IS The harlequinade/leading role   作:サヴァヴァヴァ

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先月は色々忙しく無投稿…
俺はあと何回言い訳を続けるのだろうか…


前回:ラウラと戦って何とか撃退できた…よな?




優人編 第十五話 戦いはすでに始まっている

 

 

side海堂優人 

 

 

 

二階堂は一瞬だけどこかに視線を動かしたがすぐに視線を戻した。

今誰かを見ていたのか?

さっきの二階堂の視線を動かした先にいたのは…セシリア?

「ラウラのことがどうかしたのか?」

「まあ待て織斑、これから話すさ」

俺が二階堂の視線のことを考えていると一夏と二階堂が話を始めた。

二階堂は椅子を持ってくると、その椅子に座って足を組む。

 

……今の話に関係ないことだが二階堂以外と足が長いな…

よくある日本人の体形とかじゃなくてまるで外国人のような足と胴のバランスだ。

 

「学年別トーナメントでお前らがボーデヴィッヒと戦うことになった時の対策について教えてしんぜよう」

「なんだその言い方…」

まるでどこかのRPGに出てくるキャラクターみたいな話し方だ。

 

「さて、さっそくだが織斑、お前はボーデヴィッヒと軽く戦ってみてどう思った?」

「どう思ったって…隙がまるでなかったな。あとあのこっちの動きを止めてくる何かがきつかったな…」

確かに戦ってみるとその実力の高さを痛感してしまう。

千冬さんの教えもあるんだろうけど本人の質の高さもうかがえる。

今の俺や一夏じゃ一人で戦っても勝ち目はかなり薄いだろう

 

「海堂はどう思った?」

俺か?

俺は…そうだな…

「うーん…ラウラの戦い方は基本的に全距離対応型って感じかな?ありとあらゆる距離での立ち回りがしっかりできている」

近距離ならプラズマ手刀、中距離ならワイヤーブレード、遠距離ならレールガン、そしてすべての距離で使ってくるAIC。

まさに攻撃面なら完璧に近いとしか言いようがない。

 

 

 

「まずはあいつのあの謎サイコキネシスの対処方法だが…」

「恐らくアレの正体はAICですわ」

二階堂が何かを話そうとしたがセシリアがそれを遮った。

「知っているのかオルコット」

それを二階堂はどこか驚いたような口調で質問した。

「噂程度ですが…お三方はPICについてどれだけ知っていますか?」

PICについてか…

「えーと…PICはパッシブ・イナーシャル・キャンセラーが正式名称で…あとは…」

一夏は正式名称について答えた。

「PICのおかげでISは浮遊と加速と停止ができるんだ」

俺は機能について答える。

「正直何をどうすりゃあんな機能の代物ができるかわからんな」

二階堂…

 

「基本的なことが分かっているなら次に進みますわ。AICはドイツで開発されたというPICを発展させた第三世代武装ですわ」

つまり俺達も頑張ったらAICが使えるんだろうか?

「AICの正式名称はアクティブ・イナーシャル・キャンセラーで、どのような効果なのかはわかっていますよね?」

「ああ…」

あれだけやったら誰だってわかるさ。

「ドイツ軍のページにもしっかり書いてるな」

いつの間にか二階堂はスマートフォンを取りだして何かを見ていた。

「本当だな…」

一夏も二階堂のスマートフォンを覗き込んでいる。

 

「AICの原理としては凰さんの衝撃砲と同じだと思います」

「ということはエネルギーで空間に作用を与えてるってわけ?」

「恐らくは…」

鈴とセシリアはAICの理論について話し始めた。

「ということは零落白夜で何とかできるってことか」

「それは無理だろ。何回ボーデヴィッヒに捕まったと思ってんだ」

一夏の発言に二階堂がツッコミを入れる。

「じゃあどうするんだ?」

「それが話そうとした内容という訳よ」

これからが本題か…

 

 

 

「さて、あれの対策としては正直一対一じゃほぼ無理だ」

確かにそうだ。

目視できたなら話は別かもしれないが、残念ながらAICのエネルギーは目で見ることはできない。

だからどこから来るか、どうやって捕まっているか、それが一切わからない。

「………」

一夏もそれを痛感したらしくゴクリと唾を飲んだ。

 

「しっかーし、今度の学年別トーナメントはコンビで戦うんだ。なら対策はある」

だが二階堂は余裕綽々、その口の端にはわずかな笑みがうかがえる。

「その…対策は?」

「さっきもやっただろう?片方が捕まったらもう片方がボーデヴィッヒにちょっかいかけてやるのさ」

確かにそれが最適な方法かもしれないが…

「でもあれはほとんど成功してなかったじゃないか」

俺達がやった急ごしらえな策なんかじゃラウラは止められなかった。

「そうだな海堂。だからそこにあるものを加えるのさ」

「あるものって?」

「意外性だ」

……ラウラだってそれを見越して対策を立ててるんじゃないか?

「意外性なー…」

でもそれしか方法はない…か…

 

 

 

「それとあいつのあの奥の手についてだが…」

「奥の手?」

「お前らも見ただろ?あいつの邪気眼」

「邪気眼って…」

見た目的にはそうかもしれないけどさ…

 

「あいつが眼帯をずらした途端急に俺にもAICがかかりやがった。あいつの視界に入らないようにしていたにもかかわらずだ」

「というと…」

「あれがあいつの奥の手なんだろうな。恐らく対織斑用の」

「俺の?」

確かに越界の瞳の力なら一夏を捕らえることも可能だろう。

でもラウラの越界の瞳は制御ができなかったはずじゃ…

……いや!ラウラは眼帯をずらした後にすぐ戻した。

つまり……僅かな時間なら越界の瞳の能力が使えるということなのか?

だとしたらどれだけ使えるんだ?

一秒か?二秒か?三秒か?

……なんだかジョジョの承太郎にでもなったみたいだな…

 

「ああ。何で俺があいつの視界に入らないようにしていたかというとだな、あいつはAICを使うときは絶対に対象を見ていたからだ」

「見ていた?」

「たぶんアレ使うときはハイパーセンサーじゃなくて自分の目で見なきゃいけないんだろうな」

「理由はあるのかな?」

「たぶんあれだろ。めっちゃ集中力がいるんだろ、オルコットのビットと同じで」

「うーん…」

「だから視界に入らないようにしていたんだが、あいつが邪気眼を解放した途端に捕まっちまった」

「単純にもっと視界が広がったから捕まったんじゃないか?」

眼帯ずらせば視界はもっと広がるわけだし…

「それは俺も思ったさ海堂。だけどほんっとうに視界ギリギリだったぞ、あの時は」

しかし俺の発言に二階堂はそう答えた。

「つまり…」

「邪気眼の封印を解いたから真の力が解放されたんだろう」

二階堂はなんの恥ずかしげもなくそう言い切った。

 

「そんなマンガじゃあるまいし…」

そんな二階堂に一夏も苦笑いしている。

「そんなマンガみたいな出来事が実際に起きたんだよ織斑。あれ使われたら最悪瞬時加速使った時のお前でさえ危ないぞ」

だが二階堂は一夏の言ったことを気にせず断言した。

その言葉には「これ以外考えられない」、「これが正しいんだ」という考えが見て取れる。

「じゃあラウラが眼帯をずらした時は要注意だな…」

一夏も俺と同じことを考えたのだろうか?

一夏は顎に手を当てながら二階堂の話を聞いている。

「あと実は視界に入れなくてもできましたパターンの可能性もまだあるからそこらへんもちゃんと考えとけよ」

まあさすがにその可能性はないと考えたいけどなあ…

「わかった」

実際に戦ってみるまでは何が起きるかわからない。

もしかしたら突然ハイパーセンサーで認識した相手が拘束できるようになってるかもしれないし…

 

 

「あ…と…は…っと、これまでの話を聞いてどうやってAICを破るかに関してはお前達の相方としっかり打ち合わせをしてくれよ」

ん?これでおしまい?

「勇気のアイデアとかはないのか?」

一夏も言ってるが確かにアイデアとかがあったら嬉しいが…

「悪いが俺の意見は使い物にならない可能性が高い」

「可能性?」

もしかして思いつかないからそんな感じに濁して終わらせようって魂胆じゃないよな…?

「そうだ海堂。お前俺がボーデヴィッヒにやった最後のあの隙を作る方法があっただろう?」

最後の…?

まさか…

「…あのとても危険なやつか…」

あれはとても正気の沙汰とは思えない…

もしラウラが攻撃をずらせなかったら首が飛んでたかもしれない。

二階堂はそう考えなかったのか?

それとも考えていながらあれをやったのか?

それは二階堂本人にしかわからない。

 

「あれすぐにボーデヴィッヒは俺が何を考えているか見ぬいてカウンターをしてきやがった」

「というと…」

「俺とボーデヴィッヒの敵を倒すための作戦の立て方が似てる可能性があるってわけだ」

……それは違うと思うな。

 

二階堂の敵を倒すための作戦の立て方は、俺が考えるに「勝つためなら手段は選ばず、自分がどうあがいても勝てないという結論が出るまでは絶対に勝つことを諦めない」って感じだ。

わかりやすく言えば貪欲に勝利をもぎ取ろうとしているとも言える。

今までの二階堂の戦い方やら何やらでそうなのかなーって感じだけどな…

 

それに対してラウラの敵を倒すための作戦の立て方はなんというか…合理的と言えばいいんだろうか?

セシリアと鈴を痛めつけていた目的は一夏をアリーナにおびき出すための手段だったんだろうけど、今考えたら別の目的もあったんだと思う。

それは鈴とセシリアが一夏の援護をできないようにするためだろう。

徹底的にダメージを与えることで「もしかしたら戦ってる最中に二人に何らかの邪魔をされるかもしれない」という不確定要素を潰したんだ。

俺や二階堂とシャルロットはいいのかって?

……あんまり言いたくはないけどたとえ俺達の援護があっても大した問題にならないと思ったんだろう。

俺はまだまだ乗りたての操縦者、二階堂はそもそも来るとは思っていなかった、シャルロットは第二世代のIS。

何より俺達は誰かと一緒に戦うという訓練をまるでやっていない。

そしてあのラウラの実力、これらが合わさればそう判断してもおかしくはない。

 

「あるいは俺の戦い方の対策を立てているから俺の考えた作戦はすぐに対策立てられてお終いかもってわけだ」

まあそっちの方が可能性はあるよな…

「…わかった。後でシャルルと一緒にどうするか考えてみる」

「わかったよ」

「箒、俺達もどうするか考えよう」

「ああ」

叶うなら一夏達が先にラウラと戦ってくれる方がいいんだが…

 

 

「そして次が肝心要、ボーデヴィッヒが誰と組むかの予想だが…」

これが問題だよな…

原作なら箒と組むはずだったけど先に俺が組んでしまった。

だからラウラと誰が組むかまるで分らない。

二階堂の予想…聞いて損はないと思う。

俺がそんなことを考えていたら誰かが保健室に入ってきた。

 

「二階堂君、ここにいましたか」

山田先生?

二階堂に何か用事でもあるのだろうか。

「山田先生、何か用ですか?」

「はい…」

山田先生…?

「実は…」

 

「緊急の職員会議で二階堂君の学年別トーナメントの出場禁止が決定されました」

……マジか。

「な!?」

一夏も驚いている。

保健室にいる他のメンバーもだ。

「…」

いや、一人だけ驚きも動揺もしていない奴がいる。

出場禁止が宣告された二階堂本人だ。

まさかこれも予想済みだとでもいうのか?

 

「なんでですか!勇気が何か悪いことを「あのISを一回ひっこめたやつのことですか」」

一夏が山田先生に食ってかかるが二階堂がそう言うとハッとして黙った。

「はい…あのような危険行為をする生徒を多くの学園外の人間が集まる学年別トーナメントに出すわけにはいかないということですが…」

当たり前といえば当たり前だ

もし学年別トーナメントで同じことをしようものならIS学園は生徒に何を教えているんだと非難轟轟だし、もし失敗したら…

最悪IS学園はこの日本からどこか別の国に移転するかもしれない。

 

「それはただの建前で単純にボーデヴィッヒと俺が戦ったり組んだりしないようにしたという訳ですか」

でも二階堂は俺の予想した理由と全く別の理由を口にした。

「……」

山田先生はそれを聞いて口を閉ざした。

……当たっているのか。

 

「まあ誰がその職員会議を開いて俺の出場禁止を決めたか予想はできるな」

…………まさか…

「……千冬さんか」

あの人なら職員会議を開いて二階堂の出場禁止を提案して他の先生達の賛成をもぎ取れるだろう。

 

 

 

「という訳で私はこれで失礼します

「いや、ちょっと待ってください」

保健室から出ようとした山田先生を二階堂が呼び止めた。

「どうかしましたか?」

「これから話すことで山田先生の意見を聞きたいのでいてほしいんです」

……?ラウラと組む相手の予想に山田先生が何か関係あるのかな?

「わかりました」

 

 

「それじゃあボーデヴィッヒが誰と組むかの予想だが…今の話の後に言うのは何だが十中八九ボーデヴィッヒと組む奴は俺になる」

え?それはおかしくないか?

「ちょっと待ってください」

山田先生も俺と同じ疑問を持ったようだ。

「職員会議で決まったんですよ?それなのに二階堂君が出るのは絶対に無理です」

そうだ、ついさっきそう言われたばかりなのに、何故か二階堂は自分がラウラの相方になると予想したのだ。

 

「ええ。確かに無理でしょうね。そこに第三者の意見が加わらなければ」

「第三者…?」

誰のことなんだ…?

「言いましたよね?学園外の人間が来るって」

「はい」

学園外の人間って確か…

「えっ…と、各国の政府関係者や研究職員や企業の方や他にもいろんな方がきますよ」

政府関係者…まさか…

 

「ところでつかぬ事を伺いますが今IS学年の一年生の生徒数は偶数ですか?奇数ですか?」

「偶数ですが…」

「俺が出られないことによって奇数になり誰か一人が出場できないということになるってわけだ。そしてその出られない残念な奴は…」

この流れで来るのは一人しかいない…

「…ラウラってことか?」

「ビンゴだ海堂!わかってるじゃないか!」

だよなあ…俺が箒と組んだもんなあ…

 

「ボーデヴィッヒさん以外の方が出場できない可能性もありますが…」

山田先生がどこか言いずらそうにそう言った。

「ここで山田先生に質問。俺とボーデヴィッヒのIS学園内での評判はどうなっているんでしょーか?」

「……」

山田先生はほんの少しだけ口を開けたが「それを言うわけにはいかない」と言わんばかりにすぐに口を閉じた。

「二人とも最悪。片や色々やらかしてる奴。片や入学早々暴力を振るうわ色んな奴に喧嘩を売る奴。どっちも絶対組みたくないから一年生の生徒は絶対知り合いと組んでボーデヴィッヒや俺と組まないようにする」

しかし二階堂はそんな山田先生のことを気にもせず自分で自分とラウラの悪評を語る。

 

 

「だがやらかしてる奴は男性IS操縦者。喧嘩を売る奴はかの織斑千冬の教え子にしてドイツの第三世代のISの使い手だ。学年別トーナメントに来た人々はこう思うだろう…『見たい!』と…」

二階堂は何故か芝居や劇の役者のような話し方でそう話す。

その口調はとても胡散臭いとしか言いようがない。

 

「しかし二人は憐れにも学年別トーナメントには出場できない…おお!なんてことだ!」

そして二階堂は顔を抑えて泣き真似を始めた。

 

「そして来た人々は学園に二人を出場させるように頼む…いや、命令するだろう」

「命令って…大げさすぎますよ」

話の流れが何だかおかしくなってきたぞ…

 

「もし断ったら人々はこう思うだろう…IS学園いや!日本は何か企んでるのではないか?…と」

何故そうなる…

「IS学園がある地は日本で学園の運営費を出してるのも日本だ。つまり他国よりIS関連の負担が大きいというわけだ」

確かにそうだが…

それどころか学園を立てるための工事費やらなにやらも全部日本持ちだったとだいぶ前にニュースで見た覚えがある。

 

「そんな日本が男性IS操縦者の一人をな・ぜ・か・隠そうとしている…これは何らかの陰謀があるのでは?そう訝しまれたくないから学園は二人を出さざるを得ない」

「そんな無茶苦茶な…」

「来てる人間の中には他国の政府の関係者がいる。そんな人間が自分の国の政府に今俺が言ったことを報告したらどうなってしまうか…さて、今言った妄想を否定する奴はいるか?」

……ありえるのか?そんなことが…

……立地の条件か、それとも別の理由か、この学園で働いている人の多くが日本人だ。

その働いてる人間、特に教員や学園内で権力を持っている人間に命令を出せば…

いいや!それはさすがにない!

そんな陰謀論はテレビやドラマの中だけの話だ!

 

「まあ今言ったことが起こらなくてもなんやかんや近いことが起きて、俺がボーデヴィッヒと組んで出場するのはほぼ確定だと思っとけ」

なんか急に適当になったなあ…

 

「それで…」

「どうかしたのか織斑」

「お前はラウラと一緒に組んで大丈夫だと思うか?」

一夏は心配そうな口調で二階堂にそう問う。

 

「ぜーんぜん!という訳で山田先生、もし俺がボーデヴィッヒと組んで出ることになったら何らかの対策を立てるように職員会議で言ってくださいな」

「わかりました…」

そう言うと山田先生は保健室から出ていった。

大丈夫かな…

 

 

 

 

「というわけでこれで作戦会議はおしまい!お疲れ様でしたー!」

「えっ?これでおしまい?」

「うん。これ以上は自力でなんとかしなさいな。それじゃあ俺は打鉄の修理があるのでこれで失礼する」

それだけ言って二階堂は保健室から出ていった。

 

 

「最後急に出ていったな…それじゃあ一夏、これから…一夏?」

一夏にこれからどうするか聞こうと思ったが、一夏は何かと手も難しい顔をしながら何かを考えている。

「優人…もしかしたら…いや、もしかしたらなんだが…俺達、はめられたんじゃないか?」

「はめられた?」

どういうことだ?

 

「みんな、俺の質問に答えてくれ。勇気がラウラと組むって言った時どう思った?」

「私は…いくらなんでもあり得ないと思いましたわ」

「あたしはギャグのつもりかなって思ったけど…」

「私は…あの二人が組むなんて絶対にありえないと思ったが…」

「僕は…どうだろう…」

セシリア、鈴、箒、シャルロットの順に答えていく。

 

「そうだよな…あり得ないよな…じゃあ俺の疑問なんだけど…勇気はいつから自分がラウラと組むかもしれないって考えてたんだろうな?」

「それは…」

わからないとしか言いようがない。

それこそ本人に聞くしかない。

まあ聞いてもあいつなら適当にはぐらかしてそのままってことになりそうだが…

 

「仮に勇気がこの保健室に来てからそう考えたとしたら一つおかしいことがあるんだ」

おかしいこと…?

「それってなんなんだ?」

「ラウラの倒し方だよ。箒」

それが何の問題になるんだろうか…

「それがどうかしたのか?」

「仮にもこれから組もうとしてる相手の倒し方を戦うかもしれない人間に素直に教える奴がいると思うか?」

「それは…」

 

「……もしかして教えてもらった倒し方は嘘だったのか?」

俺は自分の考えを口にした。

「いや、あれは本当にラウラの倒し方だったと思う。ただ…」

「ただ?」

「あれは決してラウラと勇気の二人の倒し方じゃないって思うんだ」

「ということは…」

「ラウラの倒し方を実践しようとしてもそもそも通用しないってこと?」

シャルロットがそう言うと一夏はうなずいた。

 

「でもなんでそんなことしてきたんだ…?」

今それをしてきた意図がまるでわからない…

「多分…保険じゃないか?」

「保険?」

「こんなこと言わない方がいいと思うけどさ…俺は勇気とラウラが仲良く戦ってるところを全然想像できないんだ」

それは誰も想像できないと思うよ…

 

「だから俺達にああやって中途半端に本当の情報をを教えて、俺達に先入観を植え付けてそこを突こうとしたんだと思う」

「…ラウラとのコンビネーションが望めないから自分だけで何とかしようってことか…」

しかしこれである謎ができてしまった。

二階堂の目的だ。

たまに友好的かと思えば今のように敵対することもある。

そして転生者かどうかも分からない。

本当に謎ばかりが積み上がっていく…

 

「ヤバいな…」

「一夏?何がヤバいのだ?」

一夏が呟くのを箒は聞き逃さなかった。

「よくよく考えたらあの二人ってもしかして…現時点で最も優勝に近いんじゃないか?」

一夏はそう言ってるがそうとは限ら…

 

いや、待てよ…?

 

一人一人の戦力を考えてみよう。

AICを使いこなし、全距離での戦い方が完成されていて、隙がまるでなく、代表候補生二名を完封してみせたラウラ。

今まで奇策を使い戦っていたが、あのラウラとの戦い方で強力なレーザーと新たな戦い方を見せ、飛べないという弱点を克服してみせた二階堂。

個々の戦力はかなり際立っていて、何より敵を倒すためなら二人ともまるで容赦がなく、遊びもない。

……やばいな…あの二人はダークホースどころの話じゃないぞ…

せめてもの救いは二人が協力して戦わないということだが…

 

「…あの二人に対抗できるとしたら専用機持ちだけかもしれないな」

「…とりあえず今日は食堂で晩飯を食べてから作戦を考えるか」

「……そうだな。それじゃあ二人とも、今日は帰るよ。おやすみ」

俺達は鈴とセシリアに挨拶をしてから保健室から出た。

保健室から出ても俺達の間に会話はない。

俺達の脳裏にはこれから戦う最悪の二人のことで頭が占められているから…

 

 

 

 

「さて、箒…どうしよっか?」

「うーむ…」

俺は今箒の部屋で、箒と作戦を練っている。

箒と相部屋になっている女子には申し訳ないが、少しの間その女子の友達の部屋に行ってもらっている。

 

「本当にどうしたらいいのだ…!」

箒の顔にはどうしようもない焦りが見える。

箒はどうしてもこの学年別トーナメントで優勝しなくてはいけない理由がある。

それなのに突然優勝候補が現れた。

そのせいで箒はとてつもなく焦っているのだ。

 

「箒、とりあえず落ち着こう。な?」

「しかし優人!このままでは!」

「今のまま作戦を考えてもいいものは思いつかないよ」

「………」

「何で焦っているか、俺に教えてくれないか」

箒にそう質問すると箒の顔はじょじょに赤くなり、うつむいてしまった。

 

「……誰にも、誰にも言わないか?」

「うん、約束するよ」

箒は胸に手を当てて深呼吸をして俺を見た。

「この学年別トーナメントで…優勝したら…一夏に付きあって欲しいって言ったんだ…」

「それで一夏は?それを了承したのか?」

「ああ。快諾してくれた」

……言っておいた方がいいかな?

 

「……もしかして一夏、勘違いしてないかな」

「…勘違い?」

「箒が言った付き合うの意味は恋人になる的な意味の付き合うだよな?」

「…ああ」

「しかし一夏はすごい朴念仁だ」

「……それを優人が言えるのか?」

「…何か言ったか?」

「いいや!何でもない!続けてくれ!」

「まあいいか…で、たぶん一夏は付き合うの意味を別の付き合うだと思ってる可能性が高い」

「……そんな馬鹿な…私のあの時の勇気は無駄だったのか…」

そう言うと箒はため息を吐いた。

 

「まあもしかしたら本当に付きあえるかもしれないから頑張ろう?ね?」

「……ああ。わかった」

なんとか箒を落ち着かせることもできたしモチベーションを保つことができた…かな?

 

「それじゃあまずは二階堂とラウラ以外の人とあたった時のことを考えようか」

「ああ」

それから俺達は箒の相部屋の相手が帰ってくるまでの間ずっと作戦を考え続けた。

その甲斐もあって何とか作戦は思いついた。

あとは箒と一緒に訓練をしてコンビネーションを高めるだけだ。

 

 

 

 

 

そして大会当日、来るべき初戦に備えて箒と打ち合わせをしたかった、が…

「ええと、ここからまっすぐ行って二本目の廊下を曲がってから突き当りを…」

何故か俺は学園に来た人の案内をしていた。

少し離れた場所じゃ一夏も俺と同じことをしている。

最初その仕事をやると聞いた時はそれなりに大変そうだと思ったがそれは甘かった。

山田先生も言ってたように来る人は政府関係者やら企業の人やら研究員の人とかだから…

 

「ぜひ我が国の代表候補生にならないか!」

「私達の企業のテストパイロットにぜひ!」

「ぜひともあなた達の秘密を解き明かすために一度私達の研究所へ!」

 

そんな感じに来る人来る人俺と一夏に勧誘してくるのだ。

そのたびに何とか受け流してはいるがとても精神的に疲れてきたぞ…

小耳に挟んだ程度の話だがなんでも二階堂はアリーナの方の整備に回されたとか…

実にうらやましい話だ…

 

「優人。リストに乗ってる人は全部来たぜ」

一夏が手に今日来ることになってる人の名が書かれたリストを手に持ちながらやってきた。

「それじゃあそろそろ更衣室に行くか」

俺達は急いで更衣室へと向かった。

 

 

俺達が更衣室に着くともうシャルロットがいて先に着替え終わってた。

「そ、それじゃあ二人が着替え終わるまで僕むこうを向いてるねっ!」

そう言ってシャルロットはむこうを向いた。

急いで着替え終わらせなきゃいけないな…

 

 

そして着替え終わってすぐ二階堂が更衣室にやってきた。

二階堂がやってきたということは…二階堂が試合に出るのは確定か…

もしいなかったらラウラと戦うことになってしまったらちょっとだけ楽できるかなーなんて甘い考えもあったが無駄だったな…

 

 

その後何をしてきたのか、結局二階堂が出場することになったことについて話してるとトーナメント表がモニターに映った。

俺と箒がBブロックで一夏達はAブロックか…

なんとかラウラは俺じゃなくて一夏と戦ってくれそうだな…

あとはこのまま何事もなく進んでくれるのを祈るばかりだが…

 

 

 

 

 

俺達は着替えたがアリーナの観客席の入り口へと向かった。

何せ第一試合で戦うのはあのラウラと二階堂のペアなのだ。

俺達がアリーナで訓練しているときあの二人は一度も一緒に訓練しているところを見ていない。

だからどうなってるかとても気になるのだ。

 

アリーナの中央にはラウラと二階堂、そして始めて見る女子生徒達が立っている。

遠目ではあそこにいる四人がどんな表情をしているかわからない。

 

『それではこれより第一試合!二階堂・ボーデヴィッヒペア対御堂・高崎ペアの試合が始まります!』

そのアナウンスとともにアリーナに響き渡る歓声。

そしてカウントダウンが流れ、アリーナに試合開始を告げるブザーが鳴り響く。

 

 

 

 

そしてそのブザーとともに二階堂はその場で胡坐を掻き始めた。

 

 

 

 

ええ…?

 

 

 

 

 

 




突然ですけどIS学園で働いてる人ってあんまりいない気がするんですよね
ISの威を借る女性はいてもIS関係で働きたい!って女性がどれだけいるの?って思うんですよ…
そもそもIS学園で働いてる男の人が轡木さん以外誰がいるのって疑問もありますし…




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