花嫁は瀬戸内海産!?   作:たるさん

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どうも、たるさんです!

はじめましてははじめまして! そうでない方はお久しぶりです。

瀬戸の花嫁にハマり書きたい一心で書きました。

読んでくださると嬉しいです!

では、はじまりはじまり〜!


第壱話 出会いは突然に

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーー瀬戸内海、夏。

 

らんらんと照る太陽を反射して白く輝く砂浜。夏の気温と相反する海水のひんやりとする爽快さ。

そんな瀬戸内海に、人間は夏の暑さを忘れに涼を取りにくる。砂浜にビーチパラソル然り、ビーチバレー然り、鬼ごっこ然り……それぞれ瀬戸内海の夏を楽しんでいる。

 

「あっつ〜……瀬戸内ってこんな暑かったけ〜?」

 

そんなアツアツの瀬戸内海に負け、ボクこと"浪内(なみうち) (なぎさ)"は、その白い砂浜にセットされたビーチパラソルの日陰で涼んでいたのだった。

 

「たく……なんでこんな暑い日に……」

 

着ているTシャツは汗で肌にひっついてしまい、非常に気持ち悪い。履いている水着も汗でベタベタになってしまっている。

……といっても、叔母さんの用意してくれたシャツのサイズが大きすぎて海パンが隠れてしまってるが……なんか履いてないみたいですっっっっごく恥ずかしい……。それにさ、ボク"こんな"見た目だしなぁ……こんな格好してると今にもナンパされそうでーー。

 

 

「お、ヤバくないすかこのコ?」

 

「マジっべーすよセンパイ!」

 

「ねぇ君、お兄ちゃん達とイイコトしない?」

 

 

……ほら、言ったそばからナンパされちゃったよ。だからボク、海なんて来たくなかったんだよ……。

 

「ねぇねぇ君ィ、俺らと遊ばな……ぐほぉぉぉ!?」

 

「「セ、センパイィィィ!?」」

 

ーー鬱陶しいので顎にアッパーをキメてやった。迷彩柄の海パンを履いた金髪のにぃちゃんはきりもみに回転しながら、頭から砂浜に突き刺さった。

 

「こ、こんのアマァァ!!」

 

「良くもセンパイをぉぉぉ!!」

 

金髪のにぃちゃんを吹っ飛ばしたのが癪に触ったのか、取り巻きのやつら二人も醜い怒号を叫びながら、拳を振り上げて来た。

 

「せやぁっ!」

 

「「ぼはぁぁぁっ!?」」

 

ーーが、ただの直線の攻撃。避けてダブルで腹を殴ってやった。

取り巻き二人は意味不明な断末魔を撒き散らしながら、仲良く同じ所までぶっ飛んでいった。

 

 

 

「……ボクは(アマ)じゃない……」

 

 

 

そう、ボクはこういう見た目だからよく勘違いされるが、決して女の子じゃない。だからって男の娘なんかでもない。

 

 

 

「ボクは……ボクは男だぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 

 

ーーボクこと"浪内 渚"は、背もちっちゃくて、体つきだって細くて、髪だって少し肩甲骨に触れるか触れないかくらいあって、目だってくりくりしていて……そんな女の子じみたボクだけど、それでも男なんだぁぁぁぁぁぁ!!

 

 

「……だから海なんて来たくなかったんだ」

 

 

ーー今日も今日とて、自慢のアホ毛をぴんぴん振り回す渚であった。

 

 

 

 

 

♯♯♯♯♯♯♯

 

 

 

 

 

瀬戸を訪れ夕波小波。

 

命救われ、中坊 渚。

 

女子(おなご)じみた見た目ではありますが

 

曲がった事は嫌う、十と四歳の漢。

 

どうか、どうか笑って見てやってくだせぇ。

 

青い恋の、始まりでぇございやす。

 

 

 

 

 

♯♯♯♯♯♯♯

 

 

 

 

 

 

第壱話 出会いは突然に

 

 

 

 

 

 

 

「……さっき少し暴れちゃったから暑くなったぁ……泳ごうかな」

 

あの金髪どもを砂浜に突き刺してきたため、体が火照って汗が凄い事に……たくもう、だから海なんて嫌いだよ。

しかし、この暑くなった体を冷ますには冷たい海に入るのが良いと考えたボクは、着ているTシャツを脱いで……といきたかったが、隣に居た若いカップルに驚かれてしまったので、しょうがなくTシャツを着たまま海に入る事にした。

……なんで驚くねんお二方。まぁ、こんな見た目だから仕方ないと思うけどぉ……あれ? 目から汗が、汗がでてるよ?

 

「冷たっ……ん、でも気持ちいい……」

 

チャプ……と片足に波が触れる。最初はひどく冷たかったが、慣れると火照る体には冷たく気持ちいい。こういった面では海もいいな、と思う事もあるけど……やっぱりナンパされるから嫌いだ。

 

「はぁ〜……沖まで行ってみようかな」

 

足だけの涼みじゃ足りなくて、ボクは体を冷やすためにも沖まで泳ぐ。海が嫌いと言ったが、別に泳げないから嫌いというわけではないのだ。ただ、ナンパされるから、女の子に思われるから海は嫌いなのだ。

 

「はっ、はっ……っはぁっ! 気持ちいい〜〜!」

 

沖まで泳ぎきったボクは、思い切り顔をあげて空気を吸い込む。やっぱり泳ぐのは気持ちいい。水の冷涼さを感じながら、風を切って走るのではなく、水をかき分けながら泳ぐ。実はボク、泳ぐ事はかなり好きだったりする。

 

「はぁ〜……冷たくて幸せだよ〜……♪♪」

 

立ち泳ぎをしながら、海の冷たさに酔いしれる。こう上下する緩やかな波に逆らう事はせずに、ただプカプカと浮かんで涼を取る……これがなんと気持ちいいことかぁ〜。

だめだぁ〜、気持ちよくて心の声すらも微睡んでるぅぅ〜。あぁぁぁ〜〜。

 

 

 

「気持ちいいぃ〜〜……っい!?」

 

 

 

 

な、なんだ!?

足首に今激痛が……もしやクラゲか!?

 

 

「わ、わぶっ!? ごぼっ!?」

 

 

激痛に足を取られたボクは、まともに立ち泳ぎができなくなってしまい……溺れてしまった。

 

「だっ、だれかっ!! たすけっ……っあ!!」

 

必死に両手片足でもがいてみるも、やはり沈んでいくばかり。

 

「も、もう限界……!」

 

ついに体力の限界を向かえてしまったボクは、力なく海中へと沈んでいく。海中でどれだけ足掻こうと海面には上がれず、むしろ肺に残っている酸素を無駄に使うだけだ。

 

「がぼっ……(い、息が……)」

 

息が、できない。もう溜め込んだ酸素もそこをつき、海水を思い切り吸い込んでしまった……。

 

ーーあぁ、ボク死ぬのかな。

 

まだやりたい事あったのに、そりゃないよ……。夢だって叶ってないのに。

 

ーーああ、生きたいなぁ。

 

「……っ」

 

最後の気力で、太陽で輝く水面に向かって腕を伸ばしてみる。

もちろん、力なく伸ばされたその左腕を誰がが掴んで、助けてくれるわけでもなく……ただ暗い海底へ沈んでいく……。

 

 

 

ーーと、思った。

 

 

 

「……っ?」

 

何故か沈むのが止まり、伸ばした左腕に掴まれる感触がする。薄ら目を開けてみると、ボクの左腕を掴む白い綺麗な腕が見えた。

 

「……っ!?」

 

ボクはその腕から持ち主の姿を見た。

 

それは、茶髪の綺麗な女の子だった。

水流をうけ靡く長髪、パチっした可愛らしい目。女性らしい膨らみのある胸、くびれたウエスト……。

 

そこまではよかった、そこまではよかったのだ。

 

 

ーー腰から下が、魚だったのだ。

 

 

つまり、この姿は絵本にもあるような『人魚』の姿であり、その『人魚』がボクを助けてくれたのだ。

 

 

「がっ、ごぼっ……」

 

 

ーーありがとう。

 

そう言おうとした所で、ボクの意識は海底みたいな真っ黒に染まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

♯♯♯♯♯♯♯

 

 

 

 

 

 

 

「……う〜ん」

 

…….あれ、ボクはどうなって? 確か、沖で溺れて……それで、それで……?

体を半分起こして周りを見渡してみる……どうやらここは海なら離れた高台みたいだ。

 

「なんでボク、こんなとこに? 確か溺れて……っそうだ! 人魚! 人魚さんに助けられて……!」

 

再度、見渡してみるも……やっぱりここにはボク以外だれもいない。

……夢、だったのかな? 冷静に考えたら人魚さんなんて、そんな幻想じみた生き物、いるはずがない。

 

 

「あ、こんなとこにいた! 渚くーん! もうばぁちゃん家に戻るよー!」

 

 

遠くから聞き覚えのある声が聞こえた。よく見ると、女性の人影がこちらに駆け足で向かってくるのも見える。

 

あぁ、叔母さんだ。

 

「やっと見つけたよー。もう、砂浜のどこ探してもいないんだから……お姉さん心配したよ!」

 

ぷうっ、と頬を膨らませる叔母さん。どうやらかなりご立腹のようだ。

 

「ご、ごめんなさい……美咲叔母さ「お・ね・え・さ・ん!」……お姉さん」

 

……この人は、美咲(みさき)おば……美咲お姉さん。ボクの母親代わりをしてくれている親戚のお姉さん。いないボクの両親にかわって保護者をしてくれている……とっても優しいお姉さん。

でもついつい叔母さんと言ってしまうのは、アラサーだからとは口が裂けても言えない。

 

「ほら、ばぁちゃん家戻るよー」

 

そう言って、右手を伸ばしてくれる美咲さん。ボクはその右手を掴み……力なく崩れた。

 

「え、ちょっ!? 渚くん大丈夫!?」

 

「……あ、クラゲに刺されたの忘れてました……」

 

そうだった、クラゲにも刺されてたんだ、溺れた時に。刺された足は少し晴れていて、痛みはないが力が入らなくなっていたのだ。

 

「クラゲぇ!? それを先に言いなさいよ! ほら、お姉さんおぶってあげるから!」

 

「い、いや……肩だけ貸してくれれば歩けますし……」

 

「ダメよ! 早く帰ってばぁちゃんに手当てしてもらわなきゃ!」

 

無理やりおぶられると、美咲さんは小走りで瀬戸内海を背にバス停へ向かっていった。

……なんだか、いつも誰かに助けてもらってばかりだな、ボク。一人で行動しては美咲さんに助けてもらって……情けないよな、ボクって。

 

「いつもすみません、美咲さん……」

 

美咲さんの柔らかい背中に顔をつけながら、ぶっきらぼうに言った。

うずめた美咲さんの背中は、少し汗の匂いがした。こんなになるまで美咲さんはボクを探してくれたんだ……本当に申し訳ない。

 

「なーに言ってんの渚くん。君は私の『息子』なんだから! どんどん頼っていいんだよ?」

 

学生みないなあどけない童顔で、にひひとそのミディアムヘアを揺らす美咲さん。

……その無邪気な笑顔に何回救われた事か、その勇気ある行動に何回救われた事か……数えきれないくらいだ。

 

ーーボクは、小学校の頃に両親を亡くした。

 

もともと父親はいなくて、母親一人のシングルマザーの家庭だった。母さんは料理上手で裁縫上手で、若いのに肝がすわっていた。曲がった事が大嫌いで、義理深い……そんな人だった。

ボクも母さんに憧れて、そういう人になりたいと……それを夢にしてきた。

……でも、母さんは……ボクが中学校に上がると同時に、癌で亡くなったんだ。そんなときだ。ボクを引き取ると言ってくれた人物が、いたんだ。

 

そう。その人こそが美咲さんだったのだ。

 

「あ、バス来たよー」

 

そんなもの思いにふけっていると、遠くからバスのクラクションが一鳴り聞こえた。二時間に一本の、今日最後のバスだ。これを逃すと登り山道を歩きで行き、ばぁちゃん家まで行くしかないのだ。だから、ここら辺に住む人にとっては大事な交通手段。

 

「ほら、乗るよー」

 

……ボクは美咲さんの暖かい背中におぶられながら、揺れるバスへと身を投じた。

 

 

 

 

♯♯♯♯♯♯♯

 

 

 

 

ーー小一時間くらい、ゆられていただろうか。バスから見える景色はすっかり暁に染まり切っていた。茂る木々の間から時折、金色の夕陽が瀬戸内を、綺麗に染める。

 

「ふ〜……よっと。あ、ばぁちゃーん!」

 

美咲さんが降りたバス停の丁度向かい側。そこに優しい笑顔でこちらに手をふっている老人がいた。

 

そう、この人がボクらのばぁちゃん。

 

ばぁちゃんの作るきんぴらごぼうは本当に美味しくて、ほっかほかのご飯と八丁味噌の濃い味噌汁と良く合う。美咲も料理上手なのだが、どうしてもばぁちゃんの味は出せないらしい。やっぱりばぁちゃんって凄い!

 

「ばぁちゃん! ただいまー!」

 

「はいよ、おかえり美咲」

 

しがれた優しい声でボクら二人を迎い居れてくれると、ばぁちゃんは庭にあったタライから丸々としたスイカを見せてくれた。

 

……お、美味しそう……じゅるり。

 

「まだ夕食(ゆうげ)まで時間さあっから、スイカでも食うかい?」

 

「え!? いいのばぁちゃん!?」

 

美咲さんが子供っぽくはしゃいでいる。貴女、アラサーなんですからそうはしゃぐのは似合わなっ!?

 

「……何か言った?」

 

「い、いえ何も! それよりスイカ食べましょう! 美咲さん!」

 

ふう……危ない危ない。美咲さんの禁則事項に触れるとこだった〜……。美咲さんに年齢の話をふるとすぐ怒るんだから……アラサーとは思えないくらい美人なんだかもっと胸を張っていてもいいのに。

昔、美咲さんに「結婚しないの?」と聞いてみた事があり、当時の美咲さんの答えは「今は渚くんがいるから」て言っていた。……それと小さい声で「……渚くんが18歳になったら私をお嫁にもらってもらうんだ……そのためにも印象良くしておかなくちゃ……」と、なんか怖い呟きも聞こえた気がしたが……まあ本当に気のせいだろう、と割り切った。

 

「あ、渚くん! 私、ばぁちゃんと奥でスイカ切ってくるから、居間とか縁側でのんびりしてて! お茶飲む時はそこの食器棚の湯飲みをつかってね!」

 

……うおーい。ボク、クラゲに足刺されて動けないんですがー?

って、聞いちゃいないよ。……まぁ、一人で這って動くくらいはできるし、居間までそんな距離はない。

 

「お邪魔しますっ、と」

 

少し高い段差のある玄関を乗り越え、縁側がある部屋へと向かう。

 

「よいしょっ、よいしょぉぉっ……」

 

あ、案外這って動くってつら……。なんか変な筋肉まで使っちゃっているような気がするんですけど……。

 

「ふぉぉっ……け、結構つら……よし、ついたぁ……」

 

そんなこんなで、ボクはようやく縁側まで辿りついた。ひきづっていた足を外へ放り出し、潮の匂いと緑の匂いが混じった、爽やかな風を全身で受け止める。

 

「はぁぁ〜……きもち〜……♪」

 

よそよそ、よりは強い風だが強すぎでもない。かといって弱くもない、そんな丁度良い風だ。やっぱり汗をかいた後にほど風が気持ちいいのはないとおもう。

 

「は〜い、おまたせ〜」

 

と、風を楽しんでいたらスイカを持った美咲さんとばぁちゃんが居間に入ってきた。

……なんで玄関で置き去りにしたんすか、美咲さん。

 

「へっ? な、なにかな? 私、変な事したかな……?」

 

「……美咲さん、ボク足をクラゲ刺されていたんですけど?」

 

じとーっ、と半分妬みを込めたこの可愛い可愛い眼で美咲さんを見つめた。……我ながら可愛い眼ってないいってんだボク……。

てゆうか、怪我人を放っておくなんて酷いことするなぁ美咲さん?

 

「じとー……」

 

「へっ? あ! ご、ごめんね? 後でお姉さんが君の傷、ぺろぺろしちゃ「しなくていいです早くスイカ下さい」んもぅ、いけずぅ」

 

……美咲ってさ、ボク前々から思っていたんだけど……。この人、隙あらばボクを襲おうとしてない……? してないか。

まぁそんな事はすぐに忘れ、ボクは目の前に出されたスイカ一切れを手に取る。赤い実に、黒い種。昔はこの種を飛ばして遊んだりもしていたなぁ……。

 

「いただきま〜す♪」

 

スイカを一口頬張り、しゃくしゃくと咀嚼する。このスイカ、よく冷えていてそれにすごく甘い! 塩なんていらないくらいに甘い! これが瀬戸内のスイカかぁ……♪

 

「ん〜♪ あっまぁ〜い♪」

 

「じゃろ? この時期のスイカは甘くてうまいんだべ」

 

美咲さんはもう二切れ目のスイカをすでに頬張っていた。

 

「ん〜……♪ あ、そうだ渚くん。瀬戸内の人魚伝説って知ってる?」

 

「ぶっ!?」

 

「うわわわ!? の、のんびり食べなよ……」

 

に、人魚伝説って……!?

じゃあやっぱりあれは、夢なんかじゃなかったんだ!

水流に揺れる綺麗な茶髪に、色白の綺麗な肌。……そして、魚の下半身。

ボクは見たんだ、人魚の姿を。

 

……でもそれを美咲さんやばぁちゃんに言ったところで笑い話にしかならない。

言うのは、ふせておこう。

 

「……その、人魚伝説ってのはなんなんですか?」

 

美咲さんは食べていたスイカをこくんっ、と飲み込むと、至って真剣な顔つきで話してくれた。

 

「……昔から、この瀬戸内海には人魚さんがいるって伝説があるの。その証拠かどうかはわからないけど、ここからさらに山奥にある『人魚の静石(しずいし)』って言ってしめ縄で縛っている大きな岩があるの」

 

人魚の静石……。

よく神社なんかである大きな岩とか大木とかを神格化して祀るみたいなものなのかな。

 

「その岩にはあるお話があってね、なんでも人魚を見た人間の男が居たみたいなの。その男は一目でその人魚に一目惚れして、人魚も男に一目惚れしたの」

 

……よくある伝説っぽい内容だな。それとして捻ってもないし……人魚伝説ねぇ……。

 

「二人は夜な夜な密会し、密かに愛を育みあったんだ。………でもね」

 

「!?」

 

な、なんだ!?

空気がガラリと変わった!? 突然ひんやりとしたお通夜空気に!?

 

「……人魚の娘さんが、人魚の規律を破ってまで愛した人間の男を……」

 

「……(ゴクリ)」

 

ひんやりとしたお通夜空気が、辺りを漂う。暁に染まっていた空は気づけば暗くなっており、空気がより冷たく感じた。

 

 

 

「……あのー、ごめんください」

 

 

 

……。

 

……。

 

あ、えっと。

なんか、ごめんくださいって聞こえたんですけど。

 

「はいはい、なんですか?」

 

いつの間に居たのだろうか、ばぁちゃんが縁側の外、つまり庭へ向かって誰かが来たような喋り方をした。

ばぁちゃんに便乗し、外をみてみると……ぉっ!?

 

 

 

「……渚さんってお人はここにおるでっしゃろか?」

 

 

 

ーー綺麗な、長い茶髪。

 

ーー色白で繊細な肌。

 

ーー可愛らしい顔。

 

 

 

 

 

 

そこには、助けられた時にみた人魚さんと容姿が瓜二つな女の子が、立っていた。

 

 

 

 

 

 




次回予告!

「うちと……うちと結婚してください!」

「こぉうらぁなぁぎぃさぁぁ!! この娘さんにナニしたぁぁ!?」

「……あっしは、気がすすまねぇんですが……」

「このボウフラがぁぁぁぁぁぁぁーー!!!!」

「もう家に返してくださぁぁぁぁぁい!!」


次回、第弍話。


乞うご期待!

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