復讐異世界旅行記   作:ダス・ライヒ

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AAで夾竹桃との戦闘…かな…?


異形な姿の戦士

「お前の所為だ…!」

 

 東京武偵校の通学バスを狙ったバスジャック事件は、キンジとアリア、シュンを含める陸自からの二名の隊員、バスに乗車していた武偵達の手によって解決された。だが、全員が無傷とはいかず、幾人かの負傷者と重傷者が出た。

 重傷者の中にはアリアが含まれており、額に止血防止の包帯を巻き、武偵校直属の救急車に担ぎ込まれていく。

 この時、雨が降っており、現場に駆け付けた全ての者達はレインコートを身に着けていた。

 そんな小さき勇者の後輩なのか、彼女より4㎝ほど低い小学生のような少女が、大剣を背負って去ろうとするシュンを責め始める。

 

「なんだ嬢ちゃん、俺はあんなちんちくりんとは関係ねぇぞ」

 

 自分を責める声に気付いたシュンは、その声を出した少女の方へ振り返り、睨み殺すかのような目線で追い払おうとするが、彼女は恐れよりも大切な先輩を傷付けたとされる男に対しての怒りが増していたらしく、怯まずに責め立てる。

 

「お前が来たからアリア先輩は…!」

 

「あかりちゃん! この人を責めたって何にもならないよ! それにこの人が居なきゃ…」

 

 あかりと呼ばれた少女に、いつの間にか来ていたルリが宥める。

 彼女の言う通り、あの場でシュンが居なければ、アリアを含めてバスに乗っている人間は皆殺しにされていただろう。

 だが、シュンは彼女の心情を察せず、逆なでするような言葉で返す。

 

「あれはあいつの不注意だよ。大体、なんで拳銃二挺とオモチャの刀二本だけで来てんだ?それに妨害がある時の対応すら出来てねぇ。あんなんでのこのこ出て来たあいつが悪いんだよ」

 

「お前…!」

 

「しっかりと反省させておくんだな」

 

 これに怒りを燃やし、殺気を放つあかりであるが、シュンは幼気な少女の殺気には動じず、反省するように告げてから迎えの車がある方向へと向かった。

 

 

 

 武偵殺しによるバスジャック事件から二日後、シュンは次なる任務に備えるべく、陸上自衛隊の演習場にある森の中で、自分の愛刀であるスレイブで素振りを行っていた。

 木々を斬らないようになるべく広い場所で行っており、シュンの周りには切れた木の葉が散らばっている。少しばかり汗ばんでいることから、長時間素振りを行っていたようだ。

 

「そこに居たか。お前に頼みたいことがある」

 

 そんな素振りを続けるシュンの元に、またしても泰田が直々に指令を言いに来た。

 

「今度は何だ? 右翼のアジトか? それとも左翼のアジトをぶっ壊せって言うのか?」

 

「いや、違う。お前にやって貰いたいのはこれだ」

 

 極右か極左のアジトを襲撃しろと言う指令だと思っていたシュンだが、渡された書類を見て、記載されている指令内容に苛立ちを覚える。

 

「おい、俺は引率のセンコーじゃねぇぞ」

 

「引率では無い。武偵校の一年生たちが突入する前に、件のテロリストを捕縛して貰いたいのだ」

 

 指令はアリアの後輩である間宮あかりを初めとする東京武偵校一年生らによる夾竹桃(きょうちくとう)となる女テロリストの捕縛作戦が実行前に、その女テロリストが潜伏しているホテルに先に突入して捕縛させると言う物だ。

 既にあかりらは準備期間に入っており、実行はなんと今夜である。

 

「情報は我々が先に把握している。それに潜伏先もだ。突入する武偵は殆どが十代後半の女子高生たちだ。血も涙もないテロリストが潜伏するアジトに、そのような少女たちを突入させるわけにはいかん」

 

 危険な真似をする子供たちを止めなければならない。

 そう説いた泰田に対し、シュンは拒否権が当然ながら無いことを問う。

 

「で、拒否権はねぇんだな?」

 

「あぁ、無い。だが、我々の想像を絶する地獄を潜り抜けて来たお前には、たかがテロリスト風情なんぞお手の物だろ?」

 

「へいへい、分かりましたよ。で、この嬢ちゃん見てぇなテロリストは、毒物のスペシャリストとか書いてあるが? 本当か?」

 

 生返事をしながらシュンはそれに応じれば、捕縛予定の夾竹桃が毒物に精通しているテロリストであることが確かな情報であるかを問う。

 

「あぁ確かな情報だ。お前には分からんと思うが、伊・(うー)と呼ばれる第二次世界大戦後に現れた秘密結社の一員だそうだ」

 

 伊・U。

 その秘密結社の名を聞いたシュンは興味が引かれなかったのか、それを適当に流し、夾竹桃がどれくらいの戦闘力を秘めているのかを問う。

 

「そうかよ。でっ、戦闘力はどれくらいだ。こんな形で弱いってわけじゃねぇよな?」

 

「それが、このテロリストの情報は世界中の何所を探しても見付からんのだ。他の者についての情報はあるのだが…運が良ければか弱い少女か、運が悪ければ化けの皮を被った悪魔かもしれん…十分に警戒して当たるしかあるまいて」

 

 伊・Uの構成員に対してある程度の事しか分かっておらず、夾竹桃がどれほどの実力を持っているかどうか不明であると答えれば、そんな得体の知れない毒使いと戦わなくてはならないシュンは舌打ちする。

 

「ちっ、得体の知れねぇ奴が相手だって言うのか。無茶言いやがるぜ」

 

「安心しろ、その女テロリストが使うとされる毒物に関しての情報は載ってある。この世の毒を全て扱うらしいそうだ」

 

 夾竹桃が毒物のエキスパートであることを告げれば、シュンは毒ガス攻撃が来ると思い、それを警戒して解毒剤とガスマスクを装備に加えた方が良いと思った。

 

「生粋の毒マニアってこと訳か…解毒剤かガスマスクが必要だな…」

 

「その通りだな。ここは第一次世界大戦よろしく、ガスマスクか防護服を着て突入するのが良いだろう。陸自の化学部隊に装備の手配を要求してみる」

 

 それに納得した泰田は、陸上自衛隊の化学部隊に装備を提供してくれるかどうかの交渉することをシュンに告げた。

 

「そんで嬢ちゃん見てぇなのが潜伏してるホテルだが、実にシンプルだな…どう見ても来て下さいって所だぜ。罠が大量に張り巡らされているんじゃねぇのか?」

 

「確かにそうだな。何故このような場所を根城にしてる意味が分からん。きっと罠だらけに違いない。化学兵器対策の装備は必須だな」

 

 次に夾竹桃が潜伏しているホテルの見取り図を見て、シュンがどう見ても罠だらけであると指摘すれば、泰田は罠に備えて化学兵器対策の装備は必須であることを判断する。

 彼の言う通り、凶悪なテロリストが潜伏しているにも関わらず、一般のホテルと同様に構造はシンプルであり、シンプル過ぎて罠が張り巡らされているのでは無いかと疑うほどの物であった。

 

「おい、本当に毒マニアの女が居るのか?」

 

 このホテルの見取り図を見たシュンは、本当に夾竹桃が潜伏しているホテルであるのかを問う。

 

「馬鹿者、この情報を手に入れるのに二名が犠牲になっているのだぞ! ありがたく思わんか!」

 

 公安や情報部が必死の思いでかき集めた情報に疑いを持つシュンに、泰田は犠牲者を出してまで手に入れた情報であり、感謝しろと告げる。

 

「無駄死にでなけりゃあ、良いんだけどな」

 

 そうシュンは、二名の犠牲によって集められた情報が無駄にならないように祈りながら、今日の夜に行われる夾竹桃捕縛作戦準備のため、演習場を泰田と共に出た。

 

 

 

 作戦決行である夜中、夾竹桃が潜伏しているとされるホテルの近くで、シュンはガスマスクを被り、毒針で刺されないように肌一つ見せない市街戦用迷彩服を身に着け、突入の合図を待っていた。

 背中には何かの対策か、いつもの大剣を背負っている。今回はいつでも抜けるように、布で刃の部分を覆っただけだが、狭い室内で長物が役に立つとは思えない。

 

『こちらカラス、小鳥(あかり)は動かず。繰り返す、小鳥は動かず』

 

 待つこと数秒ほど、本来、夾竹桃を捕縛するためのあかりたちが動かないと言う見張り役からの連絡を受け、それを聞いた泰田が待機しているシュンに突入を命じる。

 

『よし、突入開始! 小鳥たちが突入を始める前、毒針(夾竹桃)を制圧しろ!』

 

「了解…」

 

 それに応じ、シュンは泰田がイタリアから取り寄せた散弾銃であるベネリM3を持ってホテル内に突入した。小鳥たちことあかりたちに悟られぬよう裏口へ入り、誰にも見付からぬように通路を速やかに移動し、標的が居るとされる部屋がある階まで階段で向かう。

 物の数秒ほどで標的が居る部屋まで上がれば、夾竹桃の用心棒に警戒して散弾銃を周囲に向けてクリアリングを行う。

 

「居ないか…」

 

 銃口を上げて敵の見張り番が居ないことを確認すれば、目標が居る部屋に向け、足音を立てずに向かう。

 だが、部屋に辿り着く前に、予想外の者が彼の前に立ち塞がっていた。

 

「おい、あれが夾竹桃か?」

 

『何を言っている? あれが、っ!? なんだあいつは!?』

 

 その予想外の者が居たことを、本部に居る泰田に報告すれば、それをシュンが頭に付けているヘッドカメラで見ていた彼は驚きの声を上げた。

 予想外の者の容姿は爬虫類が人の姿をした醜い物であり、人の形をした恐竜であるディノサウロイドに近い。亜人と言っても過言ではないだろう。

 

「シャァァァ!!」

 

 シュンを見付けた亜人は、雄叫びを上げて彼に襲い掛かった。

 亜人の背後には、跡形も無く消えて行く人のような物体が床に幾つも転がっていたが、やがて判別不能になるまで消える。

 それが消える頃に亜人は天井の裏に張り付き、口から出した長い舌で攻撃する。

 

「クソっ!?」

 

 亜人の舌による攻撃にシュンは紙一重で避け、手にしている散弾銃を亜人に向けて撃ち込む。

 だが、亜人は銃口からばら撒かれた無数の球が、一つ一つがまるで止まって見えるかの如く、それを全て避けて床に手足を付ける。

 

「散弾だぞ!?」

 

 散弾銃のばら撒かれた鉄球を一つも掠りもせずに全て避けた亜人に、シュンは驚きを隠せないでいた。

 動揺する彼にお構いなしに、亜人は次なる攻撃に移る。

 先の人のような形をした物を跡形も無く消した酸だ。それを口から銃弾の如く、シュンに向けて発射した。

 

「うわっ!?」

 

 発射速度は拳銃弾並であり、並の人間なら当たればドロドロに溶けてしまうところだが、運が良いのかそれとも彼の身体能力が高いのか、散弾銃を溶かされるだけで済んだ。

 

『なんだあいつは!? 一体どうなっている!?』

 

「うるせぇ! 黙ってろ!!」

 

 溶けた散弾銃を捨てれば、無線機から混乱する泰田の声が聞こえて来る。

 これに黙るように怒鳴りつけてから、シュンは背中の大剣を引き抜き、刀身に巻いてある布を取り払って構える。

 

「(クソッタレ、狭すぎて突きくらいしか出来ねぇじゃねぇか!)」

 

 自分の得物である大剣を抜いたのは良いが、狭い通路でこの大き過ぎる長物を振るえるはずが無い。

 刀を持ってくるべきだったと後悔するシュンであるが、亜人は彼に容赦なく酸の攻撃を浴びせる。

 

「クソがっ!」

 

 亜人から酸による一方的な攻撃を受けるシュンは悪態を付きつつ、次々と放たれる酸を大剣の刀身で防ぎ続ける。

 口から発射される酸は、鋼鉄すら溶かさんとするほどの強力な物だが、スレイブの刀身は全く溶けず、刀身にへばり付いた酸は蒸発するだけだ。

 流石に相手の得物がご自慢の自分の酸で溶けなかったことに、亜人も驚いていた。

 

「こいつには驚きなようだな…!」

 

 大剣が解けなかったことに驚いた表情を見せる亜人に勝機を見たシュンは、素早い突きによる反撃に移るが、相手はそれを読んでいるかの如く避け、一気に懐へ入り込み、顔面に拳を打ち込む。

 

「ぐっ!?」

 

 顔面に拳を受けたシュンはガスマスクを剥ぎ取られ、階段のある通路まで吹き飛ばされる。その直後にバスジャック事件終了後に自分を責め立てた少女、あかりの姿が見えたが、声を掛ける事も出来ず、凄まじい速さで近付いて来た亜人に首を掴まれ、酸を直接吐き付けられそうになる。

 

「っ…!」

 

「グェ!?」

 

 酸を吐きかけられそうになったが、相手が吐く前に左拳を打ち込み、至近距離の酸攻撃を避けることに成功する。

 相手が自分の酸で火傷して自分の首を掴んでいる両手を離し、悶え苦しんでいる間に階段まで下がる。広さは通路と変わらず、突きしか使えないが、腰からFNハイパワー自動拳銃を取り出し、亜人が近付いてくるのを待つ。

 標的である夾竹桃が居るとされる部屋からは連続した銃声が聞こえ、既にあかりが標的と交戦していることが分かる。任務は確実に失敗だ。

 原因は自分を探しに向かって来る亜人の存在であるが、イレギュラーが居ると言う予想外の出来事を感知できたなかった自分たちにもあるだろう。

 拳銃の射程内に亜人が来たところで、シュンは直ぐに照準を定め、引き金を引いて拳銃を発砲した。

 しかし、撃った分の弾丸は全て受け取られ、握り潰された弾丸は床へとポロポロと落ちる。

 

「クソッ、銃弾を受け切る奴かよ!」

 

 それを間近で見ていたシュンは、亜人には銃が効かないと判断して即座にホルスターに戻し、広い場所へ誘い込むため、外へと逃げようと階段を下る。亜人も獲物を逃さないためか、壁に張り付きながらシュンを追う。

 追われているシュンは、背後より酸や長い舌による追撃を受けるが、移動しながらの射撃攻撃であるのか、当たるか掠るだけで済む。

 一階まで物の数秒で下れば、裏口のある場所まで人目を気にせずに突き進んで、ドアを蹴破ってから広い外へ出た。

 即座に大剣を構え、相手が出て来たところでその巨大な刃を振り下ろさんとする。

 

「…出てこない…?」

 

 数秒ほど構えながら待っていたが、亜人は裏口から出てこなかった。それどころかホテル内からは亜人を見た悲鳴は聞こえず、ざわついた声しか聞こえない。

 

「っ!?」

 

 構えるのを止め、裏口の方を覗きに行こうとした時、自分の背後より凄まじい殺気を感じ取った。それに反応したシュンは、大剣の刃を自分の背後で殺気を放った者に叩き付ける。

 

「手応えがねぇ…何所行った…!?」

 

 反応したのは良いが、手応えが無かったため、臨戦態勢の構えを行って目で辺りを見渡して索敵を行うも、街灯か道路、芝に草花しか見当たらない。

 敵が居ないと思って再び大剣の刃を下げるシュンだが、これは姿なき敵を誘い出す罠であった。姿なき敵はそれに引っ掛かり、シュンの背後から襲い掛かる。

 

「グェ!?」

 

「ちっ、外した!」

 

 相手を誘うことが出来たが、反応が早過ぎたのか、掠り傷しか負わせることしか出来なかった。

 それに飛び散ったのは緑色の液体であり、人のような赤い血では無いので、完全に人ならざる物であると言う確証を得た。

 緑色の血を流した姿なき敵は、シュンの目前で姿を現す。

 その正体は、先ほどホテル内で戦っていた亜人であった。胸には先ほど大剣の剣先で出来た掠り傷が見える。

 

「カメレオンかよ…!」

 

「シャァァァ!!」

 

 緑色と舌を伸ばす攻撃で、シュンは亜人をカメレオンと表した。

 カメレオンと言われた亜人はそのあだ名に怒ったのか、それとも自分の自慢の酸で口を火傷させたのか、姿を隠している自分に傷を付けたことに怒ったのか、雄叫びを上げながら目にも止まらぬ速さで突きを連続で放ってきた。

 

「クソッ、なんて化け物だ!」

 

 その銃弾の速度に近い連続した突きを、シュンは何とか大剣の刀身で防ぎ切る。

 一発一発が強力であり、何度もよろけそうになるが、足を踏ん張って腰を入れたおかげか、辛うじて防御しきれている。

 

「グッ!?」

 

 連続した時では埒が明かないと判断した亜人は足払いに転じ、シュンを道路の上に叩き付け、酸を吹き掛けて踏み潰そうとしたが、道路に付けている足を掴まれ、バランスを崩して道 路の上に転倒する。

 亜人の顔はシュンの方へ直ぐに向くので、酸を吐かれる前に身体を転がして立ち上がり、相手が立ち上がる前に巨大な刃を振り下ろす。

 

「っ! 嘘だろ…!?」

 

 だが、巨大な刃は中腰に立ち上がった亜人の両手で真剣白羽取りのように受け止められ、間近で酸を吐かれそうになる。

 亜人の放つ強力な酸を受ければ、幾らシュンとでひとたまりも無いだろう。

 しかし、寸での所で避けることに成功し、頬を掠める程度で済む。

 

「グェ!?」

 

 シュンの悪運の強さか、それとも自分の射撃力の低さか?

 これに驚く亜人に対し、シュンは容赦なく蹴りを入れ、相手の手を自分の刀身から引き離す。

 双方とも一定の距離を取ってから構えを取り、先に動いてはカウンターを受けると両者は思って動かず、ただ構えを見せ、相手が仕掛けて来るのを待つ。

 

「酸はどうした? カメレオン野郎」

 

亜人は酸での射撃攻撃があるが、何故か酸を吐かなかったため、シュンはそれを仕掛けて来ない相手に問い掛けるも、その挑発には乗らなかった。

 

「(仕方ねぇ、一か八か…)」

 

 負傷を覚悟でこちらから仕掛けようとするシュンであったが、亜人は突然構えるのを止め、何処かへ去ろうとする。

 

「おい、何所に行くつもりだ!?」

 

 自分との戦闘を放棄し、この場を去ろうとする亜人に対してシュンが問い掛ければ、相手は雄叫びでも叫び声でも無い返答で行った。

 

「オ前如キ、イツデモ殺セル。今ハソノ時デハ無イ…」

 

「っ!? テメェ!!」

 

 少し片言ではあったが、今の自分は殺す価値が無いと受け取ったシュンは激怒して怒り任せに大剣で斬り掛かろうとしたが、去り際に亜人は足元に大量の酸を撒き散らし、自分の方へ向かわせないようにする。

 

「クソォ…! どいつもこいつも…!!」

 

 俺には殺す価値が無いのか!

 そう去って行く亜人に向けて怒りをぶつけるシュンであったが、その自分の弱さを自覚しており、次の言葉が思い浮かばなかった。

 そんな敗北感に浸っているシュンの耳元に、泰田からの知らせが入る。

 

「どうした?」

 

『化け物との相手の後で済まんが、毒針近くの鉄橋に逃走し、追跡した小鳥と交戦中だ。小鳥たちはリーダーを残して全滅のようだ…』

 

「餓鬼が出しゃばるからよ。そんで、俺に助けろってか?」

 

『あぁ、お前に行って貰いたい。数分程前に、東京湾の海中レーダーに不審な物が映ったと言う報告が海上自衛隊から報告された。それが、毒針、否、夾竹桃を回収するための潜水艦かもしれん。そこから回収部隊でも現れたらn武偵の一年生一人では殺されてしまう可能性がある。行ってくれるか?』

 

 泰田から回収部隊を乗せていると思われる潜水艦が、あかりと夾竹桃が交戦している鉄橋に向かっているとの情報がもたらされた。それと回収部隊が出てくる可能性があり、あかり一人では殺されてしまう可能性があるので、向かってほしいとの要請を得たシュンは暫し考えた後、潜水艦から出て来るとされる回収部隊で亜人との鬱憤を晴らすために応じる。

 

「良いぜ、こっちは苛々してた所なんでな。そいつ等で憂さ晴らしをさせてもらうぜ」

 

『あっ、あぁ…助かる。車を寄越す、動くなよ!』

 

 憂さ晴らしと聞いて少し戸惑いながらも要請を受理すれば、泰田は車を向かわせるため、シュンにそこから動かないように指示してから無線を切る。

 無線が切れた後、シュンは背負っている自作の大剣専用のラックに自分の得物を固定させ、そこらに腰を下ろして車が来るのを待った。

 

「さて、回収部隊がさっきの奴見てぇなのじゃなけりゃ、良いんだがな」

 

 潜水艦から夾竹桃を救出するために出て来るであろう敵が、自分が勝てる相手であることを祈りながら、シュンはポケットからカロリーメイトを取り出し、一口口に含んだ。

 

 

 

「何故に奴を殺さなかった? レプタイル」

 

 一方、シュンとの戦いを中断して何処かへと去った亜人は、人かどうか分からない屈強な身体を持つ真っ白な肌のスキンヘッドの男に彼を殺して居ないことに問われていた。自分の名前を呼んだその男に、レプタイルと呼ばれた亜人は理由を告げる。

 

「今ノ奴ヲ殺シテモ、ツマラナイダケダ」

 

「ほぅ、貴様がそれほど好戦的な男だったとは知らなかったぞ」

 

 レプタイルが好戦的な戦士であった事に、スキンヘッドの男は対して驚かなかった。

 男はシュンの事を軽視しているらしく、今後の脅威となる敵とすら思っていない様子であり、この世界に居るルリと蒼の魔導書を持つラグナを優先する。

 

「まぁ、あの男は後で良い。それより蒼の魔導書と勇者の獲得だ。あの暗殺者の血を継ぐ少女の危機と聞けば、必ずや駆け付けて来るだろう。そこを狙う、貴様も手伝うのだ」

 

「分カッタ」

 

 男にルリとラグナの捕縛を手伝えと命令されれば、レプタイルはそれに何の疑問も抱かずに従う。

 その亜人が命令に応ずれば、二人の背後からは男と同様に屈強な身体を持つ戦士たちが幾人か姿を現した。




原作のキャラ、あかりのみ。

そんで夾竹桃が相手では無く、モーコンのレプタイルと戦うことに…

今回の後書きコーナーは、ゲストが思い付かないので無し。
次回からは、夾竹桃の回収部隊?とやり合う予定なので、やると思います。

まぁ、なんだかんだで勇者であるルリに同行してるスコーピオンとラグナと共闘させる気ないけど。
他の戦闘要員は、最後に出て来た男、ネタバレでクァン・チーが連れて来た戦士たちと交戦させて来られないってことで。

さて、回収部隊は何かな…? 次回のお楽しみに。
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