復讐異世界旅行記   作:ダス・ライヒ

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ヴィエリー地区奪還戦

 惑星リーチのヴィエリー地区に大規模なライディングゾーン(LZ)としたコヴナント軍の侵略軍に対し、UNSCは陸軍と海兵隊の合同部隊で攻勢を仕掛け、早い段階でリーチから追い払おうとした。

 投入兵力数は陸軍が三個旅団に、海兵隊が一個連隊だ。ODSTと呼ばれる特殊降下歩兵部隊は、約四個大隊である。

 陸上戦力だけでなく、空にはカーターが乗るUH-144ファルコンと同機種が数十機に、AV-14ホーネットが数十機、後方には陸軍の歩兵か海兵隊、ODSTを載せているペリカン輸送機が数十機ほど飛んでいる。

 爆撃機や攻撃機による航空支援か砲兵隊による砲撃を行うべきだが、コヴナント軍はその地域一帯を覆う事が出来る強力なシールドと軍艦すら破壊する対空砲を持っており、接近する他ない。

 約一個師団と一個旅団以上の戦力で編成された本隊に、存在しないはずの補充兵であるシュンとギルアズを回収したノーブルチームは合流する。

 

 ここで、ノーブルチームの面々の紹介をしておこう。

 まずはチームのリーダーであるカーター。

 階級は中佐、スパルタンⅢナンバーA259。戦場でのコードネームはノーブル1。

 いかなる状況でも冷静に対処が出来る上に非スパルタン部隊であっても指揮できる柔軟性と適応性に優れ、そのおかげで部下たちの信頼性も高いカリスマ性を併せ持つまさしくリーダーたる男だ。

 更に部下全員の生存を心掛けている人道的な面もあるが、リーチの戦いの前に一人の部下、トムを失い、それが自分の監督が悪かったと酷く責めている。

 

 次にチームの副官キャット。

 階級は少佐でスパルタンⅢナンバーB320、コードネームはノーブル2.

 非常に優秀な戦術家であり、情報収集のエキスパートである。だが、情報収集は度を越した物であり、スパルタンⅡの発案者であるキャサリン・ハルゼイ博士や他の軍上層部を悩ませる程だ。

 ノーブルチームの紅一点であるが、戦闘力は他のチームメンバーには劣らない。

 右腕の義手はリーチ戦よりも前に失った代行で、彼女は右腕と共に戦友でチームメンバーのトムを失ったことで、カーターと同じく自分を責めている。

 

 三人目はチームのムードメーカーで狙撃手であるジュン。

 階級は准尉でスパルタンⅢナンバーA266、コードネームはノーブル3。

 チームの中で一番若いと思われるスパルタンであり、狙撃の名人であるが、口数が多い事が欠点。だが、有益な情報が多いので黙認されている。何も知らない新人には口煩い狙撃手に見える。

 過去にPTSD症状を訴えている。ちなみに、チーム唯一の生存者である。

 

 四人目はチーム一の荒れくれ者、エミール。

 階級は准尉でスパルタンⅢナンバーS239、コードネームはノーブル4。

 粗野な言動でチームメイトと衝突しかねないが、みんなは彼を信頼しており、エミールも信頼している。同じ粗野な言動で、荒れくれ者なシュンことスパルタンブラックと衝突すること間違いないだろう。

 自分のヘルメットの前面に厳つい髑髏マークを描き、右肩に巨大なククリを収めた鞘を装着している。シュンと同じく近接戦闘を得意とする。

 

 五人目はチーム内唯一のスパルタンⅡで戦歴三十年のベテランであるジョージ。

 階級は上級准尉。スパルタンⅡナンバー052、コードネームはノーブル5。

 スパルタンの中で体格に恵まれ、得物である自分用のカスタムメイドのヘビーマシンガンを軽快に扱い、フル装備のスパルタンを易々と持ち上げるチーム一の力持ち。

 本惑星リーチ出身者であり、故郷を守る為に人一倍に献身している。

 

 六人目はシュンとギルアズと同じ新人のノーブル6。

 階級は大尉でスパルタンⅢナンバーS312。性別が男以外に経歴が不明なスパルタン。

 UNSCの極秘プロジェクトに関与している。パイロット資格を持ち、スパルタンⅡ以上の戦闘力を有し、過去に反乱軍殲滅の実績を持つ。

 

 七人目と八人目はシュンとギルアズの事だ。

 シュンはスパルタンブラックで、コードネームはノーブル7。

 ギルアズはスパルタンギアーズで、コードネームはノーブル8。

 神と悪魔が融合した存在であるアウトサイダーの手により、強引にスパルタンⅢとして公式に記憶され、補充員としてノーブルチームに派遣された。

 彼らがリーチでやることは三つ、戦いながらシュンのデバイスの強化アイテムを探す事と、ネオ・ムガルの暗殺部隊の残党の始末、隙を見てリーチから逃げ出すことだ。

 

『ホワイトキャッスルより各部隊並びチームへ伝達。損害に構わず、敵侵攻部隊の着陸地点まで前進せよ』

 

『聞いたな。UNSC司令部が着陸ゾーンを優先ターゲットに指定した』

 

 司令部からの指令が来れば、カーターはチーム全員にそれを知らせる。

 

『思い知らせてやるか!』

 

『了解、鉄塔にシグナルロックします!』

 

 ジュンが張り切れば、キャットは昨日の偵察任務で仕掛けていたのか、鉄塔に仕掛けた爆弾を起動させる。

 それから物の数秒後に鉄塔が爆発し、爆発と同時に数機のバンシーと呼ばれるコヴナント軍の小型の航空兵器が編隊を組んで飛来して制空権が無いに等しい地上部隊に襲い掛かる。

 たちまち数量のワートホグが吹き飛び、後続車両数台ほどを巻き添えにする。

 対空射撃を始めるが、惑星に到達したコヴナント軍の数はUNSC攻勢部隊の三倍であり、即座に後続が現れて空襲して来る。

 

「ひぃ!!」

 

「クソッ、空の連中はなにをやってる!? 機銃座、対空射撃だ! 撃ちまくれ!!」

 

 隣を走っていた兵員輸送型のワートホグが空襲で吹き飛べば、怖気づいたギルアズは見っとも無く悲鳴を上げる。

 慣れているシュンは上空を飛んでいる戦闘ヘリに悪態を付きつつ、運転しながら機銃座に居る陸軍兵に対空射撃を命じる。

 他の車両も搭載している物が機銃なら対空射撃を行うが、早い速度で飛行するバンシーを捉えきれず、上空のファルコンやホーネットも含めて損害を増やすばかりだ。

 

「うわっ!」

 

 シュン等が乗るワートホグにもバンシーのプラズマ機銃掃射が浴びせられ、機銃座についていた陸軍兵は被弾してワートホグから落ちた。

 

「おい! どうした!? ちっ、やられたか…」

 

「降ろしてくれぇ! 俺はこんな所には居たくない!!」

 

「黙れ! 先輩方に続くぞ!!」

 

 運転に夢中で気付かなかったシュンは気にせず視点を目前に戻す中、戦場に耐えられないギルアズは泣き叫び始める。

 それを片手で黙らせつつ、シュンは破壊された鉄橋を飛び越えようとするキャットと6の車両の後へ続いた。

 二人が乗るワートホグが飛び越え、攻撃で横転する中、シュンもそれを飛び越えるためにスピードを出して飛び越えようとする。

 

「うぉ!? やべぇ!!」

 

「うわぁぁぁ!?」

 

 上手く飛び上がれるわけが無く、そのまま落下しそうになるが、シュンはここで諦めず、運転席から離れて叫びギルアズを掴み、共にキャットと6が居る向こう側へと落下するワートホグの車体を蹴って飛んだ。

 

「ノーブル7と8がこちら側に来ました!」

 

「丁度いいわ! あんた達も手伝って! 目標は対空砲よ!!」

 

 無事に渡る事が出来たシュンとギルアズに、ノーブル6は来たと上官であるノーブル2ことキャサリンに報告する。

 チームメンバー二名が追加で来たことで四人となったキャサリン率いる分遣隊は、直ぐに仕事に掛かった。

 

「お、俺は助かったのか!?」

 

「おらっ、ぼさっとすんな! 顎割れだけでなくチビやハゲタカ共も来るぞ!!」

 

「7と8、ノーブル2と共に前進してくれ!」

 

 グレネードランチャーを持った6がキャサリンを支援する中、ギルアズは自分が生きていることに驚く。

 そんな彼に対し、シュンと6は戦えと罵声を飛ばす。

 シュンがバトルライフルで下級兵であるグラントやジャッカルを撃ってキャットと共に前進する中、戦えと言われたギルアズは遮蔽物から動かず、的確に撃ち込むばかりだ。

 その戦いぶりは生まれながらのスパルタンや実戦経験豊かなノーブルチームとはかけ離れており、まるで初陣で震える新兵のようだ。

 ギルアズは確実に偽物だとばれてしまうが、情報のエキスパートであるキャットは戦闘に夢中で不思議と気付いていない。だが、後で偽物だと見抜かれるのは確実だろう。

 6の援護で自分等より増援も含める六倍入る敵戦力を排除しなら前進し、対空タレットを潰していけば、安全が確保されたのか、ワートホグを搭載したペリカンが直ぐに飛んできた。

 それと同時にカーターより通信が入る。彼は戦死した陸軍の大隊長の指揮権を継いだようだ。

 

『キャット、ONIが敵の対空砲を二基確認した。駆逐艦なら数発で撃沈できるほどの物だ。街の南西方向だ』

 

「了解、リーダー。6、目標更新、対空砲を破壊して」

 

 通信が終われば、分遣隊の長を務めるキャットより対空砲破壊命令が出される。

 あのペリカンは、対空砲を破壊できる左右に六連装ロケット弾を搭載したワートホグを運んできたようだ。

 搭乗員も砲手も乗っておらず、自分等四人で行くしかなさそうだ。

 直ぐにワートホグへと三名のスパルタンが飛び乗る。運転席はノーブル6、助手席はキャット、砲手はシュンことブラックだ。

 

「お、おい。俺の席は無いのか?」

 

「自転車でついてこい」

 

「そんな殺生な…」

 

 席が無いのかと問うギルアズに対し、ロケット弾発射器の砲座に着いたシュンから自転車でついてこいと無茶なことを言われた。

 そんな彼を置いて6は無情にアクセルを踏み、強力な対空砲がある場所へとワートホグを走らせる。

 目標である対空砲は直ぐに見付かった。カーターが言った通りに駆逐艦を撃沈できるほどの威力があるプラズマ弾を発射している。周囲には一個小隊規模の歩兵と、軽装甲車両を中心とした機甲部隊が守備を固めている。

 このまま進めば集中砲火を浴びせられることは確実であるが、スパルタンたちは敢えて突き進む。

 コヴナント軍の兵員輸送機であるファントムから送られてくる増援を輸送機ごと撃墜した後、周囲に居る機甲部隊や歩兵を排除しながら対空砲へと接近する。

 対空砲が破壊されればUNSC海軍のフリゲートによる艦砲射撃が待っていることが分かっているのか、死守しようとファントムを何度も送り込んで来るが、ロケット弾の砲座に着いたシュンによって次々と撃ち落とされるだけだ。

 

「俺を走らせやがって! 憂さ晴らしだ!」

 

 ギルアズも戦場へ到着し、数分後に対空砲の守備隊は一掃された。後は定期的に輸送機でやって来る増援だけだ。

 

「効かないぞ!」

 

 周囲の敵をキャットと6、ギルアズに任せ、シュンは対空砲に再装填を済ませたロケット弾を浴びせたが、対空砲は破壊できなかった。

 それを今知らせようと、上空で随伴する陸軍の大隊の指揮を執るカーターより無線連絡が入る。

 

『ONIからの追加情報だ。その対空砲は通常の攻撃では破壊できない。中央一階の動力源に銃弾を撃ち込むか手榴弾を投げ込め』

 

「6、中央の動力源を」

 

「了解!」

 

 その通信が入れば、即座にキャットは周囲の敵を抑えつつ6に指示を出す。

 これに応じ、6は邪魔な敵をマークスマンライフルで一掃しつつ、動力源の出入り口を守っていたシールドを素手で破壊し、そこへ手榴弾を投げ込む。

 

「破壊完了! 直ちに退避!!」

 

「よし、乗り込め!」

 

 動力源を手榴弾で破壊された対空砲が爆発しながら倒壊する中、6がそれを知らせながらワートホグの運転席へと乗り込む。

 キャットが助手席へ飛び乗り、ギルアズが無理に乗り込めば、6がアクセルを踏み込んで倒壊する対空砲より離れた。

 

『こちらツーリマ4! 直ちに対地攻撃を開始する!!』

 

 対空砲が破壊されたのを確認したのか、上空からフリゲート艦が二隻現れ、追加でやって来たバンシーを破壊しながら航空支援を始める。

 地上に居るコヴナント軍の大軍へ向け、艦砲射撃を行うのだ。

 

『良くやったノーブル6! こちらノーブル1、航空部隊、上空はオールグリーン!』

 

『了解! 2-2-4、ポイント6への爆撃を許可する! エリアン共に爆弾の雨を降らせろ!!』

 

 フリゲート艦の艦長からの通信が入れば、カーターの労いの声や航空部隊のパイロットの声が聞こえて来る。

 爆装したロングソードによる空爆だ。三機が編隊を組みながら、対空砲を失ったコヴナントの地上部隊に向けて爆弾を投下する。

 これにより、陸軍と海兵隊の合同部隊は前進が容易になる事だろう。

 分遣隊にも後続の陸軍の部隊、歩兵一班を載せた兵員輸送型のワートホグが増援として来た。

 

「これで歩かずに済む」

 

 その兵員輸送車に、ギルアズは遠慮なしに空いている席へ座り込めば、ノーブルの分遣隊は次の目標へと進む。

 

「6、降下艇が橋を架けるからそれを渡って南西へ向かって」

 

 架橋を腹に搭載したペリカンが、破壊されたコンクリート製の橋に架橋を掛ければ、6はすぐさまその橋を渡り、道に沿って南西へと向かう。

 道の先にあるのは、採掘施設だ。既にコヴナント軍に占領され、前哨基地にされていた。

 既に先行した陸軍の部隊が、コヴナント軍との交戦が始まっていることを上空のファルコンで指揮を執るカーターより知らされる。

 

『6、採掘施設が見えるな? そこはコヴナント軍の前哨基地になっている。既に戦闘が開始されている。友軍と共に基地を制圧しろ!』

 

 カーターの通信が終われば、敵軍の前哨基地として使われている採掘施設に辿り着いた。

 言った通りに先行した部隊とコヴナント軍が銃火を交えており、先行部隊が不利な様子だ。

 

「6、タレットを潰して!」

 

 先行部隊が居る方まで止まれば、すぐさま車両から飛び降りて三名の先行部隊の加勢に入る。

 空かさずキャットが指示を出し、6はマークスマンライフルでタレットの射手を狙撃する。シュンはロケット弾の砲座に居座り、こちら側から見える採掘施設にあるタレットに向けてロケット弾を撃ち込み、総統を続ける。ギルアズは兵員輸送車から降りて、ライフルを撃ち込むだけだ。

 

「前方敵影無し! クリア!」

 

「採掘施設に突入しろ!」

 

 戦闘はスパルタン四名…否、三名の参加であっさりとケリが付いた。

 数名の陸軍歩兵を加えたノーブルチームの分遣隊は、採掘施設へと突入する。

 突入すれば、身を隠していた敵兵等が直ぐに反撃して来た。中には佐官クラスエリートも居り、士気は高そうに見えたが、6やシュンに何発も銃弾を撃ち込まれればシールドを剥され、あっさりと射殺されてしまった。

 それから僅か数秒ほどで、コヴナント軍の前哨基地は壊滅し、残ったグラントたちはゴーストと呼ばれる小型陸戦兵器に乗って逃げ出し始める。

 

「このまま前進するわ。レヴナントに乗ってちょうだい」

 

 追跡するべく、キャットはシュン達にコヴナントの軽装甲車であるレヴナントに搭乗するように指示を出せば、一同はそれに乗り込み、逃げるコヴナント軍の追跡に向かった。

 残った陸軍の兵士らは、取り返したこの採掘施設の維持に回る。

 道中、ゴーストを含める少数の敵歩兵が足止めのために向かって来たが、コヴナントの戦闘車両の操縦訓練を受け、手足のように扱う6が駆るレヴナントやシュンに敵わず、ほんの数秒足らずで壊滅させられる。

 道筋に沿って進んでいけば、カーターより新たな情報が寄せられた。二基目の対空砲だ。

 

『6、新しい情報だ。その先に対空砲がある。対空砲を破壊して、次の攻撃に繋げろ!』

 

 情報と指示を出したカーターの命に従い、分遣隊はコヴナントの対空砲に向かった。

 先の対空砲の事もあり、コヴナントは二両のレイスと呼ばれる戦車を配備しており、歩兵の数も二個小隊と多い。

 だが、キャットはその倍の数を相手し、ノーブルチームに入る前の6も然り、シュンはミニョルアーマーを身に着ける前から一人で中隊規模の戦力と戦った経験がある。

 この場で大多数の戦力と戦ったことが無いのは、ギルアズくらいだ。

 

「援軍を待った方が良いんじゃないか?」

 

「駄目よ。それに私たちはスパルタン。これくらいの敵に挑まなくてどうするの?」

 

「だ、そうだ。腹くくれ」

 

「う、うぅ…十人を相手にしたことがあるが、こんな数を相手にするなんて…」

 

 ギルアズは嫌がっていたが、三名はお構いなしに対空砲へ突っ込み、戦車部隊と交戦を始めた。

 

「運転を頼む!」

 

「おっ、おぅ!」

 

 車上からグラントやジャッカル、エリートらの歩兵を排除すれば、6は運転をギルアズに任せ、シュンと共にレイスの破壊に向かった。

 たった二人で戦車に挑むなど、自殺行為であるが、片方はスパルタン、もう片方は生まれながらのスパルタンと言っていいほどの戦闘力の持ち主だ。

 機銃のプラズマ弾を撃つ射手をライフルで射殺してから車体へ取り付き、アーマーで強化されたパンチを装甲に打ち込み、空いた穴へ手榴弾を投げ込んで敵戦車を破壊する。

 

「いっちょ上がり!」

 

「流石ね!」

 

 数秒ほどで戦車を、二人だけで破壊してしまった。

 ギルアズは驚愕していたが、キャットらスパルタンにとっては可能な事だ。シュンは異常だが。

 そんなシュンは久々の戦争、それも総力戦に身を投じて更に熱が入ったのか、背中の大剣を引き抜き、アーマーで強化された脚力でプラズマ弾を避けつつもう一台のレイスに接近し、 その巨大な大剣でレイスを切り裂く。

 

「凄いな。レイスがまるで温かいバターのようだ」

 

 数体のグラントとジャッカルを始末した6が、レイスを容易く切り裂くシュンの大剣を見て、切り裂かれたレイスをナイフで切られる温められたバターに例える。

 これで対空砲を守る機甲戦力は無くなった。後は対空砲内で陣取る残存戦力の掃討である。

 対空砲に接近すれば、最後の関門と言う奴なのか、コヴナント軍の中で最も危険な種族である二体のハンター(レクゴロ)が立ちはだかる。

 ハンターは兵員としてでは無く、兵器として扱われており、全身を覆う鎧は軽装甲車並の装甲で、左手に持つ盾は艦艇に使われる装甲を加工している特別製だ。

 しかし、装甲には隙間が多く、意外と弱点が多い。

 過去に一人のスパルタンが素手でハンターを立ち回り、目撃したエリートに凍り付くほどの衝撃を与えたことがある。

 

「嬢ちゃんの世界で見たことがあるな」

 

 過去の高町なのはを救う戦いで、ハンターのことを知っているシュンは、アーマーの脚力でハンターに接近し、大剣で容易く切り裂いた。

 

「こいつには関係ねぇがな」

 

 ミニョルアーマーを身に着けたシュンに取って、ハンターはさほど脅威などにはならなかった。

 残り一体は仲間を殺され、怒り狂ってシュンに襲い掛かって来たが、キャットと6、それにギルアズの集中砲火を背中に受け、あっさりと倒される。

 脅威がなくなった所で、増援が来る前にさっさっと対空砲の動力源に手榴弾を投げ込み、爆発する対空砲から退避した。

 

『6、良くやった! これで制空権は我々の物だ。今度はONIのためにスパイア付近の偵察だ。航空機で輸送する』

 

 対空砲を破壊すれば、代わりの歩兵部隊を乗せたペリカンが降下し、兵員を降ろして飛び去って行く。

 それと同時にカーターからの次の指示が出される。どうやら次は敵陣の偵察のようだ。

 偵察に使うのはペリカンでは無く、ファルコンで、キャットは情報収集のためにこの場に残る。

 

「ジョージが乗ったファルコンが来る。LZを表示する」

 

 ヘルメットのデータにファルコンが着陸するLZが表示されれば、6とシュンはそこへ向かう。

 ギルアズは嫌がっていたようで、キャットとここに残ると言い始める。

 

「お、俺はノーブル2と共に…」

 

「駄目よ、貴方も行きなさい。リーダー、私はここに監視所を設けて情報収集に入ります」

 

『了解、新しい情報を待つ。通信終了』

 

 キャットがそれを了承するはずが無く、背中を叩かれ、シュンや6に連行される形でジョージが乗るファルコンまで連れて行かれた。

 

「乗るか? 6にブラック、ギアーズ」

 

「あぁ、敵前逃亡者を乗せる」

 

「別に逃げようだなんて思っちゃいない。だが、俺は…」

 

「俺たちは人類の希望だ。それにスパルタンだろ?」

 

「あぁ、分ってるとも!」

 

 兵員室で待つジョージに問われたシュンは、彼と共に嫌がるギルアズを無理にファルコンに乗せた。

 

『離陸します!』

 

 四名のスパルタン、否、三名のスパルタンを乗せたファルコンは離陸し、ONIが要請した一帯の偵察に向かう。

 

『真下です!』

 

 渓谷まで差し掛かると、UNSCの攻勢部隊本隊と交戦しているコヴナント軍の一部が見えた。

 自分の背後を飛び回る一機のファルコンに気付いたコヴナント軍は、直ぐにプラズマ弾を浴びせて来た。

 直ぐにシュンと6、ジョージは反撃に出る。

 シュンは機内で調達した軽機関銃で、6は機銃の代わりに搭載されているグレネードランチャー、ジョージはカスタムメイドのチェーンガンで行う。ギルアズは主戦場とは逆方向の銃座に付いていた。

 

「渓谷を抜けるまで油断するなよ!」

 

 本隊と交戦しているおかげで敵の数は少なくなかったが、渓谷を抜けるまで油断はならない。

 こちらに攻撃を加えて来たコヴナント軍は、押し寄せて来る本隊に揉み潰された。

 一方で一同を乗せたファルコンは、偵察目標であるスパイアに到達する。

 

『スパイアに到着!』

 

『最新情報によると、スパイアは電子バリアを敷いているようです』

 

「そんなもん、見りゃあ分かる」

 

 AIからの知らせで、スパイア一帯は電子バリアに覆われているとの情報が寄せられたが、機械に詳しいギルアズは見れば分かると悪態を付く。

 

「とにかく、中を調べなきゃ分からん。最優先事項だ。飛び込んでくれ」

 

『了解! 突入します!!』

 

「や、止めろ! バリアに突っ込んだら…」

 

 中はどうなっているのかバリアの所為で不明なので、ジョージは中へ飛び込むようにパイロットに頼んだ。

 これにギルアズは反対の声を上げていたが、誰も聞かず、パイロットは操縦桿を動かして機体をバリアの中へと飛び込ませる。

 

『操縦不能!』

 

「掴まれ!!」

 

「言わんこっちゃない! これはヘリの機能をダウンさせる…」

 

「黙ってろ!」

 

 ギルアズの警告は敵中だったのか、ファルコンは操縦を失い、地面へと墜落し始めた。

 どうやらバリアは電磁パルスのような物を発しているようだ。

 ジョージは全員に何かに掴まるように叫ぶ中、ギルアズはヘリでの墜落を経験しているのか、近くの物に掴まりながら自分の言う通りにしなかった彼を責めたが、シュンに黙らされた。

 そのままファルコンは墜落し、兵員室に乗っていたスパルタン二名と未来からやって来た二名は地面へと投げ出された。

 

 

 

「生きてるか? 6、ブラック、ギアーズ」

 

 墜落したファルコンの近くに落ちたジョージはヘルメットを叩き、何所も異常が無いか確認しつつ、銃を取って起き上がる6やシュン、それにギアーズに無事であるかどうかを問う。

 幸い、四名はミニョルアーマーを纏っていたおかげで怪我や骨折の一つは無く、軽い打撲程度で済んだが、そんな高価なアーマーを纏っていない陸軍の兵士とパイロットは、墜落の衝撃で即死であった。ギルアズはアーマーのおかげで気絶しているだけだ。

 

「クルーは駄目だな。そっちは?」

 

「落ちたショックで伸びちまってる。そっちの6はピンピンしてるが」

 

 武器が使えるかどうか確認したジョージは、シュンに倒れているギルアズが生きているかどうかを問えば、シュンは気絶している彼を足で強く蹴って起こしてから生きていると答えた。

 

「そうか。敵が周りにうようよ居る。急ぐぞ」

 

 武器の点検を終えたジョージはシュンの答えを聞き、先を急ぐために皆に前進すると告げた。

 それから物陰に隠れ、リーダーであるカーターにスパイアに到着したことを無線で知らせる。

 

「リーダー、スパイアを見付けた。ファルコンはお釈迦になったが、みんなは無事だ。クルー以外は…」

 

『そうか。映像を受信した、ノッドの解析を待ってくれ』

 

 カーターより指示されたジョージは、墜落現場を見に来るコヴナント軍に向け、チェーンガンを撃ちまくる。

 

「よし、派手にぶっ殺せ!」

 

 シュンも軽機関銃こと分隊支援火器が無事であることが分かれば、ギルアズの頭を叩き、6と共にグラントやジャッカルを撃ち始める。

 数体を倒せば前進、途中で敵狙撃兵と遭遇したが、6が持つマークスマンライフルで排除される。そのままスパイアまで前進すれば、解析を終えたAIからの報告が無線に入る。

 

『ノーブル6、ONIの情報では、スパイアはテレポーターのターミナルのようです』

 

「テレポーター? リンク先は?」

 

「決まってるだろ。衛星軌道上に居るコヴナント軍の本隊だ! 敵の予想の位置は…」

 

 ジョージの問いに、AIの代わりに答えたのは突撃銃の再装填を行うギルアズだった。

 その増援を次々と送り込んで来る衛星軌道上に居るとされるコヴナント軍の本隊の位置を予想しようとした時に、カーターからの無線連絡が入る。

 

『ジョージ、フリゲート艦グラストンがターミナルを攻撃する。電磁バリアを無効化してくれ。フリゲートのMAC(マック)ガンではバリアを貫通できない! バリアを無効化してくれ!』

 

「了解! 6、ブラック、ギアーズ。ここは俺が抑える、お前たちは頂上まで登ってバリアを無効化してくれ!」

 

「了解! ブラック、ギアーズ、ついてきてくれ!」

 

「了解だ! 行くぞ、臆病者!」

 

「お、俺は行くとは一言も…」

 

 カーターからの指示をジョージに命じられた一同は、ターミナルの電磁バリア無効化の為、民間用のワートホグに乗ってターミナルに突撃した。

 運転席には6が座り、助手席にはギルアズが乗り込んで荷台にはシュンが乗り込む。分隊支援火器を機銃代わりに使い、目に見える敵に向けて銃弾を浴びせる。

 

「突入!」

 

 6がワートホグを乗り捨てれば、他の二名も飛び降りた。

 無人で走行するワートホグは敵の機銃座に激突し、爆発を起こす。敵が浮足立っている隙に、一同はターミナルに突入して敵を一掃しながら頂上を目指す。

 頂上まで上がるエネルギーの昇降台へ上がり、一気に頂上まで辿り着く。

 その様子を遠くで敵を撃ちながら見ていたジョージは、直ぐにカーターに知らせる。

 

『リーダー、6とブラック、ギアーズが頂上へ上がった』

 

『よし、突入して電磁バリアを解除しろ。ファルコンでそちらに向かっている! お前らを拾うからな!』

 

『良いぞ、お前ら。いつでも来い!』

 

「さぁ、行くか」

 

 バリアを解除した後、カーターが迎えに来てくれるので、一同は直ぐに内部に突入し、中の敵と交戦を開始した。

 ギルアズは屋内戦に慣れているのか、ここではスパルタン以上の働きを見せた。

 

『急げ! 電磁バリアが解除され次第、フリゲート艦が直ぐに攻撃を開始する!』

 

 一同は屋内で戦闘を行う中、カーターから催促の無線連絡が入った。

 それが聞こえた者達は、急いで敵を制圧しながらバリアを操作する装置の元へ向かう。

 

「危ない!」

 

「うわぁぁぁ!!」

 

 次々と敵を倒していく中、エナジーソードを抜いたエリートに、ギルアズが襲われる。

 気付いた6は知らせたが、既にギルアズは斬られる瞬間であり、死を覚悟した彼は叫んだ。

 

「良い剣だな。貰って行くぜ!」

 

 斬られる瞬間、シュンはエリートの右手を掴み、顔面に左拳を打ち込み、無理にエナジーソードを手放させれば、試し斬りを元の持ち主で行う。

 エナジーソードで斬られたエリートは即死し、物言わぬ屍となり、その愛刀は勝利者の者となる。

 

「俺の得物と次に良い剣だ」

 

 それを自分の大剣(スレイブ)の次に良い剣であると称賛すれば、そのエナジーソードで遭遇する敵を斬り続ける。

 大剣より刀身が短いエナジーソードは屋内戦で真価を発揮し、シュンの長年鍛え上げられた我流剣術も極まり、向かうところ敵無しであった。

 全ての敵を一掃すれば、ギルアズはバリアを操作する装置に近付き、解除する操作に入る。

 

「これで良し。さぁ、バリアは解除された! 急いでカーター隊長の所へ向かおう!」

 

 バリアを解除が完了すれば、一同は急いで外へ向かう。

 電磁バリアが無くなったのを確認したカーター達が乗るファルコンが近付いてくる。どうやら空中で回収するようだ。それと同時に、フリゲートが艦首尖端にある主砲をこちらへ向けている。

 

「飛べ!」

 

「お、俺は高いところは…」

 

「良いから飛べ!」

 

 ファルコンの兵員室に居るジョージが手を伸ばす中、ギルアズは飛ぶことを躊躇したが、シュンに無理やり蹴飛ばされ、偶然か奇跡に近い確率でファルコンに乗る。

 それからシュンが飛んでギリギリのところで乗り込むことに成功し、後は6も飛んで何とかファルコンに近付けたが、間に合わなかった。

 だが、ジョージが手を伸ばして6の手を掴んだので、全員がファルコンに乗り込むことに成功した。

 

「出してくれ!」

 

 全員が乗ったのを確認したカーターは、パイロットにその場からの離脱を命じた。

 それからファルコンは一目散にターミナルから離れて行く。

 

「コントロール、こちらノーブル1。第一スパイアは攻撃可能! 頼むぞ!」

 

 バリアの解除を直ぐにカーターが報告すれば、本部より全部隊に警告が出される。

 

『了解、ノーブル1。全地上部隊に告ぐ、フリゲート318(スリーワンエイト)が到着。MACガンによる攻撃が許可された』

 

「大気圏内でMACガンを!?」

 

 ジョージの驚きからして、MACガンは大気圏内での使用は惑星に影響を及ぼすらしい。

 

「敵の注意は引けるだろ。全員、衝撃に備えろ!」

 

「やれやれ、流石は連邦軍に参加するだけの事はあるな…」

 

 これにカーターは地上でのMACガンは敵の注意を引くための物だと言って、全員に衝撃に備えるように告げた。

 大気圏内でのMACガンの使用に、ギルアズは後にUNSCが連邦軍の傘下に入ったことを皮肉る。尚、彼のボヤキは誰にも聞こえていない。

 近くを通り過ぎたフルゲート艦は主砲であるMACガンで、標的のスパイアを破壊した。

 それから衝撃が来るものだと思っていたが、MACガンを撃ったフリゲートは、上空から来た強力なビーム攻撃で轟沈する。

 

『上空から超大型艦が接近』

 

「おい、嘘だろ!? 冗談はやめてくれ!」

 

「き、来た…! コヴナント軍の超大型ステルス空母だ…!」

 

 フリゲートが一撃で轟沈したことに、シュンはジョージと同じ気持ちであった。

 この戦いの結末を知るギルアズは、遂に超大型空母が来たと震え始める。

 

「クラフトンはやられた! 至急ここから脱出するぞ!!」

 

「なんだあの馬鹿デカい宇宙戦艦は…!?」

 

 カーターが本部にフリゲートが撃沈されたことを知らせる中、シュンは上空に見える超巨大な宇宙戦艦を見て、茫然とした。

 ワルキューレに属していた頃に、巨大な宇宙戦闘艦は見て来たが、これ程までに巨大な物は初めて見た。

 その巨大な宇宙戦艦こそ、ギルアズが言う超大型ステルス空母であった。




次回は宇宙戦です。
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