桜色の砲撃が大気を駆け抜ける
そしてその砲撃がまっすぐ進む先は勿論先ほど述べた不自然な空白地帯だ
その砲撃が結界と思われる空白地点に差し掛かる直前、結界と砲撃の間に黒い影が入る
と同時に俺は警戒度を極限まで引き上げスロットの変更をする
「「――――っ!?」」
その後の光景は想像以上のものだった
『スロット変更
1.『暁の護衛 朝霧海斗』→『神採りマイスター ウィルフレド・ディオン』
2.『デモニオン 魔王の地下要塞 魔王アスタロト』
3.『fortissimo exs 芳乃 零二』
4.『DRACU-RIOT! 六連 佑斗』→『創刻のアテリアル 仙崎 秀哉 Ver魔王』
5.『姫狩りダンジョンマイスター 魔王エミリオ』
現れた黒い影自体は予想通り・・・といっていいだろうフェルグラント
しかし対処法が予想外だった
まさか・・・
右足一本・・・脛で受け止め、衝撃を膝だけで完璧に相殺してその場で受け止めるとは・・・ついでに高町さんの砲撃自体はフェルグラントに受け止められたその場で球体のように止まっていた
恐れ入った・・それが俺の素直な感想だった
高町さんの砲撃自体は間違いなく強力な部類だ
俺のフェンリスヴォルフやレーヴァテインのような規格外砲撃を除けば並大抵の相手なら相手の砲撃を飲み込んだ上にその相手を一撃で撃墜できるくらいには・・・けれど、現状の素の俺(スロット全空き)では正直厳しい・・・せいぜい『英雄の盾』で全力で防ぐのがやっとだろう
俺の素の魔力値はユーノとクロノの間くらいだったのが、ドライグの世界での修行で高町さん以上にまで増えたとはいえ、あの砲撃は怖い。あの砲撃娘の砲撃スキルは『貫通性能Ⅱ』とかついていても不思議がないほどに理不尽だ
あの砲撃に何度死を感じさせられたか・・・フェルグラントが現れる前の半年間に何度か素の状態での戦闘で盾ぶっ壊されて吹き飛ばされた経験なんて片手で足りない
スターライトブレイカーなんてトラウマもいいとこだ
そんな理不尽な砲撃を目の前の存在はいともたやすく受け止めている・・・ハハッ!!気をどこまで極めればその境地までたどり着けるんだ?俺の知ってる気なんてのは仙術を基本として発勁の類や鋼気功などの気功術ぐらいだ。まぁ、知識はあっても使えないけど今はいいだろう。・・・重要なのはこの規格外をどうやって出し抜いて結界の中の騎士連中と所有者を炙りだすかだ
結界の中から俺の目にひとりでも映れば俺の勝ちだ
この化け物以外なら修行した今の俺なら全力で不意を打てれば一撃で仕留め切れるだろう
問題はあの化け物じみたアイツを俺が足止めするにしても高町さんを庇いながらとなると勝率は限りなく下がる
かといって連中をこのままにしておけば結界をその上から張ってもフェルグラントに壊されて前回と同様に逃げられる
けど、俺が結界の維持をしながら戦うというのなら話は別だ。流石に向こうも壊れない結界の中で高町さんに結界を破られるまで結界に篭るなんて真似はしないだろう
そう思って俺は早くユーノたちがこの場に到着するのを待つ
・・・それにしても妙だな。何で守護騎士が出てこないんだ?
今この場にいるのは俺と高町さんだけ
シグナム、赤毛、人狼、結界を張ってるだろう4人目と戦力の上では今の俺達以上に多いはずのアイツ等が今この場に出てこないメリットっていったい・・・
こうして互いに見据え合っている間も隙がないために俺の方から仕掛けられないのもあるが―――――――そこまで考えたところで
俺の心境を読んだようにフェルグラントは球体と化した高町さんの砲撃を上空遥か高くに受け止めた右足の膝から先の力だけで蹴り飛ばし、その砲撃が花火のように夜明け前の夜空を彩る
そしてわずかに明るくなった
そこに照らされるのは前回の道着ではなく白いジャケットに黒いインナーシャツにジーンズで前回と同じく両手に青いリストバンドという出で立ちのフェルグラントが砲撃を蹴り上げた体勢のまま立っていた
その姿を確認したと同時にフェルグラントの目はこう俺にはっきりと意思を伝えていた
『余計なことを考えられる余裕があるのかい?』っと
その問いに俺は全身を流れる魔力の奔流を加速させ、全神経の感覚をこれまでと比較にならない次元にまで昇華させ超感覚というべき代物へと変質させる
今の俺なら周囲の空気の流れのわずかなズレ、空間歪みすらも感知できる
俺の総ての五感が人間・・・いや、直感というべき第六感、それを行動に移す思考速度に至るまでの総てが生物の限界を超えている
これは俺があの洞窟で発現した魔術だ
これを習得したために俺はあの洞窟で死なずにいられた
この状態ならば
そう思って拳を構える
そこでアースラからユーノが遠隔で結界を展開する
・・・遅い。素直にそう思ったけど、口には出さなかった。
一応遠隔での結界生成がとても高難易度に当たる技術であることは知っていたからだ
それも衛星軌道上のアースラから俺たちを中心に半径2kmの転移阻害結界を生成する
とても齢10歳ほどの子供に出来る内容じゃない
一応複数の魔王の魔術の知識を持っている俺にも出来ないだろう
・・・・本当に凄い才能だと思う
これがこの事件が終わったら敵になるって言うんだから正直面倒だと思う
「これは長距離からの遠隔結界かい?とても優秀な人間が仲間にいるみたいだね」
「お前に話す必要があるのか?フェルグラント」
「ないね♪けど、君は僕には勝てない。少し魔力が上がってる程度じゃ僕には――――――ッ!?」
そこまで言ったところで俺が神速の移動で急接近し、フェルグラントの視界を俺が埋め尽くす
『いつの間に』
その疑問をフェルグラントが口にする前に懐に入り込んだ俺の右拳から放たれる
「このっ!!」
が、これまでの戦闘感によって反射的に俺に向かって右手を伸ばすが、反射的に伸ばされただけの腕なんかに捕まるほどユルい特訓をこれまでやってきた覚えはない
俺は伸ばされた右手を空いている左手の甲で弾くとサマーソルトの要領でフェルグラントの顎を右足、左足と連続で蹴り上げる
「グッ!!がはっ!!」
そしてフェルグラントは伸びきった体勢で俺を見るが俺は既に蹴り上げた直後には体を捻り、右の拳に魔力を収束していた
「
そう言って放たれた魔力の奔流が無防備なフェルグラントを捉えた
確かにそう見えたが、俺の研ぎ澄まされた感覚はそれを否定する
「残像拳」
それを肯定する声が聞こえた
それも俺の研ぎ澄まされた感覚の示すとおり俺の右斜め後ろから
それを俺は驚くことなくそちらに視線を送る
顎を蹴られた跡はあれど服装にはコレといって破損のないフェルグラントがいた
「少し驚いたよ・・・・まさかこの短期間で僕に攻撃を当てるだけじゃなく残像拳まで使わされるなんてね。」
「嘘つけ、お前のその腕とかに重りつけてんだろ?さっきの反射的に出した動きが腰周りの挙動の早さとかからして不自然すぎだ。いや、殴った感触の異様な重さからして着てる服も特殊なのか?」
「うわ~。君って本当に何者?一度攻撃を通しただけでそこまで正確に分析するなんてはっきり言って普通じゃないよ?」
「そりゃあ場数を踏んでるからな」
そう言ってフェルグラントに気付かれないように高町さんの気配と魔力を辿る
・・・・居ない。あの砲撃娘どこに行った?俺の近くにいるでもなし、フェルグラントの近くでいつ落とされる危険に晒されているわけでもなく、さっきの場所で俺達の戦闘を
・・・・というか本当にどこ行った?俺の拡張された感知能力。それも超感覚といえる感覚をもってしても周囲には高町さんの気配は感じられない。魔力を辿ろうにも今の俺には目の前の
魔力を目の届く範囲以上にたどることなんて不可能だ
そういった思考を働かせながら目に映るフェルグラントはリストバンド、黒のインナーを脱ぎ捨てる
数秒後にはそれが原因と思える落下時の衝撃音が耳に届く
『ズドドーーーーーーーーーーーーーーーーーンッッ!!!!』
・・・・・・・・・・・・は?
あまりに異常な物音に一瞬思考が明後日の先までブッ飛んだ
俺の目に見えていたのは確かにリストバンドとインナーシャツのはずだ
しかし俺の耳に届いたの米軍の爆撃機さながらの爆撃か隕石の落下を連想させる轟音
その轟音が周囲に反響する中で肩の荷が降りたとばかりに肩を回し、手首をプラプラと動かす胸元全開で白いジャケットとジーンズという年齢と人間性さえ変われば挑発的ともいえる格好で黒髪の少年フェルグラントは静かに、しかしどこまでも透き通るような声でこう言った
「さて、これを脱がせたからには前回みたいな
真正面からの挑発、普段なら絶対に意味なく乗らないそれにこの時の俺はどうしても
「上等だ!」
らしくもないことに受けて立つことを迷いなく選択したのだった
そして俺たちはどちらともなく空を駆け
拳を互いに放ち、それを捌きつつ握力で腕を掴むと
俺が膝蹴りを放ちそれをフェルグラントは膝蹴りで撃墜、空かさず頭突きを放つが俺も頭突きで相殺する
そこで互いに手を離し、バックステップで離れると同時に魔力弾と気弾を投げ込みそれが二人の間で炸裂し、衝撃が二人を襲う
しかし、互いに体勢を一瞬すら崩すことなくその両腕、両足に魔力と気力を迸らせながら互を殺すためだけに拳を・・・蹴りを・・・手刀を・・・あらゆる手段で攻め立てる
だが、互いに人間とは思えない超感覚で互の一手先、二手先を読み合い互いの攻撃を無効化しつつ自分が有利な状態に引きずり込もうと死力を尽くす
その中で二人は怒気を漲らせながら闘う
知らないうちに到着していたフェイトはいつの間にか消えていた高町さんと共に砲撃の発射態勢を築いていた
どうやら高町さんは念話か何かでフェイトの接近を知って合流したんだろう
フェイトに至っては発見地点が近かったおかげか予定よりも早かったな
・・・よし、ここまでは高町さんの予想外のフライングバスター以外は予定通りだ
けれど二人の視界には二人しか写らない。感覚で近くにいる二人の存在は気付きはしても
目の前の存在が何よりも自分の大切なものを傷つける可能性のある存在だとわかっているからだ
だから二人は止まらない・・・どちらかの意識が脇にそれた瞬間
「ッ!!」
フェルグラントの手刀が心臓に向かって放たれ、それを零司はかろうじて躱すが脇の部分の衣装が切り裂かれ、露出した肌に浅く血が流れる
そして続けざまに気で刃を形成し、左腕を切り飛ばそうとする
が、その前に零司は槍をアルケミーから取り出し、柄でフェルグラントの顎を殴り飛ばし、一瞬攻撃の手の緩んだ瞬間に
が
「気円斬!!」
フェルグラントが放ったフリスビーのような気の斬撃がその弾幕を切り裂きながら俺に迫り、背後からはいつの間にか放たれていた気弾が迫り、俺の前後から挟撃を仕掛ける
『・・・ッ!!こんな時サクラがいてくれたらグリモワールと『うたまる(白)&アルキメデス(黒)』の二丁拳銃でもっと手数が出せるのにッ!!』
そう内心愚痴りながらも
『スロット変更
1.『神採りマイスター ウィルフレド・ディオン』→ワルキューレロマンツェ 水野貴弘(『騎乗』『槍術』『教導』『先読み』)
2.『デモニオン 魔王の地下要塞 魔王 アスタロト』
3.『fortissimo exs 芳乃 零二』
4.『創刻のアテリアル 仙崎 秀哉 Ver魔王』
5.『姫狩りダンジョンマイスター 魔王エミリオ』』
スキルを変更して銃から三叉の槍に武具を持ち替えて気円斬を間合いに入った瞬間槍に魔力を込めて跳ね上げることで逸らし、背後の気弾は血の翼を展開して『
鞭のようなフェルグラントの右足から蹴りが零司の首目掛けて放たれ、それを血の刃を盾にすることで受け止め――――――――――――いや
バキンッ!!
数瞬の時間だけしか受け止めきれずにその蹴りが振り抜かれ、その受け止めた一瞬を利用して体を屈めることで零司はこれを回避する
が
そのまま踵落としが繰り出され
零司は先端が鈍器のように重い頑丈な槍をアルケミーから展開して受け流すと左足からローキックが放たれ、バックステップで避けようとするが間に合わず蹴りを受けた右足に鈍い痛みが走り、零司は顔をしかめる
(コイツ・・・・なんて足癖な悪さだッ!!しかも一撃が重い・・・今の一撃、骨に罅が入ったかと思ったぞ!?)
と内心で毒づきながら血の翼から弾丸を乱射し、その弾丸がフェルグラントの全身を捉える。しかし、
フェルグラントは何発かを弾くが流石に量が多すぎ捌ききれずに一旦後退する
その際に追い討ちとばかりに槍を投げ、堕天使と天使の羽を使って造られた『光輪の銀弓』のモードを速射にすることで威力は低いが追跡能力を唱えた光の矢を7本放つ
それを体を半身逸らすことで避けるフェルグラントだがフェルグラントの想像に反して矢の追跡能力が優れていたため、現在進行形で撃ちまくられている血の弾丸の影響もあり、回避範囲が制限されたせいで3本の矢がそれぞれ右肘、背中、左足首を捉える
その際に一瞬止まった瞬間に切り傷に弾丸が当たった瞬間に傷口がスパークするのが見えた
(まさか弾かれてるのか?俺の能力が・・・)
そう考えた俺は試しに魔王アスタロトの魔術知識にを用いて手に持った槍に毒を魔術で付加すると矢と弾丸を放ちながら『
フェルグラントは驚きにより一瞬硬直する
零司はその隙を逃さず胸中に目掛けて突き出す
その穂先がフェルグラントの体に触れた瞬間
《ぞくっ!!!?》
言いようのない悪寒とともにフェルグラントの気の質が変わり赤いオーラを纏う
バギィィィン!!!
槍がガラス細工か何かのように砕け散った
その際に砕けた破片が胸中に出来た傷に触れた瞬間スパークを起こした
そして赤いオーラをまとったフェルグラントは攻撃中の槍を破壊されて体勢の崩れた俺に蹴りを放つ
「ぐっ・・・っ!!」
バキゴキ!!
それを両腕でガードするが蹴りのあまりの威力に蹴り飛ばされてしまう
そして拳を握り締め追撃をかけるフェルグラントだがその拳が捉える前に零司の体が視界から消える
気を探ると零司はそこから200mほど距離をとっていた
しかしその姿はそれまでと違い満身創痍の体をしていた
ガードした両腕は複雑骨折によりあらぬ方向に曲がりぶらりとしており、防ぎきれなかった衝撃により肋骨には罅が入っていた
それを零司は
「
自身の体の状態を戦闘前にまで戻すことにより骨折を修復すると破壊された槍の代わりに紫電を纏う剣をアルケミーから取り出して右手に構え、斬りかかる
それを見てフェルグラントは
「ちょ、そんなのアリですか!?こっちは君の地味に痛い弾丸で全身アザだらけになってるっていうのに!!」
「喧しい!!そっちこそ何なんだよ!!鋼鉄も軽々貫通する俺の『
第三者からすればどっちもどっちな話だが当の本人たちにとってみればどちらも重要な問題であった
お互いにその問題が原因で有効な攻撃が無力化され、膠着状態に陥らざるおえないのだから
何度瀕死の重傷を負ったとしても一瞬の間に全快状態に出来る零司
攻撃を通さぬ鋼の肉体によりダメージを通しにくいフェルグラント
周りの世界が止まったようなスローモションの世界で互だけは絶対の脅威だと認識している。意識を一瞬離すとその瞬間に細切れとなるか
それを自身の拳を鋼気功と呼ばれる技を用いて硬質化した拳と蹴りで刃を弾くか砕くかで対処し、避けきれないものは気でブレードのようなものを形成して打ち合うことでその身に一切の傷すら許さないどころか取り出される武器を蹴り砕きながら大気の壁を突き破り、赤いオーラを纏ってから数倍強くなり、零司の獲物を破壊しながら進むフェルグラント
そして応酬の最中互いにほぼゼロ距離で蹴撃と剣から魔力と気を砲撃のように放ち合い
爆発によって距離が開く
しかし、二人の姿には戦闘前に比べ、若干所々に焦げた部分、鋭利な刃物で切り裂かれたような箇所が多数、打撲、打ち身の箇所が全身のいたるところに見られる
現状では互角
・・・いや、どちらかといえば零司の方が劣勢か
何故なら魔法で体を修復している零司の魔法『復元する世界《ダ・カーポ》』にある
『復元する世界』は発動に膨大な魔力を必要とする
その魔力量は一般的な魔力量で基準としやすいユーノを基準とすれば3回使えば息切れを起こす程だ
それを何度も使用していればいくら膨大な魔力量を持つ零司といえど
それをを互いに確認し合うと
互いに忌々しいものを見たかのように舌打ちを鳴らす
攻撃を通した回数は手数に勝る零司の方が上
しかし被害を多く与えたのはフェルグラントが上
つまり互いに痛み分けの状態に陥ったのだ
お互いの攻撃が通らない、お互いに先読みしたような超感覚がお互いの攻撃の直撃を許さない
故に膠着する
技量は零司が上、瞬間的な速度も勝る
しかしパワー、継続的なスピード、
それを見守るアースラでは
「・・・なにこれ?」
モニターを見ながら戦況を確認するエイミーは思わずそう呟いた
現在アースラには魔力索敵に出ていたフェイト以外の全員と元々いたクルーが乗船している
そのため実は一時的にアースラを任されていたエイミーの指揮権もリンディ提督に戻されている
が、戻ってきた面々を含め全員が零司とフェルグラントの異常な戦闘から目が離せなくなっている
一部の例外を除く彼女たちの目には動きを完全に捉えられず、分身した手足、センサー機器のすべてを置き去りにする超スピード、目に映るすべてが常識の埒外の戦闘
これについてはモニターに映る二人の姿も影響していると思う
見た目完全な魔王である零司と膨大な気により放電現象を起こしているフェルグラント・・・はっきり言ってどちらも人類とは思えない
「最早本物の化物だな」
と、まずクロノが呟き
「というよりほとんど見えないわねぇ~。」
というリンディ艦長
「前に聞いた時間軸の違う世界で相当な修行をしてきたようね」
感心するプレシア
「その様だな。回避の練度、反応速度が以前僕が鍛えていた時以上に成長しているようだね
・・・・けれど、まだ甘い!!」
どこまでも厳しい零司の近接格闘技の師匠であるレグナーは現状でもまだ甘いと断ずる
しかし、一方で高町さん、フェイトのタッグも負けていなかった!!
そんな人外の戦闘の傍らで結界を破壊するため高町さんたちは魔力弾と砲撃を撃ちまくっていた
『ズガガガガガガッ!!!』
『ドドドドドドーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!!』
・・・・・一応説明しておくが戦争などではない。
結界が硬いがために早々に魔力弾のみによる結界破壊を諦めた彼女たちは
新規追加された武装『カートリッジシステム』の破壊力を遺憾なく発揮することに決めたのである
『『カシュンッ!!』』『『カシュンッ!!』』『『カシュンッ!!』』
「ディバイ~~~~ン・・・・・・バスタァーーーーーーーーーーー!!!」
「フォトンランサーファランクスシフト・・・・
撃ち抜け!!
Fire!!」
高町さんの桜色の極光が
フェイトの数百に及ぶ黄金の魔弾が
流れ落ちる滝のように結界を蹂躙する
それを見て思わず戦闘の手を止めたフェルグラントと零司は
「派手にやってるな・・・」
「君のとこのお嬢さんたちは物騒だね・・・」
「襲撃をいきなり仕掛けてくるそっちの赤毛よりはマシだろ?」
「それはお互い様じゃないかな?」
「否定できないな。・・・それにしてもお前、やけに落ち着いてるな?」
「そう見えるかい?だって・・・」
そこで言葉を区切ると同時に
パリィーーーーン!!!
俺がフェルグラントとの戦闘を行っている傍らで高町さんたちの猛攻を凌ぎ続けた堅牢な結界はついに破砕音を上げて砕け散った
「ここは僕らの本拠地(ホーム)じゃないからね。」
「ッ!!」
そうか!!だからコイツはッ!!
「つまりお前は俺たちを誘う囮ってことか?それも他人の民家に最高クラスの強度で隠密結界を張ったのも俺たちが見つけるだろうことを見越してって考えたら納得が行く。問題はどうやって俺達の作戦を知ったかだが・・・・素直に教えてくれる気はあるか?」
「さてね~僕から言えるのはストーカー気質な猫が教えてくれたってだけだよ」
「巫山戯てるのか?」
そう言って俺が額に青筋を立てたところで
「零司君!!」
「零司!!」
高町さんとフェイトが結界の側から俺の場所まで移動してフェルグラントにデバイスを構える
それを見てフェルグラントは
「やれやれ、界王拳の限界持続時間を超えたこの状態で君たちとの三対一は流石に僕も厳しいかな」
そう言ってフェルグラントは纏っていた赤いオーラを解いて嘆息し
「・・・そこの彼女たちに手を出して君にこのままずっと付きまとわれても面倒だ。ここは大人しく引くことにするよ・・・・時間稼ぎもそろそろ十分だろうしね」
そう言って額に二本の指を当てる
俺はフェルグラントが妙な行動を起こす前に止めようと
「待て!!《ヒュン!!》・・・逃げられたか。高町さん、フェイト。一旦アースラに戻るよ」
「それはいいんだけどあの人たちはどうするの?」
「フェルグラントたちか?どうしようかな~」
『その割にはプランBなんていう策まで用意していたようですけど?』
「アル・・・確かに考えてはいたけど生憎と現状では無理だね」
「どういう作戦だったの?」
「あぁ、気にしないで高町さん。フェルグラントだけが出てきたら戦闘中に単に発信機をつけて後をつけようと思ってたってだけだから・・・そんな余裕なんて微塵もなかったけどね」
『発信機って・・・』(アースラ一同)
「さて、相手がフェルグラントなら転移移動の逆探知なんて無理だろうし本当にどうしたもんかな~」
そう言って零司は深くため息をつくのだった
~~~~~~~フェルグラントSide
海鳴市から遠くの森の中
あの場から瞬間移動でこの森の動物の気に向かって移動したフェルグラントは疲労した体を休めるために木の幹に身を預けていた
「やれやれ・・・まさかここまで手酷くやられるとはね」
そう言って僕は体の状態を確かめる
「やけど、切り傷多数・・・左助骨2本骨折
界王拳の反動で全身の筋肉と筋を痛めてる・・・か。早いところシャマルと合流して治療したいところなんだけど、それ以前にまさか界王拳を4倍まで使って削りきれないなんて思わなかった・・・・さてと、こんな事をしてる場合じゃないね。切り傷に関しては気で活性化させて止血は済んだけど、見事に血まみれだ」
僕の血だけでなく彼の返り血でべったりだ
「この服結構気に入ってたんだけどな~」
「そう言ってあげれば選んでくれたはやてちゃんも喜ぶと思いますよ?」
「シャマル!!」
僕は声のした方を向いて見えたシャマルに駆け寄る
「フェル君にしては酷くやられましたね」
「まぁね、僕も彼がここまでやるようになってるなんて思わなかったよ。瀕死の重傷を与えても瞬間的に前回に戻すなんて厄介な能力もあるみたいだしね」
「そうですか。ですがまずは・・・クラールヴィント♪」
パァ~
シャマルの淡い緑色の光が僕を包み込む
すると僕の体の傷はみるみるうちに消えていく
それを見てシャマルは安心した表情をする
最初に使った時には魔法を弾かれた時のことを思い出しているのだろう
治療が完了すると腕の感覚を確認する
・・・うん。靭帯の痛みもないし、やけどと骨折も完治してる
「相変わらずシャマルの回復魔法は凄いね♪」
「ありがとうございます。それじゃあ、そろそろはやてちゃん達と合流しましょうか」
「そうだね♪」
その言葉と共に僕らは地球から姿を消した