「ごめんなさい私・・・看護師なのに・・・何も出来なくて・・・」
崩れた瓦礫の隙間から差し込む光は彼女の泣き顔を照らした
良かった、彼女に怪我は無い様だ
「大丈夫・・・」
瓦礫に押しつぶされた下半身の痛みは消えつつある、もう「終わり」と
いうことだろう・・・
「手を・・・」
差し伸べた手を彼女は握ってくれた、悪くない・・・こうやって
誰かに看取られながら死ねるなら、俺の人生は悪くない
「ダメ、眠っちゃダメ、来るから・・・救助は来るから」
薄れゆく意識で「無茶を言う女だ」と思った
重機のエンジン音は聞こえていたが・・・もう・・・無理だ・・・
ーーー1年後ーーーー
「湯川香澄さんね?」
帝報大学医学部キャンパスに彼女・・・湯川香澄は居た
「はい、貴女は?」
「「GIFT」の高橋恵梨香」
恵梨香と名乗った女性は香澄に名刺を渡した
「あ・・・「GIFT」の・・・ありがとうございます」
香澄は名刺を受け取ると慌てて頭を下げた
「少し時間いいかしら?」
「はい、是非」
恐縮しながら言う香澄を見て恵梨香は笑った
香澄が連れて来られたのはどこかの研究所だった、白衣の男女がせわしなく動いていた
「突然ごめんなさい、ここはGIFTの「次世代救護システム研究所」湯川さんも
医学部だからまんざら門外漢ではないわね」
会議室の様な所で恵梨香は香澄の前にコーヒーの入ったカップを置くと
対面に座った
「あの・・・GIFTには何から何まで・・・」
「貴女の事は会社上層部でも話題よ?「神代トンネル崩落事故の救助者が
難関帝報大学医学部に入った」ってね・・・皆喜んでいるわ
「GIFTの仕事が形になって花開こうとしている」ってね・・・
貴女への支援はむしろ当然と私は思うわ」
「いえ、そんな・・・」
香澄は恐縮していた
「今日は2つ話があるの、まずは会って欲しい人が居るんだけど、呼んで良い?」
香澄の回答を待たずに内線の受話器を手にしている辺り、恵梨香の強引さが見えた
恵梨香が電話して3分もしただろうか、部屋のドアがノックされた
「どうぞ」
恵梨香の声で入ってきた男を見て香澄は驚いた
「堂本秀人さん、知ってるわよね」
「生きて・・・たんですか・・・」
香澄は立ち上がって秀人の顔を見た
「あの時は・・・」
「私・・・私・・・だから・・・頑張って・・・」
香澄は泣き始めた
「残念だけど彼は死んだわ・・・今の彼は「改造人間」なの・・・人間だけど
人間じゃない」
恵梨香はキッパリと言った
「改造・・・人間?」
香澄は聞きなれない言葉に首をひねった