プレシアとの邂逅と動き出す刻《とき》
僕たちは転移をしてきてからすぐフェイトの母親と交渉するために長い廊下を歩いていた
「フェイト、ここが時の箱庭か?」
「うん」
「果てが見えない廊下ってどんな家だよ・・・」
「アンタんとこも変わんないじゃないか」
「いやいやアルフ、僕の家は結界で少し空間を引き伸ばしてるだけだから実際の広さはそれ程でもないよ」
「そうだったのかい?」
「そうだよ、家全体の面積が横25m縦30mの750㎡しかないんだから普通の一軒家とあまり変わらいくらいだよ」
「そういえば、あの家の中では魔力を全然感じなかったのは何でなの?」
「アルケミが魔力探査に引っかからないように妨害する電波を発しているのと何よりあの家の周りには結界内の魔力を外に出さないように僕らの魔力とは異質な種類の魔力で出来ている『歪魔の結界』が張ってあるからね」
「あの結界ってそんなに凄かったんだ・・」
「通りで今までフェイトが魔力探査をかけても全くアンタの魔力を見つけられなかったんだね」
「いや、それについては魔力を違う方法で魔力零化して消してた」
「魔力零化?」
「アルケミ」
「了解です」
『スロット
1.『神採りアルケミーマイスター ウィルフレド・ディオン』
2.『DRACU-RIOT! 六連 佑斗』
3.『fortissimo exs 芳乃 零二』→『暁の護衛 朝霧 海斗』
4.空き
変更完了』
僕の中でカチャリという音がして僕の中から先程までの溢れ出るような魔力が消失した
「「???・・・!?」」
フェイトとアルフは一瞬キョトンという表情をし、次の瞬間目を見開いて信じられないものを見るような表情になった
「ありえない・・・魔力にリミッターをかけて極限まで抑えることは出来てもこんなにも完全に消せるなんて・・・」
「いや、それだけじゃないよフェイト・・・こいつ同時に気配が完全に消えてる」
「まぁ、お巫山戯はここまでにしてついたみたいだよ?」
「へ?」
「あ・・」
僕たちの目の前には某ハンター漫画の殺し屋の家の試しの門みたいな巨大なドアがあった
「これ何の意味があるんだ?」
「母さんは魔導兵器を出し入れするためだって言ってた。それで普段はあの小さい方を使ってるよ」
いやいや待て待て、よく見たらあの試しの門的なドアにも小さな扉が付いてるけどあの漫画みたいにあの扉から入ったら犬のエサになったりしないよな?ミンチの次は犬の餌なんて嫌だぞ・・・料理の工程じゃああるまいし
それにしても魔導兵器か・・・僕の作ってるものにも似たようなものがあるけどアレはこの世界の製法とは違うものだからこっちの世界の魔導兵器の構造を知るいい機会かも・・・
なんだか最近いいことばっかり起こってる気がするぞ?
「へぇ~そうなんだ」
「ちょっとここで待ってて・・母さんに説明してくるから」
「わかった」
~~~~~~~~しばらくして
ビシィ!!
「!?・・・この音って・・・鞭か?なんだってこんな音が」
そう思って僕は部屋の中を見てみると
「フェイト!!貴方は私を怒らせたいの?なんで言った通りに出来ないのかしら?誰がこの場所に誰かを連れてくることを許可したの?」
そう言って鞭を手に握っている女の人と
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい・・・・」
同じ言葉を何度もつぶやいて蹲っているフェイトと
「フェイト!!しっかりして!!プレシアぁ!!」
そんなフェイトを抱きしめてプレシアという女性を睨みつけているアルフという構図が飛び込んできた
それを見た瞬間僕はドアを即座に開け放ちフェイトとフェイトの母親の前に割って入る
やべ・・・また反射的に体が動いちまった・・・でも、今はそれよりも
「フェイトは娘じゃないのか!?何で自分の娘にそんな仕打ちが出来る!!」
コレを言わないと僕の気が済まない!!
突然現れて言うことを言った僕をプレシアは意外そうに一瞬見つめたがすぐに興味を失ったのか
「貴方がフェイトの言っていた協力者?確かに身のこなしは一流のそれと比べても遜色は無いわね・・・でも、貴方からは何の魔力も感じないわね・・・まだ他にもいるのかしら?この家中に届いていた魔力の波動の持ち主が」
「白々しい・・最初から視てて分かってるくせに・・・それは僕だよ」
そう言って僕は
『スロット
1.『神採りアルケミーマイスター ウィルフレド・ディオン』
2.『DRACU-RIOT! 六連 佑斗』
3.『暁の護衛 朝霧 海斗』→『fortissimo exs 芳乃 零二』
4.空き
変更完了』
僕の魔力を全開で解き放った
「これほどとは思わなかったわね・・・でもこれだけの魔力があれば・・・」
「アルフ、少しこの人と二人で話がしたい。だからフェイトをつれてこの部屋から出ていてくれ」
「本当に大丈夫なのかい?」
「この人と僕が求めてるものは似てるからそれを元に話せば問題なさそうだよ」
「そうかい・・・怪我するんじゃないよ」
そう言ってアルフはまだ震えているフェイトを抱えて部屋から出て行った
その瞬間僕は弾かれるように後退して距離を取る
するとさっきまでいた箇所に紫のリングのようなものが見えた・・・おそらくアレは管理局お得意のバインドとかいう拘束魔法だろう
「僕がフェイトたちを見送るのを待っていてくれたのは嬉しいけど、開始早々の足止めっていうのはタイミング分かり易すぎじゃないかな?」
僕はそう言うとプレシアは額に血管を浮かび上がらせ
「言葉の使い方を親から教わらなかったのかしら?」
そう言って
自身の周囲に錐状の魔力弾を精製する
「生憎僕の親はとっくの昔に死んでてね。それからずっと独りで生きてきたんだ・・・アンタみたいな最低な大人を見ながらね!!」
「黙りなさい!!」
ヒュン!!
怒鳴り声とともに放たれた一発の魔力弾が僕の頬を掠める
ツゥーー
それにより僕の頬から血が流れる
「次は当てるわよ・・分かったらその口を「閉じろって?生憎と僕は貴方以上のものを失ってる!!だから貴方の悲しみもわかる」ッツ!!?」
ギリッ
「わかる?わかるですって・・・貴方に何がわかるというの!!最愛の娘であるアリシアを失った私の悲しみが!!怒りが!!苦しみが!!わかるって言うの!!」
プレシアは感情のままに無数の魔力弾を射出し、僕に放つ
「アルケミ・・・」
『分かりました』
あの人は僕と同じだ・・・前世で両親を失った時の僕と
あれは両親の死を受け入れられなかった僕だ
あの時僕は親友の貴久に救われた・・・でもプレシアにはそういう人がいなかったんだろう
だから、プレシアは死んだアリシアの代わりをフェイトに求めた
・・・でもそんなことをしても悲しみが無くなるわけはない
だって・・・
「死んだ人間は生き返らないから悲しいんだから・・・」
そう言って僕はプレシアの放った無数の魔力弾をその身に受けた
ズドドドドドドドド!!!
無抵抗で僕の体に突き刺さる
『マスター!!』
さっき呼ばれた瞬間に魔力零化の指示を受けていたアルケミーも流石に攻撃を自分から受けるとは思っていなかったのか僕を心配する声を上げる
プシャーーー!!
魔力弾が消失した箇所から一気に血が吹き出す
そこでプレシアの魔力弾の射出が止まり
「ハーハー・・・何故・・・なぜ抵抗しないの・・・魔力を消してまで」
息を荒くしながら僕に問う
「この程度の攻撃な効かないから」
僕はそう言って僕は吸血鬼の『再生能力』を用いて傷口を塞ぎ、全ての傷はなかったかのように存在を消失させる
「舐めてくれるじゃない!!仮にも大魔導師であるこの私をッ!!」
プレシアはもう容赦しないと言わんばかりに
魔力を収束し
「ならこれで消えなさい!!サンダーレイジ!!」
先程とは比べ物にならない魔力を雷の砲撃として僕に放つ
それに対して僕は姿勢を下げ
アルケミーに閉まってある
日本刀を即座に出して居合で構える
そして
「フッ!!」
居合を切抜き
プレシアの砲撃を真っ二つに切り裂く
「なっ!?」
まさか魔力を全く込めていない斬撃に自身の砲撃が切り裂かれるとは夢にも思っていなかったプレシアは驚愕に硬直する
その隙を見逃すことなく僕は自身の吸血鬼として筋力を利用しての跳躍で約20mの距離を一瞬で零にし
一刀のもとにプレシアを切り倒した
勿論峰打ちでだけど
そんな中僕はプレシアを気絶させたこととは別のことを考えていた
「やっぱり、剣ではユエラには敵わないな・・・」
先程のプレシアの砲撃を切り裂いた箇所に広がる一筋の剣の軌跡を眺めながら僕は言う
そこには、所々に無駄な動きがあるのか軌跡には上下への剣線の若干のふらつき(・・・とは言っても数mあるうちの数mmだけど)が現れていた
近くで気絶させたプレシアのことを忘れて僕は反省に務めるのだった
・・・・・しばらくして
あの後すぐに思考の迷路から脱出を果たした僕はアリシアのカプセルを研究所から引っ張り出し、その隣でプレシアを介抱して、プレシアとアリシアの診断するためにアルケミーから治療用具数点(枕&ベット、点滴、計測器etc...)を取り出して現在の体の状態を確認した
そしてアルケミーを使って出た診断結果
アリシアは脳死だった・・・しかし、プレシアの尽力の賜物か心臓は弱々しいがまだ動いている
僕の経験上この状態ならば蘇生可能だ
プレシアは
肺癌だった・・・それも普通に考えれば完治不能なレベルの末期の癌だった
「今の技術ではまともな方法で治すことはできそうにない。持って数日か・・・」
このまま死なせることを許さずに生かす方法として考えられる選択肢は4つ
1.直ぐに僕の血をプレシアに飲ませて吸血鬼化する際の体の再構成により完治させる(ただし今の状態では変異の際の拒絶反応に耐えられず死ぬ恐れがある)
2.発明して出来た薬の中にある癌治療の薬品を使って即座に癌細胞を分解してその後は体力を回復させるために回復薬を使った体力回復治療を行い1を実行する
3.『復元する世界』で病気にかかる前まで体を戻し続ける
4.ユエラたちの体を作った技術を使う
一番安全なのは3と4だけど、3は僕の魔力が持つと思えない・・・それにアリシアの治療に3を使わないといけないからこの方法は使えない・4は複製ジュエルシードの手持ちがないから今は無理(再作成の準備に3日はかかる)・・つまり今の現状その二つは使えないから2しか選択肢がない
そう考えると僕は点滴をプレシアに刺して布団をかけておく
そして
「さて、新しい仲間のために一肌脱ぐかな」
そう言ってカプセルの中で眠るアリシアに『復元する世界』をかけ始めた
~~~~~~~5時間後
回復したフェイトとアルフを部屋に招き入れてプレシアの事をみてもらっている間もずっと魔力を複製ジュエルシードから吸い出したり、僕の魔力を封じ込めた装飾品の魔力を解放したり、魔力回復薬(あり得ないほど苦い)を使って未だにアリシアに『復元する世界』をかけ続けていた
戻ってきた際にフェイトは血の気の失せたような絶望的な表情をしていたが、それに関しては僕とアルケミー、アルフの必死の説得もあり何とかプレシアから直接話しをするまで看病して待っていてくれることになった
そして今
「ん・・・ん・・ここは?」
「母さん!!」
「フェイト?「フェイト、起きたのか?」・・・ッ!!」
起きたプレシアはフェイトの顔を見ながら眠る前に何があったかを思い出しているとカーテンの向こう側から僕の声が聞こえた事により何があったのか思い出し、表情を歪ませる
そして、自身の状況を確認する頃に僕がカーテンの向こうから出てくると
「何のつもり?」
「それは今してる治療について?」
「そうよ・・・」
「なら答えは簡単だ。フェイトのためだよ」
「フェイトの?」
「フェイトとの契約でアンタを助ける必要があるからね」
僕がそう言うとプレシアは
「ならそんなものはいらないわ!!」
と迷うことなく言い放った
「・・・母さん」
それによりフェイトは表情を翳らせる
「プレシア!!アンタ!!・・・・チッ!」
今にも掴みかからんという勢いで掴みかかろうとするアルフ
それを僕が手を使って静止させるとアルフは舌打ち混じりに渋々といった形で引き下がってくれた
「で、プレシアさん。貴方の願いはフェイトのオリジナルであるアリシ「アリシアに手を出したらただじゃ置かないわよ!!」・・・話を聞いてくれませんか?」
「・・・・」
「ハァ~。これじゃあアリシアの治療の話すら「詳しく教えなさい!!」・・・・現金ですね」
僕は若干呆れるように話し始めることにした
僕がフェイトと交わした契約と僕自身がこの世界に存在しない技術を有しているという話が終わるとプレシアは先ほどまでとは打って変わった対応を見せ
「貴方は何故ここに来たのかしら?貴方がさっき言っていた求めているものと関係があるのかしら?」
と話しかけてきた
「勿論だよプレシア博士」
「博士・・・ね。ということは貴方が求めているのは私の技術かしら?」
「そうともいえるし、そうでないとも言えるよ・・・
目的はあなたと一緒で、それを一言にするなら
失ったもの(記憶)を取り戻したい・・かな?」
「なるほどね・・・確かにそれは求める結果は違えど私と同じ目的ね・・・で?貴方の目的は何?あの子達の夢物語のような話を聞いている限りでは本来貴方は私たちと手を組む必要はなかったようなのだけれど?」
「目的は大きく分けて3つ
1、僕は困っている女の子の味方です・・・だから、母親に笑って欲しいというフェイトの願いを叶えてあげたい・・僕には親がいないからね
2、僕は発明家として人の役に立つために道具を作っています・・・そのため、『優秀な科学者と一緒に研究できればもっと世界が広がるんではないか?』と考えています
3、僕は今はいない親友とのつながり・・・記憶を取り戻すためジュエルシードを集めています。娘を生き返らせるために集めている貴女と同じでね」
「なるほど・・・私にとってのアリシアが貴方の記憶ということなのね」
「同盟相手のことを調べるのは常識だからね・・・・で、アリシアの死因は魔導実験の事故で発生した魔力波の影響で脳細胞が著しくダメージを受けたことによる脳死だっけ?」
「まだ、完全に死んだわけではないわ・・」
「確かに心臓は動いていますね・・・まぁ、心臓と脳のどちらかが動いていれば治療は可能ですが」
「その話詳しく聞かせてもらえるかしら?」
「その代わり幾つか条件を飲んでもらうよ」
「アリシアが生き返るのならどんな条件だろうが飲むわ!!」
「なら安心した。条件は
病気を治して少しでも長く生きること
裏切らないこと」
「そんなことでいいの?」「いや、最後に重要なのが残ってる」
「そして、フェイトをこれからはアリシアと同じように愛すること」
「!!?」
意外だったのかアリシアの目は大きく見開かれた
「僕は言ったよ・・『僕は困っている女の子の味方だからフェイトの願いを叶えてあげたい』って、それにはフェイト自身も笑顔になることが僕の中には付け加えられるんだよ」
「なるほどね・・・少し時間は掛かるだろうけど飲むわ!!その条件」
その頃~~~
海鳴臨海公園
「なぎさ・・・やっぱり、ここは月読島じゃないみたいだ」
「やっぱりそうなんだ・・・龍一、オーディンに負けた私たちがここにいるってことは紅葉や芳乃君や会長もいるのかな?」
「それは分からないけど、この町には僕たち以外にも魔力を持った人がいるみたいだ」
「また・・戦わなくちゃいけないのかな・・・」
~~~~~~~
海鳴病院前
「お嬢、大丈夫ですか?」
「・・・真田さん、陽菜子たちはお兄ちゃんたちに負けて消えたはずだよね?」
「はい、私たちはあの蒼い空間『悠久の幻影《アイ・スペース》』であの少年たちに敗北し、存在を消滅させました」
「そうだよね・・・陽菜子たちは消えたんだよね・・・なのにどうしてここにいるんだろう」
「それは私にも分かりませんが、またこの世界で戦うことになるだろうと私の勘が告げています」
「そうなんだ。陽菜子たちやっぱり生き残るためにまた戦わなくちゃいけないんだね・・・」
~~~~~
八束神社
「ここは・・・神社?」
「そうね、でもここは月読島の梶浦神社・・いえ、あの神社は梶ノ浦宮《かじのうらぐう》というべきかしら?まぁどちらにしてもそことは違う神社よ。梶浦 海美さん」
「いつからいらっしゃったんですか?雨宮生徒会長」
「あなたが起きる1時間ほど前からかしら?」
「・・・」
「冗談よ♪まぁ、私もここで目覚めてから周囲で情報収集をしたくらいでまだたいした情報は集まってないのだけれどね」
などと私たちが話していると
「それ以上はワルキューレ、君たちが知る必要はないよ」
「「!!?」」
「有塚・・・陣!?まさか貴方までここに来ていたとは思わなかったわ・・・でも、忘れたのかしら?貴方は私に勝てないってことを」
「ギリッ・・・調子に乗らないことだワルキューレ」
「あら?そんなに長話をしていていいのかしら?また同じように返り討ちにあっても知らないわよ」
「生憎今回は戦いに来たわけじゃない」
「そうなの?でも貴方の言葉は信用できないわ」
「そうかい、君にもう少し可愛げがあれば霧崎や轟木と同じく仲間に引き入れてあげようかと思ったけど、君がやるつもりなら僕も王の力で君とついでそこにいる女も諸共跡形もなく消してあげるよワルキューレ!!」
アリシアの蘇生法は『復元する世界』をかけ続けることです
『復元する世界』は一度使うと対象を24時間前の状態に戻すことが出来ます
つまり、その状態でまたかけると
48時間前の状態になることになります
ただし、消費する魔力量も戻す時間に応じて大きくなるので戦闘中に使う数秒、数分を戻す量とはケタが違うので戦闘中にはまず使えない(今の魔力量で一日最高で20日分)
これについては原作の紅葉ルートで某籠手の人との連携技で16年前の状態に戻した理論から可能だと思ったので使いました
そして、最後に出てきたメンバー、これが零司の中から出て行った9つの光の正体です
次回、世界の常識を超えた『召喚せし者《マホウツカイ》』の戦いが始まる