各々の得物を手に、向かって来る零児と小牟に対し、シュンはカウンター技を狙ってか、一番手の零児が日本刀を抜いて斬り掛かってくるのを待つ。
「っ!?」
刀身を振り叩き付けようとした瞬間に、防御の姿勢を取って斬撃を防ぎ、零児に蹴りを入れ込もうとしたが、蹴りを入れ込もうとした相手は即座に離れた。その彼の背後からは見えなかった小牟が現れ、杖から抜いた仕込み刀で斬り付けて来る。これを避け切れず、シュンは胴体にかすり傷を負う。
「ぬぅ、ジェットストリームアタックが…こやつ、ガッツ並に相当な腕の持ち主じゃ。多分、武者修行時代の頃じゃのぅ」
「分かってる。それと似てるからって一々漫画に例えるな!」
軽いダメージしか与えられなかったためか、小牟は少し残念なりながら、シュンの反撃を飛んで避け、零児に相手が相当な手練れであることを告げる。
先に一太刀を防がれたことで、相手が相当な場数を踏んでいることをある程度理解している零児は、シュンがある漫画の主人公に似ていることでそれに例える小牟に対し、ツッコミを忘れずに入れる。
「おい、漫才なんてしてんじゃねぇよ!」
「漫才では無いわ! このたわけが!」
この二人のやりとりに少しイラついたのか、シュンは怒鳴り付けた。
相手に漫才をしていると思われた小牟も、同様に何故か怒り出し、旧大日本帝国陸軍の野戦服を脱ぎ払う。
「キャスト・オフ! そして小牟レーザー!!」
そう叫んで下に着こんでいたいつもの服装へ戻し、自分の妖術なのか、指先から光線のような物をシュンに向けて数発ほど放つ。
「(指先からレーザー!? 能力者か!?)」
これに少し驚いたが、以前所属していたワルキューレで似たような技を使う者を目撃した経験がある為、慌てることなく大剣の刀身で光線を防御する。
敵が飛び道具のような技を使って来たので、こちらも飛び道具で対処しようと、右手で拳銃を手に取って小牟に向けて反撃しようとしたが、側面より零児が声を出すことも無く斬り掛かって来たがために、回避するしかなくなる。
「ちっ!」
側面、それも自分の左手から襲って来た零児に向けて数発ほどスチェキンAPS自動拳銃を撃ち込むも、また小牟による交戦攻撃で妨害される。
刀身の当たった箇所を見れば、少し焼け焦げている。拳銃を狙われれば、無力化されること間違いなしだろう。
「こいつ等、やるな」
零児と小牟の阿吽の呼吸の如くの攻撃に、シュンは中々の強敵と判断し、次なる反撃の手を、絶え間なく来る二人の攻撃を避けながら考える。
「零児よ、これは黒い剣士時のガッツの如くの強さじゃぞ!」
「だから一々漫画に例えるな!!」
シュンの強さが、自分が知る漫画の主人公の強さにまた例える小牟に対し、零児は再度ツッコミを入れてから散弾銃による攻撃を行う。
「うぉ!? 猟用並にやべぇ!」
何とか撒き散らされた散弾を避けることに成功したシュンだが、当たった壁に大穴が空いているのを見て驚きの声を上げる。
何故、対人戦に置いて零児が自分の複合武器である「護業」を用いなかったのは、余りにもオーバーキルであるからだ。対妖怪用、つまり化け物専門の武器なので、対人戦においてシュンのような化け物に近い人間だけに限っている。
そんな弾丸を避けるため、倉庫の壁に隠れて大剣からAK-103突撃銃に切り替え、銃撃が止むのを待ちながら攻撃の隙を窺う。
「…居ない…!?」
銃撃が止んだところで遮蔽物から飛び出し、数発ほどを腰だめで零児や小牟が居る場所へ向けて撃ち込んだが、その標的は二人とも居なかった。
「ここじゃ、ここ!」
何所に居るのか目で探そうとすれば、上から小牟の声が聞こえる。その方向へ視線を向ければ、倉庫の屋根の上から飛び降りて来た小牟が二挺拳銃で撃ってくる。
「馬鹿野郎、二挺拳銃が当たるかよ!」
小牟による二挺拳銃の乱れ撃ちを受けるシュンであったが、弾丸は掠れる程度で済み、即座に反撃を行う。
シュンも狙い撃ちもしない腰だめ射撃であったので、小牟は何とか壁を蹴って避けることに成功し、近場の遮蔽物へと隠れられた。
「ちっ、ここは狭ぇな。移動すっか」
上から攻撃してきた小牟を退散させることに成功したシュンは、姿を現さない零児の攻撃を警戒しつつ、広い場所へと移動しようとする。
そんな時に死角となっている個所から零児が現れ、腹部に切り傷を付けられる。
「この野郎!」
自分の腹部を斬り付けた零児に対し、シュンは反撃の一撃を加えようとしたが、避けられて見失ってしまった。
「逃げ足の速ぇ野郎だ。早く行かねぇとな」
次なる襲撃を避けるべく、シュンは広い場所へと大剣を担ぎながら向かった。
「アリアちゃん、先に行って。ここの人達、どうやら私が目当てみたい」
萩枝のおかげで、キンジが入った倉庫へと辿り着いたルリとアリアであったが、ここに来てルリは追ってくる民兵や傭兵らが自分を狙っていることに気付き、アリアを先に行かせようとした。
「あんたにしては感が良いわね。それなら尚更…」
「駄目、私までついてきちゃうと、この人達も連れて来てキンジと白雪ちゃんがやりずらくなっちゃうかも。ここは敢えて私が…!」
敵が自分を狙っているから囮になると言うルリを、アリアは出入り口の傍で褒めながら一緒に来るように告げるが、彼女は拒否して何も無い場所から勇者の証拠である剣を出して、民兵や傭兵らに警戒する。
「くっ! 絶対に死んじゃ駄目よ! 死んだら風穴開けてやるんだから!!」
それでもアリアはルリを連れて行こうとしたが、凄まじい銃撃に晒され、彼女の元へは向かえず、死ぬなと言ってから渋々と倉庫の中へと入って行った。
「ちょっと、酷いかも」
死んだら風穴を開ける。
そんな言葉に少し傷付いたようだが、アリアなりの照れ隠しだと思い、銃撃を避けるために近くの壁を遮蔽物にして銃撃を躱す。
銃撃が止んだところで、飛び出して向かって来る民兵や傭兵らの無力化を行おうとしたが、予想よりも早く銃撃が止んだ。
「あれ? まだちょっと…」
自分の予想よりも早く銃撃が止んだので、思わず壁越しから様子を覗ってみれば、そこには自分に向けて攻撃していた民兵や傭兵らの屍が転がっていた。
ただ一人立っているのは、彼らを全滅させた人物であるカナリスだ。彼の背後に、その殲滅を手伝った部下が銃を持ちながら待機している。
ルリが顔を出していることに気付いた彼は、彼女を誘い出すべく、挑発を仕掛ける。
「ルリ・カポディストリアス、君がその気になれば、民兵や傭兵の寄せ集め部隊など、私や部下たちよりも早く殲滅できたんじゃないのか?」
この挑発に乗らず、剣から小さいP232自動拳銃を出して足か銃を持つ手を撃とうと思い、次に隠れる場所を確認してから遮蔽物から飛び出したが、飛び出した直後に拳銃を持つ左手がタイミングを見計らっていたカナリスが用意した狙撃兵に撃たれ、硬いコンクリートの上に拳銃を落としてしまう。
「あぁ…!?」
「痛いか? だが、その砕けた二本の指は、約三秒あたりで元通りとなる」
その際に、拳銃を握っていた手、指二本が放たれた大口径のライフル弾に寄って砕かれたが、カナリスが言った通りに再生して元通りとなった。飛び散った血は元に戻らず、袖が血で赤く染まり上がったままだ。
砕かれた指が元通りになったのを確認したルリが立ち上がった所で、カナリスは続ける。
「君の情報は全て知り尽くしている。例え、君が何者かによって記憶を消され、操られていようともな。先ほどの再生能力で確証が取れた、君は紛れも無くルリ・カポディストリアスだ。神の使い、もしくは世界の均衡を保つために選ばれた戦士では無い」
指が数秒足らずで元通りになった所で、目前に居る少女がルリ・カポディストリアスと確証が得られたとカナリスが言えば、彼女は何も言い返さずにただ得意げに話す男を睨み付けながら剣を構える。
「その反応、私が何を言っているのか理解できない様子だな? どうやら記憶を消されているが、剣を構えるその姿勢、身体は覚えているようだ」
睨み付けながら剣を構えるルリに対し、カナリスはその構えがマリに似ていることから、彼女本人であると完全に確証を得た。尚、彼女は最初にシュンと遭遇した時に、マリと同じ構えを見せている。
これを指摘されたルリは、別の構え、我流のような構えを見せるも、今さら誤魔化した所で相手に通ずるはずもない。
「今さら誤魔化したつもりか。その構えは素人丸出しだ。本気でやらねば、私には勝てんぞ!」
素人感丸出しの我流の構えを見せるルリに対し、カナリスは突撃銃を紐で背中に掛けてから懐から小さなある物を取り出し、自分の得物である上と下の尖端に強力な電撃が流れている棒状の武器をそのある物から召喚して叩き込もうと向かって来る。
小さなある物から武器を出したのは、ワルキューレの科学力か魔法技術による賜物であろう。
それから武器を召喚したカナリスは、相手がか弱そうな少女でも容赦なく強力な電流が流れている電撃棒とも言える物を振り下ろす。
「わっ!?」
強力な電流が流れている先端に剣を当てれば自分も感電すると思ってか、ルリはそれを受け切らずに避けた。
この電流を加えた打撃を避けたルリを見て、カナリスは良い判断だと褒める。
「良い判断だな、私の武器は、強力な電流が流れている。それを君の持つ剣で受ければ、電流が剣を通して君の身体に流れ、気を失うだろう」
「褒めたって、何にもなりません!」
適切な判断をして褒める相手に対し、それを望んでいないルリは、手に握っている剣で斬り掛かったが、カナリスが尖端で防御の姿勢を取ったため、迂闊に手が出せず、剣を引っ込める。
「どうする? この場で適切なのは、飛び道具による戦闘であるが?」
手を出せずにいるルリに対し、カナリスは飛び道具の使用が適切であると言ってくるが、明らかに罠だ。その証拠に一番高い倉庫の屋根の上に狙撃兵が持っている狙撃銃のスコープが太陽の光を反射して光っているのが見える。銃を何所からともなく出せば、即座に狙撃されるだろう。故に、銃による攻撃は出来ない。
「(ここで強化状態に変身するか?)」
八方塞がりとなっているルリを見て、カナリスは彼女が持つ特殊能力である強化状態へと変身する物と思った。
その予想は、暫く睨み合いを続けていれば的中する。
案の定、どの手を考えてもキリが無いと思ったルリは、カナリスの予想通り、自分の全てを強化する能力を発動させたのだ。
彼女の全身が薄緑に光り始めて見え無くなれば、小柄な体格からやや背の高い体格へと変化し始める。
それを阻止せんと、背後で待機している部下や狙撃兵が銃撃を加えるが、謎のバリアによって彼女の変身は守られており、手を出すことも不可能だ。
「やはり、変身中に攻撃は不可能か…!」
変身中の相手に手が出せないと分かったカナリスは、左耳に付けてある小型無線機で、本部に連絡を取る。
「こちらパパフォックス、少女はたくましく成長した。繰り返す、少女はたくましく成長した」
ルリが変身したことを示す暗号で本部に告げれば、変身して向かって来る彼女の攻撃に備える。
暗号の意味は、変身したルリの対策部隊の出動要請だ。部隊の規模は小隊規模であり、要請したカナリスの表情からして、特殊部隊のような装備を施してない単なる一般の歩兵小隊のようだ。
閃光が終われば、そこにあの愛らしい小柄な彼女の姿は無く、168㎝と長身な少女、ではなくまだ顔に幼さを残す美少女が立っていた。
髪の色と瞳の色は変わらず、ただルリが十代後半へと成長しただけの姿と思うが、彼女がカナリスを睨み付けた瞬間、途端に彼女の姿が消えた。
「消えた!?」
瞬き一つせずに標的を捕らえていた筈だが、目を離してないのに消えた為、カナリスは一瞬混乱したが、直ぐに平静を取り戻し、周囲を警戒する。
警戒しながらハンドサインで背後を守るように部下たちに命じたが、その部下たちは、姿を現したルリによって一瞬で全滅した。全員は死なず、気絶させられただけだ。
「早い!?」
自分の熟練で優秀な部下を僅か数秒ほどで全滅させたルリに対し、背後を振り向いて即座に取り出したG36Kで撃ち殺そうとしたが、彼が銃口を向けたと同時に、彼女が何の前触れも無しに目の前に姿を現す。
「っ!?」
これに右手に握る自分の得物で対応しようとしたカナリスであったが、ルリの拳の方が早く、腹に十発もの蹴りを入れ込まれる。
だが、カナリスは身に着けているタクティカルベストの中にある防弾プレートのおかげで意識を持っていかれずに済み、反撃をすることが出来た。
しかし、振るわれた電撃棒は相手が尋常でない速さで回避したがために空振りとなり、またも周囲を警戒して襲撃に備えなくてはならなくなる。
「防弾プレートが無ければ、意識を持っていかれる所だった」
そう防弾プレートを付けていたことにホッとすれば、電撃棒をいつでも取り出せるよう、スイッチを押して電流を切り、背中のラックに付けてから銃を構え、素早い相手の移動を制限しようと思い、狭い場所へと移動する。
「大佐、呼ばれて来ました!」
「よし、狭い場所へ来い。奴の動きを制限するんだ! 一個分隊は残れ! 安心しろ、死にはしない!」
そんな時に、カナリスが頼んだ対ルリ用である歩兵部隊が到着した。
全員が女性であり、殆どが動きやすい戦闘服の上に予備の弾倉を収めるポーチを付けただけの軽装備の歩兵部隊だ。銃器の類は第二次世界大戦後にスウェーデンで開発された短機関銃であるカールグスタフm45に、フランス陸軍で現行のブルパップ式突撃銃であるFAMASを装備している。
それにヘルメットを被っている者は極わずかであり、後は帽子かバラクラバ、何も身に着けてない者までいる。どうやら警備用の部隊のようだ。
彼が不安な表情を浮かべながら、最後尾の一個分隊は残って自分の後へ付いてくるように指示すれば、彼女らは何の疑問も抱かずに指示に従い、カナリスの後へ続いた。
「よし、最初に説明した通りの配置に…」
一個分隊を足止め代わりにして狭い場所へと辿り着いたカナリス達であったが、残した分隊は足止め代わりにもならず、瞬きする間に全滅してしまったようだ。
次の最後尾となった分隊か班が、手にしている銃を高速で迫ってくるルリに対して撃っている。光よりも早く動く彼女に対して、全くの無駄弾と思えるが。
「ひっ!?」
一人目に近付いたルリは、悲鳴を上げるバラクラバを身に着けた女兵士に対し、腹に向けて二発の拳をコンマ単位で打ち込んだ。
強力な拳を腹に打ち込まれた女兵士は即座に気を失い、手にしているカールグスタフm45を手放してコンクリートの上に倒れ込む。
「撃ち方止め! 撃ち方止め!!」
射線に味方が居るため、下手に銃が撃てないので、小隊長は部下たちに銃を撃つのを止めるよう大声で叫ぶ。
これを分かっている者達は、味方への誤射を防ぐため、銃を撃つのを止めてナイフや銃座などで近付いてくるルリに対して接近戦を行うも、容易に回避されて返り討ちにされるだけであった。
「やはり警備兵では無理か…」
戦場に出たことが無い実戦経験皆無の警備兵相手では、ルリは止められないと分かった後、変身したルリに対しての対応策を実行するべく、彼女らを助けることなく無線機に手を伸ばす。
「こちらパパフォックス、状況はどうか?」
対応策の実行が可能であるかどうかを本部に問えば、先の女性オペレーターは、まだ準備ができていないと答える。
『こちらマザーフォックス、魔導士たちは準備中です。もう少し時間稼ぎを…』
「なるべく急がせろ、もう持ちそうも無い。それと森羅の者達はまだ例の男と交戦中か?」
『…目下交戦中です。上手く苦戦してくれています』
「よし、それで良い。封印術の支度を急がせろ」
『了解!』
答えを聞いたのちに準備を急かせば、零児等がシュンにどれだけ苦戦しているかどうかを問う。
帰って来た返答は、自分が思った通りに運んでいると分かれば、再度、魔術師らのルリに対しての対応策を急かせば、無線を切って自分の得物を取り出す。
「さて、どれくらい持ち堪えられる物か」
自分の得物である電撃棒のスイッチを押して高圧電流を尖端に流しつつ、あの高速に動き、凄まじい威力を誇る彼女の攻撃を、自分だけでどれだけ凌ぎ切れるかどうかを試すべく、数合わせで呼んだ警備兵らをルリが全滅させるまで待った。
「思いのほか、早かったな…」
銃声が止んだ頃になれば、ルリはカナリスの前へ姿を現した。
彼女が一人で相手をしていた警備兵らは、連射力のある短機関銃や突撃銃を持っていたが、一発の掠り傷も負わせること無く全滅したようだ。
そんな常識離れ過ぎた彼女を前に、カナリスは臆せず、時間稼ぎをするべく攻撃してくるルリに構える。
「早い!」
目前の敵が攻撃の構えを見せた途端に姿を消したので、即座にカナリスは何所から攻撃されても対処できるよう、周囲に目を配りながら身構える。
物の数秒後で、利き手で無い左手からルリが拳を打ち込もうとして来る。
「ぬぅ!」
これに気付いたカナリスは反撃を行わず、時間稼ぎのために防御の姿勢を取り、彼女のコンマ単位で放たれる連続の突きを受け切る。
有効なダメージが与えられなかったのか、ルリは数発ほど打ち込んだ後、また姿を消して相手に動きを見られぬように、床や壁を跳ねながら高速で動き始める。
「(次は後ろからだな)」
見えないくらいの高速で飛び跳ね続けているルリの行動を、カナリスは読みつつ、わざと翻弄されているフリをして相手が攻撃してくるのを待つ。
「来たか!」
案の定、ルリはカナリスが予想した通り、背後から攻撃してきた。
予想通り攻撃してきてくれたので、カナリスは容易に高速で動き回る相手に対処ができ、反撃は出来ずとも防御は出来た。
攻撃を読まれたルリは、相手が自分の動きを読んでいると察知し、反撃を受ける前に離れてまた高速で動き続けて相手のスキを窺う。
「(私が彼女なら、何所を攻撃するべきか…?)」
再び高速で動き、攻撃を読ませないようにする相手に対し、カナリスは相手の気持ちを考え、自分ならどこを攻撃するか考え始める。
足元か? 頭か? 背中か? 側面か? それとも真正面からか?
そう五択の考えを瞬時に思い付かせ、相手の次に何所へ攻撃してくるか予想する。
「…そこか!」
どの部分を攻撃するのかを予想している最中、カナリスの脳裏に浮かんだ五個の選択のうちの一つ、足元への攻撃をルリが行って来たため、彼は電撃棒の尖端を彼女の身体に打ち込むことに成功した。
「きゃぁぁぁ!!」
強力な高圧電流が身体に流し込まれ、全身から伝わる激しい痛覚でルリは絶叫し始める。
「強化状態になったのが仇になったな! それも私の読み通りだが!!」
この状態のルリは、高速移動と身体強化の代償か、不死でなくなり、通常の人間と同じように痛覚を感じ、自己再生能力も無くなる。
死んでもあの世へは行かず、元の小柄で愛らしい少女の状態へ戻るだけだが、変身した代償としてか、暫くは動け無いようだ。
それを知っているカナリスは、敢えて彼女を強化状態へと変身させ、この時のために狭い場所へと誘き出したのだ。
強力な高圧電流を流してルリの動きを止めている間、カナリスは彼女を拘束するための封印術がどれだけ進んでいるかどうか問い始める。どうやらあまり長くは続かない様子だ。
「マザーフォックス、奴の動きを止めた! 封印術の支度はどうなっている!?」
『現在、進行中です。もうしばらくお待ちください』
「なにぃ!? こっちは長く持たんぞ! 出来るだけ急いで…グァァァ!!」
本部の女性オペレーターは、発動までに暫く時間は掛かると答えれば、彼はやや焦りながら急かすように告げた。
そんな時に、高圧電流を受け続けているルリが持ち手の部分を掴み、自分の手を伝わせてカナリスに電流を流し始めた。
「うわぁぁぁ!!」
自分にも高圧電流を流されたカナリスは絶叫し、思わず棒を手放しそうになるが、拷問に対する訓練を行っている彼は、何とか堪えつつ、封印術の発動までルリを釘付けにしようとする。
僅か数分程しか経っていないが、両者の身体から電流の影響で煙が上がり始め、一部の衣服が燃え始める。これ以上続ければ、両者とも黒焦げになってしまうだろう。
「ま、まだか…!!」
気を失いそうなほどの電流に耐えつつ、カナリスは封印術の発動がまだかと無線機で本部に問うも、その無線機は電流の影響で故障し、本部との連絡は取れず仕舞いだ。
十分以上が経過する所で、ようやく封印術の支度が整ったのか、ルリの四肢に妙な鎖が絡みつき、彼女を拘束した。
「っ!?」
突然現れ、自分の四肢を縛った鎖に驚き、抵抗する彼女であるが、強力な魔法なような物で強化されているためか、解けない。
「グ…あぁ…!」
ようやく電流から解放されたカナリスは、電撃棒のスイッチを切って電流を止め、床に膝を着けた。そこに彼の部下たちが、上官の無事を確認すべく、集まって来る。先ほどルリによってあっさりと全滅させられた者達だ。
「大佐殿、大丈夫でありますか!?」
「私は大丈夫だ。それより、あの子の封印はどうなっている?」
「えぇ、きっちりと抑え付けております」
無事であるかを問うてくる部下に対し、自分よりもルリの拘束が万全であるかどうかを問えば、部下は拘束が万全であると答える。
「森羅の者達に悪い事をしたな…」
封印が万全であることが確認されれば、カナリスは立ち上がって零児たちに対し、重荷であるシュンを押し付けてしまった罪悪感を抱く。
「さて、後は回収部隊に任せ、我々は森羅の者達の増援に…」
「それは困るね、彼女にはまだ捕まって貰っては困る」
ルリの回収を後続の部隊に任せて零児らの支援に向かおうとした矢先、何所からともなく青年の声が聞こえた。
これを聞いた一同は、二名が声のした方向へ各々が持つ銃の銃口を向け、残りの者は周囲を警戒する。
銃口を向けた先に居たのは、倉庫の屋根の上で本を片手に読んで座っている背丈192㎝の大柄な好青年だ。
青年は二挺の銃口を向けられているにも関わらず、まるで撃たれても問題が無いかの如く、本を閉じてからカナリス等に振り向き、彼らに語り始める。
「彼女は僕の全知のために君たちに預けるわけには行かない。ここで取り返させてもらおう」
「貴様、英霊か悪霊か?」
屋根の上に立ち、自分等を見下す青年に対し、カナリスはG36Kの銃口を向けながら、人間でない者と断定し、英雄的存在なのか、悪名的存在であるかを問う。
「英霊と悪霊…フッ、君たちから言えば、後者だね。全知のため、僕は周りから散々と憎まれることをしてきたからな。だが、何の罪悪感も抱いてない。そして彼らに対し、謝罪する気持ちも無い。それとこの回答に、何の偽りも無いよ」
この問いに対し、青年は後者である悪名的存在であるかと問えば、生前に起こした様々な悪事に対し、何の罪悪感も抱いてないと答えた。
これにカナリスは少し腹を立てたが、怒りを露わにせず、何故、正反対である勇者のルリと行動を共にしているのかを問う。
「何故、お前のような悪霊が彼女と行動を共にしている? 目的は何だ?」
「目的は何だ? 先の回答の通りさ。全知のために、殆どの知識の無い彼女と行動を共にしているだけだ。彼女と旅をすれば、まだ見ぬ知識がそこにある。それ以外の目論みは無いね」
「そうか。で、お前ひとりでその子を救うつもりか?」
ルリと行動を共にする目的を問われた青年は、己が知らぬ知識を得る物であると答えた。
その返答を出した青年に対し、カナリスは一人でルリを助けるのかと問い返す。
問うた本人であるカナリスは、青年が何らかの能力を隠し持っていることを察知しており、同じく部下たちも青年から伝わってくる並々ならぬ不気味さを肌で感じ、額に汗を浸らせる。
何度も問われた青年は、両手を組んでから返答を出した。
「いや、僕は彼女を救わない。助けるのは、彼らさ…」
「彼ら…? まさか…!?」
この返答に、カナリスは青年が‟恐れていた物‟を呼び込んだと察し、その物の名を口にした。
「連邦か同盟の追跡隊を、この世界に呼び寄せたのか…!?」
「正解だよ。正確には、同盟の追跡隊だがね。さて、僕はこの混乱に乗じて、ルリを助け出させてもらおうか」
恐れていた物が、同じくルリを追う同盟軍の追跡隊であると分かれば、それに気付いたカナリスに、青年は正解だと告げ、更に混乱に乗じてルリを救う事も宣言する。
その直後に、青年の背後から次元の亀裂が現れ、そこから同盟軍と呼ばれる異星人の巨大勢力の軍隊の部隊が続々と姿を現した。
「厄介なことをしてくれる…!」
そう青年の背後から見える次元の亀裂から出て来る同盟軍の追跡隊の将兵を見て、カナリスは部下に無線機を持ってくるようハンドサインで指示を出した。
カナリスがルリと交戦して初めて同時刻、零児と小牟の連続的な攻撃を避けるべく、シュンは広い場所へと移動し、そこで大剣を構えながら二人が来るのを待った。
「どっちから来る…?」
倉庫の壁を背にしながら、何所から二人のうち誰かが来るのかを警戒する。
「来たっ…!」
周囲を見渡している間に、零児と小牟が同時に左手から飛び出して来た。それを確認したシュンは、何らかの連携技を仕掛けて来ると思い、警戒して防御の構えを取る。
「零児、ここはジェットストリームアタックで行かぬか?」
「あれは三人いなければ出来ん技だ。それとそんな連携技は知らん!」
「乗りの悪い奴じゃのぅて」
これから攻撃する大剣を構える大男に対し、小牟はまたフザケタ提案を出せば、零児はそれを否定してツッコミを入れてから攻撃に移る。
先に仕掛けたのは零児だ。複合武器「護業」から刀身に炎を帯びている日本刀を抜き、構えるシュンを斬ろうとする。
「(刀身に炎!? 特殊武器か!!)」
複合武器から部下れた刀身に炎を帯びる日本刀を見たシュンは、刀身で塗っている油で燃えているわけでは無い事を見抜き、魔法の類で作られた武器であると気付く。
燃え盛る刀身に対してシュンは、大剣の巨大な刀身で防御して炎を防ぎ、左手を素早くガンホルスターに伸ばし、中に納まっているスチェキンAPS自動拳銃を取ろうとした。
「そうはさせん!」
拳銃に手を伸ばそうとした時、左手から小牟の邪魔が入って撃てなくなる。
だが、この床を蹴った勢いを利用して、拳銃を抜くことに成功し、安全装置まで解除までできた。後は撃つだけだが、二人は拳銃で撃たれることが分かってか、各々が持つ銃を撃って相手に撃たせないようにする。
「ちっ!」
対化け物用の弾丸を避けるべく、シュンは大型自動拳銃を片手で撃ちつつ、被弾しながらも遮蔽物へと隠れ、大剣を背中のラックへ戻してから、破片手榴弾を右手で掴んで安全ピンを外して二人が居た場所へと投げ込む。
「手榴弾じゃ!」
「クソッ!」
投げ込まれた手榴弾が目前に来れば、零児は人が居ない方向へと手榴弾を蹴り上げ、爆発で撒き散らされる破片を避けようとする。
「伏せろぉ!」
「あたっ!?」
十分に避けられる距離まで手榴弾が回りながら行けば、オドオドしている小牟を無理やり伏せさせ、飛んでくる破片から彼女と自分の身を守った。二人が伏せている間に、シュンは大剣を抜いて二人纏めて叩き斬ろうと、遮蔽物から飛び出す。
「ぬぉ!?」
巨大な刀身を叩き付けようとして来るシュンに対し、小牟は驚きながら杖の仕込み刀を抜き、零児と共に巨大な刀身を防ぐ。二人合わせてなら、スレイブの巨大な刀身を防ぐことが出来た。
攻撃を防ぐことに成功した零児と小牟は、力尽くで押し潰そうとするシュンの腹に向け、蹴りを入れて一定の距離を取り、そのまま遮蔽物へと共に隠れた。
遮蔽物に隠れてから片手で突撃銃を撃っていぶり出そうとして来る強敵に対し、どのような対処法を取るか相談を始める。
「どうする零児? あ奴、相当な手練れじゃぞ」
「あぁ、今まで戦ってきた奴の、上の部分に当たる奴だな。ここは鬼門封じで動きを止め、奴を仕留める」
「殺して首を取るのか?」
「いや、殺さずに気絶させてもらう。暫くは目を覚まさないと思うがな。手加減しろよ?」
「ほぅ、善処しよう…!」
「…」
シュンの強さが今まで戦ってきた中で上部に位置する者であると、手合わせした後に分かれば、零児は鬼門封じと呼ばれる封印術で動きを止め、気絶するまで痛め付けた後、生きたまま拘束すると伝えた。
それを聞いてか、小牟は不敵な笑みを浮かべながら出来るだけやると格好良く答えたが、零児は無反応であった。
「よし、やるぞ! 小牟、鬼門封じ発動!」
「
手榴弾が自分等の隠れている場所へ飛んできたのを確認すれば、実行しなければならないと思い、即座にそこから飛び出し、爆発してから突っ込んで来るシュンに向け、その技を仕掛けようと二人は迎え撃つ。
背後で手榴弾が爆発して粉塵が舞い散る中、まずは零児が仕掛ける。
振るわれた大剣を避け、複合武器の護業で思いっきり飛ぶぐらいに殴り付けて相手を宙に浮かせれば、小牟が鬼門封じと呼ばれる封印術を宙に舞うシュンに掛けた。
「小牟ウェーブ!!」
「なんだこりゃあ!? 動かねぇ!?」
封印術、鬼門封じを唱える際、小牟は違う物を言ったが、正常に発動して宙に浮いたシュンをその場で固定して動きを封じた。そこからは、零児が容赦ない怒涛の攻撃をシュンに浴びせる。
まずは回転式拳銃である「
全ての飛び道具の弾丸を撃ち込めば、今度は刀剣類で斬り始める。
二撃、三撃、四撃、五撃と斬撃を叩き込んでいれば、その衝撃でシュンが血を吐いたが、二人は容赦しない。
封印術の効果が切れて相手が下へと落下する瞬間に、小牟は仕込み杖から刀を抜き、落ちようとするシュンを斬る。
「お前を殺すぞぃ!」
そう言ってシュンを斬れば、血の付いてない刀身を杖に戻した。
「なーんてな。安心せぃ、手加減はしてある」
シュンがコンクリートの上で倒れ込んだのを後ろ目で見つつ、あれ程の容赦ない攻撃をしておきながら、手加減はしてあると既に瀕死状態になっている相手に向けて告げる。
「ふぅ、生きとるかのぅ?」
「いや、これで死んだら、本当に首を切り取って奴らに納品しなちゃならなくなる」
「ウェー、なんと前時代的な…」
倒れて動かなくなったシュンを見て、本当に生きているかどうか分からない小牟は、額の汗を拭いながら零児に言えば、彼は対象が死んでいる場合、首を切り取ってカナリスに納品しなくてはならなくなると答える。
数百年も生き続けている小牟はそれを知っているのか、少々吐き気を覚えた表情を浮かべつつ、舌を出しながらそれを表現した。
「よし、生きているかどうか確認…っ!?」
「い、生きとるぞ!!」
生きているかどうかを零児が確認しに行こうとした時、シュンはふら付きながら起き上がって来る。それを見た二人は驚愕し、各々の武器に手を伸ばす。
「こ、こいつ…!? 一対何が支えているんだ…!?」
これ程の攻撃を受けても立ち上がって来るシュンを見て、恐ろしい執念を垣間見た零児は、目前の瀕死状態でも戦おうとして来る相手に、やや恐怖を覚える。小牟も同様であり、声に出さずとも身体を震わせていた。
そんな二人に対し、シュンは大剣を杖代わりにしながら辛うじて立ち、斬ろうとして重い大剣を持ち上げる。
「…今なら殺れるぞ…! 小牟、もう一度、鬼門封じだ…!」
「お、おぅ!」
シュンがもう動けないことを分かった零児は、今度が殺すつもりでやることにし、小牟にもう一度鬼門封じをすると告げる。彼女はそれに応じ、シュンにもう一度鬼門封じを仕掛けようとする。
一度目の時と同じように、零児が先に仕掛けようとした時、彼の左の白髪の部分にある古傷が突然痛み始めた。
「ぐっ…! こ、この痛みは…!?」
「な、なんじゃと!? まさか
零児の古傷の痛みで、小牟は彼の額に一太刀を浴びせ、その傷を負わせた禍々しい気配を持つ者が近くに居ると思い、攻撃を止めて周囲を見渡す。
「(なんだこいつ等…? 白髪の奴が頭を抑えてやがる…)」
古傷のある白髪の部分を抑える零児と、それを見て因縁深い相手が近くに居ると思って不安な表情を浮かべる小牟を見たシュンは、その意味が理解できないでいた。
その物の数秒後で、零児の額に傷を負わせたとされる人物の声が、シュンの耳にも届いてくる。
「はぁい、元気?」
「沙夜、やはり貴様かっ!」
妙齢の女性の声が消えた瞬間に、痛みが消えた零児は声がした方向へ振り向き、そこに居る女性の名を口にした。
「あらあら、あの時の事、怒ってる?」
零児や小牟、それに反応したシュンが振り向いた方向に居たのは、かなりのスタイルを誇る少し露出の高い服装をした白髪の美女であった。
彼女は近くの倉庫の屋根の上に立っていたが、近くで話したいと思ってか、常人なら骨が折れるほどの高さを平然と飛び降りて何事も無かったように着地し、瀕死のシュンに何か薬のような物を投げ付けてから二人に近付く。
あの時の事についてだが、今は語るべきでは無い。
「一体、何をしに来たんじゃ!? お主はあの時…」
「言ったでしょう? 私は肉体の入れ替えによって何度も蘇る。でも、代えは無限じゃないのよね…で、不老不死の肉体を…」
近付いて来た沙夜に対し、小牟は問い詰めれば、彼女は復活した理由は、肉体の入れ替えによる物であると答える。それに、代えの肉体も無限では無いことも告げれば、自らの目的である代えの肉体が必要ない不老不死の肉体を手に入れることを隠すことも無く明かした。
それを聞いてか、零児は回転式拳銃の銃口を彼女へと向ける。
「そうはさせない…!」
「あら、また殺しちゃうと…答えが聞けなくなるわよ?」
「零児、
目的を本人から聞いた零児は銃口を向けつつ脅すが、彼女は平気であの時の事を持ち出し、彼の気持ちを揺らごうとする。それに乗せられないように、小牟は銃を沙夜に向けながら零児に向けて言う。そんな時に、零児の背後で巨大な刀身が降って来る。
「っ!?」
「何所の姉ちゃんか知らねぇが、ありがとよ…! おかげで全快だ…!」
これをギリギリの瞬間で気付き、紙一重で躱した零児は、先ほどまで瀕死の状態であったシュンが、最初から傷が無かったかの如く、全回復していることに驚いた。
彼の背後より斬り掛かったシュンの方は、自分を回復させてくれた沙夜に対し、礼を告げる。
「良い回復ぶりね。効くかどうか分からない劇薬だけど、見事に当たっちゃったわけね」
「相変わらず余計なことを…!」
効くかどうか分からなかった劇薬が、見事に当たってくれたことに沙夜が感心すれば、小牟は折角ここまで追い詰めた物を元に戻した彼女に怒りを見せる。
だが、沙夜は零児や小牟の予想を遥かに上回る余計な真似をしていた。
「っ!? これは…ゆらぎ…!? 沙夜、まさか…!」
周囲に起こる奇妙な現象を感じ取った零児は、それが自分等の知る「ゆらぎ」と言う超常現象と分かれば、それを起こしたとされる沙夜に問い質す。
小牟が睨み付ける中、彼女は全く隠さず、能天気に今起きているその「ゆらぎ」を起こしたのは、自分であると明かした。
「えぇ、ちょっとあの子がピンチだから、敵の敵を連れてきちゃった」
「何という馬鹿な真似を…!」
張本人である沙夜が何の責任感も感じず、笑みを浮かべながら言えば、小牟は更に怒りを覚えた。
彼女の理由は、その不老不死の肉体を手に入れるために近付くための鍵であるルリを助けるためにやった事であるが、隠密に任務をこなしたい零児と小牟、カナリス等ワルキューレに取って大迷惑な話である。
「助けてもらったて悪いが、やり過ぎじゃねぇのか?」
ゆらぎと言う物は知らないシュンだが、似たような経験を幾つもしているので、置いてかれないように口を開き、敵の敵を呼び込んだ沙夜にやり過ぎではないのかと問う。
「まっ、私もやり過ぎだと思うわ。そう言う訳で、片付けましょ? 今の優先順位は分かっているでしょ?」
シュンに問われて流石にそれは自覚している沙夜は自分の得物を出しながら武器を向ける二人に問えば、この場での優先順位が分かっている零児と小牟は、それに同意するしか無かった。
「ちっ、分かっているさ…騒ぎが起こる前に…」
「手早く片付ける、一匹も街に行かさぬように…!」
舌打ちしながらも、二人は騒ぎが起こる前に排除するしかないことが分かっており、それに納得して銃口を下げた。
「分かってるじゃない、久々の共闘と行こうかしらね。そこの大剣の筋肉質な坊やもね。貴方もその手の組織に属する人なんでしょ?」
「あぁ、泰田のおっさんが怒るだろうしな。何所の誰が転移してくるかは知らねぇが、叩き潰すまでだ」
零児と小牟が理解したのを見て、大変喜ばしい沙夜は再び彼らと共闘できることを喜ぶ。
そして大剣の刀身を右肩に担いでいるシュンも忘れずに、優先順位が何であるかを問えば、彼もそれを理解しており、自分を助けてくれた彼女の願いに応じて自分等の敵の敵である異世界からの敵を排除することに同意した。
「さーて、行きましょうかね!」
「お主がそれを言うな!」
「この戦闘が終わった後、分かっているんだろうな!?」
初対面のシュンが後始末に同意すれば、久々の共闘と言う訳か、張り切って沙夜は前に出た。
そんな彼女に対し、共闘経験のある二人はつっこみを入れつつも、後へとついて行く。
「さて、久々の異世界の敵だ。遠慮なしで行くか」
三名が異世界から来る敵の排除へ向かう中、最後尾のシュンは利き手である右手を回して慣らしつつ、再び大剣を取って三人の後へと続いた。
~今週の後書きコーナー~
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