IS The harlequinade/leading role   作:サヴァヴァヴァ

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パスワード探しをするばっかりで小説を全然書いてなかった奴の小説が読めるのはここですか?


前回:一か八かに賭ける



優人編 第十三話 黒き闇 そして…

side海堂優人

 

 

 

 

「セイセイセイセイ。お前自分で何言ってるかわかってるのか?」

二階堂がベッドから立ち上がって一夏の目の前に立った。

「お前ちゃんと寝てるか?寝ないと人はちゃんとした判断やら何やらができなくなってやばいぞ?」

「しっかり寝ているし俺は冗談で言ってるんじゃないんだ勇気。はぐらかさないでちゃんと聞いてくれ」

一夏がそう言うと二階堂は面倒くさそうにため息を吐いた。

「…………話を聞こうか」

二階堂はベッドに腰かけた。

「で、お前ら二人はなんでそんな結論に至ったんだい?言ってみな」

どうやら聞いてくれるみたいだな…

「俺が話す。なんでそうなったかというとな…」

俺は理由を一つずつ話した。

二階堂は口を挟まずに聞いてくれた。

そして俺が話し終えるとあいつは口を開いた。

「馬鹿じゃねえの?」

二階堂は嘲笑するような言い方でそう言い放った。

「お前らそれだけの理由でそうだと思ったわけ?ここに来たわけ?だとしたらいくら何でも判断が早すぎるし理由はどれも決定打に欠けるなあ。それこそシャルルのすっぽんぽんを見たってんなら話は別だが」

二階堂はまくしたてる。

「すっ!?すっぽ!?」

シャルロットは二階堂のすっぽんぽん発言で顔を赤くしている。

「という訳で帰れ。なんなら俺の持っている煎餅にお茶をかけてぶぶ漬け的物体Xでも出してやるから」

「いやそれ絶対よくわからないまずいものにしかならないだろ」

一夏が冷静にツッコミを入れる、が…

まずいな…

二階堂がいたらシャルルと話すのは無理そうだ…

とりあえず今日は諦めて明日二階堂や他に人がいないタイミングでなんとか話さないと…

「ねえ…勇気…ちょっと…」

シャルルが二階堂を風呂場の方に引っ張っていった。

何をしているのだろうか?

 

 

 

そして一分ちょっとで二人は帰ってきた。

シャルロットはまじめな表情で、二階堂はため息を吐いている。

「二人とも…僕の話を聞いてくれるかい…?」

「わかった」

「俺もシャルルの話を聞くぜ」

俺達がそう言うとシャルロットは数回大きく深呼吸をした。

「一夏、優人。僕は確かに二人が言ったように女性だよ」

「……そうか…」

「…シャルル。よかったらなんでここに来たのか話してくれないか?」

一夏は優しくシャルロットに話しかけた。

「………いいよ…」

シャルロットは話し始めた。

シャルロットに何があったかは原作と結構違うが大体の流れは原作と同じだった。

「……ひどい話だな」

一夏はその話を聞いて憤りを覚えている。

 

「…それで…」

シャルロットはぼそりと呟いた。

「それで…二人は僕のことをどうするの…?学園に言うの……?」

「………シャルル、お前はどうするんだ?」

「どうするって…どうしようもないよ。お母さんはたぶん僕への人質だろうし、それにいつかはこのことを君達以外の誰かが知って僕は犯罪者として牢屋に行くのがオチだと思うよ」

シャルロットは笑っているがその笑顔からは悲しみや諦め、いろんなものが感じられた。

「本当に…本当にそれでいいのかよ…?」

一夏はシャルロットに問いかける。

「いいんだよ、一夏」

それにシャルロットは悲しげな笑顔で返した。

頼む、一夏…何とかあれにたどり着いてくれ…

一夏は目を閉じた。

そして一度息を大きく吐く。

俺にはそれが何を意味しているかわかった。

この目を閉じ息を吐く行動は一夏が全身全霊で何かを考えているときだ。

テストでわからない問題があった時などにやっていると一夏から聞いたからわかるのだ。

 

「…………特記事項…」

「えっ?」

「特記事項第二十二、本学園における生徒は在学中においてありとあらゆる国家・組織・団体に帰属しない。本人の同意がない場合、それらの外的介入は原則として許可されないものとする…だったよな…?」

一夏は頭を掻きながら言葉を紡ぐ。

「まずこれであっちからの接触とかを可能な限り防いで…次にシャルルの母さんがどこにいるかだな………駄目だ…これは後回しにして…そうなるとシャルルの母さんの件より前にデュノア社の方を何とかするのが先か…?」

「い、一夏?」

俺の予想に反して一夏は特記事項の後に何かを呟きだした。

その後も一夏は何かを呟き続けていた。

俺達は一夏に話しかけずに一夏のことを見続けていた。

そして一夏は呟くのをやめてため息を吐いた。

 

 

「…………めだ」

「え?」

「……駄目だ。俺達にできることはほとんどない…」

一夏は悔しそうに言う。

ちょっ!?

「一夏…どういうことだ?特記事項で三年間は無事なんだろ?この三年間で何とか対策を考えれば「おい鳥頭。さっきシャルルが話したことを忘れたのか?」……話したこと?」

突然二階堂が口を開いた。

「お前シャルルの母さんのこと絶対忘れてるだろ。仮に三年間シャルルは無事だったしても母親はその三年間の間に…どうなるかは想像に難くないだろう?」

………シャルロットの母親に何らかの危害が加えられるかもしれない…てことか…

「それにだ…さっき言ったけど『仮に』なんだぞ?三年間絶対無事ってわけじゃないんだぞ?」

「いや、特記事項はどの国のどの企業でも守ってるんだろ?ならあっちだって手出しをすることはできないはずだ」

「………お前、これ見ろよ」

二階堂はスマホをいじると俺に画面を向けてきた。

「………ISのオーバーホール?」

そこにはISのオーバーホールについてのことが書かれていた。

「整備課以外の奴は忘れがちかもしれんがISは兵器であると同時に精密機械でもあるんだぞ?ほらこれ見ろよ」

あいつは机からプリントを持ってきた。

「……夏休み間の訓練機の使用の制限について?」

俺はそのプリントを受け取りよく見た。

そこにはいろいろ書いてあったがまとめるとこんなことが書いてあった。

 

・夏休みの間は訓練機のオーバーホールが行われる

・オーバーホールは夏休み前半と後半の二回に分けて行われる

・そのため訓練機は平時の半分しか使えない

・冬休みにもオーバーホールがある

 

「ちなみにオーバーホールはそれぞれの制作した会社まで運んで行われる。あとこれは二年生の整備課から聞いた話なんだがな…専用機持ちもオーバーホールしなきゃいけないんだと。それぞれの国まで戻ってな」

「そもそもオーバーホールなんてしていいのか?ほら、経験のやつとか」

「ISの経験値やらなにやらは基本コアにぶち込まれるから装甲やらなにやらは外してOKだ」

「じゃあ機体だけ送ってシャルルは学園に残ればいいんじゃないか?」

「それは無理だと思った方がいい。操縦者も基本戻ってるって話だ」

「逆にあっち側がここに来るのはどうだ?」

「社運をかけた機体を多くの国の思惑が渦巻くIS学園でオーバーホールなんてするわけないだろ。泥棒の集団がいる前で金庫を開ける馬鹿がどこにいる?」

「……つまり最低でも一年で二回は絶対シャルルはフランスのデュノア社まで行かなきゃいけないってわけか」

「そうだ。あとシャルルがオーバーホールを拒否し続けるのはたぶん無理だ。下手に拒否し続けたらIS学園側に勘ぐってくる奴は絶対出てくる。そして何かの拍子に芋蔓式に…なんてことが起こりかねん」

楯無さんとかかなー…

「じゃあ調べはしてるけどガードが固くて無理でしたって感じで行ってみるか?」

「一回だけなら行ける可能性はゼロではないが二回目は通用しないと思うぞ」

「なら警察に言おう」

「言って解決するまでに母親がアウト。もっと早く解決する手段が必要だ」

俺達が意見を出すが駄目出しされる。

「……最終手段だけど…シャルルがちゃんと仕事をするというのはどうかな?」

……シャルロットの安全を守るならそれが一番かもしれないが…

「それも駄目だろ。普通に考えて」

「確かにデータとかそこらへんは駄目かもしれないけどシャルルは変なことされないだろ?」

「そういうことじゃなくてさあ…普通に考えて仕事が終わればさあ…

 

 

 

 

 

 

 

殺すだろ?常識的に考えて」

二階堂はいらつきながらそう答えた。

 

「え?」

俺は一瞬自分の耳を疑った。

 

「自分達の弱みを握る人間なんてわざわざ生かしておく必要なんて無し!俺なら殺す。絶対殺す。必ず殺す。たとえ地球上のどこに逃げたって探し出して必ず殺す。証拠なんて残さないし残させない」

 

「おい…」

俺は軽く二階堂を小突く。

 

「証拠を残さないように殺すならどうするか…交通事故に見せかけて殺すか…でも殺し方によっちゃ殺人だとばれるか…?なら飛行機の整備不良に見せかけて墜落させる…これも難しいか…自殺に見せかけるのは……遺書を本人に書かせて…いや、厳しいかな?そういえばこの前のテレビ番組で海外で心臓発作にしか見えないように毒殺した事件が何年か前にあったとかいうのがあったな…」

 

「おい!」

俺は声を大きくした。

 

「じゃあ整形でもさせて別人にするか…いや、金がかかるか…戸籍も面倒だしな…誰かを殺してなり替わる…んー…やっぱり殺す方向で考えるか…?」

 

「………」

俺はもう声も出ない。

 

「それとも薬漬けにしてからどこぞの変態の金持ちに売り飛ばす…駄目だな、ゆすられるかもしれん。拉致って殺してミンチにしてから海にばらまくのもいいかな?いや、わざわざ海にばらまかんでもどこかの山に埋めればいいか。とりあえずどこかに消えたということで騒がれるかもしれんが殺人だとばれずに殺す方法ならそれなりにあるぞ!だから」

「ふざけるなよお前!」

俺は思わず二階堂の胸倉を掴んでしまった。

「お前なあ…想像するのはお前の勝手だし考えるのもお前の自由だ!だけどそれをシャルルの前で話すな!そんなことも分からないのか!」

 

二時間ドラマとかで家族が誘拐された人間の前でその家族がどうなるかを話す警察がいるか?

 

患者にお前は死ぬと言う医者がいるか?

 

……目の前の性別を偽ることを強制され、したくないことをさせられている少女をどうやって殺すかを話す奴がいるか?

 

最悪な状況に追い込まれている人間に不安を煽ることを言うべきではないということをこいつは気づかないのか?

冗談だとしても悪質だし本気で言っているのならなお質が悪いとしか言いようがない。

 

「……ああ、そうかそうか。気づかなかった。悪いことをした。すまんなシャルル。本人がいる前で言うべきことじゃあなかったな」

二階堂はそう言ったがその言葉からは申し訳ないとか自分がとんでもないことをしてしまったとかが一切感じられなかった。

「あと…」

二階堂は胸倉を掴んでいる腕を掴んできた。

 

 

「さっさとこの腕をどかせよ、おい」

 

あいつがそう言った途端俺はすぐにあいつの胸倉を放した。

漫画とか小説とかで背中に氷柱を突きたてられたような悪寒だとかそんな感じの言葉を見たことはないだろうか?

俺はそれに近いものを感じた。

そして俺はあいつの目を見た。

あいつは前髪を目の辺りまで伸ばしていてちゃんと見るのはこれが初めてだったが見たのを後悔しそうになった。

 

 

 

暗かった。

 

 

 

目の奥が暗く、暗く、どこまでも暗く、底がない闇を覗き込んでいるような錯覚に俺はとらわれた。

俺は前世の分を含めてそれなりの数の人間と会ったり話をしたりしたつもりだがこんな目をした人間と会ったのは初めてだった。

というより…これは本当に人間ができる目か……?

「す、すまない…」

俺は謝ったが声は少し震えていた。

「二人とも落ち着いてくれ」

一夏が俺達の間に入った。

「勇気…お前はシャルルをどうやって助けるか考えついたか?」

「いんや。なーんも思いつかない、現時点じゃな」

「現時点…つまり何か思いついてはいるのか」

「実は学園の外にいる知り合いに頼んで調べてもらってるんだ。まあ調べ方は褒められたものじゃないかもしれないけど…」

「仕事が早いな勇気…」

知り合い…どんな奴なんだろうか。

「二階堂。その知り合いはどんな人なんだ」

「教えないし教えるつもりはさらさらない」

「なんでだ?」

「教えたらお前絶対…いや、やめておこう。絶対教えない。とにかく!なんか進展があったら教えるから今日はもう帰れ。な?」

「…わかった。優人、今日はもう帰ろうぜ」

「…そうだな」

今日は一旦諦めて部屋に戻ろう。

明日から何とか一夏がシャルロットを助けるようにそれとなく仕向ける方法を考えなくちゃな…

「そういえば…」

一夏がシャルロットの方を向いた。

「シャルルは偽名なんだよな。今更だけどシャルルの本当の名前を教えてくれないか?」

「いいよ。僕の名前はシャルロット、シャルロットだよ」

「シャルロットか…わかったぜ。それじゃあシャルロット、勇気、お休み。また明日な!」

「お休み一夏」

「お休み」

一夏は部屋から出ていった。

「それじゃあ二人ともお休み」

「お休み優人」

「お休み」

俺も部屋から出た。

それにしてもあいつの知り合いか…なんかヤバそうな感じがするな…

それに褒められたものじゃないと言ってたが…

もしあまりにヤバすぎたら楯無さんに言うことも視野に入れておくか…

 

 

 

 

 

 

日曜日は俺達側も二階堂側も何も進展がなく終わってしまった。

一夏を何とか誘導しようにもシャルロットをどう助けるかという方法が思いつかない限り俺は何もアクションを起こせない。

超最終手段として何とか束さんに連絡を取って助けてもらうという方法も考えたけどあの人がシャルロットを助けてくれるところが逆立ちしても思いつかなかったのでこの手段はなかったことにせざるを得なかった。

そして月曜日、俺と一夏とシャルロットは一緒に教室へと向かっている、が…

「なんだかどこの教室も騒がしくなってるな」

「そうだね」

どこの教室も女子達の声で色めき立っていた。

俺はその理由を知っているが黙っておこう。

そして教室に着くとクラスにいるほとんどの女子が一か所に固まって話していた。

「本当だってば!この噂、学園中で持ちきりなのよ?月末の学年別トーナメントで優勝したら織斑君か海堂君と交際でき――」

「俺がどうしたって?」

「「「きゃああっ!?」」」

女子達は驚いて振り返った。

「なっ、ナンデモナイヨ?」

「そうだよ?なんでもないよ?」

明らかに動揺しまくってる…

そこ、目をそらしながら口笛吹く人なんて始めて見たよ。

「で、何の話だったんだ?俺の名前が出ていたみたいだけど」

「なんでもないわよ。ね?」

「そ、そうですわっ!」

動揺しまくってるセシリアと対照的になんともないという態度の鈴。

「とりあえずみんな席に座ろっかっ!」

「そうだね!」

「うんうん!」

話に参加していた女子のほとんどが昔の白黒映像に移っている人のように素早く動いて席に戻っていった。

「…なんだったんだろうな?」

「さあ……?」

 

 

 

 

そして一時間目が終わり俺と一夏はトイレへと向かっている。

何度も繰り返しているが教室から一番近い男子トイレは結構な距離があり急がなきゃ授業に間に合わないのだが廊下を走らないようにと注意され俺達は競歩をすることを強いられている。

トイレを何とか済ませて教室の戻ろうとするとどこからか二人の人物の声が聞こえてきた。

教室がある方向とは反対方向の曲がり角からだ。

「優人…この声、千冬姉とラウラじゃないか?」

「ああ…」

俺達は気配を消しながら声が聞こえている方へと歩く。

 

「何度も言わせるな。私には私の役目がある。それだけだ」

「このような極東の地で何の役目があるというのですか!」

腕を組みながら壁にもたれかかっている千冬さんの前でラウラが必死の形相で千冬さんを説得しようとしている。

「お願いです、教官。我がドイツで再びご指導を。ここではあなたの能力は半分も生かされません」

「ほう」

「大体、この学園の生徒など教官が教えるにたる人間ではありません」

「なぜだ?」

「意識が甘く、危機感に疎く、ISをファッションか何かと勘違いしている。そのような程度の低い者達に教官が時間を割かれるなど――」

「――そこまでにしておけよ、小娘」

千冬さんが声を発した途端、気温が5℃は下がったような気がした。

「っ…!」

ここにいる俺達ですらそう感じるんだから目の前にいるラウラにはどれだけのプレッシャーがかかっているのだろうか。

「少し見ない間に偉くなったな。十五歳でもう選ばれた人間気取りとは恐れ入る」

「わ、わたしは…」

ラウラがなんとか発した声は震えていた。

「さて、授業が始まるな。さっさと教室に戻れよ」

「………」

千冬さんに言われて教室へと戻ろうとしたラウラだが立ち止まった。

 

「教官……もう一つだけ言わなければいけないことがあります…」

ラウラは振り返らずに話し続ける。

「二階堂勇気、あの男は危険です」

二階堂…確かラウラは二階堂に喧嘩を吹っかけていたな…

「二階堂が?確かに問題児ではあるがそんなに危険という訳ではないぞ」

「あの男はあなたに敵意を抱いている」

二階堂が…千冬さんに敵意を…

「………」

千冬さんは何も言わない。

「それにあの男の戸籍は奴が発見される二日前に作られていました」

………………はあ!?

「あの男の背後に何らかの強大な力を持つ誰か…あるいは組織がいるかもしれません。教官、どうかあの男には細心の注意を払ってください。それでは…」

そう言うとラウラは今度こそ教室へと戻っていった。

 

ラウラの言っていたことは本当なのだろうか?

もし本当だとしたらあいつは転生者…というよりよその世界から連れてこられたということなのだろうか?

「そこの男子ども。盗み聞きか?異常性癖は感心しないぞ」

考え事をしていると千冬さんに見つかってしまった。

「な、なんでそうなるんだよ!千冬ね」

言い切る前に千冬さんのチョップが一夏の頭に炸裂する。

「学校では織斑先生と呼べ」

「は、はい……」

一夏の頭へこんでないだろうな?

「そら走れ、劣等生ども。このままじゃお前達は月末のトーナメントで初戦敗退だぞ。勤勉さを忘れるな」

「わかっているって…」

「俺も大丈夫です」

「そうか、ならいい」

千冬さんは少しだけ優しく笑った。

「じゃあ教室に戻ります」

「おう。急げよ。――ああ、それと織斑、海堂」

「はい?」

「なんです?」

「廊下は走るな。……とは言わん。ばれないように走れ」

「了解」

「わかりました」

その後俺達は足音をあまり立てないように走り、なんとかチャイムがなる前に教室にたどり着くことができた。

 

 

 

 

 

 

 

 

side凰鈴音

 

 

「「あ」」

トーナメントに向けて特訓をしようと思い第三アリーナに来たらセシリアとばったり会った。

「こんなところで会うなんて奇遇ねー。……やっぱりあの噂の優勝したら一夏か優人と付き合える―ってやつのため?」

「そ、それは違います!鈴さんは何のためにアリーナに来たのですか?」

バレバレねー…

セシリアは顔を赤くしながら話を逸らしてきた。

「そりゃあトーナメントに出るなら目指すは優勝!ってね」

「それは素晴らしい心意気ですわ。ですが…」

「ですが?」

「もし鈴さんが優勝したら…優人さんに…その…」

セシリアはごにょごにょと言いずらそうに喋る。

「あれはあくまで噂でしょ?まあ本当だったらいいなーくらいの気持ちでいた方がいいわよ」

それに勝ったからつきあえましたーじゃあたしが納得いかない。

出来るなら優人から告白して欲しい。

まあ今のままじゃ難しいと思うけど…

「それもそうですけど…優人さんにそれとなく色々としているんですがあの人はだいぶ鈍感で…」

「だから今回のトーナメント優勝交際で何とかいきたいと。あの二人の鈍感さは天下一だからね。ただ…」

「ただ?」

あの二人の鈍感さのタイプは違うような気がするのだ。

一夏はこう…ストレートな唐変木といった感じなんだけど…優人は何というか…どう表現したらいいんだろうか…回避ガン振り…物理無効…糠に釘差し…なーんかどれも合っているようで違うというか…うーん…

 

 

『おい』

 

 

開放回線から誰かが話しかけてきた。

ハイパーセンサーが私達の方向へ近づいてくるISを捉える。

「ラウラ・ボーデヴィッヒ…」

「なんのようですか?私達はこれからトーナメントの特訓をするつもりなのですが」

私達はいつでも動けるように準備しておく。

「なに。私も特訓だ。だからお前達二人と戦ってやろうと思ってな」

そう言ってはいるがラウラの真意は知れない。

「遠慮しておくわ」

「そうですね」

しょうがない、今日は諦めて帰ると―――

 

 

ハイパーセンサーが警告音を発した。

 

 

 

それを聞いたあたしは横に回避した。

あたしと同じタイミングでセシリアも横に回避をしていた。

あたし達がいた場所をラウラのレールガンの砲弾が通り過ぎる。

砲弾はアリーナに壁にあたり爆音を叩きだす。

「御託はいいからさっさとかかってこい。貴様ら雑魚が束になっても私に敵わないことを教えてやる」

「鈴さん」

「ええ…」

セシリアの顔を見るとどうやら私と同じ気持ちのようだ。

 

 

こんな舐めたマネをされて笑って許してやるほどあたし達は優しくない!

 

 

「いくわよセシリア!」

「援護は任せてください!」

「ふん…」

 

 

 

 

 

 

 

 

side海堂優人

 

 

「一夏、優人、今日も特訓するよね?」

「ああ、もちろんだ。今日使えるのは…えーっと…」

「第三アリーナだ」

「「わあっ!?」」

後ろから突然声をかけられて一夏とシャルロットはびっくりして立ち止まった。

「そこまで驚くことはないだろう……」

「箒か…ごめんな」

「ごめんなさい…いきなりのことでびっくりしちゃって」

「あ、いや…責めているわけじゃないんだが…」

「まあまあ三人とも。この話はこれまでにしないか。このままじゃ片方が謝ったらもう片方も謝る無限ループになりかねないし」

「そうだな…箒、お前も俺達と一緒に特訓するか?」

「あ、ああ!」

一夏からのお誘いに箒はわかりやすいぐらいにテンションが上がっている。

俺達は四人で第三アリーナに向かうことにした。が…

 

 

「第三アリーナで何かやっているのかな?」

第三アリーナに近づけば近づくほど第三アリーナへと向かう生徒の数が増えていく。

「今日は何もないはずだが…」

箒は困惑した表情でシャルロットの疑問に答える。

「ここからならピットより観客席の方が近いはずだから観客席の方に行ってみようぜ」

「そうだな」

俺達は観客席の方へ向かう。

 

 

「織斑君!海堂君!大変なの!」

観客席に着くとクラスメートの女子が焦りながら俺達を出迎えた。

「何があったんだ?」

「あれ!見て!」

女子が指差した場所を見るとそこには三人の人物がいた。

鈴、セシリア、ラウラだ。

鈴は地面にうつぶせの状態で倒れ、顔だけ上げてラウラを見ていた。

セシリアは片膝立ちではあはあと息を吐いている。

ラウラは二人を見下ろしていた。

セシリアと鈴のISはボロボロで、ラウラのISはそれなりにダメージは負っていたが二人に比べればかなりの軽傷だった。

「どれほどやれるかと思ったが…やはり雑魚だったな」

「くっ…なんて力なの…」

「ではとどめだ」

ラウラのレールガンが鈴に狙いを定める。

俺は見逃さなかった。

ラウラの口が薄く弧を描くのを…

 

 

それを見た一夏が白式を展開し零落白夜でアリーナのバリアーを切り裂く。

「させるかよおおおおおおおお!」

切り裂かれたアリーナのバリアーの穴から高速でラウラへと斬りかかろうとした。

「やはり来たか」

ラウラは狙いを鈴から一夏へと変えた。

その時だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何やってんだこの大馬鹿がぁ!!!!」

 

 

 

 

 

どこからか打鉄を纏った二階堂が走ってきてラウラの顔面を全力の右ストレートで殴りつけた。

 

 

 

 

 

 




おまたせ
パスワードは何とか見つけたよ
これ今年中に2章行かねーな……




次回 勇気編 第十三話 甘すぎるのは俺か俺以外の奴か
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