IS The harlequinade/leading role 作:サヴァヴァヴァ
「………ぁ」
あれ…
「…うぁ」
ここ……どこだっけ……
「あぁ…」
ぼく…なにしてたんだっけ…?
「起きたみたいね」
「……きみ…だぁれ?ぼくのともだち…?」
あおいかみにあかいめのおんなのこ…
「意識が混濁しているわね…織斑先生、今日は話を聞くのはやめるべきでは?」
『だがあの件に関してこれ以上放置しておくわけにはいかんだろう』
このこはだれとはなしてるんだろう…
「はぁ…二階堂君、今はあの事件から二時間経って大体…四時過ぎね。あなたは今日のことをしっかり思い出せるかしら」
「きょうのこと…?」
えーっと…なにがあったっけ…?たしか…だれかといっしょにいて…それでおなかを…
「………っ!?おい!何が起きた!?あれから俺はどうなった!っていうかなんだこれ!?なんで俺ベッドに拘束されてんの!?企画モノのAVでも撮影すんのか!?」
「ちょっと!落ち着いて!」
あそこにあるミラーは何だ!?マジックミラーでこっちを撮影してんのか!
「腹の傷は…!…嘘だろおい!?」
あの泥の織斑千冬に刺された挙句捩じられて開いた穴はなかった。
治したにしても二時間で治るとは思えんし傷跡すらないのは今の時代でもさすがにおかしいだろ。
つうか…
「俺の腕どこやったんだよおーい」
「…落ち着いてとは言ったけど、そこまで一気に落ち着かれたらこっちが驚くわ」
俺の右腕があった場所にあるはずの義手がない。
そのうえ両足と左腕がまるで刑務所にあるようなベッドの脚に手錠で繋がれてるから身動きができねぇ。
「あなたの腕ね…残念ながらこうなったわ」
更識姉が部屋の隅にあった机の上から何かを持つと、それは俺の義手だった。
義手は大体関節の辺りから離れて上腕と前腕に分かれていた。
離れた辺りを見ると何かに切られたようにも見える。
「何があったんだよこりゃ…」
俺がボーデヴィッヒにぶっ刺された時にはこんな風になってなかったはずだぞ…
「今まで黙ってたみたいだけど、義手だったのね。あなた」
「黙ってたって…んー…聞かれなかったから言わなかっただけですー。つーか虹咲から話いかなかったのか?」
あの糞ババア…いくら俺のことで後ろめたいことがあるからといって伝えるべき情報を伝えねぇとかふざけてんのか。
「虹咲さんね…明日学園に来るそうだからその時にゆっくり話を聞かせてもらうわ。
聞かせてもらうねぇ…あの糞ババアに丸め込まれて終いだろうな。
「話は変わるけど事件のことは本当に何も覚えてないのかしら?」
「覚えてるも何もあの泥の織斑千冬にぶっ刺されてから俺気を失ってたんじゃないのか?」
更識姉はまるで俺が意識を失ってる間に何かをしていたかのような口振りだ。
「……それじゃあこれを見てもらえるかしら」
更識姉は俺の腕が置いてあった机の上にあったリモコンのスイッチを押すと、天井からモニターが降りてきた。
まるで視聴覚室でビデオ見るみたいだな…
「なにこれ」
それが俺の感想だった。
映像は俺がぶっ刺された時の試合の映像だったが、あの泥の織斑千冬が現れてからは事件の記録をするためのものへと変わった。
そして俺が刺されてから教師と海堂達とやりあってたら泥の織斑千冬はシャルロットに襲い掛かったがそこへ颯爽と俺が現れ、シャルロットを守っていた。
その時点なんじゃこれ!?となったがそこから更に驚きの連続だった。
俺が突然変身するわ、泥の織斑千冬を圧倒するわ、俺を止めようとした海堂達に攻撃するわ果てはついに事件解決に乗り出した織斑千冬とやりあってあと一歩のところまで追い詰めるという大戦果を残していたのだ。
しかし俺にはそれらの記憶が一切ないのだ。
「これマジ?一切知らないんじゃが…」
「本当に?」
「ほんとのほんと。つうか俺にこんなマジバトルが出来ると思いで?こんな奇策と初見殺しでやりあってきた男が」
言ってて悲しくなるが、ゲーム内でナイフ振り回したことしかない俺がこんな剣豪張りにブレードぶんぶん振り回せるとは思えん。
でも、なんとなーくだけど覚えてることが一つだけあるんだよね…
女の声がしたのを覚えている。
こちらを誘うような、ひどく蠱惑的な声だった。
「そう…」
更識姉はどこか納得がいってないようだが、俺への追及をやめてくれたようだ。
まあ声のことは俺でも本当かどうかわからんし、言う必要ないだろう。
「ところで質問なんだが…ボーデヴィッヒはどうなった?つうかあの泥は何だったんだ?」
「ああ、あの子の事ね…あの子は無事よ。傷は一切なし。もしかしたら無茶な動きをしたから臓器や筋肉にダメージがあるかもしれないから本人が起きたら要検査よ。それとあの泥のことだけどね…あの子のISを調べたら興味深いものが出てきたわ…『VTシステムVer2.0』ていう興味深い代物がね」
「VTシステムVer2.0…VTシステムってあのVTシステムか?」
「ええ…あのVTシステムよ」
VTシステムか…これはまたとんでもないもんが出てきたな…つうか…
「俺の覚えてるVTシステムと全然違うぞ。あんな泥まみれにならなかったし…というよりVTシステムは『全自動操縦者ぶっ殺しシステム』のはずじゃなかったか?」
あの事件は今でも思い出せる。
確かあれは第一回モンドグロッソが終わって半年が経ったくらいの頃か。
突如あるニュースが世界中を駆け巡ったのだ。
それはアメリカでVTシステムというモンドグロッソで優勝した操縦者の動きを真似ることができるという、操縦者達にとって夢のようなシステムが開発されたという話だった。
なんでそんなものが作られたのかというと、モンドグロッソ優勝者と戦いたくても戦えないという不満から作られたらしいのだ。
じゃあシミュレーター作ればええやん!ってなるけどIS/VSとかいう悪い例があるしなぁ…
それならガチでやろうぜ!ってことで作られたとか。
実際は強い人の動きを真似て強くなろうとか、黙って試合で使ってもばれへんやろ…みたいな思惑もあったんだろうけどな。
でも最初は非難されまくりだったなあ。
なにせモンドグロッソの時に勝手にデータ取ってたもんだから。
それぞれの国の虎の子の操縦者のデータ取らせて!とか言っても「はぁっ?」の一言で終わるだろうし、あるいは盛ったデータを渡してくるかもしれんしなぁ。
だからといって黙ってデータ取ってもいいという訳でもないんだが…
結局「金を払えばいいんダルルォ!?」てことで金払って不問になったとかなんとか…
そしてお披露目の日がやってきた。
世界各国からやってきたメディアの前でついにVTシステムは披露された。
真似をされたのは織斑千冬、VTシステムの名前を広めるための話題としては十分どころか百人力だった。
その時の生放送は俺も夜更かしして生で見ていたな。
それで操縦者が動き始めると世界中が驚愕した。
操縦者の動きが織斑千冬のそれと合致したのだ。
「もっと!もっと早く!もっと鋭く!」
操縦者の小柄な少女もそれに高揚したのか顔を赤くしながら動き回っていた。
世界中の人間はこれに驚き、各国の軍や研究機関は同じものを作ろうとし、モンドグロッソに出場した人間はうかうかしていられないぞと気を引き締めた
だけで済めばよかったんだけどな。
「がげっ!?」
突然、操縦者の少女の首があらぬ方向へと曲がった。
それとほぼ同時に四肢も曲がらないはずの場所が曲がり、そんな状態になっても操縦者の少女は織斑千冬の動きを真似続けていた。
まるで初心者が操るような糸繰り人形のような奇妙さを放ちながら、少女は世界中にその姿を見せ続けた。
発表された会場中で響き渡る悲鳴、映像を止めるべきかどうかわからず少女の悲惨な姿を映し続けるテレビ、少女を止めるために動く人達。
そして無理やりSEをゼロにすることによって少女を操る糸は断ち切られた。
今でもあの姿は忘れない。
少女の父親と思しき男性が首がだらんとした少女を抱え、涙を流しながら少女の名前を呼び続けるあの姿を…
そのあと事件は一応の解決を見た。
VTシステム開発者の逮捕という形で。
開発者への事情聴取やデータを調べた結果、事故という形で結果をつけざるを得なかったらしいのだ。
なにより少女の操縦したISには何ら細工された痕跡もなく、全てが正常な状態だった。
つまりVTシステムの設計ミス、その一言に尽きたのだ。
それで事件はお終い、開発者の所属していた企業は株価が大暴落し、世界各国はVTシステムという泡沫の夢を忘れ今に至るという訳さ。
あとこれは余談というか、俺自身の決着というか、俺自身も事件をそれとなく調べてみたんだ。
お題目ははなんで少女はあのような状態になってしまったかについて。
それでいろいろ調べてみて、ある違和感を感じたのだ。
なんというか…首の骨やらなにやらが折れてからの方が織斑千冬の動きに近くなったような気がしたんだ。
それでモンドグロッソの織斑千冬と少女を合成して重ねて見たら、ある真実が浮き上がってきたわけだ。
少女の四肢が折れた位置が、織斑千冬の四肢の関節の位置と同じだったってことにたどり着いたのさ。
つまり操縦者の体を無視して忠実に織斑千冬の動きを再現していたという訳だ。
それがテレビで言われてた設計ミスの正体かどうかは未だにわからんが。
まあそれがわかったらわかったでじゃあなんで途中まで少女は無事に操縦できていたのか?ていう謎が出てきたんだがな…
結局調査はそれでお終い!警察とかそんな感じの人間じゃない俺じゃわかることはたかが知れるってことだ。
「それで、その件のVTシステムがどこから調達されたものなんですかねぇ」
「それは今調査中…と言いたいところだけどIS学園はドイツ軍に問い合わせることしかできないわ」
変に噛みついて何もなかったらまた別の問題になるだけという考えが言外に匂わされていた。
「それにVer2.0ねぇ…いったい何をバージョンアップさせたんだか…」
あのころと違うのは全身を包む泥だが…もしや…
「操縦者を死なせないためにあの泥を用意したのか…?」
操縦者の体を無視して真似しようとするから、操縦者の体以外が真似することで操縦者を守ろうとした…うーん…なんか違うな…
「ところでこの手錠を早く外してくれよ。いつまで拘束プレイをし続けなきゃいけないんだ」
「ああごめんなさい。下手に起きた時に暴れられたら困るからそうしたの」
そして更識姉はポケットから鍵を取り出し手錠を全て外してくれた。
「よし…それじゃあ俺は部屋に帰るから」
「ああ、そのことなんだけど…」
そういうとこの部屋に唯一あるドアが開いた。
「いたんすか、織斑先生」
そこから織斑千冬が車椅子を押してやってきた。
これに座れと?
「ごめんなさいね」
その一言と共に俺の首に衝撃が走り、俺の意識が途絶えた。
んん…何だこの匂い…
「起きたようね」
「…あんた何したんだ」
目の前に更識姉が何かを俺の鼻に近づけながら立っていた。
「ちょっと問題があってね。あなたのことを気絶させてからあの部屋から出したの」
「ちょっと待て!あれか?俺の首にトンってしたのか!?つうかあれマジにできんのかよ!?」
織斑千冬が車椅子を押してきたのは俺を運搬するためかよ畜生!
「それで?ここはアリーナか?」
周りを見るとアリーナだった。
「うん?」
俺の目にあるものが留まった。
それはアリーナの壁にある穴で、穴の周りにはべったりと血がついていた。
「俺が試合をしたアリーナかよ…」
それじゃああれか?これから実況見分をすんのか?
「あなたにはね…アレをなんとかしてほしいの」
「アレ…」
更識姉が指差した場所にはIS運搬用のカートと何か黒いものが落ちていた。
「清掃ならあんたらがやってくれよな…ったく…」
車椅子から立ち上がって黒いもののそばへと近寄ると、それがただのごみじゃないことが分かった。
「おいおい…こいつは…」
そこにあったのは騎士甲冑の腕の部分だった。
恐らく左腕用、指先から肩まですっぽり入るように作られており、どこかおどろおどろしい雰囲気を放っている。
そこでふと気づく。
「まさか…これは…」
「そう。あなたのISよ。いや、あなたのISだったはずのものよ」
こんなとこで放置されていたのか。
「なんでこんなところに放置してるんだ。早く別の場所に動かすなり解体するなり好きにすればいいだろうが」
「それが出来たら苦労しないわ」
更識姉はそう言って甲冑の腕を持ち上げようと掴むが持ち上がらず、んー!と唸りながら頑張ったがまるで動かず、顔を真っ赤にして息を切らしながらこちらに向きなおした。
「はぁ…はぁ…見ての通り持ち上がらないのよ。ちなみにISを使っても無理だったわ」
「だから俺なら持ち上げられるかもしれないから何とかしてほしいってことか」
まるでカリバーンか聖剣を引き抜くかのようだな…
「それじゃあ失礼して…よっこいしょ…あら?」
簡単に持ち上がったよこいつ…
つまり俺がアーサー王で謎のヒロインXで獅子王で水着アーチャーだ(錯乱)。
「やっぱり…」
更識姉は甲冑の腕を持ち上げた俺を見ながら何かを考えていた。
「ずっと持ってるのもあれだし…こいつに置いとくか…」
多分こいつを運ぶために用意したであろうカートに、とりあえず置いてみるとズドォォォオオン!という音と共にカートが潰れた。
「「…は?」」
更識姉と同じタイミングで間抜けな声が出てしまう。
騎士甲冑の腕が置かれた場所を中心に、目の前でカートがぐしゃりと潰れた。
「こいつどうなってんだよ…」
恐る恐る騎士甲冑の腕に再び触れると、簡単に動き、そのまま持ち上げることができた。
「………どうしたものかしら」
更識姉は自身の眉間によるしわをぐにぐにと伸ばし始めた
「とりあえず教師が交代して何か起きないように監視して、今日のところは解散…にしましょう。うん」
あ、投げ出しやがったなコイツ。
「それじゃあ今日は解散しましょうか。これから私は色々監視の先生を誰にするかの打ち合わせをしなきゃいけないから先に行くわね。ばいばい」
それだけ言うと更識姉は颯爽と去っていきやがった。
「はぁ…ところでアンタは何の用ですか?織斑せんせー」
「………」
今まで離れた場所で腕を組みながらじっとこちらを見ていた織斑千冬に話しかける。
するとこちらに近づいて、突然俺に頭を下げた。
「すまなかった」
「……は?」
「あの時、私の対応が遅れたせいでお前達を危険な目に合わせてしまった。本当に申し訳ない」
「…はぁ…いいですよ。あんなもん予期しようがないし」
外目に入ってるかどうかわからないもんに対応しようがないし、下手にあーだこーだ言っても面倒な事態になりかねん。
「それで、今日は俺この後どーしたらいいんすか?できるんなら早くシャワーでも浴びて着替えたいんですけど」
だって今俺試合の時と同じISスーツで、しかも腹のところが穴空いてるんだぜ?
しかも穴の周りは血でがびがびになってるし…
制服はまだロッカーの中なのだろうか。
「…今日のところは帰ってもいい。だが帰るのなら人目につかないようにしろ。今お前が見つかったら大事になってしまう」
デスヨネー昨日の今日どころか今日の今日だからそりゃ見つかるなって言いますよねー。
「それとお前の制服は部屋に戻しておいたからな」
イェア!取りに行かなくて済むぜ!
「ああ。あと今日の七時あたりにお前とデュノアの部屋に食事を届けるから部屋で食べておけ。それと食べ終わった後の食器類は部屋の前に置いておけ」
「わかりましたー。それじゃあまた明日ー」
俺は足元に騎士甲冑の腕を置いてさっさとアリーナから出て行った。
「二階堂……お前は………」
さて、何とか駆け足で来ることによって人目に触れず部屋に帰ることができたが…
部屋の中から複数人の気配がする。
これがIS学園入学前の生活なら虹咲のババアの手下が部屋の中で何かしてるんだろうなってなるんだが…
「とりあえずノックして反応を見てみるか…」
ノックを三回、さて誰が出てくるか。
「はい。誰です…か…」
ドアを開けたのはシャルロットだった。
「や、やあ…ただいま…」
なんていうか…気まずいな
「ゆ…勇気ーっ!」
「どわー!?」
突然、シャルロットは俺に抱き着いてきた。
「勇気大丈夫!?怪我は!?」
「大丈夫だよ!だからさっさと放してくれー!」
こんなとこで騒いでたら面倒ごとが起こる!
こうなりゃ部屋の中に押し込む!
「ごめん!」
「わっ!」
シャルロットに抱き着かれたまま俺は歩を進めた。
それでドアを閉めて!
「はーなーせーよー!はーなーせーよー!」
渋谷区大…う゛う゛ん!
「わわっ、ご、ごめんね」
ふう…ようやくはな「勇気ぃーっ!」がふっ!?
「勇気大丈夫か!?」
「今度はてめぇか織斑ぁ!離れろ!暑苦しい!海堂!篠ノ之!こいつをひっぺがせ!」
部屋の奥になんでかいやがったいつもの面子から海堂と篠ノ之に、俺に抱き着きやがった織斑を放すように命令する。
クソっ!なんでシャワー浴びたいだけなのにこんなに面倒ごとが起こるんだよ!?
「だーかーらーっ!何回も言うがあの時のことは何も覚えてないし、傷はなんか全部治ってるし、腕ないのも昔色々あったから!説明はめんどいから省くけど!」
あの後織斑を俺から引っぺがすことに成功し、部屋にいたやつらのことをガン無視しシャワーを浴びた俺は、七面倒くさいことに織斑達に説明することになってしまった。
しかも何度同じ説明してもホントかなぁ~?みたいな感じで聞きなおしやがるし!
そんなに俺は信用がないのか!なかったなこんちくしょう!
「はあ…それで?あんたは明日普段通りに登校するの?」
これ以上聞いても無駄と判断したらしく、凰が質問を変えてきた。
「そりゃ厳しいんじゃねえの?」
だってねぇ?
昨日の今日で暴れ散らした男が片腕ない状態でチーッスっていけるわけないじゃん?
「まあ織斑せんせーの判断次第じゃないか?」
まああの女なら明日から俺来させかねんが。
「とりあえず疲れてるからしばらく休んでてもいいか?」
これ以上対応するのも面倒だから適当に嘘ついて帰そう。
「わかった。それじゃあ勇気…お大事にってのも違うな…それじゃあ、また明日!」
「ああ、また明日なー」
そしてぞろぞろと織斑達は部屋から出て行った。
「はふぅー…疲れた…」
「お疲れ様」
シャルロットは労ってくれたが、君も俺に質問してきたんやで…?
「勇気…本当に大丈夫なの」
はぁ…たくっ…この子ときたら…
「大丈夫だよ。痛いところなんてないし、信じられないなら触ってみるかい?」
そう言って俺は服やシャツを脱ごうとしてみた。
「わわわっ!だ、大丈夫だよ!そ、そういえばシャワー浴びてる時に勇気の電話に着信が来てたヨ!?」
こんな簡単に自爆するし…
電話ねぇ…俺に電話してくるとしたら…やっぱり…
スマホの画面には俺の予想通り「あの人」の文字があった。
俺はまた装置をつけた携帯電話を取り出して、あの人に連絡をした。
1コール…2コール…
『やぁ。ちょっとぶりだね』
受話口から「あの人」のいつもと変わらない、聞き取りやすい声が聞こえた。
「どうも。連絡してきたということは…」
『うん。仕事は終わったよ』
「なるほど!首尾の方は?」
『上々。多分そっちの朝くらいにはニュースになってるんじゃないかな?』
「ほほーう…わかりました。彼女にも伝えておきます」
『それじゃあ電話を切るよ……ああ、そういえばこれを伝えておかないといけないかな?』
「何か問題でも?」
『いや、問題っていうほどじゃあないけどね……七月七日は何の日だい?』
「え?」
それだけ言うと、あの人は電話を切ってしまった。
七月七日…七夕以外に何かあったか?
まあそれは追々考えておくとして…
「シャルロット。朗報だよ。色々終わったらしい」
「本当…なの?」
「応とも。明日の朝をお楽しみにってさ」
さて、時間の方は…うわっ!もう七時になるじゃねぇか!
するとドアがノックされた。
「二階堂。私だ」
「はいはーい」
急いでドアを開けると、織斑千冬はお盆におにぎりとお茶を載せてそこに立っていた。
お、おにぎりすか…晩御飯がおにぎりすか…
「こんばんは、織斑先生」
「ああ、デュノアか。すまないがこのお盆を二階堂に代わって受け取ってくれないか?」
まあ片手だから落とすかもしれんしね。
「わかりました」
俺は横に退き、シャルロットがお盆を受け取って机の方へと持って行った。
「ところで織斑せんせー」
「なんだ?」
「明日俺はどうしたらいいんですかね?教室に行けばいいのでしょうか?それとも自室で謹慎?」
「ふむ…それに関しては明日の生徒達の状況次第だな。あまりに騒ぎ立てるようなら申し訳ないが明日は自室で待機という形になる」
「わっかりましたー」
「それじゃあ私は戻るぞ。二階堂、もし食べられないようなら残しても構わんからな。それと…」
「はいはいはいわかりましたー!それじゃあまた明日!」
ああもう!姉といい弟といいなんで俺を構いまくるんだよ!
そして次の日。
「あーだりーー…」
結局俺行くことになってるし…全身筋肉痛だし…
朝起きたら織斑千冬がまたおにぎりとお茶持ってきてモーニングコール…
んで特に問題ないから来いって言われて俺in教室前の廊下ぁー…
それじゃあガラッと…
「おはようございまぁーす」
俺が入ったとたん教室が静まり返った。
見回すとボーデヴィッヒとシャルロット以外全員いる感じねー…
そういやシャルロット朝起きたらいなかったんだがテレビでも見に行ったんかねー…
俺はのっしのっしと歩いて自分の机でダラーんと座った。
かったり―…今日くらい休ませろよー事件の当事者なんだぞー…
誰も喋らない教室、突然スマートフォンがバイブする音が響いた。
名前を憶えてない女子が、スマートフォンを鞄から取り出して電話に出た
「ちょっとなによ。今あんたと話してる場合じゃ…え?ニュースを見ろ?デュノア社が出てる?」
そう言うと、女子は隣の女子に頼んでスマートフォンを見させてもらった。
そしてその数秒後、女子の顔が驚愕に染まった。
「う、嘘!どういうことよこれ!?」
「社長夫人逮捕!?」
その声で、他のクラスメートが集まり、画面を見ようとする。
だがそんなタブレットじゃないのに全員が見れるわけじゃないだろ…
ああほらおしくらまんじゅうになってるし…
「み、みなさん…おはよ…あの…皆さん席についてくれませんか?」
ここで山田先生の入場だ。
山田先生の登場により少しずつ生徒達は座りだしたが、後ろの方の席の生徒達はなんとか自分のスマートフォンをばれないように見ようとしている。
「今日はですね…あの転校生といいますか…隠されていた真実が明らかになったと言いますか…」
山田先生は何かを言いあぐねている。
まあ俺はなんとなく察したが…
シャルロット…まさかもうカミングアウトを…
「それでは、入ってきてください」
山田先生に呼ばれてはいってきたのは現在世界中で話題になってるある事件の渦中の人物であるシャルロットだった。
やっぱり…カミングアウトしてきやがった…!
「シャルロット・デュノアです。もう事件のことを知っている人はいるかもしれませんが、私の本当の性別は皆さんと同じ女性です。改めてよろしくお願いします」
そう言って礼をすると、クラス中の人間がガタタッ!と立ち上がり。
「「「「「「「「えええええええええーーーーーーーー!!!!????」」」」」」」」
大合唱、その時教室は震えていた。
シャルロットの事実を知っていた織斑達は、俺の方を見ながらシャルロットのことを指さしていた。
僕知らないもんね!カミングアウト決断したのはシャルロットだもん!
するとまた教室のドアが開いた。
今度は誰だ?
入ってきたのはボーデヴィッヒだった。
あいつ…もう来やがったか…
ボーデヴィッヒは教室を見まわして何が起きたのかと眉を顰めたが、シャルロットを見るとあの仏頂面には珍しい驚いたような表情を浮かべた。
「デュノアお前…女だったのか?」
「うん…今まで騙しててごめんね」
「……まあいい。今重要なのはお前ではない」
ボーデヴィッヒは織斑の方へと歩き、そして織斑の横で立ち止まった。
「ラウラ…怪我はしてないみたいだな」
「ああ。おかげでな」
ボーデヴィッヒは深呼吸をしだし、そして…
ずきゅうううううううううん!!!!
「いったーーーーーーーーーーっ!」
ボーデヴィッヒは突然織斑の唇を奪った。
「「「「「「「えええええええええーーーーーーーー!!!!????」」」」」」」」
そしてまた女子達の悲鳴で教室が震えた。
「お、お前は私の嫁にする!決定事項だ!異論は認めん!」
「よ、嫁!?婿じゃなくってってああもう一気に色々起こりすぎだろ!?」
「やった!!やりやがった!さすがボーデヴィッヒだ!俺達にできないことを平然とやってのける!そこにシビれる憧れるぅ!」
「一夏ぁ!?お前はいつボーデヴィッヒをたらしこんだのだ!?」
「皆さん落ち着いてください!」
「ちょっと!その前にデュノアさんに事について聞くべきではありませんの!?」
クラスはボーデヴィッヒの蛮行によりカオスに包まれる。
だが……
くくく…がははははは!勝ったな!
一体昨日のいつ織斑とボーデヴィッヒが会ったかは知らんが、俺の計画はうまくいった!
あとはボーデヴィッヒが俺に対して謝罪するのみよ!
はーっはははははは!
VTシステムが原作ではどの国も組織も企業も研究と開発と使用は禁止だぜっ!てなってますが、何故禁止なんだって想像したら、一番最初に思い浮かんだのは競技での公平性がぶっ飛ぶから禁止なのでは?って思ったんですよ。
だけどそれじゃあここまで禁断扱いになるのか?とも思ったんですよ。
それに原作のように泥で全身覆いーの誰の真似してるかまるわかりな状態にする必要は何処に?とも思いました。
ラウラの思いに応えて特別にって展開も何か違いますし…
だったらVTシステムで死人が出たからこんなに禁断扱いになったんや!という天啓を得ました。
まあ戦争するときに相手がVTシステム積んでたら嫌だから&相手が馬鹿正直に研究も開発も使用しなければ御の字という目論見があったら?と言われたらぐうの音も出ませんが。
あと前回の勇気がどんな状態だったかの詳しい説明はまたいつか別の機会に説明します
だけど前回の戦いがどんな状況だったかの説明だけは今回RPG風に説明しときます
名前:???
ほぼ100%に近い確率で反撃を行う
こちら側に一定確率で行動不可のデバフをかけてくる
特定のキャラクターがいた場合???は自身にバフをかけそのキャラクターを集中的に攻撃する
全デバフ&状態異常無効
自身に消去不可の永続自動回復を付与する
HP100~80%は通常攻撃しか出さないが、一定確率で零落白夜による防御貫通or即死攻撃を行う
HP80%を切るor一定ターンが経つと第二形態
雑魚敵召喚(倒しても即補充される&倒すと一定確率で混乱を付与)、遠距離攻撃(魔法も含む)完全無効、遠距離攻撃も行動パターンに加わる
HP50%を切ると第三形態
攻撃回数が増加し触手による攻撃(一定確率で防御貫通)が行動パターン加わる
こちら側の味方を複数人行動不可にしてくる
特定のキャラクターの行動以外ではこの行動不可は回復できない
HP30%を切ると最終形態
1ターン目:雑魚敵によりこちらをスタンさせ、こちら側に結界を張る(一定ダメージを加えれば破壊可能)その後雑魚敵を消去
2ターン目:自身に攻撃力アップ、防御貫通、敵への即死付与確率アップ(ほぼ100%になる)のバフをかける
3ターン目:自身に最速行動のバフをかける
4ターン目:必殺技発動 3ターン目で結界を破壊できなければこちらを即死or出鱈目な量のダメージを与えてきて即死させてくる
破壊出来た場合行動がキャンセルされ通常攻撃のみを繰り出す
その後も倒すまで一定確率で上記のパターンを繰り返す
ほぼイベント戦に近い状態だが負けた場合GAME OVER
対策や準備をすることによって倒すことが可能で、倒せれば特殊ENDが発生&実績解除
あるキャラクターが最終形態時に特定行動をとることによりイベントが発生し戦闘は終了
といった感じでした
ゲームである1週目はどうにもできないが2週目の強くてニューゲームなら倒せる感じのあれです
あるいはエンドコンテンツ系かな?
まあ倒したら倒したでそのままエンディングですが…
さあ次回は優人の話でラウラの過去についていけたらいいのだが…
あとチラシの裏で適当に思いついたネタを放り投げてみました