魔法少女リリカルなのは~記憶を探すもの~   作:杉坂 響夜

69 / 76
第拾壱話

ある日の八神邸

 

「う~~~ん♪順調だねぇ~・・・不気味すぎるくらいに」

 

と、もう一人の転生者であるフェルグラントが唐突につぶやいた

 

十六夜零司、彼を倒した時に彼の命(・・・別に欲しくもないけど)を狙ってるって言っといたから僕らの目的よりも僕を倒す手段を方法を探すことを模索してるはずだし・・・それくらいの戦力差は見せつけたはずだ

 

それなのに・・・

 

「動きがないな」

 

シグナムがフェルの内心を読み取ったようにそう言う

 

「そうなんだよね~。僕はてっきりあんな行動をしたあとだから何かしらの行動があると思ってたんだけど、気の動きからして学校に行って帰りは瞬間移動で消えてるみたいだけどそれ以外は気配が完全に気が消えてるからやっぱり向こうも結界使ってるのかな?それか他の世界に住んでるか・・だね」

 

「そうだな~アタシ等としてはこのまま動きがなけりゃ好都合なんだけどな。」

 

「ヴィータが言う通りこのままでも僕らにとっては不都合はないけれど、いきなり奇襲を受けた場合を考えるとはやてを危険に晒す恐れがあるからね」

 

「ならフェルグラント、お前はどうするつもりなんだ?」

 

「そうだね。取り敢えず今は現状維持が妥当だと思うよ。向こうは僕らの位置を掴みきれていないって可能性がまだあるし、闇の書完成前に下手に藪をつついて問題を起こす必要もないだろうしね。はやてに関してはこのまま僕が傍にいれば万が一の際にも直ぐに対応できるだろうし」

 

「なるほどな。確かにアタシらが前回あれだけ暴れて動きがないのはそういう理由手ほうが納得がいくな。ついでに言うとフェルの狙いのアイツが動かないのは戦力差を埋めるために手段を模索してるってところか?・・・・・・って、何だよフェル。急に未確認生物を見たみたいな顔しやがって」

 

ヴィータが話を続けるに連れて表情を予想外と言わんばかりの顔をしたフェルにヴィータが尋ねる。するとフェルは声を震わせながら

 

「ヴィ、ヴィータが・・・・・真面目な表情で真面目なこと言ったぁーーーーーーーーーー!!」

 

そう盛大に叫んだ。

 

「失礼だぞお前!!アタシが真面目に話すのがそんなに意外か!!」

 

「うん♪」

 

ヴィータの言及にフェルは空かさずいい笑顔で即答する

 

そうして口論に発展するが近くにいるシグナムはというと

 

シグナムはやれやれと言わんばかりに右手で額を押さえている

 

ちなみにこの場にいないシャマルとザフィーラははやての通院の付き添い兼護衛で不在のため彼女が止めなければ誰も止める人間がいないのだが、シグナムから言わせれば「そんな事は知らん」とばかりに無視をすることを選択した

 

というより関わりたくないのだ。二人とも毎回似たようなことしか言わないので聞き飽きているのもある 

 

第一この問題が発生した大元の原因は初邂逅でフェルのご飯をヴィータが横取りした理由と行動が明らかに子供ぽい理由であったのと見た目が本人に言うと五月蝿いのが分かっているので言わないが『子供体型』であるのも相まって出会った当初からしばらく続いた横取り合戦でそういった(・・・・・)イメージがついてしまったという理由でこの不毛な言い争いが始まったというのだから救いようがない。というよりヴィータの自業自得なのだ

 

それでも家具などの物に被害を与えるというのなら止めるべきだと思うのだが幸いこの半年間でそう言った被害はコップ一つ割る程度の被害すら起こっていないので五月蝿いという問題を無視すればないも同然なので止めることに労力を割くよりも理にかなった解決法と言える・・・どうせ放っておいても5分前後で終わる

 

そう思ってシグナムはコップに水を注ぐとそれを飲み干して玄関に立て掛けてある木刀を手に持ち、庭で素振りを始めるのだった。

 

 

それから10分後(シグナムSide)

 

「ふぅ・・・」

 

と一息を付いたシグナムが部屋に戻ると

 

「「あはははははっ♪」」

 

二人の笑い声が聞こえてきた

 

その視線の先には昨夜録画したお笑い番組が流れており、先ほどまでの喧嘩はいつも通り被害なしで終了したようだ

 

本来ならこんな時間があるなら闇の書の(ページ)蒐集に当てるべきなのだろうが、残りのページは7ページとあと一度収集に行けば埋まり切る量だ。

 

そこでフェルグラントが先日こんなことを言いだした

 

「今度のはやての検診の時に闇の書完成の前祝いしない?」

 

可能ならばその健診の日に完成した闇の書を渡す方が理想的であったのだが流石にその際にはまだ残りが30頁ほど残っていたので流石に埋めきれないだろうという結論に至り・・・・というより

 

「流石にはやてにこのまま内緒で闇の書を完成させるのははやてを家族で唯一仲間はずれにしてるみたいで嫌だ」と言ったことと

 

「完成の瞬間の感動をみんなで分かち合いたい」という言葉に私たちが全員同意したことが原因だ。確かに私たちが勝手に始めた蒐集の原因である当事者の主が知らないうちに完成したなんて言われても主は嫌な思いをするだろう・・・・

 

主は当初この闇の書の蒐集について説明した際にも良い顔はしなかった・・・それどころか「私のせいでいろんな人が嫌の思いをするのはイヤや」とはっきりと言った

 

「だから私のために蒐集なんかせんといて」ともいった

 

あの時の私たちは主の意思を尊重するためにその言葉に従った

 

 

しかし、今から3ヶ月ほど前フェルグラントが「はやての体の闇の書からの侵食具合が格段と進んでる」などと無視できなことを言いだした

 

そしてその言葉を信じた私たちは即座に蒐集を始め、その言葉通りに主は丁度1月後に何の前触れもなく発作で倒れた。

 

少なくとも私たちが来て以降初めてのことだったが、即座にフェルグラントが気を正常に整え、自らの気を主に与えることで発作は治まり、体調が落ち着いた後に病院で主の主治医の石田先生に急遽検診してもらい

 

フェルグラントが言うように主の下半身の麻痺が進行していると言われた

 

そこで私たちは念の為に始めていた蒐集をそれまで以上の速度で進めていった

 

主と交わした騎士としての誓いを結果として破ることになってしまったが私もヴィータもシャマルもザフィーラも全員後悔していない。

 

そしてフェルグラントには申し訳なく思う。・・・・本来関係ないはずのアイツを私たちと主のためにこれほど関わらせ、主の体調を健康に保つ手助け・・・・ヴィータたちは気づいていないようだが私たちが収集に疲労した肉体を気によって眠っている間に最高の状態にしていることも私は知っている

 

そして何より私たちが収集に行っている間も「僕が行っても魔法生物を倒すことはできても闇の書の蒐集はできないから、こっちは僕に任せて♪」と言って主の近くで寂しい思いをさせないように最善を尽くしてくれている・・・苦手だと言っていた嘘までついて

 

迷惑をかけていることは分かっているが私はフェルグラントがあの日にこの家に現れてくれて本当に良かったと思う・・・あいつの言う神とやらの意思はどうでもいいがアイツをこの世界に送ってくれた事、私たちと巡り合わせてくれたことだけは感謝したいと思う

 

さて、長く思考に浸っていたがどうしたものか?主催のフェルグラントはケーキをザフィーラに任せ家の飾りつけをする役目を私とヴィータに任せたが生憎と私にとって縁の遠いものであったためどうすればいいのか?

 

それを聞こうにもフェルグラントはいつの間にかリビングには居らず、外出したようだ・・・おそらくプレゼントを買いに行ったのだろう

 

言い忘れたが今回の祝いにはもうひとつ祝うべきことがある

 

それを書かれた垂れ幕にはこう書かれていた

 

『八神家誕生半年記念兼闇の書完成直前パーティ!!』

 

とラメというらしいキラキラしたものが入った蛍光色のペンで可愛らしく書かれていた

 

守護騎士(私たち)だけでなくフェルグラントが主の家族になって始めて完成した八神家の誕生から半年経ったことを祝うパーティだ

 

・・・・こうして目にしてみるともう主に出会って半年も経つのかと思う自分とまだ半年しか経っていないのかとも時間の経過をしみじみと思う自分がいる

 

主は喜んでくれるだろうか?喜んでくれるといいが・・・この家に住む八神家の面々にとって主が笑ってくれること、それこそが私たちにとって最高のプレゼントなのだから

 

願わくばこれからもこの八神家の面々が笑って過ごせる日常が続きますように・・・と願いを込めつつ私は垂れ幕に飾り付けられていた紙の輪っかの飾りを真似して飾り付の準備に勤しむのだった

 

・・・その後帰ってきた主の笑顔を私は生涯忘れることはないだろう

 

私たちはこの日、もう一度誓った「この日見た主はやての笑顔を護り抜くためにこの手を他人の血で染めるのではなく、主のために他者の血で染めることなく、私たちも傷つかないようにして闇の書を完成させきる」と、その覚悟を決めた

 

あの主の笑顔を曇らせることだけは絶対にできない

 

 

その覚悟を決めた翌日、私たちの覚悟を嘲笑うようにあの事件が起こったのだった

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~翌日・零司Side

 

「さて、全員位置についてくれた?」

俺はアースラのブリッジではなく海鳴市の遥か上空、高度10000mの雲の上に転送され、その場で魔力を零化によって隠して吸血鬼の力を活用して上空に留まる。そこからから今俺は魔力が使えないので念話ではなくアルケミーを用いた無線でフェイト、プレシア、レグナー、クロノと東西南北四方に散ってもらった面々とその対角線上の中心(俺のちょうど真下)に位置してもらっているリンディ提督に確認を取る

 

するとそれぞれから

「うん」「ええ」「当然だ」「君の方こそ準備はいいのかい?」「勿論よ」

 

という応答が返ってきた・・・クロノに至っては余計なお世話だ

 

現在の時刻は0525

 

作戦決行の5分前

 

しかし、まだ日の差していない明朝とは言え目撃者が現れる可能性のある時刻に探査魔法に集中してもらうため結界なしで作戦を行う以上残り5分も意味もなく飛ばせておくのはリスクを伴うので予定を繰り上げておこうと思った俺は

 

「まだ作戦開始時刻には余裕があるけど全員揃ってるみたいだから作戦を開始する。準備はいい?」

 

「「「「「了解(ええ)」」」」」

 

そう言った瞬間フェイト→レグナー→プレシア→クロノ→リンディの順番で探査魔法が相克しないように時間差を入れて広域探査を開始した

 

そして俺はその探査魔法の魔力波をソナーのように利用し、小型の携帯端末式PCでその魔力波をモニタリング、その画面には魔力波の透過した民家の形が現れており、今のところリンカーコアを持った人間の反応は俺たち以外に確認されていない

 

けど俺が確認したいのはそんなことではない

 

 

俺が探したいのは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あったっ!!

 

方角はフェイトのいる東側から2kmの地点、俺の座標から南東に位置するその場所

 

そこにはレーダーに何も映らないぽっかり空いた空間が映っていた・・・おそらく結界魔法だ

 

結界魔法の特徴、探査魔法に引っかからないのは『何もない』という情報を常な発しているため人払いの結界などを例に挙げるが問題がないと他者に思わせることによって存在を秘匿している

 

けれど、この街中にあって空き地でもないのに建物があるはずの場所が空白になっている・・・・それも綺麗に円形

 

つまり、そこにアイツ等がいる可能性が高い

 

だから・・・

 

「なのはっ!!」

 

「うん♪」

 

そこをなのはに知らせ、即座にアースラからなのはが転送されると魔力を収束して砲撃魔法の発射体制をとる

 

「ディバイ~ン・・・」

 

・・・・・って

 

「待て待て待てぇ―――――――――――――っ!!」

 

アイツ何考えてんだ!!予定では軽く(・・)魔力弾をぶつけて炙りだして撤退の予定だろうっ!?結界も張ってないのに何撃つつもりだあの砲撃娘!!やばいやばいやばいやばい・・・・っ!!

 

俺は慌てて転移の腕輪を使って連続転移を行なって全速力で発射を止めようとする

 

が、俺の手がなのは手に触れる寸前

 

「バスタァーーーーーーーー!!」

 

なのはの桜色の砲撃が射出された

 

その瞬間俺は

 

『あ、終わった・・・・』

と周辺の民家の被害を考えて全てを諦めた

 

仮に今からスロットを入れ替えてもダ・カーポは使えない・・・というか間に合わない

 

故に俺は死んだ魚のような表情で砲撃の行く末を見守る

 

どうかあの砲撃が逸れてくれますようにと願いを込めて

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告