ファミリアにこんなメンバーがいるのは間違っているだろうか 作:幽凪
短めですがどうぞ
月の勝者の場合
(あぁ、これで自分の役目は終わりだ)
電子の海に揺蕩う身体が徐々に分解される。自らの消滅を前に抵抗することも無く、ただ感じるのは小さな達成感。そしてここまで導いてくれた、自分には頼もしすぎる仲間達のことだけであった。
(ここに来るまでいろんなことがあったな………)
記憶が無いところからのスタートだった。
友人と戦い、この月の聖杯戦争が現実のものであると実感した。
老騎士の生き様には多くを学んだ。
無垢な少女の願いを、他ならない自分が手折った。
痩身の狂人とぶっ飛んだ宗教家を通して、自身の戦う目的が形になった。
暗殺者との戦いは互いの目的を果たすために熾烈を極めた。
ジッ ジジッ ザァァァ
戦いたくなかった人物が強敵となって立ち塞がった。
再び現れた暗殺者の唯一の友人となった。
少年王には彼女の協力が無かったら勝つことはできなかった。
ジジッ ジッ
熾天の檻にて自分の同類と戦い、長かったこの戦争に終止符を打った。
ジジッ ジジッジ ザァァァァァァァ
ノイズが酷い。そう思った時には未だ分解されていない頭に、電子の海から秘匿されていた物語が流れ込む。
2度にわたって
彼女の愛は束縛、その檻を壊し、だが止めをさすことは自分にはできなかった。
施しの英雄は主の為に槍を解き放った。
暗く、未来さえ見えない空間をただひたすらに這いずり回った。自分を友人と呼んでくれた彼のおかけで光が見えた。
何度も出てきて恥ずかしくないんですか?
彼女の愛は献身、全てを甘く溶かす
彼女の愛はあなたの為に。その愛は例え己を破滅させようとも、あなたに生きて欲しいから。
それは”この世全ての欲”だった。彼女達が居なければ、自分も呑まれていただろう。
月を見上げる自分の傍で自分を見つめる愛しい少女がいた。
突然思い出した
自分は生きている人ではない。
正確に言えば人ですらない。地上にいるのは自分というNPCのモデルとなった人物だけ。この身体はムーンセルによって造られた。故に記憶は初めから無く、自我が芽生えた自分は不正なデータでしかない。
走馬灯のように駆け巡ったのは、サーヴァント達と過ごした日々。必死になって道を切り開こうと足掻いたあの軌跡だった。
「…………………………」
誰かの声が聞こえた気がした。体の感覚も聴覚も殆ど使い物になら無くなった今、ぼやけた視界に映ったのは共に戦ってきた掛け替えのない
ただ………もう少しだけ
だから………
叶わぬ願いを思いながら、岸波 白野の意識は電子の海に溶けていった。
………………………
…………………
……………
「………と、いう夢を見たんだけどどう思いますタケミカヅチ様?」
「その話絶対に
話を聞いている間タケミカヅチ様は「イタッ」や「うわぁ………」とか「白野に妄想癖がぁ……育て方を間違えたか」と小声で呟いていた。解せぬ。
「命達にはいいの?」
「命達には………いや止めてくれ。何だか目を輝かしながら聞きそうで後が怖い」
「………わかりました」
「よし、それじゃあ遊んでこい。そろそろあいつらが春姫を「行ってきます!」って神の話は最後まで………ッたく、元気で何よりだよ」
タケミカヅチ様が言い終わる前に社を飛び出した。
そして孤児として社に身を寄せるキシナミ・白野は同じ境遇の友人達の元へと走りこう叫ぶのだ。
「命!桜花!千草!春姫!俺今日面白い夢見たんだけど聞きたい?」
「白野ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!?」
タケミカヅチ様の叫びが山々に響き渡った。
後2〜3話は白野しか他作品のキャラでないかも………