ちょっとこれ、大丈夫かな…?
運営様から注意されたら、修正するが…
北京の要塞染みた銀行を攻略するため、それをやってのける集団が居るアメリカ合衆国の首都であるワシントンD.Cへとシュン達はやって来た。
ガイドルフがそのマスク集団のギャング組織に知り合いがいると言っているが、信用できるかどうか怪しい。
そんな不安を感じながら、市内にある彼らのアジトに足を踏み入れた。
「誰だ?」
既に歓迎の準備は済んでいたのか、写真通りのマスクの集団がこちらに銃口を向けていた。シュンは臨戦態勢を取るが、マスク集団の中にはそこらギャングとは思えない特殊部隊員のような行動を取る物が居て、下手に動けばハチの巣にされる可能性がある。
マスクがアメリカ合衆国の国旗柄の男が代表して問えば、両手を挙げているガイドルフは、協力者に案内されて来たと答える。
「ベインに頼んでここに来た。奴から聞いていないか?」
「ベイン? あいつからお客さんが来ると聞いてるか?」
星条旗マスクの男が自分等の協力者の名を聞いて他のマスクに問えば、誰も首を縦に振らなかった。
これは戦闘態勢を取るしかないと判断したシュンは、バリアジャケットを纏うために左手に忍ばせておいたコインをベルトに挿入しようとしたが、さきのは達の悪い冗談であり、星条旗マスクの男はマスクを取って素顔を晒し、ガイドルフと握手を交わした。
「冗談だよ。どうだ、俺たちの歓迎は?」
「ションベンがチビリそうになったぜ。お前たちにやって貰いたいことがあって、ベインを介して来た」
こちらを殺す気でなかったと知れば、シュンは即座にコインを戻してホッとするが、奇怪なマスク集団のギャングたちは数々の場数を踏んで来たのか、いつでも二人を殺せるような位置から動いていない。
それに警戒しつつ、シュンはガイドルフがリーダーの星条旗マスクの男と交渉するのを眺めていた。
「実は、中国の北京の共産党御用達の銀行を強盗して貰いたい」
「おいおい、何の冗談だ? 共産党の銀行を襲えだぁ? 俺たちは国家間に…」
「本気さ。おたくらはこのアメリカでFBIや国土安全保障省すら退け、更には小型の核まで盗んだ。中国の首都で銀行強盗なんて、簡単な事だろう?」
中国の首都、北京の銀行で強盗しろと頼み込んで来たガイドルフに対し、理の姿勢を見せるギャングたちであるが、並のギャングなら即座に叩き潰される組織を相手に生き延びた自分等なら簡単に出来ると言われる。
このギャングなら武装警察相手でも容易くやってのけそうだが、果たして承諾してくれるだろうか?
監視社会の中国で銀行強盗を依頼して来る浅黒い肌の金髪男に対し、リーダーは煙草で一服しつつ、受けるかどうか悩む。
「うーむ、報酬次第では…」
「報酬か。それなら用意してある。前金として持っててくれ。向こうの金庫じゃ、好きなだけ持って行って構わない」
報酬は先に支払い、銀行強盗をやった際は、向こうの金庫を好きなだけ持って行って良いと言えば、紫煙を吐いたリーダーは依頼を承諾した。
「…乗った。アメリカは今、中国と対立している。共和党の議員も協力者の中に居る。何とかしてくれるだろう」
「おい、良いのか? CIAなんかに目をつけられて、差し出られるんじゃ…?」
「大丈夫だ、俺たちには強力な後ろ盾がある。それにベインが何とかしてくれる。何もスイスの銀行を襲う訳じゃない」
「そう言う問題か…?」
外国の、それも政府機関御用達の銀行に、強盗すると言う依頼を受けたリーダーに対し、流石にギャングの面々は反対したが、自分等には強力な後ろ盾があると言って何とか従って貰った。
自国の諜報機関に売られるのではないかと言う不安もあるが、謎が多く、様々な組織のコネを持つベインが何とかしてくれると思い、ギャングの面々はその賭けに乗る。
「そこの大男も同行する。そいつが持ち出した物を、取り上げないでやってくれ」
「あんたの護衛じゃないのか? まぁ良いだろう。さっそく準備に入ろう」
交渉が成立すれば、ギャングの面々は強盗の準備に入った。シュンも同行することになるので、彼もその準備の手伝いに入った。
数日後、ミーティングを済ませて中国の首都、北京市に恐れ知らずのマスクのギャング団「
運転手や車も含め、ベインと呼ばれるギャングの協力者が用意してくれている。中国人であるのは確かだが、おそらく政府に目をつけられているだろう。
道路は首都であってか、綺麗に整備されており、車内も少し揺れる程度だ。
そんな車内にて、PAYDAYの者達はアジトの時に被っていた奇怪なマスクを被り始める。顔を隠す為であるとは分かっているが、シュンにはどう見てもふざけている様にしか見えなかった。
なんでそんなマスクを被るのか気になったので、隣の絵柄がLEDで変化しているマスクを被っている
「前々から気になってたんだが、なんであんた等はその…変なマスクを被るんだ? 仮装大会でもあるまいし。目出し帽かバラクラバで十分だろ?」
このシュンの当然とも言える質問に対し、Joyは無言で中指を立てた。
「あぁ、俺が馬鹿だったよ」
挑発にシュンは乗らず、持ち込んでいた黒いバラクラバを被ろうとしたが、ホクストンと呼ばれる捕まった経験があるギャングにバラクラバを取り上げられ、現中国の国家主席のマスクを渡される。
「これは、どういう意味だ…?」
「一人だけバラクラバじゃ格好がつかない。そいつを被れ」
「仮装大会に興じる気は…」
被る事を拒否するシュンであったが、ウルフと呼ばれるギャングの古株に銃口を突き付けられ、仕方なくその現国家主席のマスクを被った。
視界は意外と見えやすく、被ってなくても変わりないくらい見える。それに重くない。シュンは何か仕込んでいるんじゃないかと思って脱いで調べたが、爆弾の類は仕掛けていない。
「あんた等、見えてるんだな」
「早く被れ。撃ち殺されるぞ」
ギャングのリーダーのダラスに急かされ、シュンは再び現国家主席のマスクを被った。
車が銀行前に止まれば、意気揚々と一同は金品を入れる鞄と銃撃戦に備えての銃を持って銀行へと向かっていく。
「な、なんだお前たちは!? 下がらんと殺すぞ!」
敷地内に入って直ぐ武装警察の二名の警官が駆け付け、警備にあって居る自動拳銃を取り出して警告したが、ギャングたちは聞かずに消音器付きのM4カービンを撃った。脚に向けて撃ったので、余りの痛みで警官らはのた打ち回る。
そんな警官らを無視して、ギャングたちは銀行へと入店する。いつも通りに‟給料‟を貰いに。
「おいこら! ここが何所だか分かってんのか? てめぇら見てぇな…ぶわっ!?」
守衛が堂々と入って来たマスク集団に対し、止めようとするが、ストックで腹を殴られて昏倒する。
客たちが変なマスク集団に驚く中、警備員らが直ぐに駆け付けて拳銃を取り出そうとするが、ギャングたちは直ぐに足を撃たれるか腕を撃たれて倒れる。
「お、お前ら何者だ!?」
「俺たちか? 給料を貰いに来た」
撃たれた警備員に問われたダラスは、中国語で答えてからその警備員を蹴って気絶させる。
銀行の客たちが悲鳴を上げる中、カウンターにいる銀行員らは警報装置を押そうとするが、威嚇射撃を受けて床に伏せた。
悲鳴を上げる人々に対し、中国語が話せるギャングたちは床に伏せるように、ヒューストンは消音器を外したコルトM727アブタビ・カービンを天井に向けて撃ち、銃声で脅して叫ぶ。
「よし、お前ら伏せろ! 伏せればぶっ殺す!」
「急げ、急げ! アカ共が突っ込んで来るぞ! Joy、武器庫を起爆しろ」
ダラスは協力者の一人に、予め仕掛けさせた銀行の警備小隊の武器庫を爆破するように指示する。
この銀行は武装警察の一個小隊が警備しているが、流石に襲おうとする輩など監視社会の所為で居ないので、普段は拳銃を携帯して警備し、過剰とも言える自動小銃や短機関銃、突撃銃の類は武器庫で保管している。
その情報を知っているギャングたちは、予め潜入させた暗殺者に爆弾を仕掛けさせ、起爆装置を持っているJoyに爆破させたのだ。更には得意のハッキングまで駆使して、銀行全体のセキュリティーをダウンさせる。
増援が来るまで敵の装備は自動拳銃のみであり、少しでも抵抗して増援が来るまで持ち堪えようとする警備員らを射殺しながらギャングたちは進む。ベネリM3散弾銃を持ったシュンが着けているマスクに、警備員らは驚愕していたが、ギャングたちはそんな警備員らを容赦なく射殺する。
金庫に辿り着けば、そこを守っていた警備員らを素早く射殺し、死んでいる警備員の目を使って網膜スキャナーで金庫の扉を開ける。
「さて、お宝ちょうだいだ」
金庫を開けたシュンは、ギャングたちが金や金品を鞄に入れ込む中、真っ直ぐに水晶の欠片を保管してある方へ向かい、持っていたFALのアメリカのクローンモデル、DSA SA58自動小銃を連発で撃ち込んでガラスを破壊する。
欠片を保管しているガラスは何のためなのか防弾性であるが、流石に大口径のライフル弾を跳ね返せるほどの強度が無く、一瞬にして同じガラスのようにバラバラになる。
遂に最後の水晶の欠片を手に入れたシュンは、懐から日本と韓国で手に入れた欠片を取り出し、それを掛け合わせて水晶にした。
「これで銀行強盗とはオサラバだ」
そう言ってシュンは水晶を割り、新たな能力を手に入れた。
どんな能力を手に入れたか直ぐに調べたいところだが、今はこの危険な国から、自分に協力してくれたギャングたちを逃がさなくてはならない。
自分だけさっさっと帰れば良い話だが、シュンはそれほど冷酷では無い。それに手に入れた能力を試す機会もあるだろう。
取り敢えず、そこら辺にある鞄に詰め込める金品を出来るだけ詰め込み、同じく出来るだけの物を奪ったギャングたちと合流し、増援が突入して来る前に、脱出を図ろうとする。
『増援が思ったよりも早いな! お前ら、武装警察の一個中隊が向かってきている。来るのは三分後だ。早く撤収しなけりゃ軍隊と戦うことになるぞ!』
「誰か押したな。お前ら、それまでだ! 撤収するぞ!」
ベインから連絡で予想よりも早く増援が来ることが分かったダラスは、直ぐに金品を詰め込んでいるギャングたちに撤収を命じた。手慣れているギャングたちは鞄に金品を詰め込むのを止め、急いで撤収し始める。
一分で金庫を出れば、裏に回しているバンへと直行する。表で人質を見張らせているヒューストンにも撤収を命じ、彼も合流すれば、バンへと向かう。
『全員その場を動くな! 拘束…』
だが、乗り込もうとした瞬間に既に警官隊が来ていたのか、拳銃を向けて警告したが、ギャングたちの発砲を受けて直ぐにパトカーの車体に引っ込む。
単発で撃ち込んで敵を怯ませつつ、バンに飛び乗って運転手に車を出すように告げる。
「行け! 行け!!」
シュンが大口径のアサルトライフルの反動を物ともせずに撃ちながら叫ぶ中、ギャングらは盗んだ金品の入った鞄を車内に放り投げ、続々と乗り込んでいく。
全員が乗り込んだのを確認すれば、シュンは空になった弾倉を外し、それから車内へ飛び込み、運転手に出すように伝える。
「良いぞ、出せ!」
助手席にヒューストンがカービンライフルを撃ちながら、運転手の方を叩いた。
中国人の運転手はそれに応じ、アクセルを踏んで車を走らせ、脱出地点へと向かう。
だが、既に武装警察は進路上に展開しており、あろうことか95式班用機歩槍の分隊支援火器を撃って来た。
「うわっ!?」
防弾性の無いバンは一瞬にして蜂の巣となり、運転手は避ける間もなく死亡する。何故かヒューストンは生きており、直ぐに手元のライフルで撃ち返し、分隊支援火器の射手を倒す。
撃たれた射手は95式自動歩槍を持っている分隊員の援護を受けている間に引きずられ、戦場から離脱する。
「ヒューストン、車は!?」
「駄目だ、動かない!」
「降りろ! 忘れ物するなよ!」
タイヤにも銃弾が当たっているため、もう車は動かないので、一同は直ぐに盗んだ金品が入っている鞄を持って車を降りる。
大柄のシュンは普段重い大剣を背負っており、大量の金品が入った鞄を軽々と持ち上げ、脱出ポイントへ向かうギャングたちの後へ続く。
乗り捨てられた乗用車を遮蔽物に使い、互いに援護射撃しつつ、バリケードから撃ってくる武装警察の隊員等に撃ち返しながら前進する。
向こうの武装警察の小隊は銃を持ったテロリストを相手にするのが初めてだったのか、動きが少々グダグダであった。
ギャング側はシュンを含めて数々の修羅場を潜り抜けた猛者たちであり、実戦経験が乏しい隊員らは倒れて行く。シュンが大口径ライフルを再装填する頃には、武装警察の二個分隊が負傷するか死亡していた。
これ以上は全滅するのを恐れてか、中隊本部に撤退の許可を求める。その様子は、盗聴機能を備えた無線機から聞こえて来る。
『中隊本部、こちら第一小隊! 死傷者多数! 二個分隊が戦闘不能です! 撤退の許可を!』
『撤退は許さん! そちらに予備の第四小隊を増援に回す! 犯罪者共を北京から出すな! こちらも急行中だ、それまで持ち堪えろ!』
「お客さんが増えるぞ! お前ら気を引き締めろ!」
増援が来ることを知ったダラスは、全員に気を引き締めるように告げる。
正面に居る敵を突破するためにシュンは従軍時代に行っていた突撃を行い、残っている敵部隊の戦意を低下させて後退させた。
「これ以上は持たない! 撤退だ!」
敵が負傷兵等を担いで後退する中、変わるように敵の増援が現れ、再び銃弾の雨を浴びせて来る。NDM-86と呼ばれるドグラノフ狙撃銃のコピーを持った数名の狙撃手が左右のビルに配置され、おまけに分隊支援火器を持った射手まで銃弾を浴びせて来た。更には後方から追加の増援まで来る。挟み撃ちだ。
背後から迫る敵部隊、約一個小隊の人数にギャングらは撃って牽制しつつ、リーダーのダラスは協力者で狙撃手にビルの上に居る狙撃手と分隊支援火器の射手の始末を無線で命じる。
「イリヤ、ビルの上に居る奴らを始末しろ!」
ダラスの指示に応じ、何処かの狙撃ポイントに居る狙撃手は、武装警察の狙撃手と分隊支援火器の射手を狙撃した。
今日は風が少し強いのか、完全に殺しきれなかったが、怯ませることは出来た。この隙にギャングたちは前進し、進路上の邪魔になる武装警官を倒しながら進む。
遮蔽物に身を隠し、近付けば体術を仕掛けて来る武装警官にシュンは、従軍時代に叩き込まれたあらゆる体術で対処する。
両手で顎と股間を同時に攻撃する体術であるフェアバーン・システムで敵を怯ませ、更には巴投げで武装警官を道路の上に叩き付け、腹に向けて瓦割りを撃ち込んで無力化した。
気絶していて撃ち殺す必要はないので、ライフルを持って邪魔になる武装警官を排除してギャングたちの後に続く。
『物はもう手に入れたんだろう? なんで見捨てて逃げないんだ?』
「あんたか? どっから掛けてる?」
『企業秘密だ。前の愛国者共は見捨てたのに、無法者は助けるのか?』
銃撃戦の最中、何処かに居るガイドルフから無線連絡が入る。
連絡してきた用件は、目的の物を手に入れたのに、それに協力したギャングたちを見捨てずに助けている事だ。
ガイドルフの言う通り、シュンはソウルの銀行強盗で極右勢力を見捨てて自分だけ逃亡したが、治安を乱す無法者であるPAYDAYを守るために戦っている。矛盾しているシュンに、ガイドルフは疑問を抱いているのだ。
この問いにシュンは、弾切れのライフルから散弾銃に切り替え、ライオットシールドを持って突っ込んで来る数名の武装警官に散弾銃を撃ちながら近付き、格闘術で全員を数秒足らずで制圧してから答える。
「単に気に入ってるからさ。ヤバい奴らだけどな。前の奴らは真面だが、気に食わねぇ。俺は愛国とかそう言う政治的な話は分からねぇが、平和に暮らして、穏やかに日々を過ごしている奴らを巻き込む理由にはならねぇことは分かる。だから見捨てた」
『前には言ったが、本当に中途半端な奴だな、お前さんは。そんなんじゃ足元を掬われるぞ』
「はっ、俺は復讐を正当化しようだなんて思ってねぇよ。元より褒められたもんだと思ってない。ネオ・ムガルの野郎共に対する復讐が終わったら、幾らでも罰は受けるさ」
見捨てて逃げたのは、自分等のイデオロギーで何の関係も無い人間や穏やかな者達を巻き込んで殺す彼らに腹が立ったからだと答え、更には自分の復讐は褒められたものではないとまで答えた。
これにガイドルフは鼻で笑い、今まで見て来た復讐者達の末路を語り始める。
『ふっ、今までの復讐者は、この復讐は自分の新しい人生の幕開けだとか幸せになるためだとか抜かす奴が多かったよ。それに自己満足の為にやっている奴も居た。復讐を遂げれば、大概は腑抜けになって自分が殺されるのを待つ人生になるか、遂げた直後に殺される奴も居たが、お前は希少の傾向にあるようだ。俺の中では一人目に続いて二人目になるな。まぁ、お前さんの隙にしな。こいつは珍しい復讐者の物語だ、俺は最後まで見届けてやるぜ』
今までの復讐者達の末路を思い出のように語りながら、ガイドルフはシュンの復讐は珍しい類であると言った。
その中でも一つしか知らないガイドルフは、二つ目がどのような結末になるか気になり、それを楽しみにしながら最後まで見届けると期待した。
嬉しくも無い期待に対し、シュンは皮肉を込めて感謝してからライフルの再装填を素早く終わらせ、武装警官らをギャングたちと共に銃撃する。
「嬉しいね。まぁ、どうせ碌でもねぇ最後で、批判殺到の結末になると思うけどな!」
『そう言うな、人生ってのは未知の冒険だ。明日を楽しみながら進め。次はどんなことをやらかすか、楽しみにしてるぞ?』
「人生は未知の冒険ね。暇潰しで聞いて来たのか?」
人生は未知の冒険と言う言葉を残し、ガイドルフは無線を切った。
これにシュンは疑問に思うために遮蔽物に隠れてから足を止め、背後から迫る武装警官に弾切れのライフルや散弾銃では無く、腰のホルスターにあるスチェッキンAPS自動拳銃を撃ち込んで無力化した。
「再装填!」
向かって来た武装警官を全て倒したのを確認すれば、ギャングらに再装填の間を守ってもらうために敢えて言って、手持ちの銃の再装填を始める。
彼らの負担を少しでも和らげるため、素早く再装填を済ませ、P90短機関銃の再装填を始めたJoyの支援に回る。
脱出ポイントまで半分になった所で、自分等を制圧するために投入された武装警察の一個中隊を壊滅状態にしてしまった所為か、首都で面子を潰された共産党が北京に駐屯する残りの三個中隊に出撃を要請が、無線機から聞こえて来る。
『被害甚大! これ以上は持ちません!!』
『ヌゥ…! このままおめおめと帰せるか! 残りの中隊を全て出動させろ! 一個大隊で奴らを殺すのだ!! 場合によっては装甲車とヘリの投入も許可する! とにかく生かして帰すな!!』
『お前ら聞こえたな、共産党の奴らはカンカンだ。遂に一個大隊が投入された。ヘリと装甲車が出動したとの無線連絡もある。対戦車火器が必要なら、電子マップに転送する。命が欲しかったら脱出ポイントへ急ぐんだ』
ベインが盗聴した無線で遂に大隊丸々が投入されたことを知ったギャングたちは、急いで脱出ポイントへ急行した。
既に進路は予想されていたのか、無線機から先回りする武装警察の無線連絡が聞こえて来る。
『こちら大隊本部、ホシの進路が予想された! 第二中隊と第三中隊、直ちに現場へ急行しろ!』
『了解、こちら第二中隊、直ちに向かう!』
『第三中隊、了解!』
『第四中隊は損耗が激しい第一中隊と変わって追跡に回れ。標的はヘリでマークする』
『了解。追跡します!』
この無線連絡の後、進路上からブルパップ型のアサルトライフルを持った二個中隊分の武装警官が現れ、重い鞄を背負って脱出ポイントへ急ぐギャングらを阻む。
その背後からは一個中隊が追撃を行い、徐々にギャングたちを追い詰めて行く。止まって居れば挟み撃ちにされるのは確実なので、ギャングたちは敢えて真正面に突っ込んだ。
「突撃だ! FBIの顔をクソまみれにした俺たちだ! 準軍事組織くらい何だってんだ!」
「イカレマスク集団の後に続くか」
ダラスがそう鼓舞すれば、一同はライオットシールドを持った武装警官らに対して突撃を行う。これにシュンは散弾銃を棄て、FNミニミ軽機関銃をベルトのコアから取り出し、連射しながら後に続く。
凄まじい連射力を誇る機関銃の連射を受けたシールド部隊は防ぎ切れず、何名かが負傷して壁が崩壊した。機関銃を出したシュンにギャングらが驚く中、直ぐにギャングたちは崩れた壁に突撃を行い、取っておいた手榴弾まで投げ込んで壁を完全に破壊する。
「突破された! 突破されたぞ!」
負傷した武装警官が叫ぶ中、ギャングたちは突っ走りながら邪魔になる武装警官を撃つ。
大勢の武装警官たちが死傷する中、シュンは目前の武装警官に弾切れになった機関銃で殴り、それから素早く空の弾倉を外し、更にそれを別の武装警官に投げ付け、コアから取り出した予備の弾倉を付ける。
FNミニミはベルトリンク式の機関銃だ。ただ弾倉を付けただけで再装填は出来ないので、蓋を開けてそこにベルトの端の銃弾を装填し、蓋を閉めて右側のボルトを引いて初弾を薬室へと送り込む。これで機関銃の再装填は完了だ。
5.56×45mmNATO弾を使う弾倉を装着できるが、それでは三十発くらいしか撃てない。その為にベルトリンク式の弾倉を使う。
再装填を終えたシュンは、腰だめで再び掃射を開始し、射線上に居る武装警官らを死傷させる。
「後もう少しだ! 走れ!」
気が付かないうちに、脱出ポイントが見える距離まで来ていた。
ダラスが叫ぶ中、謎の契約者であるベインはそんなギャングたちに悪い知らせを伝える。
『もう少しの所で悪いが、奴らヘリのみならず装甲車まで投入して来た。六四天安門事件の以上になってきてやがる。RPGの準備をしておけ』
悪い知らせは、遂に武装警察が装甲車を投入して来たことだ。おそらく世界各国、主に第三国に輸出されている92式装輪装甲車だ。武装警察が運用していることから四輪の06式と思われる。
機関砲や重機関銃が搭載されていないとはいえ、碌な対装甲兵器を持たないギャングたちには脅威だ。直ぐにシュンは使い捨てのRPG-30ロケット発射器を取り出す。
「どっから取り出した?」
「企業秘密だ」
ヒューストンが使い捨てのランチャーを出したことに問う中、シュンは企業秘密だと答え、それを背負って脱出ポイントへ急いだ。
意地でも北京から逃がす訳には行かないのか、武装警官らはまだ向かって来るが、撃たれて倒れるだけだ。ヘリに乗っている射手の分隊支援火器が掃射されているが、シュンの対空射撃を受け、地面へと落下していく。
そんな中、シュンは腹部を撃たれて倒れた。ライフル弾を撃たれた為、防弾チョッキは役に立たなかったようだ。幸い弾は貫通している。痛みに耐えながらシュンは立ち上がり、自分にトドメを差そうとする武装警官を自動拳銃で撃って倒した。
撃たれた武装警官が唸り声を上げてのた打ち回る中、ダラスが近付いて走れるかどうかを問う。
「大丈夫か? 血が出てるぞ」
「こんなもん、唾でも着けてりゃ治る。いつも通りさ」
「映画の中から出て来たか?」
撃たれたのに平気で動いているシュンに対し、ダラスは映画の中から出て来たのかと聞くが、彼は無視してこちらを撃って来る武装警官らを機関銃で撃ち始める。
そのまま進んでいくと、遂に装甲車が姿を現した。
「
装甲車が来たことが分かれば、シュンは背中に背負ってある使い捨ての対戦車火器を取り出し、安全装置を外して標的が来るのを待った。
連続した銃声が聞こえ、ギャングたちが下がる中、シュンは物陰に隠れて装甲車を確実に破壊するために待つ。
少し様子を見れば、機銃を撃ちながらギャングを追い回す装甲車と、随伴している武装警官が一個分隊程見える。背部のドアからライフルを持った武装警官が続々と降りて、制圧に加わる。
もう少しで装甲車を破壊できる有効射程距離に近付くので、シュンは息を殺して射程に装甲車が入るのを待つ。
キルゾーンに装甲車が入れば、シュンは構えて照準器を覗いた。こちらに気付いた武装警官がライフルを撃って来たが、シュンは動じずに発射ボタンを押してロケット弾を発射する。それと同時にシュンは左肩を撃たれた。
放たれたロケット弾は装甲車に命中し、装甲車は火を噴いた。完全に大破とは行かなかったが、装甲車は行動不能に陥り、随伴していた武装警官は負傷して倒れる。
黒煙を上げる装甲車からは搭乗員が慌てて脱出し、銃座に着いている警官も降りて道路の上に倒れ込む。
「装甲車がやられた! 再編する! 退け! 退くんだ!!」
「敵が退いた! 今のうちに急げ!」
装甲車がやられて戦力が低下した武装警官らは、再編のために負傷兵を担いで後退し始めた。
この隙にギャングらは脱出ポイントへ急ぎ、北京市より脱出を試みようとする。背後から別の中隊が追撃してきているが、脱出には問題ない。
脱出の手段は大型のバンだ、先回りしていた武装警官らと数人の仲間のギャングがバンを守るために銃撃戦を行っている。バンを守るギャングの中には、常にマリファナを吸っている危険な男が居たが、数名の武装警官を一気に制圧したので、シュンは気にせず直行してバンに鞄を投げ込み、自身も乗り込んで一息つく。
「よし、全員乗ったぞ! お前らも乗れ!」
銀行強盗のメンバーが全てバンに乗れば、バンを護衛するメンバーも飛び乗り、全員を乗せたのを確認した運転手は、フルスロットルで北京市の中を突っ切る。
武装警官らは威信に掛けて執拗に車両で追跡してくるが、彼のアメリカですら敵わなかったPAYDAYギャング団を取り逃してしまう。
郊外に出ても、ヘリやパトカーやらが追跡してくるが、結局、マスクのギャング団を逃してしまった。シュンは手に入れた新しい能力は、試せず仕舞いだった。
今ごろこの国を支配する共産党は、隠蔽に躍起になっている頃だろう。幸い、住人は避難させていたので、おそらく銀行強盗事件は闇の中に葬れる。動画サイトにも一連の事件は投稿されない。何故なら自国の全てのネットワークは支配しているのだから。
隣国まで強引に逃げたところで、ギャング団は一息ついて車から降りた。シュンは直ぐにマスクを脱ぎ捨て、更には火を点けて完全に炭にする。
「やれやれ、今後はかなり厳しい事になるだろうな」
「あぁ、世界で特にヤバいのも敵に回しちまった。何処かの誰かさんが、中指をおったてるようなマスクをデカいアジア人に被せた所為でな。奴ら今ごろは世界中を血眼になって俺たちを探している事だろう。ほとぼりが冷めるまで、何処かに潜伏しないと」
北京の銀行に押し入ったPAYDAYギャングらは暫く強盗をせず、潜伏すると決めた。
この原因を作り出したシュンは、マスク越しから伝わる彼らの殺気を感じたのか、ここで別れようとする。
「目当ての物は手に入れた。俺はここで失礼する」
「そうかい。それじゃあ、珍しい物がある。俺たちを守ってくれた礼だ。ほれ」
別れを告げるシュンに対し、ダラスは鑑定士の顔を持つデュークから金にならない物と判断された骨董品を、お礼代わりに彼に投げ付けた。強盗が気軽に出来なくなった腹いせも含めて、シュンに投げ付けたのだ。
これを受け取ったシュンは、それが光り始めたことに首を傾げる。
「なぁ、これって…」
シュンが言い終える前に、彼はこの世界から消えてしまった。
マスクを脱いだギャングたちが、突如となく消えたシュンに驚愕する中、ダラスは自分等の強盗が出来なくなった根源を消すことが出来たと言って、バンに乗るように告げる。
「よし、消えたぞ。これでスッキリした。お前ら、車に乗れ」
一同は消えたシュンの事など一切気にすることなく、リーダーの言葉に従ってバンに乗り込んだ。
うーん、なんとも中指をおったてる回だ…。
注意されたら修正すっけどね。
ちなみに、シュンが行ったPAYDAYの世界はコロナは流行っていない。何度も言うが流行っていない。
第二な事なので二回言った。
これで銀行強盗編は終わりです。次回からは…ATを乗り回すか、ライブ会場で四十万人を虐殺する場面に立ち会せるか…。