボブは整備を後回しにしてそのニュースを見に行く。

 

 

 

『数日以上にも渡る激戦の末、キャルフォルニアベースは元の持ち主である我ら地球連邦軍の手に戻りました! これにより南北アメリカのジオン軍の脅威は消え失せ、アジアにおけるジオン軍の拠点も落ちるのは時間の問題です! 残るジオンの拠点はアフリカ大陸とオーストラリア大陸のみ。そこでも物量で勝る我が地球連邦軍による反攻作戦が実行されているので、地上における戦闘が終わるのも時間の問題です! 宇宙軍も反攻作戦の計画を行っており、戦争は来年を迎える頃には終わる事でしょう…』

 

 ニュース映像には、連邦軍の攻撃で陥落したキャルフォルニアベースの様子が映し出されていた。

 流されるのは勝利して微笑む連邦軍将兵の姿、ジオンのMSを撃破するジム系統のMS、ザクやグフ、ドム、水中系MSの残骸の数々、自軍の兵器の残骸を映さない編集をしている辺り、明らかにプロパガンダ映像であるが、連邦軍が勝利した事実には変わりない。

 

「北米は落ちたか。隊長、今度は俺たちの番ですね!」

 

「こいつは不味いな…」

 

 ニュースを見たマイクは、お気楽に今度は自分達が勝利する番だと言うが、レオンはオーストラリアにおけるこれからの戦いが、より厳しさを増すことを予想する。

 

「なんだよ、レオン。浮かれない顔をして?」

 

「マイク、ニュースには映ってないが、ジオンは潜水艦を持っている。それもMSを搭載できるほどデカい原水みたいな潜水艦だ。それが脱出して、このオーストラリア大陸に来ているとしたら…」

 

「相手がザクやキャノンタイプ、グフだけでは無くなるって言いたいんだな、レオン」

 

「はい、隊長。これからは、装甲の厚い水陸両用MSや重MSのドムと交戦する可能性が高いです」

 

 素直に自軍の大勝利を喜ばないレオンに対し、マイクは何を考えているかを問えば、彼はその基地から脱出したジオンの潜水艦がオーストラリアに来ると答えた。

 ジオン軍が保有する潜水艦は、どれもMSを搭載できるほどの大型の潜水艦であり、 それらがキャルフォルニアベースを一斉に脱出したとなれば、反攻作戦が続けられているオーストラリア大陸に何隻かが来る。

 当然、脱出した全ての潜水艦はMSを搭載しているので、ホワイト・ディンゴはこれまでとは違うタイプのMSと戦うことになる。

 レオンの言いたいことが分かったレイヤーは、それを彼にいえば、そうなる可能性は高いと答える。

 

「やれやれ、形勢がこっちに傾いたってのに、これから厳しくなるのか」

 

「アフリカより幾分かオーストラリアの方がマシだ。あそこにはまだ軍規模の敵戦力が残っている。スタンリー大佐は、アメリカのジオンがここに逃げて来ることを見越して、俺たちに新型機を与えたんだろう。何があろうとも、俺たちはベストを尽くすのみだ」

 

「まぁ、俺たちは便利屋ですからね」

 

 ホワイト・ディンゴの面々は、これからの戦いが厳しくなろうが、最大限のベストを尽くす構えだ。

 そんな彼らに、スタンリー大佐から新しい指令が来たことをアニタは知らせた。

 

「レイヤー隊長、スタンリー指令より新たな指令です。至急、オアシスへ」

 

「分かった。いつも通り、席を外してくれ」

 

 知らせを受けたレイヤーは、いつも通りにアニタにオアシスから席を外すように言ってから、指令を聞くためにオアシスに向かった。

 

 

 

 オーストラリア方面軍司令、スタンリー大佐の次なる指令は、南オーストラリア州のアデレードの調査であった。

 コロニー落としを受けたシドニーに近かったためにその余波を受け、今は廃墟と化している。

 更には侵攻の際にミノスキー粒子が撒かれたのか、レーダーが余り機能しない。

 現場へと向かう中、前に調査を行っていた部隊の61式戦車が止まり、砲塔のキューボラから車長が顔を出して挨拶する。

 

「よぅ、ホワイト・ディンゴ! 歴戦の勇者様に、こんなちんけな任務を引き継がせるのは心苦しい限りだが、メルボルン攻略に参加しろと上からの命令でな」

 

『へいへい、俺たちは便利屋だからな。気兼ねなくどうぞ』

 

「あんた等もとんだ貧乏くじを引いちまったな。まぁ、お互い命を大事にしようや」

 

 その挨拶にマイクが答えれば、車長はアデレートに潜む注意点を伝える。

 

「そうだ。この辺はミノスキー粒子が濃い。それに、仲間がMSくらいのを見たって言うのもある。気を付けろよ!」

 

『ご忠告どうも! そっちも気を付けて行けよ!』

 

 前任者たちからアデレートの現状を聞けば、ホワイト・ディンゴの面々は廃墟へと進んだ。

 生き残っている住人は既にこの廃墟の街を去った後なのか、人っ子一人の気配は全くない。

 本物のゴーストタウンのようだが、ミノスキー粒子が濃く、レーダーが余り機能しないので、ジオン軍の敗残兵らが隠れるにはうってつけであり、湾港があるので、各地から脱出したジオンの潜水艦も潜んでいる可能性がある。単独での行動は危険だ。

 

『酷い物ね…』

 

『地図から消えたシドニーよりましさ。戦争が終われば、復興だってできる』

 

 アデレートの沿岸辺りを見たアニタが、その惨状を見て口を開けば、戦争が終われば復興が出来るとレオンが答える。

 

『そう言う話じゃないだろう! 人も街も元には戻らない! 新しく始めることが出来るってのと、この惨状じゃ別の話さ』

 

 そんな二人に先の陽気さは何所へ行ったのか、マイクが急にもう元には戻らないと真剣に告げる。声からして、このオーストラリアの地に最初に足を踏み入れた以降に見る物だ。レイヤーもこれに続いた。

 

『確かに元には戻らない。だが、戦争という事象の中で起きたことを感情論で塗りつぶせば、戦争を復讐が連鎖する殺し合いに変える』

 

 復讐と口にしたレイヤーに、ネオ・ムガルに対する復讐の旅を行っているシュンは反応した。

 だが、レイヤーが言っていることはシュンの事では無い。コックピットの画面から見えるアデレートの惨状を決して忘れることなく記憶し、兵士として、後の世に戦争の悲劇を伝えるため、この戦争を生き延びる事だ。

 

『俺たちは兵士として、この光景を記憶に刻み、今できることにベストを尽くすしかないのさ』

 

「(俺の時は、地元の連中に石を投げられたな)」

 

 そう皆に説くレイヤーに一同は納得する中、アデレートのような光景を何度も見ているシュンは、住んでいた家を失った街や村々の住人たちに石を投げ付けられたことを思い出した。

 最初は撃ち殺してやろうかと思ったが、何度も経験している内に戦闘に巻き込まれた住人らの気持ちを理解し、自分は石を投げ付けられて当然の報いだと知って銃の引き金に賭けた指や殴ろうとする拳を押し留めた。

 

『さぁ、説教は終わりだ。沿岸掃除と行こう』

 

 全員に戦争における兵士としてのベストを説き終えたレイヤーは、任務に入った。

 周囲を索敵したアニタは、先の戦車隊の者の忠告通りにミノスキー粒子がやけに濃い事を知らせる。

 

『さっきの戦車隊の言う通り、異常なミノスキー粒子濃度です。それも奇妙な程に。何が待ち受けているか分かりません。十分に慎重に行きましょう』

 

『各機、レーザー通信が届く範囲で索敵しろ』

 

 オアシスのアニタから忠告通りにレーダーが余り機能しないことが分かれば、レイヤーは全機にレーザー通信が届く範囲で索敵するように指示を出す。

 そのレイヤーに対し、レオンはアリス・スプリングス戦前と同じように、小耳に挟んだ情報を伝える。

 

『隊長、少し失礼ですが、アデレートで聞いた話なんですが…』

 

『二度目だな。で、その話の真意は?』

 

『まぁ、噂なんで真意は分かりませんが、ジオン軍はこの沿岸地帯の何処かに軍事施設を設けていたようです』

 

 二回目の小耳に挟んだ情報は、このアデレートの沿岸地帯に、ジオン軍が基地を建設しているとの事だった。

 

『なぜこんな所に軍事施設が? やけにミノスキー粒子濃度が高いのはその所為か? でっ、噂ではどんな軍事施設なんだ?』

 

『さぁ、噂ですし。それにここは沿岸地帯だ、潜水艦を停泊させる軍港がある可能性が高い。もっとも、目立つタンカーでは無い事は確実ですが』

 

『…なるほど』

 

 現地へと移動の最中、何処かで聞いた噂をわざわざ伝えたレオンに、レイヤーは彼が自分たちに何かを隠していることを見抜いた。

 当然、レイヤーはシュンが歴戦練磨の戦士であることを見抜いている。シュンは一向に気付かれていないと思っているようだが。

 

『隊長、捜索範囲が広すぎます。散開して調べた方が、効率が良いんじゃなんですか?』

 

『確かに効率が良いが、複数の敵機と遭遇した場合は不味いレーザー通信が届く範囲で索敵しろ』

 

『了解です』

 

 探索範囲が広いので、散開した方が良いと言ったマイクだが、レイヤーは複数の敵機と遭遇する可能性があると言って却下した。

 そのままホワイト・ディンゴは、アデレートの沿岸地区の探索を始めた。

 

『敵機、十二時方向に確認。注意して!』

 

『さぁて、新型を試すとしますか!』

 

 探索を初めて数分後、オアシスが敵機の反応を捕捉してそれを報告すれば、早く量産型ガンキャノンを試したいマイクは、待ってましたと言わんばかりに前に出た。

 最初に標的にしたのは、キャルフォルニアベース所属機であるザクⅡJ型だ。陥落した基地より潜水艦で命辛々脱出したが、運悪くホワイト・ディンゴと遭遇してしまった。

 出迎えの現地所属機のザクと共に迎え撃とうとするが、量産型ガンキャノンの装甲に弾かれる。その量産型ガンキャノンは、生産性重視の為に本家よりも装甲は劣るが、ザクのマシンガン程度は防げるくらいはあり、スラスターの増加で機動性は高い。

 

『流石は信頼の重装甲と機動性! ジムとは違うね!』

 

『余り前に出るな! ドムが出てくるかもしれんぞ!』

 

『分かってますって!』

 

 弾を受けても無事だったマイク機は、二挺の100mmマシンガンで撃って来たザクを戦闘不能に追い込む。

 敵機を撃破して意気込むマイクに、レオンは脱出した部隊にドムが居るかもしれないと注意する。

 レイヤー機が両肩のキャノン砲を撃ち、出迎えのザク・マリンタイプを撃墜する中、シュンのジム・ストライカーはグフと交戦していた。

 左手のフィンガーバルカンを躱しつつ、マシンガンを撃ちながら接近しようとする。

 近付いてくる新型のジムに対し、グフは右腕のヒートロットを展開してシュンの新しいジムを叩こうとするが、これも避けられてしまう。

 

「流石は新型と言った所だな!」

 

 機体の機動性の高さにシュンは舌を巻きつつ、得意の接近戦で敵機に挑む。

 マシンガンを腰のラックに取り付け、背中に取り付けてあるツイン・ビームスピアを持ち、ビームを展開して突き刺そうとするが、敵機に乗っているパイロットも熟練の兵士であるのか、長物から来る突きを躱し、ヒートサーベルを引き抜いて懐へ飛び込み、斬りかかって来る。

 

「分かってるんでな!」

 

 だが、敵機が来ることはシュンも分かっている。斬りかかるグフに対し、シュンは機体の左足で敵機を蹴り付け、怯んだところで生じたチャンスを逃さず、ビームスピアのサーベルの刃を横にし、横から胴体に二本のビームの刃を突き刺した。

 胴体に二本のビームの刃を突き刺されたグフは機能を停止し、引き抜かれた後にまた蹴りを入れられ、地面に倒れ込む。

 

『ファング4、敵機撃破を確認!』

 

「陸ジムより使いやすいぜ、こいつは」

 

 オアシスがシュンの撃破を確認すれば、シュンは実戦で初めて使ったジム・ストライカーは自分向きの機体であると分かり、続け様に攻撃して来る敵機に向かう。

 今度はザクだ。マシンガンを撃ってくるザクに対し、シュンは機体の被弾個所を爆発反応装甲にしながら突っ込み、ツイン・ビームスピアを投げた。

 投げたビームスピアの刃は縦になっており、投げ槍には十分な物だ。勢いを付けて投げた為、凄い速さで飛んでくる二つの刃のビームの槍はザクの胴体を貫いた。

 

『う、うぁ…!』

 

 友軍機を串刺しにしたのを見て、近くに居るザクのパイロットは恐怖を覚える。

 そんな恐れおののく敵機に対し、シュンのジム・ストライカーは躊躇いも無しに突っ込み、串刺しにした敵機の残骸からスピアを引き抜き、マシンガンを撃ってくる敵機に迫る。

 マシンガンの弾幕を盾で防ぎながらスピアが届く距離まで来れば、間合いを取ろうと下がるザクに対し、シールドで体当たりを仕掛けて吹っ飛ばす。

 空かさず体当たりで倒れたザクに追撃を掛け、ショートシールド尖端のパイルバンカーで胴体を突き刺して無力化した。

 

「敵機撃破! 次っ!」

 

 数分でグフと二機のザクを葬り、地上戦におけるMSの腕を伸ばしたシュンは、次なる敵機を求め、直ぐにレーダーを見て索敵を行う。

 そんな時に、オアシスより新たな情報が無線より知らされる。

 

『こちらオアシス、敵のヘリのローター音を二つ確認。あとこの音は…潜水艦? 潜水艦が海岸に停泊中の模様です』

 

『地上に出ている奴らの母艦だな』

 

 その報告を受けたレイヤーが、地上に展開している別の識別マークを付けたMSの母艦であると言えば、レオンはその潜水艦をキャルフォルニアベースから脱出した物と判断し、重要な物資や情報を保有している可能性が高いと告げる。

 

『隊長、キャルフォルニアベースから敗走した部隊なら、重要な物資や情報を保有している可能性があります。ヘリは恐らくそれらの回収に寄越されたのでしょう。先にヘリを撃墜した方が!』

 

『よし、ヘリを優先し、その後に潜水艦を撃沈する!』

 

『隊長、ヘリは分かりますが、俺たちの装備に魚雷はありませんよ! 対艦砲だって…!』

 

 レオンがヘリを優先して撃墜するように言えば、レイヤーはヘリ撃墜を優先し、その後に潜水艦を撃沈すると指示を出す。

 潜水艦を撃沈すると聞き、潜水艦に対する装備がない事をマイクはレイヤーに伝える。

 その問いにレイヤーは、量産型ガンキャノンの背中にある二門のキャノン砲を使うと答える。

 

『背中のキャノン砲は何のためにある? 直撃ならキャノン砲で十分に撃墜することは可能だ。弾は節約しておけよ? さぁ、急ぐぞ! ファング4は俺たちの援護だ!』

 

「了解!」

 

 答えると同時にキャノン砲の弾を節約するように指示を出せば、シュンのジム・ストライカーに援護を命じる。

 これにシュンが応じれば、ホワイト・ディンゴはヘリの撃墜に向かった。

 ヘリは量産型ガンキャノンの100mmマシンガンと60mmバルカン砲で十分に撃墜が可能なので、対空機関砲のように潜水艦へと向かおうとするヘリに対空射撃を行えば、二機のヘリは被弾して煙を吹きながら墜落していく。

 あっと言う間にヘリを片付けたが、潜水艦までは少し難があった。

 それは潜水艦が搭載していた水陸両用MSだ。装甲の厚いゴッグとズゴッグが海面から飛び出し、潜水艦に向かおうとするホワイト・ディンゴの面々にビームやミサイルなどを浴びせる。

 弾幕を手近にある廃墟で凌ぎ、そこから手持ちのマシンガンで反撃するが、ゴッグの装甲の前に弾かれるばかりだ。ズゴッグは直ぐに海中へと引き換えし、頭部の上にあるミサイルを撃ってくる。

 

『野郎!』

 

『止せ! 水中は奴らの独壇場だ! ファング4に任せて俺たちは潜水艦だ! 潜られる前に叩くぞ!!』

 

 反撃しようとしたマイクに対し、乗っている機体の特性を知っているレイヤーは水中戦では不利だと分かり、静止して潜水艦の撃沈を優先する。

 三機の量産型ガンキャノンを守るべく、シュンは前に出て時おり水中から顔を出して攻撃して来るゴックやズゴッグの牽制に当たる。

 

『側面からゴッグだ!』

 

 潜水艦を砲撃できる距離までホワイト・ディンゴが向かう中、右側面からゴッグが陸上に上がって来るのを見たレイヤーは、直ぐに敵機の存在を知らせた。

 その報告を聞き、シュンは直ぐに上陸して腹部のビームを撃ち込もうとするゴッグに向け、ありったけのマシンガンを撃ち込む。

 このマシンガンではゴッグの装甲は撃ち抜けなかったが、腹部のビーム発射口に当たっては不味いと判断してか、腹の部分を鋭利な爪がある両手で隠す。

 

「腹が弱点だな!」

 

 腹が弱点だと判断し、そこへ集中砲火を浴びせようとしたシュンであったが、ゴッグのパイロットは接近した方が良いと判断してか、体当たりを行って来た。

 この突然の体当たりにシュンは避けることが出来ず、頭突きを機体胴体に受け、地面に転倒する。

 体当たりから直ぐに姿勢を正したゴッグは、両手の鋭利な爪で地面に倒れ込んだジム・ストライカーを引き裂こうとしたが、シュンは爪が振り下ろされるよりも早く機体背部のビームサーベルを引き抜き、それをゴッグの腹部にあるビーム発射口に突き刺した。

 サーベルを腹部に突き刺されたゴッグは、爆発寸前にまで至る。

 ここで爆発されては、レイヤーたちに被害が出るので、シュンは機体のスラスターを吹かせて無理やり立たせ、爆発寸前のゴッグに思いっ切り蹴飛ばす。

 海面まで蹴飛ばされたゴッグは、海中に沈んだ後に大爆発を起こし、水柱を立ち上がらせた。

 

『ファング4、敵水陸両用機を撃墜!』

 

『油断するな! まだ居るぞ!』

 

 オアシスからの報告でゴッグを撃破したことを確認したレイヤーであるが、海中からの脅威は去っていない。

 今度は三機のガンキャノンが居る場所からズゴッグが飛び出し、一番近くに居たレオン機に襲い掛かる。

 

『うわっ!?』

 

『ファング2が損傷!』

 

『大丈夫か!?』

 

 海中から強襲を仕掛けたズゴッグにレオン機は左腕をクローで引き千切られたが、空かさずに体当たりを食らわし、至近距離から両肩のキャノン砲を撃ち込んで撃破した。

 レイヤーより無事を問われたレオンは、損傷個所を確認しながら大丈夫であると答える。

 

『大丈夫。左腕を抉られましたが、戦闘は可能です』

 

『そうか。余り無理はするなよ? ファング4、そちらも大丈夫か?』

 

『こっちですかい? こちらは絶好調ですぜ』

 

 次にレイヤーはシュンの無事を問えば、海中からの攻撃を受けているファング4ことシュンは、ゴッグの体当たりの際に拾おうとしたマシンガンを拾おうとして失敗していた。そのマシンガンは、海中からのミサイル攻撃で完全に破壊されている。

 それが直ぐに分かったオアシスは、それをレイヤーに伝える。

 

『隊長、やせ我慢ですよ。ファング4はマシンガンを紛失しています』

 

『ファング4、ゴッグやズゴッグ相手に飛び道具も無しに挑む気か? 俺のビームスプレーガンを使え。その方が幾分かマシだ』

 

 武器が無いと分かれば、レイヤーは予備に取ってあったビームスプレーガンを、シュンのジム・ストライカーに向けて投げた。

 投げられたスプレーのようなビーム兵器を、シュンのジムは見事に受け取り、しっかりと取っ手を握って海中から現れ、腹部のビーム砲を撃ち込もうとしたゴッグに向けて二発ほど撃ち込む。

 腹部に二発ものビームを撃ち込まれたゴッグは、腹を抑えながら爆発を起こす。

 

「やはりビームか!」

 

 少々頼りない外見であるが、やはりビーム兵器は強力だ。

 ビーム兵器を手に取ったシュンのジム・ストライカーは、そのまま海中から飛び出て来た二機目のズゴッグへ向け、連発して撃ち込んだ。

 だが、二度目は上手く行かず、左腕を破壊できただけで敵は再び海中へと戻ってしまう。

 敵機を再び海中へと逃がしてしまったが、三機の量産型ガンキャノンが潜水艦を射程距離に捉えることが出来た。

 

『隊長、潜水艦を射程距離に捉えました!』

 

『よし、潜航される前に撃沈する! ファイアー!!』

 

 マイクが先にキャノン砲の照準を潜水艦に合わせたことを知らせれば、レイヤーは残り二機に向け、射撃指示を出した。

 キャノン砲に狙われたユーコン潜水艦は直ぐに潜航しようとしたが、連続して発射された砲撃から逃れることが出来ず、数十発の砲弾を受けた潜水艦は炎上しながら海中へと沈んだ。

 

『敵潜水艦の撃沈を確認! 残りは…』

 

『畜生! ここまで来て、死んでたまるか!!』

 

 潜水艦の撃沈を確認したオアシスが知らせる中、シュンが逃した片腕を破損したズゴッグが再び海中から現れ、レイヤー機に向けてビームを撃ち込んだ。

 

『うぉ!?』

 

『隊長!?』

 

 反応が遅れたのか、レイヤー機は被弾して地面に倒れ込む。隊長機がやられたことで、動揺するレオンとマイク、それにアニタであったが、シュンは冷静であった。

 片腕を失ったズゴッグのパイロットは必死なようで、レイヤーにはとどめを刺さず、再び海中に逃げ込んでこの場から脱出しようとしたが、シュンのジム・ストライカーが投げたツイン・ビームスピアが胴体に命中する。

 

「おぉぉぉ!」

 

 二本のビームの刃を突き刺され、動けないでいるズゴッグにシュンは自機のスラスターを吹かせて一機に接近してスピアを引き抜き、刃を横にしてデッサイズ状にし、胴体を切断した。

 投げ槍で突き刺された挙句、過剰に胴体を切断されたズゴッグは大爆発を起こす。

 ズゴッグを撃破したところで、周囲に居る敵機の反応がない事をオアシスは知らせる。

 

『周囲に反応なし。敵は全滅したようです。隊長、ご無事ですか?』

 

『あぁ、なんとかな。新品を修理に出さないと駄目な状態だが、戻れるくらいは動く』

 

『無事なのは、俺のだけか』

 

 オアシスに居るアニタがレイヤーに向けて無事を問えば、レイヤーはコックピットのハッチを開けて無事を知らせる。

 レオン機は腕を損壊し、レイヤー機は胴体に被弾して戦闘不能な状態であり、唯一無事なのはマイク機のみであった。シュンのジム・ストライカーは、少し修理すれば再び戦場へ戻れる状態だ。

 

『何か気になるな。調査団の派遣を要請しよう』

 

『了解です。調査団の派遣を要請します』

 

 レオンの行ったことが気になるので、レイヤーが調査団の派遣を要請すれば、アニタは直ぐに調査団の派遣を本部へ要請する。

 

『では、私も調査団に合流します』

 

『おや、仕事熱心だね』

 

『気になる事が多過ぎてな。隊長たちは先に撤収してください』

 

 それを聞いていたレオンは調べる事があったのか、調査団に加わると先にレイヤーに報告した。

 

『そうか。では、我々は先に撤収する。今の状態では、整備をしなくちゃならんからな』

 

 マイクがそれを茶化す中、レイヤーは先に戻ると答え、レオン機を残してまだ動く機体を動かし、基地へと帰投した。

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