IS The harlequinade/leading role   作:サヴァヴァヴァ

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前回:安楽椅子探偵を気取るには情報が少なすぎる






勇気編 第十一話 戦場で笑う悪魔に魅入られた男

side二階堂勇気

 

 

 

「やっぱ遠すぎるだろ…!」

あれから着替えてすぐ食堂に行ったが更衣室は食堂から結構遠くにあるため急いできても結構並んでいる生徒が多い。

IS学園にはそれなりの数の生徒がいるからその生徒を捌くために食堂で働く人間もかなりいるが…

「この人数だと七分ちょっとかな…」

今のうちに何を食べるか決めるか…

最近米系ばっか食ってる気がするなぁ…じゃあ麺系か?

でも蕎麦とうどんとラーメンも結構食ってる気がするな…

今日の日替わりランチは何だったかな?

でもここ一応女子高だからランチの量が結構少ないんだよな…

それじゃあラーメンに半チャーハンにするかな?

「ご注文は何ですか」

おお、気が付けばもう俺の番か。

「醤油ラーメンと半チャーハンで」

「わかりました。この券を持ってここに書かれている番号が呼ばれたらあそこの受け取り口に行ってください」

そこら辺のシステムは他とあんま変わんないんだよなあ…

とりあえず適当な場所で待ってるか。

俺は壁に寄りかかって待つことにした。

 

それにしても…

ここの学校にいるやつらは本当に俺を睨んだり陰口を言うのが好きなようだな。

いや、本人に聞こえている時点で陰口じゃないか?

俺は俺を睨んでいる奴を見る。

あいつ前にも俺のこと睨んでなかったか?

他の奴も前にも俺を睨んでたりなんか言っていた奴だな…

ちょっと前から見たらだいぶ落ち着いたのかそれとも深化でもしたのか最近こういったことをする奴は少なくなってきている。

ある程度やって満足したかそれとも飽きたかの二択だろう。

それでもやってる奴は真正の馬鹿か俺に恨みでもあるか…

 

「36番の醤油ラーメンと半チャーハンができました!受け取り口まで来てください!」

おっ、出来たか。

俺は受け取り口に行った。

そこにはプラスチックのトレーの上に置かれた醤油ラーメンと半チャーハンがあった。

俺は食券を渡してトレーを持った。

とりあえず適当に開いてる席に座るか…

あそこの席でいいか。

俺は開いていた席に座ったら、近くに座っていた生徒が俺から少し離れた。

「いただきます」

俺はそんなことを気にせずにラーメンをすすりだした。

しかしここの学食はただということには驚きだな…

この学園の運営費は税金から出ているらしいが…このラーメンの麺一本一本が国民の血税で作られていると考えると少しも残せないな…

そんなことを考えながら麺をすすっていると突然辺りがざわつきだした。

なんだ?織斑千冬かカイジでも来たか?

すると俺の目の前に誰かが座った。

俺はその人物を見た。

「ほう…」

 

ラウラ・ボーデヴィッヒだ。

 

ボーデヴィッヒは俺のことを歯牙にもかけずに食堂で頼んだであろう昼食を食べ始めた。

同じ机にいた女子達はもう別の席に移動していた。

周りの女子達はひそひそ話をしている。

ここの学園は噂が広まるのが恐ろしく速い。

おそらく今朝の織斑との一件がすぐ女子達のネットワークを通じて学園中に広まったのだろう。

 

「おい、二階堂勇気」

奴は食事の手を止め俺に声をかけた。

「なんだ?」

「貴様は何故この学園に来た?」

俺は食事を一度やめて奴の目を見た。

今朝と同じような目、何かを品定めするような目で俺を見ている。

「何故って…そりゃあこの学園に来なければ良くてモルモット、悪ければ十七分割で世界中の研究機関に貴重なサンプルの一つとしてホルマリン漬けにされちまうかもしれねえって状況ならIS学園に行ってまだ生きる道を選ぶわ」

「…………」

奴は俺の目をずっと見続けている。

 

「それでは次の質問だ。貴様は教官をどう思う?」

教官…織斑千冬か……どう思う?

「どう思うとは何だ?」

「簡単なことでいい。教官の人柄や教官のここがいいとか…」

「特に何も。ただの先生としか思わん」

ボーデヴィッヒはじっと俺の目を見続ける。

面接でも受けているようだ。

「それでは最後の質問だ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

貴様はISを『(なに)』だと考えている?」

 

 

 

 

 

「ISを何だと考えている…か」

そんなものは簡単だ。

「『人類史に名を遺した最凶最悪の兵器』だな。それはかの白騎士様がよぉく教えてくれただろう?」

それに『俺の人生をめちゃくちゃにした』を付け加えればパーフェクトなんだがな…

 

 

 

白騎士事件はただ白騎士がミサイルを撃墜して日本が救われましたという訳ではない。

 

続きがあるのだ。

 

白騎士事件で発射されたミサイルはどこかの悪の秘密結社の秘密基地から発射されたものではなく世界各国の日本を攻撃可能な軍事基地が何者かにハッキングされて発射されたものだ。

このことを聞いた人はある疑問が浮かんでくるだろう。

 

ミサイルを撃ってしまった国はこの時何をしていたんだ?と。

 

答えは簡単、発射されたミサイルを撃墜するための緊急出動(スクランブル)だ。

しかしなぜ緊急出動するのかという疑問も出てくる。

ミサイルを迎撃するための手段ならとっくの昔にある。

ならばそれを使えばいいじゃないかと思うだろう。

でもハッキングをしたどこかの誰かさんは実に用意周到だったらしく、それらも完璧に無効化しやがった。

しかも発射してしまった国だけではなく日本もだ。

そして残された手段はただ一つ、戦闘機でミサイルを追いかけ迎撃するという絶望的という言葉ですら生ぬるい手段だった。

戦闘機とミサイル、どう考えても追いつけない速度の差、しかしそれでもやらなければいけない。

やらなければいけないのだ。

ミサイルが日本にたどり着いてしまえば起こることはただ一つ、何の罪もない市民の虐殺だ。

 

それを防ぐため、世界各国は作戦ですらない作戦(悪あがき)を開始した。

 

日本だって手をこまねいていたわけじゃない。

航空自衛隊、海上自衛隊、在日米軍も緊急出動した。

だが状況は他国と同じ、最悪なのは変わらない。

出動したのはいいが何をどうしたらいいかさっぱりだ。

ミサイルは日本へと迫り続ける。

そして人々が絶望した時に…

 

 

 

 

 

 

 

 

あの白騎士(糞女郎)が現れやがった。

 

 

 

 

白騎士はその手に剣を持ち日本へと迫るミサイルを片っ端から叩き斬った。

斬って、斬って、斬りまくった。

その数日本へと迫るミサイル2341発の内約半分1221発。

剣で届かぬ場所にあるミサイルには荷電粒子砲を呼び出し撃墜した。

斬っては撃ちを繰り返し、ついに()()()のミサイルを撃墜した。

 

 

 

ここからが続きだ。

 

 

各国の戦闘機は日本の領空に入る前にちゃんと日本に連絡して領空へと入っていた。

なんとも律義なものだ。

そして白騎士の所業を見た自衛隊を含む軍隊はこの結果を手放しには喜べなかった。

結果だけ見れば日本は救われた。

しかしそれを成し遂げた英雄は目の前のどこかのSF映画から飛び出してきたような正体不明の存在だ。

このまま日本は救われました、めでたしめでたしはい解散とはいかない。

目の前の何かの正体を知らなければいけない。

 

戦闘機達は白騎士の周りを旋回し続ける。

 

各国の戦闘機達にはカメラが備え付けられてあり、それぞれ自分たちの国の司令部に映像は送られている。

 

戦闘機に乗っている軍人達は待っている。

 

その映像から司令部がどうすべきか考え、指令を考える。

 

そして司令部は指令を出した。

 

そして軍人達に指令は下された。

 

「まずは目の前の存在にコンタクトを取れ」と。

 

「そして敵対行動や妙な真似をしたら最悪撃墜しろ」と。

 

この場にいた軍人達はこう思っただろう。

「冗談じゃない!どうやってあんなでたらめな存在を撃墜しろと!?」とかな。

目の前で散々でたらめな性能や能力を見せつけられてそれを撃墜しろと言われるのだ。

白騎士は何もせずに空中で静止していた。

軍人達はどうやってコンタクトをとるか頭を悩ませ始めたその時だった。

 

 

突然白騎士は高速でその場を離れだしたのだ。

 

 

そして下される撃墜命令。

ここに英雄対軍人の戦いの火蓋が切って落とされた。

 

 

 

 

飛び交う剣戟ミサイル砲弾銃弾鉄の雨霰。

 

 

果たしてこの戦いは―――――――――――白騎士の勝利に終わった。

軍人達はどうなったって?

 

 

 

 

惨敗だ。

惨敗の中でも最悪の惨敗。

乾いた笑いを出したくてもそれを出すことすらできないレベルの惨敗だ。

軍人達は白騎士に雀の涙ほどのダメージも与えられたかどうかすら怪しい。

何より最悪だったのが白騎士の戦い方だ。

例えば戦闘機。

戦闘機がミサイルを撃てばそれを斬り、機関銃を撃てば歯牙にもかけず神技といっても過言ではない剣技で機関銃の銃身を斬り裂いた。

例えば自衛隊や米軍の軍艦。

軍艦からの砲撃をかわしでたらめな速度で接近し、主砲副砲対空機関砲的なものやその他もろもろを使用不可能にした。

例えば空母。

軍艦と同じく高速で近づきカタパルトに斬撃を一閃だ。

そう、つまり白騎士は、明白なまでに白騎士は。

 

 

こちらを死なせないために『極限まで』手加減をしていたのだ。

 

 

その気になればこちらを一瞬で壊滅させることが可能だったはずなのにだ。

虹咲は白騎士事件での死者はゼロといったがそれは民間人だけではなくこの白騎士と戦った軍人達も含めてゼロなのだ。

なぜ無力化にしたかの理由は不明、奴が人殺しを嫌う高潔な精神でも持ち合わせていたかそれとも…

三十分に満たない戦いが終わり,あらかたの兵器達が無力化してしまった後に突然白騎士は姿を消した。

高速で動いて姿を消したのではない。

まるで煙のように姿を消したのだ。

目視、レーダーでも探知不可のステルス。

それでこの場から退散した。

 

 

 

これがISが最凶最悪の兵器たる所以、それが初めて世界へとぶちまけられた事件の全てだ。

 

 

 

 

白騎士事件の後にもまだ一波乱も二波乱あるのだが、これはまたの機会に思い出すことにしよう。

もう胸糞悪さで腹がいっぱいだ。

 

 

 

 

「なるほど………」

ボーデヴィッヒは俺の放った言葉を聞いて何かを考えだした。

「わかった。これで聞きたいことは以上だ」

それだけ言うとこの後ボーデヴィッヒは俺に話しかけずに黙って食事を再開した。

こいつは何が目的で俺にこんなことを聞いてきたんだ?

なんともいえない厨二感を感じるが…

俺はラーメンをすすった。

「やべ…麺が伸び始めてる…」

どうやら俺が思っていた以上に時間が経っていたようだ。

とにかく飯を食わなければ…

気が付けばボーデヴィッヒは消えていた。

もう食い終わったのかよ。

時計を見るとまだ余裕はある。

「そういや次の教科は何だったかな…」

あんまり興味がない教科だと居眠りしてしまうかもしれない。

「気合入れて行かないとな」

俺は食い終わった食器を戻しながらつぶやいた。

 

 

 

 

まあ案の定午後の授業はうとうとしたんだがな!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「とりあえず荷物はこれで全部か?」

睡魔に襲われ続けた午後の授業は終わり、今俺は更識の荷物を段ボールに入れるのを終わらせたのだ。

「それにしても…」

俺は段ボールの中身を思い出す。

「漫画やラノベで段ボール一個、ゲームで段ボール一個を消費するとは…」

しかもこの段ボールの大きさ引っ越しで使うやつとおんなじくらいのサイズなんだぜ…

「べ、別にいいでしょ…」

更識はぷいっと俺から顔をそらした。

「とりあえず本やら何やらが入ってる重い段ボールは俺が運ぶから簪さんは軽いものを運んでくれ」

確か布仏の部屋が1040号室だと本人から聞いたが…

俺は段ボールを持ちあげた。

重い…

普通の男子高校生なら軽々と持ち上げるのだろうが俺だと結構な重労働だ。

俺は可能な限り「こんなの屁でもねえぜ!」感を出しながら段ボールを運んだ。

「いらっしゃ~い」

1040号室に入ると布仏ののほほんとした声が俺を出迎えた。

「こいつはどこに置けばいい?」

「そこのベッドがかんちゃんのベッドだからベッドの横に置いて~」

俺は布仏が指差したベッドの横に段ボールを置いた。

「かんちゃんもいらっしゃ~い」

更識も段ボールを持って部屋の中に入ってきた。

更識は俺が置いたダンボールを見つけるとそいつの横に自分が持ってきたダンボールを置いた。

「あっちの部屋に残っている荷物は何がある?」

「あとはゲームが入っている段ボールだけだよ」

本より軽ければいいんだがなあ…

「あの部屋に行く必要はないわよ」

入り口から誰かの声が聞こえた。

ドアを見るとそこには段ボールを持った女子がいた。

俺達はその女子を知っている。

「お姉ちゃん?」

更識簪の姉ことIS学園生徒会長更識楯無だ。

「はいこれ。これで簪ちゃんの荷物運びはお終いでいいわよね」

更識姉は俺達が置いたダンボールの横に持ってきたダンボールを置いた。

「簪ちゃん。彼とちょっと話したいことがあるから彼を少しだけ借りていいかしら?」

「いいけど…?」

「それじゃあ二階堂君。ちょっとお姉さんとお話ししようか?」

更識姉は俺の手を掴むと歩きだし始めた。

何を話すつもりなのだろうか?

とりあえず行ってみるか。

 

 

 

 

 

 

更識姉に手を引かれて歩くこと数分、俺は寮の屋上にいる。

寮の屋上は天気がいい日に洗濯物を干せるように洗濯物干し場になっているため解放されているのだ。

「ここに座りなさい」

屋上にあるベンチに更識姉が座ると空いてるスペースをぺしぺしと叩いた。

「それじゃあお邪魔します」

俺はそれなりに更識姉から離れて座った。

夏が近づきつつあるからか、気温はそこまで肌寒くは感じない。

「………簪ちゃんのこと、ありがとう」

更識姉はぼそりと呟いた。

「なんのことだ?」

「あなたが簪ちゃんと何かを話したんでしょう?そのおかげで私と簪ちゃんは晴れて仲良姉妹に戻りましたー!イェーイ!…お願いだから帰ろうとしないで」

「申し訳ないが惚気話を聞かせるつもりなら帰らせてもらう。これからデュノアの荷物を部屋に運ぶことになるかもしれないからな」

「あの子の荷物なら本人と先生達が持ってくるから大丈夫よ」

それなら楽にすんで良いな。

「ところで要件はこれだけか?」

「あと一つだけ言うことがあるわ。デュノア君とは仲良くしてあげてね」

「仲良くね…本人の態度次第だな」

「話した感じ悪い子じゃないと思うわ」

まあ猫被ってるだけかもしれないがな…

 

……いくら夏といっても夜風に当たり続けたらさすがに体が冷えてくるな…

俺は少し寒くなって体を少しだけ震わせた。

「寒くなってきたから俺は戻らせてもらう」

今日は昨日よりも気温が低く、夜風に当たり続けたから体温が下がってしまったようだ。

俺は立ち上がって歩き出した。

「あっと、そういや言わなきゃいけないことが一つあるな」

俺は立ち止まって更識姉の方を向いた。

「鍵はあんたが閉めといてくださいよ」

俺は屋上のドアを指さしながら言った。

いくら解放されているからといっても夜は入り口の鍵が閉められる。

取り忘れた洗濯物?

知らんよ、カラスの巣材にでもなるんじゃないか?

「はいはい。今日会ったばかりなのにお姉さん使いが荒いわね」

…ん?

更識から俺のことを聞いていないのか?

てっきり聞いているもんだと思ったが…

まあいつか更識が更識姉に言うだろう。

「それじゃあお疲れ様でしたー」

俺は屋上から立ち去った。

それじゃあ新しい同居人に会いに行こう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は自分の部屋の前にいる。

ドアは閉じられて中に誰かいるかどうかわからない。

俺はドアをノックした。

「はい」

シャルル(仮)は十秒もしないでドアを開けた。

彼?はジャージを着ている。

「君が二階堂君だよね。僕はシャルル・デュノア。これからよろしくね」

「俺は二階堂勇気だ。とりあえず部屋の中に入っていいか?」

俺がそう言うとシャルル(仮)は後ろに下がっていった。

部屋の中に入るとシャルル(仮)はベッドの向かい側にある椅子に座っていた。

俺も椅子に座った。

 

「ベッドは本が置いてない方のやつを使ってくれ」

俺は部屋を出る前に自分が使っているベッドの上に本を置いておいたのだ。

これならどっちのベッドを使えばいいかわかると思ってやったが…

「わかったよ」

シャルル(仮)は勉強机の横に置いてあった段ボールを本が置いてない方のベッドの横に置いた。

俺はシャルル(仮)の顔を見た。

……やっぱりシャルロットちゃんとよく似ている…

あの子を成長させたらちょうどこんな顔になると思うが…

まさか双子とか?

だが二卵性双生児でここまで似る可能性はどれだけなんだろうか…

インターネットで検索すれば出てくるだろうか?

「?僕の顔に何か付いてる?」

「いや…」

 

さてどうするか…

カマをかける…カマをかけるとしてどうする?

俺や明奈の名前を出したとして会ったのは初めてフランスに行ったあの時だけだ。

忘れている可能性だって捨てきれない。

じゃあ普通に聞く?

「なあデュノア?お前女か?」て。

…うんどう考えても無理。

普通にしらを切られてお終いだ。

目の前にいる人物は「面白い冗談だね」とか言って流すかもしれない。

さてどうしたものか。

 

「ねぇ二階堂君」

シャルル(仮)が俺に話しかけてきた。

「どうした」

「君のことを下の名前で呼んでもいいかな?一夏達のことも僕は下の名前で呼んでいるからそうした方がいいかなって」

「好きにしたらいい」

「わかった。これからよろしくね勇気」

「ああ、これからしばらくは同居人だ。よろしくなデュノア」

俺がそう言うとデュノアは頷いた。

とりあえず明日の準備をするか。

俺は立ち上がって明日の教科の教科書やらノートの準備を始めた。

「よし終わった」

明日はずいぶん楽だな。

また居眠りしかけるかもしれんな…

俺はシャルル(仮)を見た。

シャルル(仮)は何かを考えている。

「どうかしたか?」

「あ…いや、なんでもないよ」

シャルル(仮)は何でもないと手を振った。

……もうちょっと突っ込んでみるか?

 

「あれか?もしかしてここの学園でうまくやっていけるかどうか心配なのか?だったら安心しな。織斑達と一緒にいれば何とかなる」

「違うよ。…でも心配してくれてありがとうね」

シャルル(仮)はしばらく黙った後口を開いた。

「…もし何もすることがないから聞いてくれるかな?」

「ああいいとも」

「……昔君とおんなじ名前の男のこと遊んだことを思い出していたんだ」

……

「おんなじ名前?二階堂の方か?勇気の方か?それとも二階堂勇気でか?」

「ううん。勇気の方だよ」

……

「その男の子には妹がいてね。その子も含めて三人で遊んだりもしたんだ……」

シャルル(仮)はそれだけ言うと昔を思い出し始めたのかまた黙り始めた。

 

 

………

 

 

 

これもう黒じゃね?

あれか?俺に突っ込んでほしいのか?

お前シャルロットだろって突っ込んでほしいのか?

もう深く考えないで言ってもいいよね?

もうゴールしてもいいよね?

よし行こうもう行こう。

何事も簡単に済むのが一番だ

 

 

 

 

「なあデュノア。もしかしてその妹の名前は明奈じゃないか?」

「…………え?」

シャルル(仮)は信じられないというような表情をしている。

「……なんで勇気が…ちょっと待って………まさか…」

「ちょっと待ってろ」

俺は洗面台に行った。

 

俺はあるクリームを頭につけるとそれを髪の毛に塗りたくった。

そして頭に洗面台の蛇口から出したお湯をかけた。

俺は鏡を見た。

そこに映し出されたのは黒に染められた髪ではなく元の金髪の俺だった。

「本当に楽だなこの染落としクリーム…」

俺が使ったのは染めた髪の毛の色を落とすためのクリームだ。

このクリームと俺が使っている髪染めは同じ会社が出した商品で簡単に髪染めと染落としができるということで大ヒットしている商品だ。

あとはカラコンを取って髪を拭いて…っと。

俺はシャルル(仮)の前に戻った。

 

 

「もしかして…勇気なの?」

「ああ。久しぶりだな、シャルロットちゃん」

 

 

案の定と言えばいいか、やはりと言えばいいか。

シャルル・デュノア、フランスで発見された男性IS操縦者。

その正体はかつて俺と遊んだ少女、シャルロットちゃんだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

俺はさっき座っていた席に座り直した。

「本当に…本当に勇気なんだよね?」

シャルロットちゃんは俺の顔をペタペタと触ってくる。

これまたなんとベタな…

「本物だよ」

俺の言葉を聞いてシャルロットちゃんは俺を触るのをやめた。

 

「本当に勇気なんだね…」

「………単刀直入に聞くぞ。どうやってこの学園に男性IS操縦者として入学した?」

「本当に単刀直入だね!?もっとこう…久しぶりに会った友達と話さないの?」

「それなら後で話す。が、今はこっちが重要だ」

「わ、わかったよ…」

シャルロットは一度呼吸を整えて何があったかを話し始めた。

 

「勇気たちが帰ってからしばらくの間僕はお母さんと2人で生活していたんだ。でも二年前…」

「二年前に何が起きた」

「突然僕とお母さんが住んでいた家に何人もの男の人がやってきたんだ。それで僕とお母さんは無理やり車に乗せられてデュノア社まで連れて行かれたんだ」

いきなり拉致から始まるのかよ…

 

「僕は社長室まで連れて行かれたんだけどお母さんはどこか別の場所まで連れて行かれたんだ。それ以来ずっと会ってない…そして社長室で僕は会ったんだ…お父さんとお父さんの奥さんに」

………お父さん?

「ちょっ、ちょっと待て!それじゃあ君のお父さんはもしかして…」

「うん、デュノア社社長アルベリック・デュノア。それが僕のお父さんだよ」

まじかよ…

「そこでお父さんの奥さんが言ったんだ。僕のお母さんは預かったから返してほしければデュノア社のために働けって」

「……妻の方が?社長はその時どうしていた」

「…ごめん。よく覚えていない。その時何が起きたかまるで分らなくて頭の中が真っ白になって…」

「それで、二年間デュノア社の社員として働いていたという訳か…」

「うん。IS適正が高かったからテストパイロットを非公式でしていたんだ」

……

「でもデュノア社は経営不振に陥っちゃったんだ」

「経営不振?」

「単純だよ。もう第二世代じゃ古いってこと。だからデュノア社は第三世代機を作るためのデータを手に入れるために僕をこの学園に送り込んだんだ」

「そこだよ。そこがわからない」

「そこ?」

「どうやって君をこの学園に入学させたかだ」

明らかに無理がある。

シャルロットを見る限りおそらく整形は受けていないようだ。

「この学園に入学するのに体を男らしくさせるとかそういった手術は受けたか?」

「受けてないけど…」

じゃあどうやってフランス政府を騙したかだな…

 

「フランス政府の役人的な奴とは会わなかったのか?」

「会ったよ、それでボディチェックを受けたけど…おかしかったんだ」

「おかしかった?」

「ほとんど調べなかったんだ、僕のこと。せいぜい全身を服を着た状態で見ただけで…」

…まじかよ……

「もしかしたらそいつデュノア社から賄賂でも受け取ってたんじゃないのか?」

「あり得るかも…」

はてさてどうしたものか…

デュノア社だけが暴走していただけならいざ知らずフランス政府もグルになっている可能性があるとはな…

 

「勇気…ごめんね?こんな話聞かせちゃって…」

「いや、気にするな。友達だろ?」

「勇気…僕どうしたらいいかな?」

「シャルロットはデータを盗るつもりはあるのか?」

「やだよ。この学園に入るだけでも詐欺罪になるかもしれないのにこれ以上やっちゃったら…」

 

 

 

 

「……それじゃあもしこの事態を解決する方法があるかもしれない、と俺が言ったらどうする?」

 

 

 

「………え?」

「俺の知り合いに一人頼りになる人がいる。その人に頼めばもしかしたら何とかなる可能性がある」

 

これが蜘蛛の糸というやつかもしれないな。

まあ蜘蛛の糸というよりかはどちらかというとビデオテープを纏めて作り上げた糸といった方がいいかもしれんがね…

 

「ほ…本当に何とかなるの?」

「可能性はゼロではないが失敗する可能性もある」

俺は携帯電話を取りだした。

そして「あの人」から渡された装置を携帯に接続した。

俺はスマートフォンも持ってるが、この携帯は「あの人」と連絡をするために「あの人」が渡してくれたものだ。

「ちょっと待っててくれ」

俺は「あの人」に電話をかけた。

今どこにいるか知れないが起きていてくれよ…

 

 

『やあ勇気君。どうしたんだい?』

「お久しぶりです。こんな時間に電話をかけてすいません」

『いいよ。こっちはまだ明るい時間だから。で、僕に電話をかけたということは何か用事でもあるんだろう?』

「はい。実は…」

俺はシャルロットちゃんのことを洗いざらい話した。

シャルロットちゃんは驚いていたが俺は手で大丈夫だとしておいた。

『なるほどねぇ…で、君とその子はどうしたいんだい?』

「今回の件にかかわっている奴と何が起きているかを調べてほしいんですよ」

この人のよくわからない人脈ならおそらく行けると思うが…

『わかった。僕の知り合いに頼んで調べてもらうよ』

「ありがとうございます!」

『ただし!今度会うときまたいろいろ話を聞かせてもらっていいかな?』

「はい!お安い御用です!」

『あはは。それじゃあそろそろ切るよ』

そう言って「あの人」は電話を切った。

 

 

「どうなったの…?」

「調べてくれるそうだ。ただ何時調べたことを教えてくれるかは教えてくれなかったけど…」

俺はベッドに座った。

「とりあえずは様子見だな。今俺達にできることは待つことだけだ」

「ところで今電話をかけた頼りになる人ってどんな人なの?」

「どんな人か…かぁ…」

俺は考える。

 

「戦場で笑う悪魔かな…」

 

俺はぼそっと呟いた。

じゃあ俺は戦場で笑う悪魔に魅入られた男か。

それなら俺の死に方は銃で撃たれて失血死ということになる。

それはごめんだな。

「え?ごめん、聞き取れなかったからもう一回言ってくれる?」

「変わった人さ。エキセントリックといってもいい」

俺はベッドに大の字になった。

しかし…なんでこう俺と俺の知り合い達は面倒なことばっかり起こるかね?

まだ何か起こらなければいいんだけどねぇ…

「よっと」

俺はベッドから起き上がった。

「食堂行ってくる」

「あ、僕も行くよ!」

シャルロットちゃんは立ち上がって食堂へと向かい始めた俺の横に並んで歩きだした。

「勇気…ありがとう」

「礼を言うにはまだ早いし俺は何もしてないさ」

「それでも…それでも僕は言いたいんだ」

シャルロットちゃんは俺を追い越して立ち止まった。

 

 

 

「勇気、ありがとう!」

彼女は笑顔で俺に礼を言った。

 

 

 

 

「………」

俺は無言で口元に手を置いた。

 

…なんだこれ…

 

やけに顔が熱い。

動悸が早くなる。

胸が高鳴る。

 

 

……風邪か?

 

 

「勇気、どうかしたの?」

シャルロットちゃんは小首をかしげている。

「なんでもないさ」

俺はまた歩きだした。

 

しかし何だったんだろうな今の…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




また遅れとるやんけ…


白騎士事件をちょちょっとアレンジしました。
人命を奪わず戦ったと書いてあったからこれぐらいのことはしてしまったんだろうなぁ…
あと某ファンタシーなオンラインの新しいOPのあれが白騎士事件の白騎士対戦闘機その他もろもろに近いと思ったり…
久々にゲームのOPを見てわくわくしたなぁ




次回 慎編 第三話 Who is black?
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