IS The harlequinade/leading role 作:サヴァヴァヴァ
前回:●REC準備OK
side二階堂勇気
ついにクラス対抗戦の日が来た。
整備室に行く前にアリーナの方を少しばかり見たが、あのアリーナ絶対収容できる人数オーバーしてるだろ…
この場にいるやつらのお目当てはおそらく織斑の試合だろう。
織斑の試合が終わればこの場にいるやつらの大半はアリーナから出て行くんだろうな…
ガラガラになったアリーナで織斑の試合が終わった後に試合をする奴を思うと少しだけ気の毒に思った。
俺は整備室に来る前のことを思い出して現実逃避をしていた。
「ちょっと!ぼーっとしてないで早くそこにあるブレードを持ってきて!」
「はいはい!」
「はいは一回!」
今整備室はどこかのアイドルのライブもかくやと言わんばかりの熱気に包まれていた。
ISの細かな整備をすることで精神的に疲弊する者。
カートを使うとはいえ重いISの武器を持ち運ぶことで汗だくになりながらも働く者。
そして気を抜けばミスが発生し、それにより言い争いが起こりわずかな体力も消費される。
今この整備室で起きていることはたぶん他の整備室でも起きているだろう。
原因は人手不足によるものだ。
俺が整備室にいる理由は人手不足だから整備課の先生に頼まれているからだが、当日に整備室に行くと予想以上の人での少なさと整備室にある机にうなだれている俺を呼んだ先生が俺を歓迎してくれた。
「…どうしたんですか?」
「二階堂君…ちゃんと来てくれたんですね……」
この先生…今にも燃え尽きてしまいそうだ…
「あはは…聞いてくださいよ…今日来てくれるはずの人達の何人かがやっぱり試合見に行くとか言い出してドタキャンしたんですよ…」
なんとまあ…
「じゃあどうするんです?この人数でやると?」
「そうなります…多分織斑君の試合が終わったら何人かは来てくれると思うんですよ…まあ希望的観測ですが……」
そう言い終わると先生はふらつきながら整備室から出て行った。
「どこ行くんだろう?」
「たぶん他に来てくれる人探すんじゃない?…まあいないだろうけど…」
俺は俺の疑問に答えた人物を見るとそこには更識の専用機を作るのを手伝ってくれている二年生
の一人がいた。
「あなたもいるんですか?」
「そりゃあ整備課だからね。私みたいに駆り出されている奴は何人もいるよ?他の整備室に行ってるけど」
まあそりゃそうか…
すると搬入口の方から打鉄をカートに乗せた生徒がやってきた。
おそらくこの生徒がクラス代表なのだろう。
「すいませーん。整備頼みたいんですけどー」
「わかったわ。おしゃべりはこれまでにして始めますか」
彼女はそう言うと指の骨を鳴らしながらカートの方に歩いて行った。
整備室に掛けられている時計を見ると最初の試合が始まるだいたい10分前だった。
搬入口を見ると今度はラファールをカートに乗せた生徒がやってきた。
「それじゃあ俺も気合入れて頑張りますか」
俺はラファールを乗せたカートに近づいて整備を始めることにした。
それがだいたい10分前だったが…
「ちょっと!まだなの!」
「少しぐらい待ちなさいっての!こっちはまだ整備中なの!」
搬入口には整備待ちのISが三機並んでいる。
「ここはこうで…こっちはこうすると…ああもう!間違えた!」
「あ…あの、大丈夫ですよね?」
「ええ大丈夫よ。何とか間に合わせるわよ…あ…またミスった…」
細かなデータ設定を打ちこんでいるいる生徒は間違え、それに苛立ちさらなるミスが起きる。
「ぜーっ…ぜーっ…重い…」
「早くアサルトライフルを持ってきてちょうだい!」
「ちょっと待ってて…今水分補給したら運ぶから…」
中には今回のことを見越していたのかスポーツドリンクを持ち込んでいる生徒もいた。
俺はブレードを運んだ後にデータの設定やSEの補給をしている。
なんでこんなことに…
IS学園には三つのアリーナがあり、今日はそれぞれの学年でアリーナを一つづつ使用している。
そして整備室は確か二つか三つくらいあって同時に三機の整備が可能だが人手が足りないから今は同時に二機しか整備ができない。
そして試合が終わったらすぐに次に試合が始まるため、そのために何機も整備室へと持ち込まれる。
まあ持ち込まれるのは基本的には訓練機だが…
だが一回の試合で使われるISの数は6-x(この場合のxは専用機である)で、それが何機も持ち込まれ続ければ…
「あーもうやってらんない!早く誰か手伝いプリーズ!」
今俺と一緒に整備をしているような整備課の生徒のようになる。
まさに猫の手も借りたい状態だ。
クラス代表どもは何をしているかだって?
「すごいね織斑君」
「まだ乗った時間が少ないのに相手の攻撃を何とかしのいでるなんて…」
整備室にあるモニターで観戦をしていやがる。
このモニターはあとどれくらいで試合が終わるか知るためのものであり、これであとどれくらいの時間で整備を終わらせなければならないかを考えるためのものでもある。
「見てないで手伝ってほしいもんだ…」
俺が小声で愚痴を漏らした時だった。
モニターから爆音が響き、整備室に突然謎の振動が発生した。
「……は?」
今整備室は時間が止まっているのではないかとすら思うほど誰も動かなかった。
この場にいる誰もが思考を停止させていた。
するとモニターの映像は止まり、思考を再び稼働させ始めた。
なんだ今のは…事故か?
すると整備室にあるスピーカーから突如放送が流れだした。
「第一整備室!聞こえてますか!緊急事態です!可能な限りその場から動かないで次の放送があるまで待機していてください!」
放送はそれだけ伝えると終わった。
「ちょっと…どういうこと…?」
「わからないわよ…」
この場にいる人間に不安が伝染していく。
「あのさあのさ、もしかしたらアリーナのシールド発生装置が故障したとかは?」
「それじゃあさっきの爆音とかあの振動は何よ?」
「うーん…」
「もしかして…」
「どうかしたの?」
「もしかしてね…どこかの国がIS学園に向けて攻撃してきたとか…?」
「……それはないわよー!」
「そ、そうだよね!さすがにそれはないよね!」
……もしかして本当にそれが起きたんじゃないだろうな…
「とにかく待つしかないか…」
アリーナには一応ドリアンズがいるからあとで何が起きたかはわかる。
このまま待つか…
それから何分か経った後に放送が流れ事態が収束したことが告げられた。
何が起きたかアリーナにいた生徒に聞こうとしたがどうやら箝口令が敷かれたらしく、誰も何が起きたかについては一切語らなかった。
結論から言うとクラス対抗戦はあのまま中止となりフリーパスもおじゃんとなった。
織斑が試合をしていたアリーナは封鎖されていて、翌日アリーナに行くとすでにここで起きた何かの痕跡はなくいつもと変わらないアリーナがそこにあった。
事件のあった夜、俺はドリアンズが撮影していた映像を見た。
ドリアンズは映像の撮影のみで音声が取れないのは残念だが…
映像は織斑の試合が始まる少し前から始まった。
すると試合が始まり二組の凰が織斑へ切りかかり、それを織斑は何とかブレードを呼び出して防いだ。
織斑達が何かを話した後に突然織斑の頭がまるで殴られたようにぶれた。
そして凰はまた攻撃を繰り出し、織斑が距離をとろうとするといきなり織斑は後ろから何かで攻撃されたのか距離をとることに失敗した。
それからは凰の一方的な攻撃が始まった。
織斑はそれを何とか捌いていたが、たまに織斑の振るう腕は妙な動きをして凰の攻撃を防ぐことができていない。
一体どうしたんだこいつ…
確か小耳に挟んだが凰の専用機は確か第三世代だったよな…
つまりさっきから織斑に起きてる怪奇現象はこいつによるものと考えていいだろう。
こいつの第三世代の武器は何なんだろうか?
見た感じ多分ステルス系の武器だと思うが…
ついに織斑は凰の攻撃に耐えられずにブレードが後ろに飛ばされた。
凰は全力の攻撃を織斑に食らわせようとして両腕に持っていた武器を振り下ろした。
織斑はそれをなんと後ろに瞬時加速することによってかわした。
そして織斑の行った方向にはブレードがあり、それを織斑はキャッチした。
織斑がもう一度瞬時加速をして零落白夜を発動し、凰に切りかかった時だった。
突然爆発が起きた。
あの時の爆発はこれだったのか…
俺はそれに多少の吐き気を覚えたが、何とか続きを見る。
映像を見てるとアリーナに海堂がやってきた。
こいつ放送無視してやってきたのか?
ドリアンズの映像はここから二つに変わる。
一つは織斑達を映し、もう一つはアリーナの中央の地面の辺りを映している。
アリーナの中央からはおそらく爆発があったからか黒煙が上がっている。
すると黒煙は晴れ、そこに二機の奇妙なISが立っていた。
片方は腕が長いISでもう片方は4本の腕と四つの大きな盾を持つISだ。
そしてこいつらは
ISは基本的に防御はSEを使ったバリアで行われるため全身に装甲をつけるのはSEを節約したいからかそれとも別の理由があるからの二つだが…
すると二機は動き出し織斑達に近づき始めた。
織斑達も動き始め、どうやら織斑と凰は腕の長いISの相手を、海堂は一人で四本腕のISと戦うようだ。
俺はまず織斑と凰の戦いを見ることにした。
このISはどうやら両腕からビームを撃てるらしく、それで織斑達を狙って撃っている。
織斑達はそれをかわしながら接近し織斑は切りかかった。
だがこのISはどうやら体の何か所かにスラスターが付いてるらしく、何の予備動作もなしに織斑の攻撃をかわした。
そしてこいつはまるで体をコマのように回転しながらビームを乱射した。
織斑は何とかその反撃をかわして距離をとった。
今度は凰が接近して攻撃をしたが織斑の時の繰り返しだった。
その後も二人は手を変え品を変え攻撃を繰り出すがそのどれもが不発に終わった。
織斑達は離れて何かを話している。
ISは攻撃をしないで待っている。
今絶好の攻撃チャンスだがこいつは攻撃しない。
こいつ…一体何の目的で襲撃したんだ?
突然織斑達はどこかに視線を動かした。
放送室だ。
そこには篠ノ之がいて肩で息をしている。
こいつ何しに来た?
するとISは腕を放送室に向けた。
ビームを発射させる気だ。
織斑もそれに気づいたらしく奴の射線を遮るために奴の前へと移動した。
だがこれでは織斑が代わりに攻撃を食らってお終いだ。
しかし織斑はそれだけでは終わらせなかった。
織斑は瞬時加速を行いあいつの右腕を
…は?
こいつ何の気の迷いなしに腕を切り落としやがった!
何のつもりだ?
俺が混乱していると奴は何の痛がるそぶりも見せずに織斑を左の拳で殴りつけた。
おそらくこの一撃からさらにビームを撃ちこもうとしたのだろう。
でもそれは失敗した。
奴の背後から何かが攻撃したのだ。
ドリアンズはその何かを映した。
そこにはオルコットのビットが四基あった。
奴は体の何か所から爆発が起きて落下し、動かなくなった。
織斑達が勝ったか…
だがそれだけでは終わらなかった。
突然奴は左腕のみを織斑に向け、おそらく残った力のすべてをつぎ込んだであろうビームを織斑に撃った。
織斑は奴が動いてることに気づき、奴にとどめを刺そうとした。
両者の攻撃はほぼ同時に当たり織斑は倒れ、あのISは今度こそ停止した。
織斑はたぶん生きているだろう。
問題はあのISだ。
奴は右腕が切られ、そのうえオルコットの攻撃を受けた後に体の何か所からか爆発が起きた。
それでなぜ動けた?というか生きてた?
実はどこぞのシューティングゲームよろしく四肢を切断した状態で操縦していたとか?
だがそれではあの爆発に耐えられるとは思えない。
もしかして人が乗っていないとか?
しかしISは人が乗らないと動かない。
謎だ…
映像は止まり、今度は海堂の映像を映した。
海堂は呼び出していたアサルトライフルで盾を持ったISを撃った。
だがそれで奴にダメージを与えることはできなかったようだ。
盾のISは盾を前面に構えながら海堂へ突進した。
海堂はアサルトライフルを収納すると大剣を呼び出した。
海堂は奴の突進をかわして奴を切った。
だが海堂の表情を見るにおそらくダメージを与えられなかったのだろう。
盾のISは海堂の攻撃の後に海堂に爆発的な加速で突進をした。
海堂は防御をしたが、奴と海堂が接触したと思った瞬間爆発が起きた。
盾からミサイルでも発射されたのか?
海堂は奴に追いかけまわされたが、奴はまた爆発的な加速を行い海堂の足を掴んだ。
奴の足を見ると、奴の足から火が吹いていた。
あれが奴の加速の正体のようだ。
奴は掴んだまま海堂を地面に叩きつけた。
海堂はその後別の銃を呼び出し、弾丸を操り奴の顔面に叩き込んだ。
だが奴の顔面にあったセンサーレンズの一つを破壊するだけに終わった。
奴はそのあと何度も海堂に盾を叩きつけた。
そのたびに何度も爆発が起きた。
何度かの爆発の後、奴は海堂を開放した。
すると奴と海堂はどこかに視線を動かした。
そこは放送室だった。
盾のISは放送室に向けて突進した。
このままでは奴が放送室に衝突して篠ノ之はミンチになるだろう。
しかし海堂は大剣を呼び出してその場で振るった。
すると大剣が伸びて、奴を拘束した。
あの剣蛇腹剣だったのか…
奴が拘束から逃れようとしている時に剣を何かの光が通りすぎ、奴は暴れだした。
何秒か経った後に奴は動かなくなった。
そして映像はそこで終わった。
いくつか疑問はある。
あの武器の光は何だ?
おそらくあの武器の光はレーザーか何らかの物理的ではない攻撃だったのだろう。
あの盾持ちのISは見た感じ超物理防御特化型のISだったのだろう。
そして海堂はあの武器で奴を倒した。
それはわかる。
だがそれよりも大きな疑問はある。
なぜ海堂は奴の弱点とも言える武器を持っていた?
海堂はクラス代表決定戦の時にあの使い方をしていなかったことからあの使い方を知らなかったのだろう。
だが今回の戦いで今までの自分の戦い方では倒せない敵が現れ、海堂は『運よく』新しい武器の使い方を知り敵を倒した。
おかしいだろう?
なぜタイミングよくあの使い方を知った?
他にもある。
あの戦いは下手すれば死んでいてもおかしくないものだった。
なのにあいつは臆することなく敵と戦った。
いくらISがあるとはいえ今まで普通の生活をしていたであろう子供がいきなり命を落としかねない戦いで何故ああも戦えた?
考えればきりがない。
俺は映像を少しだけ巻き戻した。
映像には海堂が映されている。
俺は今まで海堂を妙な奴だと思っていた。
だが今は違う。
俺には今海堂が得体のしれない化け物のように見える。
運がよかった?
あいつが勇敢だった?
いや、違う。
それだけではない。
それだけじゃあ断じてない。
だが俺はそれに対する答えを持ち合わせていなかった。
海堂優人
世界で二番目の男性IS操縦者
お前は
お前は
お前はいったい何なんだ?
ノッブかわいいよノッブ
今回勇気君が優人君の主人公補正に気づきかけました。
まあ描写が下手でしたけど…
もしいい書き方が思いついたら修正したい…
1月9日に修正ちょっと削る
次回 慎編 第一話 物語が始まる前の物語へと至る話
この話書いたら次の話は閑話にするつもりです