徹甲虫とはこれ如何に。   作:つばリン

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うわぁい、日曜日って沢山の人がこのサイト見に来るんですねぇっ(白目

……。

EEEEEEEEEE!!?!?!!?

各方面の方々に感謝の意を込めてブラキディオスよろしくジャンピング土下座。皆様、沢山のご支援本当にありがとうございます!



そして重大発表! 予想よりも遥かに早いスピードで成長してしまった本作もついに、クロスオーバーの受け付けを開始いたします!

※今回は戦闘シーンのためコメディ不足。ご容赦下さい。


第七話~戦闘デビュー~

「ギシャァ、キシャシャシャシャ……(さて、どうしたもんか……)」

 

 ゲネル・セルタスと対峙する俺。ホバリングしながらだが、とりあえず全力で鎌を広げ、形だけでも威嚇っぽい事してみる。さて、レイア姉さんの危機に考え無しに飛び出してきてしまったが、相手は状況が分かっていないようで硬直している様子、今のうちに現状の確認と作戦を考えておこう。

 

 現在地はエリア2のツタの下。面積的な広さはぼちぼちなのでその点は問題無し。ただし、俺はゲネルの攻撃が当たらないように気をつけつつも、背後にいるレイア姉さんの方へターゲットが移らないよう適度にちょっかいをかけていく必要がある。付かず離れずを維持しつつ、ちょいちょい攻撃も入れていく……。うん、どう考えてもハードモードですねこれ。

 

 で、どうにかゲネル(ババア)の意識をこちらへ向けさせる事ができたとして、その状態をどうやって脱出するかも問題になってくる。ひたすらチマチマ攻撃してればそのうち倒れてはくれるだろう。現実化し、さらにハンターでもない俺は狩猟までの制限時間が無いので一番無難な戦法だ。チキン戦法って王道だよね。ただしこれだと、動けなくなるほどの怪我を負ったレイア姉さんを長時間放置する事になる。モンスターの尋常じゃない回復力、特にリオス種は治癒能力が高いってwikiに書いてあったが、それに期待するのは賢い考えではないだろう。

 

「ギッ……ギッギッギッギッ……」

 

 俺がある程度の考察を終えたその時。目の前で硬直していたゲネルが若干俯き、まるで笑いを堪えるかのような動作で静かに鳴き声を上げ始めた。妙なオーラを発し始めた奴のその異様な光景に、思わず若干ビビる。そして――直後に来るであろう攻撃に備え、全力で横に向けて飛んだ。

 

「ギシャァァァァァ!」

 

「ギィィィィィ!?(のぉぉぉぉぉ!?)」

 

 全力で飛びつつ俺が横目に見た咆哮を上げるゲネルの目は、一瞬狂竜ウィルスにでも感染したのではないかと思う程に狂気に染まっていた。そして俺の予測通り、真横へ飛んでいった俺を狙った見事なホーミング連続ジャンプ突進を仕掛けてくる。俺があのまま移動していなかったら、俺は避けられても背後のレイア姉さんに直撃していただろう。

 

「ギシャァ、ギシャギシャギシャァァァ!」

 

 嬉しそうにすら聞こえるゲネルの狂気に染まった鳴き声を聞きながら、俺はその攻撃を全力で回避する。先程は情けない声を上げてしまったが、何だか頭は妙に冷静だ。

 

 さて、今朝に騒ぎまくったりアルセルタスを大量虐殺したりと訳の分からない謎行動を繰り返していたあのゲネルだが、先程の動きでようやく合点がいった。どうやらアイツ、俺に対して相当な恨みを持っているらしい。

 

 しかしまぁ、考えてみれば当然だ。あの女帝様が一体何年生きて、何体の徹甲虫を使い潰してきたのかは知らないが、俺みたいに反抗的な態度をとられたのは初めてだったんだろう。早い話、甘やかされて育った子供の駄々こね、その感情を殺意にまで歪ませ、増長したのが今のアイツの状態だ。虫のくせに随分と高度な感情をお持ちなようで。

 

「ギッギッギッギッギッギッギ……ッギ、キシャァッ!(完全におまいうです本当に……っと、あぶねっ!)」

 

 螺旋を描くように飛び、真後ろから飛んできたゲネルのブレスを回避する。とにかくは、全面的に作戦変更だ。元々はレイア姉さんに攻撃の矛先が向かないようにする作戦だったんだが、この様子だと今の奴には俺以外は見えていない。流れ弾が行かないようにさえ注意してれば、あまりそのへんを気にせず戦えそうだ。で、ここまでコイツが俺に執着してるんだとすると、そうそう簡単にエリチェンなんかはしてくれないだろう。

 

 俺がエリチェンして引っ張ってくっていう手段も考えたが、俺のエリア間の移動手段は飛行、対してアイツは地中移動だ。俺はアイツの発する激臭、もといフェロモンガスのおかげで近場なら場所が分かるが、向こうから来るのを待つ専門のゲネルがアルセルタスの位置を把握する手段を持っているとは考えづらい。もし俺を見失った挙げ句にこの場所へ戻ってきて八つ当たりでレイア姉さんを攻撃でも始めようものなら、別エリアにいる俺が間に合うかも分からない。

 

 ともなれば、どうするべきか。一重に、どうにかして無力化するしかない。流石に狩猟はできないかもしれないが、何かしらの方法で奴を行動不能まで持っていければ道は開ける。

 

「キシャシャシャシャッ!(ともなればっ!)」

 

 後方から思い切り突進をしてきたゲネルを宙返りのように縦旋回で避け、丁度ひっくりかえった状態ですれ違いざまに尻尾に一撃切りつけた。

 

「ギッギッギッギッギッギ……!(まずは一撃……!)」

 

 奴の巨体による攻撃はとんでもない破壊力を誇るが、突進やら何やらといった攻撃は諸々真上にいれば問題なく回避する事ができる。しかし奴がこのエリアの下段にいるうちはあまり高度をとる事もできず、ハサミムシというよりかはクワガタの顎をそのままくっつけたようなあの巨大な尻尾の餌食になってしまうのは明らかだ。ならば最優先で奴の尻尾を攻撃し、上方へ向けての攻撃手段を絶ってしまおう、というわけだ。尻尾さえ陥落させてしまえば、背中に取り付くなりして好き放題する事もできる。

 

「ギギィキシャシャシャ!(もう一丁!)」

 

「ギィィィ!?」

 

 後方へ向かった俺の方を向くべく体をぐるりと回転させたその瞬間の隙を突き、上を高速で通り抜けると同時に先程と同じ場所、尻尾の付け根から三分の一くらいの場所にある甲殻の節目に自分の前足の鎌を切りつける。中の何かを少し断ち切る生々しい感覚が、鎌を通して伝わってきた。少し距離をとって自分の鎌を見れば、ゲームでも見たあの紫っぽい体液が少し。

 

「ギッギッギッギッギッギッギッギッギィ……(俺の体にもおんなじようなのが流れてんだよなぁ……)」

 

 感覚的にはアレだ、鉄分配合のグレープジュース的な。

 

 若干ドロッとしたそれを鎌を振って振り払うと、ゲネルの次の行動に備えて身構える。等の本人(虫)はまさに怒りの咆哮を放ち終えた直後で、俺を殺せる事に対する狂喜の感情はもはや失せ、ただただ凄まじい怒りの感情のみをその視線に込めて俺を睨みつけていた。

 

「ギギギィッ!(いくぞぉっ!)」

 

 睨み合っていても埒があかないと判断し、捕捉されないようジグザグに飛行しながら一気に肉薄する。奴の上を通り抜けつつ、思い切り右の鎌を振りかぶって尻尾の同じ箇所へと切りつけた――つもりだったんだが。

 

「ギィッ!」

 

「キシャァ!?(おぉ!?)」

 

 俺が真上にいるタイミングでゲネルは跳び退くように後退し、流石に俺の速度には敵わないものの切りつけるタイミングを狂わされる。それでも負けじと鎌を振り下ろせば、後退によって作り出した僅かな時間のうちに尻尾の位置を下げ、その強靱な鋏でもって俺の鎌を逸らしたのだ。

 

 この状況にマズイと判断した俺は、大慌てで鋏の横を抜けるようにしてその場を離脱する。すると直後、俺のいた空間をあの大鋏がガションという機械のような音を立てて切り裂いていった。

 

 ――もう、油断はしない。

 

 後方へ離脱した俺へ振り向いた奴の目が、そう語っているような気がした。

 

 よっしゃ、んじゃこれならどうだ。

 

 勢いをつけて、再び奴の尻尾めがけてすっ飛ぶ。当然奴はそれに警戒して身構えた。――ん、さっきとは違う方法で避けるつもりか。まぁ、そのへんは問題ない。

 

「ギッギッギッギッギッキシャァ!(尻尾はフェイントだからなぁ!)」

 

 飛行軌道をぐりんと捻り、体をきりもみ回転させながら奴の腹の下へ潜り込む。とにかく尻尾へ意識をやっていたらしいゲネルは予想通り、突然狙いを変えてきた俺に対応しきれず驚いたご様子。そう、その隙が狙いだ。

 

 慌てたゲネルは、訳も分からずたたらを踏む。そうすると二本の足が宙に浮く事になり、残った重心は残りの二本のみだ。という事は、その片方さえ崩せば……っ!

 

「ギィシャァ!(そいやぁ!)」

 

「ギィィィィィ!?」

 

 重心となっていた後ろ足を、角による突進で弾き上げる。そうする事で奴はバランスを崩し、ズズゥンという重厚な音を立てて地面へと平伏した。

 

「ギシャァ! ギッギッギッギッギ……(よっしゃぁ! 今のうちに尻尾を……)」

 

 背後で響く奴の悲鳴と轟音に成功を確信し、尻尾を攻撃するべく振り向いた――まさにその時。

 

 ガションッ!

 

「……ギッ?(……えっ?)」

 

 一瞬、何が起こったのか分からなかった。思考を停止した俺の頭が再起したのは、自らの体へ向かって伸びている巨大な尻尾と、ギシギシと悲鳴を上げ始めた己の甲殻の音を聞いてからだった。

 

「ギシャァ……ギシャシャギシャァ……」

 

 地面へと倒れ込んだゲネルから、笑うような不気味な鳴き声が聞こえてくる。ここまできてようやく、自分はゲネルの尻尾の鋏に拘束されているのだと気がついた。

 

「ギシャッ……(まずっ……)」

 

 もがいて脱出しようとするが、ゲネルはさせるまいとさらに力強く締め付けてくる。あの時、今朝アイツを一発ブン殴った時。周りにいるアルセルタス達の死体はみな、胸のあたりを何かに潰されたようにして死んでいた。恐らくは皆、こうして尻尾に捕まれて握り潰されたのだ。となれば、俺を待っている運命は――。

 

「ギギッ……キシャシャシャァ……(ああぁ……畜生……)」

 

 ギチギチと嫌な音を立てる己の甲殻。何故こうなった? 俺が奴を侮っていたのか? まぁ、それもあるだろう。俺が生前最後に遊んでいたのは、モンスターハンター4G。既に4の方は相当進んでいて、ゲネルなんて幾度となく狩ってきたような奴だ。現在の体になった事で奴に対する有効打を失ったとはいえ、心の中のどこかで奴をナメてしまっていたんだろうな。

 

 それに、奴のこの行動。初めてコイツに会った時に、ゲームとは行動パターンが違う事もあると分かったつもりだったのに……。ゲームシステムである“相手がダウン中は攻撃されない”という奴が俺の頭の中に残っていて、それがジンクスとなって、隙を与えてしまったんだ。結果それが、俺の生死を分ける結果となってしまった。

 

「ギギッ……。キシャシャシャシャシャシャ……(あはは……。あはははははは……)」

 

 さぁ、どうするゲネル・セルタス? このまま握り潰すか? 地面に叩きつけるなりしていたぶるのか? こうなってしまっては俺はもう、何も抵抗できない。女帝の怒りを買い、捕らえられた転生アルセルタス(できそこない)。大好きなゲーム、モンスターハンターの世界に放りこまれて、ハンター一回だけ助けて、リオス夫婦にお節介焼いて。ゲネルの奴、俺を殺したあとはレイア姉さんの事見逃してくれるといいんだが。

 

 あぁ、そろそろ甲殻が限界を迎える。短かったけれど、二回目の人生、いや虫生は、何げに面白かったよ。

 

 そう振り返り、瞼を閉じようとしたらそんなものは無かったので、そっと俯いた――。

 

 

 

 

 

「グオオオオオォォォォォ!」

 

 その時、俺の体――いや、ゲネルの尻尾を衝撃と灼熱が襲った。

 

 

 ――あれ。

 

 私はまた……。うぅん、今度は雪が振ってる場所で気がついた。いつのまに降ったのかな。とってもきれいだな。

 

 るん、るん、るん。どこかで聞いたことがある音楽を頭の中で歌いながら、雪の中を歩く。振り返ったら、私のおっきな足でつけられた足跡がぽんぽんぽん。楽しいな。

 

 しばらくつもった雪を踏んで遊んでいたら、あっという間に疲れちゃった。でもここで休むのは寒いな。どこかにいい場所無いかな。

 

 そう思って歩いていたら、壁にどうくつを見つけた。わぁい、どうくつ探検だ。前に“オニイチャン”と秘密基地ごっこやったなぁ。

 

 ――オニイチャンって、何だっけ。

 

 何だか、とってもだいじな事を忘れている気がする。嫌だなぁ、忘れ物しちゃうと“オカアサン”に怒られちゃうんだ。

 

 ――オカアサンって、何だっけ。

 

 思い出せない。身近なものだったはずなのに、思い出せない。大事な事のはずなのに、思い出せない。

 

 ――わたシの、たイセつなひトたちガ、おもイダせナイ。

 

 グワオウ。そういう鳴き声が聞こえて振り向いたら、どうくつの中から黒っぽい緑色の恐竜さんがやってきた。私をみて、こっちにやって来る。

 

 おともダチになリたいノかな。いいヨ、おトモだチになロウよ。オ、トモ、ダ、チニ……。

 

 私の意識はまた、闇に吸い込まれていった。




本作もようやく小説っぽくなってきた――のでしょうか?
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