IS The harlequinade/leading role 作:サヴァヴァヴァ
だとしたらアルクェイドはファニーヴァンプだろうか?
前回:シャルロットちゃん?とエンカウントした が なぜか『男』としてIS学園に来ていた
side二階堂勇気
俺は自分の目を疑った。
しかし俺の片目は義眼であるからそんな変なものを見るとは思えないが…
「シャルル・デュノアです。フランスから来ました。この国では不慣れなことも多いかと思いますが、皆さんよろしくお願いします」
シャルル(仮)は笑顔で礼をした。
……何度見てもシャルロットちゃんにしか見えない。
他人の空似にしてはあまりにも似すぎている…
確か…シャルルはシャルロットを男性名にした時の言い方だっただろうか。
そして…デュノア…フランスに確かISの開発をしているデュノア社という会社があったが…
……デュノア…前にもどこかで聞いたような………何時だったろうか……
「「「「「「「きゃあああああああああああああああー!」」」」」」」
「いっ…つ」
突然の黄色い悲鳴に俺はうるさくて片耳を抑えてしまった。
「男子!三人目のちゃんとした男子!」
「しかもうちのクラス!」
「美形!守ってあげたくなる系の!」
「今年の一年生のこのクラスになれて本っっ……当!によかった!」
どうやらこのクラスの女子達は彼?の容姿をひどく気に行ったようだ。
あと三人目発言した奴、お前絶対余計な一言言ってもめ事起こすタイプの奴だろ。
「あー、騒ぐな。静かにしろ」
織斑千冬が面倒そうに言った。
こいつの注意で出席簿がないとは驚きだ。
「み、皆さんお静かに。まだ自己紹介は終わってませんから~!」
山田先生も大変だな…
そう言えばもう一人いたな、転校生。
シャルロットちゃんのインパクトが強すぎてすっかり忘れてた。
俺は横に立っている人物を見た。
身長だけで言うならば中学生。
しかしつけている厨二臭い眼帯と外国でもあまり見かけない銀髪。
そして近くにいたら二、三度は体感気温が下がりそうな冷たく近寄りがたい雰囲気からある種のアンバランス差の様なものを感じる。
奴はクラスを見渡している。
あれか?このクラスにいる人間を品定めでもしているのだろうか?
「……挨拶をしろ、ラウラ」
「はい、教官」
織斑千冬にラウラと呼ばれた少女は織斑千冬に敬礼した。
こいつなんで敬礼しているんだ?
いくら織斑千冬が女どもから崇拝というか畏敬の念を持たれているからといって敬礼するのは…
…いや…待てよ……?
こいつ教官と言ったか?
確か……第二回モンド・グロッソの時だったか…
モンド・グロッソとはISの競技の世界大会だが織斑千冬は日本の代表として参加していた。
モンド・グロッソには射撃の腕前を競い合う射撃部門、剣やら槍やら果てはデカいハンマーなど近接戦闘用武器で戦う格闘部門、そして銃やらミサイルやらさっきの近接格闘用武器などすべての武器が使える総合部門がある。
そして織斑千冬は第一回の日本で行われたモンド・グロッソで格闘部門・総合部門の二つで優勝し、総合優勝を勝ち取ったのだ。
俺もその第一回は見た。
そして織斑千冬の戦いぶりを見た。
その戦いぶりを言い表すなら「圧倒的」「レベルが違いすぎる」だ。
格闘部門では他を寄せ付けず、総合部門では銃は使わず剣一本で戦った。
モンド・グロッソの優勝者たちは「ヴァルキリー」と呼ばれるが、織斑千冬はその強さ、公式戦において無敗という偉業、ISに関する知識や操縦技術により「ブリュンヒルデ」……世界最強と呼ばれるのだ。
そして第二回で事件が起きた。
ドイツで開催された第二回モンド・グロッソに出場していた織斑千冬がなんと決勝戦の場に現れなかったのだ。
そして試合の結果は奴の不戦敗、相手のイタリア…だったか…その国の代表が不戦勝になった。
一応体調不良と発表されたがあんな暴君がそう簡単に体調を崩すとは思えんが…
そしてモンド・グロッソが終わってから一週間後、あるニュースが流れた。
織斑千冬が日本代表を辞退、現役を引退したというものだった。
そのニュースが流れた日の夕刊の一面を奴が飾ったことは言うまでもないだろう。
次の日からニュース、インターネットでは凄まじいレベルで情報が錯綜した。
本当に体調不良だった説や出場する時間を間違えていたという説、果てはそれ言っちゃいかんだろというやばい説などをインターネットを検索して俺は見た。
そして次によくあったのが織斑千冬は次の職業は何をするのか?というものだった。
織斑千冬は若く、今後十年以上は現役を続けられるという話もよく聞く中での引退だ。
人々が奴の今後を知りたがるのも無理はないだろう。
そして奴が引退してから一カ月後、奴はなぜかドイツでドイツ軍のIS部隊の教官をしていた。
これはドイツにいた織斑千冬のファンが自国で織斑千冬を見つけテンションが上がり携帯で撮影しそれをインターネットにアップ、その後世界中からドイツの政府やらなにやらに問い合わせが殺到し最終的にドイツ政府が発表することにより奴がドイツで教官をしていることが発覚したのだ。
つまりこのラウラという眼帯は奴のドイツで教官をしていた時代の教え子ということか。
「ここではそう呼ぶな。もう私は教官ではないし、ここではお前も一般生徒だ。私のことは織斑先生と呼べ」
「了解しました」
織斑千冬にそう言われたがこいつ理解してるかどうか…
「ラウラ・ボーデヴィッヒだ」
………これで終わりか…?
織斑と同レベルだぞ…
「あ、あの、以上……ですか?」
山田先生…この感じだとたぶん聞いても無駄な気が…
「以上だ」
……マジで織斑とほとんど変わらん…
その後ボーデヴィッヒは歩き出した。
ボーデヴィッヒは織斑の前まで行くと突然平手打ちを織斑へとお見舞いした。
………は?
俺はあまりの出来事に思考が停止しかけた。
こいついきなり何やってんだ?
転校初日でかつての教官の弟に平手打ちを食らわせるとか何考えてるんだ?
「う?」
織斑も何が起きたのか理解できていないのか間の抜けた声を出している。
「私は認めない。貴様があの人の弟であるなど、認めるものか」
ボーデヴィッヒは憎憎しげに言った。
「いきなり何しやがる!」
織斑はボーデヴィッヒにキレ気味に怒鳴った。
そりゃまあおそらく初対面の人間にいきなり平手打ちを食らわせられれば怒りたくもなるが…
「ふん……」
しかしボーデヴィッヒは無言で空いている席まで歩き、その席に座り腕を組んだ。
「あー……ゴホンゴホン!ではHRを終わる。各人はすぐに着替えて第二グラウンドに集合。今日は二組と合同でIS戦闘訓練を行う。解散!」
何とか空気を変えようとしたのか織斑千冬は咳ばらいをし、指示を出した。
とりあえず女子達が集まってくる前に早く更衣室に行くか…
俺はあることを思い出していた。
それはこの学園に入学した初日からの何日間のことだ。
俺達がいる教室の入り口に他のクラス、同じ学年や二、三年生の女子達がそれはもうすごい数がいた。
それこそ街頭テレビクラスでだ。
そして今このクラスにはおそらく男子であるはずの転校生がいる。
他のクラスでも今頃このクラスに転校生がいることを聞かされているはずだ。
そうなると初日からの何日間と同じだ。
この教室の入り口に大量の女子が集まり出られない、もしくは移動中に囲まれて砂糖に群がる蟻のような状態になりかねない。
俺は大丈夫だと思うが念には念を入れてだ。
もう移動しよう。
うん、そうしよう。
俺は小走りで教室から出て行った。
一階に降りて廊下を移動していると他のクラスがざわついていることに気が付いた。
前にも他のクラスがホームルーム中の時に移動していることがあったが、その時はここまでざわついていなかった。
どうやら俺の予想は当たっているようだ。
「行くわよ!」
「ええ!噂の男子転校生を見に!」
通り過ぎようとしたクラスから女子が二人飛び出してきた。
そしてダッシュで階段の方へと向かった。
「いたっ!こっちよ!」
「者ども出会え出会えい!」
後ろから時代劇のようなセリフが聞こえ、後ろを見るとそこには織斑達が何人かの女子達に絡まれていた。
まあ俺には関係ないがな…
更衣室に行くために俺は前を見るとそこには大量の女子が迫りくる光景があった。
まるで暴動だ。
そして女子達は俺には目もくれずに走り去っていった。
その時に足は踏まれるわ体に腕やら肘が当たるわ散々な目に遭った。
そして後ろから女子達の姦しい声。
「……はぁ」
俺はとりあえず奴らが走ったことで制服についた埃を落とし、今度こそ更衣室に行こうとした。
―――――おーい!勇気!ヘールプ!助けてくれー!」
しかし後ろから聞こえた声が俺の足を止めた。
後ろを見るとそこには手をぶんぶんと必死に振っている織斑が女子の集団の中からわずかに見えた。
どうやら俺にこの状況を何とかして欲しいようだ。
俺は考えた。
授業が始まるまでの残り時間、俺の身体能力、俺のこの学園での扱い、織斑達の周りにいる三十人強の女子達…
そして俺の頭は冷静にある答えをたたき出した。
どう考えても無理――――
うん、どう考えても無理だ。
そして俺はこのことを織斑達に伝えるために首を横に振った。
やるだけのことはやった。
俺は織斑達を見捨てて更衣室へと走り出した。
俺は更衣室に着くと目についたロッカーを開けて制服を脱ぎだした。
おそらく織斑達は俺が更衣室を出てから少しした後にこの更衣室に来るだろう。
しかしISスーツを着るのに手間取るはずだ。
ISスーツはダイバースーツをもとに製作したのかなり着づらいのだ。
専用機の場合ISスーツを拡張領域に収納できるが、その場合SEがISスーツを出すとほんの少し削れてしまうのだ。
試合の時に両方SEを100%にしなければいけないのにこれをすると99.9%位になってしまうのだ。
だから基本的にISスーツはISを動かすごとに着なければいけないのだ。
そして俺は着替えるのが面倒だから最初からISスーツを来ている。
小学生がプールの日にパンツではなく水着を着て登校するようなものだ。
そもそも俺のISスーツは織斑達のISスーツより着づらいのだ。
織斑達がへそ出し短パンTシャツのような状態なのに俺はほとんどダイバースーツと変わらない。
せいぜい腕の部分が半袖になっているくらいか。
そんなことを考えているうちに制服は脱ぎ終わった。
俺は壁に掛けられていた時計を見るとあと三分ちょっとしかなかった。
まあ頑張れば十分間に合う時間だな。
俺は速足でグラウンドに向かった。
グラウンドにつくとそこには一組と二組の女子が列を作って並んでいた。
俺も一組の列に並んだ。
織斑千冬も山田先生もすでに前にいた。
織斑千冬は腕時計を見ている。
まだ織斑達は来ない。
少し待つと織斑達が走ってきた。
「二十秒遅刻だ。早く並べ」
なんと!あの暴君が出席簿なしとは!
もしかして転校生が来たからいいとこ見せようとでも思っているのか?
「ふう…では本日から格闘及び射撃を含む実戦訓練を開始する」
「「「「「はい!」」」」」
女子達は元気に返事したが時間足りるのか?
今日は午前と午後の両方がISの授業なのだが全部実践訓練に使います!とはならんだろう。
「さて、まずは訓練を始める前に実際に戦闘を見てもらった方がいいが…」
何か考えでもあるのかそれとも今考えているのか織斑千冬は俺達を見ている。
「ふむ…それじゃあ…凰、オルコット、今回はお前らにしてもらう」
「私達ですか?」
オルコットは突然選ばれたことに困惑している。
「専用機持ちはすぐに始められるからな。それとお前達を選んだ理由だが適当に選んだだけだ」
「てきとう…かぁ」
適当の意味が間違ってないならこの二人を選んだ理由はちゃんとあるということだが…
「とにかく、前に出てこい」
二人は織斑千冬の命令通りに前に出た
「これからお前達にはある人物と戦ってもらう」
「お前達…ということは二対一ですか?」
「そうだ」
「さすがにそれはやりすぎな気が…」
「安心しろ。今のお前達ならすぐ負ける相手だ。今呼ぶから待ってろ。山田先生!そろそろ降りてきてください!」
……山田先生!?
突然、空から飛行機か戦闘機のような音が鳴り響いた。
………ああ…そうか、思い出した…山田麻耶…昔日本の代表候補生だったな…
俺はIS学園に入学する前に、織斑千冬以外の教師はどんな人物がいるのか気になり入学生に送られる学校生活のパンフレットや、どんな先生がいるかという紹介のやつを読んだのだ。
そして俺は山田先生の存在を知り、インターネットで調べたら代表候補生時代のインタビューを見つけたのだ。
結局その時はこんな人がいるのか程度で終わってしまい忘れていたが…
……あと代表候補生は何人かだけ調べて面倒くさくなってやめたんだっけ…
山田先生は地面まで近づくと減速し、両足で着地した。
「もうわかっていると思うがお前達の相手は山田先生だ」
「や、山田先生ですか…」
「山田先生、ねぇ…」
二人ともアニメや漫画なら頭の上にぐちゃぐちゃの線が描かれそうな顔をしている。
「さっきも言ったが今のお前達なら山田先生と戦ってもすぐに負ける。十秒後に始めるぞ……………では、はじめ!」
さすが代表候補生と教員というべきか。
三人はほぼ同時に空へと飛び立った。
「何が何だかよくわかりませんけど全力で行かせていただきますわ!」
「私も全力でいくわ!」
「行きます!」
そして三人は模擬戦を始めた。
「さて…今の間に……そうだな…ちょうどいい。デュノア、山田先生が使っているISの解説をしてみせろ」
見る必要はないとでも言わんばかりの態度で織斑千冬はシャルル(仮)にそう言った。
「あっ、はい」
彼?は織斑千冬の指示通りにラファール・リヴァイブの説明を始めた。
その説明には一切の言い淀みはなく、伝えるべきことは的確に、必要ではない情報は省かれた完璧と言える説明だった。
俺は考える。
ここまで説明できるとなると目の前の人間がデュノア社関連、もしくはデュノア社の商品にかなり精通している。
そしてデュノアという名字…確か前にニュースか何かの番組で聞いたがデュノア社の社長は確かだいぶ前に結婚したが今だに子宝に恵まれないとか言ってなかったか?
だったら目の前にいるシャルロットちゃんに似ているシャルル・デュノアは何者だ?
養子か?
だがそれなら何かニュースになってもおかしくないと思うが…
…ニュース?
待て、ニュースだと?
なんでフランスで男性IS操縦者が発見されたというニュースが流れない?
俺達が発見されたときは世界中に情報が流れたぞ…だったら…
なんで彼だけ情報が流れなかった?
男性IS操縦者を発見するためのテストは最初の二人が発見されてから三日と経たないうちに開始された。
それも、世界中で。
外国では日本で二人も発見されたなら自分の国にもいるのではないか?
男達はもしかしたら自分も男性IS操縦者なのではないか?
ISを保有しているほぼすべての国でそういう考えが蔓延し、男達はテストに参加した。
まあ日本―――もしかしたら俺だけかもしれないが―――では拒否権はなかったが…
だが保有しているとはいえ保有数が二桁を超える国なんて片手で数えられる程度でしかなく、テストをしても一日に受けられる人数も限られる。
しかし、世界中でテストが始まってからどれだけの時間が経った?
フランスは確か四機か五機ぐらいISを保有してたような…
…まあ大体それぐらいの数でこれまでフル稼働させたとしよう。
もし彼がデュノア社長の子供だとしたらいの一番にテストを受けるだろう。
まあ男性IS操縦者だということが発覚してから養子になったかもしれんがな…
それなのに、それなのに彼?は今日までIS学園に来ることはなかった。
何故だ?
…………駄目だ!わからん!
考えるにはあまりにも情報が少なさすぎる!
仕方ない、とりあえず保留しておくことにするしかないか…
俺は考えるのをやめて三人の戦いを見ることにしたが、空を見ても三人はどこにもいなかった。
どこにいるのかと思い回りを見ると三人ともすでに地面まで降りていた。
凰とオルコットはでことでこ押し付け合いにらみ合っている。
ああ…負けたなこいつら…
「さて、これで諸君にもIS学園教員の実力は理解できただろう。以後は敬意を持って接するように」
山田先生は「えっへん!」と胸を誇らしげに張っている。
「専用機持ちは織斑、海堂、二階堂、オルコット、デュノア、ボーデヴィッヒ、凰だな。では七つのグループに分かれて実習を行う。各グループリーダーは専用機持ちがやること。いいな?では分かれろ」
……俺もやるのか?
…面倒だ……
織斑千冬が言い終わった途端女子達が織斑達に群がった。
…さっきも見たなこの光景………
女子達は一気に話し始めて聖徳太子じゃなければ聞き取れないレベルになっている。
そんなことすればどうなるかすぐわかると思うがねぇ…
二組の連中ならともかく一組の奴らは前に立っている暴君がオーラを纏い始めているのに気が付かないもんか…?
俺は欠伸をしながら少しかゆくなった頭を掻きつつそんなことを考えていた。
「この馬鹿者どもが…出席番号順に一人ずつ各グループに入れ!順番はさっき言った通りだ!次にもたつくようなら今日はISを背負ってグラウンド百周させるからな!」
織斑千冬の怒号によってようやく女子達はグループに分かれた。
俺の前にも何人か女子が来たがどいつもこいつも俺を一切視界に入れようとしない。
全身から「おまえかよ…」オーラを垂れ流している。
「ええと、いいですかーみなさん。これから訓練機を一班一機取りに来てください。数は打鉄が四機でラファールが三機です。好きな方を班で決めてくださいね。あ、早い者勝ちですよー」
早い者勝ちね…
「んじゃどっちがいい?打鉄?ラファール?」
…反応なしか……
「みんなやる気十分で結構なことで…」
意見がないならどっちか適当に持ってくるか。
俺は訓練機が載っているカートがある場所まで歩いた。
カートを見ると打鉄が一機、ラファールが二機だった。
ラファールの方が残ったか。
「それじゃあラファールの方を頂いていくとするか」
俺はカートを押して俺が受け持つ羽目になった班へとたどり着いた。
「ラファールの方を持ってきた。お前らが何も言わなかったから俺の独断で持ってきた。打鉄の方がよかったなんて言わせないからな」
………いいから何か反応しろよ…
『各班長は訓練機の装着を手伝ってあげてください。全員にやってもらうので、設定でフィッティングとパーソナライズは切ってあります。とりあえず午前中は動かすところまでやってくださいね』
オープンチャンネルから山田先生の指示が飛んできた。
まあ使うたびに専用機化と初期化を繰り返していたらたまらんからな。
「それじゃあ何からするべきか。歩くか飛ぶか。それともやる気満々の班の皆を諫めるべきか…」
「地べたを這いずり回ることしかできないくせに……」
班の女子の誰かがそう呟いたのを俺は聞き逃さなかった。
「おー言ったな!地べたを這いずり回ることしかできないと言ったな!決して空耳だったとは言わさんぞ!」
俺は女子達を見ながら大きな声で言った。
「じゃあ見てろ!」
俺は訓練機に乗り込み起動させた。
女子達は「この馬鹿何やってんだ?」と言わんばかりの視線を俺に送っている。
その視線に俺は早歩きで答えて見せた。
ある程度歩くと俺は女子達の方を見た。
「これが地べたを這いずり回るように見えるか?」
俺は訓練機から降りながら女子達に言った。
そして俺は女子達の目を見た。
ほとんどは「で?」といった感じの目だが一人だけ、一人だけ違った。
明らかに俺を見下している。
口元を見ると口角が少しだけ上がっていた。
「何か言いたいことがあるなら手を上げろ」
俺は後ろを向いた。
おそらくこれで…
「飛べないゴミ屑が何言ってんだか…」
「よしそれじゃあそこの君!」
「えっ私!?」
俺は今声が聞こえた方を向いてそこにいた女子を指さした。
案の定俺を見下していた女子だった。
おそらくこういったタイプの奴は男は低能だとか大っぴらに言いまわる女尊男卑の世じゃなかなかに見かけるタイプの奴だ。
そして男を見下して優越感に浸る。
そういった奴の鼻を明かすには…
「君には今俺がやったことをやってもらおう!」
見下していた奴が自分より上だったということを教える。
「…拒否権は?」
「ない。さっさとやってくれ、時間がなくなる」
そう言われてこいつは渋々訓練機に乗った。
「それじゃあ歩け」
女子は歩き出したがその歩きはまるで生まれたての小鹿のような歩き方だった。
「もういい。降りていいぞ」
「…………」
女子はしゃがんでから訓練機から降りた。
「俺がやれと言ったのは俺と同じように歩くことだが…あれは何だ?新手のダンスか何かか?」
「………………」
「もしもの話をしよう。もしもある場所に向かうためにお前がISを使っているとしよう。しかし空を飛べない事態になってしまった。だがお前は何が何でもその場所まで行かなければいけない。そんな時お前はどうやってその場所まで移動する?」
「……………歩いてその場所に向かう…?」
女子の誰かが呟いた。
「その通り!飛べないなら歩く。当たり前だろう?」
まあISから降りて車なり電車を使うという方法もあるが…
「しかし歩かなきゃいけないって時にお前ができるのはさっきのダンスだけだ。俺と違ってな」
「………っ…」
俺は奴の横まで歩いて小さな声で言った。
「歩けないなら地べたでも這いずり回ってな。歩けない馬鹿…いや、ゴミ屑かな?」
「……っ!」
顔を見ると怒りやら何やらで真っ赤になりギリリッと歯ぎしりをしていた。
恐ろしいまでの沸点の低さだ。
もしこいつが俺と二人きりだったらそれこそ罵詈雑言の嵐だろうが、今は多くの人間の目や教員の目もあるから我慢しなければいけず、その結果さらに怒りが溜まっ穢いることだろう。
…あ―スッキリした。
昔っから俺はこんな女どもとよく出会った。
そのたびにあの手この手を使って見返してやった。
まあその結果余計な事態を招いたことも何回かあるが…
「それじゃあ次に誰か動かせ。歩けなかったら俺が親切丁寧に教えてやる」
さっきのアレを見ていたからか女子達は素直に俺の言うことを聞き、この後は特に何も問題はなく授業は進んだ。
「では午前の実習はここまでだ。午後は今日使った訓練機の整備を行うので、各人格納庫で判別に集合すること。専用機持ちは訓練機と自機の両方を見るように。では解散!」
あー…ようやく午前が終わった。
女子達は片付けをせずに他の班の女子と話をしにいった。
その結果片付けは俺一人で行う羽目になった。
まあ特に苦ではなかったが。
とりあえず早く更衣室で着替えて食堂まで行かなきゃな。
昼時になると混んで下手すりゃ何分待つかわからん。
そんな目には遭いたくないから俺はさっさと更衣室まで行くことにした。
更衣室で着替え俺は食堂へと向かった。
「はぁ…はぁ…やっと見つけました」
山田先生が俺に話しかけてきた。
山田先生は肩で息をしている。
「山田先生どうかしましたか?」
「じ、実は…はぁ…お引越しです…」
「引越?」
「あぁ…いいえ…部屋割りが変わるんです…二階堂君の相部屋の相手が更識さんからデュノア君に変わるんです」
「……なるほど」
確かに一応男子は偶数になったしな…
「ですので…後で更識さんの荷物をまとめるのを手伝ってあげてください」
「…更識の新しい相部屋の相手は?」
「布仏さんです。布仏さんと更識さんは仲がいいですから」
布仏か…
「という訳でこれで失礼します。あっ!午後の授業も頑張ってくださいね」
山田先生は軽く手を振って歩き出した。
「しかし相部屋の相手がデュノア…か」
さてどうしたものか。
カマでもかけてみるか率直に聞くかそれとも…
「……やべ!食堂行かなきゃ」
早く食事をとるために俺は食堂へと走り出した。
FRONT MISSIONのガンハザードから出したい兵器があったがいろいろ考えて駄目だということに気が付く
ISは一応宇宙で活動するためのものだしどれだけ電磁波やらマイクロウェーブに耐えられるかわからない…
ミドガルズオルムェ…
次回 閑話 私と簪ちゃん