IS The harlequinade/leading role 作:サヴァヴァヴァ
side二階堂勇気
俺はオルコットをちらりと見た。
こいつは最初の頃の態度はなかなかのものだったが、あるタイミングでいきなり態度が百八十度変わった。
そのタイミングとはクラス代表を決めるときの戦いだ。
海堂に負けてから性格も丸くなって周りとのコミュニケーションも普通に取れるようになった。
なぜ海堂が出てくるかというと誰がどう見たってオルコットが海堂を狙ってるのが丸わかりだからだ。
あの戦いの後何らかのラブコメ的イベントがあったんだろう。
それでオルコットは海堂にデレたのだ。
俺はその一連の流れをボーデヴィッヒでも出来ないか?と考えた訳だ。
オルコットの態度の落差から考えると、ボーデヴィッヒが織斑か海堂のどちらかに好意を抱いた時のデレ加減はすさまじいレベルになるはずだ。
それこそ今まで俺にやってきた行動を悔い改めるレベルになるまで!
そうじゃなくてもあいつらのどちらかが謝らせるだろう。
というか謝らせる!
そして俺はあの邪気眼から解放されるわけだ!
その結果あいつらのどちらかがボーデヴィッヒのダークフレイムマスターになるわけだがこれは必要でどうしようもない犠牲だ。
世に言うコラテラルダメージだ。
俺の目的の為の、致し方ない犠牲だ。
そのためには何とかこいつらがボーデヴィッヒに勝てるようにしなければ…
「ラウラのことがどうかしたのか?」
「まあ待て織斑、これから話すさ」
俺は椅子を持ってきて座り、足を組んだ。
「学年別トーナメントでお前らがボーデヴィッヒと戦うことになった時の対策について教えてしんぜよう」
「なんだその言い方…」
「さて、さっそくだが織斑、お前はボーデヴィッヒと軽く戦ってみてどう思った?」
「どう思ったって…隙がまるでなかったな。あとあのこっちの動きを止めてくる何かがきつかったな…」
大体俺と同じ感想だな。
「海堂はどう思った?」
「うーん…ラウラの戦い方は基本的に全距離対応型って感じかな?ありとあらゆる距離での立ち回りがしっかりできている」
ほう、よくわかっている。
「まずはあいつのあの謎サイコキネシスの対処方法だが…」
「恐らくアレの正体はAICですわ」
オルコットが突然口を開いたと思ったら何か知っているようだ。
「知っているのかオルコット」
「噂程度ですが…お三方はPICについてどれだけ知っていますか?」
「えーと…PICはパッシブ・イナーシャル・キャンセラーが正式名称で…あとは…」
「PICのおかげでISは浮遊と加速と停止ができるんだ」
「正直何をどうすりゃあんな機能の代物ができるかわからんな」
織斑、海堂、俺の順番で答える。
「基本的なことが分かっているなら次に進みますわ。AICはドイツで開発されたというPICを発展させた第三世代武装ですわ」
正直あそこまでの完成度だったは予想外でしたが…とオルコットは続けた。
「AICの正式名称はアクティブ・イナーシャル・キャンセラーで、どのような効果なのかはわかっていますよね?」
「ああ…」
「ドイツ軍のページにもしっかり書いてるな」
俺はスマートフォンで検索してドイツ軍のボーデヴィッヒについてのページを開いた。
そこにはどこのアイドル事務所のアイドル紹介のページなんだ?と思わせるレベルの装飾でボーデヴィッヒのプロフィールやらISの紹介が書かれている。
しっかりAICについてもだ。
たるんでるな俺…あいつが来た初日に調べなきゃいけないというのに…
「本当だな…」
織斑も俺のスマートフォンを覗き込んで見ている。
「AICの原理としては凰さんの衝撃砲と同じだと思います」
「ということはエネルギーで空間に作用を与えてるってわけ?」
「恐らくは…」
「ということは零落白夜で何とかできるってことか」
「それは無理だろ。何回ボーデヴィッヒに捕まったと思ってんだ」
「じゃあどうするんだ?」
「それが話そうとした内容という訳よ」
俺はスマートフォンを仕舞った。
「さて、あれの対策としては正直一対一じゃほぼ無理だ」
「………」
織斑がごくりと唾を飲んだ。
「しっかーし、今度の学年別トーナメントはコンビで戦うんだ。なら対策はある」
「その…対策は?」
「さっきもやっただろう?片方が捕まったらもう片方がボーデヴィッヒにちょっかいかけてやるのさ」
「でもあれはほとんど成功してなかったじゃないか」
「そうだな海堂。だからそこにあるものを加えるのさ」
「あるものって?」
「意外性だ」
ナルトだって意外性で強敵と渡り合っていたんだ。
「意外性なー…」
織斑は頭を悩ませている。
「それとあいつのあの奥の手についてだが…」
「奥の手?」
「お前らも見ただろ?あいつの邪気眼」
「邪気眼って…」
海堂は苦笑いしている。
「あいつが眼帯をずらした途端急に俺にもAICがかかりやがった。あいつの視界に入らないようにしていたにもかかわらずだ」
「というと…」
「あれがあいつの奥の手なんだろうな。恐らく対織斑用の」
「俺の?」
織斑が自身を指差した。
「ああ。何で俺があいつの視界に入らないようにしていたかというとだな、あいつはAICを使うときは絶対に対象を見ていたからだ」
「見ていた?」
「たぶんアレ使うときはハイパーセンサーじゃなくて自分の目で見なきゃいけないんだろうな」
「理由はあるのかな?」
「たぶんあれだろ。めっちゃ集中力がいるんだろ、オルコットのビットと同じで」
正直それぐらいしか思いつかねえや。
「うーん…」
「だから視界に入らないようにしていたんだが、あいつが邪気眼を解放した途端に捕まっちまった」
「単純にもっと視界が広がったから捕まったんじゃないか?」
「それは俺も思ったさ海堂。だけどほんっとうに視界ギリギリだったぞ、あの時は」
「つまり…」
「邪気眼の封印を解いたから真の力が解放されたんだろう」
「そんなマンガじゃあるまいし…」
「そんなマンガみたいな出来事が実際に起きたんだよ織斑。あれ使われたら最悪瞬時加速使った時のお前でさえ危ないぞ」
本当はどうなのかわからないが、最悪のパターンを織斑に伝えておこう。
「じゃあラウラが眼帯をずらした時は要注意だな…」
織斑はどうやら俺の言ったことをちゃんと聞いてくれたようだ。
「あと実は視界に入れなくてもできましたパターンの可能性もまだあるからそこらへんもちゃんと考えとけよ」
「わかった」
海堂も俺のアドバイスをちゃんと聞いてくれたようだな…
「あ…と…は…っと、これまでの話を聞いてどうやってAICを破るかに関してはお前達の相方としっかり打ち合わせをしてくれよ」
「勇気のアイデアとかはないのか?」
「悪いが俺の意見は使い物にならない可能性が高い」
「可能性?」
「そうだ海堂。お前俺がボーデヴィッヒにやった最後のあの隙を作る方法があっただろう?」
「…あのとても危険なやつか…」
「あれすぐにボーデヴィッヒは俺が何を考えているか見ぬいてカウンターをしてきやがった」
「というと…」
「俺とボーデヴィッヒの敵を倒すための作戦の立て方が似てる可能性があるってわけだ」
敵を倒すためならなんだってやる。
卑怯だろうと危険だろうとやれることならやる。
「あるいは俺の戦い方の対策を立てているから俺の考えた作戦はすぐに対策立てられてお終いかもってわけだ」
「…わかった。後でシャルルと一緒にどうするか考えてみる」
「わかったよ」
「箒、俺達もどうするか考えよう」
「ああ」
「そして次が肝心要、ボーデヴィッヒが誰と組むかの予想だが…」
それについて話そうとしたとき誰かが保健室に入ってきた。
「二階堂君、ここにいましたか」
山田先生だ。
「山田先生、何か用ですか?」
「はい…」
山田先生はどこか言いずらそうだ。
「実は…」
「緊急の職員会議で二階堂君の学年別トーナメントの出場禁止が決定されました」
「な!?」
「…」
やっぱりか…
「なんでですか!勇気が何か悪いことを「あのISを一回ひっこめたやつのことですか」」
織斑が話していたが気にすることなく俺は話す。
「はい…あのような危険行為をする生徒を多くの学園外の人間が集まる学年別トーナメントに出すわけにはいかないということですが…」
「それはただの建前で単純にボーデヴィッヒと俺が戦ったり組んだりしないようにしたという訳ですか」
「……」
「まあ誰がその職員会議を開いて俺の出場禁止を決めたか予想はできるな」
「……千冬さんか」
あの女なら俺とボーデヴィッヒが水と油どころか火とガソリンということが分かっているだろう。
絶対に組み合わせてはいけない、組み合わさってしまったら周りにどれほどの被害が出るか…
「という訳で私はこれで失礼します」
山田先生は振り返って歩きだそうとした。
「いや、ちょっと待ってください」
「どうかしましたか?」
「これから話すことで山田先生の意見を聞きたいのでいてほしいんです」
「わかりました」
「それじゃあボーデヴィッヒが誰と組むかの予想だが…今の話の後に言うのは何だが十中八九ボーデヴィッヒと組む奴は俺になる」
「ちょっと待ってください」
山田先生が待ったをかける。
「職員会議で決まったんですよ?それなのに二階堂君が出るのは絶対に無理です」
「ええ。確かに無理でしょうね。そこに第三者の意見が加わらなければ」
「第三者…?」
「言いましたよね?学園外の人間が来るって」
「はい」
「来る人間はどんな人達ですか?」
「えっ…と、各国の政府関係者や研究職員や企業の方や他にもいろんな方がきますよ」
「ところでつかぬ事を伺いますが今IS学年の一年生の生徒数は偶数ですか?奇数ですか?」
「偶数ですが…」
「俺が出られないことによって奇数になり誰か一人が出場できないということになるってわけだ。そしてその出られない残念な奴は…」
「…ラウラってことか?」
「ビンゴだ海堂!わかってるじゃないか!」
「ボーデヴィッヒさん以外の方が出場できない可能性もありますが…」
「ここで山田先生に質問。俺とボーデヴィッヒのIS学園内での評判はどうなっているんでしょーか?」
「……」
山田先生言いずらそうで黙っている。
「二人とも最悪。片や色々やらかしてる奴。片や入学早々暴力を振るうわ色んな奴に喧嘩を売る奴。どっちも絶対組みたくないから一年生の生徒は絶対知り合いと組んでボーデヴィッヒや俺と組まないようにする」
そして出来上がるボッチ二人の抽選コンビというわけだ。
「だがやらかしてる奴は男性IS操縦者。喧嘩を売る奴はかの織斑千冬の教え子にしてドイツの第三世代のISの使い手だ。学年別トーナメントに来た人々はこう思うだろう…『見たい!』と…」
俺は芝居がかった口調で話す。
「しかし二人は憐れにも学年別トーナメントには出場できない…おお!なんてことだ!」
俺は両手で顔を隠した。
「そして来た人々は学園に二人を出場させるように頼む…いや、命令するだろう」
「命令って…大げさすぎますよ」
「もし断ったら人々はこう思うだろう…IS学園いや!日本は何か企んでるのではないか?…と」
俺は何かに気づいたような顔をしながら顔を隠している手を退かした。
「IS学園がある地は日本で学園の運営費を出してるのも日本だ。つまり他国よりIS関連の負担が大きいというわけだ」
「そうですが…」
「そんな日本が男性IS操縦者の一人をな・ぜ・か・隠そうとしている…これは何らかの陰謀があるのでは?そう訝しまれたくないから学園は二人を出さざるを得ない」
「そんな無茶苦茶な…」
「来てる人間の中には他国の政府の関係者がいる。そんな人間が自分の国の政府に今俺が言ったことを報告したらどうなってしまうか…さて、今言った妄想を否定する奴はいるか?」
いやー自分でも驚くぐらい饒舌になったな。
さて、反応は…
誰も口を開かない。
今俺が言ったことは本当に起こり得るか考えているようだ。
「まあ今言ったことが起こらなくてもなんやかんや近いことが起きて、俺がボーデヴィッヒと組んで出場するのはほぼ確定だと思っとけ」
「それで…」
「どうかしたのか織斑」
「お前はラウラと一緒に組んで大丈夫だと思うか?」
「ぜーんぜん!という訳で山田先生、もし俺がボーデヴィッヒと組んで出ることになったら何らかの対策を立てるように職員会議で言ってくださいな」
「わかりました…」
山田先生は今度こそ保健室から出ていった。
「というわけでこれで作戦会議はおしまい!お疲れ様でしたー!」
「えっ?これでおしまい?」
海堂は驚いた顔で俺に聞いてきた。
「うん。これ以上は自力でなんとかしなさいな。それじゃあ俺は打鉄の修理があるのでこれで失礼する」
俺は足早に保健室から整備室へと歩きだした。
あとはあいつらがなんとか俺とボーデヴィッヒのコンビを打ち破れるだけの強さとコンビネーションを手に入れるのを祈るばかりだ…
八百長?ばれたが最後何が飛んでくるやら…
「いやー無茶したね君」
整備課の先輩の一人が俺の顔を見るなりそう切り出した。
「もう学園中の噂に?」
「そうよ。もう尾ひれはひれが付いてすごいことに」
「具体的には?」
「君と例の彼女がアリーナで殺し合いをしてたって」
「そこまでいくか…」
「で!例の銃を使ったって聞いたけど感想は?」
「早急に改修することを求む。もし最高の威力を叩きだせてたならあの一撃で勝利してましたよ」
まあ仮に倒せてもボーデヴィッヒなら生身で突撃してきそうだが…
「わかったよ。それと打鉄を見せてくれるかな」
俺は整備用の場所に立って打鉄を出した。
「うーん…装甲がベッコベコだね」
「しこたまレールガンを撃たれましたからねえ…」
そりゃあバリアーがあっても装甲の一つや二つやられるってもんだ。
「装甲の取り換えとあとは…中身のチェックも一応しておくか」
俺は打鉄を出したまま降りた。
「かかる時間の予想は?」
「一時間で!」
「よし終了!タイムは!?」
「ギリ一時間切ってますね」
二人がかりでやった修理とチェックはギリギリ一時間かからずといった具合だ。
「それじゃあガチャレーザーライフルを置いてってね」
俺はガチャレーザーライフルを適当な大きさの台に置いた。
「一応全部一からチェックするから結構時間かかると思うからまあそれなりに覚悟はしといてね」
「そもそも威力のムラは何が原因で起きてるかわかってるんですか?」
「個人的に考えてるのは部品が欠けてるか使ってる部品が悪いか、それとも全く違う原因か…まあ可能性があるものはすべて潰していくってことで」
「とりあえず学年別トーナメントまでに間に合わなかったら今のままで持っていきますから。いいですね?」
「いいよー」
さて、あとやらなければいけないことはこれから組むことになる相棒への挨拶だが、さすがに今日行くのはまずいよな…
明日の放課後行くか…
そして翌日の放課後、今いるのは寮のボーデヴィッヒの部屋の前だ。
昨日からシャルロットは織斑との作戦の打ち合わせやら練習やらで忙しそうだ。
俺はシャルロットを見送った後にボーデヴィッヒの部屋の前まで来たわけだが…
「話によれば今いるんだよな…つうかこいつ一人部屋かよ…」
ここに来る前にボーデヴィッヒの部屋の隣で生活しているという哀れな学生から奴がさっき部屋に戻ったという話を聞いた。
だからいるはずだが…
「一応手土産にと思って日本茶の茶葉とちょっとしたお菓子は袋に入れて持ってきたが…」
それともしお茶を入れる方法がなかった用の急須も。
持ってくる必要はなかったかな?
まあいいや。
俺はインターホンを鳴らす。
「誰だ?」
ボーデヴィッヒがドアを開けた。
「ボーデヴィッヒちゃん!あっそびーましょ!」
俺の姿を確認した途端奴はすごい勢いでドアを閉める。
「おいおいつれねぇなあ!」
俺はそれを右腕をねじ込むことで阻止する。
「未来の相棒に対してそんな態度はねえだろ」
「なに?」
その言葉にボーデヴィッヒの眉はピクリと動いた。
「とりあえず部屋の中に入れてくれよ。土産もあるからよ」
「………」
奴は俺の真意を測りかねているのか、ドアを開けずに何かを考えているようだ。
「………入れ」
ようやくドアを開けて奴は俺を部屋に入れてくれた。
「要件は何だ?」
奴は椅子を二つ用意して片方に座った。
俺も空いてる方に座る。
椅子の横に袋を慎重に置くのも忘れない。
「今度の学年別トーナメントでお前と組む相手が俺になりそうなんでそれについて話しておこうと思ってな」
「……何故私がお前と組まなければいけないんだ」
「それはごもっとも。でもお前組む相手いるの?多分いないだろ?」
「……………」
「沈黙は肯定ととらえるぞ。で、俺も組む相手いないからこれは『はーい二人組作ってー』的な流れを予測したからこれは先手を打って先にコンビを作っておこうと思ってな。あとお前当日俺と組むってなったら絶対文句たらたら言うだろ?だから先に言ってショックを少なくしてやろうと思ってな」
「お前は…」
「あん?」
「お前は何が目的で私と組むつもりだ?お前にはまだ更識簪がいるだろう?」
そこまで調べてるか…
さて、ここで誤魔化すか正直に話すか…
「そうさねぇ…俺は俺の思惑があってお前を学年別トーナメントで最低でも織斑と戦うまで勝たせなきゃいけないんだなこれが」
俺は半分正直に、半分誤魔化しながら話すことにした
「だから俺がお前と組んで勝率を少しでも上げてやろうってわけ。お分かり?とりあえずこれの中に入ってるもんでも食いながら俺と組むことを考えてくれよ」
「………ふん」
ボーデヴィッヒは俺の持ってきた土産を持つと中身を物色し始めた。
そして饅頭を取りだすとそれを食べ始めた。
しかし饅頭を食いながらもその鋭い目つきは俺を捉え続けている。
「………いいだろう。お前と組んでやる」
饅頭を食べ終え、長い沈黙の後にそう答えた。
「おっしゃ。とりあえず俺とお前でチームワークを高めるために練習でもするか?」
「そんなものしなくても十分だ」
「はいはい」
それは十分予想済みよ。
そしてそうなった場合お前がどんな戦法を取るかもな…
「それじゃあ俺は帰るよ。あっ、その袋の中身の急須茶葉使い切ったら洗って返せよ。じゃーなー」
俺は立ち上がって部屋を出た。
「……お前ら何やってんの?」
部屋を出たら大量の女子がボーデヴィッヒの部屋の前でたむろしていた。
「おら散れ散れ。あんま変なことやってたらこの部屋の中にいる奴が怒るぞ」
そう言ったら女子達は蜘蛛の子を散らすように自分の部屋に帰っていった。
さて、俺も帰るか…
部屋に帰ってもシャルロットはいない。
部屋にかかってる時計を見たらアリーナが閉まるギリギリの時間だった。
頑張ってるねぇ…
俺は飯でも食ってくるかね…
時は流れてついに学年別トーナメント当日になった。
その間織斑達は特訓をしまくっていたのに対し俺達は一切一緒に特訓をすることはなかった。
これは個々のプレーから生じるコンビネーションに賭けるしかないな。
そんなことを考えながら俺はアリーナの整備をしていた。
男性IS操縦者?そんなの関係ない。
全生徒強制的に働いてんだ。
今頃織斑達は何の雑用させられてるのかねえ。
おっと、そろそろ終わりだな。
それじゃあ「二階堂君…」帰ろうとしたら山田先生が暗い顔をしながら俺に話しかけてきた。
「どうかしましたか?」
「二階堂君の予想通りでした…二階堂君の出場禁止が撤回されて出場することが決定されました…それとボーデヴィッヒさんと組むことも決定されました…」
やっぱり学校外のお偉いさんに圧力かけられたかー。
「わかりました。それじゃあ着替えてきますね」
「その前に言わなければいけないことがあります」
「なんですか?」
「ボーデヴィッヒさんと組むにあたって二人には守ってもらうことがあるんです」
「守ること?」
「試合中に喧嘩したり仲間割れしたりしないことです。もし破ったらどんな理由があっても二人を学年別トーナメントの試合に出しませんから」
「わかりましたー」
俺は手をひらひらと振りながら更衣室へと歩きだした。
更衣室に着くとそこにはもう着替え終わった織斑達がいた。
「お前ら仕事は何やってきたんだ?」
「俺と優人が来賓の人達の誘導をしてきたが…」
「いろいろ大変だったな…」
織斑と海堂がげんなりした顔で答えた。
どうやらだいぶ口説かれたみたいだな。
「僕は会場の設営をしてきたよ」
「なるほどねえ」
俺が一番肉体的労働をしていたと…
…まあいいか。
俺は適当なロッカーを開けて着替えを始めた。
「……勇気がここに来たってことは…」
「そうだよ織斑、俺の予想が当たったってわけだ」
「……気をつけろよ。ラウラは何をしてくるかわからないからな」
織斑の忠告を聞き流しながら俺は着替えを続ける。
よし着替え終わった。
「そろそろ発表の時間だっけ?」
海堂がシャルロットに質問した。
「そうだと思うけど…」
二人がそんな話をしていると会場が写されていたモニターの画面が切り替わった。
「おっ。出たな」
さて、俺はどこにいるのやら…
「げっ」
「勇気がAブロック一番最初の試合か」
対戦相手は…知らん奴らだな。
こりゃちゃんとした専用機持ちはボーデヴィッヒだけだな。
織斑とシャルロットコンビは…俺と同じAブロックか。
もし勝ち進んだら準々決勝で戦うことになるのか。
海堂と篠ノ之コンビはBブロックか…
ふう…織斑と同じブロックでよかったな…
互いに二回勝てば当たるというわけだ。
気合入れていかなきゃいけないな。
「それじゃあ第一試合行ってきまーす」
さて、楽に勝てればいいんだけどな…
そして記念すべき第一試合、人々は驚くことになる。
何せ一人が試合で戦うことをサボったんだから。
今後今回みたいに次回のタイトル書かない感じで行きます
だってその方がワクワク感出せそうな気がしますし…