やはり俺は間違っている(凍結)   作:毛利 綾斗

4 / 10
第4話

 

俺、比企谷八幡は昨日の行動を後悔していた。

あの後最愛の妹、小町には相手にしてもらえず、機嫌を直してもらうのに2時間は要し次の日曜に一緒に出かけることを義務付けられた。そこまでは良い、逆にご褒美だ。

 

学校に行けば周りを囲まれ質問責めに合う。

ボッチは誰かといることすら許されないのかよ。

つか何で話したこともない奴が冷やかしに来るんだよ。そういや知ってる奴なんて誰も居ないじゃん俺。

あれか、お前みたいな男が女子と歩くなんて100万年早いってことかよ。

 

 

 

昼休みは逃げられたと思っていたら俺のベストプレイスには何度も来客が。

全員が知らない女子だったのだが雪ノ下と付き合っているのか尋ねてくる。違うと答えればいきなり告白されるがプロのボッチである俺は周りの気配を探り当たり障りのない言葉でやんわりと断る。

 

だってあれだろ。罰ゲームかなんかでオッケーしたら出てきてドッキリでしたって気なあれでしょ。

んでバカにされる。

それにバッサリ断ると断ったら断ったでまた笑いの種にされるやつでしょ。

だから俺は当たり障りのない、笑いの種にもならないように断り続けた。

 

やっと放課後になった。急いで教室から出て部室へと急ぐ。これ以上教室にいても良いことはない。それに雪ノ下の方に厄介ごとが回ってないか心配しているオレガイル。俺の軽率な行動で雪ノ下に迷惑をかけるのはよろしくない。

 

 

扉を開けようとすると中から珍しく声が聞こえる。

小町でも雪ノ下でもない声って事は依頼か。

 

 

俺は窓側にもたれかかり、イヤホンで耳を塞ぐ。

 

途中からきた俺に説明し直すとか手間だし、勝手に聞かれるのも嫌だろうからな。

 

そう思った俺は部室の前で読書を始めた、いや始めるはずだった。

 

いきなり扉が開いたと思うと小町が飛び出してきて俺の手を掴んで引っ張る。

 

 

「ちょっと待てよ小町。今依頼人来てんだろ。途中から来た俺は入らない方が」

 

 

「お兄ちゃんも関係あるんだから来なきゃだよ。詳しい事は後で教えるから来て来て」

 

 

小町に言われ俺は部室に入る。

雪ノ下の正面には知らない女子がいてその前に湯気の立っているカップが置いてある。

 

 

「小町ちゃん、いきなり飛び出していったから驚いたよ。って比企谷君!どうしてここに?」

 

 

顔を赤らめ弱冠挙動不審な女子生徒。

 

いや、ほんとゴメンね。俺みたいな奴が急に入ってきたらそりゃ驚くよね。

 

 

「俺はここの部員なんだ。話を切って悪かったな。続けてくれ」

 

 

「だから雪ノ下さん。私にクッキーの作り方を教えてくだ.....さ........い?ってどうしたの、話聞いてる?」

 

 

雪ノ下の方を見ると俺の方をチラッチラッと見ていて話を全く聞いていなさそうだった。

 

ここでどうしてこっち見てんの?とか聞くと切れられるんだよなー、八幡知ってるから絶対に言わないよ。

 

 

「何処でやるんだよ。家庭科室でも借りんのか?」

 

 

「そうね。じゃあ家庭科室の使用許可を取ってくるわ。月曜日でいいかしら」

 

 

取り敢えず元に戻りつつある雪ノ下と俺で話を締めに行くが

 

どうせならウチでやりませんか、という小町の声に遮られる。

 

 

「お兄ちゃんもお菓子作り得意だし教えるの上手ですよ。好条件だと小町思いまーす」

 

 

ね、ちょなんでそんなにノリノリなんですか。

まあ明日は土曜日、俺や小町も予定はないし何より沢山練習できる。それに日曜日に家でまた練習できるって事を考えるといい案だ。

 

 

「なんで俺ん家なんだよ。雪ノ下の部屋でも、依頼者の家でもいいわけだろ」

 

 

「これだからお兄ちゃんは。いつも効率、効率って言ってるじゃん。結衣さんウチの場所知ってるし何より揃ってるし」

 

 

「わかった、それでいいよ。明日の11時にウチに来てくれ」

 

 

わかった、と元気いっぱい答える依頼者。話も済んだ依頼者は、ありがとーと退席していく。小町は受験勉強の、俺は参考書を出して勉強の準備をする。

 

 

「比企谷君。私を迎えに来てくれないかしら?」

 

 

どうしてだ、と俺は聞き小町は雪ノ下をじっと見つめる。この目は雪ノ下を観察する目。警戒の色と疑いの色で染まっている。

 

 

「別に任せられないとかではないの。逆に貴方なら完璧に教えてくれそうだわ。ただ部長として立会いたいの。それに.......なんでもないわ、忘れてちょうだい」

 

 

10時に其方に行く、といい勉強を始める。

 

それにしても土曜日に部活で、家に2人も来るのか。小学校の頃の俺では考えられないな。

何か大切な事を忘れている気がする......。

 

 

 

 

「お兄ちゃ〜ん、早く起きないと準備間に合わないよ」

 

 

小町の声で意識を覚醒させ今日の予定を思い出す。

今の時間を見て見ると9時15分。雪ノ下を迎えに行くのが10時だったはず.......ってもう時間ねえじゃん。

 

 

「ごめん小町。俺もう出るから準備は頼む。朝飯は食ってる暇ないから悪いな。お詫びに昼飯は小町の好きなものにするから」

 

 

自室で着替えながら大声でいう。

急いで小町が出してくれていた服を着ると心地よい春の朝の陽かりを浴びながら走るのだった。

 

雪ノ下の部屋番をおし、インターホンを鳴らす。

時間は9時45分。

結構急いだおかげで時間には余裕がある。毎日鍛えていたおかげか汗もあまりかいていない。

 

「比企谷君ね。今開けるからちょっと入って来てちょうだい」

 

と同時に正面の扉が開き、今俺は部屋の前にいる。

ノックすると開いてるわ、と言われるが家の前で待つ。

中は少しバタバタしているのに入っていく勇気は俺にはない。よって俺はここで待っているんだ。などと心の中で言い訳を言っていると扉が開きじと目の雪ノ下が立っていた。

 

 

「ねぇ比企谷君、聞こえてたわよね?どうしてそんなところに突っ立ってるのかしら」

 

 

「聞こえてたが、中がバタバタしてたからな。入っていいのか迷ったんだ」

 

 

心の中で思っていた事をそのまま答える。

行くぞ、と一言言って俺はさっき来た道を戻り始めた。

 

街を歩いていると男共は振り返って雪ノ下を見る。当然だが隣にいる俺は睨まれるが大抵が諦めの色を写した目とため息をつき歩き去っていく。

 

思い出した。

俺は昨日聞かないといけない事があったんだ。

 

 

「雪ノ下、昨日は大丈夫だったか?」

 

 

「昨日?依頼だったら貴方のおかげて上手くいきそうよ」

 

 

「依頼の事じゃないんだ。俺との関係を聞かれたりしなかったか?」

 

 

どうしたのいきなり、と聞き返される。なんでもない、と答えたいがここは正直に話す事にした。

 

 

「俺の所に何人もの奴が聞きに来たんだよ。雪ノ下と付き合ってるのか、てな。違うって言えば俺は貶めようとされるし.........、俺の不始末で迷惑をかけてたら申し訳なくてな。何も無かったようだし良かったよ」

 

 

俺はホッとしたのに対し雪ノ下の表情は硬くなっていく。そして雪ノ下は語り始めた。

 

 

現時刻 9:40

 

 

「比企谷君、本当にごめんなさい。私は人として最低な事をしていたわ。よく知らない相手を罵倒し罵る、かつて私にが受けていた事と全く同じ事していた。知らなかったとはいえ撥ねてしまった人に謝りもせずに失礼な限りだったわよね。そんな私に優しくしてくれてありがとう。本当なら嫌われて当然なのに、貴方は奉仕部にまた来てくれた。どうして貴方はそんなに優しいの?」

 

俺が優しい?俺がした事は優しさのか。いや、そんな事はない。だって俺は、

 

 

「俺は優しくなんかない。俺が今取っている行動は全て自分を守る為のものなんだ」

 

 

だから俺は違うんだ、そう言った俺は歩き始めた。雪ノ下は少し出遅れたのか走っているらしい。それから俺の右の手に温もりが.........て何が起こっているんだ?

 

急いで右手を見ると雪ノ下の左手が、そのまま視線を上げていくと顔を真っ赤にして俯いている。きっと俺も真っ赤にしてるんだろうな。

 

 

「ごめんなさい。私、方向音痴で直ぐに迷子になるから..........」

 

 

きっと、もしもの話だが、俺が雪ノ下に優しいとしたら、それはきっと妹みたいだからと思っている俺がいるからなのかも知れない。嫌がられるのはわかってるから言わんがな。

そう思いながらゆっくりと歩いて家へと向かった。




由比ヶ浜メインの話になるはずでした。
どうしましょうか、雪ノ下がどんどん原作から離れてい........ってすでに比企谷が原作からかけ離れてるから今更ですね。

応援よろしくお願いします。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。