オラリオで主神讃歌を唱えるのは間違っているだろうか   作:白籾

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集いし家族

「なーなー師匠、自己紹介しよーぜー?」

 

 そう提案する、痛みから復活した(早っ!?)豪さんに頷き、

 

「今回は俺達のパーティに4人の新入りが入った。今は色々とオラリオが騒がしい。古い者はしっかりと新しい者を守り育てるように。新しい者は古い者の言うことをよく聞くようにしろ?いいな?じゃあ好きなところに座ってくれ」

 

 テーブルの席につきながらゼータさんが指示を出す。

 

「はい」「はっ!」「…は、はい」「わかったー」「へいへーい」「お前はしっかり返事しろ」ドスッ「ごぶあっ!?何故に俺だけ!?」などの返事を返して皆も席に座った。

 ………今結構深く肘が脇腹に突きささっっていたけど、豪さん大丈夫かな?

 

「ほんとはこういう話はリーダーがするもんだけど、うちのリーダーは忙しくってな。今ここにいない奴も結構いるけど、新入りのお前たちにも分かるように、顔合わせを後でやってくれるよう言っとくよ。

 じゃあ俺からいこう。

 俺の名はゼータ・アルザスだ。一応、このパーティのリーダー代理。冒険者レベルは4。困ったことがあったら何でも言え、相談に乗ろう。

 ただし、借金関係のことは自業自得だからな?俺は協力しない。分かったな豪」

「……もういいよ、グスッ」

 

 痛みに唸る豪さんにお構いなく、ゼータさんが自己紹介を始めた。

 そう言えば、ゼータさん、いつの間に【ランクアップ】してたんだろう?始めて会ったときはまだLv.3だったのに。

 

「私の名はモルーニェ・ミム。種族はヒューマン、Lv.3だ。得意武器は殴り、蹴り、ナイフ、そんなところか。パーティーではサポーターをやっているが、戦えないわけではない」

 

 ……そうでしょうね。今のを見て戦えないなんて思う人はいないですよ。

 桃色の髪の毛に、暗めの赤い目を持つモルーニェさんが、ゼータさんと話しているときとは打って変わってとても冷静に自己紹介をする。

 

「クレア・シムスキーです。Lv.2の治癒士(ヒーラー)ですが、少しだけ他の魔法も使えます。種族が見ての通り羊人(シープス)なので、あまり戦うのは得意じゃないですけど」 

 

 それからクレアさんが自己紹介をする。へー、クレアさんって治癒士(ヒーラー)なんだ。

 

「俺の名前は豪だ!Lv.3成り立てだが、これからが勝負だとおもってる!種族はエルフ!一応、ダンジョンだと中衛だな」 

 

 豪さんがいつの間にか復活して、自己紹介をした。なんか、豪さんがエルフっていうのが全然腑に落ちないというか、全く似合わないんだけど。まあいいや。

 もうすぐ僕の番だ。何を言おうかな?

 ……ん?

 

「……………………………………………スゥ」

 

 ………………………。

 順番を言えばこの子の番なんだけど……。

 真っ青な髪の女の子が、気持ちよさそうにぐっすりと寝ていた。

 

「……ルーフィア」

 

 ゼータさんが僕の隣で机に突っ伏して寝ているその少女──僕と同じ位の年だ。ルーフィアというらしい──の所に来て頬をぺちぺちと叩くけど、一向に起きそうにない。どうやら、何かおいしいものを食べている夢を見ているようで、おいし~、もっと~、とか言ってる。

 そこで、さも当然の流れのようにモルーニェさんがキレた。

 

「てめぇ、ひよっこの癖してゼータ先輩を無視するとはなにごとだぁ!!」

 

 と一喝。わ、モルーニェさんの後ろにモンスターが見える……………っ!

 

「どわっひゃあ!??」

 

 一気に夢の世界から覚醒させられたルーフィアちゃんは、椅子から飛び上がるように起きると、怒声のもとを探って辺りを見回し、モルーニェさんの殺気に気づいて怯える。

 うん、怖いね。殺気向けられてないはずの僕も怖い。 

 ゼータさんもビクッとしてた。

 少女は、何故自分に殺気が向けられているのか分からないといった風にあちこちに視線を彷徨わせる。人形のように精緻な顔だ。

 髪と同じ色の目をせわしなく動かして、僕に視線を止めた。

 

「………………………いや、ほら、ルーフィアちゃん、寝てたじゃん?」

「え?あ、は、はい。そうですけど、それが……?」

 

 仕方なく、僕は説明を彼女にする。

 ていうか、それがって。確信犯ですね。少しくらい悪びれようよ。

 

「今、これから一緒に活動していくパーティの自己紹介をしててさ」

「…ああ!なるほど、そうだったんですか」

「……………………うん、でさ、今、君のの番なんだ」

 

 ………………色々言いたいことはあるけども、とりあえずは飲み込んでおく。

 

「ええ、めんどくぃぃいえいえ喜んでやらせていただきますです!?」

 

 自分に向けられた殺気で返事を変えて、素早く立ち上がって自己紹介をし始めるルーフィアちゃん。すごい変わり身の早さだ。

 ちなみに、モルーニェさんの後ろに幻視出来るモンスターはモルーニェさんだった。

 よく分かんないけど、モルーニェさんはモンスターらしナンデモナイデスアハハハハハハハハハ………。

 

「わ、私の名前は、ルーフィアです。ええっと、………冒険者には、その、お金がなかったのでなりました。種族は見ての通り、ヒューマン、のはずです。拾っていただいて感謝しています。よ、よろしくお願い、します………」

 

 そう何とか自己紹介をいい終えると、彼女は殺気源(モルーニェさん)の方を伺い、様子を見る。

 彼女が一応の自己紹介を終えると、モルーニェさんは殺気を納め、普段の無表情に戻った。

 

「じゃあ、次の新入り、お前も自己紹介してくれ」

「あ、はい!」

 

 それで、ゼータさんの指名で自己紹介が続く。

 

「俺の名前はディだ!種族はウェアウルフ!最強の冒険者になりにここに来た!俺は強くなりたい!!」

 

 黒耳黒目、黒髪に黒い尻尾と、全体的に黒い狼人(ウェアウルフ)の少年は高らかに宣言する。

 

「うんわかったがんばれ。じゃあ、次は、ルフレ」

「………………はい」

 

 僕の番がようやくきた。なんだかディ君の扱いが若干ぞんざいだった気もするけど、とりあえずはスルー。

 呼吸を整えてから立ち上がり、心を落ち着けてから話す。

 

「僕の名前はルフレ・アドルフです。ガネーシャ様にあこがれて【ガネーシャ・ファミリア】に入りました!

 種族は猫人(キャットピープル)です。尊敬する神様はガネーシャ様です。よろしくお願いします」

「…………。……………頑張れよ」

 

 …………その間は?

 

「じゃあ、最後にメリー、君かな」

「はあい」

 

 少女が返事をする。

 

「わたしの名前はメリーです~。10歳ですよ~」

 

 赤の混じったクリーム色の癖っ毛に、鮮やかな赤い目をした少女がメリーと名乗った。

 

「私、オラリオとは別のところにある【ズー・ファミリア】に所属してたんです~。私、神様の娯楽で戦ってて、毎日戦ってたから、忙しかったんです~。そこにね、オラリオの冒険者さんたちが来てくれて、私をここに連れてきてくれたんです~」

 

 【ズー・ファミリア】?確か、闇派閥(イヴィルス)っていう奴だったっけ。

 戦っていたってことは多分、噂に聞く戦奴、とかいうものだろう。

 大昔に、人の子を救うために下界に降臨した神様達の多くは、基本的に人の子に慈愛を向け、その行く先を見守ってくださっている。

 しかし、ごく少数ではあるが、自分の余興のために、人の子を玩具のごとく扱い、それを楽しむ神様もいるらしい。

 なかには、オラリオのギルドに反抗的で、色々と悪巧みをしている神様もいるとか。それが闇派閥(イヴィルス)だ。本当にあったんだ。

 僕と同じ年の彼女の生い立ちに、サポーター見習い程度に過ぎなかった僕は驚いてしまう。

 

「……………とまあ、こいつも大変だったんだよ。

 他にもメンバーはいるんだけど、いろいろ忙しくて今はいないんだ。後日紹介ってことでいいかな。 

 ちなみに、ここの隊長はこの【ファミリア】の副団長だよ」

 

 そう言って、ゼータさんは彼女の頭を撫でながら僕達に笑いかけた。

 え?副団長?それって、すごく偉い人っぼくないですか?会ったことはないけど。

 恐らく、同期になる他の三人を見ると、別に驚いた様子はない。知ってたのかな。

 

 ところで。

 …………モルーニェさんは最初からゼータさんにしか目が向いてない気がするし。

 豪さんはクレアさんと何か話していた。

 

「なぁ、明日少し出かけないか?クレアにお似合いの雰囲気がある喫茶店を見つけたんだよ」

「明日は新しく入ったみんなの指導をしないとですよ」

「じゃあ、明日の夜にでも」

「夜は眠くなっちゃいますし……」

「じゃあ、明後日の」

「そう言えば、新しく入った皆は武器を何にするんでしょうか?」

「さ、さぁ?」

 

 ……なんか、豪さんがナンパ?してふられ?ていた。

 

 肝心の隊長のゼータさんはというと、

 

「じゃあ、俺ガネーシャのところ行ってくるから!」

 

 と言ってガネーシャ様のところへ、他のギルドメンバーに召集をかけるよう言いに部屋から出て行ってしまった。

 もしかすると、逃げたのかもしれない。自分に向いている視線から。

 ディ君はなんかこちら側を好戦的な目つきで睨みつけているし、ルーフィアちゃんはまた寝落ちしていた。

 はっきり言おう。めっちゃバラバラだ。これくらいのことは、僕にも分かる。

 

 ……本当に、大丈夫かな?このパーティ………。不安だ。

 

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