『あ、あれは、ガンダム…!?』
『なんでガンダムがこっちに!? 味方じゃないのかよ!』
向かって来る謎のガンダムタイプのMSに対し、ホワイト・ディンゴの面々は臆する。
ガンダムは試作機でも、連邦軍に取っては勝利の象徴である。ホワイトベース隊の主力はガンダムであり、圧倒的な性能でジオンの追撃を何度も退け、戦局を一カ月余りで連邦軍に偏らせた。今、連邦が勝っているのはガンダムのおかげと言っても過言では無い。
そのガンダムに襲われたのだから、幾ら特殊部隊であるホワイト・ディンゴとは言え、恐怖するのに決まっている。
味方であるはずのホワイト・ディンゴに襲い掛かるガンダムタイプのMSは、右手に持っているビームライフルを躊躇いも無しに発射する。
『撃って来た!?』
『散開しろ! あのガンダムは敵だ!!』
初弾は逸れたが、二発目が来る可能性があるので、直ぐにレイヤーは散開するよう指示する。
ホワイト・ディンゴはカスタマイズされたジムが二機に量産型ガンキャノン一機、ジム・ストライカー一機を合わせて合計で四機。性能差は圧倒的にガンダムタイプの方が上だ。
四機はオアシスと共に遮蔽物に隠れて反撃の隙を伺うが、尋常では無い速度で迫るガンダム相手ではどうにもならない。
『隊長、あのガンダムタイプは異常ですよ! おそらく奴が駆け付けた友軍部隊を壊滅させてたんだ!』
『マッチモニードがガンダムを持ってるなんて! レオン、知らないの!?』
『俺も予想外だ! まさかガンダムが出て来るなんてな!』
『何か隙は…! あいつを突破しなければ核が…!』
ビームを異常な速度で撃ってくるガンダムを相手に、ホワイト・ディンゴの面々はやや混乱気味になる。
「俺が行くしかなさそうだな。隊長、ここは自分が時間を稼ぎます。隊長等はトリントンへ!」
異世界のガンダム相手は自分が適任だと思ったシュンは、自分が時間を稼ぐからレイヤーたちに先にトリントンへ向かうように言った。
当然、その案はレイヤーに却下される。理由は化け物染みた敵に、部下を生贄に差し出すような物だからだ。
『却下だ、ファング4。こんな化け物相手、死ぬような物だぞ! それに一分も持たない! ここは俺が…!』
「いや、隊長はトリントンへ! 俺を信じてくださいよ」
『…分かった。死ぬなよ!』
自分がガンダムの足止めをしようと言ったレイヤーだが、それでは死んでしまうので、シュンは歴戦練磨の戦士の顔で彼を説得した。
薄々とシュンが歴戦練磨の戦士だと気付いていたレイヤーは、彼の目を見て信頼に値すると見込み、ガンダムの相手を任せた。
『隊長、こんな脳筋じゃ瞬殺ですよ! このマイクが…』
『いや、ファング4を信じろ! 奴は俺たちの為に時間稼ぎをしてくれる! 議論をしている暇はない! 一刻も早くトリントン基地へ行くぞ!』
『残酷だが、隊長の言う通りだ。ファング4は俺たちの為に時間を稼いでくれる! さぁ、行こう!』
『くっ、死んだら許さないからな!』
当然、マイクは仲間を置いて行くことが出来ず、自分等も残ろうとしたが、レイヤーとレオンに一蹴され、仕方なく隊長の指示に従う。
『援軍は着々と来てくれているわ! それまで持ち堪えて!』
「おう、任せておけ」
アニタは増援がいずれ来るので、そこまでシュンが持ち堪えれば耐えられると思い、三機と共にトリントンへ向かった。
トリントンへ向かおうとするホワイト・ディンゴの面々を見たガンダムは、即座に右手に持っているライフルを撃とうとしたが、シュンが撃ったマシンガンを受ける。
「ちっ、インチキにも程があんだろ!」
シュンの機体が持つ主兵装である100mmマシンガンは、ガンダムの装甲の前で弾かれるばかりだ。
高火力に高機動、重装甲を誇るガンダムタイプのMSにシュンは悪態をつきながら、無謀な時間稼ぎを始める。
対した威力も無いマシンガンを撃って来るシュンのジム・ストライカーに、ガンダムタイプは鬱陶しいと思ってか、彼のジムに向けてビームを撃ち始めた。
ビームの威力は凄まじく、少し掠った所で爆発反応装甲が反応して爆発した。
「この時代であれはズルだろ! おい、アウトサイダー! 見てるんだろ!? なんか方法とかねぇのか!!」
このままでは敵わないと判断してか、岩陰に隠れたシュンはアウトサイダーに何か勝てる方法が無いのかを問う。
それに応えてか、映像通信にアウトサイダーの顔が映る。先のガンダムタイプの事は現れた瞬間に知っており、危険な存在であることも知っていた。
『異界のガンダムと交戦しているようだな。しかもこの時代にはそぐわず、世界その物を破壊しかねず、あってはならない物だ。あちらがその手で来るなら、我々も目前の異物を排除するために手段は選べん』
「どういうことだ?」
意味深なことを言いながら、この世界を守るために絶対にあのガンダムタイプのMSを排除するしかないと告げるアウトサイダーに対し、シュンは何をするつもりかと問えば、モニターに映る虚無の存在は答えることなくそれを実行する。
突然、コックピット内の機器のコードが千切れ、それらが一斉にシュンの身体に突き刺さる。
「ぐぁ…! な、何をしやがる…!?」
身体全体に尋常ならない痛覚を感じたシュンは、目の前の敵を排除しようと言うのに、なぜ自分を攻撃するのかを痛みを耐えながら怒り心頭に問い詰める。
この問いに映像に映るアウトサイダーは、禁じ手を使ったと答えた。
『すまん、禁じ手を使わせて貰った。コードはその機体を手足のように動かすためにお前に繋がらせた。その為に機体のフレームを人間と同じ骨と神経に変換、視界もモニターからその機体の目に映る。お前は乗っている機体と一体化したのだ』
「なに? 一体化だと…」
アウトサイダーが出した答えは、常識を逸脱する物であった。
それはシュンの神経を、ジム・ストライカーに繋げたと言う物であった。しかも従来のフレームでは無理なのか、人間の骨と神経と同じ物に作り替えた。つまりMSと一体化するのである。
聞くだけでも恐ろしい物であるが、シュンはそれを実際に体感し、ジム・ストライカーと一体化した。
突然の視界の変化にシュンは一瞬戸惑ったが、まるで機体が自分の手足のように動いている。ジム・ストライカーのバイザーは、青色から赤色へと変色していた。
「俺はジムと一体化しちまったのか?」
『左様。これでお前は生身のように敵と戦うことが出来る。得物も用意しよう、地面に手を突っ込め』
本当に一体化したのかを問えば、アウトサイダーは真実であると答え、更に得物まで用意しているとまで答える。
彼の指示通りに地面に手を突っ込めば、自分が生身の戦闘の際に使っているスレイヴが出て来る。これを手に取って構えれば、生身と同じ感覚が伝わり、試しに振るえば大剣を振るっている感覚が伝わって来る。
「すげぇ、生身と同じ感覚だ。これなら、奴をぶった切れる」
『準備は出来たな。さぁ、異物を排除しよう』
握っている柄から生身と同じ感覚を味わったシュンは、アウトサイダーの言葉のままに敵のガンダムタイプの前に現れる。
『言い忘れたことがあったが…』
いざ戦おうとした瞬間、アウトサイダーが一つ言い忘れていたのか、シュンが攻撃を受けた直後に伝える。正確には掠った程度であるが、それでも直にビームの高熱を感じ取る。
「あ、あちぃ!? なんだこれは!?」
『その巨体がダメージを受けた時、お前自身にも痛覚を感じる仕組みとなっている。気を付けて戦え』
「それを早く言え! 畜生が!!」
先に言わなかったアウトサイダーに文句を垂れつつ、シュンは飛んでくるビームを回避しながらガンダムタイプに接近する。
敵も近接戦闘を仕掛けて来ると判断してか、左手でビームサーベルを抜いて斬り掛かる。
いつものように、そのビームの刃を得物であるスレイブで受け止めたシュンであったが、相手が使うのは高熱を発する武器であるためか、直に厚さが伝わって来た。
「くそっ、こっちが先にやられちまいそうだぜ!」
伝わって来る高熱に、シュンは先に折れてしまいそうだと口にするが、彼は砂漠地帯での戦闘経験があるので慣れっこだ。
いつもの卑劣な手、砂を蹴る、というより地面の土を相手の目線の方へ向けて蹴れば、敵は怯んでかサーベルを下げる。
この隙にシュンは大剣を振るってガンダムタイプを撃破しようとしたが、相手の反応が早く、スラスターを吹かせた敵は回避行動を取り、ビームライフルで反撃して来る。
スラスターの噴射熱に続いて掠る牽制射撃のビームの熱さを感じたシュンは、堪らずにその場から離れ、遮蔽物へと引っ込む。
「熱すぎてやってらんねぇぜ! なんか飛び道具とかねぇのか!?」
『大剣のように地面に手を入れろ。あちらがビームライフルを使うならこちらもビームライフルだ』
「あいよ!」
飛び道具が無いのかをアウトサイダーに問えば、彼は大剣と同じ要領で地面に手を突っ込めば出て来ると答える。
それに応じてシュンは地面に手を突っ込んで、そこから連邦軍の規格型ビームライフルを取り出す。
あちらは最新式で、こちらは旧式であるが、同じビームなので問題は無い。直ぐにシュンはそれをガンダムタイプに向けて撃ちまくる。
何発かはあらぬ方向へ飛んで行くが、それでも牽制程度にはなっており、一気に遮蔽物の岩から飛び出して接近する。当然、敵に反撃させぬように撃ちながら前進する。
「おっ、当たった!」
無茶苦茶な射撃であるが、まぐれ当たりで敵のライフルの破壊に成功したようだ。ライフルを失った敵は、頭部のバルカン砲で反撃を試みる。
こちらに盾は無いためか、肩に当たった瞬間に激痛が走り、思わずビームライフルを手放してしまう。
「うぉ!? いてぇ!!」
『シュン、奴が来るぞ!』
「分かってるよっ!」
思わずライフルを手放し、敵に接近を許してしまうが、シュンはわざわざ近付かなくて済んだと感謝して大剣でカウンターを狙い胴体の一部に切り口を付けることに成功する。
「ご自慢の愛車に傷を付けてやったぜ」
そう被弾した左肩を慣らしつつ、シュンは敵に切り口を付けたことを自慢する。
敵のパイロットは一度も被弾したことが無いのが自慢だったのか、初めて自機に傷を付けたシュンに対し怒りを燃やし、激昂しているのが分かるようにビームサーベルで斬り掛かって来る。
「怒ったか? ちんけな奴よ、たかが兵器だろうが」
恐ろしい速さで振るわれるビームの刃を、シュンは避けながら相手を更に怒らせようと挑発を掛ける。
敵は並の戦士なら乗らぬはずの挑発で更に激昂状態となり、右手にもサーベルを持って怒り任せに連続して振るう。
流石に怒らせ過ぎたのか、振るう速さが尋常じゃ無くなり、大剣でビームの刃で防ぎ始める。
「怒らせ過ぎたか? こう怒ってるなら、隙が生じるぜ!」
機関銃の如く繰り出されるビームの刃を受け切っているシュンは、相手の動きが激昂状態で雑になって隙だらけになっていることを見抜き、右足を浮かせて地面を唯一支えている左足で全ての体重を踏ん張らせつつ、右足で足元が疎かになっている敵に足蹴りを食らわせた。
足蹴りは物の見事に的中し、バランスを崩した敵は転倒する。
その隙を逃さず、シュンは直ぐに大剣をガンダムタイプに叩き込もうとしたが、この足蹴りが敵を冷静にさせてしまったのか、敵機の足裏のスラスター噴射を顔面に受けて怯んでしまう。
「あちぃ! 野郎! 何所だ!?」
怯んで転んでしまったため、敵ガンダムタイプを視界から逃してしまった。
バックパックのスラスターを吹かせると言う感覚を背中に送って何とか立ち上がったシュンは周囲を見渡すが、一体化の際にレーダーは使えなくなっており、何所から来る分からなくなる。
「畜生、レーダーは使えねぇか!」
『一体化の際に索敵機能が失われてしまったようだな。では、私がお前の背後を見張ろう』
「良いのか? 手を貸すことになるぞ」
『先にいった筈、奴は禁じ手を使っていると』
「御相子って事だな。なに、慣れっこさ」
レーダーを失ったことはかなりの痛手だが、アウトサイダーが背後を見張ってくれるので、シュンはビームライフルを拾い上げて敵が発する殺気が来るのを待つ。
右手に大剣の柄を握り、左手にビームライフルを持って生身のように敵の殺気を感じ取ろうとする。
MSと一体化して大きくなり、感じ取れる範囲は犬よりも大きくなったはずだが、それでも敵の殺気は感じ取れない。
「何所だ、クソッタレめ! 男なら出て来て勝負しろ! つっても、男らしさなんてあったもんじゃねぇがな」
数秒ほど隙を晒したものの、それでも敵は出て来なかった。これに苛立ってシュンは男らしく出てこいと叫んでみたが、今まで男らしい勝負をしたことは指で数える程度しかしてないと思い出し、恥ずかしくなる。
それから十数秒後に、アウトサイダーが敵機の場所と攻撃の瞬間を察知して避けるように告げる。
『シュンよ、背後から身を焦がす光線が来る。直ぐに回避行動を取れ』
「長距離ビームって奴だな! 剣の腕じゃ勝てないなら、離れて嬲殺しか! 全く、効率的なこって!」
アウトサイダーの警告で敵の強力な長距離ビームが来るのが分かったシュンは、即座に回避行動を取って地面を抉る程の強力なビーム攻撃を避け、ビームが発射されている方向を見る。
そこにあのガンダムタイプが強力なビーム砲、大型メガ粒子砲を持って発射していた。ここから狙えば良いが、生憎とシュンは射撃の腕は余り高くない。撃っても外れるだけなので、近付いて接近戦に持ち込むしかない。
「野郎! そこか!!」
『瞬時にそこまで行ける装備をお前に身に付けさせよう。耐えられるか?』
「なんでもこいだ!」
敵機が居る位置はここからじゃ遠すぎる為、アウトサイダーは更なる禁じ手をシュンに与えた。
それはコルベット・ブースターと呼ばれる連邦軍の大気圏内専用のMS装備だ。何所からそんな物を出したかは、急いでいるので聴かないことにして、シュンのジム・ストライカーはそれを背中に背負い、一気に敵機に接近する。
高速で自機並に近付いてくるジムに対し、大型メガ粒子砲を撃つのを止め、そこ照準して二射目を撃とうとしているようだが、チャージに時間が掛かるようだ。
チャージが掛かる長物を棄て、大型ビームライフルを取り出して迎撃を試みようとするが、照準は合わず、撃つ前に接近を許してしまう。
一気に敵機へ接近したシュンは、敵機が持っているビームライフルを蹴り飛ばし、ブースターを外して大剣を振り下ろす。
「お嬢際の悪い奴め!」
だが、寸での所で敵はビームサーベルを抜いてそれを防いだ。総合性能的には敵の方が上なので押し返され、吹き飛ばされてしまう。
吹き飛ばした所で、ガンダムタイプは飛び上がり、サーベルで斬り掛かろうとするが、シュンは敵の頭部に向けてアッパーを食らわせた。
アッパーを受けたガンダムタイプは吹き飛び、近くの岩石に背中をぶつけて地面に倒れ込む。そこをシュンは空かさずに鋭く尖った岩石を抜き取り、ガンダムタイプに向けて投げ付けた。
放たれた岩石の矢はガンダムタイプの胴体に突き刺さり、敵の接近を防ぐために頭部バルカンを撃つ。
放たれるバルカンに怯んだシュンは大剣を取ってから一定の距離を取り、その大剣を投げようとしたが、敵機は持ち直して再びサーベルで斬り掛かる。
「っ! どっから持って来た!?」
剣の腕では自分が上で、今度こそ叩き切ってやろうとしたが、敵が持っていたのは巨大なビームサーベルであった。これを大剣で防いだが、敵の方が強力でビームの熱量で大剣の刃が見る見るうちに溶けて行く。
直に伝わる高熱と得物が解けて行くのを見たシュンは、このままでは圧し負けてビームで焼かれると思った。だが、自分に死なれては困るアウトサイダーが、僅かながらの手助けをする。
『これは不味いな。少し手を貸そう』
アウトサイダーが使った手は、MSすら吹き飛ばす程の強烈な氷風を一瞬だけ吹かせる物であった。一秒足らずの物であったが、敵を怯ませるのには十分な物である。反撃のチャンスは訪れた。
無論、このチャンスを逃せばシュンは死ぬ。直ぐにシュンは直ぐに行動し、解けて鈍器にしかならない大剣を棄て、右手で殴り掛かる。
一発目は二つ目と口の顔面に打ち込み、左手の二発目のパンチも顔面に打ち込む。ガンダムタイプの顔はその衝撃で拉げ、更に地面に倒れれば、左足を掴んで思いっ切り引き千切り、引き千切った左足で何度も殴り始める。
「このインチキ野郎! 俺は! 秩序やらなんやらで! 縛られて! それでも! 必死こいて戦ってんだ! それをお前は! こんな物に乗って! 好き放題! しやがって!!」
怒りを口にしながら何度も殴るシュンのジム・ストライカーの姿は、まるで八つ当たりのように殴る男の姿そのものだ。実際、シュンは秩序の為にアウトサイダーから制限されている。それなのに敵は制限なしで暴れているので、そこにシュンは不公平を感じ、怒っている。
馬乗りされて殴られているガンダムタイプは反撃を試みようとするが、反撃に振るった右手は掴まれて握り潰される。これはシュンの物では無く、アウトサイダーの物だ。怒って殴り続けているシュンは気付かないが。
殴り続けた左足が原形を留めないほどになれば、反撃を試みようとする左腕をそれで破壊する。
「テメェのような奴は! 一度生まれ変わって苦労を知れぇ!!」
殴り足らないのか、シュンはガンダムタイプを左手で胴体を掴んで持ち上げ、右手で更に殴り続ける。
その威力はガンダムタイプが壁に減り込む程であり、持ち上げる必要が無くなれば左手でも殴り始め、雄叫びを上げながらもはやラッシュと表していいほどの連続したパンチ、否、機関銃のような拳を打ち込む。
「うぉぉぉぉ!!」
自機よりも遥かと言うか、劣るはずの化石同然のMSの殴られ続けるガンダムタイプは、マシンガンのようなパンチを受け続けて既に原形を留めておらず、プレス機に潰されたガラクタ同然と化していた。
それを殴り続けているシュンのジム・ストライカーは、まるで返り血のように大量の油が付着している。敵は完全に沈黙し、パイロットは連続したパンチで潰されて死んでいる。コックピットから血が噴き出しているのが見える。
「ズルするからだ! フニャチン野郎が!!」
油に混じって血が付着した右拳を見たシュンは、汚い言葉を叫びながら怒りを抑え、疲労を感じて地面に倒れ込んだ。
先は興奮状態で感じなかったが、死んでしまうと思えるほどの疲労が一気にシュンの身体に圧し掛かって来る。
「うぅ…やべえ、やり過ぎた…! もうだめだ…死ぬ…」
もはや力は出ない。
アウトサイダーの力を借りてなんとか敵ガンダムタイプを撃破したシュンは、その場で意識を失って倒れた。
一体化している人物が意識を失った瞬間、ジム・ストライカーは内部フレームの代わりを務めていた神経と骨が消失し、バラバラになって地面に転がり始める。
幸い、コックピットの部分は無事であり、そこから身体に刺さっていた大量のコードが引き抜かれ、血塗れになったシュンが投げ出される。尋常じゃない程の大量出血だ。常人ならとっくに失血死している。だが、見事にトリントン基地を奪還したホワイト・ディンゴが寸での所で駆け付けてくれた。
「これは…!? 直ぐに救護班を! 俺たちは応急処置だ!!」
EXZMでも無ければ阿頼耶識でも無い。これは、一体化だ!