真剣で魔王に怯えなさい!! (5/26より、更新停止)   作:volcano

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※今回から信長の一人称が
与(オレ)→余(オレ)に変わりました。


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2005年 7月20日 愛知県-名古屋市-織田家

 

 

全ては信長のこの一言で始まった。

 

 

 

 

「そろそろ女が欲しい。」

 

 

 

それは、子供が『お菓子が欲しい』と言うのと同じぐらいの『軽さ』だったと、後に信長の父『信秀』は語った。

 

 

 

「……ゴメン、信長。突然過ぎてお父さん頭が困惑しているんだけど…」

「この程度の言葉も分からんのか? 相変わらず程度の低い脳をしているな。」

 

 

「いや、ちょっと辛辣すぎない!? ていうか何!? 彼女でも欲しくなったの!?」

 

「違うな、 余(オレ)は『嫁』が欲しいのだ。」

 

 

 

信秀の頭が暫しフリーズする。

 

 

 

「…え? ………ぇぇえええええええ!?」

「喧しい、叫ぶしか芸がないのか。」

 

 

「酷くない!? リアクションとっただけでそれは酷くない!? ていうか『嫁』!? 突然過ぎてお父さんどう対処したらいいの!?」

 

 

「何もしなくていいんじゃないか? と言うより、何も出来まい 父では。」

「ん~うるさいなぁ、何大声で叫んでいるの信秀君?」

 

 

「あ、由紀さん! 聞いてよ、信長が……!」

 

 

信秀は事の経緯を妻に話した。

 

 

「という事なんだよ! 由紀さんも何か言ってやって!」

「ま~、お嫁さんが欲しいだなんて、信長君たら『マセている』わね~♪」

 

 

 

「そこぉぉおおお!? 違うでしょおおおお!」

 

 

「けど何で急にお嫁さんが欲しいなんて言い出したの?」

「余(オレ)も今年で14。伴侶を持ってもよい頃だと思ってな。」

「あらあら、信長君勘違いしてるのね~♪ 結婚できるのは14歳からじゃなくて、18歳からだよ~♪」

 

 

「そういう問題じゃないと思うよ!? 」

 

 

「でもお嫁さんが欲しいのは良いけど、お目当ての女の子でもいるの?」

「いや、残念ながらおらんのだ。」

 

 

「ちょっとぉおお! お父さん無視ィイ!? 」

 

 

「ゆえに余(オレ)は『嫁探し』の旅に出ようと思う。」

「まぁ! 旅行に行くの! だったらお土産に『ご当地ストラップ』買ってきて欲しいなぁ~♪」

 

 

「待って由紀さんんんんんん! 『ご当地ストラップ』より大事な事があるよねぇ!?」

 

 

「え~? あ、そうだったわ! ご近所の皆さんのお土産も買ってきてもらわないとね♪」

 

 

「ソコジャナァァアアアアアアイッ!!」

 

 

「でも、信長君。『旅行費』はどうするの?」

「心配いらん、『知り合い』に金を湯水のごとく提供してくれる奴がいるのでな。」

 

「そう、それなら安心ね♪」

 

 

「安心出来ねェェエエエエエエエ!! お金を湯水のごとく提供してくれるって、どんな人ぉ!?」

 

 

「それで、何時から行くの?」

「『明日』からだ。幸い今は夏休み、全国を回る絶好の機会だ。」

 

「まぁ! 全国に行くの!? やったわ♪ これで『ご当地ストラップ』が全種類揃うわ♪」

 

 

「ちょっと待ってぇええええ! ツッコミどころが多すぎて、お父さん対処しきれないんだけどぉおおおおお!?」

 

 

「だったら、のんびりしていられないわ! 旅行の準備をしなくちゃ! お母さんも手伝ってあげるから、信長君も準備しなさい!」

 

「……ま、自分の事だから。仕方あるまい。」

 

 

 

 

そう言うと、二人は準備をするため居間から出ていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……もしかして、僕ってイジメられている?……」

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、現在に至る。

 

 

 

 

 

 

2005年 8月14日

 

 

プォオオオオン…

 

信長は新幹線に乗って移動していた。

 

 

 

「フゥ、どこにも『良い女』はおらんだな。」

 

 

 

信長は溜め息を吐きながら、窓から見える景色を眺めていた。

北海道から沖縄まで、信長はあらゆる地方を回り、『嫁』となりうる女性を探した。

 

 

 

信長は『かつて』、一国を治める主であった。そのため、『人を見る目』がとても養われている。一目見れば、その人物がどんな人間か分かるほど優れているのだ。

 

しかし、何処へ行っても信長の目にかかる者はいなかった。

 

 

 

「やはり、いないものだな。『アイツ』のような女は。」

 

 

 

信長がポツリと言った時、車内にアナウンスが流れた。

 

 

 

『間もなく岐阜に到着します。お降りのお客様はお忘れ物が無いよう、お気をつけ下さいませ。』

 

「ム、もう着いたか。新幹線というのは実に速いものだな。」

 

 

 

荷物をまとめ、降りる準備をする信長。実は信長、岐阜県だけまだ行ってなかったのである。

 

 

 

「頼みの綱が『此処』とはな、運命じみたものを感じる。」

 

 

 

信長にとって岐阜県、特に岐阜市は思い入れのある地であった。

此処 岐阜市はかつて『美濃国』と呼ばれていた。

そして、『美濃国』にはかつて『絶世の美女』とよばれた女性がいた。

 

その美女の名は……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「う~む、やはり、見つからぬな。 ム?」

 

 

信長が『嫁候補』を探して歩いていると、立派な造りの門がある豪邸を見つけた。そこには人が大勢集まっていて、何やら催し物をしている様だった。

 

 

「オイ、此処で何をしているのだ?」

「はい?」

 

 

信長は受付らしき人物に話しかけた。

 

 

「此処では、当家のご主人『斎藤様』が開かれたパーティーが行われております。」

「ほぅ……」

 

 

信長はこれまで様々な女性を見てきたが、『金持ちの女性』をまだ見たことがなかった。もしかしたら、此処に余(オレ)の求める女がいるかもしれない。信長はそう思った。

 

 

「調度良い、中へ案内しろ。用ができたのでな。」

「すみません、招待状をお持ちでない方は入れません。」

 

 

 

「……何?」

「申し訳ありませんが、お引き取りを……」

 

 

 

 

グギャッ

 

 

 

 

「ウゲェ!」

 

 

 

 

 

ドサッ

 

 

 

 

 

「面倒な、それでは『強行突破』するしかないではないか。手間をかけさせるな。」

 

 

信長は門をくぐり、中へ入っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「成程、確かに金持ちなだけはある。『見て呉れ』だけは合格だな。」

 

 

パーティー会場には多くの人が来ており、中には信長と同じ年頃の女性もいた。

だが、信長の目にとまる女性はいなかった。信長は人を見るとき、顔だけじゃなく仕草や言葉遣い等を見聞きする。無意識に出る仕草や言葉遣いが、人間の本性を露にするからだ。

 

※因みに信長は今、私服ではなくスーツを着ている。(着替え室で拝借した物)

 

 

 

「どれも『中身』が汚いな。まぁ、『金持ち』というのはそういうものかもしれんがな。」

 

 

此処でもなかったか、やはり『アイツ』のような女はもうおらんか……

信長が内心でそう思った時だった。

 

 

 

 

 

 

「・・・御呼びしましょう。『帰蝶』来なさい。」

「はい、お父様。」

 

 

 

「ム? 『帰蝶』?」

 

 

 

聞き覚えのある名に、信長は話しの方向に顔を向けた。

 

 

 

 

 

「!?」

 

 

 

そこには一人の少女がいた。その少女の顔は、信長がよく知る顔であった。

 

 

 

 

 

 

「帰蝶…なのか…」

 

 

 

 

 

かつて自分が愛した女、生前唯一『手に入れられなかったもの』、

 

 

その顔は瓜二つであった。

 

 

 

 

 

「本日はようこそ御越しくださいました。只今ご紹介にあずかりました、『斎藤帰蝶』と申します。」

 

 

少女の仕草、言葉遣いを信長は見逃さなかった。たった少しの動作が信長には充分な情報であった。

 

 

 

 

 

 

「(外見だけではない、『中身』も『アイツ』に似ている……)」

 

 

 

 

 

 

『輪廻転生』

自分は輪廻の輪をくぐったにも関わらず『記憶』は消えなかった。

ならば、『記憶だけ』が消え、その他全てが転生する事は決してあり得ない事ではない。

また、『自分と同じ』存在が他にいる可能性もある。

 

 

 

 

 

 

「あの女……『帰蝶の生まれ変わり』か何かか? 」

 

 

 

 

 

もし織田信長を知る者が、今の信長を見たらさぞ驚くだろう。

いつも『余裕の笑み』を絶やさない信長が、驚愕しているのだから。

 

 

 

 

 

 

しばらくすると、少女はパーティー会場を出ていった。信長は少女を追いかけ、先回りし少女が入るであろう部屋に先に入っていった。

 

 

 

 

 

「ハァ……」

 

 

少女が部屋に入ってくるなり、溜め息を吐いたことに信長は疑問に思った。

 

 

「(あの女、何故あんなにも草臥れているのだ?)」

 

 

少女がパーティー会場で挨拶をしている時、信長はその様を見て少女が『のり気』ではないことに気づいていた。しかし、何故あんなにまで草臥れているのか分からなかった。

 

 

「私の『お願い』、結局聞いてくれなかったなぁ……」

 

「(『お願い』? )」

 

 

 

少女は願いが叶わなかったことに落胆しているのか?

信長は少女の言葉に耳を傾けた。

 

 

 

 

 

 

 

「私…『幸せ』になれるのかな……」

 

「(……成程な。)」

 

 

理由までは分からないが、少女が今現在『幸せ』ではない事を信長は理解した。

幸せでないのなら、『楽しくない』のでないのなら、あの様な陰気な顔していてもおかしくはない。

 

 

 

信長は少女に興味がわきはじめていた。かつて愛した女と瓜二つな少女に、自分が考えた『可能性』を確かめるべく、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「随分と陰気な顔をしているな、余程『楽しくない』事でもあったのか?」

 

「!?」

 

 

 

 

 

信長は少女に話しかけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

かつて、余(オレ)は全てを手に入れた。

 

富を、地位を、力を、

 

 

 

 

だがたった一つ、

 

『手に入らなかったもの』があった。

 

それは素晴らしい富ではなく、絶大な地位でも、強靭な力でもなかった。

 

 

 

 

 

『それ』は一人の女だった。

 

その女は美しく、そして気高かった。

 

 

 

一目で余(オレ)は女が気に入った。

 

あの美しい存在をこの手で『壊したい』。そう思った。

 

 

 

 

 

だが、あの女は決して『壊れなかった』。最後まで美しく気高かった。

 

 

 

アイツだけは、余(オレ)のものにならなかった。

 

 

 

女の名は『帰蝶』。たった一つ、余(オレ)が手に入れられなかったものだ。

 

 

 

 




前書きにも書きましたが、信長の一人称を訂正しま。

実は作者の友人が、この作品を読んでいることを偶然知り、さらにその友人にこの作品を書いているのが自分だとバレてしまいました。

その友人が、「一人称は『与』じゃなくて『余』だよ」と教えてくれました。
なので、訂正させていただきました。

時間が空いたら、他の話も訂正します。

※1/13 全話訂正しました。
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