飽きずに読んでくれたら嬉しいです。
草原の中にそびえ立つ、大きな樹。
すごく立派だ。雲まで伸びており、この樹がどれくらい大きいか予想がつかない。
「アリス、着いたね。これが緑の世界の中心にそびえ立つ、最終樹ね。」
「さいしゅうき?ここで終わりなの?」
「残念だけど、やっと入り口に来た所ね。」
まだ入り口なんだ。すぐにゴールがあるなんて甘い考えだよね。少しがっかりだな。
「さぁ、アリス行こうね」
「どこに?」
「この最終樹に次の世界に続く扉があるね。私はその途中まで送るね!」
「途中までしか来てくれないの?最後まで着いてきてくれないの?」
腕を前で組み、顔というより、紙袋が下を向いた。悩んでいるのかな?ウサギさんは上着からあの懐中時計を取り出した。
「うーん………、ごめんね。私には時間が限られているね。でも、一緒に行けるところまで行くね。それなら良いね?」
「……わかったよ」
うさぎさんがずっと居てくれたら、良かったのに……。心細いな。
「アリスなら一人で行けるね。自分を信じてね」
私が誰かなんか知らないのに信じようがないよ。
「着いたね。最終樹の根本ね!」
間近で見て、やはり大きい。でも、居心地ががいい場所だ。前にもこんな場所に来たことがある気がする……。もう忘れたけどね。
本当、私は忘れすぎてるな。
「アリス、こっちね!」
先に進んでいたウサギさんが手を振って呼び掛けてくれた。
「ごめんなさいウサギさん。この場所少し懐かしい感じがしちゃってさ」
「そうなんだね。こっちに入れ口があるから、樹の中に入っていくね」
「木の中に入るの?入ってどうするの?」
「まぁまぁ、落ち着くね。前にも言ったけど、焦りは禁物ね。一緒にくればわかるね」
そう言われて、ウサギさんの後をついて行くと扉が樹に付いている……付いているより埋め込まれているが正しい表現かな。
「ここから入るね」
ウサギさんが扉に手を掛けて、ゆっくり開けた。その先はあの時と同じ真っ暗闇だった。
「ウサギさん、ここに入るの?」
「そうね!これから先に行くには、入らないと行けないね」
「また落ちるんだよね?」
「落ちていくね。いや、堕ちていくかね………」
「それはどういう事?」
「今は知らなくて良いね。でも、いつかはわかる事ね。それをしっかりと見て受け止めてね」
ウサギさんの声がさっきまでとは雰囲気が少し変わった気がした。声が低くなり、冷たい感じした。
「取り敢えず、ここで止まっていたら、時間が持ったないね。入るね!」
ウサギさんが私の背後に回り、背中を押された。踏ん張ろうと思ったが、体が真っ暗闇に吸い込まれいき、そのまま真っ暗闇に落ちていった。いや、堕ちていった。
「きゃあああああぁぁぁぁぁ!」
落ちると予告されていたが、いきなり落とされるとは思わなかったよ。心の準備が欲しかったよウサギさんの馬鹿ー!!
「アリス、大丈夫ね。アリスなら、この世界を……いや、まだ判断するには早いね。アリスはどっちに行くのかね?」
紙袋を被ったウサギと名乗る者も真っ暗闇へ落ちていった。
あの落ちる感覚が突然無くなり、恐る恐る目を開けたら、そこにウサギさんがいた。辺りを見渡すと、壁床天井がピンクに塗られていて、窓も煙突もなく、あるのは真っ黒の扉が一つ奥にあるだけ。
「おはようね、アリス」
「おはよう、ウサギさん。ここはどこなの?」
「この部屋から出てみたら、分かるね」
ウサギさんが手を出して、私が立つのを手伝ってくれた。扉まで歩き、ウサギさんが開けてくれた。
その先はあの真っ暗闇ではなく、茶色の道があり、周りは緑に囲まれていた。よく見たら、緑が葉っぱ、道は木で出来ていいる。
「ウサギさん、ここってもしかして……」
「部屋から出てみたら、分かるね。一緒に行くね」
ウサギさんに連れられて、ピンク一色の部屋から出て、葉っぱのトンネルを抜た先が、さっきまで見上げていた最終樹のどこかの枝に立っていた。下を覗くと尋常じゃない高さで足かすくんじゃうよ。
「アリス、下を見るんじゃなくてあれを見てね」
ウサギさんの指さす方向には、樹に埋め込まれた黒い扉があった。
「あの扉の向こうに別世界に行ける扉があるね。アリス一人で行くね」
「えっ!ここでウサギさんとお別れなの?」
「この先からは私は行けないね。もうそろそろ時間が来てるから、ここでお別れね。」
「ウサギさん………ここまでありがとう」
「どう致しましてね。最後にアリスに聞きたいことがあるね」
「何?」
「木からなるものって何があるね?」
唐突な質問で私は即座に答えられなかったけど、さっきウサギさんから渡されたリンゴを見て、
「リンゴとか?」
リンゴを前に突き出して答えた。
「それも答えの一つね。私達の食べ物になるものが多いと思うね。でも、獲物を捕まえて捕食するものもあったりするね」
何を言いたいのかがさっぱり理解できない。すると、上から何か大きな塊が落ちてきた。落ちた衝撃で枝が少し揺れて、私は、その場にうずくまった。
「もう時間がないね。アリスこれを君にあげるね」
ウサギさんが懐から懐中時計を出して、私に渡した。
「さぁ、時間がもったいないから、急いであの扉まで行くね。たぶん、扉の先には階段があるから、上っていけば良いね」
「ウサギさんはどうするの?」
「私は、あいつの相手をしないといけないから、ここにいるね」
さっき落ちてきた塊の方を向いたウサギさん。私もあの塊を見た。黒くて丸い物体だったが、亀裂が入り、隙間から緑色の触手がにゅるにゅるっと出てきた。亀裂が増えて、どんどん触手が出てきて、最後に真っ赤な蕾が出てきた。徐々に開いてきて、花が咲いてきたがきらりと光ものが花びらに付いていた。水滴……尖って見えるけどあれはもしかして、
「アリス、あいつが動く前にあっちの扉まで走るね。私のことは気にしなくて良いからね」
「でも、ウサギさんは………」
「行くねアリス!」
必死なウサギさんが言った。私は扉の所まで走り出した。怖いよ……でも、私の後ろにはウサギさんがいる。もう一人じゃない……。
そして、私は扉の前まで来た。ドアノブに手を掛けて、扉を開けた。
つづく
まだ第一章続きます。次で終わりに出来るはずね。
早めに投稿します。