改めて、頑張っていくのでよろしくお願いします。
帰還するF(フェニックス)
『太陽』
それは、地球に恵みをもたらす星。七十パーセントは水素でできておりその温度は表面だけでも五千度は超え、とても生物が住める星ではなく、とてつもなく巨大な火の玉といってもいいだろう。
しかしそこに一つの影――それも人の形をしている――があった。
それは、ヒト型から炎へ炎から人型へと交互に変形しながらまるで海に浮かぶように太陽の中をふわふわと浮遊している。そして、その影が、言葉を発した。
「あ―、暇だ。」
そいつは、ヒトの形こそしているものの、ヒトではなかった。
燃えるような紅い体、肩は金色で鷲や鷹の爪のように鋭く尖っている。
その姿はまるで永遠の命を持つ不死鳥(フェニックス)を体現したような姿だった。
「指輪の魔法使いにやられてから、ずっとここで燃やされ続けてるが
そのせいか焼け死ぬ頻度が少なくなったな。ま、こんだけ長期間復活を繰り返してるんだ。そりゃ慣れるわな」
そいつの名前はフェニックス・ファントム
ファントム化する前は、藤田雄吾というフラワーショップで働く好青年であった。
かつて指輪の魔法使いこと仮面ライダーウィザードを幾度となく追い詰めた不死の怪物。ウィザードに倒されるたびに何度も復活し強くなっていくフェニックスだったが、
激戦の末、ウィザードの強化フォーム《オールドラゴン》の必殺技《ストライクドラゴン》によって太陽まで蹴り飛ばされ、終わりなき終わりを迎えたはずだった。
「それよりも、俺がここに縛り付けられてる間に面白そうなことばっかり地球で起こってんじゃねえか!!おれも白い魔法使いとかウィザードのさらに強化された……ぇえとなんだっけ……………そうだ!インフィニティだ!それと戦ってみたかったぜ」
太陽からウィザードたちに起こった出来事を高みの見物していたのか、ユーゴはぶつぶつとつぶやき始める。
「よしっ!ここにいんのも退屈だしいっぺん地球に遊びに行ってみるか‼」
ガバッとユーゴは勢いよく起き上った後、固まった体をほぐすように大きく伸びをして腕をぐるぐると回し始める
「ウィザードとどれくらい戦りあえるか楽しみすぎてウズウズするぜ!」
準備運動が終わったのかコォォォッと某ゼット戦士のようなポーズで魔力を高めていく、その魔力に触発され周囲の炎がユーゴを中心に渦巻き始めた
「こんだけの魔力もありゃあ太陽からも抜け出せるだぁぁぁろっっと!!!」
高めた魔力を一気に解き放ち、一筋の流星のように太陽から地球へと飛びだした!
「待ってろよ!指輪の魔法使いぃ!ウィザードォォ!」
そしてユーゴは再び地球に降り立つのだがこれから多くの戦いに飛び込むことになるとは考えてはいなかった
ユーゴが太陽を離れ、数日後
「地球、キター!」
ユーゴはとある住宅街で某リーゼント高校生のような叫び声をあげていた。
「ふう、やっと着いたぜ地球!地面に足つけんのも久しぶりだ!」
そういいながら思わずにやけ顔になるユーゴ。
長らく感じられなかった地面や空気の感触にニヤけずにはいられないようだ。
「さっそく、ウィザードを探したいんだが………………」
そう言って、あたりを見回すが………
「………ここどこだよ…………」
宇宙空間を抜けると、知らない土地だった。
(えぇぇぇぇぇぇぇ!せっかく張り切って戻ってきたのにいきなり迷子とかねぇよ………)
まるで、クリスマスプレゼントをもらって喜んでいたのに開けてみると参考書だった時の子供のようにうなだれるユーゴ。その背中からは、何とも言えない哀愁が漂っていた。
「あー、やる気がバックギアだぜぇ。どーすっかなぁマジで………。」
はじめっから途方に暮れるユーゴであった………(チーン
それから三週間後・・・
「ユーゴくーん!そっち終わったらこっちのを運んでちょうだい」
「わかった!ちょっと待ってろ!」
フェニックス、もといユーゴはとある花屋で働いていた。
「しっかし、まぁ、よく俺みてぇなやつを置いてくれたよな。平和ボケしてんのか?こっちとしては………よいしょっとぉ、ありがたいんだけどよっ」
それは、三週間前のちょうどユーゴが地球に降り立った日までさかのぼる。
とりあえず、行動をしようと考えたユーゴはアテもなく町中を歩き続けていた。
「まずは………拠点か?どっかに廃墟でもありゃあいいんだが………」
怪人態に変身して飛んで探すことも考えたユーゴだったが、太陽の束縛から抜け出し、地球にたどり着くためにもっている魔力をほとんど使ってしまったため、その時は変身することができなかったのである。
しかしだ、人間態の時でも常人よりは身体能力は上回っているためユーゴはまず人が多くいるところを聴力を頼りに探し歩き回った。
ちなみにこれは太陽に飛ばされる前ミサに教えられたことでもあった
『あなたは頭が悪いからすぐに迷子になりそうね。………え?そこまで悪くはないですって?フフッ冗談よ。まあ、念のため教えておくわ。自分の居場所が分からないならまずは人のいるところへ行きなさい――――』
はじめにユーゴがいた場所はたくさんの家屋が立ち並ぶ住宅街であったがその時はまるでゴーストタウンのように静かだった。
ユーゴが知る由もないがその日は平日の丁度午後三時に差し掛かろうとしている時間帯であったので住民のほとんどが学校ないしは仕事に行っていたのだった。
それも功を奏してか数十分歩いてすぐに商店街へとたどり着いた。
特に暴れる理由もないユーゴは商店街にたどり着いた達成感を感じつつそこを見て回ることにした。
「靴屋に肉屋に魚屋か………これが商店街ってやつか。初めて見るもんかもな」
今や薄くなった《記憶》の中にも商店街に関する記憶がないため半ば興奮しつつも商店街を練り歩くユーゴ。
「えーと確かあいつが言うには『交番を探せ』だったか?まあこの先にあるだろ」
ちょっと癪に障るミサの教えを思い出しながらも先へと歩き続ける。
そして、ある店を見つけ思わず立ち止まる。
「へぇ………花屋もあるのか。店の名前は《希望》か………」
『この体の本来の持ち主』が働いていた店、最も《記憶》に残っている仕事、不思議とユーゴは立ち止まってその店に目を向けた。
全体的に真っ白い二階建ての建物。一階部分は正面がガラスばりになっていてピンクと白のオーニングが伸びている。
二階の正面の窓にも小さめのプランターが並んでいた。
そして店名の《希望》。まるであの魔法使いを彷彿とさせるような赤い文字で正面のガラスに大きく書かれていた。
店先に並んだ色とりどりの花を眺めながらふと思う。
(初めて見る花ばっかりなのに、どれがなんていう名前なのかはっきりとわかる。《アイツの記憶》か)
「不思議だな。自分の記憶でもねーのによく覚えてるなんてよ………」
そのなかでとある花に目が留まった。
「確かこの花の名前は――――」
「――――アヤメね。もしくはアイリス」
「!?」
《記憶》を頼りに花の名前を考えているときに横から誰かに声をかけられた。
「驚かせてごめんなさいね。でも、さっきからずっと花を見ていたから気になったの」
その人の名前は《花野希(はなの のぞみ》というらしい。
見た感じ40代くらいだろうか。
ピンク色のエプロンをつけている。
エプロンに赤い色で店名が刺繍されていることからこの店に人だろう。
「………そんなに、見てたか、俺」
「ええ、ほんの数分だったけどすごく真剣な目で見ていたわ」
無意識な行動を指摘されちょっと照れ臭くなるユーゴに対してその女性は微笑んだ。
「花、好きなの?」
「ん、嫌いじゃあない」
「じゃあ、どの花が好き?」
「………なんでそんなこと聞くんだよ」
思いのほか、質問してくるので思わずそう聞き返した。
その人は照れくさそうに答える。
「最近の若い子って花にあんまり興味がないみたいなのよね。だからあなたみたいな若い子が花に興味を持ってるのがうれしくって」
「あんたも相当花が好きなんだな」
「まあね。名前だけじゃなく、花言葉もほとんど覚えてるわよ」
「『はなことば』ってあれだろ?その花にこめられた意味……だったか?」
「そうよ。例えばあなたが見ていたアヤメの花言葉は《よい便り》《メッセージ》あとは………《希望》ね」
「《希望》………」
なにかの偶然だろうか、知らない土地で見つけた花屋、名前は《希望》。
そこで見た花、アヤメ。花言葉は《希望》。
少なくともユーゴにとっては偶然とは思えず何か運命的なものを感じていた。
そのことに呆然としていると目の前の女性から声をかけられた。
「ね、ここで働いてみない?」
ユーゴは思わず即答した。
そして、現在に至る。
「よし、これで店頭に飾る用の花は運び終えた。次は仕入れた肥料か」
軽トラックの荷台に積んである肥料の袋を三つほど抱えるユーゴ。
この時、ユーゴは暴れるだけでは得られなかった何かを感じていた。
アヤメ(アイリス)
春の花、最盛期は五月。
色は紫、青、黄、オレンジ、白、ピンクなど。
花言葉は
よい便り、メッセージ、希望
正直、ユーゴは劇中で仲間になるかと思ってた