「ここにある木は、もう何百年も前に植えられていたものなんだよ。私がここに来てる理由は、木からリンゴが落ちてきて、とある人みたいに新たな発見を期待してるわけでなく、たださぼりに来てるだけなんだ。
君もそうじゃないのかな?………って、まだお子さまにはわからないか。
いつか、君も逃げたくなる時があるさ。でも、頑張ればどんな苦難な道でも進んでいけるさ。まぁ、こんなとこでサボってるおじさんに言われたくないよね………。さてと、睡魔が来たみたいだし寝るとしますか。
また機会があったら話してあげよう。お嬢ちゃん」
それはいつの記憶かはわからない。大きな木の下で寝そべっていたおじさん。顔がぼやけていたから、誰かはわからなかった。
でも、さっきの夢は私の記憶なんだろ。だいぶ前の記憶だけど、これから少しずつ思い出せるようになってきたんだ。少しずつか………。
あの最終樹の階段から落ちて、真っ暗闇に吸い込まれて、今居る場所は………どこだろ?
見覚えが全くない。記憶がないのだから当たり前か……。
どこかの廊下かな?黒の壁と天井で等間隔に配置されてるロウソク。床は緑色のじゅうたんが敷かれており、先が見えないほど長い廊下。
左か右どっちに進もうかな?私から見て左を進むことにした。
最初に来た薄暗い部屋と似ている気がして、また戻ってきたのかな?突然落ちるのはやめて欲しいな。
私にだって、心の準備が必要なんだよ。絶対、トラウマにな……なってます。そんなことを考えながら、緑色のじゅうたんが永遠と続いている廊下を進んでいく。
どれ位歩いたかは分からないが、やっと扉を見つけた。今回は真っ黒の扉ではなく、じゅうたんと同じ緑色だった。
ドアノブがまた取れるんじゃないかと思いながら、回してみた。
「ガチャリ」
扉が開き、部屋に入って目に付いたのが天井からぶら下がっているシャンデリアン。その下には大きな丸テーブルと椅子が二つ置かれているだけ、後は特に物などはない。
扉もないし、ここで行き止まりみたい。誰かがいると期待していたが、外れてしまった。
次は逆の方向に歩いていこう。また長い道のりになるんだと思うと、疲れちゃうな。
「もう帰ってしまうのかいアリスよ」
後ろから声が聞こえた。私はドアノブから、手を離して振り返った。
さっきまで誰もいなかった部屋に、椅子に座っている男の人がいた。
紫色の髪、左目に眼帯、真っ白のスーツ、赤いネクタイキチッと着ている少年がいた。
丸テーブルにはシルクハットがおいてある。
「待たせてすまなかったね。紅茶をご馳走しよう。おいで、アリス」
また不定期に配信すると思うのでごめんなさい