~神魔の後継者~   作:Mr.凸凹

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第01話 『帰館、五年振りの再会』

 

日本(故郷)か……帰ってきたんだな」

 

 俺は空港のロビーに降り立ち、感慨深げに呟きながら懐かしむ様に胸いっぱ空気を吸い込んだ。

 

「せいちゃ~ん。こっち、こっちだよ♪」

 

 名前を呼ばれて振り返ると、一人の女性が歩み寄って来る。

 

 俺はその女性に親しい女性の面影を感じていた。

 

「ひとみ姉?」

「うん、久し振りだね♪」

 

 ひとみ姉は笑顔を浮かべながら俺に抱き付いてきた。

 

「ひっ、ひとみ姉……恥ずかしいよ」

 

 うおっ!? 胸が……吐息が……でも懐かしい匂いで落ち着くな。

 

 俺は顔を真っ赤に染めながらも、どこか嬉しそうに微笑んでいた。

 

「あはは、ごめんね♪ つい嬉しくて……」

 

 ひとみ姉は舌を出しながら悪戯っ子の様に微笑んでいた。

 

「兄貴、お帰り♪」

「にい様、お帰りなさいませ♪」

 

 少し遅れて双子の少女達が、声を掛けながら歩み寄って来た。

 ボーイッシュな姉とおっとりとした妹の自慢の従妹達の面影が感じられた。

 

 五年振りに逢ったけど、二人とも綺麗になったな。

 

「皐月ちゃん、千歳ちゃん……ただいま♪」

「ところで、姉貴。いつまで抱き付いているつもり?」

「そうですよ。ねえ様」  

 

 二人は不機嫌そうに顔を顰めながらこちらを見つめている。

 何故か二人から黒い霊力(オーラ)が滲み出している様な気がした。

 

「なに? 二人とも羨ましいの?」

 

 ひとみ姉はにんまりと小悪魔の笑みを浮かべながら俺の頬に接吻(キス)をした。

 

 俺は自分が何をされたのか理解出来ずに惚けてしまっている。

 

 一瞬の沈黙の後、双子の姉妹は見る見る顔を真っ赤にしながら叫んだ。

 

「姉貴、なにしてるんだようっ!?」

「ねえ様、なんてことをっ!?」

 

 二人の叫び声を聞いて、俺は何をされたのか理解して顔を真っ赤にした。

 

 周囲の人々が何事かとこちらを窺っている。

 

「ひっ、ひとみ姉。いくらなんでも、いきなり……」

「だめ? せいちゃんは嫌だったの?」

「えっと……嫌とかじゃなくてね。そっ、その……」

 

 俺がが狼狽えていると、ひとみ姉は微笑みながらますます俺に抱き付いてきた。

 

「照れちゃって、かわい~い♪」

「姉貴ばっかりずるいよ~♪」

「ねえ様、ずるいです♪」

 

 そう言うと二人は目配せをして俺の頬に両側から接吻(キス)をしてきた。

 

 俺はますます顔を真っ赤にして、呆然と立ち尽くしている。

 

 周囲の人々は微笑ましそうにその様子を眺めていた。

 だが男性陣(一部)からは殺気が漏れていた。

 

「お爺様達が首を長くして、せいちゃんの帰りをお待ちになっているわ。帰りましょう」

 

 ひとみ姉は俺の手を引っ張りながら歩き始める。

 

「にい様、お荷物をお持ち致します」

 

 千歳ちゃんが横から手を伸ばしながら荷物を受け取ってくれる。

 

「ありがとう、皐月ちゃん」

 

 俺はその好意に甘えて大きなキャリーバックを手渡した。

 

 断ると涙目で見つめられるからな。

 可愛い従妹を泣かせる訳にはいかない。

 

「兄貴、留学は楽しかった?」

 

 千歳ちゃんが人懐っこい笑みを浮かべながら尋ねてきた。

 

「うん、楽しかったよ。でも……」

「でも?なに?」

「みんなに逢えないのは寂しかったな」

 

 俺は皐月の頭を撫でながら微笑みかけた。

 

「ボクも、寂しかったよ」

「え、なに?ごめん……よく聞こえなかった」

 

 皐月ちゃんは俯きながら何かを呟いたが、俺の耳には入らなかった。

 

「なっ、何でもないよ……」

 

 皐月ちゃんは恥ずかしそうに顔を逸らしていまった。

 

 ひとみ姉と千歳ちゃんは優しい笑顔で微笑んで皐月ちゃんを見守っていた。

 

 

 

 

 

「お帰りなさいませ」

 

 一台の車の前で老執事が頭を下げている。

 

「見違えましたな。ご立派になられて……さぞ宗主様達もお喜びになるでしょう」 

 

 涙をハンカチで拭いながら老執事は微笑んだ。

 

「さあさあ、お乗りくださいませ」

 

 老執事がドアを恭しく開けるとひとみ姉は俺の腕を取り、車の後部座席に乗り込んだ。

 しっかりと腕を組み、俺の肩に頭を乗せて微笑んでいる。

 

 もう一方の座席(隣り)をどちらが座るか、双子の姉妹がお互いに目を合わせて考えている様だ。

 

「千歳ちゃんが座りなよ」

「皐月ちゃんこそ」

 

 二人は笑顔を浮かべながらお互いに譲り合っている。

 しかし、よく見ると顔は笑っているが眼が本気(マジ)だ。

 

 俺は二人の様子に冷や汗を流しながら躊躇いがちに声を掛けた。

 

「俺が助手席(一人)で……」

「「「却下です!!」」」

 

 三人が息もぴったりに声を合わせ言い放った。

 

「せいちゃんはわたしの隣に座るの、嫌?」

 

 ひとみ姉は何気に自分の能力(ちから)を使って目元に水滴で涙を作りながら訊ねてくる。

 

 俺は従姉の涙(偽)と上目遣いの合わせ技(コンボ)が嘘だと分かりながらもたじろいでしまった。

 普段なら落ち着いて断れた筈だが、何分吐息が頬に当たる距離で正常な思考が働いていない。

 

「えっ~と……そっ、その……嫌じゃないです」

「よかった。二人ともジャンケンで決めちゃいなさい」

 

 にんまりと勝者の笑顔を浮かべながらひとみ姉は双子の従妹達に提案した。

 

「ボクが千歳ちゃんに勝てる訳ないよ……先見(ちから)を使われたら絶対に負けちゃうよ」

「あら、千歳ちゃんに譲るんじゃなかったの?」

 

 少し意地悪そうな笑顔を浮かべてひとみ姉が尋ねると、皐月ちゃんは顔を真っ赤にして俯いてしまった。

 

「わかったよ、千歳ちゃんが座っていいよ」

「いいの? 皐月ちゃん」

「うん、どうせ姉貴が代わってくれるわけないし……」

 

 皐月ちゃんはにとひとみ姉の顔をちらっと盗み見ながら舌を出しながら肩をすくめていた。

 ひとみ姉は顔を逸らしながら素知らぬ顔をして聞き流している。

 

「ありがとう……皐月ちゃん」

「どういたしまして」

 

 二人はお互いに微笑みあいながら車に乗り込んだ。

 

「さあ、出発致しますぞ」

 

 老執事はドアを閉めて車を発進させた。

 

 

 

 

 

「しかし、聖也様も大変でございますな」

 

 老執事がバックミラー越しに俺達の様子を見て苦笑を浮かべる。

 

「えっ? 何がですか?」

 

 俺が聞き返すと老執事はますます苦笑を浮かべながら答えた。

 

「帰国早々、お嬢様方にお慕いされまして……まあ、五年(久方)振りの再会でございますから解らなくもないですが、以前よりも聖也様をお慕いされている様でございますな」

「そうですね。でも、俺もみんなに逢えて嬉しいから別に大変だとは思わないですよ」

 

 俺は笑顔を浮かべて三人を順番に見回しながら答えた。

 

「せいちゃん、一つ聞いていいかしら?」

 

 ひとみ姉が思いついた様に尋ねてきた。

 

「答えられる事なら良いよ」

「誰に逢えて一番嬉しいのかしら?」

「……黙秘します」

 

 俺は顔を逸らしながら答えた。

 

「教えてくれないと、詠む(・・)わよ」

 

 そう言うと、ひとみ姉は俺の顔を両手で挟みながら瞳を覗き込むように見つめてくる。

 

「怒るよ、ひとみ姉……それに天輪眼でも、俺の心を見通す事は不可能だよ」

 

 俺が無表情で言い放つと、ひとみ姉はため息を吐きながら手を離した。

 

「そうね……せいちゃんが本気になれば、私の能力(ちから)なんて簡単に無力化できちゃうもんね」

 

 ひとみ姉は少し残念そうには笑っていた。

 

「姉貴、能力(ちから)に頼らなくてもいいじゃん……兄貴は姉貴が一番好きなんだよ」

 

 皐月ちゃんは不機嫌そうに俯きながら言い放った。

 

「皐月ちゃん、にい様は何も言ってないよ。そう思って諦めてたらだめだよ。私は諦めたりしないよ」

「そうだね……そうだよね!! 諦めたら終わりだよね!!」

「うん。お互いにがんばろうね!!」

 

 二人は力強く拳を握りしめ、軽く触れさせあって微笑んだ。

 

「私も負けないよ。二人には絶対に!!」

 

 ひとみ姉は微笑みながら俺を更に引き寄せ、抱きかかえながら宣言した。

 

「あの~俺の意思はどうなるのかな……?」

「やはり苦労しそうでございますな♪」

「はい、そうですね……」

 

 俺は最早なにも言う気力もなく、肩を落とすしか出来なかった。

 

 

 

 

 

 神堂財閥。

 

 この名を知らない者はいないと言われるほど、今や世界経済の中核の一つを担う大財閥である。

 しかし、平安の昔からこの一族が魑魅魍魎や怪奇現象を闇から闇へ葬ってきたことは、一部を除きあまり知られていない。

 俺は一族の中でも特に霊力が強い能力者である。

 その為、幼少の頃から神堂家の次期宗主として相応しいよう教育を受けてきた。

 

 

 

「ただいま戻りました、宗主様」

「おお、よく帰って来たな。見違えたぞ、聖也よ」

 

 神堂家現宗主である星爺は嬉しそうに俺を眺めている。

 

「恐縮です、宗主様」

「そう畏まるな、聖也……昔みたいに爺ちゃんと呼んでおくれ」

「分かりました、星爺」

 

 その言葉を聞いて星爺はにっこりと微笑んだ。

 

「どうじゃ、聖也よ。五年間の留学……いや修行(・・)は順調じゃったか?」

「はい、お陰様で」

「それは良かった。おまえには儂の後を継いでもらうからの」

「しかし、星爺……一つ質問があります」

「なんじゃ?」

 

 俺は改まって以前から疑問に思っていた事を尋ねた。

 

「嫡子はひとみ姉なのに、一族の者が納得しますか? それに俺は火狩家の嫡男ですよ?」

「心配いらん。おまえも儂の孫じゃ。それに一族の者も納得している。火狩家当主の龍牙殿、月代家当主の仁殿も了承しておる。問題ない……そんなに心配ならば、ひとみと籍を入れて夫婦になればよい。あれもそれを望んでいるようじゃしな♪」

「……星爺、本気ですか?」

 

 俺はため息を吐きながら諦め気味に尋ねた。

 

「なんじゃ、聖也。ひとみのことが嫌いか?」

「そうじゃないですけども……」

「ならば問題ないじゃろう。なに、今すぐにという訳ではない。まあ、おいおい考えておいてくればよい」

「……わかりました。考えさせいただきます」

 

 俺は一度被りを振って思考を中断して答えた。

 

「うむ。よい返事を期待しておるぞ。皐月と千歳のことなら心配いらん、と言いたいが……まあ、おまえ達のことだ。おまえ達でよく考えておくれ。千歳と皐月の二人もおまえを好いておるようじゃしな……もてる男は辛いの♪」

「からかわないで下さい!!」

 

 にんまりと微笑みながら覗き込んでくる星爺に、俺は顔を真っ赤にしながら叫んだ。

 

「照れんでも良いじゃろうが、本当のことなのじゃから。まあ、つもる話もあるじゃろし……今夜は皆でいっしょに食事でもどうじゃ?良い酒も手に入った。いっしょに呑もうぞ♪」

「はい、ご一緒させていただきます♪」

 

 俺は星爺と呑める事を心から喜んで微笑んでいた。

 

 

 

「それでは聖也の帰館を祝して、乾杯」

「「「「「「「乾杯ぃ~!!」」」」」」」

 

 

「美味しい~♪ お爺さま、こんなおいしいお酒を飲んだのは久しぶりです♪」

 

 ひとみ姉がグラスに口をつけて嬉しそうに微笑んだ。

 

「そうか、そうか♪ 喜んでもらえてなによりじゃ」

「ところで、星爺。お袋達の姿が見えないんだけども……」

 

 俺は思い出したように尋ねた。

 

 あのお袋がいないと静かすぎて寂しいな。

 居たら居たで煩くて鬱陶しいだけだけどな。

 

「おお、言い忘れとった。皆はおまえと入れ替わりに出かけておってな。2~3日中には帰ってくる予定じゃ」

「そうですか……」

 

 俺は自分でも驚くほど少し寂しそうに俯いた。

 

「なにすぐに会える。そう心配するな……それよりもおまえの話を聞かせておくれ」

 

 星爺は俯いた俺を見かねて、話を逸らすように尋ねた。

 

「そうじゃな……聖也殿、よければ聞かせてくれぬか?」

 

 月代家党首の仁爺も興味津々といった様子で尋ねてくる。

 

「はい、そうですね……何から話しましょうか?」

 

 俺は懐かしむように目を細めた。

 

「そうじゃな……おまえ達はなにが聞きたい?」

 

 火狩家当主の龍爺がひとみ姉や皐月ちゃんと千歳ちゃん達に尋ねている。

 

「えっと、そうですね……せいちゃん、留学って言っても外国だけじゃなくて楽園(エデン)にも行ってたのよね?」

 

 ひとみ姉が思いついた様に尋ねてきた。

 

「ああ、留学って言うより寧ろ修業みたいなものだったからね」

「どんな所だったの?」

「ボクも聞きたい!」

「よろしければ、私も……」

 

 興味津々と云った様子で皐月ちゃんと千歳ちゃんも尋ねてくる。

 

「そうだな。とても美しい所だったよ。皆いい人ばかりだし……でも、少し怖かったかな?」

「えっ? どうして?」

 

 俺が苦笑しながら話すと、ひとみ姉は不思議そうに尋ねてきた。

 

「あそこの住人は神族や魔族などで、人間は全くって言っていいほど居ないんだよ。まあ、俺もあんまり変わらないけどもね」

 

 俺は少し可笑しそうに笑いながら肩を竦めた。

 

「神王様も魔王様もまた遊びに来いって言ってくれたし……また行きたいな」

「えっ!? せいちゃん……神王様と魔王様に会ったの?」

「うん、お二人とも気さくで面白い人だよ。この首飾り(ペンダント)もお二人から贈られた物なんだよ」

 

 俺はは琥珀の首飾り(ペンダント)を掲げながら微笑んだ。

 

「兄貴、それってものすごいことだと思うんだけど……」

「ええ、楽園(エデン)に行っただけじゃなくて、神王様と魔王様から贈り物を戴くことができるなんて、普通はできないと思いますが……」

 

 皐月ちゃんと千歳ちゃんは目を丸くして驚いていた。

 

「そうじゃな。儂らも楽園(エデン)には行ったことはあるが、贈り物までは頂けなかったぞ」

 

 星爺の言葉に龍爺と仁爺の二人も肯いている。

 

「この首飾り(ペンダント)は始祖様の持ち物だったと聞いていますが……」

「そうなのか? しかし、何故、神王様達がお持ちだったのだ?」

「さあ、そこまでは……」

 

 星爺が眼を丸くしながら尋ねてきたので、俺は首を傾げながら答えた。

 

「儂らの始祖様が楽園(エデン)の住人じゃった、とは聞き及んでおる……」

「ええ、そうみたいですね。なんでも俺が始祖様にそっくりだということで、お二人ともよくしてくれましたよ」

 

 龍爺が話しに加わってきたので、俺はそちらを向いて答えた。

 

「始祖様に、そっくりじゃと?」

「詳しくは教えてもらえませんでしたが……」

 

 仁爺が顎鬚を擦りながら尋ねてきたので、今度はそちらを向きながら答えた。

 

「あっ、兄貴って……何者なんだろうね」

 

 皐月ちゃんが眼を丸くしながら呟いた。

 

「にい様はにい様だよ。私の大好きで一番大切な人。それは間違いないよ」

「そうだね……うん、ボクの大切な兄貴……一番大好きな人。それで十分だよね」

 

 皐月ちゃんと千歳ちゃんはお互いに気持ちを確かめる様に微笑んだ。

 

「いくら二人でも、せいちゃんは渡さないわよ」

 

 ひとみ姉は隣の席から俺に抱きつきながら宣言した。

 

「姉貴のモノじゃないだろう。決めるのは兄貴さ」

「そうですよ、姉様。それに私は、絶対に諦めませんから」

 

 皐月ちゃんと千歳ちゃんはひとみ姉と火花が散りそうなくらい見つめ合っている。

 

「あっ、あの~俺は……」

 

「「「さあ、誰を選ぶのっ!?」」」

 

 三人が声を揃えながら俺を睨む様に視線を集中させる。

 

「えっ、えっと……その……」

 

 俺は僅かに含まれる殺気に冷や汗を流しながら固まってしまった。

 

「まあ、がんばれよ。誰を選んでも苦労するぞ」

 

 星爺は俺の肩をそっと叩きながら破顔している。

 

「羨ましいの。のう、龍牙殿」

「そうじゃの仁殿。我が孫ながら嫉妬してしまうわい」

 

 龍爺と仁爺の二人は苦笑しながらその様子を眺めていた。

 

 

 

「ふいぃ~良い湯だな」

 

 俺は手を伸ばしながら湯船に浸かり、旅の疲れを癒していた。

 

 その時、不意に脱衣場の方から声が掛けられた。

 

「せいちゃ~ん。背中流しに来たよ♪」

「兄貴、入るよ♪」

「にい様、おじゃま致します♪」

 

 ひとみ姉や皐月ちゃんと千歳ちゃんの三人が素肌にバスタオルを捲いた姿で風呂場に入って来た。

 

「ちょっ!? ……ちょっと待ってぇ~~!? なに考えてるんだよ!?」

 

 俺は顔を真っ赤にしながら湯船に顔を浸けた。

 

「なにって背中を流しに来たって言ってるじゃない……なるほど、タオルが邪魔かしら?」

 

 ひとみ姉は体に捲かれているタオルを取ろうとする。

 

「だぁ~~~!!? そのままでいいよ、そのままで!! って、いうか出て行ってよ!!」

「なに恥ずかしがってるのよ。昔よく一緒に入ってたじゃない」

 

 ひとみ姉は意地悪そうに微笑みながら、だんだんと近づいてくる。

 

何歳(いくつ)の時の話だよ……それに皐月ちゃん、千歳ちゃんまで……」

 

 俺は視線をひとみ姉の後ろに居る二人へと向けながらため息を吐いた。

 

「いいじゃん。兄貴。こんな美女が三人も背中流してやるって言ってるんだから、断るなんて男のする事じゃないよ」

 

 少し淫靡な笑みを浮かべながら、皐月ちゃんが近づいてくる。

 

「さあ、遠慮なさらずに……にい様」

 

 顔を赤らめながら千歳ちゃんも近づいてくる。

 

「あっ、あの~ほっ、本気ですか? 皆さん……」

 

 俺は冷や汗を流しながら尋ねた。

 

「問答無用。男なら覚悟しなさいね……せ、い、ちゃ、ん♪」

 

「あ、に、き♪」

 

「に、い、さ、ま♪」

 

ひとみ姉達はじわじわと包囲を狭め、湯船へと近づいてくる。

 

「ちょ!? ……まっ、待ってよ。みんな、落ち着いて……」

 

 俺の言葉に耳を貸さずに、恋する乙女(従姉妹)達は一斉に俺に飛びかかってきた。

 

「だっ、誰かぁ~~!! 助けてぇ~~~!? あっ!? そっ、そこは!? だっ、だめだよ!! やっ、やめてぇえ~~~!!!?」

 

 俺の叫び声が屋敷中に響きわたった。

 

 

 

 

 

「つっ、疲れた……どうして風呂に入って疲れなきゃならないんだ」

 

 若干、俺の頬が赤いのは湯中りだけではないだろう。

 

「聖也……何やら大変じゃったみたいじゃの」

 

 星爺が声と共に廊下の暗がりから歩み寄って来ながら微笑んでいる。

 

「ああ、ちょっとね……」

 

 俺は答えにくそうに言葉を濁した。

 

「まあ、美女三人に背中を流されて羨ましいがの……で、どうじゃった?」

「えっと……その……まあ、気持ちよかったけど……」

 

 俺は顔を赤くしながら固まってしまった。

 

「初心な奴じゃの。女子の裸を初めて見たわけでもあるまいに……」

「それはそうだけど……」

 

「しかし、三人とも随分と積極的じゃの。今から曾孫の名前を考えておくかの?」

 

 星爺は楽しそうに尋ねてきた。

 

「かっ、勘弁してくれぇ~!?」

 

 俺は顔を真っ赤にして叫んだ。

 

「ふぉふぉふぉ、照れんでもよかろうに……楽しみにしておるからの。それではお休み、聖也よ」

 

 星爺は嬉しそうに俺の肩を叩きながら去っていった。

 

「ふぅ……」

 

 俺はため息を吐きながら、窓から夜空を見上げた。

 

 満天の星空と満月が俺を優しく照らしている。

 

「いい月だな……寝る前に散歩でもするかな」

 

 俺は屋敷の庭へと足を向けていった。

 

 庭を散策する俺は僅かに違和感を覚えて気を引き締めた。

 

 




左舞『左舞と……』

右舞『右舞の…』

左舞&右舞『『~神魔の後継者~後書きコーナー♪』』

《ドンドンドン、パフパフパフゥ~~~♪》

Mr.凸凹「仰けからテンション高いな……」

右舞『ワタシは恥ずかしいと言ったのですが……』

左舞『甘い、甘いよ!! 右舞ちゃん!! 丸で新婚初夜の夫婦の如く!! 何事も最初の印象(イメージ)が大事なんだよ!! 特にこの業界(・・・・)は!!』

Mr.凸凹「ぎょっ、業界って……何の!?」

左舞『さて、ご主人様が五年振りに日本(故郷)に帰ってきたわけですが……』

Mr.凸凹「さらっと、無視(スルー)!? オイラは生みの親(作者)なのに……」

左舞『アタシ達の生みの親はご主人様よ!!』

右舞『そうです。それに貴方とマスターでは天と地程の差がありますよ。もちろん、貴方が下ですが……』

Mr.凸凹「ひどっ!? どうせオイラなんて……」

左舞『煩いよ。〈闇の火柱(ダークネス・フレイア)〉』

《チュド~ン!!》

Mr.凸凹「ぎっ、ギィャァア~~~!!?」

右舞『あらあら……まるで石炭みたいに真っ黒焦げになってしまいました。やり過ぎですよ、左舞ちゃん』

左舞『ごめん、ごめん……っと、もうお別れの時間だね』

右舞『それでは名残惜しいですがここでお別れです』

左舞&右舞『『次回もお楽しみに~♪』』
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