ファミリアにこんなメンバーがいるのは間違っているだろうか   作:幽凪

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見切り発車の第二作

短めですがどうぞ


プロローグ
月の勝者の場合


(あぁ、これで自分の役目は終わりだ)

 

 電子の海に揺蕩う身体が徐々に分解される。自らの消滅を前に抵抗することも無く、ただ感じるのは小さな達成感。そしてここまで導いてくれた、自分には頼もしすぎる仲間達のことだけであった。

 

(ここに来るまでいろんなことがあったな………)

 

 記憶が無いところからのスタートだった。

 

 友人と戦い、この月の聖杯戦争が現実のものであると実感した。

 

 老騎士の生き様には多くを学んだ。

 

 無垢な少女の願いを、他ならない自分が手折った。

 

 痩身の狂人とぶっ飛んだ宗教家を通して、自身の戦う目的が形になった。

 

 暗殺者との戦いは互いの目的を果たすために熾烈を極めた。

 

 

 ジッ ジジッ ザァァァ

 

 

 戦いたくなかった人物が強敵となって立ち塞がった。

 

 再び現れた暗殺者の唯一の友人となった。

 

 少年王には彼女の協力が無かったら勝つことはできなかった。

 

 

 ジジッ ジッ

 

 

 熾天の檻にて自分の同類と戦い、長かったこの戦争に終止符を打った。

 

 

 ジジッ ジジッジ ザァァァァァァァ

 

 

 ノイズが酷い。そう思った時には未だ分解されていない頭に、電子の海から秘匿されていた物語が流れ込む。

 

 2度にわたって衛士(センチネル)と共に現れその槍を振るった竜の娘。

 

 彼女の愛は束縛、その檻を壊し、だが止めをさすことは自分にはできなかった。

 

 施しの英雄は主の為に槍を解き放った。

 

 暗く、未来さえ見えない空間をただひたすらに這いずり回った。自分を友人と呼んでくれた彼のおかけで光が見えた。

 

 何度も出てきて恥ずかしくないんですか?

 

 彼女の愛は献身、全てを甘く溶かす(どく)、親友の決死の策で退けられた。やはり止めをさすことはできなかった。

 

 彼女の愛はあなたの為に。その愛は例え己を破滅させようとも、あなたに生きて欲しいから。

 

 それは”この世全ての欲”だった。彼女達が居なければ、自分も呑まれていただろう。

 

 月を見上げる自分の傍で自分を見つめる愛しい少女がいた。

 

 

 

 突然思い出した記憶(記録)に困惑しながらも理解する。ここはムーンセル。すべてを観測することですべての可能性を実現できる観測機と言う名の願望機。その中枢に溢れる無数の記録が自分に流れるのも納得できる。今流れ込んでいる記録は、ムーンセルが記録した、自分が辿った道程(可能性)なのだろう。中枢に接続したこの身は、すべての可能性が収束したものになっている。自分には薔薇の皇帝と、正義の味方と、自称良妻狐、そして英雄王。共に戦った、共存するはずの無い記憶が共存していることが証明だろう。これから分解される身としては、地球から眺める月を見れたのは、ムーンセルからのプレゼントのように感じとれた。

 

 

 

 

 

 自分は生きている人ではない。

 

 

 

 

 

 正確に言えば人ですらない。地上にいるのは自分というNPCのモデルとなった人物だけ。この身体はムーンセルによって造られた。故に記憶は初めから無く、自我が芽生えた自分は不正なデータでしかない。不正データ(NPC)がムーンセルに接続するという自殺行為に後悔はない。それで救えるものがあるのなら本望だと言える自信がある。ただ………

 

 

 

 

 走馬灯のように駆け巡ったのは、サーヴァント達と過ごした日々。必死になって道を切り開こうと足掻いたあの軌跡だった。

 

 

 

 

 

「…………………………」

 

 

 

 

 

 誰かの声が聞こえた気がした。体の感覚も聴覚も殆ど使い物になら無くなった今、ぼやけた視界に映ったのは共に戦ってきた掛け替えのない相棒(サーヴァント)だった。姿形ははっきりとわからずとも理解できた。少しばかり分解されるスピードが落ちた気がした。自分はきっと困ったように笑みを浮かべているだろう。来て欲しくなかったのに、自分の元に来てくれたことが嬉しくて。だから………

 

 

 

 

 

 

 

 ただ………もう少しだけ(君たち)と一緒にあの軌跡を描きたい

 

 

 

 

 

 

 

 

 だから………(君たち)と笑いあえるような日々を過ごしたい

 

 

 

 

 

 

 

 

 叶わぬ願いを思いながら、岸波 白野の意識は電子の海に溶けていった。

 

 

 

 

 

 

 ………………………

 …………………

 ……………

 

 

「………と、いう夢を見たんだけどどう思いますタケミカヅチ様?」

 

「その話絶対に他の神(ツクヨミ達)に話すなよ。悲しむから」

 

 話を聞いている間タケミカヅチ様は「イタッ」や「うわぁ………」とか「白野に妄想癖がぁ……育て方を間違えたか」と小声で呟いていた。解せぬ。

 

「命達にはいいの?」

 

「命達には………いや止めてくれ。何だか目を輝かしながら聞きそうで後が怖い」

 

「………わかりました」

 

「よし、それじゃあ遊んでこい。そろそろあいつらが春姫を「行ってきます!」って神の話は最後まで………ッたく、元気で何よりだよ」

 

 タケミカヅチ様が言い終わる前に社を飛び出した。

 

 そして孤児として社に身を寄せるキシナミ・白野は同じ境遇の友人達の元へと走りこう叫ぶのだ。

 

 

 

「命!桜花!千草!春姫!俺今日面白い夢見たんだけど聞きたい?」

 

 

 

「白野ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!?」

 

 

 

 タケミカヅチ様の叫びが山々に響き渡った。

 

 

 

 

 

 

 

 




後2〜3話は白野しか他作品のキャラでないかも………

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