「すぐ帰って来るつもりが少し寄り道をしてしまって遅くなっちゃったよ。ごめんねアリス。
ほら、紅茶を淹れたから、飲んで飲んで!」
背後から声をかけないでほしい…前のウサギさんで少しトラウマになりつつあるんだから、と言うよりこの少年はどこから現れたの?
さっきまで誰もいなかったのに、扉あったっけ?
しかも、紅茶を淹れてくれたみたい。でも、あのカップとポットもどこからでたのかな?
「もしかして、紅茶嫌い?ちょっと待ってね!」
その人はシルクハットに手を突っ込み始めた。肘まで入れていたが、次第に肩まで入ってしまってた。そんな深くないよね?あれかな、ウサギさんと同じパターンかな…。
「あったあった!コーヒーはいかがですか?」
「………じゃあ、頂きます」
「ほら、こっちに来て座ってよ!あれ?僕としたことが、お菓子を出してなかったな。アリスはどんなお菓子が好きかな?僕なら、何でも出せるよ!」
「……それじゃあ、クッキーで良いかな?」
「アリスが求めるものなら、僕が出してあげるよ!」
またシルクハットに手を入れて、次々と色んな種類のクッキーを出した。それにチョコやパンケーキも出して、さらに沢山のお菓子を出してくれたみたい。
「さぁ、アリス!お菓子パーティだよ!」
そう言って、少年はお菓子を食べ始めた。私も恐る恐るクッキーを一つを手に取り食べてみた。
「……美味しい」
「アリス!まだまだお菓子あるから、食べて食べて!」
「あ。ありがとう。…そう言えば、君の名前を教えてもらえるかな?」
「僕かい?えーと………ハットンと呼んで!」
このパターンは、ウサギさんと同じだ。何で名前を隠す必要があるのかな?
「ハットンさんは、この世界の住人なのですか?」
「さんづけしなくても大丈夫だよ!ハットンって呼んでね!」
「じゃあ、ハットン君で良いかな?さすがに初対面の人を呼び捨てにできないからね…」
「むぅー、仕方ないな。アリスがそうしたいなら、文句は言わないよ」
と言いつつ、ちょっと拗ねてるようだ。やっぱり、子供なんだな。しかし、この子は不思議なシルクハットを持っているようだ。最初は、手品か何かかと考えていたが、あれはウサギさんの上着と似たようなものかな?
今さら驚くことはなかった。最終樹で色々あったし、ウサギさん、大丈夫かな?
「アリス?暗い顔してどうしたの?」
「えっ?あぁ…ちょっと考え事しちゃって、ごめんね。この珈琲美味しいよ」
「でしょ!!僕が淹れたから、美味しいんだよ!」
少年の無邪気な笑顔をみて、あんな恐ろしい出来事を少しでも忘れられるような気がした。
「アーリース、ゲームして遊ぼう!」
「ゲーム?何したいの?」
「アリスが持ってるトランプで遊ぼうよ!」
「うん?トランプなんか私持ってないよ」
「え…………?」
なぜ、トランプを持っていないことに驚いてるの?さっきまでの楽しい雰囲気が、一気に変わってしまった。
「アリス、変なこと聞くけど、この部屋に入るとき何かした?」
「……特になにもしてないよ」
「何もしてないか………、アリスは他に何か持ってる?」
そういえば、ウサギさんから貰った懐中時計があった。
私はポケットの中を探して、懐中時計を出した。
「う、嘘でしょ………、アリスがなぜそれを持っているんだ。あの人がまた遊んでるのか……」
あの人?まさか、うさぎさんのことじゃないよね。
「ハットン君どうかした……」
(パチッン!)
ゆびを鳴らす音が部屋中に響き渡った。その瞬間、ハットン君がシルクハットから出した物が次々と動き出した。
「え、えっ!?何が起きてるの?」
「アリス、僕と勝負だ!」
動き出した物達は、シルクハットに吸い込まれるように入っていき。テーブルには、トランプの箱が二つだけが置かれていた。
のんびりし過ぎないように、次出せるようにします。