タイトル通り、ケニー・ロギンスのデンジャーゾーンを聴きながらね。
https://www.youtube.com/watch?v=nQysVnIVKuA
第666戦術機中隊、シュヴァルツェ・マルケンは所属しているワルシャワ条約機構軍が担当しているBETA群の正面防御の任に着いた。
装備については、ソビエト地上軍を除き、他の加盟国はかなり西側より遅れており、まともに前線で戦えるのは、MiG-25やMiG-27の最新鋭機の戦術機を持っているソビエト軍だけだった。
しかし、西側の欧州連合軍やアメリカ軍の戦術機部隊、ワルキューレの機動兵器群に後れを取っているようで、既にこの二つの勢力による物量作戦で終わってしまうかに見える。
空を見上げれば、ワルキューレのバルキリーを初めとする航空戦力が、最新鋭機であるVF-19やVF-22に光線級の対空攻撃を引き付けさせ、その隙に対地ミサイルを搭載した機が光線級を駆除して制空権を確保して、地上軍の進撃を支援している。
他にも艦砲射撃に、迎撃しきれない程の榴弾砲にロケットやミサイルなどの砲撃が行われ、完全にワルシャワ条約機構軍はお払い箱同然のように見えた。
「はぁ、暇でしょうがねぇな」
この見慣れた光景に、シュンはスキットルの中にある酒を飲みつつ、自分等の出番を待っていた。
通信映像に目を向ければ、何名かの隊員、特にグレーテルが悔しそうな顔を浮かべ、あのアイリスディーナでさえ、自分の目論みが外れて悔しそうな表情を浮かべている。
シュンにとっては、契約通りに自分の求める水晶がある古城へ行けるので、どうでもいいことだが、この分だと、腹いせに彼女は契約を破棄してしまいそうだ。
彼女がそんなことをするのはあり得ないと思うが、やる可能性も考慮しつつ、シュンは操縦桿を握って自分等の出番が来るのを待った。
『包囲網が突破された! 突撃級の集団が来るぞ!!』
「おっ、仕事だ」
包囲網が突撃級の集団によって突破されたとの報告が無線機より聞こえて来れば、シュンはスキットルから手を離し、突撃砲の照準をこちらに向かって来る突撃級の集団に向けようとしたが、予備に控えている西側の戦術機によるミサイル攻撃に邪魔された。
「おい! 俺らのだぞ!!」
『お前らが遅いんだよ!』
勝手に出て来て自分等の得物を奪った西側の機体に対し、シュンは無線で文句を言ったが、行動が遅いと返された。
その後は残った突撃級を始末すると言う役目を負わされる所だが、またしても自分等の存在自体を脅かす者が現れる。
それはこの作戦の主戦力となっているワルキューレの機動兵器だ。
トリコロールカラーの頭にV字角と二つ目、赤い顎を持つヒロイックな顔を持つMSであり、単機で走りながら突撃級に向けて右手に持っているビームライフルを正確に一体ずつ撃ち込んで無力化して行き、全てを片付ければ、バックパックのジェットを吹かして飛躍する。
「おいおい、ビームの剣でレーザーを弾いてんぞ」
当然、光線級のレーザー攻撃に晒されるが、驚いたことにバックパックの上部の左右についている利き手の方で抜いたビームサーベルでレーザーを弾いていた。
左手から飛んでくる方は赤い実を隠せるほどの盾で防ぎ、右手で自分に向けて飛んでくるレーザーを弾きながら着地した後、向かって来る突撃級や要撃級に対し、ビームサーベルをバックパックの収納場所へ戻しから、一撃で仕留められるビームライフルに持ち替え、手当たり次第に撃ち込む。
やがてライフルのエネルギーが切れると、またビームサーベルを抜いて、BETAの集団にジェットを使わずにダッシュで近付き、向かって来るBETAを次々と斬り捨てつつ、再び レーザーを弾きながらBETAを斬り続ける。
完全にこちらの敗北を見せ付けられた感じだ。
西側の洗練された指揮系統に物量作戦、それらを全て組み合わせたワルキューレに加え、航空支援もある。
対してこちらは、政治将校の司令部の政治将校の判断の許可が必要と言う物で、完全に後手に回っている。
ソビエト軍はなんとか頑張っているが、もう西側とワルキューレだけでこの作戦の継続は可能だろう。
そう思って、再びスキットルに手を伸ばそうとしたシュンだが、コックピット内で艦砲射撃や砲撃、爆撃では無い振動を感じた。
「なんだ?」
身体に染み付いた揺れでは無い感覚を味わったシュンは、その振動の事を誰かに問おうとしたが、コマンドポストに居るファムより報告される。
『シュヴァルツェ
『個体数不明!?』
『一万越えかよ!!』
先の振動は、新たなBETAの出現であった。
しかし、欧州連合軍やワルキューレなら、光線級が居なければ対処が可能な筈だが、恐ろしい事に大多数の光線級が含まれているらしく、空を見上げれば、地上から放たれるレーザーで次々と撃ち落とされていくワルキューレ空軍機が見える。
「クソッタレ、レーザーの数からして、目ん玉がわんさか居るぞ!」
『数からして二百以上か!』
『友軍先遣部隊にBETA梯団が接触! かなりの損害が出ている模様!』
掃射されたレーザーの数で、大量の光線級が居る事が分かった。これではミサイル攻撃も空爆も不可能だ。
更には出現場所が艦砲射撃の射程外と言う事もあり、かなりの損害が出ているようだ。
ここで手を拱いていては、人類合同軍の敗北に繋がるが、ワルシャワ条約機構軍は社会主義的発想により、第666戦術機中隊に救援の指示やレーザーヤークトの実行すら送らない。
戦況を静かに見えていたアイリスディーナは、自分等が動くべきと判断してか、政治将校のグレーテルに告げる。
『同志中尉。この危機に際し、我々がなすべきことは分かるな? 今すぐにワルシャワ条約機構軍に上申しよう。レーザーヤークトを!』
『なっ!? 同志大尉、我々にそんなことを出来るはずが…』
「一々面倒だぜ、共産主義の軍隊って奴ぁよ」
司令部にレーザーヤークトの許可を上申するように告げるアイリスディーナであるが、グレーテルはそれが党に逆らう物だと思ってか、冷汗を搔きながら出来ないと返す。
これにシュンは社会主義に対する悪態を付く。
それと時を同じくしてか、国連軍の司令部よりレーザーヤークトの要請が来た。
『第666戦術機中隊、聞こえるか!? こちら国連軍司令部! 貴官らには済まないと思うが、レーザーヤークトを頼みたい!』
通常ならワルシャワ条約機構軍の司令部を通して要請が来るものだが、悪玉にされている自分等が頼めば、拒否される可能性があるので、直接アイリスディーナに頼んだようだ。
無論の事、党や社会主義よりも人類の存命を第一とするアイリスディーナは、迷うことなくこれを受諾した。
「了解しました。直ちに光線級吶喊を行います!」
『同志ベルンハルト。貴様、自分が何を言っているのか分かっているのか? 資本主義者共の命令に従うなど』
『そ、そうだぞ同志大尉! これでは私を含めて全員が…』
司令部とグレーテルは、国連軍の要請に猛反発するが、これにアイリスディーナは自分の部下で監視役である彼女を強引に味方に引き込んで、司令部を黙らせる。
『閣下、今は我が国と他国の同志たちの生存を優先し、この要請が的確な判断だと、同志イェッケルン中尉も含めて判断しました』
『私はそんなことは…!?』
『私は国連の要請に従い、レーザーヤークトを敢行します。では、報告は我が中隊が生還できた時に』
『貴様、後で覚えていろよ…!』
「けっ、吠え面かいてる顔が目に浮かぶぜ」
強引に味方に引き込まれたグレーテルが、粛清を恐れて真っ青な表情を浮かべる中、顔色一つ変えずに司令部からの通信を切ったアイリスディーナは、レーザーヤークトを行うべく、国連軍司令部からの無線連絡を聞いた。
おそらく彼女に意向を捻じ伏せられたワルシャワ条約機構軍司令部は怒っているだろうと思い、シュンはヘラヘラと笑みを浮かべて指示を待つ。
『今回の作戦において、予備を二機残す。ヴァルトハイム少尉、ホーエンシュタイン少尉だ。橋頭保に戻れ』
『どうして!? どうして私とカティアちゃんだけが!?』
『私たちは足手まといなんですか!?』
残されることとなったカティアとリィズは、アイリスディーナの指示に反発する。
『あぁ、そうだ。このレーザーヤークトはこれまでの任務より大変困難な物だ。お前たちの機体制御ではついていけんだろう。それになんとしても第666中隊の全滅は避けなければならない』
「やれやれ、デベの俺は残れないか」
『聞き分けてくれ、カティア。お前には成すべき事があるだろう? それにリィズ、お前が居ては、テオドールが存分に戦えない。分かってくれ』
『は、はい…』
カティアを指名した理由は、今は亡き兄とその上官の西と東の統一と言う悲願のため、彼女を生かすために必要な処置であった。リィズに関しては、義兄であるテオドールに執着し、尚且つ彼も義妹を守ろうとするので、当然の処置とも言える。
それが分かっているシュンは、中隊の中で戦術機の腕は最弱であるため、残れないことに不満を抱いたが、これにアイリスディーナは契約を出す。
『そうか? お前の格闘戦の強さはテオドールやアネットを遥かに凌駕する物だ。それにその大剣が必要になる。お前にも付き合ってもらうぞ。あの契約のためにな』
「ちっ、足元見やがって。しゃーね、こうなりゃあ腹くくってあんたについてくぜ!」
『その意気だ! よし、これから指定座標に向かい、国連軍が寄越したアメリカ海軍の第103戦術歩行戦闘隊と第35飛行隊、他三部隊に合流する! 合流後、直ちにレーザーヤークトを行う! 全機、前進せよ!!』
シュンの覚悟を聞けば、アイリスディーナは笑みを浮かべて国連軍の部隊と合流する為、指定座標まで中隊と共に前進した。
指定座標まで来れば、後方より二十機の戦術機のF-14に、MSサイズの狙撃銃を持ったジム・スナイパーⅡを含めるジム部隊や、先ほどの無数のBETA相手に単独で圧倒したトリコロールカラーのMSであるガンダム、第二世代MSであるネモやリックディアス、第二世代MSライオン型の大型ゾイドであるシールドライガー、オオカミ型の中型ゾイドのコマンドウルフ、上空からはVF-1バルキリーA型と言う二個大隊ほどの機動兵器がやって来た。
無論、シュン以外はF-14を除き、知らない兵器ばかりだ。
『これがレーザーヤークトに随伴する部隊ですか? 見慣れないのがワンサカいますが』
『あぁ、一応は我が国連軍の管轄下の部隊だが、知らない戦術機や飛行部隊、動物型の戦術機に乗っている連中は何を言っているかさっぱり分からん。通訳で何とかしている。だが、味方のピンチを救いたいことは確かだ。一応、君が前進すれば前進して、後退すれば後退するように伝えている。目標の光線級集団、A集団とB集団には要塞級が護衛についている。とにかく、こんな危険な任務を押し付けて済まないと思うが、君たちの双肩に人類の存命が掛かっている。何とか成功させてくれ!』
『
『本来は我々がやるべきなのだが、我が国連軍にはレーザーヤークトを行えるほどのノウハウは揃っていない! 本当に済まない! 頼んだぞ!!』
アイリスディーナがワルキューレの隊に関して司令部に問えば、通訳を通じて何とか言葉が通じるくらいであると答えれば、第666中隊に人類存続の責任を背負わせたことを詫びる。
これにアイリスディーナは、何も言い返さず、機体に応えて見せるとだけ答え、国連軍やワルキューレが寄越した部隊を引き連れてレーザーヤークトを遂行した。
『音楽を掛けて良いかな?』
『ん? 勝手にしろ』
『もう何も言わんぞ、私は!』
『よし、デンジャーゾーンだ!』
そんな時に、VF-1のS型に乗る隊長が音楽を掛けて良いか問うてきた。
この問いにアイリスディーナは好きにするように告げれば、彼は遠慮なしに自分が選曲した曲を掛けた。それから物の数秒後で、中隊全機に彼が掛けている曲が無線機より流れて来る。
『良い選曲じゃねぇか』
目前に無数のBETAが見え、やや怖気づいてしまうが、掛かっている曲のおかげか、薬を投与せずとも自ずと勇気が湧いてくる。
多数のBETAがこちらを潰そうと差し迫る中、シールドライガーの部隊が先行している第666中隊の前へ勝手に出た。
『何をしている!? そんな機体では突撃級に吹き飛ばされてしまうぞ!!』
『先端は我らアガサ騎士団の青の獅子隊に任されよ!』
『おい! 何を言っている!?』
「アガサ騎士団…騎士まで連れて来てんのか、あいつ等は」
勝手に前に出たのは、アガサ騎士団であると分かれば、シュンは少々心配になったが、彼らが乗るシールドライガーはその名の通り、シールドを前面に張る事が出来るゾイドだ。
元の世界では、同じ高速ゾイドと戦うために開発され、前線への最先端を務める為、頭部の周りにシールド発生装置を取り付けた。
前に出たシールドライガー隊は、背中の収納式レーザーキャノンで立ち塞がる要撃級を片付けつつ、腹の衝撃砲で大量の戦車級を仕留めながら道を作る。
『良い選曲に良いブルドーザー、最高だな!』
『左右よりBETA接近!』
『よーし、ぶっ殺せ!』
光線級までのルートを作ってくれるアガサ騎士団のシールドライガー部隊に、アメリカ海軍の衛士は最高であると告げれば、左右からBETAの集団が襲って来る。
この集団に対しては、第666戦術機中隊と側面に展開してホバー移動で付いて来ているリックディアスやネモ部隊が迎撃を行う。
後方はジム部隊と、ガンダムに巨大なガトリング砲を持つ黒いガンダムが担当している。
上空では、光線級の対空攻撃に晒されないように、VF-1Sを先頭にしているバルキリー部隊が、ガウォーク形態で低空飛行をしながら上面をカバーする。
これにこの世界の者達は、何か言おうとしたが、こちらを助けてくれるには何でもいいので、とにかく異界の兵器部隊を引き連れつつ、近い光線級の集団の元へ向かう。
光線級の集団が発生したのは二つであり、もう一つは第666戦術機中隊と機動兵器混成大隊が目指す場所。もう一方は、国連軍の部隊とワルキューレの混成部隊、アガサ騎士団のライバル関係にあるメイソン騎士団のMS隊が向かっている。
尚、その二つの陽動を掛けるのは、当然ながらワルキューレ空軍の部隊だ。VF-11Bを中心とするバルキリー隊が無数のレーザー攻撃に晒され、次々と落ちて行く。このまま手間取っていれば、いずれは周囲に転がる無数の機動兵器の残骸と同じく全滅してしまうだろう。
『前方より多数の突撃級!』
『化け物風情に、我が青獅子隊が負けるか!』
「正気か!?」
もう一方の光線級の集団、A集団と呼称している集団まで後少しであったが、多数の突撃級がこちらを踏み潰そうと迫って来た。
そんな死の突進集団に対し、シールドライガー隊はシールドを展開しながら無謀に突撃を仕掛けた。
結果はシールドライガー隊が大損害を被ると言う悲惨たる物であったが、何とか道は開けた様だ。
『ゆ、行け…!』
『済まない…!』
まだ息のあるパイロットからの通信を受け取れば、第666戦術機中隊と混成大隊はA集団に向けて突撃する。残る突撃級は、残っているシールドライガー部隊が必死に食い止めている。
そんな彼らが食い止めている間にA集団に向けて突撃しようとすれば、最後の関門とも言える巨大な
その巨体はまさに動く要塞。一本の尻尾で、光線級を排除しようとした数機のジム寒冷地仕様やコマンドウルフを薙ぎ払い、更には凄まじく尖った足で懐に飛び込んだジムを串刺しにする。空より急襲を仕掛けたVF-1A二個小隊は、要塞級が守る光線級によって撃ち落とされるか、尻尾で一掃される。
「ここまでデカい化け物を見たのは初めてだな…!」
『こ、これが要塞級…!』
『や、やべぇ…! 神様…!!』
初めて見た要塞級にシュンが息をのむ中、同じくテオドールも声を上げ、アメリカ海軍の戦術機部隊の面々は思わず神に祈り始めている。
そんなことはお構いなしに、ワルキューレの二機のガンダムとバルキリー部隊は要塞級へと肉薄する。
無数のレーザーを浴びせられるが、ジム・スナイパーカスタムやジム・スナイパーⅡなどの狙撃による援護で足元までの接近に成功し、要塞級の足元までの接近に成功する。
『よし、奴らが食い止めている間にミサイルを!!』
『イエス、マム! 後で一杯奢らせてくれ!』
陸軍の二機のガンダムと空軍のVF-1部隊が要塞級と交戦する中、アイリスディーナは即座にアメリカ海軍の戦術機部隊にミサイル発射を命じた。
これに応じ、海兵たちは一斉に光線級の集団に向けてミサイルを発射する。
何十発ものミサイルは光線級の集団に向けて着弾し、凄まじい爆風が着た後に黒煙が上がり、視界やセンサーが効かなくなる。
「目玉焼きになったか?」
黒煙が晴れるのを待ちながら、シュンは光線級が全滅したと思ったが、結果は残酷な物だった。
『ファック、ファック! フォートレスだ! あのデカ物野郎がフェニックスミサイルを防ぎやがった!』
ミサイル攻撃で多数の光線級の排除に成功したが、潜んでいた一体の要塞級が出現して盾となり、十数体以上の光線級を仕留めそこなった。
これには流石のアイリスディーナも、他の衛士たちと同様に呆然とするほか無かったが、テオドールは諦めず、雄叫びを上げながら単機で要塞級に突っ込む。
『うぉぉぉ!!』
『シュヴァルツェ8!? テオドールか!?』
『ここで諦めて、堪るかぁ!!』
「そうだな。ここで終われるわけがねぇ!!」
テオドールの無謀とも言える行動に、自分の目的を思い出したシュンは、巨大な大剣を抜いてからテオドールに続いて要塞級へと吶喊する。
『シュヴァルツェ全機! 全機吶喊! バートル機とテオドール機に続け!!』
更にはアイリスディーナも触発されたのか、中隊全機に吶喊命令を出し、率先して進めば、一同もこれに続いた。
『俺たちはどうすんだ!?』
『ミサイルをぶっ放して目玉を引き付けるんだよ!』
『よし、分かった! 手当たり次第にぶっ放してやるぜ!!』
要塞級に向かった第666中隊を見て、海兵たちはどうすれば良いか少し迷ったが、一人が率先して陽動のためのミサイルを放てば、それに続いてミサイルを空へ向けて発射し始めた。
飛んでくる飛来物体に反応した光線級は、突撃して来る第666中隊には目もくれず、ミサイルに目掛けてレーザーを掃射する。
この間にシュンとテオドールは、一気に要塞級へと近付くことに成功したが、恐ろしい威力を持つ尻尾による薙ぎ払いが来る。これを受ければ、先ほどのワルキューレの機動兵器部隊と同様に、砕かれてしまうだろう。
『当たる物か!!』
これを何とか避け、一気に腹の近くまで迫ったが、腹の中から光線級が現れ、レーザー攻撃を仕掛けてようとして来る。
「とんでもなく気色の悪い化け物だな!!」
だが、シュンもまた要塞級への接近に成功しており、自機を串刺しにしようとした足を、ご自慢の戦術機用の大剣で切り落し、バランスを崩させて背後より迫って来た要撃級に奇跡的に誤射させることに成功した。
他の邪魔者については、中隊が決死で止めているので、その間にテオドールは要塞級の頭部へ向かい、突撃砲を撃ち込もうとしたが、光線級に掃射される。
『うわっ!?』
「目玉野郎が!」
幸いなことに、破壊されたのは突撃砲のみで済んだ。データリンクのおかげか、光線級の位置は分かり、そこへシュンは機体の左手に握る突撃砲で排除する。
『ぐぁ!』
「もう一匹!? うぉ!?」
続けて二発目がテオドール機に向けて掃射されたが、爆発反応装甲の盾を持っていた左腕が破壊されただけで済み、まだ戦闘の継続は可能だ。だが、シュンの方は要塞級の尻尾による攻撃で機体が大破してしまう。
『無事か!?』
「俺の事は気にすんな! それよりデカ物を仕留めろ!!」
無事を問うてくるテオドールに対し、シュンはコックピットのハッチを射出するボタンを押し、護身用のMpi-Kを持ち出しながら無線で応えれば、安全装置を外す。
返事を聞いたテオドールは、機体を起こしてから短刀を取り出し、要塞級の頭へと突き刺そうと、跳躍ユニットを起動させて一気に近付く。
この間に邪魔者のBETAは湧いて出るが、中隊や別の要塞級を排除し終えたガンダムとジム部隊、バルキリー部隊が止めてくれている。もう後ろを心配する必要はない。
『人類を、舐めるなぁ!!』
その叫びの後に、テオドールが要塞級の頭部へ短刀の尖端を深く突き刺せば、要塞級は機能を停止して息絶えた。
『はぁ、はぁ、はぁ…! やったのか…!? この俺が…!?』
自分が要塞級を仕留めたことに、驚きを隠せないテオドールは、息を荒げながら巨大な屍から短刀を抜き取る。
光線級の残りは中隊と生身のシュンが仕留め、A集団の壊滅に成功した。
だが、まだB集団の光線級は残って居る。要塞級も含めてだ。
『すげぇ! あの赤毛の坊主、フォートレスを仕留めたぞ!!』
『油断するな! まだ残って居るぞ!』
旧式の戦術機で要塞級を仕留めたテオドールに、称賛する海兵たちであったが、次のB集団が残って居るので、アイリスディーナの一喝で黙り込む。
それに応じ、テオドールも我に返って背中の突撃砲を残って居る右手で持とうとしたが、B集団を相手にする必要は無かった。
何故なら、あのイサムが愛機であるVF-19Aエクスカリバーで仕留めようとしているからだ。
『イィィヤッフォォォ!!』
拡声器越しで叫び声が聞こえた後、イサムのVF-19Aが現れ、無数の光線級によるレーザーをまるで見えているかのように全て被弾することなく避け、ガンポッドやミサイルである程度の光線級を仕留めた後、後部よりワイヤーを要塞級の足に向けて撃ち込む。
『お前ら、スターウォーズって映画を知ってるか! そのエピソードⅤで敵のデカいウォーカーを倒す際に主人公が使った手だ! 見ておけよ!!』
イサムは先の常人離れした回避行動で驚いている一同に向け、更に驚愕すべき行動に出る。
それは要塞級の全ての足をワイヤーで巻き始める行為だった。当然の如く、要塞級は尻尾でイサムのバルキリーを叩き落とそうとするが、彼はそれを寸での所で避け、僅か数秒ほどで五周してからワイヤーを切り離す。
ワイヤーで足に巻かれた要塞級はバランスを崩して地面へと倒れ込むが、この程度で倒せるなら苦労はしない。
『おっと、AT-ATじゃなかったか』
要塞級を自身で見た映画の通りにはならないと分かってか、機体をバトロイド形態へ変形させ、頭部に向けてピンポイントバリアパンチを打ち込む。
硬い皮膚を持つ要塞級であるが、VF-19のピンポイントバリアパンチは突撃砲の滑走砲より強力であり、一撃で頭部を粉々にしてしまう。
『嘘だろ…!?』
あっさりと自分が苦労して倒した要塞級を、こうもあっさりと倒したイサムの恐ろしさに、思わず絶句してしまうテオドールであったが、残って居る光線級を排除に来た増援部隊が現れた。
「おっ、増援部隊か」
『お兄ちゃん! 大丈夫!?』
『テオドールさん!』
『カティア、リィズ! どうしてここに!?』
『お前たち! 残るように言ったはずだが!? それにフッケバインまで!』
『このお嬢さん方が来てくれって言うんでな。昨日の件もあってこうして来たって訳さ!』
その増援部隊は、驚いたことに予備として残していたカティアとリィズに、あのドイツ連邦軍の戦術機大隊のフッケバインだ。他には光線級を排除するための大隊と、負傷兵や損傷した機体の回収を担当する大隊が随伴している。
予備として残れと命じたはずの二人が来たことに、アイリスディーナはどうしてきたのかを問えば、その訳を大隊長であるバルクが代わりに答える。
『さて、話はここで終わりだ。何所の連中が知らねぇが、光線級を全て駆除し終えれば飽和攻撃を仕掛けるそうだ。早いところここから撤収だ! さぁ、そこの大男を乗っけて付いて来な!』
『助かります
「了解しました! できれば中に入れて欲しいんですが、寒くて仕方がね。こいつも凍っちまってるし」
『外で我慢しろ、この酔っ払いめ』
「ちっ、ひでぇ連中だぜ」
代わりに答えたバルクは、近付いてくる戦車級や要撃級を突撃砲で排除しつつ、退路を開ければ、自分等についてくるように告げる。
これにアイリスディーナは応じ、クリューガーに機体を失ったシュンを乗せるように告げた。
外で銃とスキットル、自分のデバイスと待機状態の大剣しか持ち合わせていないシュンは、命令に応じて左手を伸ばしたクリューガー機の掌に乗り込んだ。この際に寒いので中へ入れて欲しいと頼んだが、彼は断る。
『よし、全機基地へ帰投する!』
『ふぅ、やっと帰れるぜ』
「早くしてくれ。凍え死んじまう」
カティアのバラライカがシュンの機体より大剣を担ぎ、リィズの機体が損傷しているテオドールの機体を抱えたのを確認すれば、アイリスディーナは全機に帰投命令を命じた。
命令に応じ、中隊はフッケバインのF-4やF-5の護衛を受けつつ、アメリカ海軍のF-14部隊と共に基地へと帰投する。
『さて、砲撃か爆撃が始まる頃だから、俺も帰るとすっか』
掃討に参加していたイサムも、これ以上はやることは無いと判断し、機体をファイター形態へと変形させ、自分の基地へと帰投した。
ワルキューレの部隊も含め、回収や退路の確保を終えれば、飽和攻撃に巻き込まれぬように退避を始める。殿を務める黒いガンダムは、ガトリング砲を銃身が焼けるまで撃ち続けた後、同じく退避を行う。
その物の数分後、欧州連合軍にアメリカ軍、ワルキューレによる飽和攻撃が開始された。
結論から言って、イサムとガンダム(MSVとZ)だけ居れば良くね?
これで海王星作戦編は終了して、次回からはシュンが探し求めている水晶玉探しに入ります。
今回で来た機動兵器
MS編
プロトタイプガンダム
マジンガーZを思わせるようなカラーリングのガンダム。
実はこいつが最初のガンダムである。
ここではビームガトリング砲を持っている。
ガンダム
言わずと知れた最初に冨野監督が世に出したファーストガンダム。
今日に至るまで、ガンダムは進化し、そして増え続けている。
実は二番目であるが、完成されており、アムロがこれに乗って形勢を逆転させた。
ここではガンダムの名に恥じず、どこぞのライトセーバーが紫なハゲの如く、レーザーを弾きながらBETAを無双する。
スターウォーズのアニメ作品、クローン大戦を知っているなら思い浮かべて欲しい。
ジム・スナイパーカスタム
MSV系ジムの中で一番かっこよくて強いジム。ちなみに、スナイパーだけでなく、インセプター、ガードタイプと三種類が存在する汎用性の高いジム。
アムロよりスコアが凄いおっさんの愛機でもある。
ここでは狙撃に徹している。ちなみに、00をデュナメスガンダムのデザインはこのジムをモチーフにされていると思われる。
ジム・スナイパーⅡ
ポケ戦に出て来るカッコいいジム。デザインはパトレイバーのイングラムをデザインした人。我らがゲンブン閣下も、ゲームのために描いて更にかっこよくした。
しかし、最初に出たアニメでは秒殺された。だが、ゲームでは結構活躍する。
リックディアス
エゥーゴの量産型MS。
アナハイム社と言う死の商人がエゥーゴのために作った重MS。
最初はどこぞの諸バレグラサン以外、赤く無かったが、ガンダムと聞いて大量の赤い塗料が来たのか、後半ではみんな赤くなった。
ここでは第666中隊に随伴する。何気にバルキリーとゾイド同様、オーバーテクノロジーである。
ネモ
エゥーゴの量産型MS。
リックディアスと同じ、アナハイムが作ったMS。
支援機であるはずが汎用性が高く、瞬く間に主力機となった。だが、弱い。
ゾイド編
シールドライガー
記念すべき最初のTVアニメで主人公機を務めた共和国のライオン型の大型ゾイド。
これ以降、主人公機はライガー系ゾイドとなる。
アニメ三作品で登場したが、ジェネシスではちょっとだけしか映らない。ライバルのセイバータイガーは皆勤賞なのに。
ここではアガサ騎士団が保有するゾイドとして登場。モブなのでやられる。
コマンドウルフ
共和国の汎用性が高いオオカミ型の中型ゾイド。アニメ皆勤賞なゾイドで、名脇役。でもやられ役。
ここでは一般部隊のゾイドとして出るが、やっぱやられる。