転生者で世界を救ったけどヒロインとか要りませんから   作:メンヘラのかけソバ

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勉強って元々無理をするっていう意味の言葉だそうです。
無理をしているんだから、逃げ出したくもなるよね。
水曜とか言っておきながら、早々に逃げ出し予想通り日曜に投稿する。

けど今回はネプテューヌ(ryじゃなくて本編だから。
そろそろ本気で見にくいって叩かれる気がする。完結したら章まとめにしよう。


ノーマルへのルート分岐

 

 

扉が開いた。

 

ゆっくりと歩くのは何故か。振り子のように不規則に揺れる身体は今にもバランスを崩し、倒れてしまいそうだ。

 

「ノワール……」

 

彼女の表情は窺い知れない。いや、知りたくない。何かが俺の身体を支配して動きを抑制している。

どうしたら良い?鎖がある、逃げる事なんて出来ない。否、そもそも逃げて良いのだろうか?

明らかに様子のおかしいノワールを放って、自分だけが助かろうとしている。

そんな己の思考に嫌気がさした。

 

俺は自分でもお人好しだと思っている。事実そう振舞ってきた。ホモである自分は他人に避けられても仕方がない。だからこそ人に受けが良い様に過ごした。

長年続けた所為かもう行動が身体に染み付いてしまっている。

故におかしくなった友人を無視して自分の事を考えた自分が気に入らない。

 

「あら?逃げないのね、鏡夜」

 

やはり狂っている。顔を上げたノワールの双眸は黒く濁り炯々としていた。

紛れもなくノワール。しかし何時にも増して白い……いや青白いと言っても差し支えないその肌はまるで幽鬼、人とは思えなかった。

 

「ノワール、どうしてこんな事をしている?」

 

何か困っているのだろうか。何かこんな事をしなければならない理由があるのだろうか。

知りたい。そして出来るならば助けになりたい。

 

「こんな事?あなたを監禁している事かしら?」

 

自覚はある様だ。何処か焦点の合わない瞳から錯乱しているのかとも考えたがそこまでヒドくはないらしい。

 

「何か理由があるんだろ?教えてくれ。俺はお前の助けになりたい」

 

別に俺は『正義の味方』になりたいわけじゃない。ただ友人を放っておけないだけだ。

 

俺の腕はこんなに短く、小さい。だからこそ全ての人を救おうなんて欠片も思ってないし、ましてや出来るとも思っていない。

 

けれど俺の手が届く範囲のモノは救いたい。大切な仲間たちや友達はどんな事をしてでも助けたいと思っている。手段は選ばないとまでは言わないが必要ならば無辜(むこ)の民を手にかける事すら、いとわない。それくらいの覚悟ならある。

 

それを考えれば俺は『正義の味方』ではない。むしろ場合によっては『人類の敵』になる事すらもあり得る。

 

…それに俺は『殺人貴』の方が好きだ。

 

 

 

…………何をふざた事を考えているのだろうか。案外余裕はあるようだ。しかし、それに気づければ後は問題ない。熱を帯びた思考が徐々に冷め、クリアになっていく。

 

かつての世界でプロレスという格闘技を嗜み、なおかつ不良じみた事ばかりで喧嘩を重ねたからこそ知っている。余裕があるのならば冷静でいられる。勝負の世界では先に冷静さを失った方が負ける確率は高い。

 

「助けになりたい……ね。優しいわね、本当に。誰にでも優しい」

 

俺を滑稽だと言わんばかりに口元を歪めたノワールは目つきを更に鋭くし、睨んだ。

 

恐ろしい形相ではある。が、逃げるわけにはいかないだろう。受け入れなければならない。

 

敵同士なら赦し、赦されなければ。仲間同士なら認め、認められなければ。家族ならば受け入れ、受け入れられなければ、始まらない。

 

塵芥にも劣る小さな誇り(プライド)など捨ててしまえ。妥協する為にもこちらが譲歩しろ。相手は無二の友だ。何を恐れる事がある。

 

「理由ね、…理由。単純よ?あなたが欲しかったから」

 

俺が欲しい?どういう事だ?

しかし考えれば、今まで幾度かラステイションに来ないか?と誘われた事がある。それを強行したのだろうか。

だが、それでは監禁した理由が分からない。俺の事務能力だったり戦闘力を当てにしての事だろうから、何もやらせずに縛り付けておくのは本末転倒だろう。

 

 

 

 

「私ね、あなたが好きなの」

 

…………。

 

「ゑ?」

 

「あなたがいれば何もいらない。女神の地位も権力も富も名声も何もかも。鏡夜がいてくれるだけで良い」

 

……予想の斜め上を行く展開過ぎる!?

 

は?俺の事が好き?ならなんで監禁してんの?なんで首輪つけてんの?

もう病んでるじゃん。ヤンデレじゃん。ギャルゲーで出たら血塗れの恐ろしいエンドしか見えないよ?

 

「ねぇ、だからずっと此処に居ましょう?私が面倒を見てあげるから」

 

やべぇよ、やべぇよ。何がやべぇって全部だよ。俺は嫌だからね、こんなとこで一生を終えるなんて。

 

しかし困った。さっきまでシリアスに決めてたのに一気に崩れた。俺が『シリアスアレルギー』を発症しながら、行ったシリアスの意味は?誰か俺のシリアスを返して欲しい(切実。

 

どうすんだよ。この分だと俺がホモだとか言ったら殺されるか意識を奪われてバッドエンドになる未来しか見えない。

 

なにか当たり障りのない事を言って躱すしか……。

 

「ノワール……それは出来ない。俺にはやらなければならない事がある。だからこんな所にいつまでも居る訳にはいかないんだ」

 

考えろ!どうすれば誤魔化せる?どうすれば血を見ずにこの展開を突破出来る?!

 

「どうしてよ……私が嫌い?」

 

泣きそうになりながら告げるノワールに何故か心が痛む。自分を危機に晒している張本人にすら心を動かすとか末期かもしれない。

 

てか顔怖ッ!

え?泣いてる?泣いてるよね?なんでそんな無表情なの?!

 

「いや、えっと……決して嫌いという訳ではなくてですねぇ……」

 

……ッ?!!

 

そうか!ハハハッ!流石は女神様(・・・)。俺はまだ死なずに済むかもしれない。まさかアレがこんなところで役に立つ事になろうとは。

 

「…そう……これは必要なことなんだ、ノワール」

 

「必要なこと?」

 

「ああ、お前が面倒を見てくれると言ったがそんなのはダメだ。『愛』っていうものを育むには2人が対等である必要がある。片方が相手に依存するだけの関係は愛なんて言わない」

 

俺、屑過ぎるだろ。なんだよ今の、そのまま口から出まかせじゃないか。

 

「私はあなたが居ることが対価だから対等よ」

 

「だとしても俺が納得出来ない」

 

「でもあなたは私の事なんて構ってくれないじゃない」

 

すいません。構ってあげられなくて。俺そんな風に思われてたんだね。ちょっとショック。

 

「それに……あなたは私にヒドい仕打ちばかりする」

 

ヒドい仕打ち?はて、心当たりなんて……

 

「私とお喋りしても楽しくないって言うし、遊びに誘っても後から来たネプテューヌを優先する。それに友達だって……やめるって!」

 

盛大にありました。

 

 

 

 

「ノワール!」

 

俺はノワールに詰め寄り、肩を思い切り掴む。

するとノワールはとても驚いた様に声を上げた。

 

「ひゃい!」

 

「それはアレだ。愛の試練だ。俺はノワールに乗り越えて欲しくて敢えて冷たく接したんだ」

 

何が愛の試練だよ、マジでどうしようもないゴミ屑だろ、俺。

 

「あ、愛の……試練?!」

 

「ごめん、試す様な真似して悪かった。けど、ノワールはヒドい仕打ちだなんて思ってたんだな……本当に悪かった、俺みたいなヤツは……」

 

「違う、違うの!私は……」

 

良しッ!なんか普段のノワールに戻って来た。後はこの流れで服を取り返し、脱出する!

え?後の事なんて知らねぇよ(白目。

 

「私はそんなつもりで言ったんじゃないの。だから……」

 

「本当に…(現在進行形で)屑みたいな俺で良いのかよ?」

 

「うん!あなたじゃないと、鏡夜じゃないとダメ!」

 

そんな嬉しそうな顔をしないでくれ。マジで泣きたくなるから。

俺、絶対に詐欺師とか向いてないわ。騙した人が可哀想でやっていけない。良心の呵責で心因性の病気を発病する。

 

「ノワール。真実の愛っていうのは遠く離れていてこそ、感じられるんだ。それを確かめる為にもここで暮らさない方が良い」

 

真実の愛なんてない(確信。

だってホモだもの。

 

これはもうトラウマだよ。そして何より、こんな事を平然と出来る自分が恐ろしい。

 

「ッ!?……真実の愛…」

 

ノワールは反芻する様に呟いた後、パァと花が咲く様な笑顔を見せた。

 

 

時間との勝負だ。俺の良心が俺を殺すのと、ノワールが俺を解放するの、どちらが早いか。

 

 

 

きょうや:HP(ヒットポイント)150

ノワール:HP200

 

 

きょうやのターン

きょうやはデタラメをつかった

 

「という事だ。鳥籠の鳥より空を飛ぶ鳥の方が美しく見えるだろ?」

 

ノワールのこころに 4 ひびいた

残りHP200

 

ノワールのはんげき

じゅんすいにうれしそうなかお

 

「えぇ!そうよね、その通りよね!」

 

きょうやに 132 のダメージ。

残りHP150→18

 

 

 

待て。開幕早々死にそうなんだが。

ていうか、心に響いたってなんだよ!ダメージじゃないの?!

 

 

 

「早速だけど服を返してくれないか?あと首輪を外して」

 

「分かったわ。少し待ってちょうだい!」

 

ノワールは俺の服の入った箱に駆け寄り、ポケットから取り出した鍵を使った。

 

 

そんなノワールの後ろ姿を見ながら、思った。

 

 

 

どうすんだ、これ?(遠い目

 

 

 




主人公が屑過ぎる。

シリアスアレルギーとはシリアスなんてやってられるかッ!というギャグ小説の主人公が発症する病である。主に蕁麻疹などの症状が現れるが酷い場合は失神なども起こる。
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