復讐異世界旅行記   作:ダス・ライヒ

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ウィッチャー3、面白すぎて執筆進まない(二回目

今回はT-elosさん登場です。戦闘は無いですけど。それと新キャラ登場。

シュンと愉快な愚連隊を結成する予定です。


パッケージ

 破壊された都市を離れて数時間後、シュンと6はODSTの一個分隊と共に先行して敵に占領されたソート基地の近くまで来ていた。

 崖を滑り降り、配置に着けば、ホランド大佐より無線連絡が入る。

 

『こちらノーブルアクチュラル、ノーブル1、聞こえるか? ノーブル1?』

 

『こちらノーブル1。どうぞ』

 

 ホランド大佐からの無線連絡に、茫然としていたカーターは二回目の問いで答えた。

 

『なんとしても、ソート基地を破壊するぞ。状況は?』

 

『まだ外です。温度感知によると、中は満員。散るのを待たないと蜂の巣です』

 

『了解、ノーブル1。通信終了』

 

 ホランド大佐に報告した後、カーターは先行するシュンと6に無線連絡を送る。

 

『任務に集中しろ。確実に遂行するんだ。6、7、位置に着いたか?』

 

「はい」

 

「位置に着いた」

 

『よし、今だ』

 

 位置に着いたことを報告すれば、カーターより前進命令が出た。

 この指示に応じ、二人のスパルタンはODSTの分隊を率いてソード基地へと向かう。

 戦闘はまだ続いているが、圧倒的な劣勢を覆すのはもう不可能であり、リーチはあと数日か数十時間で終わりだろう。

 これからの戦いに少しでも有利になるようにと、ノーブルチームは戦略的に価値があるソード基地に眠る発掘データを破壊するために敵に占領されたその基地へと突入する。

 小部隊での基地に接近する中、カーターより無線連絡が入る。

 

『連中は小部隊の潜入では無く大規模な部隊に警戒している。地対空の迎撃設備を破壊し、残りのノーブルチームが着陸できるようにしろ。目立たないようにしろ。奇襲を掛ければ、楽になる』

 

 この指示に応じ、先行部隊は静かに移動した。

 

「墜落したファルコンだ。死体に注意しろ。スナイパーが居るかもしれん」

 

 ODSTの隊員が撃墜されたファルコンにある死体を見て言えば、一同はそこを離れ、破壊された建物に身を隠す。

 そこにもソード基地の防衛を担っていた陸軍の兵士たちの屍が転がっていたが、彼らを埋葬している時間は無い。直ぐに屋上へ出て、狙撃銃を持つジャッカルをそこから探した。

 

「見付けた。二時方向、400mの浮かんでいる台の上だ。まずは対空タレットの射手から」

 

「狙撃する。援護を頼む」

 

 双眼鏡を持った隊員が狙撃手を見付ければ、6はマークスマンライフルを構えた。

 シュンは的確な射撃位置に付き、分隊支援火器の二脚を立て、伏せて狙撃に気付いて向かって来る敵の集団に備える。

 他にも狙撃手を幾人か確認した後、先に三つの対空砲の射手を仕留め、手近な距離に居るジャッカルの頭を6は狙撃して撃ち抜いた。続けて位置が分かっている数名を撃ち返される前に狙撃する。

 

「来たぞ! 撃ちまくれ!!」

 

 狙撃した瞬間に、敵集団は6が居る建物へと殺到した。

 そんな敵集団に向け、シュンは分隊支援火器の機銃掃射を浴びせ、シールドを持たないグラントとジャッカルを撃ち殺し続ける。

 的確に敵を仕留めて行く中、ランチャー型の重火器を抱えたグラントがやって来てそれを連発して来る。

 放っておいたらかなり危険であるため、シュンは分隊支援火器の再装填を終え次第、ランチャーを持ったグラントに掃射する。ODSTの隊員等も脅威と判断して、エリートより先にグラントを倒す。

ランチャーを持ったグラントを片付ければ、後は厄介なエリートのみだが、数は少なく、集中砲火を受けて呆気なく倒れた。

 

「建物は制圧した。先へ行こう」

 

 倒れているエリートの死体を撃って動かないことを確認した分隊長は、部下と二名のスパルタンと共にソード基地へと向かった。

 道中、奇跡なのか、まだ動くスコーピオン戦車を見付けた。罠が仕掛けてあるかもしれないので、先に爆薬に精通している隊員が調べる。

 

「この先にまだ動くスコーピオンがある。ブービートラップが仕掛けられているかもしれない。安全が確保されるまで待ってくれ」

 

 そう言って爆薬に精通した隊員がスコーピオンを隈なく短時間で調べ尽した後、シュンや6に報告する。

 

「連中がマヌケで良かった。トラップは仕掛けられていない。乗り込んで連中を後悔させてやろう」

 

 何の罠も仕掛けられていないと報告すれば、一同はスコーピオンに乗り込み、強力な対空砲塔がある場所へと向かった。

 まだ動いているスコーピオンに気付いたコヴナント軍は慌てて迎撃してきたが、スコーピオンを破壊しなかったツケが回った所為で返り討ちにされるばかりだ。

 対空砲も撃つが、重装甲のスコーピオンを貫通できるはずが無く、砲塔で吹き飛ばされるか、車体の上に乗っているシュンやODSTの隊員等の攻撃で吹き飛ばされる。

 向かうところ敵無しであり、対空砲塔近くまで難なく来られた。

 

『ノーブル6、急げ。ファルコンが上空で待機している』

 

「見えたぞ。こっちに気付いていない。こいつの火力で砲塔の後ろにある光っている所を吹き飛ばせ」

 

 カーターからの催促の連絡が来れば、見付けた隊員がコヴナントの重対空砲の弱点を教える。

 戦車の操縦をしている6は、砲塔の照準を対空砲の砲塔の動力源に向け、発射ボタンを押した。

 発射された砲弾は対空砲後部の動力部に命中し、警報を鳴らしながら爆発し始める。

 流石に気付いたのか、一斉にスコーピオンへと集まって来る。更に上空からはバンシーが数機以上も飛んでくる。

 

「来やがったな!」

 

「連中に構うな! 対空砲を攻撃し続けろ!」

 

「こいつ等は俺たちに任せろ!」

 

 地上や空から挟撃を受けるが、スコーピオンは随伴しているシュンとODSTの隊員等に任せ、対空砲の撃破に勤める。

 少なからずの被害を受けたが、このおかげで対空砲の撃破に成功し、ソード基地周辺に後続の部隊が着陸できるようになった。対空砲が破壊されて数秒後に、数機以上のファルコンが現れ、バンシーや地上に居るコヴナントの部隊に攻撃を仕掛ける。

 何機かに残りのノーブルチームが乗っており、三機以上がソード基地へと飛んで行く。あの機にノーブルチームが乗っているのだろう。

 スコーピオンに乗るシュンと6は、上空のファルコンの支援を受けつつ、直ちにソード基地へと向かう。

 基地には中隊規模の戦力が防衛に着いており、かなりの抵抗を受けていた。レイスのような戦車のみならず、レヴナントと言う軽装甲車両まで一斉に攻撃して来る。

 大多数の敵と交戦する中、先に基地の出入り口にファルコンに乗って到着したジュンとギルアズからの無線の声がはいって来た。

 

『クソッ、こんな時にキャットが居てくれたら…』

 

『俺じゃ不満か? こんな物、簡単だ。三十秒ほど時間を稼いでくれ』

 

 ジュンが出入り口のドアの貨幣に時間を取られる中、技術者であるギルアズは彼に変わってゲートの解除に回る。

 少なからずの敵の対空砲や重火器はあったが、スコーピオンに乗った二人のスパルタンとODSTの隊員等の敵では無かった。

 三十秒経った頃には、ゲートが開き、カーターから基地へと入ってくるようにとの無線連絡が入る。

 

『ゲートが開いたぞ。6、ブラック、入って来い! 基地は敵で一杯だ!』

 

 指示を受けた二人は、基地の出入り口まで辿り着いたらスコーピオンから降り、ソード基地へと入る。

 

「ここは俺たちに任せろ。お前たちは内部へ入れ」

 

 ODSTの隊員等にこの場の維持を任せた後、二人はソード基地内の検問に入り、先に向かった者達との合流を急いだ。

 基地へと入った矢先、先行していたカーターとジュン、エミール、ギルアズを含める四名が基地内部から続々と出て来るコヴナントとの守備隊と交戦中であった。包囲されているらしく、やって来た6とシュンに背中を見せている複数のエリートが見える。

 こちらに気付いていないエリートの背後に忍び寄り、ナイフで二名のエリートを仕留めれば、手にしている銃火器を他のエリートに浴びせる。

 

『ギリギリセーフだな…』

 

『行け、ノーブルチーム!』

 

 二人が来たことを確認したエミールが呟けば、カーターは基地内部へと突入を命じる。

 残って居る守備隊は襲って来たが、一人を除く五人のスパルタンを前にして数分足らずで全滅した。

 敵を全滅させたノーブルチームは、基地内部へと入る。

 

「オールクリア!」

 

「メンテナンスを抜けよう。エレベーターは駄目だ」

 

「この状況じゃ、動く物があれば運が良いぜ」

 

 残って居るグラントをエミールが始末すれば、カーターはメンテナンス通路を指差す。

 

「6、先頭だ」

 

 6を先頭に立たせれば、彼の後に続いてメンテナンス通路を進む。

 少し進んで右を曲がるだけで、直ぐに敵と遭遇した。エネルギーシールドを持ったジャッカル三体だ。一同は遭遇したジャッカルに向けて銃弾を浴びせる。

 シュンは室内戦でより威力を発揮する散弾銃に切り替え、進む度に増えるジャッカルを戦友達と共に始末しながら前進する。

 狭い通路での戦闘は被弾が多いが、気休めのシールドのおかげで重傷を負わずに済む。

 敵は未だに出て来るが、主要な通路の防衛に人員を回しているのか、メンテナンスルートの敵兵の数は少なかった。

 

「次は何所へ?」

 

 暗視装置を作動させつつ、次は何所へ行けばよいのかとジュンはカーターに問う。

 

「ドット?」

 

『指定された座標へ向かって、移動してください』

 

「怪しいな」

 

「乗っ取られてるんじゃねぇのか?」

 

 ジュンの問いにカーターは場所を知っているAIに問えば、マップに表示された場所へと向かえとしか返さない。

 これにエミールを初め、シュンはAIが敵にハッキングされているのではないかと疑い始める。

 この疑いにAIは何かの冗談のつもりか、答える。

 

『良く御分りですね、ノーブル4』

 

「ますます怪しいな」

 

 返ってきた答えに、エミールは睨んだが、カーターは何かあるのか調べてやろうと思い、AIが指定した場所へと部下たちを引き連れて向かう。

 施設内で戦闘が行われたのか、壁や床に銃弾の跡やプラズマ弾の跡、それに血痕が残されている。防衛に当たっていた陸軍の兵士の屍も幾つか見え、刺し違えたエリートの死体も見えた。

 指定された場所の近くまで来れば、AIが知らせて来る。

 

『座標は近くです。リーダー』

 

「近いぞ! タラップを上がって右へ向かえ!」

 

 AIの知らせで、タラップを指差してカーターが指示を出せば、一同は廊下をうろついていたエリートと交戦しつつ、タラップへと向かう。

 

「援護する!」

 

 ジュンは狙撃銃を構え、この場に居るコヴナント兵のシールドを強化しているエンジニアと呼ばれるタコのような浮遊した異星人を狙撃して爆発させた。

 エンジニアがやられれば、シールドの強化は解け、エリート以外のシールドを持たないコヴナント兵等は次々と撃ち殺されていく。

 数分でここに居る全ての敵兵を全滅させたノーブルチームは、タラップを上がって右の方へ行き、AIが指定した場所にあるドアを見付ける。

 

「ここだ。6、ドアを開けろ」

 

 それを見付けたカーターは、他のチームメンバーと周囲を警戒しつつ、6にドアを開けるように命じた。

 指示に応じて6は、ドアの右手にある端末を操作して自動ドアを作動させた。

 ドアが開閉すると同時に、6は先に突入し、その後からカーターやジュン、エミール、シュンとギルアズが続く。

 

「逃げ遅れたようですね…」

 

「あるいは逃げなかったのかもな」

 

 突入した先は、激しい抵抗の末に全滅した陸軍の兵士たちの屍と滅茶苦茶に破壊された装置であった。

 周囲の様子を見て、ジュンは逃げ遅れたと判断したが、死体を見たカーターはここを死守して全滅したと推測する。

 全員は警戒を解き、奥の部屋を見たエミールは、ジュンの説が正しいと告げる。

 

「逃げ遅れたんですよ。守る物も何も無い」

 

「立て籠もったか」

 

 エミールが奥の部屋にある死体を見て言えば、シュンはここに籠城して助けを待っていたと判断した。

 

「耐力壁も無い。リーダー、基地を破壊するとしても、ここからじゃ無いはずですよ」

 

 基地を破壊はここでは無いとジュンが言えば、カーターはAIに位置の確認を問う。

 

「ドット、位置を確認しろ。ここでどうやって基地の自爆装置を押せと?」

 

『位置を確認しました。間違いなくこの位置がONIの…すみません、座標修正です。確認願います』

 

「修正だと?」

 

 本当にこの位置なのかを問えば、AIは座標修正が入ったと答えた。AIは直ぐに座標修正の理由を答える。

 

『正体不明のAIから指示されました。私より遥かに強い権限を持っています』

 

「ここから…東に1.5㎞、地下2000ft(フィート)下です」

 

 AIが答えた後、ジュンは座標修正された位置を確認した。

 その位置は地下であった。カーターが位置を確認して顔を顰める中、エミールはうんざりしたように毒づく。

 

「シャベルは持って来てませんよ」

 

「いい加減なAIだな。壊れてんじゃねぇのか?」

 

「地下に続くエレベーターでもあれば別だが。一体何所だ?」

 

 エミールの後にシュンは苛立ち、ギルアズは地下へと続くエレベーターを探し始めた。

 地下を目的地に定めたAIに対し、ジュンはAIの指示を無視して基地の司令部まで行って自爆装置を作動させることを提案する。

 

「リーダー、AIは無視して基地司令部まで行き、自爆装置を作動させましょう。こんな座標あてになりません。ここでグズグズしてたら…」

 

 最後まで言い終える前に、奥の部屋の方で地震のような音が鳴った。ギルアズは驚いて尻餅を付く中、彼を除く全員は手にしている銃を音が鳴った方向へ向ける。

 直ぐにエミールは奥の部屋を確認する。すると、隠し通路が開いた。この隠し通路に関してカーターはAIに問う。シュンは後ろからコヴナントが来ると思って警戒し、分隊支援火器を構える。

 

「ドット、これは?」

 

『修正ルートです、リーダー』

 

「良いだろう。ここまで来たんだ」

 

 修正ルートが現れたので、ここまで来たカーターは覚悟を決め、ハンドサインを出して6を先頭に向かわせ、続けてジュンやギルアズ、シュンを引き連れて隠し通路へと向かう。

 全員が隠し通路へと入れば、エミールは殿を務めて彼らの後へ続いた。

 通路は僅かな光しか無く、暗かったが、暗視装置を使えばそれほどでは無い上、ここに敵は入り込んでいないため、前衛の6と後衛のエミールしか警戒していない。

 暫く進んでいけば、モノレールのプラットフォームに到着し、移動用の列車も待機していた。

 その列車に全員が乗り込んだのを確認すれば、カーターはAIに上位の権限を持つAIが何と言っているのかを問う。

 

「ドット、そのAIはなんと言ってる? ドット?」

 

『会いたいそうです。ついでに、7と8はスパルタンでは無く、部外者だと』

 

「やれやれ、遂に壊れたようだな」

 

 二回ほど問えば、AIは上位のAIがノーブルチームの面々と会いたいと言っており、7のシュンと8のギルアズがスパルタンでは無いと見抜いた。

 これに少し驚いた二人であるが、エミールはこれを冗談と捉え、他の面々も信じようともしなかった。

 乗り込んだ列車が下へと降りて行く中、近くのモニターに初老の女性が映った映像が流れる。どうやらノーブルチームをここに導いたのは、彼女のようだ。

 面々は彼女が誰だか分かっており、ヘルメットの中の表情は驚いている様子だ。おそらく死んだと思っていたのだろう。

 

『強引なやり方をして悪かったわね。でも他に方法が無かったの』

 

「ハルゼイ博士…貴方は亡くなったと聞きましたが…?」

 

 ハルゼイと呼ばれた初老の女性科学者は、呆れた表情を浮かべつつ、その報告は偽物であることをカーターに告げる。

 

『えぇ、そうね。つまり私の死亡報告はでっち上げよ。貴方の二人の部下もそうだったら良かったのに』

 

「同感です」

 

 次に先に散ったジョージとキャットも偽物であれば良かったとハルゼイが言えば、カーターは暗い表情を浮かべながらそれに同調した。

 そんなスパルタンⅢの気持ちを気にせず、ハルゼイは解析したデータのことを言い始める。

 

『ノーブル2がビショクグラードで入手したデータモジュールには、ソルバド教授の報告通りの情報が含まれていた。ラッチキーよ。そのアンロックが完了次第、遂に発掘データの謎が解ける』

 

「どういう事でしょう?」

 

 キャットが渡したデータの事で、自分たちが知らないことを語るハルゼイに対し、カーターはどういう意味なのかを問う。

 

『これまでに受けた指令は、私の元へ呼ぶ口実だから忘れて。貴方たちの新しい任務は、その重要なデータを安全な場所へ運ぶことよ』

 

 この問いにハルゼイは、自分が解析したデータを安全な場所へ運び込むことが新しい任務であると告げたが、破壊命令を受けているカーターはその任務をどうするのかを問い詰める。

 

「待ってください。我々は破壊命令を受けています。その任務は?」

 

『それは他の者に任せるわ』

 

 その問いにハルゼイ博士は他の者達に引き継がせると答えた。

 正規の手続きなく、一方的に自分の都合を命令して来るハルゼイに対し、カーターは司令部に確認を請う。

 

「司令部に任務変更の確認を」

 

『大佐には説明する。今はONIに従って』

 

 どうやらこれはハルゼイ博士の独断では無く、戦局を人類側の有利にしようとする海軍情報局(ONI)による物であると、彼女の返答から分かった。

 その後で通信を切ると思っていたが、言い忘れたことがあったのか、ハルゼイはシュンとギルアズがスパルタンでない事をノーブルチームの面々に明かす。

 

『それはそうと、ブラックとギアーズだったかしら? 貴方たち、一体どこのスパルタンからアーマーを剥ぎ取ったのかしら。でも、訓練や肉体改造を受けていない並の人間が着れば、複雑骨折じゃ済まない筈だけど』

 

『っ!?』

 

 彼女の発言で、ノーブルチームの面々は一斉に異世界、それも未来から来たシュンとギルアズに銃を向けた。

 

「おいおい…いくらなんでも冗談ですよね、ハルゼイ博士? ギアーズはともかく、ブラックはスパルタンⅡ以上の戦闘力ですよ、6のように」

 

「俺も冗談であってほしいぜ。ここまで来てこんなジョークは笑えませんぜ、博士」

 

「エミールに同感です、ハルゼイ博士。性質の悪い冗談は止してください」

 

 ジュンが先に言えば、エミールが笑えない冗談だと口にし、カーターもそれに応じる。

 

「どうする? 本物のスパルタン相手に大立ち回りをやるか…?」

 

「冗談じゃない! 八つ裂きにされるのがオチだ…!」

 

 アウトサイダーの魔法が効いているにも関わらず、偽のスパルタンだとハルゼイに見抜かれ、四人の本物のスパルタンに囲まれて絶体絶命の状態である二人だが、彼女は気にしていないようで、ノーブルチームに銃を下ろすように告げる。

 

『銃を下ろしなさい。今は部外者であっても、人手が欲しいところだわ。例え異世界から来た変な連中でもね。現に私の方にも何所の小説か漫画の世界の住人か知らないけど、来ているわ。人の身体を使った戦闘ロボのようだけど。どうやら未来において私かチーフの存在を消したくてしょうがない連中が居るようね。彼女が居なかったら、今頃そいつ等に殺されていたところだわ』

 

「ハルゼイ博士…みんな、銃を下ろせ」

 

 ハルゼイが命令すれば、チームの面々は銃口を下げた。

 現に彼女の所にも異世界より来た者が現れ、ネオ・ムガルが放った刺客から守ってくれたことを明かせば、ジュンはシュンの手を掴んで握手し、本当の名を問うてきた。

 

「で、お前の本当の名前は何だ?」

 

「瀬戸シュンだ」

 

 シュンは誤魔化さずに本名を答えれば、ジュンは次にギルアズに問う。

 

「で、スパルタンじゃないお前は?」

 

「ギルアズだ」

 

「そうか。二人ともアニメの世界から来たのか?」

 

「あぁ、タイムマシーンで来た」

 

 ギルアズが答えた後、次にジュンは何所の世界から来たのかを問うてきた。これにシュンは未来から来たとだけ答える。

 

「コミックの世界から飛び出して来たんだろ」

 

「いや、3Dアニメだ。あんな馬鹿デカい大剣をぶん回したりすることなんてできない」

 

「どっちでも良い。もうじき現場だ」

 

 それに反応し、エミールは漫画の世界から飛び出して来たと割って入って来る。

 このエミールの意見にジュンが反対の意見を述べようとすれば、カーターは強制的に止めた。

 

 

 

 列車を降りてエレベーターに乗り換えて地下へと降りて行けば、地上とは異なる物が一同の注目を集めた。

 何か巨大な装置か宇宙船のような物が埋まっていた。それが何なのかは、ハルゼイが説明してくれる。

 

『それは人間でもコヴナントでも無い種族の遺物で、我々の理解を超える程の高度な物よ』

 

 自分たちの科学力を遥かに上回る種族の遺物であると説明すれば、キャットのおかげで解読がもうすぐ完了することを知らせる。

 

『でもノーブル2のおかげでそのデータの解読が完了しそうなの』

 

 その知らせの後で、コヴナントが地上に多大な砲撃と爆撃を繰り返しているのか、この地下空間の天井の一部が崩落し始めた。

 天井の一部が落ちて来るのを見たエミールは、ハルゼイを急かす。

 

「何をするにしろ、急がないとマズいですよ」

 

「データを用意してください。こちらで回収します」

 

 解読が終わる前に、生き埋めにされると判断したカーターは、そのデータを回収するとハルゼイに告げたが、彼女は解読が終わるまで渡さないと言い始める。

 

『まだ解読の途中だから』

 

「外の様子をお分りですか? 時間がありません。我々が到着した時に運べる状態じゃ無ければ、破壊するしかありません!」

 

 データの解読が終わるまでには時間が掛かり、自分たちが回収する頃合いに運べる状態でなければ破壊すると言ったカーターに対し、貴重なデータを戦略上の理由で破壊する彼の言い分に学者であるハルゼイは怒りを覚えたのか、そのデータは人類存続の為の希望であると反論する。

 

『これは人類が生き残る最後のチャンスなのよ! 貴方の部下たちが命を落としたのは、このためだったの。彼らの為にも、出来るだけ時間を稼いで。後一人くらい増援に送るわ』

 

 人類が生き延びるためのチャンスであるとカーターを捻じ伏せたハルゼイは、データの解読が終わるまで時間を稼げと指示してきた。

 何か言い返そうと思ったが、ハルゼイはテコでも動かせない人物であると噂に聞いていたカーターは従うしかなく、泣く泣く彼女の指示に従う。

 

「おい、俺たち以外にあと二人ほどこの過去の世界に来ているようだが…?」

 

「俺は何も聞いていないぞ。まぁ、ろくでも無い奴だとは思うが」

 

「まぁ良い。七人も居れば、守り切れる」

 

 アウトサイダーの魔法を受け付けなかったハルゼイの証言により、シュンとギルアズ以外に二人ほどこの世界に来ていることが分かった。

 問題はその二人がどこの誰で、何者かと言う件だが、今はラボの防衛が優先であるとシュンは言って、ノーブルチームの面々の後に続く。

 

「ハルゼイ博士のラボを探せ!」

 

「リーダー、タレットは既に防御態勢に入っているようです」

 

「ONIは予想していたのか…」

 

 ジュンは遠くで無人のタレットが起動し、防御態勢を取っていることをカーターに告げれば、このリーチの攻撃をONIは予想していたのかと、エミールは疑問に思った。

 これにカーターは遠方を見て、ハルゼイに敵が迫っていることを告げる。既に何者かとここへ侵入してきたコヴナント軍が交戦していた。

 

「そのようだな。ハルゼイ博士、敵が迫っています。正体不明な敵が…シュン、連中は何だ?」

 

「ネオ・ムガルだ。どうやら博士を殺そうとしているようだな」

 

 コヴナントと交戦しているのが何であるかを問えば、シュンは双眼鏡でその正体を確認し、UNSCとは異なる装備である事からネオ・ムガルであると判断した。

 それが分かれば、カーターはハルゼイ博士のラボの位置を確認し、そこへ向かう。

 

「博士、敵がやって来ます。他にも不審な連中が」

 

『ノーブルチーム、まだ解析が終わってないわ。その未来からやって来た連中もコヴナントも含めて私のラボには近付けないで!』

 

「了解。博士の為にも時間を稼ごう」

 

 ハルゼイにネオ・ムガルも含めるコヴナントが来ることを伝えれば、彼女はそれらも全て自分のラボに近付けないように伝えた。

 ノーブルチームの面々は、急いでハルゼイのラボまで向かう。

 途中、通信でタレットの機動をONIからの指示が出される。

 

『ノーブルチーム、ラボの防御に使えるタレットを四つある。急いで起動してくれ。あの男だけでは持ちそうも無い』

 

「了解した。6、タレットを起動しろ」

 

「了解」

 

 その通信が入れば、カーターは6にタレットの機動を命じ、自分等はラボの出入り口の防御態勢を固めるために急行する。

 

「ん? おーい! こっちだ!! 早く来い!!」

 

「誰だあいつ?」

 

 重火器を背負った長身の大男が、ノーブルチームの面々を大声で出迎えた。

 顔立ちは絵に描いたような下品な男の顔で、その格好は未来の戦争の世界には似つかわしくない物で、中世ヨーロッパの傭兵のような格好だ。蛮族と言って良いだろう。手にしている武器は、この世界の物だが。

 あの大男も自分等と同じアウトサイダーが送り込んで来た者であると判断して、シュンはギルアズに何者なのかと問う。

 

「あいつはお前と同じ乱暴者のソウスキーだ。どうしてあいつがここへ?」

 

「あぁ、大体に察しが付くな」

 

 ギルアズの口ぶりからして、ソウスキーと言う大男は粗暴な人物であるとシュンは察した。

 面々が着いて早々、ソウスキーはノーブルチームの面々に罵声を浴びせる。とても増援を出迎えるような態度では無い。あり得ない男だ。

 

「ちんたらしやがって、このクソッタレ共! お前らが身に付けているアーマーは重りでも付いているのか!?」

 

「おい、なんだこの大男は? 加勢に来てやったのに、いきなり罵声を浴びせて来るなんて」

 

『はいはい、殺し合いは後でやってちょうだい。解読には時間が掛かるわ』

 

「了解です。この戦いが終わった後に、奴の喉を切り裂きます」

 

「やってみやがれ。テメェの頭を斬りおとしてサッカーボールにしてやる」

 

 罵声を浴びせて来たソウスキーに対し、エミールはククリナイフを抜いて喉元を切り裂こうかと思ったが、ハルゼイに宥められる。

 後で殺すことを約束すれば、ソウスキーは中指を立てながら返り討ちにしてやると返した。

 この状況にも関わらず、殺し合いをしようとするエミールとソウスキーにカーターは注意する。

 

「おい、馬鹿なことは止めろ。敵がもうすぐ来るぞ」

 

「さて、コヴナントか? それともネオ・ムガルか?」

 

 カーターが一言注意するだけで、エミールとソウスキーは口喧嘩を止め、迫って来る敵に備えた。

 6が全てのタレットを起動して一同の元へ戻ってくれば、ラボに向かって来る敵の迎撃に備える。

 向かって来た敵は、ATのマーシィドックを中心としたネオ・ムガルであった。その後からミサイルランチャーを装備した重武装のスコープドックが数機ほど続いている。ラボごと吹き飛ばすつもりだ。

 

「正体不明の人型兵器接近! あれはネオ・ムガルって連中か!?」

 

「あぁ! あんなものをこの世界に持ち込むのが奴らだ! 装甲は軽装甲車並だ! 大口径弾を浴びせて操縦者を殺せ!!」

 

 ジュンはスナイパーのスコープに映ったATを見て問えば、シュンはATの装甲の脆さを知らせ、用意されていた重機関銃を撃ち込んだ。

 無人のタレットも射程に敵が入り次第、直ぐに大口径の弾丸を発射し、装甲車よりも劣る装甲であるATを次々と破壊していく。守る物も無い歩兵も同様で挽き肉にされるか、カーターやエミール、6、ギルアズが持つライフルを撃ち込まれて撃ち殺されるだけだ。

 装甲車や戦車もあるようだが、この世界では旧式すぎるためか、精強たる軍隊であるコヴナントの攻撃や防衛用タレット、ノーブルチームの迎撃を受けて破壊される一方だ。

 

「すげぇレーザー砲だ! コンセントが繋げればもっと良いぜ!」

 

 ソウスキーが持つスパルタンレーザーの火力は特に凄く、上空を飛んでいるバンシーも含め、一撃で撃破できるほどのレーザー砲であった。

 流石に何発も撃てないが、それでも火力は高い事に変わりはない。

 スパルタンの名前がついているが、専用の武器では無く、スパルタンプロジェクト開始と同時期に開発された兵器であるからこの名がついた。正式名称は別であると思うが。

 

「頭部を狙え! そこならパイロットを殺せる!」

 

「どれも頭が弱点か。ゲームじゃ無くて良かったぜ!」

 

 ギルアズは大口径狙撃銃を持つジュンに、ATの頭部を撃ち抜くように指示した。

 この指示の後にATの頭部を撃ち抜けば、操縦者が狙撃されて即死したATはバランスを崩し、数回ほどバウンドしてから動力源の燃料が引火して爆発する。

 三つ巴の状況であるが、コヴナントとネオ・ムガルが潰し合っているおかげでラボに来る敵は少ない。

 しかし気になる事がある。何故、ネオ・ムガルがラボを吹き飛ばすことなく向かってくるかだ。

 その謎が浮かんだカーターは、シュンに問わず、ギルアズに理由を問い詰める。

 

「ギルアズ。なんで連中はラボに砲撃しない? あれほどの装備があるのに。その方が効果的じゃないのか?」

 

「何故ラボを吹き飛ばさないかと? それは連中もデータを狙っているからだろう。小間使いの雑魚を送って来ず、頭の良い連中を突っ込ませているのが証拠だ!」

 

「なるほど。ハルゼイ博士、解読はまだですか?」

 

 ネオ・ムガルも、ハルゼイ博士のデータを奪うことを目的としていると分かれば、彼女に解読がどれくらい進んでいるのかを問う。

 

『もう少し時間が掛かるわね。未来から来た殺し屋とコヴナントが潰し合ってくれれば良いのに』

 

「全くです。では、なるべく急いでください!」

 

 双方が潰し合ってくれれば時間は稼げるのだが、その双方は余剰戦力を差し向けて来る。

 ネオ・ムガルの部隊を潰せばコヴナントの部隊が出て来て、コヴナントの部隊を潰せばネオ・ムガルの部隊が迫って来るとの繰り返しだ。

 そんな状況にも関わらず、ソウスキーは後先考えずにレーザーを撃ちまくっている。

 それでも防衛戦は素晴らしく、敵はラボから50m先まで進めず、解けるように死んでいくか、残骸を増やすばかりだ。

 残骸が遮蔽物の役割をしてしまっているが、ノーブルチームの面々に頭を見せるだけで直ぐに撃ち殺される。

 

「リロード!」

 

「クソッ、バッテリー切れか!」

 

 ここで重機関銃の弾が切れた。直ぐにシュンはカバーを要請して急いで再装填を始めた。

 同時にソウスキーが撃っていたレーザー砲もバッテリー切れを起こしたらしく、彼はそれを捨ててバトルライフルに切り替え、残骸から飛び出してくる敵兵に撃つ。重機関銃とレーザー砲が無くなった所為か、ネオ・ムガルは大挙して押し寄せて来る。

 

「バイクが突破して来たぞ!」

 

 弾幕を潜り抜けてオートバイクに乗った集団が突破して来た。もうラボまで目と歯の先だ。直ぐにエミールが知らせたが、まだシュンは重機関銃の再装填を終えていない。それにATの集団が後方に控えている。これらの攻撃を受ければ一溜りもないだろう。

 バイクに乗った集団は手にしている火炎瓶を投げ付けようとしたが、自分等の足止めをしていたネオ・ムガルの部隊を片付けたエリートの部隊がバイク部隊とAT部隊に襲い掛かった。

 ATとは言えこれも機動兵器であるが、単に歩兵に気休めの装甲を身に着けただけなので、対空砲の役割を果たせるはずもなく、上空のバンシーとファントムにバイク部隊と共に上から一方的に撃たれて全滅されるだけだ。

 そればかりかエリートに取り付かれ、彼らが手にしているエナジーソードで突き刺される。ATの装甲はエリートのエナジーソードを防げなかったようだ。そのまま次々と撃破されていき、後からやって来たレイスの砲撃を受け、全てがスクラップとなる。

 バイク部隊もバンシーやファントムの攻撃を受けてあっさりと全滅した。

 

「やれやれ、お次はエリートか。ギルアズ、銃座は任せる! 俺は奴らと一勝負つけに行く!」

 

「俺も行くぜ!」

 

 重機関銃の再装填を終えたシュンは、ネオ・ムガルの部隊を全滅させ、こちらに向かって来るエリートに挑むため、銃座をギルアズに任せ、自分は大剣を引き抜いて彼らに立ち向かう。

 ソウスキーも大振りの近接武器が得物なのか、何所からともなくフレイム型の大きなモーニングスターを取り出し、シュンと共にエナジーソードを構えて突っ込んで来るエリートの集団に立ち向かった。

 

「エナジーソード持ちはあいつ等に任せ、我々は兵器とプラズマガン持だ!」

 

 エナジーソードを持ったエリートの集団はシュンとソウスキーに任せ、カーターらはプラズマガンを持ったエリートや、バンシー、ファントム、レイスの排除を行った。

 一方、近接武器を持ったシュンとソウスキーは、同じ近接武器を持つ多数のエリート相手に奮戦していた。

 大剣を持つシュンはエリートの斬撃を躱しつつ、エリートのシールドごと切り裂くことが出来る刀身を凄まじい速さで振り下ろし、一体、一体をバラバラにしていく。

 普段なら纏めて叩き切れるのがスタイルなのだが、何分に相手が強く、それに恐ろしい速さで繰り出される大剣の刃を避ける個体も居り、時間が掛かっている。

 

「皆殺しにしてやるぞ! 顎割れ野郎共!!」

 

 モーニングスターと言う不利な武器にも関わらず、ソウスキーの方はエリートを圧倒していた。

 彼が扱うモーニングスターの鉄球は通常よりもやや大きく、シュンの大剣、ブレイズと同じく並の人間では扱いきれない代物だ。

 機動力も劣るはずだが、ソウスキーは235㎝と言う巨人にも等しい体格の持ち主であり、その大き過ぎる鉄球は彼の体格に合って高速で振り回せる物であった。

 無論、鎖に繋がれた鉄球はエリートのシールドをそれごと容易く潰せる物であり、鉄球に当たったエリートは吹き飛び、物言わぬ屍と変わる。

 

「おらぁ!!」

 

 ソウスキーが高速で振り回す鉄球でエリートを殺し続ける中、シュンは三振りか四振で確実にエリートを一体ずつ始末し続ける。

 鉄球を振り回すソウスキーから距離を取りながら。どうやら彼は興奮し過ぎて周りが見えていないようで、いつこちらに来てもおかしくない。

 

「どうだ顎割れ野郎共!? 俺の鉄球の味は!? 頭が吹っ飛ぶくらいに最高だろう!!」

 

「たくっ、とんだ迷惑な野郎だ!」

 

 こちらにも鉄球を振り回しながらソウスキーが来たので、シュンは向かって来るエリートの斬撃を躱すか防ぎつつ、周りを気にせずに鉄球を高速で回す巨漢から距離を取った。

 そんな大混戦を続けていれば、コヴナントに多大な損害を与えたのか、後退し始める。

 

「どうした!? まだ殺したり無いぞ!!」

 

「後退だな。態勢を立て直して整えてまた攻撃してくるぞ」

 

 敵が再編のために後退したので、ソウスキーは後退するエリートに怒りを現せば、シュンは一息ついて大剣を背に戻す。

 同じくそれを見ていたカーターは、ハルゼイに敵が後退したことを知らせる。

 

「ハルゼイ博士、敵は後退しました。再編してまた攻撃してくるでしょう」

 

『良くやったわ。私のラボへ入って来て。次はもう持ちそうも無いでしょ?』

 

「了解しました。全員、ラボに入れ! 急げ!!」

 

 知らせを受けたハルゼイは、次の攻撃を受ければ持ちこたえられないと判断して、ゲートを開けてノーブルチームの面々をラボの中に入る様に指示を出した。

 その指示に応じたカーターは、ゲートが完全に開いたのを確認すれば、全員に中へ入る様に指示を出す。

 

「まぁ、プラズマ弾でハチの巣にされるよりはマシだな」

 

 殺し足りないソウスキーも、次の攻撃を受ければ自分は死ぬと分かっており、ラボの中へ入る集団の後へ続いて入った。

 通路を全力疾走で駆け、研究室まで辿り着けば、神秘的な光景が一同を出迎える。

 

「なんだこれは…?」

 

 一同を代表してエミールが呟けば、隣にKOS-MOSに似た銀髪で褐色肌の女性を護衛にしているハルゼイが彼の呟きに答える。

 

「知識よ、古代文明から受け継がれた」

 

 端末の操作を終えたハルゼイは答えながら振り向けば、ノーブルチームの面々に視線を向ける。

 それから彼女はその知識を蓄え、管理者となったAIがノーブルチームを運び手として選んだことも告げる。

 

「このAIはその管理者。彼女は貴方たちをキャリアーに選んだわ」

 

「選ばれた? AIに」

 

 ハルゼイの言葉に、理解できないエミールはどういうことなのかをカーターに問うが、当の彼も彼女が考えは理解できない。

 端末を操作しながら、ハルゼイはエミールの疑問に答えた。

 

「えぇ、AIにね。彼女は貴方たちを評価している。私以上にね」

 

「私が行けば良いと思うが?」

 

 運び手としてAIに選ばれたことに、理解できないノーブルチームの面々であるが、隣に居るKOS-MOS似た女性は自分が適任だと口を挟んで来る。

 

「駄目よ。彼らでなくちゃ。貴方のような完全な戦闘向けのアンドロイドじゃ、途中で壊してしまいかねないわ」

 

「フン、改造された人間よりも私の方が早く宇宙船解体場に行けるぞ」

 

「失礼ながら彼女は?」

 

「あぁ、忘れていたわ。彼女はT-elos(テロス)。人間の女性の身体をベースとした戦闘型アンドロイドだわ。彼女を見る限り、今の私たちには無い技術力ね。安全な場所に着いたら、是非とも研究したいわ。おそらく、コヴナントに近い科学力の世界で作られているわね」

 

「はぁ…そうですか」

 

「コスモスって言うアンドロイドの姉ちゃんにそっくりだな。身体つき具合も」

 

 口を挟んで来た戦闘型アンドロイドと呼ばれている彼女の事を、カーターが問えば、ハルゼイはT-elosと言う名前の人間ベースのアンドロイドであると答え、自分等には無い技術が使われていてとても興味深い物であると熱弁する。

 これにカーターは呆れたが、シュンはKOS-MOSと同じスタイルの良さに、舌を巻いた。同時に似ているので、姉妹か同機種なのかを問おうとしたが、ハルゼイは話を元に戻す。

 

「話が逸れたわね。彼女をアソートにあるUNSCの宇宙船解体場へ連れて行き、そこのパルシオン級巡洋艦で脱出して。戦艦に改造された船だって言えば、分かるよね?」

 

「…了解しました」

 

 ハルゼイの指示に、カーターは戦争の勝利のための物であると判断して応じた。

 受け取る前に、ハルゼイはある事を告げる。それは、コヴナントと戦う術が分かるかもしれないと言う重要な物であった。彼女は端末を操作しながらそのAIがどれほど重要な物なのかを一同に告げる。

 

「いいわね? 人類に勝ち目はない。リーチが陥落してしまえば、人類の滅亡は確実だわ。ただし、この遺物からコヴナントと戦う術を学べば、戦況は変わる。十九世紀の円錐弾、二十三世紀の超高速移動の発明のようにね」

 

「もし失敗すれば?」

 

「他にある疑問があれば、答えはNOよ」

 

 このAIがあれば戦況は変えられる。

 確信があるというハルゼイの理論に、カーターは失敗した場合はどうなるのかと好奇心からか、彼女に問う。

 その問いに、失敗すれば人類に未来がない事を、ホログラムで映し出されたAIを見ながら答える。

 質問に答えたハルゼイは、そのAIを収めた大きなデータバンクを装置から取り出し、6の方へ向かい、それを手渡そうとした。

 

「あなたが選ばれたのよ。このAIにね」

 

 カーターに無言で取るように指示を出されれば、6はそのAIが居る円形を両手に取った。

 

「良いわね?」

 

「はい」

 

「託したわよ」

 

「何があっても、お届けいたします」

 

「頼んだわ」

 

 データバンクを受け取った6は、まるで自分の子供を取られるかのような表情を浮かべ、心配そうな表情を浮かべるハルゼイに向けて敬礼した。

 そのAIを受け取ったノーブルチームの面々は、待機している降下艇のペリカンの元へ向かう。

 既にデータ解読は終わり、その全てを自慢のAIに収めたので、もうこのラボには用は無い。機密保持のため、自爆装置を作動させた。持ち切れないデータは焼却処分しておく。

 ペリカンの元へ向かう中、シュンはT-elosにKOS-MOSとどういう関係なのかを問う。

 

「なぁ、お前とKOS-MOSの関係性だが…」

 

 問おうとした瞬間、T-elosは左腕からブレードを出し、刃先をシュンに向けた。どうやら、KOS-MOSを敵対視しているようだ。

 アンドロイドとは思えない彼女から湧き出て来る殺気で、シュンは地雷を踏んだと判断した。

 

「おっと、そいつは禁句だったか…」

 

「今度その名を言ってみろ。次は貴様の舌を斬りおとす」

 

「おぉ、怖い、怖い」

 

 T-elosより警告を受けたシュンは、彼女でKOS-MOSの名を出せば殺されると分かり、なるべく言わないようにしなくてはと決めた。

 警告したT-elosは左腕のブレードを仕舞い、ハルゼイの元へと向かった。




次回でリーチ編終了です。
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