IS The harlequinade/leading role   作:サヴァヴァヴァ

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何とか間に合ったあああああああああああああああああああ



前回:あいつ何やってんの!?


優人編 第十四話 激闘!三対一!

side海堂優人

 

 

「おらどうした!かかってこいこのあんぽんたん!」

二階堂はシャドウボクシングのような動きをしながらラウラに話しかけている。

急いで来たのか、それとも別の理由があるのかは知らないがあいつは制服のまま打鉄を展開している。

ラウラは殴られた場所を触ったまま微動だにしない。

立ったまま気絶してる…なんてことはないよな。

俺は黒銃士を展開してラウラの顔を見た。

二階堂からは死角になっていて見えていないがラウラの眉間には深いしわが刻まれていた。

 

「貴様は…」

ラウラがぼそりと呟いた。

その声は酷く苛立っている。

「貴様は今関係ないだろうが!!!」

ラウラの怒声とともにレールガンは狙いを二階堂に変え、轟音とともに砲弾が発射された。

「ぎゅぼおおおおおおおおおお!」

どこに当たったかはわからないが二階堂は奇妙な声を上げながら吹き飛んでいく。

ゴロゴロと転がりそして車にひかれたカエルみたいな感じでべちゃりと倒れた。

 

「貴様がなぜここで出てくるんだ!こいつら二人は貴様と何ら関係ないだろうが!」

その台詞でなんとなくラウラの目的を察した。

ラウラはあの二人をいたぶることで一夏をこの場へ誘い込む魂胆だったのだろう。

それは成功したように思えたがなぜか二階堂が乱入して今に至るという訳だ。

「く……ふはははは!その通り!俺とそいつらは仲がいいわけでもないしこのまま放置しようとしたんだけどな!なんでか急激に!猛烈に!激烈に!てめえに腹が立ったから鉄拳制裁をしたんだよばっきゃろおおおおおう!」

二階堂は立ち上がりながらそう叫ぶ。

あいつこんなキャラだったか?

そんなことを考えていると二階堂がアサルトライフルを出してラウラに向けて連射する。

ラウラはそれを横っ跳びで回避し、二階堂へ襲いかかった。

 

「おーにさんこっちら!手ーの鳴る方へ!」

二階堂はバック走をしながらラウラへアサルトライフルを撃ち続ける。

その走り方はジグザグで、ラウラのレールガンを警戒しているんだと思う。

「ちぃ!止まれ貴様!」

ラウラは二階堂の後を追いこさないように追い続けている。

そのことに疑問を抱いたが、少し考えたらその答えにたどり着いた。

 

二階堂はセシリアと戦った時はセシリアを挑発して自分の射程範囲内まで来るように誘って見せた。

一夏と戦った時は武器を方向転換のために使って見せるという作戦を披露した。

自分にも何らかの奇策を用意しているのでは?とラウラは警戒しているんだろう。

だから一定の範囲内に入らないように気を付けながら後を追いかけているんだろう。

 

そんなことを考えていたら個人間秘匿通信(プライベート・チャンネル)から二階堂の切羽詰まった声が響いた。

『アリーナにバリアー破って入ってきた馬鹿と観客席にいる専用機持ち二人!そこに転がってる二人をピットまで引っ張っていけ!邪魔だから!』

その声を聞いてはっとした。

まさかあいつ…あの二人を何とかするための時間稼ぎを…

早く鈴とセシリアを避難させなければ!

「行こう!シャルル!」

「うん!」

俺達は一夏が開けたバリアーの切れ目からアリーナに入った。

 

二人の元に着くと一夏は二人を仰向けに寝かせていた。

「二人は鈴とセシリアの脚の方を持ってくれ!」

一夏の指示に従って俺はセシリアの脚を、シャルロットは鈴の脚を持った。

一夏は一人で二人の腕を掴んでいる。

「鈴!セシリア!二人とも少しだけ我慢してくれ!いくぞ!いっせーのーで!」

俺達は鈴とセシリアを持ちあげて揺らさないように気を付けながら運び始めた。

運びながら二階堂の方を見るとあいつはアサルトライフルの弾丸が尽きたらしく手に何も持たずにバック走を続けている。

ラウラは俺達がしていることを見て二階堂を追いかけるのを止めて一夏を睨みつけたが、すぐに二階堂を追いかけることを再開した。

ラウラの気が変わらないうちに何とか運ばなければ…

 

 

 

Aピットに着くとそこには簪と始めて見る女子生徒達がいた。

二階堂と簪が一緒にいたり話をしているのはたまに見かけたが、ここにいるのはあいつと何か関係があるのだろうか?

「下ろすぞ。ゆっくり…気をつけて…」

一夏の指示で俺達は鈴とセシリアを床に寝かせた。

 

「二人とも大丈夫か?」

俺は二人にそう聞いた。

「なんとかね…」

鈴が弱弱しげな声で答えた。

二人の機体にはかなりのダメージがあり、体にもいくつか痣ができていたが、血が出たりとかそういう傷は一つもなかった。

よかった…

「ですがもし一夏さんや二階堂さんが来なかったら…」

セシリアがそう呟いたのを俺は聞き逃さなかった。

「さすがにそこまではしないと思うが…」

「いや…」

突然簪が俺達に話しかけてきた。

「ええと…君は?勇気といるところは何回か見たけど…」

一夏が簪に尋ねる。

「私の名前は更識簪…細かい自己紹介は今は省く…」

簪はアリーナの方を見据える。

その目には心配の色が見て取れた。

 

「たぶん彼女は二人がどれだけ傷ついても構わないと思っていた…と思う…」

「だから勇気は二人を助けるためにアリーナに出てきたのか?」

「わからない…ここに来たときアリーナに出ないように私達に言ってきたけど二人が倒れてるのを見た途端血相を変えて飛び出していった…」

一夏が簪とそう話しているとアリーナから馬鹿でかい音が響いてきた。

俺達がアリーナを見るとそこには壁際に追いつめられた二階堂と、二階堂を空中から見下ろすラウラがいた。

 

「何か策を準備しているかと思ったが…貴様、何も策はないな?」

ラウラがレールガンの狙いを二階堂に定めながら話す。

「お前日本のことわざで能ある鷹は爪を隠すとか窮鼠猫を噛むとか聞いたことない?」

「だからどうした?」

「俺が何も準備せずに飛び出したとか思ってるのか?」

二階堂はそう言ってるが誰がどう見てもそれは…

「はっ。ただのハッタリだな」

そう、ハッタリ以外の何物でもない。

 

「勇気!二人はピットに連れてきた!お前も早くこっちに来い!」

一夏は個人間秘匿通信で二階堂に話し始める。

「はぁ!?来れない!?なんでだ!?」

しかし二階堂は一夏の頼みを拒絶したようだ。

「…確かにそうかもしれないけどこのままじゃお前が…っておい!」

「駄目だったの?」

「ああ、切られた。『このままピットに来たらボーデヴィッヒも連れてくるから無理だ』って」

確かに今のラウラをここに連れてきたら何をするかはわからないが…

だからといってこのまま二階堂がラウラを足止めできるとは到底思えない。

どうするべきだ?

このままここで待つかそれとも…

 

「悪い…」

一夏がアリーナへの入り口に立った。

「一夏…まさか…」

「ああ、そうだ」

一夏は白式を展開し、手に雪片二型を持った。

「行ってくる!」

一夏は瞬時加速でアリーナへと飛び出した。

「………ああもう!俺も行くよ!」

たぶんシャルロットも来るだろうけど二階堂を逃がしながら戦うとなると相当厳しいものになるはずだ。

一夏とシャルロットの二人だけで足りないなら俺も加えて三人なら何とかなるはずだ。

俺は一夏の後を追ってアリーナへと向かった。

 

 

 

「勇気から離れっ…!」

アリーナに着くと一夏がラウラのAICに捕まっていた。

『馬鹿お前!何しに来てんだよ!くんなって言っただろ!それにこいつにサイコキネシス的ななんかがあるのはオルコット達との戦いで見ただろう!なに襲いかかって二秒で即捕縛されてんの!?』

開放回線から怒涛の勢いで文句が流れてくる。

とりあえず…

「まずは一発これでも食らいな!」

俺は魔弾の射手を出してラウラに一発撃ってやった。

「ちっ!」

ラウラは弾丸を避けようとしたが弾丸を何度も曲げてラウラの集中を乱す。

「よしっ!」

ラウラの集中が乱れたことで一夏がAICから解放され一旦ラウラから距離を取った。

 

『いいか馬鹿どもよく聞け!今回俺達の勝利条件は二つ!一つ目はシンプルにこいつを叩きのめす!二つ目は誰か先生が来るまで時間を稼ぐこと!ピットにいた先輩方に先生を探すように言っておいた!織斑千冬ならベストだって付け加えてな!だからこいつを倒すか時間を稼ぐかどっちを選ぶかは好きにしろ!あと俺を戦力には付け加えんなよ!』

早口でまくしたててくるがどうするべきかはわかった。

俺はともかく一夏は時間稼ぎとかそういう戦い方はできない…と思う。

もしやるとしてもシャルロットがいたらだいぶ楽になるとは思うが…

ピットの方をちらりと見る。

シャルロットが出てくる気配はない。

『ごめん。僕達は二人を保健室に運ぶから手助けは出来ない。…三人とも頑張って!』

開放回線からシャルロットの声が響く。

「ふん。怖気づいたか」

「シャラップ!三本の矢というものを見せてやろう!」

『前衛は織斑!後衛は海堂!こいつの第三世代武装はたぶん相手を捕まえるサイコキネシス的なものだ!原理がわからんからとにかく一直線に突っ込むことだけはするなよ!もし織斑が捕まったら海堂か俺のどっちかがボーデヴィッヒの邪魔をして織斑を逃がすこと!正直言ってこの戦いの要は織斑の零落白夜だ!使い時を見極めろよ!』

「じゃあ行くぜ!」

「援護する!」

一夏は再びラウラへと切りかかった。

だがその動きはジグザグで、変則的だ。

俺はガン・オブ・マスケッティアーズを出して一夏の邪魔にならないようにラウラを撃つ。

 

「そんな急ごしらえの策で私を止められると思うか!」

しかしラウラは一夏の動きに惑わされず、プラズマ手刀と雪片二型がつばぜり合った。

その瞬間ラウラのAICが一夏を捕らえた。

俺が一夏を解放するためにラウラへまた魔弾の射手を撃とうとしたが俺を視界に収めずにレールガンを撃ってきた。

やばいな…レベルと錬度が違いすぎる…

そもそも俺達は二人で戦う訓練をしたことがないから連携もまるで出来てない。

このままじゃ千冬さんが来る前にやられるかも…

どうしたら…

 

「ジョッキィィィィィィ!」

俺がこの状況の打開策を考えていたら二階堂が奇声を上げながらラウラの頭上から奇襲を仕掛けた。

その勢いは凄まじく、一瞬でラウラに接近した。

ラウラは一夏の方を見ながらワイヤーを繰り出す、が…

「だーれだ!」

二階堂はラウラの方の上に座り肩車をしたと思うと片手でラウラの目を隠した。

もう片方の手でラウラの頭を殴りつけ、足でラウラの体と自分を固定している。

「放せ!放さんか貴様!」

ラウラはワイヤーを二階堂の首に巻き付け引き剥がそうとする。

「誰が放すかよ…!」

しかし二階堂はなんとか耐えている。

 

「なら!」

するとラウラは後ろ側にぐらりと倒れそのまま地面へと落下を開始した。

「離れろ!」

地面に近づくとラウラは瞬時加速で二階堂を頭から地面に叩きつけた。

「ぐぅ…!」

この一撃には二階堂も耐えきれずラウラを放してしまった。

「貴様はそこに沈んでろ!」

ラウラは二階堂に何度もレールガンを叩きこむ。

 

何発か撃った後ラウラは一夏のいた場所を見たがそこにはもう一夏はいない。

二階堂がラウラを拘束した時にAICから逃れたのだ。

「一夏、どうする?」

「今回は勇気がなんとかしてくれたけど次おんなじことをさせるわけにはいかないな…」

ちらりと見ると二階堂は呻きながら何とか立ち上がろうとしている。

次何か攻撃を食らったら戦うことができなくなるだろう。

 

「下手に突っ込んだら捕まるからな…」

「それにどっちかがなんか策を用意してもAICかあのワイヤーで捕まった後にレールガンかプラズマ手刀が飛んでくる」

「セシリアがいたらビットで意識をある程度は逸らしてくれたかもしれないが…」

「贅沢言うな。これ以上無茶させるわけにはいかないだろう。セシリアにも、勇気にも」

「じゃあどうする?」

「なんとなくあるにはあるが…」

一夏は俺に作戦を耳打ちしてきた。

「……無謀だな」

「でも今の俺達にできるのはこれぐらいだろう?」

「…乗った!合図は一夏、お前に任せる」

「ふん…何を企んでいるかは知らんが貴様らの攻撃が私に届くことはない」

さっきの二階堂の奇襲は届いたじゃないか…とか言ったらキレてめんどくさくなりそうだから黙っておこう。

 

俺達は同時に動いた。

一夏はラウラの周りを近づきすぎないように旋回し、俺は魔弾の射手を撃ってラウラの背中を狙う。

「何をするかと思えば…無駄だ。こんなもので私が倒せると思っているのか?」

思っちゃいないさ。

俺は弾丸を操作しながら少しづつ動く。

そのスピードは遅いが一夏の動きと弾丸でラウラをかく乱しているからおそらくばれていない…と思いたい。

 

『準備はいいか?』

「ああ」

俺達はラウラの前と後ろにいる。

『いくぜ…一…二の…三!』

俺達は瞬時加速でラウラに接近する。

一夏の作戦はシンプルにラウラを挟み撃ちにするというものだった。

どっちかがAICで捕まってもどっちかがラウラに攻撃できる。

もう俺達にはそれぐらいしかラウラにまともに攻撃できるチャンスはない。

 

一夏は雪片二型を、俺はカラドボルグを手にラウラに切りかかる。

一夏は零落白夜を出し、俺はカラドボルグに電撃を纏わせる。

どちらが脅威かといえば断然一夏だが俺の攻撃もそれなりにダメージを与えることもできるはずだ。

「ちっ!」

ラウラは舌打ちをすると一夏を見た。

一夏の動きが止まる、AICだ。

そして俺にレールガンを撃ってきた。

しかし何回も撃たれればさすがにそう来ることはわかっていた。

俺は何とか紙一重でかわし、ラウラを切った。

 

「はぁっ!」

ラウラは一夏を見るのをやめて俺をプラズマ手刀で攻撃してきた。

俺はそれを後ろに下がって回避し、そのまま距離を取った。

「優人、手ごたえは?」

一夏も俺のそばに来た。

「それなりにはあった…けど」

ラウラはまだ戦えそうだ。

「優人…謝っとく…もう零落白夜使えるだけのエネルギーがもうない…」

「………マジか」

「マジだ…」

まずいな…ラウラにまともにダメージ与える手段がなくなった…

 

『おい海堂、何かあったのか?』

「二階堂、一夏が零落白夜を使えるだけのエネルギーをもう持ってないんだ」

『……お前は何か一撃必殺的なもの持ってるか?』

「ない」

『………………しょうがないか』

 

『おいボーデヴィッヒ!これからお前の相手をするのは俺だ!』

『……貴様はもう戦うことはできんだろう?』

『ところがどっこいまだ戦えるんだなこれが。そしておまえを倒す手段もある』

二階堂は破城槌を出した。

『それをどうやって私に当てる気だ?貴様は私のいる場所に来ることすらできない。私はここから貴様を撃つだけだ』

『じゃあ良い物見せてやるよ』

二階堂は腰を落とし、何かの構えを取った。

『名前は…そうだな… 流星廻槌(りゅうせいかいつい)にでもするか。いくぜ…流星廻槌!』

二階堂は凄まじいスピードで吹き飛んだ。

セシリアと戦った時に見せた瞬時加速だ。

そのまま一直線にラウラへと突き進む。

「馬鹿が…」

このままではAICの餌食だ。

誰もがそう思った。

 

二階堂が突然横に吹き飛ぶまでは。

 

そしてもう一度吹き飛んでラウラの背後に周るとラウラの背中に破城槌を叩きこんだ。

「くっ…!」

ラウラがプラズマ手刀を背後の二階堂に叩きこもうとしたが二階堂はもうそこにはいない。

ラウラの頭上に吹き飛んだのだ。

そしてまたラウラに破城槌を叩きこもうとした。

「くぅ…」

だがラウラはそれを腕をクロスさせてガードした。

二階堂は後ろに吹き飛ぶと今度は地面の方に吹き飛んだ。

 

「これが…あいつの新技…」

あの流星廻槌とかいう技はつまり瞬時加速で動き回って相手に破城槌を何度も叩きこむということか。

だが…

「このままじゃラウラを倒す前にエネルギーの方が先に切れる…」

すでに何度もレールガンを食らった後に何度も瞬時加速をやっているんだ。

どう考えてもこのままじゃあと二、三十秒もしないでエネルギーが切れる。

それに急な方向転換で体への負担もでかいはずだ。

「何か策があるのか…」

 

「ほらほらほらほら!もういっちょお!」

二階堂は何回かラウラに破城槌を叩きこんだ。

だがまだラウラは倒せていない。

「…………」

ラウラは防御に徹している。

 

「いける…いけるぜ…!」

一夏はこのまま二階堂が押し切れると思っている。

だがこのままラウラが何もしないで負けるだろうか…?

 

「はぁ…これを使うしかないのか…」

ラウラがそう言った瞬間ラウラは眼帯をずらした。

その瞬間二階堂の動きが止まった。

「まさか…」

越界の瞳(ヴォーダン・オージェ)

「はぁ…はぁ…これを使う羽目になるとはな…」

ラウラは眼帯を戻した。

「おいおい…そんな隠し玉があるなんて聞いてないぞ…」

「ずいぶん苦労させてくれたな…だが…」

ラウラはプラズマ手刀を出した。

「これで終わりだ!」

ラウラがプラズマ手刀を二階堂に叩きもうとした。

 

その瞬間、二階堂の打鉄は消えて二階堂は生身になっていた。

 

「勇気!」

一夏が叫ぶ。

まさか具現維持限界!?

なんでこのタイミングで!?

「ちっ!」

ラウラはプラズマ手刀を無理やり上にそらした。

 

 

 

 

 

 

いや、待てよ?

具現維持限界でISは消えたか?

 

 

 

 

「―――――」

二階堂は何かを呟いた。

瞬間、二階堂は打鉄を纏い、その手には何かが握られていた。

 

それはライフルだった。

セシリアが持っていたものと似たようなライフルだ。

だがそのライフルは異様だった。

ライフルからは何か触手のようなものが何本も出ていてその先端は真っ赤になって二階堂の周りは陽炎のようにゆらいでいる。

その銃口はラウラを捉えていた。

 

「くそぉぉぉぉぉ!」

ラウラがそのライフルから放たれた極太レーザーに飲み込まれるのと二階堂にレールガンを叩きこまれるのは同時だった。

 

 

二階堂はレールガンに撃たれた勢いで吹き飛ばされていた。

そして地面に落ちると倒れたがすぐに立ち上がった。

 

あいつ正気か!?

隙を作るためだけに一回打鉄をひっこめたのか!?

もしラウラが止めなかったら死んでたぞ!?

 

「勇気!大丈夫か!?」

一夏が二階堂のそばに近寄る。

「……離れてろ」

「え?」

 

「貴様…」

地の底から響いてくるような声だった。

声の発生源を見つけるのは簡単だった。

ラウラだ。

シュヴァルツェア・レーゲンの装甲はボロボロだがレールガンは無事のままで、戦うことはまだできるだろう。

 

「やはり貴様は倒さなければいけないということがよくわかった…」

ラウラは二階堂から目を放さない。

瞬きすらせずに見続けている。

 

「貴様は今ここで潰す!」

ラウラがプラズマ手刀を構えて飛ぶ。

「させるか!」

勇気の前に一夏が立った。

両手で雪片二型を持ち、構えた。

ラウラは更にスピードを上げた。

一夏ごとやる気か。

 

 

 

「そこまでだ」

アリーナに凛とした声が響く。

「千冬姉…」

「教官…」

千冬さんだ。

「織斑先生だ」

千冬さんはスーツ姿に打鉄の近接用ブレードを肩に背負いやってきた。

「これ以上お前達がここで戦うのは禁止だ。これ以上やるというなら…」

千冬さんがブレードを振り下ろす。

鈍い音がアリーナに響く。

「力尽くでお前達を止める」

「……わかりました」

ラウラはそれだけ言ってセシリア達を連れて行ったピットとは反対のピットに消えて行った。

 

「さて…」

千冬さんは一夏の前に立った。

「織斑。お前はアリーナのバリアーを破壊した。もしあの切れ目からお前達の攻撃が漏れて誰かに当たったらどうする気だ?」

「それは…」

「考えてませんでした…か…お前にはあとで反省文を書いてもらう」

「……はい」

「次はお前だ。二階堂」

「………」

「お前はなぜあんなことをした?」

「なんのことやら」

「とぼけるな。あんな危険行動は認めん。お前には二日間の謹慎と反省文を書いてもらうぞ」

「了解でーす」

二階堂は悪びれずにそう言った。

「では解散だ。これ以上問題を起こすなよ」

千冬さんはまたブレードを肩に背負ってピットへと歩いていった。

「セシリア達のことが気になるから保健室に行こうぜ」

一夏がそう言った。

確かに気になるな…

「行こう。今後のことに関しても話さなきゃいけないからな」

「勇気も来るか?」

「…………ああ」

たっぷり間を取って話したな。

 

 

 

 

「今回はこれで済ませますけど次同じ怪我して来たら今回の倍以上の時間をかけて怒りますから。わかりましたね?」

「はい…」

「わかりましたわ…」

保健室に着いたらベッドで寝ながら保険の先生に怒られている二人がいた。

「みんな来たんだね」

シャルロットはセシリアのベッドの横に置いてある椅子に座っていた。

「失礼します」

「あら?あなた達も怪我かしら?」

「二人の見舞いに来ました」

「わかったわ」

先生はそう言うと椅子に座って机の上に置いてあった飲み物を飲んだ。

 

「二人とも怪我は大丈夫か?」

「ええ。打撲してる場所は何か所かあったけどそこまで大きな傷はなかったわ」

「けどISは…」

「……もしかして壊れた?」

「ダメージレベルC行ってたわ。悪いけど学年別トーナメントはとても出れる状態じゃないわ」

「ええっと…確かダメージレベルCは修理にしばらく時間がかかるんだっけ?」

「そうですわ。装甲などは変えれば済みますが内部の破損のチェックに時間がかかりますから…」

「という訳だから学年別トーナメントで私達のどっちかと組むつもりだったら諦めなさい」

「そのことでお前達に話したいことが…」

着いてきた二階堂が話し始めた時だ。

「……地震か?」

何か地響きのような音が聞こえてきた。

「でも揺れてないわよ?」

保険の先生が答える。

どんどん音はでかくなってきている。

 

閉めたはずの保健室のドアがバン!と大きな音を立てて開けられた。

「織斑君!」

「海堂君!」

「デュノア君!」

「「「「「「「「「「私と学年別トーナメントで組んでください!!!」」」」」」」」」」

大量の女子が保健室に流れ込んできた。

「あなた達!ここには怪我人がいるから静かに…ああもう聞きなさい!」

保険の先生が怒るがあまりにも女子達の声が大きすぎて届かない。

 

「え。ええっと。俺はシャルルと組むから諦めてくれ!」

一夏がそう言うとシーンと静まり返った。

「海堂君は…?」

誰かがそう言った途端ばばっ!と女子達が一斉に俺の方を見た。

「お、俺は箒と組むから!ごめん!」

そう言うと誰かが大きなため息を吐いた。

そしてぞろぞろと保健室から出ていった。

 

「……学年別トーナメントのことでお前達と話したいことがある」

「話したいこと?」

 

 

 

 

「ボーデヴィッヒのことについてだ」

 

 

 

 

 

 




こんなギリギリの時間の投稿になってすみません…
来年もこんな感じの感覚で投稿すると思います…
何とか早く投稿できるように来年は頑張ります
という訳で皆さん来年もこの小説をどうかよろしくお願いします!





次回 勇気編 第十四話 「ばーか」



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