IS The harlequinade/leading role 作:サヴァヴァヴァ
前回:もしかして試合放棄…?
あいつ何で座ったんだ?
これから試合が始まるっていうのに座るなんて、とてもじゃないがまともとは思えない。
「「はぁ!?」」
あの二人の対戦相手も驚いているし、箒達も同じく驚いている。
「あいつは何をしているんだ…?」
「あれでは戦えないのでは…?」
箒とセシリアは困惑している。
「あははは…」
シャルロットは苦笑いしている。
「何やってんのよあいつ…」
鈴は片手でおでこの辺りを押さえながらため息を吐いている。
「……」
でも一夏は黙って試合を見ていた。
二階堂達の対戦相手は二階堂の行動を指摘しても二階堂は「いやいやいや、これは逆にチャンスだろ。二対一でこいつと何の心配もなく戦えるんだぞ?」とまともに取り合わない。
言ってることはわかるさ、正直言っちゃ悪いけどあの二人がラウラを倒せるとはあまり思えない。
二対二から二対一になれば勝率はある程度は上がるってことも分かる。
だからといって二階堂がサボってもいいってことにはならない…と思うんだけどなあ…
わざわざ敵に塩を送るマネを二階堂がするのもこの前の保健室の一件であり得ないと思うし…
二階堂本人もさすがにアリーナの中央にいるのはやばいと思ったか、気だるげに立ち上がりアリーナの壁の方へと歩きだした。
これでようやく試合が始まるな…
すると二階堂達の対戦相手の一人の背が小さい女子が後ろに数歩下がった。
何をするつもりだろう?
「チェストー!」
「ええー!?」
あの子思いっきり走り出したと思ったら二階堂に飛び蹴り食らわせた!?
なんであの子二階堂にちょっかいかけたの!?
「騙されないで!こんなのどう考えても罠だよ!」
罠?二階堂が戦わないことが罠になるのか?
遠距離から銃でも撃たれると思ったんだろうか?
「おいおい…人の善意を疑うとは酷い奴だな」
二階堂は頭を軽く振るいながらそう文句を言った。
「君の今までの行動とか聞いてたらその『善意』のルビ振りは『あくい』以外何もないでしょ!」
しかし背の小さい女子はその文句を一喝する。
「……あの二人は漫才をするためにここに来たのか?」
箒はどこか呆れた口調でそう呟いた。
…あんまり否定できない気がする。
対戦相手のもう一人も箒と同じ考えなのか呆れ気味だ。
ラウラはどうなんだろうか…
あれ?ラウラどこ行った?
ラウラがさっきいた場所にいない、どこにいったんだろう?
気が付いたらラウラは背の小さい女子の頭を蹴り飛ばしていた。
うわあ…めちゃくちゃ戦う気満々だなあ…
まあラウラからしたらあんな場の空気なんてどうでもいいものだよね…
そのラウラは蹴り飛ばした女子にレールガンを向ける。
「高崎っ!」
しかしもう一人の対戦相手はそれを黙って見てはいない。
もう一人はアサルトライフルを出すとラウラへ向けて撃ち始めた、が…
「何で俺なんだよぉ!?」
あまり銃を撃つのが得意ではなかったのか、ラウラへ向けて撃たれたはずの弾丸は全て二階堂の方へと放たれていた。
「おいこらぁ!下手な鉄砲も数撃ちゃ当たると昔から言うがしっかりあいつを狙って撃ちやがれ!」
二階堂は逃げながらそう文句を言うが、文句を言ったところで何も変わらない。
そして背の低い少女以外の全員が誰かを罵る…本当になんだこれ…
結局二階堂達の対戦相手は、最初の不意打ちの飛び蹴り以外攻撃を当てられず敗北した
その戦い方が駄目だったのか、観客席にいた女子の結構な数がブーイングを開始した。
そんなブーイングなんてどうでもいいと言わんばかりに二人はアリーナから出ていった。
「何というか…あの二人の戦い方は本当に情け容赦がないというか…」
「そうだな…」
俺の呟きに箒が同意する。
「これなら多分あの二人は次の試合も勝つだろうな」
一夏がそう言って握りしめた右手を見つめる。
「…緊張しているのか?」
「緊張しているかどうかなら…緊張しているさ」
俺にもその気分はわかる。
ラウラは一夏がISで戦った人間の中でトップクラスの実力の持ち主だ。
楯無さんとは特訓だし、それにほとんどおちょくられていたから省いた中でだけどね…
一夏もラウラを見据えて特訓はしていただろうけど、それがラウラに通用するか不安なんだろう。
それに戦うのはラウラ一人ではない、二階堂もいる。
二階堂は何をしてくるかわからない。
まじめに戦うか、戦わないか、なんらかの策を用意してくるか、何も策を用意していないか。
それらが一切合切不明で、あの二人の組み合わせはあらゆる意味で未知数だ。
そんな相手と戦おうというのだ。
誰だって緊張してしまうに決まっている。
「大丈夫だ一夏。お前は頑張って特訓してきたんだろう?だったらその特訓はお前を裏切らないはずさ」
「優人…そうだよな」
「まああの二人と戦う前に二回勝たなきゃいけないのに、今そんなこと考えてたら足元掬われる可能性もあるけどね…」
「ははは…そうだよな…」
一夏は両頬を両手で叩いた。
「よし!気合入った!それじゃあ試合に向けて軽く体動かしてくる!」
そう言うと一夏はどこかへと走り出した。
言っておいてあれだけど、まだ気合を入れるには早い気が…
「あれじゃあどこかにたどり着く前に先生に見つかってお説教コースでしょうねえ…南無南無」
鈴が一夏の走り去った方向を見ながら手を合わせた。
一夏…安らかに眠れ…
そして一夏達の初戦が始まる。
一夏達の対戦相手は一組以外の女子だった。
片方の女子は運動部にいるような明るく元気そうで、髪の毛が短い女子だった。
その手には最初から近接ブレードが握られていて、試合が始まるのを今か今かと待ちかねている。
ペアの子は茶色のセミロングの女子で深呼吸をしている。
「あいつ…いくら一夏と試合がしたかったからといってあそこまで待てないものなのか…?」
箒がため息交じりにそう呟いた。
「あの子のことを知っているのか?」
「ああ、あいつは私と同じ剣道部の一年生でな…一夏が私と練習したり試合しているのをよく見てて、それで一夏の実力がめきめき上がっていくのを見て自分も一夏と戦いたいと私に言ってきたんだ。その内一夏と相談してから試合をさせてやると言ってたら…」
「運よく今日戦えることになったと」
「そういうことだ」
そんなことがあるんだなあ…
そして試合開始のアナウンスがアリーナに響き渡る。
先手を取ったのは剣道部の子だった。
なんとその女子は瞬時加速を使って一夏に切りかかったのだ。
まさかこの時期に瞬時加速を使いこなせる生徒がいるなんて…
本来なら奇襲になり得るはずだったその攻撃は無意味に終わった。
なにせあそこまで誰を狙っているかがわかりきっているのだ。
「おっと」
それなら白式を駆る一夏にとってかわすのは簡単だ。
試合は一夏と剣道部の子、シャルロットと剣道部とペアの子の一対一という流れになった。
一夏と剣道部の子は一対一で剣で戦っている。
シャルロットとペアの子は銃撃戦を繰り広げている。
しかしどちらの戦いも一夏達が優勢だった。
一夏の剣の腕前、シャルロットの銃の腕前、どちらも相手の女子を凌駕していた。
試合はそのまま押し切り一夏達の勝利で終わった。
剣道部の子は負けてしまったが晴れ晴れとした顔で一夏と握手をしていた。
そして試合は拍手と歓声で幕を閉じた。
「よしっ!まずは一勝!」
観客席に戻ってきた一夏は俺達に笑いながらピースサインをしてきた。
「やったな一夏」
俺は素直に一夏を祝福した。
正直、一夏達が負けるとはあんまり思ってなかったけどね…
「それじゃあしばらく俺達はここで観戦してるよ」
そう言うと一夏達は近くの誰も座っていない席に座った。
俺と箒の試合はもうちょい先だから一緒に観戦しているかな。
それから俺達はいくつかの試合を観戦した。
ちょっとしたハプニングがあってアリーナが笑いの渦に包まれた試合や、誰もが拍手を送るような素晴らしい試合など、本当にいろいろな試合があった。
そしてついに俺達の順番が来た。
俺達は今Aピットの中にいる。
「箒、準備はできた?」
「ああ、いつでも行ける」
「ならよかった。それじゃあ行こうか」
準備は万端、練習も十分にした、だったら大丈夫だ。
そして俺達はアリーナへと移動した。
アリーナに入るとそこはまさに熱気と活気、そして視線と興奮のるつぼだった。
「うわぁ…」
前の試合、クラス代表を決定するときは初めての試合だから気づかなかったが今ならわかる。
俺は今どうしようもなく興奮している。
自分の体の中を血液と同じように名前を付けられない何かが駆け巡っている。
そして心臓の鼓動がどうしようもなく早くなるのを感じている。
「優人、やる気は十分みたいだな」
「え?」
隣にいた箒が苦笑いをしている。
「顔、笑ってるぞ」
俺は気が付いてなかったが笑っていたみたいだ。
「ああ、やる気満々さ」
早く試合がしたくてうずうずしている。
「二人とも準備はいいかしら?」
対戦相手の生徒が俺達に聞いてくる。
「「ああ!」」
俺達は二人同時に返事をする。
『それではこれより第十六試合!海堂・篠ノ之対須王・長谷田ペアの試合が始まります!』
そして俺達ペアの初めての試合が始まった。
「じゃあ箒!いくぞ!」
「ああ!」
俺が瞬時加速ほどではないが可能な限り高速で対戦相手の一人に切りかかった。
俺達が立てた作戦は、二人がかりで一人を一気に倒してしまうというものだった。
…あんまり言いたくないけど、俺と箒のペアの弱点は決定打となり得る攻撃が存在しないことだった。
一夏とシャルロットのペアには零落白夜と
しかし俺達はそんな試合の状況を一気に変えてしまうような武器を持っていないんだ。
俺のカラドボルグやガン・オブ・マスケッティアーズ、魔弾の射手はどうしても一撃で相手を落とすことはできない。
いや、カラドボルグを鞭状で拘束して電気を最大出力で流せば一気に倒せるかもしれないけど、それじゃあ相手がどうなるかわからないから使えないしね…
箒も打鉄じゃ武装面に関しては他の生徒と一緒だから無理だ。
だから俺達の作戦はとにかく相手が何らかの作戦を発動する前にとにかく片方だけでも落とすという攻撃的な作戦だった。
うまくいくかどうかは…わからないけどね…
「おりゃあっ!」
俺が切りかかると相手の女子は後ろに下がって回避をした。
相手の手に握られているのはアサルトライフル、おそらくメインの攻撃は銃撃だ。
回避した後俺に銃弾を浴びせるつもりなのだろう。
しかしそうはいかない。
俺の頭上を箒が飛び越えそのまま相手を切り付ける。
「っ!しまった!」
箒の斬撃は相手の右腕を切り付け、そして相手が持っていたアサルトライフルを落とすという結果をもたらしてくれた。
「このまま一気に攻めるぞ!」
武器を持っていない相手に襲い掛かるということに少し心は痛むが、今はとにかく一人を先に落とすということに集中しなくてはいけない。
俺が切り付け、そして箒が切り付けそのあとに俺が切り付ける。
すると俺の背中にガガガッ!という襲撃が走った。
ハイパーセンサーは俺の後ろにもう一人の対戦相手を捉える。
アサルトライフルで撃たれたか。
「箒!少し任せた!」
俺は箒が切り付ける番になると俺は後ろの対戦相手へと切りかかる。
「そんなの当たらないよ!」
しかし相手はそのまま横へ回避する、が…
「おらぁ!」
そんなの予測済み、といったところだ。
俺はカラドボルグを鞭状にし相手に絡みつかせた。
「それじゃあごゆっくり!」
俺はカラドボルグを手放してもう一人の対戦相手を放置した。
「………え?」
「待たせた!状況は!?」
「あともう少しといったところだ!」
「じゃあ前は任せた!」
俺はガン・オブ・マスケッティアーズを呼び出し対戦相手の後ろに回り、対戦相手を撃って撃って撃ちまくる。
それに合わせて箒も対戦相手を切りまくる。
「くっ…」
そして十秒もたたずに対戦相手はゆっくりと地面に落ちていった。
「ちょっと!これ外してよ!」
俺は対戦相手が落ちたのを確認した後、放置したままのもう一人の対戦相手のもとへと向かった。
彼女はカラドボルグが絡みついたままもがき続けていた。
これは箒との実験の成果だな…
俺は箒との訓練の最中に色々と俺が持ってる武器で何ができるかをいろいろ試していたんだ。
隠し機能がないかとかそんなのを色々とね。
その結果、カラドボルグは鞭状にして手放してもそのままでいてくれるということが判明したんだ。
まあその途中箒がちょっとあられもない姿になりかけたけどそこは事故だからしょうがないよね!
「申し訳ないけどこのまま…」
俺はカラドボルグを持って電流を流し始めた。
「あーん!」
まあ何とも言えない勝ち方だけど勝ちは勝ちだから…
「俺も勝ったよ」
「やったな!」
俺と一夏はハイタッチをした。
「そういえばこれからしばらくは観戦になるのかな」
「そうだな」
少しの間だけど休めるな…その間にこの後のことについて考えなきゃいけないな…
それから俺達は他の人の試合を見続けた。
しかし俺の頭に試合の内容はまるで入ってこなかった。
ラウラが暴走した時どう立ち回るかを考えていたからだ。
原作では一夏がヴァルキリー・トレース・システムの影響で暴走したラウラを倒し、そして
黙って見ているのが一番いいんだろうけど、問題なのが二階堂がどう動くかわからないことだ。
原作なら箒がいて一夏を一度止めるんだけど、二階堂が一夏を止めてくれるだろうか…
なら俺が行けばいいんだろうけど問題が起きてからあの場に行くのは先生たちに止められて無理そうだしな…うーん…
「…い…おい優人!」
「…ああ!すまない!聞いてなかった。何の話だったっけ?」
考え込んでいたら一夏に声をかけられていた。
「次勇気達の試合だぜ。見なくていいのか」
一夏には俺があんまり試合を見てないように思われていたようだ。
実際正しいけどね…
「いや。ちゃんと見るよ」
二階堂の行動パターンについて考えなくちゃいけないからね。
『それではこれより第三十一試合!二階堂・ボーデヴィッヒペア対御剣・四谷ペアの試合が始まります!』
そして試合が始まる時間となった。
アリーナには四人の人物がいる。
四人の内ラウラ達なのは言わずと知れたことだけど、あとの二人は知らない人物だ。
それにしても…
「周りの人達はあんまりラウラ達のことを応援してないみたいだなあ…」
応援している相手はラウラ達の対戦しての名前しかない。
そしてブザーが鳴ると二階堂は振り返った。
「勇気はちゃんと戦わないつもりかなあ…」
シャルロットはどこか残念そうな、何とも言えない表情でそう呟いた。
しかし、その予想は大きく外れることになった。
対戦相手の一人の、眼鏡をかけた女子が何かを取り出すと綺麗なフォームで二階堂に投げつけた。
背中にそれが当たった二階堂は振り返って下を見るとまるでキュウリに驚く猫の動画の猫のように逃げ出した。
すると爆発、投げつけられたものは手榴弾かその類のもののようだった。
そして手榴弾を投げつけた女子は即座に近接ブレードを呼び出し、動く。
狙いは二階堂、その奇襲から始まる連撃を二階堂は何とか捌いてみせた。
「ようやく会えたな…二階堂勇気!」
ん…?
「私はお前と会ったことはないよ…でもなあ!」
まさか…
「私の友達がお前に傷つけられたんだよ!」
「彼女二階堂のIS学園入学前の知り合いか?」
だとしたら話してる内容が穏やかじゃないが…
「たぶんそうじゃないか?だったら話聞いてみたいけど…」
そういうと一夏は手を顎に当てて考え出した。
聞いていいかどうか考えてるんだろうけどあの剣幕じゃ聞いちゃ駄目だよね。
でも二階堂にIS学園入学前のことを聞いてもまともに答えてくれなかったから今回を逃したらいつ知ることができるかわからないけど…
「知らないなんて言わせてたまるか!お前のせいで瑠香はどれだけ追いつめられて!傷つけられて!苦しんだかを!」
「瑠香って女の人の名前…?」
シャルロットがぼそりと言う。
「まさかあいつその瑠香ってやつのことで何か問題起こしたんじゃないでしょうね…」
鈴がそう言うが、俺も実際その線だと思う。
だって今までの二階堂のことを見てるとどうしても…ね?
そんなことを考えていると対戦相手の人はスタミナが切れ始める。
それに四股未遂の柊木瑠香…結局何が起きたんだ?あいつの過去に。
「そして瑠香から聞いたんだ!お前から誹謗中傷を受けたとな!」
「誹謗中傷ねえ…くくく…ぶふぅ!あはははは!」
対戦相手の言葉を聞いて、二階堂はくつくつ笑い出したと思うと吹き出し、爆笑し始めた。
その笑い声は、今までの学園生活で一度も発したことも、聞いたこともない笑い声だった。
嘲笑、嘲り、侮辱、愚弄、その全てがないまぜになった笑い声だった。
「マジかよお前!あんな奴の口八丁に乗せられて義憤にかられたってわけ!?昨今そんなのは流行らんぜ!プークスクス!」
「笑うな!そしてよくわかった!お前の性格は瑠香から聞いていたものよりさらに最悪だということがなあ!」
激怒した対戦相手は二階堂に切りかかるが、二階堂は簡単にかわして見せる。
終わったな…
あんな状態じゃ何回切りかかっても二階堂には届かないだろう。
しかし…二階堂は狙ってやってるのか?
二階堂は戦ってる時はよく対戦相手と話す。
そして話している内に、少しでも隙を見せてしまったらもうそこからはあいつの独壇場だ。
人には誰しも触れてほしくない、触れてはいけないことがある。
あいつはそれを知ってか知らずか、ずけずけと踏み込んでいく。
セシリアだったらプライドを、今戦っている人には友達のことを。
そして踏み込まれた人間は冷静さを無くし、あとはあいつの思うが儘…か。
狙ってやってるならなかなかの策略家、狙ってやってないとしたら…天性の煽り屋?
というかあいつ入学当初から性格変わりすぎてないか?
高校デビューに合わせてキャラ作ってきたけどなんだか違うってなって諦めた…とかそんなわけじゃないよなあ…
「動け!何で動かないんだ!」
対戦相手が突然動きを止めた。
おそらくラウラのAICだ。
「それじゃああんまり時間をかけるのもあれだしー…」
そう言うと二階堂はあのパイルバンカーを呼び出した。
おい…まさか…
「おい…ちょっと待て!お前まさか動けなくした敵にそんなものを使う気か!?」
「そうだよ?」
あいつ本気か!?
いくらなんでもオーバーキルすぎるだろ!?
対戦相手も顔を真っ青にしている。
ゆっくり歩いてくるその姿に。
この後己に振るわれるだろう暴力に。
しかし、一番に恐ろしいのは
ああ、そのうっそりとした笑みのなんとおぞましいことか――――
今…何が起きた?
ちらりと視線を動かせば一夏も、箒も、鈴も、いや会場にいる観戦していた人間すべてが目を見開き、言葉を失っていた。
あいつから何か、言いようのないものが、あふれ出した。
言葉では言い表せない、形容しがたいナニかが。
でも色で例えるならそう、どす黒いナニか。
「あああああああああああ!」
対戦相手は二階堂の連撃に叫び声を上げる。
人はきっとそれを―――断末魔の叫びと呼ぶのだ。
気がつけば試合は終わり、二階堂もラウラも、対戦相手もアリーナから消えていた。
場にはどこか、得体のしれない空気がまだ残っていた。
『そ、それじゃあ次の試合の準備に移りましょうか!』
アナウンスの声が響き渡り、人々は少しずつあの試合が始まる前の賑わいを取り戻しだした。
「さっきのアレは、なんだったのでしょうか…?」
「わかんないわよ…」
セシリアと鈴がそう話してるが、あれが何かはきっと二階堂本人しかわからないだろう。
「僕…聞いてくる!」
「あっ!ちょっと!」
シャルロットが駆け出してしまい、気づくのが遅れてしまった俺は、引き留めることができなかった。
「…今のあいつに会わせていいんだろうか…」
なんだか今二階堂には誰も会わせちゃいけないような気がするんだけど…
「でも勇気ならシャルルに変なことはしないと思うぜ」
「そう…だな。二階堂ならシャルルのことを無下にはしないだろうな」
一夏と箒は何故かそう言っている。
「…?なんでそう思うんだ?」
あの二人って同部屋であること以外に何かあったっけ?
「だって勇気がこの学園で一番気を許してるのって、多分シャルルだぜ?」
「あの二階堂が皮肉交じりで話していないのは山田先生と、確かこの前優人の話に聞いた更識という少女と布仏とデュノアくらいではないか」
確かに言われてみればそうだけど…
「あっ、あそこ見て」
鈴が指さす場所を見ると、そこにはシャルロットと二階堂がいた。
二階堂にはさっきのような、どこかやばい感じはなくいつも通りの何を考えているかわからない二階堂だった。
二階堂は頬を掻きながら、どこか話ずらそうにシャルロットと話している。
「あいつが恥ずかしがってるのってなんか貴重ねー」
確かに…どこか恥ずかし気にシャルロットと話している。
そうして話しているとシャルロットはどこかに歩いて行った。
「おっと、そろそろ俺達の次の試合の準備をしなくちゃいけない時間だな」
一夏はそう言いながら立ち上がった。
「シャルロットが何を聞いたかは俺達の試合が終わってからにしようか。それじゃ、行ってくる!」
それだけ言うと一夏は走り去っていった。
結果だけ言うと、次の一夏達の試合も、俺達の試合も勝利に終わった。
危なげもなく、順調に勝てたと言える試合だった。
「それで、あいつはなんて言ってたの?」
鈴が話を切り出す。
「えっとね…」
「あいつなにやってんだよ…」
それが話を聞き終えた俺の感想だった。
呆れていると言えば呆れている。
もう少し手段はなかったのか、いくら怒っていたとはいえそんな仕打ちをしてもいいのか。
それに二階堂の謎の技術力の高さもそれに拍車をかけていた。
なんでそんなに都合よく情報集められるだけの技術を持っているのかって。
正直に言えば自分の過去を話したくないがために嘘をついているとしか思えない。
「でもね…嘘を言っているとは思わないよ」
シャルロットが俺の表情から何を考えているかを察して言ったのだろう、しかし…
「その根拠は?」
根拠無しに言ってるわけじゃないよな?
「僕のカン…ってことじゃ、駄目かな?」
はあ…カンかあ…ないよりはマシってやつかもしれないんだろうけどさあ…
これ以上疑うのも不毛か…
結局、二階堂の過去に何が起きたかの話はわけのわからない作り話かどうかわからない内容で終わってしまった。
そして、ついにその時がやってきた。
一夏とラウラ。
主人公とヒロイン。
恋われる男と恋う女。
二人の赤い糸が結ばれる戦いの時が。
本当にすみませんね…あまりにも投稿が遅れすぎました…
言い訳を言うならちょっとの期間入院してたりとかちょっと精神的にダメージ受ける出来事があってしばらくパソコンを開いていなかったりとかあったんですよ
そして書こうと思ってパソコン開いてさあ書こうと思ったら突然虚無りだして書かないということもしばしば…
でもその間も創作意欲はあったんですよ
ここをこうしたらもっと良くなるんじゃないかを紙に書いたり、探偵はBARにいるのDVD借りて見てなぜか探偵はBARにいるとSAOをクロスオーバーさせて「探偵は仮想世界にいる」とか妄想したりとか
今後は何とか1、2週間かそこらで投稿できるように頑張ります