復讐異世界旅行記   作:ダス・ライヒ

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これで、リリカルなのは第一期編は終わりです。

そんでもってお別れ回。


異界渡りの剣士は現世へと戻る

「なにぃ! 転移出来ない!?」

 

「どういう訳か、転移装置が動かないんだ!」

 

 転移装置が動かない。

 バウアーがそれを聞いて言えば、クロノは原因不明の転移装置の故障であると答える。

 ここから脱出するには、かなりの時間を要する。今から行くには、とても間に合いそうにない。

 そう絶望した矢先に、近くの壁が巨大な釘打ち器で打ち砕かれ、そこから巨大な機械の左手が現れる。

 

『乗れ! 時間が無いぞ!!』

 

『私の手にも乗ってね!』

 

 シュン達を助けに来たのは、キョウスケのアルトアイゼン・リーゼだ。

 それにエクセレンのライン・ヴァイスリッターも無理やり壁を突き破って、シュン達を手に乗せて行く。

 アルトアイゼンの左手にはシュンやなのは、フェイト、ユーノ、アルフ、クロノの六名が乗り、ヴァイスリッターの左手はKOS-MOS、シオン、ヴェセミル、バウアー、イムカの五名が乗る。

 

「全員乗ったぞ!」

 

『よし、脱出だ!!』

 

『OK! 当機はかなり揺れますので、シートベルトをご着用ください!』

 

 シュンの知らせで全員を乗せたことを確認した二機のPTは、急いで崩れ去る時の庭園より脱出した。

 十分な距離、バルキュリャが居る距離まで来れば、崩れ行く時の庭園を見て、一同はジュエルシードを巡る戦いと、ネオ・ムガルが過去へ送り出した刺客たちより、なのはとフェイトを守る戦いは終わった。

 それを実感したシュンは、崩れ去る時の庭園を眺めながら、懐に忍び込ませていたウォッカの入ったスキットルを取り出し、一口飲みこむ。

 途中より参加したヴェセミルやバウアー、シオン、イムカもこの光景を見て、ようやく戦いが終わったと、ヴァイスリッターの腕の中で腰を下ろした。バウアーは、先の脱出で無くなった煙草の代わりに、もう一本を箱から取り出して、それを口に含んで一服する。

 

「吸うか?」

 

「いや、結構」

 

 煙草を吸っているバウアーは、箱をヴェセミルに向けて吸うかと進めたが、老練の怪物退治の専門家は断る。

 シオンにも進めるも、彼女は喫煙者では無いので、首を横に振って断った。

 

「やれやれ、七十年後か数世紀先の世界の喫煙者は、肩身が狭いな」

 

 煙草を断られたバウアーは、紫煙を吐きながら喫煙者の肩身が時代と共に狭くなったと嘆く。

 ヴァイスリッターの操縦者にも煙草を進めて見たが、見事に断れる。

 

「機械の騎士の操縦者よ。お前も吸うか?」

 

『私、たばこは吸わないの』

 

「そうか」

 

 断られたバウアーは紫煙を吐きながら、シュンやなのは達と共に崩れ去る時の庭園を眺めた。

 そんな時に、KOS-MOSを初めとする英霊たちの身体が突然光り出し、徐々に消え始める。

 

「これは…一体…?」

 

「私達は消えているのか? そんな筈はない、まだ余裕があるはず…!」

 

「この後はどうなるか、分かった物じゃないぞ…」

 

 シオンが最初に気付けば、イムカは存在その物が消えることを否定し、ヴェセミルは今まで体験したことも無い経験を感じ、少々狼狽える。

 

「どうやら、そろそろ限界のようだな」

 

『誰、この黒目の男?』

 

「黒目か。こいつは何だ?」

 

「みんな、誰と話しているんだ? そこには誰も…」

 

 そんな彼らに事情を説明すべく、アウトサイダーが一同の前に姿を現した。

 アウトサイダーの姿は、この時代を生きるなのは達には見えていないらしく、シュンやキョウスケ、エクセレン、英霊たちにしか見えていないようだ。

 そんな過去の時代を生きる者達を気にせず、アウトサイダーは、英霊たちが消えつつある原因を語る。

 

南部響介(なんぶ・きょうすけ)にエクセレン・ブロウニング、それにワルキューレの部隊よ。英霊たちがこの時代より追い出されようとしているのはお前たちの介入の影響だ。ただでさえ、ネオ・ムガルがかなりの兵力をこの時代に持ち込んだ所為で限界だったのだ。例えるなら、大量の水が注がれ、今にも溢れんとするばかりのコップのような物だ。更に水を注げば、水は溢れ出る。お前たちは新たに注がれたその水なのだ」

 

 英霊たちが消える原因を、キョウスケやエクセレン等のワルキューレの介入、それを大量の水を注がれて溢れ出るコップに例えて告げる。

 

「コップより先に零れ出た水は、KOS-MOS、シオン、バウアー、ヴェセミル、イムカ。お前たち英霊だ。歴史の修正力の力が加わり、お前たちはもうじきこの過去の世界より消え、新たな戦場へと送り込まれるだろう」

 

 この時代より消えた英霊たちは、次なる戦場へと送り込まれることとなる。

 そう告げるアウトサイダーであるが、シュンやキョウスケにエクセレン、ワルキューレの面々に対しては、手厳しい事を告げる。

 

「だが、生者であるお前たちは、この時代に留まり続ければ修正力の力で存在自体が消される可能性がある。お前たちはこの時代の人間では無いのだ。後、数時間足らずで、この時代の修正力が消しに掛かるだろう。それが嫌なら、早くお前たちの時間へと帰る事だ。瀬戸シュン、お前は特別に、私が現代へと戻そう」

 

「当然の事だな。俺たちはこの時代の人間じゃない。誰かは知らんが、忠告に感謝する」

 

 このまま居続ければ、歴史修正力によって存在自体が消される。

 それを伝えてくれたアウトサイダーに対し、キョウスケはコックピットから出て、ヘルメットを取って顔を見せながらワルキューレの面々を代表して礼を言う。

 

「なに、私もこの時代と、この時代で生きる人々を守りたいと思ったからだ。介入には感謝する。あれが無ければ、今ごろは現代に生きる高町なのはを初めとする時空管理局の面々の存在は消え、現代の世界群はネオ・ムガルの思い通りになる荒廃した物となっていた事だろう」

 

「古巣のワルキューレに助けられちまったって事か。たくっ、気に入らねぇな」

 

「シュンよ、時には思いもよらぬ事が起こる物だ。例えば、今のような状況だな」

 

 礼を告げるキョウスケに対し、感謝するのはこちらだとアウトサイダーは告げた。

 これにシュンは、自分を追う古巣のワルキューレに助けられたことが解せなかったが、アウトサイダーに言われて納得する。

 一方で英霊たちは、もう完全に消えるのはあと五分程と思えるくらいに消えかかっていた。

 完全に消える前に、英霊たちはこの時代を生きるなのは達に別れの言葉を告げる。

 

「長いようで短いような付き合いでしたが、中々に退屈しない物でした。シオンにも再開でき、満足の至りです。もし、未来の貴方がたに会えたなら、この出来事を伝えます」

 

 先にKOS-MOSが言えば、次にシオンが伝える。

 

「かなり短い期間だったけど、色んなことをあの時の戦い以上に経験したわ。凄いのはこっちの方だけど。エイミィによろしくね、楽しかったと」

 

 三番目にこの過去の世界へ来たシオンが言い終えると、四番目にやって来たヴェセミルも別れの言葉も口にした。

 

「シオンの言う通り、かなり短い間だったが、今までに経験したことも無いことばかりだったわい。生きていたら、骨が折れていたところだったな。最後に一杯やりたかった所だが、もう時間が無いようだ。また何処かで会おう」

 

 ヴェセミルが今までにない経験であった事を告げ、なのは達に別れの言葉を言えば、五番目のバウアーもこれに続く。

 

「死んでから六十年後の俺の故郷を見たいところだが、もう叶わないようだ。東部戦線よりも常識を逸脱した戦いを経験したが、あの戦争の中にあった俺の目的を思い出せたよ。そしてさらばだ、小さな魔女たち。また、何処かで会おう」

 

 バウアーが言い終えれば、最後にイムカが別れの言葉を告げる。

 

「あの時の戦い以上に常識離れの戦いだった。一個師団相当の相手をするのは、生きていたころには経験できない。これから経験しそうだが、その時は仲間たちも一緒だろう。心強いことは間違いない。お前たちも、仲間を信用して戦う事だ。短い間だったが、悪くない。また何処かで会おう」

 

 イムカが最後に言えば、英霊たちの身体は徐々に消え、やがて半透明の存在となる。

 

「もう時間のようだ。彼女たちが覚えていれば、この戦いの事を思い出すことだろう。思い出すことがあればの話だが…」

 

「フッ、分の悪い賭けは嫌いじゃない。思い出すことに、俺は賭ける」

 

「んじゃ、私も。キョウスケは、1%の確率があれば、賭ける男だし」

 

 半透明の存在となった後、アウトサイダーはこの時代のなのは達が覚えているかどうか分からないと告げたが、それを聞いたキョウスケは、どれだけ確率が低くとも、思い出すことに賭けた。

 それにエクセレンが賭けに乗れば、なのは達も必ず思い出すと英霊たちに約束する。

 

「私も絶対、未来で貴方たちに会えば思い出します! 絶対に忘れません!」

 

「私も忘れません! こんなに頼んでも無いのに尽して貰えたのだから!」

 

「嬉しいのう。いつ未来のお嬢ちゃんたちに会えるか分からんが、わしらも覚えておこうじゃないか」

 

 なのはとフェイトが決してこの戦いの事を忘れないと告げれば、ヴェセミルは笑みを浮かべ、会う事があれば思い出すことを約束した。

 もう既に消滅の時間が差し迫っているのか、英霊たちを代表して、KOS-MOSが別れの言葉を言う。

 その瞳はいつも見せる赤では無く、たまに見せる青い瞳であった。

 

「思い出せる確率は僅か。でも、低くとも貴方たちはきっと私達を思い出す。未来で会いましょう。魔法少女たち…」

 

 代表したKOS-MOSの口調が、いつもと違う事に驚きを隠せないシュンと他の面子たちであったが、唯一シオンだけはしっていたようだ。

 その事情は問う前に、KOS-MOSを初めとする英霊たちは完全に消えてしまう。

 これになのは達は少し涙を流したが、彼らの記憶はおぼろげとなっていく。

 

「ヒーローは先に行ったか」

 

「まぁ、ヒーローは長いはしないもんね。さて、私達も行かなきゃ」

 

「…ヒーローか。柄じゃないんだがな」

 

 シュンがライン・ヴァイスリッターの手より消えた英霊たちを見て言えば、今度はキョウスケたちが別れる番であると言う。これにキョウスケはあることを思い出し、それを口にする。

 

『帰還ですか? もうちょっと長く居ても良いと思いますが…それに、捕縛対象も居ますし…』

 

「そこの黒目野郎に言われなかったか? もうお開きだってな」

 

「艦長、この戦いの功労者にそれは良くないぞ。ここは敢えて見逃す」

 

「悪役のやることは嫌いなの。それに、捕縛しろとか言われてないし。可愛い女の子なら別だけど」

 

『はぁ…では、帰投してください。元の時代に帰還します』

 

 これにバルキュリャの艦長は、キョウスケ等にシュンは捕縛しないのかと問うたが、勝利に貢献した最大の功労者を捕まえることは恥であると返し、それにエクセレンも同調して汚いやり方だと告げる。

 不味い事を口にしてしまったと後悔した艦長は、キョウスケとエクセレンに帰投命令を出す。

 

「さて、帰る前に。お前たちはアースラへ帰って貰おう」

 

「あぁ、遠慮なく帰らせて貰おう。艦長と一緒に、報告書を出さないといけないしな」

 

「で、瀬戸シュン。お前はそこの黒目の男と一緒に帰るのか?」

 

「黒目野郎が言ってるしな。じゃあ、俺は奴の言う通り、先に帰らせて貰うぜ」

 

 帰投命令が出たので、キョウスケはまだ愛機の手の中に居るなのは達に、アースラの転送装置で帰って貰うと告げれば、一同を代表してクロノが言えば、次にシュンに問う。

彼はそれにアウトサイダーと共に帰ると返し、なのは達の方へ視線を向けた。

 

「瀬戸さん…」

 

「これでさいならだ。お前らには見えちゃいないが、近くに黒目野郎が居る。俺はそいつに頼まれてお前らを助けた。ただそいつの恩を返す為にやっただけだ。チッコイ嬢ちゃんたちに見返りなんざ、求めちゃいねぇよ」

 

 悲し気な表情を向けるなのはに対し、シュンはただ言われて助けただけと告げる。

 

「さて、もう少しで行かなきゃ消えちまうしな。取り敢えず、ネオ・ムガルのクソッタレをぶっ殺せて満足だ。覚えてるなら、また何処かで会おうぜ。それと最後に…」

 

 ネオ・ムガルの作戦を阻止できて満足であると言えば、別れの最後際にエクセレンが落としたクリックをなのはに渡す。

 

「楽しませてくれた礼だ。こいつを取っとけ。なんかの役に立つはずだ」

 

「あっ、それじゃあ私も何か…」

 

 クリックを渡されたなのはは、何か渡す物が無いかと懐に手を入れて探したが、シュンは見返りを求めてないと言って断る。

 

「見返りは求めてないって言っただろ。それより嬢ちゃんは、そこの金髪の嬢ちゃんの事を見てやれ。俺から言う事は、それだけだ」

 

「は、はい! ちゃんとフェイトちゃんの事を見守ります!」

 

「それで良い。それじゃあ、今度は本当のお別れだ。元気でいろよ! じゃあな!」

 

「瀬戸さんも、お元気で!」

 

 フェイトの事を見てやれ。

 代わりにそう告げたシュンの言う事を聞いたなのはは、その言葉に従う。

 ちゃんと言う事を聞くなのはに満足したシュンは、最後の挨拶を交わしてから、アウトサイダーが用意した現在へと戻る空間に入った。

 シュンが居なくなった後、なのは達はアースラの転送装置でアースラの艦内へと戻り、キョウスケとエクセレンは、母艦であるバリキュリャへと帰投した。

 アウトサイダーはイレギュラーによる介入によって更に激戦となったジュエルシードを巡る戦いは、歴史修正力によってなのはとフェイト等は思い出すことは無いと言うが、彼女らは微かながらも忘れることは無いだろう。

 それぞれは、過去の者は本来の時系列に沿い、現在の者は作戦の予備戦力として参加し、最後の者は復讐の旅へと戻る。

 こうして、悪しき者達による歴史改正は、未来より来た者達によって阻止された。

 

 戦いは現在(いま)へと戻る…。

 

 

 

「私…どうして、こんなことに…?」

 

 あの戦いより二年余り。

 二年間の間、高町なのはにとって様々な試練や出来事が起こった。

 初めと言えば、ジュエルシード争奪戦の半年後に発生した闇の書事件。そこで新たに八神はやてと、彼女を守護する四人のヴォルケンリッターと呼ばれる騎士たちを仲間に迎えた。

 次に闇の書の欠片、遥かな未来よりやって来た二人の姉妹による戦い。時空管理局への入隊と様々な経験をこの二年間で経験する。

 無論、この激動の二年間、なのはが無事であるはずが無い。

 ある事件の最中、僅かな反応の遅れで、本来躱せるはずの攻撃を受けて瀕死の重傷を負う。

 その原因は、身体に無茶と負担をかけ続けたツケである。

 これにより、反応が遅れて敵の攻撃を受けたばかりでなく、重傷を受けてしまったのだ。

 なのはの周囲には、とどめを刺そうと重傷を負わせた無数のカニ型の無人兵器群が周囲を取り囲み、左右の手の鋭利な刃で突き刺そうと近付いてくる。

 

「そうだ…誰だか忘れたけど…これを…使わなきゃ…」

 

 瀕死の状態であるなのはは、あることを思い出し、任務の際にずっと懐に入れてあった物を取り出した。

 それは、二年前に過去へと来たシュンがなのはに渡した敵味方識別用のクリックだ。

だが、彼女は歴史修正力の影響で、それをシュンから受け取ったことは覚えていない。

 あるのはおぼろげな記憶であり、大男が感謝の気持ちで貰った物としか思っていないのだ。

 

「確か…こうやって…」

 

 顔は思い出せないが、大木のような巨体を持ち、身の丈ほどの大剣を背負う大男より受け取ったクリックを、曖昧な記憶の中で思い出しつつ、まだ動く利き手である左手を動かして鳴らす。

 乾いた音のような物を二回ほど鳴らせば、なのははその場で意識を失い掛ける。

 暫くして目前より迫り来る無人兵器を眺めていると、背後より押し殺したような乾いた音が鳴り、今に来て刃を振り下ろさんとする無人兵器が足を止めた。

 

『陸軍の識別用クラックを鳴らしているかと思えば、死に掛けてる嬢ちゃんか。たくっ、どうなってんだ?』

 

 この声は聞き覚えがある。

 ここへクリックの音を聞いて、やって来た男の声に、なのはは聞き覚えのある声だと思い出し始めた。

 だが、修正力の所為か、顔は思い出せず、それにあの激闘の戦いも、フェイト達と戦い以外しか思い出せない。背中には、大剣らしきものが背負われているが、それだけでは思い出すことは出来ない。

 次に、別の男の声が聞こえる。どうやら、ここに用事があって来たようだ。

 

『おい、曹長! 何をしている!? そんな小娘一人放っておけ! 任務が優先だ!』

 

『おいおい、天下の戦乙女の軍隊が嬢ちゃん一人を置いてけだぁ? 俺の性に合わせねぇ。俺抜きでやってくれ』

 

『こらっ! 勝手な真似は許さんぞ!!』

 

 後から来た男は、先に来た男の上官だと思えるが、その男はなのはのような少女を放ってはおけない性分であるのか、手にしているライフルを無人兵器に向けて撃ちながら、彼女の元まで近付いてくる。

 

「その顔は確か…」

 

 近付いて来た男の顔を目に収めたなのはは、その顔を見てある人物を思い出そうとする。

 だが、靄が邪魔をして全く思い出せない。

もう少し長く見ていれば、思い出すかもしれないが、男は自分に重傷を負わせた戦いの真最中であり、思い出すことは困難だ。

 

『こいつ等、硬いな。だったら、こいつで…!』

 

 そう言って、男は背中の大剣を抜いた。

 これで、なのははおぼろげな記憶の中に居る男、瀬戸シュンを思い出すことは出来そうだが、手にしているのは重くて分厚い鉄塊のようなスレイブでは無く、あれよりも軽そうな大剣である。その切れ味は、スレイブに劣らず、無人兵器を容易くスクラップへと変える。

 剣捌きは似ているが、熟練の剣捌きとは違う。

 思い出せなかったが、自分を助けてくれたことには変わりないので、負傷しながらも自分を助けてくれる大剣を振って無人兵器を破壊する男に感謝の言葉を出そうとする。

 

「あ、ありが…とう…」

 

『喋るんじゃねぇ! お前は自分の身を案じてろ!!』

 

 礼の言葉を述べるなのはであるが、男は黙っているように告げ、無人兵器を破壊し続ける。

 男が大剣を振るう度に、無人兵器がスクラップとなり、その残骸が宙を舞うが、男が傷一つ付かないはずが無く、背後に飛び掛かった無人兵器の刃を背中に受ける。

 

『うぉっ!? このクソカニが!!』

 

 負傷した男であるが、背中を引っ掻かれたことに怒ってその無人兵器を大剣で破壊した。

 そのまま手にしている大剣で、周囲に群がる無人兵器を破壊し続ける。

 

『腹に穴が空いちまってるな…親はどうしてんだ』

 

 暫くして全ての無人兵器を破壊し終えると、男は背中に大剣を戻し、負傷しているにも関わらず、医療キットを取り出してなのはの応急処置を始めた。

 一番、それが必要なのは、身体中に破片や刃が突き刺さっている男の方だと言うのに、彼は自分のみを顧みず、なのはの治療のためにそれを使ったのだ。

 この時になのはは意識を失い掛け、視界がぼやけているが、男が衣服を破り、自分の傷口に止血剤を捲き、包帯を巻いていることは分かる。

 

『よし、後は医者にでも見て貰え。俺は、衛生兵の治療を受ける…』

 

『てめぇ! なのはに何してやがる!?』

 

 応急処置を終えれば、男はここから立ち去ろうとしたが、ここに来て、なのはの仲間であるヴォルケンリッターの鉄槌の騎士、ヴィータが助けに来た。

 四人の中で一番幼い外見であるが、常に勝ち気で芯は強くて優しい少女だ。

 そんなヴィータは、仲間であるなのはを応急処置をしていたシュンを、彼女を襲った敵と誤認し、自分の得物であるハンマー型のデバイス、グラーフアイゼンで殴り掛かる。

 

『おい嬢ちゃん! 話を聞け!!』

 

『うるせぇ! お前がなのはを! お前がなのはをやったのか!?』

 

 違うよ、ヴィータちゃん。

 そう自分の命の恩人を、敵と間違えて襲い掛かるヴィータに向けて言おうとするが、意識は朦朧して口が動かせない。

 そんな仲間を傷付けた相手と勘違いして激怒し、頭に血が上っているヴィータに向けて男も敵ではないと言うが、彼女は敵と決めた男の言葉に耳を貸さず、得物のハンマーを振り翳す。

 

『ふざけやがって! これが親切心の礼って訳か!! クソッタレが!!』

 

 遂に男も堪忍袋の緒が切れたのか、ヴィータに向けて手にしている銃を撃ち始める。

 消音器は外されており、凄まじい銃声が間を置いて鳴り響くが、バリアジャケットを纏うヴィータに通じるはずが無い。

 

「(ヴィータちゃん、その人は私を助けてくれた人なんだよ。だから、そんなことをしちゃ…)」

 

 ここで、なのはの意識は失った。

 その後、本部の医療等へと運び込まれたなのはは、男の応急処置の甲斐あって戦闘行動に異常は無く、全治三カ月の治療で済んだ。

 男の応急処置の事を、なのはがヴィータに明かせば、彼女は自分を馬鹿だと責め、かなり落ち込んだ様子であった。

 この後に、なのはは六年後辺りでその男と思わぬ形で再開しようとは、まだ夢にも思わない。

 

 

 

 それから現在、とある惑星の娼館の一室にて、ベッドの上で娼婦と一糸纏わぬ姿で寝る金髪碧眼の美女は、ベッドの近くにある引き出しの上に置いてあるスマートフォンの着信音で目を覚ました。娼婦の豊満な胸元から顔を離し、上体を起こしてそれを手にする。

 素早く暗証番号を入力してロックを解除すれば、自分に電話を掛けて来た相手の連絡に出る。

 

「誰?」

 

 その着信音に釣られ、娼婦も目を覚まし、美しい背中を自分に見せる美女に微笑みつつ、ベッドの近くに置いてある煙草の箱とライターを手に取り、箱から一本を出して、それを口に咥える。それから尖端に火を点け、紫煙を吐きつつ目前の美女が何者かと電話越しで会話するのを見守る。

 

「そこがルリちゃんの行き先が分かる場所? 分かった。明日に出発ってことで」

 

 連絡を終えると、彼女はスマートフォンを元の位置へ戻し、目前に映る壁を見つめながら明日の自分の予定表を頭の中で構築し始める。

 そんな彼女に対し、娼婦は自分の吸っていた煙草を彼女の口に咥えさせ、紫煙を吸わせる。

 

「ありがと」

 

 娼婦より渡された煙草を口から離し、紫煙を吐いた後に彼女は娼婦に礼を言えば、再び自分の明日の予定表を頭の中で構築し始めた。

 

「待っててね、ルリちゃん。もう少しだよ」




ピンチの時に、神と悪魔の存在が混じり合った黒目野郎(アウトサイダー)に助けてもらったので、まだ天使だったなのはちゃんをロリコンの異常者共から助けに来たガッツ擬き。

そんで邪神モッコスと協力し、ロリコンを何度も倒すが、流石に二名ではきついので、英霊召還を黒目野郎に頼んで召喚して貰い、刀剣乱舞よろしく六名で戦う。

これで勝った! 第一部完ッ! とは行かず、ヘイロー・ウォーズのアービターが指揮官をぬっ殺して暴挙に出る。
だが、ワルキューレも黙っちゃいない。直ぐにガッカリウルフとネタの化身を送り込み、愚連隊と協力して見事にクソッタレの暗殺部隊(笑)を撃破した。

まぁ、こんな感じです。

さて、この次はデス・スターみたいなとこへ行きます。
何をしに行くのかは、次回のお楽しみ。

では、ごきげんよう。
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